ハニー・ポッター「どうして、スネイプなんかを……」


1 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/23(月) 14:39:02.45 ID:xfCxUAHg0
隠れ穴

ロン「あぁハニー!僕の家に君を迎えられるっていう光栄な事態とか休暇を君と一緒に過ごせる豚どもが嫉妬のあまり阿鼻叫ヒンしっちまう事態ももちのロンで大事なんだけどさ!」

ハニー「えぇ、そうね。この私だもの、光栄すぎて外に降り積もる雪も輝きだしておかしくないわね」

ロン「むしろ僕には君がいるだけで反射でピッカピカに見えるけどねヒンヒン! あー、あのさ。フォんとうなのかイ?スネイプのクソッタレが、マルフォイに……?」

ハニー「何度も聞かないで頂戴。えぇ、そうよ。昨日の晩はっきりと聞いたの。マルフォイはお城で何か企んでいて、それの援助を申し出ていた、って。何度も聞かれるのは嫌いよ、あなたは知っているはずだけれど?」

ロン「そりゃ僕は君の一番の豚だからねごめんよヒンヒン!今後は君の発言一言一句違わずノートすることにするよ!」

ハニー「むしろいままでしてこなかったのが謎ね、まったく。そう、スネイプはこうも言ってたわ……マルフォイの母親と、破れぬ、誓い?それもしたんだ、って」

ロン「……じょ、冗談だろ?いや、冗談なのは君の信じられないような美しさで十分だけどさ!『破れぬ誓い』だって!?」

ハニー「なぁに?これ、そんなに驚くようなことなのかしら」

ロン「そりゃそうさ!そいつ、『破れぬ誓い』ってのはさ!絶対に破れない!破ったら死んじまうんだ!」

ハニー「……」

ロン「……あれ?僕がハニーと交わす約束とそんなに変わらないな、うん!破るわけがないし、破ったらこう全身からマーリンの髭でも噴出して死んじまうしね!」

ハニー「見上げた志だけれど、それなら城に帰ったら絶対にハーマイオニーと仲直りするって約束を——」

ロン「おぉっとハニー!ヒンヒン!芽キャベツの皮むき終わったからママに報告してくるよ!優しい君が家の手伝いをしてくれたことをママに一刻もはやくそのあれしてハニーがどれだけそのあれをそれしなきゃね!マーリンの!」

バタバタバタバタ!

ハニー「……この私にあの態度、戻ってきたら芽キャベツの皮をどうしてあげようかしら」

ハニー「それにしても……あの時スネイプとマルフォイが話していた『誓い』っていうのが、そんなものだっただなんて」

ハニー「……これでも、これでもまだ、ダンブルドアはあいつを……? どう考えたって……」

ハニー「どうして、スネイプなんかを信じるの……?」

ハニー「……」

ハニー「あの人の考えが、未だに分からないわ。シリウス……」

ガチャッ!

ロン「ただいまハニー!おっと!ごめんよ!芽キャベツ向いてたあの例の一番星印のナイフを胸に抱いて思い悩んでたのに——」

ハニー「えぇ、そうね。色々丁度いいわ、ロン。この芽キャベツも皮も、あなたなら全て丸呑みできると信じているけれど?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1379914742


ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1379914742/


6 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/23(月) 14:46:42.56 ID:xfCxUAHg0
ハニー・ポッター「私が、魔法使い?」
ハニー・ポッター「賢者の石、ですって?」
ハニー・ポッター「賢者の石は、どうなったのかしら」

ハニー・ポッター「秘密の部屋?なぁに、それ」
ハニー・ポッター「スリザリンの継承者?なんなの、それ」

ハニー・ポッター「脱獄囚の、シリウス・ブラック?」
ハニー・ポッター「『エクスペクト・パトローナム!』」
ハニー・ポッター「『守護霊よ、来たれ!』」

ハニー・ポッター「勝つのは私、そうでしょ?」
ハニー・ポッター「何がこようと、受けて立つわ」
ハニー・ポッター「いつか必ず、来るものは来るのよ」
ハニー・ポッター「来るものは来る、来た時に受けてたてばいいのよ。勝つのは、私よ」

ハニー・ポッター「騎士団、いいえ。私の豚団ね、そうでしょ?」
ハニー・ポッター「『私は、嘘をついてはいけない』……?」
ハニー・ポッター「誰一人だって、欠けさせないわ」
ハニー・ポッター「進まなきゃ、前に。そうでしょ?」

ハニー・ポッター「プリンス、だなんて。なんなのかしら」
ハニー・ポッター「暴いてみせるわ、マルフォイの企み」

のつづきやで


10 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/23(月) 14:59:48.29 ID:xfCxUAHg0
ロン「うっぷ、げっぷ。あぁ、僕のお腹がハニーへの情熱くらい膨れあがってら」

ハニー「それじゃはちきれないといけないわね」

ロン「こぼれまくりだもんね僕ときたら、うん」

ハニー「それで? さっきの続きだけれど。そういえばロン、あなたよく『誓い』のことを知ってたわね?出来る豚だわ」

ロン「ヒンヒン!君から褒めてもらえるならあの双子に感謝しないとね!」

ハニー「フレッドとジョージ?」

ロン「うん、僕が五つくらいのとき、あいつらがふざけてその誓いをたてさせようとしてたんだ」

ハニー「……分かっていたけれど、昔からあぁなのね。でもそれは、洒落にならないじゃない?」

ロン「うん、君の美貌くらいね。それで、フレッドと僕が手を握って、ジョージが何か魔法をかける前に、杖がないことに気づいたパパが見つけてくれて」

ハニー「さすがのお父様も、怒ったのね?」

ロン「うん、ママくらい。あれはスカっとしたなぁ。それ以来二人とも、それぞれ左ケツと右ケツが調子出ないとかなんとか……」

フレッド「おーぉっとロニー坊や。ケツだのなんだのとそんな汚い話は我らが女王様に聞かせる話題じゃぁないと僕ぁ思うねぇ」

ジョージ「何よりそりゃ果たして人様に話すような事なのかと僕ぁ思うがねぇ。え、ロニー?お前のケツがどうなりたいって?」

ロン「」

ハニー「私の豚を痛めつけていいのは私だけよ、二人とも」


12 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/23(月) 15:23:57.42 ID:xfCxUAHg0
フレッド「見ろよジョージ、こいつらナイフなんかで芽キャベツを剥いてるやがるぜ」

ジョージ「哀れだなぁ、まるで魔法を知らないマグルかチビっこのようじゃないか?」

ロン「うるさいな。僕だってあと二ヶ月で成人だし、それに、ハニーはナイフが握れて嬉しいんだからほっとけよ」

ハニー「えぇ、そうね。私、家事は好きだもの。それだけよ」

フレッジョ「「それだけでしょうとも」」

ハニー「ステレオでうるさいわ」

フレッド「そんで、ロナルドよ。成人したらどうだっていうんだ?え?」

ジョージ「芽キャベツにマーリンの髭でも生やしっちまおうってのか?」

ロン「おぼえてろよ、17年分のうさを晴らしてやる」

フレッド「おぉ、コワイコワイ。おそらくきっと、たぶん、希望的観測では、お前はこれまでついぞ見せてくれたことのなかった魔法の技で僕らを追い詰めるのだろうな」

ジョージ「これまでついぞ、と言えば。ロナルドよ。ジニーから聞いたが君はなにやら今、城で面白いことになってるらしいじゃないか?え?ラベンダー、愛しい人と?」

ロン「僕の勝手だろ!ねぇハニー!」

ハニー「あー、えぇ……まぁ、そうね」

フレッド「おっと、こりゃスマートな対応で。大人の階段か」

ジョージ「方やこれまで見たことない歯切れの悪さだがねぇ」

ハニー「……色々あったのよ」


15 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/23(月) 15:37:51.15 ID:xfCxUAHg0
フレッド「しかしまぁ、ロン。お前が女の子と、なぁ」

ジョージ「その女性は何か事故にでもあったのかい?」

ロン「どういう意味だよ」

フレッド「そりゃお前、いくらハニーとは言え誰か他の女の子の尻に敷かれながら芽キャベツムシャムシャ食ってるような奴と」

ジョージ「どう考えたって、何かしらの脳の障害でも受けているような女の子じゃないと、そんなのとねんごろになるとはなぁ」

ハニー「私の豚と同級生を愚弄しないで頂戴」

ロン「そうだぞこんにゃろ!このナイフでマー髭に……」

ガチャッ

モリー「追加の芽キャベツですよ。ロン、お前ときたらお腹がすいたのなら何か作ってあげるのに——ロナルド・ビリウス・ウィーズリー!!!!」

ロン「ひぇ!ち、ちがうよママ!僕ぁ別に——」

フレッド「助けてママ!おたすけ!あぁ!」

ジョージ「ロナルドにころされっちまう!」

モリー「二人も邪魔をする暇があるのなら家事を手伝いなさい黙る!!!」

フレッド「おぉコワイ、僕らの非まで見逃さないなんて」

ジョージ「ママの視線はナイフより鋭いね、まったくさ」

ハニー「それに懲りないあなたたちの自業自得だわ」


16 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/23(月) 15:53:05.82 ID:xfCxUAHg0
モリー「まったく。兄弟同士で物騒な真似なんて、母さんに二度と見せないで頂戴」

フレッド「もちのそこの浮かれポンチ野郎さ、ママ」

ジョージ「物騒なのはママの鉄拳だけで十分だしな」

ロン「マーリンの髭」

ハニー「私がいれば平和そのものだから平気よ、お母様」

モリー「それはありがたいわ、ハニー。それで、フレッド、ジョージ。今日はリーマスがここに泊まるから、ビルをあなたたちの部屋に押し込んでいいかしら?」

フレッド「全然かまわないよ、うん」

ジョージ「トランクの中とか、うん」

モリー「そうなるとあなたたち二人の明日は土の中と思いなさい。それで、チャーリーは帰ってきませんからハニーとロンはロンの部屋。ハニー?いい?」

ハニー「えぇ、一人部屋も飽きてきたころだもの。ロン、久しぶりに枕になれるのを光栄に思いなさい」

ロン「ヒンヒン!あぁハニー!光栄すぎて僕の眼が君色になるに違いないよ!ヒンヒン!ヒン!」

フレッド「豚一同に聞かせてやりたいなぁ」

ジョージ「ただでさえ屠殺扱いだろうにな」


18 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/23(月) 16:16:09.59 ID:xfCxUAHg0
フレッド「ビルはフラーと一緒の部屋にしてやりゃいいじゃぁないか、ママ」

ジョージ「そうすりゃ来年には新しい家族が二人も増えてることになるぜ?」

モリー「だまらっしゃい! フラーはジニーと同じ部屋よ。これなら、えぇ、みんな寝場所を確保できたわね?」

ロン「そいつぁジニーにとっちゃいいクリスマスだよ、ママ。ほんと」

ハニー「お母様、なんなら私とジニーは代わってもいいわ。フラーは、お友達だもの」

モリー「あら、ハニー。優しいのね。でもね、ジニーも年頃だもの。兄とは言え男の子と一緒に寝るのは嫌がると思うわ」

ハニー「?」

フレッド「年頃の女の子、男の子と一緒に寝る、ねぇ。目の前がたまに見えてないよな、ママってさ」

ジョージ「そんだけロンがハニーにそっちの意味でヒンヒンするわけないってわかってんだろうがね」

ロン「そりゃ、僕ぁハニーの一番の豚だからね」

フレッド「そりゃすんばらしい。眠気が吹っ飛ぶ薬を無料で進呈してやるよ、ロン」

ジョージ「そんで、その口ぶりだとやっぱりパースは帰ってこないんだね、ママ?」

モリー「……パーシーは、えぇ。忙しいのですもの。魔法省できっと……それじゃ、芽キャベツをお願いね」

バタンッ

フレッド「ハッ。そりゃ、パースは大忙しだろうさ。それか、世界一の大間抜け野郎ってところだろうな」

ジョージ「どっちもだろうさ。きっと今のメガネは笑っちまうくらい堅物な額縁なんだろうね、まったく」

ハニー「……いつまで意地を張るのかしら、パーシーは」

ロン「せめて君の豚ならなぁ。マーリンの髭」


20 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/23(月) 16:29:00.50 ID:xfCxUAHg0
フレッド「そんじゃ二人とも、芽キャベツと仲良くな」

ジョージ「僕らはちょいと街の方まで姿現してくるよ」

ハニー「街?」

フレッド「そうとも。雑貨屋に飛び切り可愛い娘が働いててね。僕らが手品を披露するのを心待ちにしているのさ」

ジョージ「曰く、まるで魔法みたい!とね。おぉっとロナルド、少しは手伝えなんてなめた口をきくなよな?え?」

ロン「言ってないけど言わせろよ、君たちのせいで大分手間取ったんだから、杖の一振りくらいしてくれたっていいじゃないか!」

フレッド「いいや、そうはいかない。芽キャベツを魔法なしで処理するのは、人格形成に役に立つ」

ジョージ「マグルやスクイブの気持ちを理解できるしな。あとほら、屋敷しもべ妖精とかのことも」

ロン「S.P.E.Wが出るよ」

フレッド「そいつぁ才女様が聞いてたら、お前は血反吐を吐くことになっただろうなぁ」

ジョージ「ジニー曰く、そうでなくとも目を合わせただけでそうさせられそうらしいが」

ロン「……パースくらい意地悪いよな、ほんと」

フレッド「お前の頭ほどじゃねーよ」

ジョージ「我が弟ながら[ピーーー]よお前」

ロン「うるっさいな!!マーリンの髭!とっとと行けよ!!」


21 : saga忘れ 2013/09/23(月) 16:29:35.75 ID:xfCxUAHg0
フレッド「そんじゃ二人とも、芽キャベツと仲良くな」

ジョージ「僕らはちょいと街の方まで姿現してくるよ」

ハニー「街?」

フレッド「そうとも。雑貨屋に飛び切り可愛い娘が働いててね。僕らが手品を披露するのを心待ちにしているのさ」

ジョージ「曰く、まるで魔法みたい!とね。おぉっとロナルド、少しは手伝えなんてなめた口をきくなよな?え?」

ロン「言ってないけど言わせろよ、君たちのせいで大分手間取ったんだから、杖の一振りくらいしてくれたっていいじゃないか!」

フレッド「いいや、そうはいかない。芽キャベツを魔法なしで処理するのは、人格形成に役に立つ」

ジョージ「マグルやスクイブの気持ちを理解できるしな。あとほら、屋敷しもべ妖精とかのことも」

ロン「S.P.E.Wが出るよ」

フレッド「そいつぁ才女様が聞いてたら、お前は血反吐を吐くことになっただろうなぁ」

ジョージ「ジニー曰く、そうでなくとも目を合わせただけでそうさせられそうらしいが」

ロン「……パースくらい意地悪いよな、ほんと」

フレッド「お前の頭ほどじゃねーよ」

ジョージ「我が弟ながら[ピーーー]よお前」

ロン「うるっさいな!!マーリンの髭!とっとと行けよ!!」


22 : ミス 2013/09/23(月) 16:30:26.48 ID:xfCxUAHg0
フレッド「そんじゃ二人とも、芽キャベツと仲良くな」

ジョージ「僕らはちょいと街の方まで姿現してくるよ」

ハニー「街?」

フレッド「そうとも。雑貨屋に飛び切り可愛い娘が働いててね。僕らが手品を披露するのを心待ちにしているのさ」

ジョージ「曰く、まるで魔法みたい!とね。おぉっとロナルド、少しは手伝えなんてなめた口をきくなよな?え?」

ロン「言ってないけど言わせろよ、君たちのせいで大分手間取ったんだから、杖の一振りくらいしてくれたっていいじゃないか!」

フレッド「いいや、そうはいかない。芽キャベツを魔法なしで処理するのは、人格形成に役に立つ」

ジョージ「マグルやスクイブの気持ちを理解できるしな。あとほら、屋敷しもべ妖精とかのことも」

ロン「S.P.E.Wが出るよ」

フレッド「そいつぁ才女様が聞いてたら、お前は血反吐を吐くことになっただろうなぁ」

ジョージ「ジニー曰く、そうでなくとも目を合わせただけでそうさせられそうらしいが」

ロン「……パースくらい意地悪いよな、ほんと」

フレッド「お前の頭ほどじゃねーよ」

ジョージ「我が弟ながら死ねよお前」

ロン「うるっさいな!!マーリンの髭!とっとと行けよ!!」


23 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/23(月) 16:46:52.89 ID:xfCxUAHg0
ロン「くそっ、あいつら」

ハニー「兄弟のことを悪く言わないの、ロン。家族を大事に出来ない豚は嫌いよ」

ロン「ヒンヒン!あの二人ってまったくユーモアが満載だよな! 少し手伝ってくれれば、僕もハニーと一緒に出かけられたっていうのにさぁ」

ハニー「無理よ。ここにいる間は出歩かないって、意地悪豚と約束したもの」

ロン「称号に違わない意地悪っぷりだよあの豚……あぁハニー!君をまるで囚われのお姫様のような扱いにしちまってごめんよ!ヒンヒン!」

ハニー「姫なのはもとからでしょうけれど」

ロン「王族とかハニー差し置いて何抜かしてるんだって話だよな、うん。そういやあの豚と言えば、ハニー。マルフォイとスネイプのこと、ダンブルドアには話すつもりでありマすルフォイ?」

ハニー「えぇ、そうするつもりよ。やめさせられる人になら誰だってそうするつもりだし、あの豚はその筆頭だもの。そうでしょ?お父様にも機会があればもう一度話すわ」

ロン「君は思慮深さも海より深いねハニー!でもさ、あー、パパの反応からも君なら予想できるだろうけど……ダンブルドアの答えも、多分同じだと思うな」

ハニー「……『スネイプはマルフォイを助けるつもりなどなくて、逆に、マルフォイの企みを聞き出そうとしただけ』って?ダンブルドアの命令で」

ロン「そう、それさ。もちのロン、僕は君の直感を信じるというか他に選択肢はないけど。でもきっとそういうようなことを答えると思うな。ハーマイオニーも……えぇっと、ハーマイオニーは何て言ってたんだっけ?」

ハニー「……ハーマイオニーは最後の晩には疲れたみたいでもうベッドに戻っていたし、朝にはあなたとラベンダーが例の如くだから話す暇なんてなかったじゃない、と、何度も聞かれるのは嫌いだけれど、答えてあげるわ。ありがたく思いなさい」

ロン「ヒンヒン!ごめんよハニー! あー、うん、そうか……マクラーゲンの奴、ハーマイオニーに」

ハニー「なんともなかったどころかこっ酷くあしらわれたわ、ってば」

ロン「そっか……うん!あぁハニー!君ってほんと!輝いてるよな!うん!何故だか一層そう見えるよ!もちのロンで!」

ハニー「その理由に気づく頃には休暇が終わって居ると期待してあげるわ、ロン。私の豚ならしっかりなさい」

ロン「ヒンヒン!」


24 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/23(月) 17:01:53.22 ID:xfCxUAHg0
クリスマス・イブ

ドーーンドーン!
 ヒューーー!パチパチパチパチ!

ハニー「——凄い飾りつけね」

ジニー「だって、ハニー!あなたを迎えてのクリスマスなんだもの!去年に負けないくらい飾り立てるのは当然だわ!」

ハニー「えぇ、そうね。この私のために頑張ったのでしょう?褒めてあげるわ、ジニー」

ジニー「ヒンヒン!」

フレッド「その飾りは僕らの店の提供だってことを忘れないで欲しいね」

ジョージ「ツリーの天辺にいる妖精は別だけど。あれはここの庭小人さ」

ハニー「なにしてるのよ」

ロン「そうだぞ!でも本当はそこに飾る予定だった大きい星をハニーの席に置いてやったのはいい判断だ!おかげでハニーの機嫌と笑顔が——」

ハニー「ロン」

ロン「ヒンヒン!なんだいハニー!」

ハニー「天辺に庭小人一人じゃ、ツリーもなんだか物足りないのじゃないかしら」


28 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/23(月) 17:25:54.09 ID:xfCxUAHg0
ガヤガヤ 
 ザワザワ
~~~~♪

モリー「あぁわたしの~♪大鍋を混ぜて頂戴~♪ あぁ、なんていい曲かしら!ほら、ロン!あなたもそこから歌ってごらんなさい、ツリーの天辺からなら気持ちよく歌えるでしょう?」

ロン「あぁママ!支える手首がマーリンの髭状態じゃなければね!マーリンの髭!」

ハニー「パーティのご馳走に、豪華な飾りつけ。陽気な音楽に……お母様が久しぶりに楽しそうだわ」

アーサー「あぁ、モリーは賑やかなのが好きだからね……あの音楽はごめんよ、じきに終わるだろう」

ハニー「いいえ、気にしてないわ。ジニーと双子が爆発スナップゲームで遊ぶ音が聞こえないくらい音量が、そうね。少し大きすぎるのも……」

フラー「んーふん?この曲はジャズでーすか?でも、女のひとの声がぜーんぜん合ってませーん!」

ビル「あぁ、フラー。そりゃ、君の美声には届かないけどね。ほら、あんまり……」

モリー「あーぁ!なんていい曲かしら!!音量をあげましょう!そーれ!それ!!」

~~~~~~~~~♪

ハニー「……仕方のないことだもの」

アーサー「何が不満なのだかなぁ……ところでハニー、我が家はどうだい?何か不満は?」

ハニー「少しも。お父様の方こそ、お仕事が忙しかったようで大変ね」

アーサー「あぁ、実にね……これで実績が上がっていればよかったのだが、そうでないから始末に置けない……」

リーマス「——今月は、逮捕が三件あったと思うがそれでもかい?」

アーサー「あぁ、その三件のうち一つとして本当に『死喰い人』だったのか疑わしいということさえなければ……おっと、ハニー。これは他言無用だよ?」

ハニー「……まさかまだ、スタン・シャンパイクを拘束してるわけじゃないわよね?」

アーサー「……そのまさかなんだ」

ハニー「……呆れた」

リーマス「ダンブルドアがスクリムジョールに直接抗議しているのだがね」

アーサー「あぁ、まともな人間なら、一度スタンと面会すれば奴さんが『死喰い人』でないという意見で一致する……だが、『誤逮捕の後釈放』なんてことをするくらいならば、何かしているということを示すためにトップの連中はそういうこ事実をもみ消すだろう」

ハニー「それじゃ、スクリムジョールはファッジと同じくらいの人物でしかないということだわ。豚以下ね、まったく……この椅子の座り心地くらい、悪いわ」

ロン「クッションになれなくてごめんよハニー!でもほら!僕ほら!いま星の如くってああ僕じゃ役不足だよねマーリンの髭!!!」


29 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/23(月) 17:38:43.70 ID:xfCxUAHg0
ハニー「……お父様。私がホグワーツ特急に乗る前に話したこと、覚えているかしら」

アーサー「もちろんさ。私はロンの父親だよ?君からの大事な話は忘れるはずがない。あぁ、マルフォイ邸はしっかりと捜査した。しかし、何も——」

ハニー「えぇ、それは新聞で知っているの——リーマスに、その話は?」

リーマス「大体聞いているよ。君が、どうしてもドラコ・マルフォイを疑いたいということをね」

アーサー「あぁ……ハニー、また、あの話かね」

ハニー「当然、何度だって。リーマスも、聞いて。今日あなたに会えて良かったわ。実は、学期最後の日に——」

~~~♪

モリー「あぁ可愛そうな~~~♪ あわたしのハート~~~~♪」

ハニー「——それで、マルフォイはスネイプを一瞥もせずに去っていったわ。ねぇ、これは……」

リーマス「……こうは思わないかい、ハニー。スネイプは、ただそういうふりをして——」

ハニー「援助を申し出るふりをして、計画を暴こうとした?えぇ、そうね。お父様にもそう言われたわ」

アーサー「覚えてくれていて嬉しいよ、ハニー」

ハニー「けれど、疑わしいのは確かでしょう?だって、私達にはどっちだか判断できないのに……」

リーマス「私達は、判断する必要がないんだ」

ハニー「……どういうこと?」

リーマス「私達は、ダンブルドアがスネイプを信用している。この一点だけで、私達にとっては十分なんだよ。ハニー、きっとこれまで何度もこのことは言っていると思う」

ハニー「……ダンブルドアが信じるなら、私達もスネイプを信じるべきだ、そう言うの?」

リーマス「君にとっては、そして今頃チキンのにおいで飛び起きやしていないかという彼にとっても不満だろうが、私達にとってはそれが最良なんだ」

ハニー「…………ちょっと聖マンゴに」

リーマス「物の例えだよ、ハニー」


30 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/23(月) 17:51:52.00 ID:xfCxUAHg0
ハニー「ダンブルドアだって、間違うことはあるわ。それに、不満なのは……リーマス、あなたも同じでしょう?だって、正直に言って……あなたは、スネイプのこと」

リーマス「好きでも嫌いでもない。あぁ、これは本当のことだよ……学生時代にあれだけのことがあったんだ。お互いに仲良くするには私と彼の間にはあまりに苦々しい物が残る。あぁ、信じてはいるが、決して友人にはなれないだろう」

ハニー「だったら……少しは疑っても」

リーマス「ただね、ハニー。セブルスは少なくとも私がホグワーツで教員をしている間、毎月脱狼薬を煎じてくれていた。完璧に、だ。おかげで私は満月のひどい苦痛を和らげることができた」

ハニー「でも、だって!あなたが狼人間だってばらしたのは、スネイプで……!」

リーマス「きっといつかバレることだ。ハニー、その時も言っただろう?私に取っては慣れたもの……そんな些細なことよりも、それまで十ヶ月もの間私を薬で健やかに保たせてくれたことに、私は感謝したい」

ハニー「……ダンブルドアのいる前では、無闇に薬に細工できなかった、って、考えられない?」

リーマス「——っはは。君はどうしても、スネイプを憎みたいのだね……気持ちはわかるよ、あぁ。ダンブルドアには今日話してくれたことを伝えてみるといい。だが、私やアーサーと同じものが帰って来ると思っておくことだね。もしかしたら、セブルスはダンブルドアの命を受けて行動しているだけなのかもしれない」

ハニー「……」

~~~♪
 ジャーーーーン、 パチパチパチパチパチ!!

モリー「あぁ、感動的だわ!ねぇアーサー!十八の時、この曲で踊ったのを覚えてらっしゃる!?」

アーサー「あぁ、もちろんさモリウォブル……えぇっと、それじゃ音量を」

フラー「おーぉう、おわりまーしたか?なーんて酷い曲——」

アーサー「フレッジョ!!」

フレッド「オーライよしきたパパ!!いくぜ相棒!!点火!」

ジョージ「みんなツリーをみろよ!天辺から特大花火だぜ!」

ボォオオオオオオオッ!!!
 バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ

庭小人「ギャーーーーーーーッ!!!」

ロン「おいなんだよそれ聞いてなマー髭ぇええええええええええ!!」

リーマス「……あー、ハニー。ロンはあのままで大丈夫かい?」

ハニー「平気よ、私の豚だもの」

リーマス「……なんと、まぁ、相変わらず心強いね」


31 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/23(月) 18:00:52.94 ID:xfCxUAHg0
ハニー「私がここに来てから初めて顔を出してくれたけれど。あなたは今何をしてるの、リーマス?」

リーマス「地下に潜っているよ。文字通りに、同類と共にね」

ハニー「同類……チョコを作っていたり、するのかしら」

リーマス「あぁ、それはいい同士だ、うん。違う、『狼人間』たちさ」

ハニー「……まさか、スパイになっているの?」

リーマス「ご名答。だから君に手紙を送る事も叶わなかった、すまないね」

ハニー「それは、それは、いいわ。よくないけれど……どうしてそんな危ないことを!?」

リーマス「騎士団、おっと、君の豚団はみんな危ない任務をこなしているさ。何も私だけじゃない——大多数がヴォルデモート側の勢力である連中に取り入るには、私はお誂えむきだろう?」

ハニー「……巧く、行っているの?」

リーマス「芳しくはないね。ヴォルデモートが支配する世の中であろうと狼人間の地位が向上するわけではない、と、広めていきたいのが……グレイバックがいるかぎり、論駁するのは難しいだろう」

ハニー「グレイバック……?」

リーマス「……聞いたことがないのか?」

ギリッ

ハニー「……ご……ごめん、なさい」

リーマス「……!? ち、ちがうんだ、ハニー!あー、すまない!無意識に、その、睨んで、いや……ほ、ほら、チョコはどうだい……?」

ハニー「……強く握り締めた拳から唐突に出てきたチョコは、ちょっと遠慮したいわ」


32 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/23(月) 18:12:45.01 ID:xfCxUAHg0
リーマス「フェンリール・グレイバックは現存する狼人間で最も残忍な奴だ。出来るだけ多くの人間を、それも若いうちに噛み汚染することを自分の使命だと考えている」

ハニー「……そんなのが、あの黒豚の」

リーマス「そう。ヴォルデモートは獲物を与えることを約束した……それはもちろん、私達の社会では実現できるはずのないことだからね。子供のうちに噛み、親から引き離し、普通の魔法使いを憎むように育てあげる……娘や息子をグレイバックに襲わせるぞ、というのは、ヴォルデモートがよく使う脅しの手段だった」

ハニー「……」

リーマス「……そう、私を噛んだのも、グレイバックだ」

ハニー「!」

リーマス「父は、狼人間への反対運動をしていてね……皮肉なことだ、その息子が狼人間になるなんて。忌み嫌っていた、人の血を流すことを流儀とする奴らの同類に、私がなってしまったのだから」

ハニー「リーマスは普通の魔法使いだわ!同類なんかじゃ、ない!ただ、ただ、ちょっと——問題を抱えているだけで!!!」

リーマス「——」

ハニー「だから……」

リーマス「ッハハ、ッハハハハハハハハ!」

ハニー「? あの、どうして笑うのかしら……」

リーマス「いや、すまないね……ああ、やはり君はジェームズの子供だ。思い出したよ、彼が私のことを『ふわふわとした小さな問題を抱えているにすぎない、ただの甘党魔法使い』と言っていたのが。あぁ……ありがとう、ハニー」

ハニー「そう、パパが……ねぇ、そういえば……思い出したことがあるのだけれど」

リーマス「なんだい?シリウスは辛党だったよ」

ハニー「そうじゃなくて!    そのことは後でゆっくり、メモさせてもらうわ!」


33 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/23(月) 18:23:22.14 ID:xfCxUAHg0
ハニー「『半純血のプリンス』って呼ばれた人のこと、何か知らない?」

リーマス「半純血の……なんだって?」

ハニー「プリンスよ」

リーマス「……ハニー?君はどちらかと言えば、そうだな、『一番星のお姫様』とかの方がピッタリだと」

ハニー「そういう話じゃないの!もう! 私がもっている古い魔法薬の教科書が元々その人の持ち物で、そこに書いてあるものに随分と助けられから知りたいの。いろいろな呪文があったわ……『レビコーパス』とか」

リーマス「あぁ、あれは私の学生時代に大流行だったよ。五年生の時、ちょっと気を抜いていると踝から逆さづりにされる時期が……」

ハニー「——パパがその呪文を使っているのを、あの記憶の中で見たわ」

リーマス「……」

ハニー「……なんでもないのだけれどね。ただ、少しそんなこともあった、って、思っただけ。けれど、そうね。リーマスに、何か……」

リーマス「あぁ、分かるよハニー。だが、今言ったがあの呪文は随分流行っていたんだ。ジェームズだけでなく——」

ハニー「だって、それがあなたたちの時代に作られたものなら……!」

リーマス「ハニー、分かった。遠まわしな言い方はやめよう。ジェームズは間違いなく純血だ。それに、一度でも私達に自分を『プリンス』と呼ばせたことはないよ。何時だって彼は『プロングズ』だった。枝分かれの友、愛すべき鹿さ」

ハニー「……だって……」

リーマス「うん?」

ハニー「……パパ、っぽい、じゃない」

リーマス「………………あぁ、うん。否定は……しないよ?」


34 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/23(月) 18:30:21.74 ID:xfCxUAHg0
ハニー「パパでないのなら……シリウスは?ひょっとして、リーマス、あなたじゃ……」

リーマス「たしかにあの寝ぼすけもそういうキャラだけど、絶対に違う。満月に誓おう」

ハニー「……そう。その……少しだけ、そうだったらなって思ったの。助けられていたんだもの、そのプリンスに」

リーマス「どのくらい古い本なんだい?出版された年を確かめてみたら、何かヒントになるかもしれないよ」

ハニー「……考えたこともなかったわ」

リーマス「あぁ、人の思考というのは勝手だからね。一度決め付けると、中々確かな物を見過ごしてしまうものだ。私はそのせいで、十三年も——」

フラー「さっきの、あの歌?こーんなのでーす。ふーふふーん、ぼぉえ~~~~~♪」

モリー「」

アーサー「よーしみんな!明日はめでたいクリスマス!良い子は早く寝てプレゼントにそなえようそうしよう!」

ハニー「……お母様、般若顔だわ。リーマス、お話ありがとう。おやすみなさい」

リーマス「あぁ、私こそ。おやロン、中々めでたい髪型だね」

ロン「ゲホッ、ゴホッ、双子と、空気読めないだーれかさんのおかげでね!ヒンヒン!ハニー、行こうか!早くしないとママの雷が……!?は、ハーマイ鬼……あ、ちがうちがう、ママだっての!マーリンの髭!」


36 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/23(月) 18:44:40.21 ID:xfCxUAHg0

ロンの部屋

ロン「明日は君の豚どもからのプレゼントの山というか山脈でこの部屋が埋もれることだろうね!君の一番の豚として守りきるから安心してくれよハニー!ヒンヒン!」

ハニー「えぇ、そうね。たとえどんな困難な事態でも私の豚だもの、当然ね?」

ロン「ヒンヒン! ところでハニー、もうすぐ眠ろうってのに、その本を引っ張り出してどうしたんだい?何か、えーっと、呪いをかけられるようなら僕は眼を瞑って潔く受け入れるけど。そこの、なんだっけ?セクタムなんとかとか」

ハニー「そうじゃないわ、あなたはしっかりツリーの天使役をこなしたじゃない。むしろ褒めてあげるべき、そうでしょ?」フーッ

ロン「うひゃぁあぁぁ今から君の枕になるなんていう光栄さも受け取れるのに僕ときたら明日の朝には冷たくなってるんじゃいやそうに違いなキャノンズが1失点キャノンズが2失点……!!!」

ハニー「……教科書の、発行年月日」

パラパラッ

ハニー「……五十、年前」

ハニー「……ハーッ。おおはずれ、ね。薄々分かってはいた、けれど」

ボフッ

ハニー「ロン、腕。もう寝るわ」

ロン「! ひ、ヒンヒン!おやすみハニー!」

ハニー「えぇ、おやすみなさい。なんだか考えることが多いもの……あまりいい夢は見られそうにないけれど」

ロン「何言ってんのさハニー!君の豚は夢にまで出張残業大歓迎だよ!」

ハニー「……ふふっ、いい心がけね……」

ハニー「……」

ハニー「……スーッ」

ロン「……眠りのスイッチが子供レベルで早いハニーマジハニー」

ロン「さぁて、ここからが長いぞ……一番豚の夜は、キャノンズとシーカーが最悪のコンディションなチームとの試合くらい長いんだ」

ロン「キャノンズが3失点、キャノンズが4失点……」

ロン「……」

ロン「明日……ハーマイオニーは、プレゼント……」

ロン「……キャノンズが5失点!キャノンズが6失点!!!キャノンズが!!!」

ハニー「——ロン」

ロン「ヒンヒン!なんだい、ハニー!」

ハニー「外に降る雪で、キャノンズの前シーズン敗退シーンの雪像を作ってくれば、どうかしら」


37 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/23(月) 18:46:07.45 ID:xfCxUAHg0
導入ってことで今日はここまで
続きは間があいて土日。おそらく今後はそんなペース
ノロノロだがすまん
じゃあの!

50 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/28(土) 23:36:54.98 ID:i25+8aM60
待たせて申し訳ない
続きは明日の日曜朝10時から

54 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/29(日) 10:58:44.30 ID:f7F2BRHh0
再開

56 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/29(日) 11:12:20.56 ID:f7F2BRHh0

ロン「なんだよこれ……まったく、僕がこんなもん欲しがるなんて、本気で思ってるなら……」

ハニー「んっ……んん……にゃにごと、なの……ロン……」

ロン「! おはようハニー!ヒンヒン!起こしてごめんよそれであぁ急で悪いけど僕ほんとちょっとトイレに行ってからでいいkヒンヒン!!!!」

ハニー「後にしなさい、このわたし、私が目覚めたっていうのに……んん……」

ロン「まったくだよねハニー君の目覚めなんてそのまま今日と言う日がようやく始まったに等しいいあぁ君ってほんと朝日みたいなすばらしさだよな!まったく!」

ハニー「……うるさい」

ロン「ごめんよハニー!ヒンヒン!」

ハニー「……ふぁ……それで、朝からなにかぼやいていなかった、かしら?」

ロン「あー、うん。ちょっとね……」

ハニー「もったいぶる豚は嫌いよ」

ロン「ヒンヒン! いや、そのさ……これ、見てくれよ」

ジャラッ

ハニー「あら、なぁにそのペンダント。金色でステキ——」

『わたしの——愛しい——ウォンウォン』

ハニー「……ラベンダーから、かしら?」

ロン「ご名答……僕がこんなもの着けると思ってるのかな、あいつ!」

ハニー「そうね、あまりいい趣味とは言えないわ……自分の持ち物みたいに、人にそういうものを着けさせるなんて」

ロン「まったくだよ!!!! あ、そういえばハニー!」

ハニー「なぁに?」

ロン「首輪用に鈴をありがとう!!ヒンヒン!あっという間にクリスマス使用のトナカイ豚にはや代わりさ!」

ハニー「えぇ、そうね。あなたはこの私の豚だもの、日々に合わせて私を楽しませる、そうでしょ?」

ロン「ちがいないよ! ったくそれにしても、ラベンダーは何考えて……」

エロール「ケェーーーヒンッ!!」ガシャンッ!!!

ロン「うわぁっ!?え、エロール!?君、窓に突っ込んで何してんのさ!?ツッコミ、不在……?何言ってんだよヒン語でもわけわからないなまったく!マーリンの髭!」


60 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/29(日) 11:24:41.84 ID:f7F2BRHh0
ハニー「ラベンダーったら、ほんと……そういうことをしそうな子じゃなかったと思うけれど。恋は盲目ね」

ロン「少しは目を見開いてほしいね、ほんと。普通の感覚してたら、こんなもんを人に送りつけるかい?」

ハニー「あなたが前にそういうものが欲しい、と言ったのではないのかしら」

ロン「うーん、覚えがないなぁ。というより、僕、ほとんどラベンダーと話をすることってないもんな」

ハニー「あぁ、そうね……」

ロン「そういえば誕生日も知らないよ、うん」

ハニー「……私のは?」

ロン「ヒンヒン!当たり前さ僕ぁ君の一番の豚だぜ!?7の月が終わるとき!!もちのロンでね!!」

ハニー「……ハーマイオニーは?」

ロン「9月の19日、だっけ?」

ハニー「……それで、ラベンダーは」

ロン「知らないなぁ……」

ハニー「……わたし……なんてことさせてるのかしら」

ロン「ヒンヒン!どうしたんだいハニー!落ち込む君ももちのロンステキだけどね!」

ハニー「知ってるわ」


63 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/29(日) 11:38:47.74 ID:f7F2BRHh0
ハニー「……私のほうにも、プレゼントがたくさんね」

ロン「全世界へ愛情を振りまきそしてその全てが億倍で返ってくる君だからね」

ハニー「億?まだ足りないと思うけれど」

ロン「ヒンヒン!君にかかれば不可思議レベルに愛情溢れっちまうってわけだねハニー! 開けてみなよ、僕のほうもこの金色ケバケバよりはマシなものがあるといいな……女の子になる薬とか」

ハニー「えぇ、そうね。そうすればあなたも少しは……あら、ハーマイオニーからだわ」

ロン「あぁ、へぇ……大長編な手紙に、それは……」

ハニー「……お菓子の詰め合わせね、えぇ。ずいぶんたくさん」

ロン「……HAHAHA!今年は、ほら!僕に買う分がなかったから盛大に買ったんだろうね、うん!そりゃ、君にはいつだって盛大すぎるくらいに貢ぐのは豚の勤めだし義務だけどさ!!HAHAHA!」

ハニー「……私が甘いお菓子をそんなに食べないと言うことは、ハーマイオニーに限って忘れるはずがないけれどね」

ロン「そういえば!なんだよハーマイオニーのやつ!マーリンの髭!」

ハニー「そうじゃなくて……あなた、ほんと、普段は過ぎるくらいに察しがいいのにどうしてこう……」

ロン「なんだい?君が聖マンゴにたっくさん写真とかなんとかを送ったことならそりゃもうもち痛い!!ありがとうございます!!ヒンヒン!!!」


64 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/29(日) 11:48:44.93 ID:f7F2BRHh0
ハニー「『……ベッタリ見せ付けるどこかの誰かさんたちがいなくって、こちらはゆっくり冬休暇をすごしています』ですって」

ロン「はっ、な、なんだよ!僕にだってこう、イチャイチャする権利はあるぞ!髭が固い監督生さんはこれだからマーリンなのさ」

ハニー「ハーマイオニーに髭はないし、髪の毛はふわふわよ彼女は……そうね、城に戻ったらハーマイオニーと私で見せ付けることにしなくっちゃ」

ロン「よろしく、どうぞ……えーっと、そういや。まったくもって関係ないしどうでもいいし本当ならこんなくだらない話題を君というくだりまくる存在に振ることじたい僕にとっちゃ屠殺ものなんだけどさ」

ハニー「なぁに?言いたいことははっきり、豚ならばね」

ロン「ヒンヒン!えーっと、ほら。ナメクジじいさんのパーティじゃ、ハーマイオニーはほら、あのマクラ野郎とどうだったんだい?」

ハニー「……」

ロン「奴さん、アレだからね。ほら、ハーマイオニーも、見せ付けてたんじゃ……」

ハニー「……そうね、そういうことはしようとしていたみたい」

ロン「……ちょっとママに吼えメールの出し方を」

ハニー「けれど、ハーマイオニーはあしらったようだったわ。うまくいきっこないわよ、あんな人と……わたしのハーマイオニーは」

ロン「!そりゃいいや!ヒンヒン!あぁハニー!なんだろうね嫉妬しちまう君もほんとステキだねヒンヒン!」

ハニー「あなたの場合は面倒ね自覚もないのでしょうけれど……確か、蹴り上げた、と言ってたわ。マクラーゲンのこと」

ロン「……Oh」

ハニー「その後なにかおかしなことも口走っていたけれど。まったく、あの人……」

ロン「……マクラーゲンは許した」

ハニー「?」

ロン「こっちの話だよハニー、君って最高だよな」

ハニー「知ってるったら」


65 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/29(日) 12:03:54.01 ID:f7F2BRHh0
ハニー「お母様からは、スニッチの刺繍がされた赤いセーター……あたたかいわ」

ロン「僕は例年通り豚のマークだ。さすがママ、わかってるぜ……そっちの、双子からの箱は僕があけるよハニー。何が飛び出すかわかったもんじゃないや」

ハニー「えぇ、そうね。きっとWWWの商品だとは思うけれど……あら?」

ロン「——ウェッホ、ゴホッ、ウェッ、あいつらちっくしょ、口の中にマーリンの髭が、ゲホッ、生えてくる煙なんて、よくもハニーに、いや、僕がゴホッ、代わりに開けること見越して、ゲホッ、マー、髭!ウェッ! うん?なんだいハニー……その黒い箱」

ハニー「……クリーチャーから、だわ」

ロン「……おったまげー。あいつ、いつの間に豚に」

ハニー「そうじゃないと思うわ。それは、私の前に跪くのは命あるものすべての義務だけれど」

ロン「あぁ、だからこうやって僕は君を背中に乗せながらマー髭を口から抜き取ってるわけだしねありがとうございます」

ハニー「クリーチャーは、あの屋敷と一緒に私が相続したのだもの……でも、彼?に何か送るだなんてこと、考えてもなかったわ……」

ロン「それこそ全人類だと思うね、僕ぁ。ハニー、それこそ開けないほうがいいんじゃないかな」

ハニー「そうはいかないわ。どんな形にしろ、私に送られた愛情だもの」

ロン「君って全身の水分が涙に変わっちまうくらいやさしいよね知ってるけど」

ハニー「えぇ、そうね。それにこの箱……黒いじゃない?」

ロン「……うん」

ハニー「きっと、悪いものではないと思うけれど」

ロン「…………ハニー」

ハニー「なぁに?」

ロン「………………僕、髪、黒く染めようかな」

ハニー「その赤毛はあなたたち家族の誇りでしょう?」

ロン「ヒンヒン!」


66 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/29(日) 12:29:32.62 ID:f7F2BRHh0
厨房

モリー「メリー・クリスマス!ロン、ハニー!」

ハニー「……メリー・クリスマス、お母様」

ロン「……メリー髭、ママ」

フレッド「おいおいおい、どうしたお二人さん。まるで敗れに敗れてチームのモットーが『勝つぞ!』から」

ジョージ「『祈ろう、なにとぞ上手くいきますように』に変わっちまったキャノンズチームのような面して」

ジニー「しおらしいハニーステキ!」

フラー「オッオー、ハァニー?わかりまぁーす。わたーしも、きのうのおかーしな歌があたまに残って——」

モリー「ウォッホン! どうしたって言うの?何か、おかしなプレゼントでもあったかしら?魔法省の検査を通しているから、そんなはずはないと……」

ロン「……それじゃクリーチャーのやつ、どうやってあんなもんを」

ビル「フラー、その話はやめろって言ったろ?——クリーチャー?あいつがどうかしたのか?」

ハニー「……彼?からのプレゼントの箱の中に……蛆が、山ほど」

ジニー「……ちょっとホグワーツの厨房にこうもり鼻くその雨をふらしてくるわ」

フレッド「手伝うぜ我が妹よ、全く、人の嫌がることはしてはいけないと習わなかったのかねぇ!」

ジョージ「奴さんによーく教えてしんぜようじゃぁないか。子供でも知ってるその掟というのを!」

ハニー「どの口が言ってるの……いやなものを見たわ。本当、クリーチャーはどうやって……」

リーマス「妖精の呪文は、私たち魔法使いが使うものとは種類が異なる。おそらく彼はここに、直接持ってきたんだろう……ほら、ハニー。そういう時はこれに限るよ」

ハニー「……リーマス。ずいぶんとチョコのストックが増えたようね」

リーマス「どうやらみんな、私に送ると言えばそれしか思いつかないようでね。ありがたいよ、本当に」


69 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/29(日) 12:52:20.41 ID:f7F2BRHh0
ハニー「お母様、ずいぶんステキなものをお召しね?」

ロン「僕の首輪ほどじゃないけどさ。どうしたのさそのダイヤがきらきらな三角帽に……どこかの何かと違って趣味のいい金のネックレスは」

モリー「フレッドとジョージがくれたのよ! きれいでしょう?」

フレッド「あぁ、ママ……僕らはママにますます感謝してるのさ、うん」

ジョージ「自分たちでソックスを洗うのが、あれ程までに苦痛だとはね」

ビル「あぁ、わかるよ……あっちで一人暮らしをはじめてから、ママの杖さばきがどれだけ巧みだったか実感したものさ」

フラー「かーじの魔法は、繊細でーす!わたーしや、ハァニー?あなたくらいでないといけませーん」

ハニー「えぇ、そうね。家事は得意だわ、魔法でやったことはないけれど」

フラー「あの、とーんくすもダメダメでーす。いつもぶつけてばかり——」

モリー「ウォッホン!そのトンクスですけどね! 今日も招待したのですけど、来れないのよ……リーマス?最近あの子と会いました?」

リーマス「いや、ご存知の通り私は最近誰とも接触していないよ……でも、ほら。彼女には一緒にすごす家族がいるだろう?」

モリー「……そうお思い?え?」

リーマス「……あぁ、そう思うね」

アーサー「モリー、モリー。母さんや、すごむのはやめなさい、ほら、リーマスもだが、ほら、家族みんながすくんでしまうじゃないか?モリウォブル?」

フラー「オッオー、オーガでーす!」


70 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/29(日) 13:27:27.16 ID:f7F2BRHh0
ハニー「トンクスと言えば……ねぇ、リーマス。あなたは守護霊の専門家よね?」

リーマス「あぁ、そう呼んでもらえると鼻が高いよ。どうしたね?君の守護霊のことは、まぁ、規格外だから参考にならないと思ってほしいけど」

ハニー「そうじゃなくて。あのね、トンクスの守護霊が変化したそうなの……今学期の始めに、スネイプが言っていたわ」

リーマス「……ふむ」

ハニー「そんなことがあるなんて、思ってなかったけれど……どうして変わってしまうの?」

リーマス「あぁ、そうだな……時には、強い衝撃……それに、あー……精神的な、動揺とか」

モリー「精神的な同様!!ホーーー!ヘーーーェ!?」

アーサー「ほらモリー落ち着いて、ほら、私もいい加減にしろこのチョコ魔めとは思うがね、ほら、外のロンが作った雪像でも眺めておちつくんだ」

ロン「僕ぁ自分で作っておきながらあれ見てると涙が出てくるけどさ……あれ?」

モリー「まったく、ロナルド。どうしてあんなもの…………まさか」

ハニー「私が頼んだの、お母様。見逃して……あら?誰かが、庭の端に……でもここは今、魔法省の保護が……」

モリー「あぁ——あぁ!そう、そうね!そんな中に入ってこられるのは、私たちのお客様か——魔法省の、方、くらい——あぁ!!アーサー!!!パーシー!パーシーだわ!!」

アーサー「なんだって!?」

モリー「あぁ、それに!後ろにいらっしゃるのは……大臣!?パーシー!なんて立派に……!」

ジニー「……」

フレッド「……」

ジョージ「……」

ロン「……」

ハニー「……」

ザクッザクッザクッ

ガチャッ、キィィィィッ

パーシー「……あー……お、お母さん。メリー・クリスマス」

モリー「あぁ、パーシー、パーシー!!」

パーシー「うわ!あ、はは……母さん、その、飛びつかなくっても、その……」

フレッド「あぁ、まったく、そのまま締め殺しっちまえばいいのにな」

ジョージ「見ろよあの面白くない額縁眼鏡、くそ食らえだなまったく」

ハニー「……一応、感動の再開なのだから邪魔しないの。それで……パーシーのあとから、入ってきたのが」

「——突然お邪魔して、申し訳ありません」

ハニー「……ルーファス・スクリムジョール……新しい、魔法省大臣」

スクリムジョール「パーシーと二人で近くによりましてね——もちろん、仕事で。彼が、どうしても、なんとしてもみんなに会いたい、そう言って仕方のないものですから。まったく、家族想いの部下をもつと苦労しますよ」


71 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/29(日) 13:49:03.96 ID:f7F2BRHh0
モリー「あぁ、パーシー、パースちゃん……!」

パーシー「は、はは、パースはやめてよ、お母さん……」

ロン「……家族に会いたいって言ってた、って割には、僕らの方をこれっぽちも見ようとしないけどね」

ハニー「……今度はお父様と、双子の表情が穏やかじゃないわ」

アーサー「……リーマス、すまないが私の杖を預かっていてくれないか。あと、もしもの時のために君が杖を抜いておいてもらえるとありがたい」

リーマス「……あぁ、任されたよ」

フレッド「……ヒキガエル形の縁にして」

ジョージ「いやむしろカエルそのものを」

モリー「あぁ、なんていい日なんでしょう!さぁ、大臣!どうぞお入りになって!なにか召し上がってくださいな!七面鳥とか、そう!パーシー、あなたずいぶんとやせたわ!さぁ、母さんの料理を——」

スクリムジョール「いえいえ、あー、モリーさん?」

ハニー「……ここに来る前にパーシーから聞いておいたのね」

スクリムジョール「団欒をお邪魔したくありませんのでね。パーシーが、どうしても、みんなに会えないのならば年末の書類をすべて暖炉の火にかけてやる!と言い出して聞かなかったものですから」

モリー「あぁ、パーシー!!そこまで!!そこまでして!!」

パーシー「は、はは……あの」

アーサー「……あんなことがあっても私は魔法省を離れるつもりはなかったのだけどね。今猛烈に切り捨てたくなってきた今の職を」

リーマス「うらやましい立場だよ私からみれば、落ち着くんだ」

スクリムジョール「さて、さて。積もる話もあるでしょう、私はステキな庭を散歩していましょう……面白い雪像もあるようだ。誰か、庭を案内してくださる方は……おっと、そちらのお嬢さんは、どうやら皿が空のようで」

ハニー「……」

スクリムジョール「ご一緒に散歩はどうですかな?」

ハニー「……この」

ロン「ガツガツガツガツムシャムシャ!ほらよ!僕の皿も空っぽだこのライオン髭!案内してやるからついてこい!マーリンの髭!!!!」

ハニー「いいわ、ロン。大丈夫。えぇ、大臣——ステキな散歩と、行きましょうか」


72 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/29(日) 14:15:33.31 ID:f7F2BRHh0

スクリムジョール「……ユニークな雪像だ。これは、あー、クィディッチの?」

ハニー「……チャドリー・キャノンズの選手たちよ」

スクリムジョール「なるほど。あぁ、なに。私も人並みにクィディッチは好きなのだがね。つい先日までは闇払い局の局長、今はなんとまぁ魔法省大臣なんてものをしているせいで、最近リーグ戦のひとつも見ていない……」

ハニー「……」

スクリムジョール「……君は聡いとの話だ。ごまかすのはやめよう。ずいぶんと前から君に会いたかった、そのことは知っていたかね?」

ハニー「私と会い見えたいと願うのは誰だってそうだと思うけれど」

スクリムジョール「あぁ、何せ君は時の人だ、そうだろう?しかし……ダンブルドアが君を、しっかり保護していた」

ハニー「……私のできる豚だもの」

スクリムジョール「当然だ、もちろん当然だ。魔法省であんな出来事があったあとなのだから……だが、大臣職についてからずっと君に面会する機会を望んでいた私の訴えまで、すべて妨げることはない」

ハニー「……」

スクリムジョール「あぁ、ダンブルドアの言い分もわかる、守らねばならない事情も理解している——だが、現に今!噂は飛び交っているのだ!それを私自身が確認せずにどうしろというのだね?」

ハニー「……」

スクリムジョール「当然、こういう話には尾ひれがつく。私とて、すべてを頭から信じ込んでいるわけではない——予言の囁きだとか、君が」

ハニー「高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的で家庭的で模範的だ、って」

スクリムジョール「それも何度か聞いたが——『選ばれし者』だとか、いうことだ」

ハニー「……」


73 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/29(日) 14:37:24.92 ID:f7F2BRHh0
スクリムジョール「君は、このことについて——ダンブルドアと、話し合ったのだろうね?」

ハニー「……えぇ、まぁ。そうね。私の話をするのは、あの豚にとっても光栄なことでしょうもの」

スクリムジョール「それで——どんなことを?」

ハニー「それを、あなたに教えるつもりはないわ。二人だけの秘密なの、生憎だけれど」

スクリムジョール「……」

ハニー「……」

スクリムジョール「……あぁ、もちろんだ。そうだとも、秘密ならなにも無理に君に明かして欲しいとは思わない」

ハニー「……(親しげな口調は、まだ。崩れないわね)」

スクリムジョール「いや、いや、誤解しないで欲しいのだがね……しかし、いずれにしてもだ。君が『選ばれし者』であろうとなかろうと、たいした問題ではない。そうだろう?」

ハニー「……」

スクリムジョール「そうは思わないかね?」

ハニー「……おっしゃる、意味が。分からないわ。どういうこと?」

スクリムジョール「つまりだね——あぁ、そうだろう。君にとっては、大した問題なのだろうが、ハハハッ」

ハニー「……」

スクリムジョール「実際のところ真偽はどちらでもいい。重要なのは認識の問題だ——魔法界全体が、君を——英雄だと信じている! このことが、問題なのだよ」

ハニー「……そう。なんとなく、話が見えてきたわ」

スクリムジョール「選ばれていようがいるまいが、君は一体これまでに何度『名前を呼んでは——」

ハニー「ヴォルデモート」

スクリムジョール「!——その人と対決してきたことだろう!とにかく、要するに。ハニー、君は多くの人たちにとっての希望の象徴なのだ」

ハニー「当然ね、この私の美しさをもってすれば。あの黒豚のことなんて関係ないわ。この、私だもの」

スクリムジョール「あぁ、一部の人間にとってはそれもあるだろう。しかし、そう。『あの人』を破ることができるかもしれない、そう運命づけられているかもしれない!——君のそういう可能性こそが、人々を元気づける、高揚させることができるのだ」

ハニー「……」

スクリムジョール「どうだろう——魔法省は君に協力できる。人々の不安を晴らし、気持ちを和らげるために——そう、このことに気づけば君も、これこそ君の義務だと考えるようになるだろう。私はそう、確信して——」

ハニー「私が。魔法省のために仕事をしている。そういう風に人々に印象を与えたい、そういうこと?」

スクリムジョール「あぁ、なるほど!噂通り、聡い子で助かるよ」


74 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/29(日) 14:49:06.55 ID:f7F2BRHh0
スクリムジョール「たとえば、時々魔法省に出入りする姿を見せてほしい。そう、そのときは私がアトリウムまで出迎えよう」

ハニー「……」

スクリムジョール「それにもちろん、闇払い局の新しい局長ガウェイン・ロバーズとも話ができる。そう、人々に私たちが深く互いに関与していると思ってもらうのだ。そしてそれは、今後実現するものと期待しているよ」

ハニー「……」

スクリムジョール「あぁ、ロバーズと言えば。ドローレス・アン……ウップ……アンブリッジが教えてくれたのだね。君は、闇払いになりたいという志を少なからず持っている、と?」

ハニー「!」

スクリムジョール「もちろん、そう。それは——いとも簡単にかなえることができるだろう。私を誰だと思っているね?」

ハニー「少なくとも、私の豚たる人材じゃないわ……あの人……あの女蛙は、まだ……」

スクリムジョール「どうだろう、ハニー。散歩のついでに、これから共に魔法省へ——」

ハニー「お断りするわ」

スクリムジョール「そうだろう!お断り!では、パーシーをすぐ……………は?」

ハニー「魔法省になんて、この私の美しさできらめく髪の毛の先も入ってやらないと言っているの。冗談はやめて頂戴。魔法省に出入り?それじゃ、まるで私があなたたちのやろうとしていることを認めているかのようじゃない」

スクリムジョール「は、あ?あぁ、まぁ、そうだ。それもひとつに、は我々の望むことで——」

ハニー「無実のスタン・シャンパイクを。私のかわいい車掌豚を監獄に入れているようなあなたたちとは。絶対に上手くいくはずがないと思うけれど」

スクリムジョール「————君に理解してもらおうとは思わない。認めるだけでいいのだ」

ハニー「あらあら、ダメね。自分を隠すのがずいぶんと下手みたい、あなた。この私を少しは見習えばどうかしら」


75 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/29(日) 15:06:09.64 ID:f7F2BRHh0
スクリムジョール「今は危険なときだ。何らかの措置をとる必要がある。そう、措置をとっていると人々に感じてもらうことこそが重要なのだ。この判断は、君のような十六の小娘に——」

ハニー「あきれた、歳をとっていることしか自慢できないの?それじゃ、ダンブルドアはどうなのかしら。ダンブルドアはとっくに十六を超えているけれど、スタンをアズカバンに送るべきではないと言っているわ」

スクリムジョール「……」

ハニー「あなたは。あなたたちはスタンを犠牲者に仕立て上げて。それで今度は私をマスコットに祭り上げようとしてる」

ハニー「冗談じゃないわ。この私を崇め奉り崇拝するのは当然のことだけれど。どうしてあなたたちの思惑の上だなんて、すわり心地最悪なものの上に立たないといけないの」

ハニー「生憎と私には居心地のいい場所と、すわり心地のいい出来た豚と、柔らかいて良い匂いの抱きしめるものと——いつだって心を照らすお星様があるの」

ハニー「あなたたちなんていらないわ。お帰りいただける?」

スクリムジョール「……」

ハニー「……」

スクリムジョール「……そうか、君はむしろ——ダンブルドアと同じに——魔法省から分離することを選ぶわけだな?」

ハニー「利用されるのはまっぴらよ」

スクリムジョール「私たちに利用されるのは君の義務だという者もいるだろう!」

ハニー「私に義務の話をするのならば、監獄に入れる人間を本当に死喰い人なのか調べるあなたたちの明確な義務を果たしてからにしていただけないかしら」

スクリムジョール「っ」

ハニー「あなたたちはいつも間違うわ。いつも、いつも!バーティ・クラウチのように自分の正義を振り回して一番守るべき人たちを守らなかったり!かと思えばファッジのように目と鼻の先で起こったことに知らぬ存ぜぬを決め込んだり!今度はあなたのようにお門違いの人間を牢獄に入れて、『選ばれし者』なんてものを利用しようとしてる!」

スクリムジョール「では、君は『選ばれし者』ではないのか?」

ハニー「どうだっていいでしょ!あなたも言っていたじゃない、どっちにしろ大した問題じゃない!ちがう?」

スクリムジョール「——失言だった。君の気持ちを考えない、まずい言い方で」

ハニー「謝ることないわ、許してあげる。えぇ、あなたがここで私に語ったことで、数少ない正直な言葉がそれね。私がどんな運命にあろうが、私が死のうが生きようがあなたには関係ない。とっても正直だわ!だから私も、正直に答えてあげる!」

ハニー「『私は嘘をついてはいけない』!これはあなたの大事な部下の蛙さんが、去年私に刻ませた言葉でしょ!?」

スクリムジョール「き、刻む?どこに……」

ハニー「それ以上言うと私の一番の豚がひどいわよ」


77 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/29(日) 15:20:28.70 ID:f7F2BRHh0
ハニー「ヴォルデモートの復活を私がみんなに教えようとしたとき、あなたたちが私にしたことを私は忘れてないわ。魔法省は去年、こんなに熱心に私に擦り寄ってこなかった」

スクリムジョール「……」

ハニー「恥を知りなさい。さぁ、かえって。このステキなおうちに、あなたのような豚いかな人間がいるなんて我慢ならないわ」

スクリムジョール「……ダンブルドアは何をたくらんでいる」

ハニー「あきれた。また、ダンブルドアを悪役にするつもり?ヴォルデモートっていう明確な敵がいるのに、そうまでして?」

スクリムジョール「っ、ちがう! ホグワーツを留守にして、ダンブルドアは一体何をしているのだ!」

ハニー「知らないわ」

スクリムジョール「……知っていても、私には言わないのだろうな。違うかね?」

ハニー「えぇ、そうね」

スクリムジョール「さて、それなら——またほかの手立てを探ってみるほかないということだ」

ハニー「やってみればいいわ。けれど、あなたはファッジより賢そうだから分かっているはずよ」

スクリムジョール「……」

ハニー「ファッジはホグワーツに干渉しようとした。結果、ファッジはもう大臣じゃないけれど、ダンブルドアは校長のまま。あなたがその椅子に少しでも長くしがみついていたいのなら、ダンブルドアに手出ししないほうがいいわ」

スクリムジョール「……………」

ハニー「……」

スクリムジョール「なるほど、よくわかった。ダンブルドアは君をずいぶんと手なずけたようだ」

ハニー「……」

スクリムジョール「骨の髄までダンブルドアに忠実だな、ポッター。え?」

ハニー「私はむしろ————いいえ」

ハニー「そうよ。私は……わたしは、ダンブルドアを信じてる。さよなら、大臣」

ハニー「今にパーシーがほっぽりだされるから、それをもって帰るのも忘れないで頂戴——」

バーーーーンッ!!!

パーシー「いたいっ!!やめっ、やめ、あぁああああ僕の眼鏡、眼鏡があったとこがなにかヌルっとしてるぅううううう!!」

フレッド「やぁやぁお似合いじゃないか石頭にとっても栄えてるぜまったくさ!とっとと出てけ蛙眼鏡が!!」

ジョージ「大事な蛙上司にかわいがってもらえよ完璧・パーフェクト・パース坊や!!式には呼ぶなよな!!」

スクリムジョール「……使えない男だ」

ハニー「ロン。あの人、私のスカートの中に以上に興味を示したのだけれど」

ロン「ヘイ大臣、クーデターって知ってるか?」


81 : ◆GPcj7MxBSM 2013/09/29(日) 15:28:40.06 ID:f7F2BRHh0
一章分進んで区切りがいいので今回はここまで
続きは来週日曜同じ時間
じゃあの!

92 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/06(日) 16:30:13.62 ID:atRsdQxn0
一月

ロン「ハニーと過ごす夢のような休暇がもう終わりだなんてなぁ。まぁ、ハニーが居ればいつだって夢見心地なのはいつものことだけど」

ハニー「えぇ、そうね。完全無欠な夢なこと間違いないわ、そうでしょ?」

ロン「ヒンヒン!君がいるなら現実も捨てたもんじゃないよね!パーフェクトさ!」

モリー「パーフェクト……パー……パーシー……うぅっ、うぅぅぅ」

ジニー「あー……ママ?ほら、泣かないで。はい、ハニー色のハンカチ」

フレッド「おいおいロナルド坊や、迂闊なことは言わないでやれよな。ママときたら」

ジョージ「あのむかっ腹の立つ出来事以来『パ』の字を聞いただけで涙涙なんだから」

ロン「あー、あのさぁママ。あんなバカヤロ、いない方が清々するじゃないか?」

フレッド「ところでジニー、ピグミー『パ』フのアーノルドはどうしてる?元気か?」

ジョージ「あいつらは『パ』ーフェクトな売り上げでね。うちの主『パ』ワー商品さ」

モリー「……うぅうううう」

ジニー「アーノルドを鼻につめてやるわよ!?」

ハニー「くだらないことを言う暇があるのなら、荷物を運ぶのを手伝ったらどうかしら、二人とも?」

フレッド「おっと、そうはいかないねハニー。僕らは君の豚じゃないし、今年はただでさえ楽してるじゃないか?」

ジニー「まったく、羨ましいよな。特別措置で今回だけ、『煙突飛行』でホグワーツまでひとっとびだなんてさぁ」

ロン「豚的にはハニー色の特急に、ハニーのクッションになって乗れないなんて悪夢みたいなもんだけどね。マーリンの髭!」


94 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/06(日) 16:45:37.87 ID:atRsdQxn0
ハニー「『煙突飛行』……私はあまり、これ、好きではないけれど」

ロン「そうだねハニー。いつぞやは失敗しちゃってひどい目に痛い!ありがとう!」

ハニー「失敗?何を言っているのかしら。あの時のことがこの夏、ドラコが何か企んで居るということに気づく手がかりになった、そうでしょ?」

ロン「ヒンヒン!あぁ、君の行動全てに意味があるよねハニー!ハニー語録はそのままハニーの人生記だよ!ヒンヒン!」

ハニー「しっかり記録していなさい、えぇ。それで……でも、これってとっても便利よね?どうしていつもこの方法じゃないのかしら」

ロン「そりゃハニー、生徒の中に前の君みたく失敗しちまうやつがいたらめんど痛い!!ありがとう!!!」

ハニー「しつこい豚は嫌いよ、ロン」

フレッド「まがい物の煙突飛行粉を使って、ケツの半分が消えっちまったバカの話もあるしな」

ジョージ「あぁ、それに、どこぞの豚みたく腕だけあっちに送る羽目になるかもしれないしな」

ジニー「確実に安全に移動するには特急が一番ってことね。流石ハニー色の特急、流石ハニー。女神」

ハニー「知ってるわ。それじゃ……お母様、えぇっと。泣き止んだかしら?」

モリー「ぐすっ、ぐすっ、あぁ、ハニー。お願いよ、いい子にしていてね?危険なことをしないで、いい……?」

ハニー「……当然じゃない。お母様、私、静かな生活が好きだもの。知っているでしょう?」

モリー「ぐすっ……あぁ、そうねぇ」

ロン「ヒンヒン!」

ジニー「ヒンヒン!」

花火<ヒンヒン! バチバチバチバチバチバチバチ!

モリー「騒がしくて、火花が散るような中でも、あなたなら、えぇ。いい子でしょうとも……ハニー、元気で」

ハニー「えぇ。お母様も……フラーと仲良くね?」

モリー「…………」

ハニー「仲良く、ね?」

モリー「……煙突飛行粉一袋分くらいは」

ハニー「……2シックルって」


95 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/06(日) 16:57:15.30 ID:atRsdQxn0
ホグワーツ

マクゴナガルの部屋

グルグルグルグルグル……

ストッ

ハニー「ケホッ、ケホッ……相変わらず、いい気分では……こんばんは、マクゴナガル先生」

マクゴナガル「こんばんは、ポッター。灰をあまり落とさないように」

ハニー「えぇ、そうしてさしあげるわ。先生、ハーマイオニーはもう戻って居るのかしら」

マクゴナガル「二時間ほど前に……互いに一番最初に聞く事がそれとはまったく、寮生の仲がいいことは大変よろしい。ですがポッター、もっと他に——」

ハニー「……ハーマイオニーも、私のことを?」

マクゴナガル「……えぇ、そうですとも。後に出てきたウィーズリーと一緒に、早く会いに行きなさい」

ハニー「一緒、は難しいかもしれないけれど」

マクゴナガル「一緒に、です。いいですか、ウィーズリーとグレンジャーのことで頭を悩ませているのが、あなただけだとおもっているのなら——」

グルグルグルグルグル

ストンッ

ロン「ゲホッ!ゲホッ!なんか右腕がうずく!ゲホッ!あぁハニーさっきぶり!君の目の色と同じ炎に包まれるなんてほんと豚でよかったよな!」

マクゴナガル「ウィーズリー、寮監への挨拶を怠るならば、目ではなく髪の毛の色の方を見舞いますが?」

ロン「先生、僕に取っての優先順位が『ハニー>>>>>>>人類が到達できる限界>>>>>>>>その他』なのは、何もいまに始まったことじゃないじゃないですかこんばんは」

マクゴナガル「そのブレなさをもっと別の方向にお向けなさい」


96 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/06(日) 17:22:35.79 ID:atRsdQxn0
廊下

ジニー「こっちは凄い雪ね。校庭がハニーの完璧純真無垢な心みたいに真っ白」

ロン「色んな意味で黒くなりそうなのが昨今の困りどころ痛い!ありがとう!」

ハニー「なんのことを言っているのかしら、まったく……校庭の端で、ハグリッドがバックビークに餌をやってるわね。後で会いにいかなきゃ」

ロン「そりゃハグリッドの奴、自分であの餌を食べだすくらい喜ぶぜ!」

ハニー「えぇ、そうね。私を前にすれば喜びで前後不覚になることも当然だもの、そうでしょ?」

ジニー「だからなのね、ハニーが人知を超えて天使どころか女神に見えちゃうのって」

ロン「あぁ、けどそりゃ紛れもない事実だから仕方ないよな」

ハニー「知ってるったら」

ハーマイオニー「……久しぶりに聞くと、本当、頭痛がひどくなるレベルの会話よね」

ハニー「! ハァイ、ハーマイオニー」

ハーマイオニー「こんばんは、ハニー。それにジニー。いいクリスマスだった?」

ロン「あぁ、そりゃもう。おっどろきだよ、パースにスクリム——」

ハーマイオニー「ところでなんだか廊下に無駄に影をつくる図体だけの物体があるのはどうして?」

ロン「」

ジニー「……挨拶をされていない時点で気づくべきだわ、ロン」

ハニー「……」

ハーマイオニー「図体と言えば、ハグリッドに会ってきたわ。私、あなたに送るものを悩んでいたら彼にクリスマスプレゼントを贈るのを忘れてしまっていて。あなたに会いたいって言って……きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうね。豚の心理として私に会い見えるのは当然のことだけれど、私に本当に会いたかったのは誰かしら?ねぇ、ハーマイオニー……私に甘いものを送って、どうしたかったの?」

ハーマイオニー「あぁ、ハニー、そんな、だって、甘い方はきっとあなたじゃなくて、って……あぁ……それは、私もだってこと、は、火蟹の甲羅よりも輝いて居る事実、だけど……」

ジニー「つづけて!!」

ロン「どうぞ!ヒンヒン!やっぱりホグワーツは最高だぜ!!!」


97 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/06(日) 17:23:06.47 ID:atRsdQxn0
すまん
急用
本当すまん
来週日曜に

101 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/06(日) 17:56:48.17 ID:lbIlAPhDO
>ジニー「まったく、羨ましいよな。特別措置で今回だけ、『煙突飛行』でホグワーツまでひとっとびだなんてさぁ」

ハニーと俺のジニーがこんなしゃべり方するはずがない…!


125 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 17:53:44.36 ID:PlgC50Pi0
談話室

ハーマイオニー「フーッ、フーッ、新学期、早々!なにをするのよ、もう!」

ハニー「だからこそじゃないかしら?」

ジニー「むしろ恒例だと思うわ。ううん、文句を言ってるわけじゃなくて、もっと、どうぞ」

ハーマイオニー「黙って!あっちの隅でよろしくしてるあなたのお・に・い・さ・まみたいにね!」

ハニー「ラベンダーももう帰っていたのね……それで、ハーマイオニー?あなたのクリスマスはどうだったの?」

ジニー「プレゼントに送ったハニーの写真は堪能できた?」

ハーマイオニー「もう全部クタクタに……オッホン。まぁまぁよ、いつもの通り。そっちに居たほうが楽しかったでしょうけど、アレがいなくて静かだったのはよかったわね。最高だわ」

ハニー「ロンは割りと静かだったけれど」

ジニー「雪像つくりに精を出してたわ」

ハーマイオニー「……相変わらず、全く。どうせハニーを崇めるためのいい笑顔だったんでしょうとも」

ジニー「ううん、悲しみと嘆きとそれでも来期に掛ける一縷の望みを目に宿した眼だったわ」

ハーマイオニー「……すごく今更だけど、あなたなにさせてるの」

ハニー「私の豚として当然のことよ、当然ね」

ハーマイオニー「……とりあえず、言葉とは裏腹にロ、例のあの豚がうるさいことを言っていたのはわかった、もう」


127 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 18:04:50.29 ID:PlgC50Pi0
ハーマイオニー「ジニーは、ディーンと約束があるから、って。行ってしまったわね」

ハニー「えぇ、そうね。いいことだわ……なんだかあまり乗り気ではなさそうだったのが、気になるけれど」

ハーマイオニー「あー……あの二人、なんだか最近うまくいっていないそうよ。ほら、ディーンもチェイサーになって、それで衝突が……あー」

ハニー「……また、私のせいで」

ハーマイオニー「こうなるからハニーに言わないようにしてたんだったわ……あのね、ハニー。何もあなたのせいじゃないったら」

ハニー「……」

ハーマイオニー「言い合いになるきっかけにはなったでしょうけど、最近あの二人、それでなくともなんだか喧嘩が絶えないそうだもの……あー、ディーンがあの豚のことをどう言った、とかで……」

ハニー「……そう。私以外が私の豚を豚と呼ばないで、といいたいけれど……ジニーはお兄さん想いね」

ハーマイオニー「あんなのでもね、えぇ……だから、あなたは悪くないわハニー。むしろあの二人がまだ関係が続いてるのは、共通する、その、崇拝対象のあなたがいるからだもの」

ハニー「そうね、えぇ。全ての愛の中に私がいるわ……ありがとう、ハーマイオニー」

ハーマイオニー「どういたしまして」

ハニー「……ところで。二人っきり、ね?丁度よかったわ」

ハーマイオニー「? 何言ってるの?休暇最終日で、談話室には続々と……!?」

ガラーーーーン……

ハーマイオニー「ひ、人っ子一人!?だって、さっきまで!?え!?」

ハニー「私の豚さんたちはとっても気が利くの、だって私の豚だもの。そうでしょ?」

ハーマイオニー「あぁ、なんでそういうとこばかり……え、えっと、ハニー!?あの、だってついさっき、その……」

ハニー「ねぇ、ハーマイオニー……?」

ハーマイオニー「あぁ、は、ハニー、そんな……」

ハニー「マルフォイのことで、話があるの」

ハーマイオニー「………………」

ハニー「? どうかしたの?」

ハーマイオニー「いいえ。ただ、ちょっと、つねってくれるかしら。私は、私だけはまともでいないと、いけないのに!」

ハニー「? お望みなら、えぇ。今夜にでも存分ね」


128 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 18:13:09.81 ID:PlgC50Pi0
ハーマイオニー「マルフォイと、スネイプ……ね」

ハニー「……どう思う?」

ハーマイオニー「こうは考えられない?スネイプは——」

ハニー「援助を申し出るフリをして、マルフォイが何を企んでいるか暴こうとした……そういう文句は、聞き飽きたのだけれど」

ハーマイオニー「まぁ、そういうことよ。その様子じゃ、おじさまやリーマスにも同じ見解を述べられたのね」

ハニー「ムーディは、『いいからマルフォイの小僧をここに引っ張ってこい。イタチ変身フルコースを見舞ってやる!』って」

ハーマイオニー「ハニー、あなたわざとそれ以外の提案してくれる人に相談したでしょ」

ハニー「結局実行にはいたらなかったけれど……でも、これで一つ証明されただけでも十分だわ。マルフォイは、この城で何かを企んでる、って!ほら、私のいったとおり!」

ハーマイオニー「得意顔もステキだけど……うーん、でも、それが本当に、ヴォルデモートに関連することかどうかはわからないわ」

ハニー「ほかになにがあるって言うの?」

ハーマイオニー「うーん……えぇっと……フォイで魔法界を覆う、とか……そういうの?」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……ごめんなさい忘れて」

ハニー「もう遅いものね」

ハーマイオニー「やめて」


130 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 18:28:28.87 ID:PlgC50Pi0
ハーマイオニー「二人のどちらかが、ヴォルデモートの名前を呼んだの?」

ハニー「それは……いいえ。でも、主君とか何とかは言っていたわ。いかにもあのプレティーン思考真っ盛りな黒豚が好みそうな呼称じゃない?」

ハーマイオニー「それは知らないけど……マルフォイの主君……父親って線は?」

ハニー「それはそれであの無駄に尊大な人に似合っているけれど」

ハーマイオニー「でしょう? とにかく、スネイプの言動については私は騎士団、あー、豚団の人たちと同意見よ」

ハニー「イタチの刑に?えぇ、そうね。あなたならきっと見事にやってくれるのでしょうね」

ハーマイオニー「良識的で常識的で無駄に実力行使に訴えない大人な団員の、意見によ。マッド-アイのそれは捨て置いて」

ハニー「……納得いかないわ。あぁ、そうね。納得いかないことと言えば……ねぇハーマイオニー?フェンリール・グレイバックのことを知ってるかしら」

ハーマイオニー「……えぇ」

ハニー「リーマスは、狼人間のその人の近くに潜伏しているんですって。自分を間で狼人間にした、その原因の人に。どういう奴なの?豚にできそう?」

ハーマイオニー「最初に聞くのはそこ?いいえ、詳しくは知らないわ。だって、名前を聞いただけだもの……あなたもその時一緒にいたじゃない、ハニー!」

ハニー「……いつのこと?あなたと一緒にいたことなら、忘れることはないと思うけれど」

ハーマイオニー「そのことだけに関しては負けてないつもりだわ。ほら……マルフォイがその名前で!ボージン・アンド・バンクスで脅迫してたじゃない!」

ハニー「! あぁ、そう、そうだったわね……それじゃ、マルフォイが死喰い人だっていうのは決定だわ!だって、そうでしょ?あちら側にいるグレイバックに接触できるなんて、そうとしか!」

ハーマイオニー「あー……しまったわ……えーっと、う、嘘の脅し、だったとか?」

ハニー「……ハーマイオニー、全く。どうかしてるわ」

ハーマイオニー「私がどうかしてるのはあなたにだけよ」


131 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 18:40:03.57 ID:PlgC50Pi0
ハーマイオニー「これからはあんまり、マルフォイの話をふらないようにしないと……そうそう、あなたに伝えることがあるのをすっかり忘れてたわ」

ハニー「なぁに?今でいいのかしら。ベッドはないけれど……」

ハーマイオニー「そういうのじゃないの! そういうのにしても伝え漏れてる言葉なんて……ウォッホン!あのね、私は真面目なお話をしているの」

ハニー「私はいつだって真面目だわ」

ハーマイオニー「そうでしょうとも……はい、これ。ダンブルドアからのお手紙よ」

ハニー「! ありがとう!……けれどいい加減、あの意地悪豚は私に直接よこせばいいんじゃないかしら」

ハーマイオニー「それもそうね……何かこう、理由でもあるんじゃないかしら。お忙しいでしょうし」

ハニー「えぇ、それはもう記憶の整理にね……ちゃんと片付いたかしら。それで……個人授業は、早速明日の夜、ですって。丁度いいわ、色々と伝えることもあるもの」

ハーマイオニー「残念だけど、先生の回答も同じだと思うわ」

ハニー「えぇ、そうね。ダンブルドアならそれはもう見事なイタチに」

ハーマイオニー「だから、ハニー。良識的で常識的な……あー……でもダンブルドアは…………」

ハニー「意地悪豚だもの」

ハーマイオニー「……ほんと、あなたの豚って」

ハニー「可愛くて、頼りになるわ」

ハーマイオニー「そうでしょうとも……どこかの誰かさんは、日陰くらいにしかならないでしょうけど!」

ハニー「ねぇハーマイオニー?いまここにいないのに一々引き合いにだすのは、気になると言っているようなものよ?」

ハーマイオニー「なんのことかしら!さっぱりだわ!!!もちの、えぇっと私で!」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……忘れて」

ハニー「テンぱるあなたもステキよ、もちマイオニー?」

ハーマイオニー「忘れて」


135 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 19:38:49.35 ID:PlgC50Pi0
翌日

校長室

コンコンッ

 ダンブルドア「入っておるよ」

ガチャッ

ハニー「……いい加減やめなさい、それ」

ダンブルドア「ほっほ、ミネルバにも何十年も言われておるのう」

ハニー「先生の苦労をお察しするわ……ハァイ、ダンブルドア。いいクリスマスだったかしら」

ダンブルドア「すこぶる良好じゃったとも。君の方は、一波乱あったそうじゃな?あの獅子髭と」

ハニー「……知ってるのね。えぇ、スクリムジョールがロンのお家に来たわ」

ダンブルドア「抜け目のないやつじゃ。わしが手を離せん時を狙って……あー」

ハニー「……」

ダンブルドア「実はちょっと気合の入ったクリスマスツリーを作ってのう?それで急がしかったんじゃ、うむ」

ハニー「そう、それはそれは私のように美しいツリーだったことでしょうね」

ダンブルドア「赤いツリーは君を思ってハグリッドが作っておったがのう」

ハニー「出来る豚だわ」


136 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 19:50:49.66 ID:PlgC50Pi0
ダンブルドア「どうじゃったね、ハニー。彼は豚にできたかのう」

ハニー「冗談。久々に見た豚以下だったわ」

ダンブルドア「それはそれは」

ハニー「……魔法省は、魔法界に対して省のイメージアップになることを私にさせたがっているそうね」

ダンブルドア「そうじゃの。おそらくは数少ないファッジからの助言じゃろうて。彼も退任直前は執拗に君への面会を打診してきた。鼻ほじりながら突っ返したけども」

ハニー「せめて毅然とした態度をとりなさい……ファッジは、去年あれだけのことをしてきたのに私にあんな要求をしようとしたわけ!?」

ダンブルドア「うむ、彼の厚顔無恥さは今更取り上げることでもないかもしれんが」

ハニー「まったくだわ……それに、アンブリッジも魔法省に戻っていると聞くし……どうなってるのかしら」

ダンブルドア「その辺りはわしとしても不満というか、不快で、うっぷ……」

ハニー「姿を思い出すのはやめなさい……スクリムジョールは、私に不満だったようだわ。こっちこそ、よ。あれでも人類かしら」

ダンブルドア「愚かしいことじゃ。それに、彼の不満はわしにも及んでおる。ハニーよ、我々は苦悩の底に沈まず抗い続けねばなんのう?」

ハニー「はいはい、『わしがいれば大丈夫』とでも言いたいのでしょう?」

ダンブルドア「ほっほ、その通りじゃ。君に彼らからのわずらいが及ぶことがないよう尽力するとしよう」

ハニー「……スクリムジョールは私に、『骨の髄までダンブルドアに忠実だ』って、言ってきたわ」

ダンブルドア「ちょっと待ってくれるかのうハニー、今すぐ大臣リコール運動の手紙でも……」

ハニー「私……わたしは、そうよ、って言ってやったわ」

ダンブルドア「————」

ハニー「……言ってる意味は、わかるわよね」

ダンブルドア「フォークス、わし今死んでもいい」

フォークス「フィピッ!!!」


137 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 20:03:30.93 ID:PlgC50Pi0
ダンブルドア「うぉっほん。わしが君のために尽力するのは当たり前じゃ、うむ。もちのどこぞのラブコメってるクソッタレじゃろうて」

ハニー「豚同士がいがみ合うとひどいわよ」

ダンブルドア「ヒンヒン。とにかく君は、件の彼と彼女のことや、今度始まる『姿現し』の練習コースのことに神経を使うとよい。スクリムジョールのことなんて忘れてのう」

ハニー「それは、思い出したくもないけれど……そう、『姿現し』の練習授業が始まるのよね。今朝、掲示板に張り出されたわ。今年度で十七歳以上になる生徒を対象に、って」

ダンブルドア「君も十七歳になるのじゃのう……感無量じゃ、アルバス泣いちゃう」

ハニー「さっきの方がよっぽど瞳潤んでたわよ」

ダンブルドア「ついでに今は眠っておる彼もついに合法じゃと飛び起きることじゃろう……あ、すまん、本当、すまんはニー、今の冗談じゃ、じゃからその期待顔、すまんて……」

ハニー「……習得するのは難しいのかしら、『姿現し』って。私は前に、あなたが使うのに同行したけれど」

ダンブルドア「これも通常の魔法と同じく向き不向きがあるからのう。かのグリフィンドール伝説のシーカー、チャーリー・ウィーズリーなんぞは、飛行は天才的じゃがこの魔法は最初、とても苦手じゃった」

ハニー「一昨年そんな話を聞いたわ……今でも少しの移動なら飛行の方を選ぶ、って」

ダンブルドア「君と同じく、飛行バカじゃからのう」

ハニー「赤豚」

赤豚「フィピー?」

ハニー「不死鳥って、人の口の中につっこんだら、どうなってしまうのかしら」


138 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 20:15:51.63 ID:PlgC50Pi0
ダンブルドア「ウォッホ、ゲホッ、びっくりした、不死鳥が燃焼する時の火ってマジで熱いんじゃな、アルバス齢百有余にして新発見」

雛「ピーィッ、ピーィッ」

ハニー「私があなたのご主人様よ?」

雛豚「ピィヒン!」

ダンブルドア「刷り込みせんでも記憶引き継いでおるよ。さて、ハニー。ともあれ我々は、魔法省の話などおく事にしようかのう。ルーファスのお節介話はしだすとキリがない」

ハニー「お節介?」

ダンブルドア「うむ。この前はドーリッシュに尾行までさせてのう……不憫なことじゃ、彼には去年一度呪いをかけてしまったのに、まことに遺憾ながら二度もかけるはめになってもうた」

ハニー「そう……元生徒だもの、嫌でしょうね……」

ダンブルドア「そう、そもそもそんな任務を最初からNO!と断れるように、完膚なきまでに徹底的に、実力の差をわかりやすく示してやった上でのう……」

ハニー「遺憾って何だったのかしら」

ダンブルドア「すっきりした」

ハニー「八つ当たりじゃないの」


141 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 20:32:55.64 ID:PlgC50Pi0
ダンブルドア「休暇のことで、ほかに何か報告はあるかのう?」

ハニー「……休暇、というかその前日だけれど。そうね、あるわ。スネイプのことで……」

ダンブルドア「ハニー、スネイプ先生、じゃ」

ハニー「……その人が、スラグホーンのパーティの後、マルフォイと話をしてるのを聞いて……」

ダンブルドア「……」

ハニー「……その顔、とっくに豚団の誰かから聞いてる風ね」

ダンブルドア「そんなことはないんじゃがのう、ホントジャヨー」

ハニー「じゃぁ自分の爪を見ながら聞くのはやめなさいこの豚。ついでにその右手のことを教えなさい私の豚なら」

ダンブルドア「今はまだその時じゃないのう。それで、まぁ、そうじゃ。リーマスから件の二人の会話のことは聞いておる。しかし、そのことは放念するとよい。大したことではない」

ハニー「……大したことではない?あなた、分かってるの!?マルフォイが、この城で……」

ダンブルドア「いかにも、わしは幸いにいして類稀な優秀なる頭脳に恵まれておってのう。組分けも、レイブンかグリフィンか迷いに迷ったそうじゃよ、ほっほっほ」

  組分け「まぁスリザリンでもいいかなともちょっとおm何でもないよアルバス私は陽気な帽子さん~♪」

ハニー「?」

ダンブルドア「こっちの話じゃよ。それで、ハニー。報告には感謝しよう。そしてわしは君以上にこのことを理解し、熟考したと言ってよい。その上で、その件に関してわしが取り乱すような事は一切ないと断言しよう」

ハニー「……でも」

 『でしゃばり癖は治っていないようだな、小娘』

ハニー「……貴方は黙ってて!フィニアス!」

 フィニアス『またもギャーギャーと喚く子供の声がうるさいから眠れないだけだ。それでも君はブラック家に入る人間か』

ハニー「それ、は、それどう、えっと、つ、つつましくすればその、認めてもらるのかしら……!!!」

 フィニアス『……ダンブルドア。冗談の通じない子供はめんどくさい』

ダンブルドア「うん、黙っててくれるかの」


142 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 20:45:20.04 ID:PlgC50Pi0
ハニー「……できる限り冷静で、丁寧な言葉で聞いてさしあげるわ」

ダンブルドア「フィニアスは寝たがのう」

ハニー「狸寝入りでしょどうせ。それで……あなたはいまでも……あの人を絶対に信用して——」

ダンブルドア「その問いにはすでに答えておる」

ハニー「……」

ダンブルドア「わしの答えは変わらぬ」

 フィニアス『変えるべきではなかろう うーんむにゃむにゃ ブラック家マジ高貴で由緒正しくて伝統的』

ハニー「黙ってなさいってば……フーッ。いいわ、これ以上質問しても無駄みたいね、意地悪豚には」

ダンブルドア「ヒンヒン! では、いよいよ話を先に進めようかのう。ハニー今夜はもっと大事な話がある」

ハニー「……」

ダンブルドア「この記憶……あ、やべっ、これ『セブルス~闇に落ちた漢、一世一代の土下座・ノーカット版』じゃった」

ハニー「!!それ!!!それ、見せなさい!!!」

ダンブルドア「ほーれフォークス餌じゃよー!」

雛豚「フィィピ……フィーーッ!!」

ボッ!

ダンブルドア「フォークスーーーー!」

ハニー「スネイプの記憶なんて食べさせるから!!この、この豚!!!」

ダンブルドア「ヒンヒン!」


145 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 21:11:11.95 ID:PlgC50Pi0
ハニー「……フォークスを何回燃焼させる気よ」

ダンブルドア「君が言うのかね」

ハニー「何か言ったかしら?」

ダンブルドア「何でも。はてさて、フォークスが本日二度目の誕生を迎えたところで、続きを。ハニー、今夜はさらに二つの記憶をみせよう」

ハニー「……ヴォルデモートに関する記憶ね」

ダンブルドア「そうじゃ、あのベタベタ髪とかのことは頭から忘れてもらって、あのハゲんことじゃ」

ハニー「そうだけれどその呼称はアーサーお父様も傷つくからやめなさい」

ダンブルドア「キングズリーとかの。そう、今夜見せる記憶はとても重要なものじゃ。これを手に入れるのに非常に苦労した。二つ目なぞ特に、わしが保有する記憶の中でもとびきり重要じゃ」

ハニー「私を見ている時のを除いてね」

ダンブルドア「そりゃもう永久保存版じゃて


146 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 21:26:15.71 ID:PlgC50Pi0
ダンブルドア「前回は、奴がまだちっちゃなトム・リドルだった頃のところでおしまいじゃった」

ハニー「あなたが原因となったあれを仕込んだあたりでね」

ダンブルドア「すまんて。そう、新学期が始まり、あの子はこの城へとやってきた。組分けの儀式は見事だったのう。頭どころか髪の先に触れるや否や……」

 組分け「スリザリン!!!」

ダンブルドア「これじゃった」

ハニー「……追い返してしまえば良かったのよ。大体、サラザールと、あいつは全然……」

 組分け「当時のスリザリン寮にはぴったりの逸材だったのさ、うん」

ダンブルドア「そういうことじゃ。それに、前も言うたが当時の彼に今の奴ほどの畜生になる影は見えなんだ……警戒はしておったがのう」

ハニー「……入学してからの、あいつは?」

ダンブルドア「おそらく、入学初日には『蛇語』がサラザール・スリザリンの有していた特殊な能力だと知ったじゃろう。そしてそれを、ドヤ顔で披露したじゃろうな。奴の生来の自惚れが、活かされる場所に入ってしまったのじゃ」

ハニー「……スリザリン生徒は、そうね……特別に扱うでしょうね、そういう人間が寮に入ったら」

ダンブルドア「談話室では他の生徒を関心させたり、また脅したりしていたリドルじゃったが、しかし、教職員たちはその一面に気づく事はなかった。奴は傍目には傲慢さの欠片もない、稀有な才能と優れた容貌の孤児じゃった」

ハニー「……あなた以外は、見抜けなかったのね……孤児院での様子を、他の先生方に話すことはなかったの?」

ダンブルドア「話しておらん。リドルは、あの場での盗みや脅迫について後悔するそぶりをみせなかったが、それから半生し、やり直す決心をしている可能性はあったわけじゃ。わしは……」

ハニー「……」

ダンブルドア「わしは、リドルに機会を与える方を選んだ」

ハニー「……」

ダンブルドア「……愚かな老人と笑うかね、ハニー」

ハニー「……いいえ。とても、気高いことだわ」

ダンブルドア「君にそういわれると、長年の苦労も少しばかり癒えるのう」


147 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 21:43:21.52 ID:PlgC50Pi0
ダンブルドア「リドルは慎重になり、自分の本性を誰にも、わしにも暴露することは二度となかった。それでも警戒しておったわし、有能」

ハニー「続きを」

ダンブルドア「もち豚じゃ。高学年になると、リドルは献身的な——あー、他に表現が見あたらないのでこう呼ぶが——友人達を取り巻きにしていった。その者達の誰にたいしても、友情など感じておらんかったじゃろうがのう」

ハニー「……取り巻き、ね」

ダンブルドア「ホグワーツ内でも暗い魅力を持った集団じゃった。雑多な寄せ集めで、強い力の庇護を求める者、栄光のおこぼれにあずかりたい野心家、洗練された残酷さをみせつけ、またそれを実行できる場を用意できるリーダーに惹かれた乱暴者、お辞儀の得意な日本人学生……」

ハニー「最後の人が巻き込まれたのはあなたのせいだわ、言っておくけど」

ダンブルドア「彼らは当然、最初のあの恥ずかしい集団となった。『死()喰い()人()』の。しかし、彼らの数々の悪行はリドルに厳重に管理され、表ざたになったことはない」

ハニー「……悪行」

ダンブルドア「そうじゃ。実行犯が誰かつかめなくとも、リドルの在籍した七年間に多くの不快な事件が引き起こされたのは確かじゃ」

ダンブルドア「双子や、君の父上たちがやるような悪戯などではない。残酷で、残忍で、レモン・キャンデーも喉を通らぬような事じゃ」

ハニー「……茶化したくないから言いたくないけれど、舐めなさいキャンディーは」

ダンブルドア「最も深刻なのは『秘密の部屋』事件だったじゃろう。実行犯はリドル本人、そして結果女子生徒が亡くなり、ハグリッドが濡れ衣を着せられた。あの頃にはわしの懸念は、確信に変わりつつあった」

ハニー「……つつ、なのね。さっきみたいな裏事情を把握していたなら、とっくに確信していそうなものだけれど」

ダンブルドア「今語ったのは、奴がホグワーツを去ってから集めた数々の人間からの証言を聞いた上でのことじゃよ。中々語りたがらない者がおおかったがのう……」

ハニー「……」

ダンブルドア「まぁ、うむ。最後には笑って、わしと一緒に肩を組みながら教えてくれたものじゃ」

ハニー「いい泣き笑いだったでしょうね、それはもう」


149 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 22:05:36.68 ID:PlgC50Pi0
ダンブルドア「わしが脅、ゴホン、説得して吐かせ、ゲフン、話させた者たちの証言で共通しておったのは、リドルがこと両親についてこだわりが強かった、ということじゃ」

ハニー「……」

ダンブルドア「無理からぬことじゃろう、孤児院で育った者が、そこに来る経緯を知りたがることは」

ダンブルドア「ハニー、君の中に流れておった両親の愛や痕跡のように、リドルは城の中で両親が生きた証がないかと探したようじゃ。そこで物に頼るのが、奴の小者なところなのじゃがのう」

ハニー「……生徒の記録、なんかをということ?」

ダンブルドア「そうじゃ。但し、普通の生徒ではない。トロフィー室に飾られた偉業を成し遂げた名前、首席、監督生の名簿、はては親の年代を想定してのあらゆる分野での魔法史に載るような偉人の名前など」

ハニー「……自分の親が一角以上の魔法使いだと疑わなかったのね」

ダンブルドア「トム・リドル・シニアは魔法使いではなかったのだ、と、リドルは判断せざるを得なかった。この時点で奴は名前を捨て、ヴォルデモート卿を名乗っていたことじゃろう。魔法使いではない可能性が見え、そうでなくとも歴史に名を残せないような親の名前などいらぬ、とのう」

ハニー「……どこまでも、だわ」

ダンブルドア「全くじゃ。そして、母親の血筋の線を探した。リドルには、ミドルネームであり母親の遺言によると父方の祖父である『マールヴォロ』という名前しかヒントがなかった」

ハニー「それでも、探り当てたのね。ゴーント家のこと……サラザールの末裔が、生き残っていることを」

ダンブルドア「そう、十六歳の夏のことじゃ——奴の青春の1ページを、拝みに行くとしようぞ、ハニー。深く、どす黒いことこの上ないがのう」


150 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 22:39:20.36 ID:PlgC50Pi0
記憶の中

ハニー「……汚いあばら家……前見たときより、もっと。ここは……ゴーントの家、よね?」

ダンブルドア「以前から十六年ほど経っておるがのう。そして、ここにぐったりと座っておるのがこの記憶の主、モーフィン・ゴーントじゃ」

ハニー「リドルのおじね……髪と髭が伸び放題で、顔がほとんど見えないわ」

ダンブルドア「わしの髭よりは短いがのう」

ハニー「あなた何年伸ばしてるのかしら、それ……ねぇ、死んでいるわけではないわよね?さっきからずっと、少しも動かないけれど」

ダンブルドア「なんとかのう。あわやこの記憶も失われるところじゃった、うむ、ギリギリセーフじゃて……」

ドンドンドンッ!

ハニー「っ! ノック、された音?誰か……って、それは、そうよね」

ギィーーーッ

リドル『……』

ハニー「……若い頃の、ヴォルデモート。リドルね」

リドル『……汚いあばら家だ……ここが本当に、サラザール・スリザリンの……?俺様の……?』

モーフィン『「誰だ……貴様!!!!」』シューーッシューーッ!

リドル『……こいつは』

モーフィン『「貴様……貴様ぁ……!!」』シューッシューッ

ガタガタッ、ガタッ

ハニー「杖と、小刀を……殺すつもりだわ。もしかして」

ダンブルドア「そうじゃ。トム・リドルとトム・リドル・シニアは似ておるからのう。じゃが……その違いは大きい」

リドル『「やめろ」』シューッシューッ

モーフィン『!?  「話せるのか 蛇語を」』シューシューッ

リドル『「あぁ」』シューッシューッ

モーフィン『「おめーは あのマグルじゃないのか あのクソったれの あの丘の向こうの」』シューッシューッ

リドル『…………「マグル、だと……?」』シューーッ、シューッ

ハニー「……」


151 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 22:55:11.08 ID:PlgC50Pi0
リドル『……「マールヴォロはどこだ。マールヴォロと話がしたい。まさかお前がそうなはずがないな、お前のような小汚い奴が」』シューッシューッ

ハニー「……杖と小刀もった狂人相手に、よく言うわ」

ダンブルドア「ついでに黒い指輪もつけてのう」

ハニー「……そういえばあの指輪」

ダンブルドア「あとでじゃ、ハニー」

モーフィン『「マールヴォロ?親父なら とっくに死んだ そうだろうが」』シューッシューッ

リドル『「死んだ……?親父……?お前が、マールヴォロの息子だと言うのか?」』シューシューッ

モーフィン『「そうだ そうじゃねーのか?」』シューッシューッ

リドル『こんな奴が……スリザリンの……それに……「おい さっき言っていた マグルと言うのはなんだ」』シューッシューッ

モーフィン『「おめぇーがそっくりな、あいつよ おれの妹が惚れたマグル 俺と親父をほっぽいて二人で逃げ出した あのマグルよ」』シューッシューッ

リドル『……』

モーフィン『ペッ!!「おめえはあいつそっくりだ! けれどよぉ、よく考えてみりゃあいつはもっと歳をとってらぁ そうだ よく考えりゃよぉ あいつは戻ってきたんだ、うん この間 見たんだ うん」』シューシューッ

リドル『……「戻ってきた? そいつが……トム・リドルが?」』シューッ、シューッ

モーフィン『「そうさ。妹はすぐにおっ捨てられた、いい気味だ! その後あの腐れ野郎は家を出たり戻ったりよぉ 女を何人もはべらせてらぁ」』シューッシューッ

リドル『……………「もう一度聞く そいつは、今 戻ってるんだな?どこにいる?」』シューッ、シューッ

モーフィン『「言っただろうが あっちの丘の でけぇ屋敷だ きっとロケットもあそこに隠してんだ! 妹が盗み出した 親父の 俺の スリザリンのロケットも!!」』シューッシューッ

リドル『……スリザリンの』

モーフィン『「泥をぬりやがった!俺に!親父に!スリザリンに!そんで、おめぇは誰だ!?こんなことを聞きやがるおめぇは 一体——」』シューッシューッ

ハニー「……?」

モーフィン『「いっ、たい——おしめぇーだ——おしめーだ——なんも、かんも——」』

スゥゥゥゥゥゥッ

ハニー「なぁに、これ……辺りが、暗くなって……ダンブルドア!」

ダンブルドア「あぁ——ハニーよ——どうやらわしは、ここまでのようじゃ」

ハニー「冗談にならない冗談やめなさい!記憶が途絶えそうならさっさとだしなさいここから!」

ダンブルドア「うむ、いい演出じゃったしもしものために遺言を早めに残しとこうと思ったのじゃがのう」

ハニー「死んでも死にそうにないじゃない、あなた。何言ってるのよ、もう」


153 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 23:14:28.24 ID:PlgC50Pi0
校長室

ハニー「……あそこで、不自然に風景が消えていったのは」

ダンブルドア「気づいたとおり、モーフィンの記憶がそこで途絶えておるからじゃ。そう、リドルの手によってのう」

ハニー「……リドルは、あの後」

ダンブルドア「……モーフィンは翌日の朝、指輪が無くなったことに気づく。そして同じ頃、リトル・ハングルトンの村ではメイドの悲鳴が響いておった。館の居間に、三人の死体が横たわっておる、とのう」

ハニー「……自分の母親を捨てたトム・リドル・シニア……それに」

ダンブルドア「その両親をも、じゃ。既に奴は殺人行為に迷いがなかったということじゃ……確認しておくが、君と同じ、十六歳になる頃にはのう」

ハニー「……モーフィンは、どうなったの?」

ダンブルドア「そう、三人の死体を見たマグルの警察は当惑した。何せ、『死んでる事以外は至って健康な死体』などという意味の分からぬものが三つもあったのじゃから」

ダンブルドア「しかし、魔法省はすぐに見抜いた。この事件がアバダケダブったことにより引き起こされたこと、そして、この屋敷の近くには過去にこの家と問題を起こした、乱暴者の魔法使いがいることも」

ハニー「濡れ衣を全部、かぶらされたの!?」

ダンブルドア「見事にのう。リドルは失神させただけでなく、記憶の改竄も行った。犯行にも、わざわざモーフィンの杖を使い、事を済ませた後に犯人しか知らない現場の細部の情報まで植え込んだのじゃ」

ダンブルドア「モーフィンは魔法省の部隊が到着すると、抵抗を一切せずに自慢げに自白した。マグル殺しは誉れじゃ、と。長年の恨みじゃ、とのう。これが、彼の本心か、それとも奴の本心かはわしには分からぬ」

ダンブルドア「その後は、大人しくアズカバンに連行されたそうじゃ。指輪がなくなったことのみを気にかけておったがのう……そしてその指輪は」

ハニー「……リドルの手に、渡ったのね。その後……」

ダンブルドア「それはもーちょい先じゃ、ハニー」

ハニー「……モーフィンは、嘘の記憶を自慢げに話しても、この本等の記憶を持ち続けていたの?」

ダンブルドア「いかにも。もっとも、これを引き出すには並の魔法使いでは不可能じゃ。相当に強力な『開心術』の使い手でなければ。そこで華麗に登場するのが、わしというわけじゃね、うん」

ハニー「うるさいわ……アズカバンに、会いに行ったの?」

ダンブルドア「うむ」

ハニー「……」

ダンブルドア「……うむ?」

ハニー「……どうして、シリウスには」

ダンブルドア「…………あー」

ハニー「……」

ダンブルドア「……すまんて」

ハニー「謝るならアズカバンはいらないわ」


155 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 23:30:25.66 ID:PlgC50Pi0
ダンブルドア「いや、うむ。わしもジェリリが死んでしもうたことに憤慨しとったし」

ハニー「……」

ダンブルドア「シリウスのことは頭から裏切り者と思っておったし、ほら、わしだって顔も見たくないくらい人に怒ることあるのじゃよ、人間だもの」

ハニー「……そういうことにしておいてあげるわ。シリウスが起きたらひどいわよ」

ダンブルドア「その頃にはわしは彼の手の及ばぬ高みにおるかもしれんがのう」

ハニー「これ以上とんでもない存在になられてたまるもんですか」

ダンブルドア「ほっほっほ。さて、モーフィンじゃが。この記憶をもとに、わしは彼を釈放するよう魔法省に呼びかけた。じゃが、釈放の決定が下される前に彼は死んでしもうた」

ハニー「……」

ダンブルドア「記憶を手に入れて、一月もない頃じゃった。本当に、瀬戸際だったのう」

ハニー「……あんまりだわ。魔法省は、一体何をしてたの!だって、その時リドルはまだ未成年で!」

ダンブルドア「うむ」

ハニー「魔法省は、未成年が魔法を使ったら!!探知できるはずじゃないの、そうでしょ!?」

ダンブルドア「その通りじゃ。未成年者の周りで行使された魔法は、探知することができる。そして——しかし、その実行犯が誰かは特定できぬのじゃ。君も覚えがあるじゃろう、一年生の時の夏休みのことを?」

ハニー「……そう、そうだったわね。あれも、ドビーが使った浮遊術で、私じゃなかったのに……」

ダンブルドア「大人のいる家では、未成年者が魔法を使ってもそれが本人なのか、はたまた成人した魔法使いの魔法なのかは分からぬ。じゃから、そういった場所からの探知は基本スルーで、各家庭の大人の判断に任せておるわけじゃ」

ハニー「…………」

ダンブルドア「うむ?」

ハニー「疑問なのだけれど」

ダンブルドア「どんと来なさい。わし、懐の大きさには自信があるよ?」

ハニー「……ワールドカップとか、そんな規模じゃなくとも……ダイアゴン横丁くらい人が集まれば、学校に通う未成年魔法使いでも、やり放題ってことよね、それ」

ダンブルドア「……」

ハニー「……それに……屋敷で、未成年のリドルが魔法を使うことでその探知がされたとして……モーフィンはとっくに成人してるから、それを使ったのが彼じゃないってことくらい、誰でも気づきそうなものじゃないのかしら」

ダンブルドア「……あー」

ハニー「……」

ダンブルドア「つまり、あれじゃよ。当時の魔法省は、うむ。そういう事情をムシして、一番それらしい犯人をこう、仕立て、すまんのうハニー。賢人たるわしでも変な汗かくからこの話やめにせんかね」

ハニー「……そうしてあげるわ」


157 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/13(日) 23:43:28.35 ID:PlgC50Pi0
ハニー「いい加減だわ、昔っから、魔法省って!モーフィンにあんなことが起こったのに!」

ダンブルドア「そうじゃのう」

ハニー「確かに、残酷な人かもしれないけれど!!無実の!!!罪で!!!アズカバンなんて!!!!」

ダンブルドア「その通りじゃ、うむ。誰かと重ねておる気もするがのう……さて、しかし、モーフィンの事で激昂するにはもう遅い。時間ものう。ハニー、別れる前に、今夜はもう一つの記憶じゃ」

ハニー「……今度は誰を殺すところなのかしら」

ダンブルドア「今回はその類じゃないのう……いや、その算段ではあるが。但し殺すのは他者でなく——自分自身じゃがのう」

ハニー「?」

ダンブルドア「見れば分かるじゃろう。いや、今は分からぬかもしれぬ。じゃが、知る事が何より大事じゃ。ハニー、わしは君に全てを知ってもらわねばならん。さぁ、記憶じゃ……」

カランッ

ハニー「……一番大事だ、と言っていた記憶なのよね、それ」

ダンブルドア「左様」

ハニー「……その割りに、その記憶」

ポチャッ、ポチャッ、ポタッ

ハニー「……今までの記憶と違って、中々瓶から『憂いの篩』に流れていかない……まるで、腐っているような」

ダンブルドア「あぁ、そうじゃのう。この事情は、本当に見ればわかろう。ほれ、早く落ちんかこの、給料減らしてもいんじゃぞ?うん?」

ハニー「どういう脅しよ」

ボチャッ!

ハニー「……効くのね今のが」


158 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/14(月) 00:01:38.93 ID:w3QfndwN0
記憶の中

ハニー「……やっぱり、さっきので効くということはこの人なのね」

ダンブルドア「昔も今も、彼はおちょくり甲斐があってのう」

ハニー「その言い方やめなさい……なんだか、変な感じだわ。禿げてない、艶のある麦わら色の髪がある、スラグホーン先生は」

スラグホーン『ハッハッハ!実に愉快!いつも美味しい砂糖漬けパイナップルが尚美味しい!』

ハニー「この部屋は……何人も、色んな寮の生徒が集まって。きっと昔の、スラグ・クラブなのね……あぁ」

スラグホーン『もっとも……トム!君からもらったからかもしれんがね!えぇ?』

リドル『おそれいります、先生。先生が一番お好きなメーカーから取り寄せて正解でした』

スラグホーン『ハッハッハ!そんなことまでどうやって知ったのか、是非ともアルバスに一杯食わせるために教えて欲しいものだね!』

リドル『…………俺様だってできるものならあいつにそうしてやるところですが』

スラグホーン『うん?』

リドル『なんでもありません、先生』

ハニー「……これあなたたちが鈍すぎただけなんじゃないの?」

ダンブルドア「いやこれはほら、どんな小さな呟きでも逃さぬあれじゃよ、『憂いの篩』の摩訶不思議パワーじゃて」

ハニー「魔法の世界で摩訶不思議なんて、変な話だわ」

リドル『ところで先生、メリーソート先生が退職なさるというのは、本当ですか?』

スラグホーン『おいおい、トム。全く本当に、どこから聞いてくるのかね!トム、トム、そればかりは本当でも教えてあげることは出来ないよ、困った子だ』

ハニー「……言葉の割りにウィンクまでして、嬉しそうだわ」

スラグホーン『教師の半数より情報通だね、君は。皆も彼を見習いなさい?』

リドル『恐れ入ります』

スラグホーン『もっとも、ここにいる者は皆彼と友人なわけだ!お互いに高めあい、トムのようになれるように——』

リドル『あ?』

スラグホーン『うん?』

リドル『なんでもありません先生!さぁ、パイナップルをどうぞ』

ハニー「……今の一瞬見せた蛇のような眼光は」

ダンブルドア「ほら、ホラスって眼が悪いんじゃよ」

ハニー「知らないけれど……握り締めた拳に、あの指輪が見えるわね……そう、このときには両親を……こんな、平気な顔して。信じられないわ」


160 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/14(月) 00:11:53.33 ID:w3QfndwN0
スラグホーン『思慮深く、勤勉で。才能に溢れ』

スラグホーン『知るべきではないことを知ると言う、謎の能力を持ち』

スラグホーン『そして恐ろしく気が利き、大事な人間を喜ばせる心遣いを持っている!』

リドル『そんな、先生。褒めすぎですよ』

ハニー「……心の中ではまだまだ足りないだろう、って言ってるわねこれ」

スラグホーン『全く、トム。君のような優秀な生徒は、私の教師人生でも初めてだよ。そして恐らく今後、君ほどの人間は現れないことと確信するね』

リドル『それは———

サァァァァァッ

ハニー「ほんと、どれだけ褒めちぎるのかしら…………なぁに、これ」

——いいか、覚えておきなさい——

ハニー「急に、辺りが白い霧で覆われて……この、声は?スラグホーンの……?」

——君は悪の道に染まるだろう。私のこの言葉をよく覚えておきなさい——

スゥゥゥゥッ

リドル『——それで、メリーソート先生の部屋はどうやらこのままだと空き教室になるそうですが?』

スラグホーン『ハッハッハ!トム、トム!だからどうして、私があの教室を使いたがっていると知っているね?え?まったく、君と言う子は!』

ハニー「……誰も、今の霧について触れないわ……ねぇ」

ダンブルドア「もうしばし待っておくれ、ハニー。まだ少し先がある」


161 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/14(月) 00:37:47.53 ID:w3QfndwN0
スラグホーン『なんと、もう十一時か!楽しい時間はあっと言う間だね、え?』

リドル『まったくです先生』

スラグホーン『ハッハッハ!さぁ、寮に戻りなさい。レストレンジ、レポートは明日まで。この最終期限はこれ以上延ばせんよ。エイブリー、君もだ』

レストレンジ『おっす』

エイブリー『うっす』

スラグホーン『返事だけはいいな君達は。さぁ、お帰り!みなおやすみ!』

ガタガタッ
 ゾロゾロ ガヤガヤ

ハニー「生徒達が、帰っていくわ……リドルを除いて」

ハニー「なにか、わざとぐずぐずしてこの部屋の最後の一人になりたがっている、みたいね……スラグホーンと、二人に」

ハニー「……」

スラグホーン『これこれ、トム。なにをしてるね?言っておくがその『幸福薬』のラベルがはってある瓶は不完全品だ。飲んでも飛べるような気になって大怪我するのが関の山だよ』

リドル『いえ……ただ、それでも先生はこれを「作れる」と言えるだけの才をお持ちなのだな、と。再確認しました』

スラグホーン『ふーむ、毎度と言うわけではない。そいつは作れること自体がそもそも「幸運」と言えるな、うん』

リドル『それでも、凡人……いえ、並大抵の魔法使いではその幸運を掴むチャンスにさえ到達できません。尊敬しますよ』

スラグホーン『ハッハッハ、私を褒めても君からもらったパイナップルしか出せんよ?それか、今夜の外出時間をすこーしだけ伸ばしてやるだけだがね』

リドル『それは、すぐに帰ります。ですが先生、何かいただけるのならば、一つだけ教えていただきたいことがあるんです』

スラグホーン『ほーう? なにかね。私が答えられるものなら、喜んで答えよう。他でもない、監督生の君なのだから!』

リドル『先生、ご存知でしょうか……先生ほどの魔法使いなら、きっとお聞きになったことがあるんじゃないかと……ホークラックス、のことですが』

サァァァァァァァッ

ハニー「……また、あの霧だわ」

——ホークラックスのことは何も知らん!!!知っていても、君のような人間には教えたりはせん!!!—

ハニー「……ホーク、ラックス」

——さぁ、すぐにここを出て行くんだ! そんな話は二度と聞きたくない!出て行け!!——

ハニー「……霧が、晴れ……ないわ」

ダンブルドア「そうじゃろうのう、ここで終わりなのじゃ」

ハニー「……ちんぷんかんぷんだわ」

ダンブルドア「そこが問題でのう。さぁ、わしの遺言タイムが始まる前にもどって二人で話し合うとしようぞ、ハニー」


162 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/14(月) 00:52:17.35 ID:w3QfndwN0
校長室

ハニー「さっきの記憶は、どうしてあんなに……その、変てこだったのかしら」

ダンブルドア「言いえて妙じゃのう。そう、変てこじゃった。それもこれも、あの記憶に手がくわえられておるからじゃ」

ハニー「……手がくわえられてる?」

ダンブルドア「そうじゃ。スラグホーン先生は自分自身の記憶に干渉し、その記憶をわしによこしたのじゃ。あんにゃろう」

ハニー「抑えなさい……でも、どうしてそんなこと」

ダンブルドア「恥じたのじゃよ、自分の記憶を。自分がしてしまったことを。自分をよりよく見せようとして、わしに見られたくない部分を消し去り記憶を修正しようとした。見たとおり、大変粗雑なやり方でのう」

ハニー「……あの霧の向こう側に、本当の記憶が隠れてる」

ダンブルドア「そうじゃ。それが明確であるという点でみれば、あのやり方に感謝できる。さて、そこでじゃハニー。わしは君に——宿題を出そうと思う」

ハニー「……なぁに?この私が取り組むのだもの、こなせないわけ、ないけれど」

ダンブルドア「それは勇ましい言葉じゃ」

ハニー「やめて。賞賛の言葉は高貴で可憐で儚げで、伝説的で道徳的で家庭的で模範的、知っているでしょう?」

ダンブルドア「まっこと、その才を信じて。君には、スラグホーン先生を説得して本当の記憶を明かさせてほしいのじゃ」

ハニー「…………そんなの」

ダンブルドア「一応言うておくが、その君の素晴らしい目がある限り彼は君の豚にはならんじゃろうて。アイマスクしてくかね?その時は一応、セブルスの研究室に厳重な封印をしておくがのう」

ハニー「なんの用心なのそれは一体……そうじゃなくって。私が、そんなことをしなくっても……『真実薬』があるでしょう?それに、あなたが『開心術』をつかえば、すぐ……」

ダンブルドア「スラグホーン先生は幸いなことに魔法薬の名手でのう。わしが件の記憶を提出させて以来、真実薬の解毒剤を持ち歩いておる。そして、彼はあれ以来腕を磨き『閉心術』の名手にもなったのじゃ。わしとて、うむ。ちょっとキツイ」

ハニー「……ちょっと頑張りなさいよ」


163 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/14(月) 01:01:41.52 ID:w3QfndwN0
ダンブルドア「いやいや、いや。ハニー。彼から力ずくで真実を引き出そうとすることは、百害あって一利なしじゃ。わしは彼に今後も城におってほしいからのう」

ハニー「……けれど」

ダンブルドア「スラグホーン先生といえども、わしらと同じく弱みがある。そこを突き動かせるのは、君だけなのじゃ。わしは」

ハニー「……」

ダンブルドア「わしは、君がわしを信じてくれるように。君のことを信じておるよ」

ハニー「! ……かわいい豚の、期待には。答えてあげないと、いけないわ」

ダンブルドア「あぁ、わしは幸せものじゃのう」

ハニー「……私にしか、出来ないことなのね?」

ダンブルドア「うむ」

ハニー「……あなたが、わたしに。託してくれるのね?」

ダンブルドア「そうじゃ」

ハニー「……記憶どころか、スラグホーンそのものをひっぱってきてあげるわ。楽しみにしてなさい」

ダンブルドア「期待しておるよ、ハニー。あぁ、それでこそ君じゃ。真実を、その重要さを求めることを、忘れるでないぞ?」

ハニー「当然よ。私を誰だと思っているの?」

ダンブルドア「ヒンヒン! さて、もう遅い。おやすみ、ハニー。また会えることじゃろう」

ハニー「えぇ、おやすみなさい。そうね、またすぐ、だわ」

キィィィィッ

バタンッ

ハニー「……」

 フィニアス『……ダンブルドア。あの子が君より上手くやれるという理由が、私には分からんね』

 ダンブルドア『フィニアス。わしも、君に分かるとは思わぬよ』

ハニー「……よし」

ハニー「頑張るわよ……わたし!」


164 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/14(月) 01:02:43.67 ID:w3QfndwN0
今日はここまで
続きは来週日曜
朝から出来るはず
じゃあの!

179 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/20(日) 14:38:24.88 ID:WDEILPKm0
魔法薬の授業

グツグツグツグツ

ロン「あぁハニー!僕のハニーまったく、大なべのやつめ何がぐつぐつだよ僕の持ち物ならヒンヒンたぎってみせろよな!」

ハニー「えぇ、そうね。万物が発する音まで私に向けられるのは当然のことだ、けれど……問題なのはなべの中身のほう、よ」

グツグツグツグツグツグツ

ハニー「……なぁにこれ」

ロン「君が作ったものなら僕ら豚はいくらでも飲めるよ。なぁネビル……あ、そうか、ネビルのやつこの授業いないんだった、マーリンの髭。なんのためにスネイプの野郎で鍛えられたんだか」

ハニー「あの教師の話はしないで頂戴……それよりも、まずいわ」

ロン「君が作ったものが不味いはずがない、って、そういやあの一等星もよく言t痛い!ありがとう!」

ハニー「……今日はいつものように課題をしっかり仕上げて、スラグホーンの機嫌を良くさせたところに……あのことを、聞こうと思っていたのに」

ロン「君に話しかけられただけで僕らは有頂天のあまりなんでもペラペラしゃべっちまうけどね。知ってる、ハニー?君って世界一だよ。何がって?全部さ」

ハニー「当たり前でしょうこの私だもの」

ハーマイオニー「……」

アーニー「え、えーっと、ハーマイオニー?あの、あんまりその材料は刻む必要ないと思うよ?あのさ、あの、気になるならツッコミに、いえ、なんでもないです」

ハニー「……この私でもわかりそうにない、難解な授業があたってしまうだなんて」

ロン「道理で僕の大なべの中身はなんだかよくわからない髭の塊のようなものになってるわけだよな、あぁ。なんで僕Newtの授業に入れたんだろ、奇跡かな。ハニーのおかげで」

ハニー「しっかり崇めなさい……ハーマイオニーは、あなたといると話をしてくれそうもないし」

ロン「あー、それはごめんよ本当……まったくあいつ、どこまで強情なんだろうね。マーリンの髭」

ハニー「ロン」

ロン「ヒンヒン!オーケーハニー!この髭を一気だね!もちのロンさ!ネビルに遅れはとらないよなんてったって僕ぁ君の一番の豚ゴッゴッゴッゴッゴッゴ」

スラグホーン「さぁさぁ、続々解毒剤はできたかね……み、ミスター・ウィーズリー!?まだ早いしそれはなんだね私でもまだ見たことのない毒ぶ、み、ミスター・ウィーズリーーーー!?」


181 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/20(日) 14:52:26.85 ID:WDEILPKm0
ロン「いやぁ死ぬかと思った。毒で死に掛けるのはこれっきりにしてほしいなぁ」

ハニー「毒でというよりはのどにひっかけて窒息のほうだったけれど。生きて私を見られることに感謝しなさい」

ロン「そんなのいつだってしてるけどさ。それにしても、ハニー。そのホークなんとか。あのじいさんから聞くしか手段はないのかい?」

ハニー「そうよ……ホークラックス。ハーマイオニーでさえ、聞いたこともないんですって」

ロン「おやおや、そりゃ図書館もお手上げだよな……僕ぁ奴さんの声自体最近碌に聞いてないけど」

ハニー「私は毎朝聞いてるわね。かわいい艶声を」

ロン「先生!薬で女の子になる手段はないんですかっ!!!!」

スラグホーン「あ、頭に毒が回ったかねミスター・ウィーズリー……?さ、さぁさあ諸君、作業はそろそろ大詰めかな?」

ロン「そりゃ大詰めだよな。あとは大なべ磨くだけだもん僕ぁ。あぁハニー!君と同じだなんて不可能だけどそれを目指すくらいピッカピカに磨き上げてみせるよ!ヒンヒン!」

ハニー「志の高い豚は好きよ……え、っと。スラグホーン先生?今日の課題のこと、もう一度、説明をお願いしてもいいかしら?」

スラグホーン「ハッハッハ、君ほどの生徒なら復習する必要もないだろうに!いいだろう、もう一度!ゴルバロットの第三の法則とは——」

ロン「…………ハッ!あぁ、眠っちまってたよまったく……あれ?この世のものとは思えないくらいの美少女がいる、まだ夢の中なのかな?」

ハニー「いつだって夢見心地でしょうね、えぇ……」

スラグホーン「——『スカーピンの暴露呪文』で分析された毒薬の成分を正確に同定し、その成分に対する解毒剤を選び、また追加する成分を選び抜かねばならず——」

ロン「……例の王子様の本はどうだい?」

ハニー「……何も書かれていないわ。どうやらプリンスは、この原理を苦もなく理解したみたい……」

ロン「つくづくできる野郎だよな。世が世なら、いい君の豚になれただろうに。マーリンの髭」


183 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/20(日) 15:08:50.08 ID:WDEILPKm0

ハニー「……スラグホーンを、この私に跪かせることは。恐らく簡単だわ」

ロン「こんな風にね。なんてったって君だからそりゃぁあくびが出るほど簡単さ」

ハニー「けれど……ダンブルドアが任せたのは。わたしに任せてくれた、のは。そういうことじゃないはずなの」

ロン「……」

ハニー「ママの面影に、頼るんじゃなく。無理やり、聞き出すんじゃなく……私が、説得しないといけない」

ハニー「どうすれば、いいかしら……もう、残りの時間もほとんど……」

ロン「こういうのはどうだい、ハニー」

ハニー「なぁに?」

ロン「僕に毒薬を飲ませて、君を見てればみるみる回復するさまを見せ付ける、つまりは君自身がどんな毒をも解毒しっちまうまるでベゾアール石みたいな特効薬なんだ、っていう」

ハニー「いつまでもふざけるなら首輪を締めるけれど?」

ロン「ごめんなさいありがとう!ヒンヒン!」

ハニー「……ベゾアール石?」

ロン「ヒンヒン! 一年のときにあのベタベタ髪野郎が『目の色を変える薬を飲んで不運にもハシバミ色になってしまった愚か極まりない生徒は即刻こちらにこい。あらゆる薬に効き目のあるこのベゾアール石を口に叩き込む。そしてポッター貴様は何故緑色の薬が完成しない20点減点』って、言ってたことあったろ?」

ハニー「……あぁ、あの教師もどきもあれでなかなか、教師していたのね……確かに、あったわ。プリンスの教科書……毒物のリストの最後のページ!『ベゾアール石をのどにつっこめ!』これよ!」

ロン「おったまげー!こんなに有能なプリンスと似ても似つかないベタベタ野郎が同意見なんて、あれであいつも人類なんだなぁ!マーリンの髭!」


184 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/20(日) 15:25:22.99 ID:WDEILPKm0





スラグホーン「ハッハッハッハッハ!なんと不敵極まりないだろうね、えぇ!?」

ハニー「えぇ、そうね。いまさらだわ、この私だもの」

スラグホーン「まさか『ベゾアール石』とは!あぁ、そう。これは用意した毒物のすべてに効き目がある!しかしなんたる度胸!そこは眼鏡か!なんてこった!」

ハニー「微妙にうるさいわ」

ハーマイオニー「……それで?ハニー、あなたはそれを自分ひとりの考えで思いついたのね?どこぞの王子様じゃないのよね?」

ロン「こっちを見向きもしなかった誰かさんがなn——」

ハーマイオニー「アーニー?鍋はしっかり支えてないと危ないと思うわ」

アーニー「えっ?あれ?僕の失敗した解毒薬入った大なべ……ろ、ローーーーーン!!!」

スラグホーン「しかしまぁ、これを思いついたのはまさしくリリーの才能!そっちを見よう、うん!魔法薬つくりを直感的に把握する生徒だったよ」

ハニー「それはそうでしょうね。私のママだもの」

スラグホーン「ベゾアール石は確かに万能だ。今回の課題においては優等、ただし必ずしもすべての毒物に効くわけではない、それはよーく覚えておきなさい。だが、失礼千万にグリフィンドールに十点をやろう!」

ハニー「……点数よりも、ほしいものがあるけれど」

スラグホーン「うん?なんだねハニー、ハッハッハ!頼まれてもせいぜいパイナップルしか出せないが……おっと、終業時間だ!みな荷物をまとめ……う、ウィーズリー?大なべは頭にでなく手に持っていけばどうだね?え?」


186 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/20(日) 15:51:20.48 ID:WDEILPKm0
スラグホーン「いやいやまったく、いいものをみた……この記憶ならアルバスに頼んで保管してもらってもいいかもしれない……私も随分と」

ハニー「そのことについてだけれど」

スラグホーン「おっと!? おやおや、ハニー。まだ残っていたのかね。放課後は有意義に使いなさい」

ハニー「今の私にとってこれ以上有意義なことは、そうね、7、8個というところかしら」

スラグホーン「ハッハッハ!それは光栄だ。それで、どうしたね?」

ハニー「聞きたいことがあるの。さっきの点数を、なしにしてもいいわ。どうしても」

スラグホーン「ハニー、ハニー。君と私の仲だろう……遠慮なく聞きたまえ、遠慮なく!」

ハニー「そう……それじゃ」

スラグホーン「ハーピーズの選手と会いたいのかね?それとも自伝の出版の話?いいとも、いいとも!ぜひ段取りをつけよう!その代わり、君とアルバスのお話を少し——」

ハニー「ホークラックス、のこと」

スラグホーン「」

ハニー「なのだけれど……」

スラグホーン「……」

ハニー「……」

スラグホーン「……いかしたフォークのことかね?」

ハニー「まじめに」


187 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/20(日) 16:02:05.23 ID:WDEILPKm0
スラグホーン「ハッハッハ、ハニ、ハッハッハ」

ハニー「……」

スラグホーン「フォークラックス?うん?なんのことやら、それは、確かになんだか私の名前と語感が似ているがねぇ!」

ハニー「……」

スラグホーン「そんなもの、聞いたことも!ハッハッハ、こりゃ傑作で!」

ハニー「……」

スラグホーン「ハッハッハ!ハッハ!ハ……は、ハ」

ハニー「……」

スラグホーン「……ダンブルドアだな?」

ハニー「……えぇ」

スラグホーン「……ダンブルドアが、君にあの記憶を見せたのだな?」

ハニー「えぇ、そうよ。だって、あれは」

スラグホーン「『その記憶こそが奴を挫く手がかりとなるはずなのじゃ』!?そんな文句はすでに聞いている!それで!!」

ハニー「……」

スラグホーン「それが間違っていたことは記憶を見た君がよーーーーく知っているはずだろう!!私は、私は確かにあの生徒に!!あぁ、すこーしばかり特別扱いをしていたことがあったかもしれんが!」

スラグホーン「何も教えていない!!!何も、だ!!!!何も知らない!それが事実だろう!」

ハニー「あの記憶には、不足している部分があったわ」

スラグホーン「そうかね?そう思うかね!?残念だ、君は母上の頭脳に似ていると思っていた!君は間違っている!私は、間違えてなどいない!!!」

ドタバタドタバタ!

バターーーン!

ハニー「……」

ハニー「……あの顔」

ハニー「……あの時の、シリウスと。同じ、だわ」


188 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/20(日) 16:21:04.24 ID:WDEILPKm0
放課後

図書館

ハーマイオニー「あなたも魔法薬の先生もびっくり!な回答も、記憶を聞きだす手段にはならなかった、というわけね。ご愁傷様」

ハニー「拗ねてる顔もそそられるけれど、まじめに聞いて頂戴……」

ハーマイオニー「あなたと一緒でいつだって大真面目よ、私は。今だって、ホークラックスについて探しているところだもの」

ハニー「あなた、在学中にこの図書館の本すべて読んでしまうつもり?」

ハーマイオニー「夜が空いていたらそれも可能だったかもしれないわね。いい、ハニー。ホークラックスのことは、どうやってもスラグホーンから聞き出すしかないようよ」

ハニー「そう……やっぱり、どこにもないの」

ハーマイオニー「たった一言だけ、『もっとも邪悪なる呪文』の序章に……『ホークラックス、魔法の中で最も邪悪なる発明なり。我らはそれを語りもせず、説きもせず——』じゃあどうしてわざわざ書くのかしら!まったくもう!」

ハニー「……マーリンの?」

ハーマイオニー「言わないわよ、言うもんですか! とにかく、ハニー。スラグホーンに警戒されたなら、しばらくおとなしくして様子を見たほうがいいわ」

ハニー「おとなしく、ねぇ」

ハーマイオニー「そうよ。具体的には、授業でもあまり目立たないように、ほら。あのプリンスの教科書はしまっておく、とか……きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうね。ハーマイオニー?あまり目立ってはいけないもの、こんなことも今後、おおっぴらにはできないのかしら……?」

ハーマイオニー「あっ、ちょ、ハニー。そんな、そもそもこれは、人前でやっていいものじゃないって何度……あぁ、でも、今は誰も……違うわ、そんな、チズパーフルみたいに隠れた場所で、なんて、あぁ……」

談話室

ロン「つ づ け て !!!」

ネビル「うわっ、びっくりした! ろ、ロン?その鍋頭から取れば?反響してうるさいよ……えっ!?いまどうぞるような状況なのかい!?もう、なんで君こんなところにいるのさ!一番豚の名が泣くよ!!!」

ロン「髭!!!」

ネビル「うるさいよ!」

ロン「い や ミ ス タ ー ほ ら 貝 の 君 に 言 わ れ た く な い け ど ね ! 」


190 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/20(日) 16:38:44.00 ID:WDEILPKm0
二月

放課後 大広間

ガヤガヤガヤガヤ

ハニー「……私がこの特別授業を受けても、テストを受けられるのは17歳になる来年度だわ」

ハーマイオニー「受けて損をするわけじゃないでしょう? スラグホーンの方がどうにもならないんだし、気分を変えてみればいいじゃない」

ハニー「私が気分を変える方法は『姿くらまし』じゃなくてあなたとどこかあっちの暗がりにくらますことよ」

ロン「つづ……」

ラベンダー「ウォン-ウォン!がんばりましょうね!使えるようになったら私と愛の逃避行、きゃっ♪」

ロン「あ、鍋忘れっちまった。マー髭」

ハーマイオニー「……他人の姿をくらませる魔法って何があるかしら」

ネビル「き、君ならたくさん知ってそうだよね、うん」

マクゴナガル「みなさん静粛に!静粛に!こちらは、魔法省からいらっしゃった『姿あらわし』呪文の訓練官、ウィルキー・トワイクロスさんです!」

ザワザワザワザワ

ハニー「……どこかしら」

ハーマイオニー「ハニー、何を言ってるの?マクゴナガル先生の隣……あら?あ、いたわ……えっ?消え、あら?」

トワ—クロ—「どう——みなさん。私は十二週間かけ——みなさんの指——」

マクゴナガル「トワイクロス!!!姿をはっきりおさせなさい!!!!」

トワイクロス「ハッ!!! あ、あぁ。すみませんマクゴナガル女史。いやぁ、ハハ……この呪文の訓練官なんて仕事をずっとしていますと、なんですか」

トワイクロ——「自分がどこにいるんだk——姿がこう——曖昧」

マクゴナガル「トワイクロス!!!」

トワイクロス「ハッ!!あ、はは。それで?ここはジャパンのマホウトコロでしたっけ?」

ハニー「……やっぱりやめたいわ、この呪文習うの」

ハーマイオニー「み、みんながみんなあぁなるわけじゃない、はずよ。えぇ」


191 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/20(日) 16:59:14.38 ID:WDEILPKm0
トワイクロス「改めましてこんにちわ。呼ばれて飛び出て、トワイクロスです」

マクゴナガル「無駄に印象づけなくてよろしい」

トワイクロス「十二週間かけ、みなさんがこの呪文のテストに通るよう指導させていただきます。このように——」

クルッ サッ

パッ

トワイクロス「身を翻して姿をくらまし、異なる場所に姿をあらわす。私が今行ったように、マクゴナガル女史の隣から」

トワイクロス「このように、大変美しいお嬢さんの足元に寝そべることも可能でぐふぁああーーーー!!!」

ロン「させると思うかこの野郎!!おい豚ども!!!こいつとっ捕まえろ!!ハニーの下着を盗み見ようなんてこの野郎が屠殺ですむと思うなヒンヒンヒーーン!」

ヒンヒーーン! ヒーーーーーン!
 コロセェーーーーーー!!

ハニー「……やっぱりやめたいわ」

ハーマイオニー「あー……そうね、えぇ……でも、便利で……あー」

ハニー「便利なのは私の豚さんたちだけで十分だもの」

トワイクロス「待ちなさい諸君!私は実演して見せただけです!なんです!?何を怒ることがあるんです!?」

トワイクロス「こんな魔法が使えて悪用しないほうがおかしいでしょう!?違いますか!?え!?」

トワイクロス「みなさんは考えたことがありませんか!?今あのアングルで上を見られれば、今あの部屋に入って中をのぞけたら!」

トワイクロス「私は!魔術のもつ!!我々野郎の根幹に関わる欲求を!!!実現する手段としてのこの魔法のすばらしさを——」

マクゴナガル「えぇ、そしてトワイクロス。いつもいつも、その結果どのような制裁が待っているか、生徒たちによーく分からせるための実演、ご苦労様です」

スネイプ「」バチバチバチバチバチ

トワイクロス「お、おや、どうしていつもはそんな知らぬ存ぜぬくだらないって体のスネイプ教授まで——あぁ、これ、私、本当に消えてしまうのでは——儚い人生だった」

ロン「あんたの存在感くらいにね。マーリンの髭」


192 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/20(日) 17:05:13.12 ID:WDEILPKm0
尻切れになるがここで区切らせてフォしィ。申し訳ない
次回は来週の土曜の夜になる
じゃあの!

212 : ◆GPcj7MxBSM 2013/10/27(日) 00:11:12.42 ID:FfPQsHFx0
すまない
来週に延期させてほしい
申し訳ない

220 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 16:26:24.24 ID:xYO/scGQ0
トワイクロス「ゴフッ、この、ゲフッ、私が逃げられなかったように、この城では本来、姿あらわしの魔法は使えません」

トワイクロス「この訓練の日に限り校長がその措置を解除してくださるので、で、実際一回出来たので今回こそ、いけるかな、とおもったのですが」

トワイクロス「だめでした。くそぅ。目が痛い、凄く目が痛い誰か凄く眼を呪ってきた」

マクゴナガル「進めなさい早く」

トワイクロス「よろしい——みなさんこちらを」

パッ

ハーマイオニー「床にたくさん、フラフープのような輪が現れたわね」

ハニー「移動するときのあのグルグルする感覚でも体感させるのかしら」

トワイクロス「本日はその輪の中に姿現しする練習です。一人一つずつ、輪の前に立ってください。前に——」

マクゴナガル「トワイクロス!!」

トワイクロス「ハッ! あぁ、びっくりした。輪を頭の上に浮かばせてる人たちの前にいたような気がする」

ザワザワザワザワ バタバタ

ハニー「みんな押し合いへし合いして移動し始めたわね……私は帰りたいけれど」

フリットウィック「みんな落ち着きなさい!レイブンクロー生、一番前でなくともちゃんと教えてもらえますよ!」

マクゴナガル「グリフィンドール!!回して遊ばない!!!紳士たる態度をとりなさい!」

スプラウト「みんな、頑張りなさいな!」

スネイプ「ポッター、不真面目な態度に五点減点」

ハニー「生徒見てなさいよあなた」


222 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 16:37:24.85 ID:xYO/scGQ0
マクゴナガル「全くですセブルス!寮監の仕事をおやりなさい……ミスター・マルフォイ!」

マルフォイ「いいか、お前たちが何を言おうと……はい、『先生』」

マクゴナガル「いつまでも広間の隅におらずに移動しなさい!学ぶ意思はおありなのでしょうね!」

マルフォイ「チッ……フォーイ」

マクゴナガル「……ふざけているのか本当にただ返事をしているのか判断に迷うのが困ったところです。グリフィンドール!輪投げを始めない!!」

ガヤガヤガヤガヤ

ハニー「……マルフォイの奴……取り巻きと何か、話していたわね」

ハーマイオニー「ハニー、私達も早く行きましょう?えっと、いい?一人一つの輪よ?先手を打っておくわ!いい?」

ハニー「それはそれは俄然楽しそうに思えるけれど……ハーマイオニー、私、ちょっと行ってくる……あっちでも何か、コソコソ話しているもの」

ハーマイオニー「? ちょっと、ハニー?どこに……」

ハニー「しっかり身につけて、寂しい夜には私のところにあなたから、来られるようにしてね」

ハーマイオニー「この術を身につけなくったって、いつもそう……ハニー!?」

ネビル「……ロンがいないと二人の話がダダ流れで大変だなぁ。ツッコミって凄い」

ラベンダー「ウォーンウォン!一緒の輪使いましょ?ねっ!きゃっ♪」

ロン「ちょ、離してくれよ!なんだかどうぞれる雰囲気が、くそぅ!マー髭!」


224 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 17:02:25.09 ID:xYO/scGQ0
ザワザワザワ

ハニー「中々移動の騒ぎは収まらないみたい……好都合だわ。マルフォイは、未だに話続けて居るようだもの」

ハニー「……」

ハニー「なんだか反抗的な顔をしてる、クラッブ、ゴイルと」

ハニー「……調教が済んでいなかったのかしら、ね」

ハニー「……後ろに回って、聞き耳を……この私がコソコソするだなんて、癪だけれど」

マルフォイ「いいか!あとどのくらいかかるか、僕だってわからないんだ!」

クラッブ「ゴアッ!!」

ゴイル「ウホウホォ!」

マルフォイ「あんな格好するのも、待たされるのも懲り懲りだって!?分かってる!だけど仕方ないだろう!考えていたより時間がかかっているんだ!」

クラッブ「……能無s」ボソッ

マルフォイ「うん?そうだな、あのノータリンなボージンのせいだまったく、困ルフォイ」

ゴイル「……どの口が」ボソッ

マルフォイ「うん?あぁ、これ以上待たせるようなら、あいつにはグレイバックの口が待って居るだろうさ」

ハニー「……」

マルフォイ「とにかく、いいか?お前たちは黙って見張りだけやっていろ!僕が中で何をやっていようが、お前たちには関係が——」

ハニー「私なら、友達に見張りを頼むなら自分の目的を話すけれど」

マルフォイ「!! この——」

マクゴナガル「静かに!!!!鼠に変身して私とミセス・ノリスの暇つぶしになりたいですか!?!?!?」

ハニー「……」

マルフォイ「……黙るフォイ」


228 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 17:17:44.30 ID:xYO/scGQ0
トワイクロス「『姿現し』で大切なことは三つのDです!」

トワイクロス「『どこへ』『どうしても』『どういう意図で』!」

トワイクロス「リピートアフタミー!『どこへ——」

マクゴナガル「『どこへ』行くんですトワイクロス!!!!」

トワイクロス「ハッ!あぁ、ハハハ。少し常夏の国に意識が言っていたせいで頭がボーっと……ごフォん。『どこへ』!」

どこへ!

トワイクロス「『どうしても』!」

どうしても!

トワイクロス「『どういう意図で』!」

どういう意図で!

トワイクロス「つまりは、おにゃのこのツンパを拝みたいな、という気持ちさえあれば余裕と言うことです野郎諸君」

マクゴナガル「まだ脳が湯だって居るようですね。セブルス」

スネイプ「『アグアメンティ』」


231 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 17:31:10.98 ID:xYO/scGQ0
ハニー「(『どこへ』『どうしても』『どういう意図で』ね……あぁ、全く頭に入らないわ。マルフォイは……何のことを話していたの?)」

トワイクロス「ゴホッ、ゴホッ、ゲホッ。どうも」

スネイプ「礼に及ばん。物足りぬなら我輩の懐から水よりも頭の冷えるものを差し上げますがな?」

トワイクロス「結構、結構……それでは、みなさん。目の前の輪を見ながら、第一ステップ。『どこへ』に集中を!」

ハニー「(どこへ……輪っか……丸い輪……マルフォイは、『見張り』とはっきり言ったわ。それに、ボージンの名前も)」

トワイクロス「第二のステップ!『どうしても』という気持ちを、目的の空間に集中させる!」

ハニー「(つまり……やっぱりあそこで企んでいたことを、この城で……どうしても、成し遂げる気で)」

トワイクロス「第三のステップ!私が号令をかけた瞬間に、その場で回転する!無の中に入り込む感覚で、『どういう意図で』行くかを慎重に考えながら!」

ハニー「(さっぱり、集中できないわね……私が、行きたいところなんて……どうしても、行きたいのは……聖マンゴくら——うるさいわ)」

トワイクロス「では!いーち——にー——さん!」

クルッ

パッ

ドサドサドサドサッ!!!!

ハニー「……だめね。あの意地悪豚なら、こことあの病室なら移動させてくれるかと少し、すこーしだけ期待したけれ……あら、豚さんたち?どうして私の前の輪の中で折り重なっているのかしら。言われる前から跪くのは見上げた姿勢だけれど」

ネビル「ヒンヒン!ああハニー!!!すごいや!!僕達、君のとこにいきたいなぁっておもったら!」

シェーマス「なんだかすごく集中できて!気づいたらこの輪にヒンヒン!」

アーニー「あぁ!ハニーは僕らの希望の光だなぁ!ヒンヒン!」

ジャスティン「ヒンヒン!」

ヒンヒンヒーーーーーン!!!

トワイクロス「——あー、今年の生徒さんたちは、あー、素質大、ですね?とくにグリフィンドールは」

マクゴナガル「……何の素質かは聞きません。聞くものですか」

ロン「……」

ハーマイオニー「……輪を間違えておいでのようですけど」

ロン「あ、あぁ、まったく!僕ぁこの呪文に限っちゃチャーリー兄貴譲りらしいよ!もちのロンでね!ヒンヒン!ごめんよハニー!」

ハニー「ロン」

ロン「なんだいハニー!」

ハニー「心から褒めてあげるわ」


232 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 17:48:19.67 ID:xYO/scGQ0





トワイクロス「一部生徒さんの中で『バラけ』も見られましたが、寮監のみなさんのおかげでなんとかなりました」

トワイクロス「個人的にはその女生徒をどうして専門家である私に見させてくれなかったのか不満タラタラですが」

マクゴナガル「素行の一言です」

トワイクロス「儚いなぁ世の中って。ではみなさん、次の訓練で会いましょう——」

スゥゥゥッ

ハニー「……今度こそ本当に消えたわ」

ロン「何度でも消えっちまえばいいのにな、あぁ。えーっとさ、ハニー……い、行こうか」

ハニー「あら?私の豚は、放課後はラベンダーとの時間をとらせているはずだけれど?」

ロン「僕の時間は生涯君に向けられてるけどさ……あー、分かるだろ?あのさ、えーっと、ちょっと……」

ラベンダー「ハニーなら、まだいいわ。仕方ないもの!でもどうして!ウォン−ウォンは!あなたの前に出てきたの!!なんなの!」

ハーマイオニー「私に言わないで。被害者よこっちは」

ラベンダー「嘘!あなた、ウォン−ウォンに色目を使ってたんだわ!それでウォン−ウォンは」

ハーマイオニー「ウォンウォンウォンウォンうるさいわね。バイクか何かなの、ラベンダーって」

ロン「……僕は黙ってろ、って」

ハニー「……当事者たちに、任せましょうか。丁度いいわ……ロン」

ロン「ヒンヒン!オーケーハニー、何か急ぎみたいだね!乗りなよ!」

ハニー「話が早くて本当に助かるわ……マルフォイ達が、揃って大広間を出て行ってる……急ぎなさい」

ロン「あいつらをつけるのかい?足音がフォイフォイ言ってるから簡単だけどさ」

ハニー「いいえ……私達の談話室に。直に見張るよりもっと、いい手段があるもの」

ロン「了解!急ぎなら迷わずこっちの近道——おっと!」

ピーブズ「ヘェーーーーッヘヘヘェーーーーーーーー!通してほーしけりゃテメェーのズボンに火ぃつーけなーーぁ!」

ハニー「ロン」

ロン「オーケーハニー!そーれ『インセンディオ』!!!」ボォオオオオオオオオ!

ピーブズ「!?!?ば、バカかテメェら!!!!!!!!」


236 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 18:06:47.11 ID:xYO/scGQ0
談話室

ロン「足だけ焼き豚になっちまったよ、マーリンの髭」

ハニー「出来る豚は好きよ。それと、さっきのとってもステキな『姿あらわし』を褒めてあげないといけなかったわね」フーッ

ロン「うひゃぁヒンヒン!ありがとう!失敗してよかった!!!」

ハニー「大成功だとおもうけれど……さて、持ってきたわ」

ロン「世界の平和と安寧を?」

ハニー「えぇ、そうね。常に携えているわ。これよ……『忍びの地図』」

ロン「あぁ、城中でどこで誰がなにしてるか分かる地図で、君のお父さんとかミスターチョコレートとか裏切りネズ公とか君の旦那とかがつく痛い!!ありがとう!ヒンヒン」

ハニー「そうだけれどやめなさい……『我、ここに誓う。我、よからぬ事を企む者なり』 少なくともマルフォイは、企んでいるわ」

スゥゥゥゥゥゥ

ロン「あぁ、まーた奴さんのことなんだねハニー……おっ、ご親切にスリザリン寮がアップになってる。豚かな?あ、ちがうか。ハニーのむk痛い!」

ハニー「しつこい豚は嫌いよ……クラッブ、ゴイル、パーキンソン、ザビニと一緒ね」

ロン「マルフォイが真ん中、ゴリラ二頭が真ん前、パグ犬はマルフォイのすぐ後ろ?ザビニの野郎は壁際にいるところを見ると、もたれて足くんで最高にザビニってるんだろうね、もちのロンで」

ハニー「まだ使うのね、それ……今日は何もしないのかしら。流石に談話室で事を起こそうとするはずは、ないもの……」

ロン「僕らの会議は深夜のここでやってるけどね。なぁハニー、なんのことだい?君の考えが間違ってるなんてこと天地がひっくりかえってもないけどさ」

ハニー「えぇ、そうね。間違いのない事実だもの……きめたわ。これからは休み時間、マルフォイから……目を離して、やらないんだから」

ロン「…………あいつを羨ましいと思う日がくるだなんてね。マーリンの髭!!!髭!!!!」


239 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 18:31:05.22 ID:xYO/scGQ0
二月終盤

放課後 図書室

ハニー「……また、いなくなってるわ」

ハーマイオニー「……ねぇハニー?あの教科書のことが落ち着いたと思ったら、今度はその地図にご熱心で……宿題をしましょうよ」

ハニー「私にとっては何よりの課題だもの。ねぇ、ハーマイオニー?ホグズミート休暇でもないのに城から抜け出すなんてこと、可能かしら……」

ハーマイオニー「少し前なら、それも有り得たかもしれないわ。でも、今の厳戒態勢ではとても無理よ」

ハニー「そう、よね……マルフォイなんかが、パパたちの知らない抜け道なんてものを知っているはずがないし」

ハーマイオニー「でも、マルフォイなんて名前見逃すはずがないわ。いやでも目立つもの」

ハニー「クラッブ、ゴイルはここにいるわね。二人で……廊下に」

ハーマイオニー「腰巾着二人を置いて、マルフォイはどこに……あー、私までそっちが気になってきたわ」

ハニー「……みんな成長してしまった、ってことかしら……あなたとロンみたいに……中々進展はしないけれど」

ハーマイオニー「なんのことかしら!よ!オホン その地図が間違ってる、ということは?」

ハニー「ありえない、って昔、リーマスが言ってたわ」

ハーマイオニー「スリザリン寮までカバーしているものね、その地図……どういうことなのかしら今更だけど」

ハニー「……あの鼠?」

ハーマイオニー「……あー」

ハニー「考えるのはやめましょう。今度リーマスに聞けばいいわ……シリウスにでも、ね」

ハーマイオニー「そうね、えぇ。すぐに聞けると思うわ……さぁハニー、お婿さんが起きた時に立派な大人でいられるよう、しっかり勉強を……きゃぁ!?」

ハニー「えぇ、そうねハーマイオニー。しっかり女を磨かなきゃ、そうでしょ?でも私、どうすればいいのか分からないの。おしえて、くれる……?」

ハーマイオニー「っちょ、ハニー、だから、誰もいないからって図書館で、だめ、あぁ、そんなこと、あなたにかかれば、ナールとハリネズミの見分け方くらい、簡単なこと、じゃない……」

バサバサッ

パラッ

本『つづけて』

本2『どうぞ』


245 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 18:41:59.98 ID:xYO/scGQ0
ちょいメシ
19時半には戻る

247 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 20:20:10.16 ID:xYO/scGQ0
三月一日

グリフィンドール男子寮

コンコンッ

ガチャッ

ハニー「入るわよ、ロン」

ロン「あぁハニー!僕のハニー!朝から君の顔をそれもこの寝室で見られるなんて僕ぁなんて光栄なんだろう!ヒンヒン!」

ハニー「出来る豚さんの誕生日だもの、飼い主としてこれくれいはしてあげるのが当然、そうでしょ?」

ロン「ヒンヒーーーン!」

ハニー「ネビルにディーン、それにシェーマスはどうしたのかしら」

ロン「ネビルは、休日だってのにスプラウトんとこで自主補習だってさ。ディーンはジニーと会うとかなんとか髭。シェーマスは朝食に行っちまったよ。おしい奴らだよな、すぐ後にその扉から幸運が人の姿を模した存在が現れるとも知らずに」

ハニー「それはそれは残念でしょうね、えぇ。さ、プレゼントよ。もっとも、随分たくさんもらっているようだけれど?」

ロン「とんでもない!!とんでも!!!君からの贈り物がもらえるならその他なんて髭以下だよマーリンの!なんだこのカード!」

ポイッ、 パカッ

『愛してる~~~♪ウォンウォ~~~ン♪』

ハニー「……」

ロン「……僕、もう参っちまったよ……そりゃ、最初はノリがいいし、その、楽しい部分もあったけどさ……なんていうんだろうな」

ハニー「……(私からはもう何も助言しないわ、こじらせるわけにもいかないもの)」

ハニー「……でも、少し手助けを、するくらいなら」

ロン「? なんだいハニー!思案する横顔も最高だね!」

ハニー「知ってるわ。はい、これは私から」

ロン「! ハニー色のクィディッチグローブだ!!!やった!!!!ありがとうハニー!あぁでももったいなさすぎてこれでクァッフルを掴むなんて……ハニー色のグローブでハニー色のクァッフルを掴む!!!なんて豪華なんだ!!!豚でよかった!!ヒンヒーーーーン!」

ハニー「……パパも同じようなグローブつけてたのかしら、もしかして」

ロン「なんのことだい?」

ハニー「こっちの話よ」


248 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 20:33:32.68 ID:xYO/scGQ0
ハニー「それで……もう一つあるのだけれど」

ロン「本当かいハニー!なんてこった!僕もしかして生まれたこの日に死ぬんじゃないかな!」

ハニー「物騒なことを言うんじゃないの」

ロン「それくらい幸福すぎるってことさ!あぁでもそしたら僕ぁ毎日死ぬような目に合わなきゃな、君のクッションで要られるなんてね今みたいに」

ハニー「座りごごちのいい貴方のそれは義務だと思うけれど」

ロン「もちのロンさ!そ、それで、その箱……」

ハニー「誰からか、は。言わないわ」

ロン「……」

ハニー「いい匂いがするでしょう?きっと、お菓子でしょうね。あなた好みの?」

ロン「あー……あの、それってもしかして」

ハニー「味わってから自分で判断しなさい、いいわね?」

ロン「……さ、最後に開けていいかな!あー、うん!ほら、残り物にはなんとやら、ってさ!」

ハニー「そうしたいなら、そうさせてあげるわ」

ハニー「(ハーマイオニーも、本当に。素直じゃないんだから)」

ハニー「(昨日の晩、イロイロ済ませた後「明日ロンにバースデープレゼントを渡しにいくけれど、一緒にどう?」って聞いたら)」

ハニー「(「折角の幸せな気分に水を差す名前をだすのはやめて」だなんて、そっぽを向いておいて)」

ハニー「(朝になったら、私の枕元にあの箱があるんだもの)」

ハニー「(ふふっ……これでロンが……うまくいけばいい、けれど)」

ハニー「(それにしても……ハーマイオニーにしては随分思い切った包装よね……ピンク地に赤いハート柄……?まるで、他の人みたい)」

ハニー「……(でも恋は人を変える、って、聞いたことがあるわ、えぇ!)」


251 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 20:52:04.81 ID:xYO/scGQ0
ハニー「さて、丁度いいわ。あなたと私以外誰もいないし、ロンがプレゼントを開けている間、私はここでマルフォイの観察をしようかしら」

ロン「あぁ全く、奴さんも毎日幸福だよな君に注目されるだなんてさ。企みとやらがボカスカ上手くいくんじゃないかな」

ハニー「やめなさい。ほら、お母様からのプレゼントはなんだったの?」

ロン「なんだろうね、やけに重いけど君から世界中への愛情くらい……ワァーオ!マーリンの髭!すっげぇや、こんな時計、ママったらどうやって買ったんだろ!!」

ハニー「なぁに?……まぁ……とっても綺麗な、金時計ね。星が針の変わりに、クルクル動いてるわ」

ロン「なんだっけな、成人した魔法使いには時計を送るなんとかがあるんだよ、うん。おったまげー……来年もう一回成人したいなぁ」

ハニー「お母様にはしっかりとお礼を言いなさい? 『我、ここに誓う。我、よからぬ事を企む者なり』」

スゥゥゥゥゥッ

ロン「ハグリッドからは……大鍋ケーキだ。手づくりじゃないよな?手づくりは、あー、一つで十分だよ、うん」

ハニー「そうでしょうね……マルフォイが消えてるわ」

ロン「この世界から?そりゃいいや」

ハニー「それはそれで、私の悩み事が減るでしょうけれど」


253 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 21:21:40.59 ID:xYO/scGQ0
ハニー「マルフォイが地図から消える理由……どういうことなの、かしら」

ロン「まったく今年は大収穫だ……さ、さて、と」

ハニー「大広間のどこにも、どのトイレにも、スネイプの研究室にだって……クラッブとゴイルは、また二人でいるみたいだわ」

ロン「最後に、こいつ……なんだよこの、あー、頭が幸せそうな箱。ハニーとナニかした後に袋詰めでもしたのかな、まったく……」

ハニー「この地図に載らずにいられる、方法……一番いいのは、『透明マント』を使ってマルフォイをずーっと尾行することなんでしょうけれど」

ロン「……カップケーキだ」

ハニー「でもそれじゃ、私が授業に出ていないことなんかが問題になるもの……現実的ではないわね」

ロン「く、クリームで、『愛するあなたへ』!?ま、マーリンの髭!なんの冗談だかねまったく!このカップケーキ、薬でも盛られっちまってるんじゃないか!?」

ハニー「何か、方法……豚のみんなに……いいえ、あまり吹聴するのも……」

ロン「……」

パクッ

ハニー「……はぁ。考えても仕方ないわね。ロン、プレゼントはもう開け終わったのかしら? 朝食に……えぇ、あなたはいろんな意味でお腹一杯かもしれないけれど」

ロン「……うん……胸いっぱいだよ、ハニー」

ハニー「そうでしょうね。さぁ、大広間に——」

ロン「僕、気づいたんだ……彼女のこと、愛してる!」

ハニー「!」

ロン「どうしても彼女のことを考えっちまう!なんてことだ、僕は君の豚なのに!あぁ、豚、豚ってなんだろう、そもそもブヒブヒ鳴くのが豚じゃ、オラッ!」バキャッ!!!

ハニー「!?ど、どうして自分を殴るの、ロン!?じ、自分を大事にしない豚は、あの」

ロン「バカヤロウ豚はヒンヒン鳴くんだそれが僕のハニーの決定ででもあぁ僕、僕は彼女がふざけろこの豚、あ、あぁ……!」

ハニー「ろ、ロン……?言ったでしょう?私はあなたの飼い主だけれど、あなたの想いまで私のせいで我慢することはないわ」

ロン「ハニー……」

ハニー「素直になって。ね? 気づいたんでしょう? そうよね?」

ロン「そうなんだ……僕……愛してるんだ!」

ハニー「えぇ、おめでとう!!」

ロン「ロメルダ・ベインを!!!!」

ハニー「……………………え」


255 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 21:27:22.73 ID:xYO/scGQ0
×ロメルダ
○ロミルダ
マーリンの髭

258 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 21:37:49.39 ID:xYO/scGQ0
ハニー「ろ、ロミルダ……?って、二つ下の学年の……」

ロン「あぁ、彼女が君に熱い視線送ってるのは知ってるよ!同胞じゃないけど、それに近いものに僕は何時の間にか惹かれっちまったんだきっと!」

ハニー「そ、そう、なの?けれど……」

ロン「あの流れるような黒髪!絹のようになめらか、あぁ、もちろん君には劣、なに言ってんだロミルダの方が、オラ!」バキャッ!!

ハニー「」ビクッ

ロン「ふざけろハニーと比べんなでもさ彼女もね素晴らしい髪の毛がさ、ハニー!分かってくれるよね!」

ハニー「え、えぇ、あの……なんだか、様子が」

ロン「それにあのぱっちりした目!素晴らしいよな、あぁ……」

ハニー「えーっと、ロン?そもそもあなたは、あの……ロミルダと話したこと、は?」

ロン「ないよ?」

ハニー「……ラベンダーは友達だしあなたとも仲があったから何も言わなかったけれど、そんな相手は容認しかねるわ」

ロン「ヒンヒン!君が言うなら何だよハニーそんなの僕の好きにオラァッ!」バキャッ!!

ハニー「」ビクッ

ロン「あぁ、ごめんよハニーどうしちまったんだろ僕ってば君に口答えあぁハニーあぁ、ロミルダ……ロミルダ、ハニー、キャノンズ、ハニー、ハーマ……マー髭」ブツブツブツブツブツ

ハニー「……」

スッ

ハニー「……包装の中にはいってた、カード」

『愛するハニーへ 素敵な隠し味をどうぞ   ロミルダ・ベイン』

ハニー「……ロン。ロミルダに、会わせてあげるわ。ついてきなさい」

ロン「!君も最高だねハニ、オラッ!」バキャッ!

ハニー「」ビクッ


260 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 22:15:43.27 ID:xYO/scGQ0
スラグホーンの研究室

ドンドンドン!

ハニー「先生、いらっしゃるかしら!スラグホーン先生!」

ロン「ハニー、こんなとこに何の用があるんだい?早くロミルダに、いや、君と歩けるだけでも、おらっ!」バキャッ!

ハニー「いい加減にしないと顔面が私色になるわよ、ロン! 先生!」

ガチャッ

スラグホーン「なんだね騒々しい……うわ惨劇だ」

ハニー「そのことで困って居るの。ロンが……あー、多分」

ロン「ロミルダ、あぁロミルダ……あの子は声もステキだなぁ。声聞いた事ないけど」

スラグホーン「……愛の妙薬かね?」

ハニー「……だと、思うわ。先生、解毒の薬をお願いできないかしら」

スラグホーン「ふむ……君ほどの魔法薬の名手なら、ハニー。容易いこととおもうがね?」

ハニー「……えーっと」

ロン「あぁ僕はなんて今までバカだったんだろう、彼女の素晴らしさに気づかなかったなんて!なにがハニ、おらっ!!!」バキャッ!!

ハニー「っ、この通りだもの、私は、ロンを見ておかないと、って。ロン!やめなさい!命令よ!」

ロン「ヒン、何がヒンだよ豚は、ぶ、おらっ!」バキャッ!!

ハニー「ロン!!!」

スラグホーン「……あい分かった。少し待ちなさい……ただし、アルバスの話は無しだ。いいね?」


266 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 22:41:07.58 ID:xYO/scGQ0
ハニー「一体どうやって、ロミルダはこんな効果のある薬を……あー……そういえば双子の店で、そのコーナーのあたりで見かけた、わね」

スラグホーン「ちょいと唾液を拝借するよ、あー、ウェーザビー。なぁに、君と彼女にぴったりな薬を作ってやろうと思ってね」

ロン「ほんと!マーリンの髭!何リットルくらいいるかな!」

スラグホーン「このかき混ぜ棒の先に触れるだけでいいなんだね何リットルって君そんな真似できるのかね」

ハニー「私が命令すれば、あるいは」

スラグホーン「……どっちに似たのかなそれは。ふむ、なるほどなるほど……あー……どうやら随分、生成されてから時間を置いたもののようだ」

ハニー「……ロミルダも流石に、こんな手段に出るのは迷ったのかしら」

スラグホーン「それが仇となったのだろうね、この薬は時間が経てば経つほど強力になる。そう、秘めた重いが年を重ねる毎に膨れ上がるがごとく、ね」

ロン「君の一等星みたいだよなハニ痛い!ありがとう!」

ハニー「なんでそういうところは普通なのよ!もう!」


268 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 23:03:39.46 ID:xYO/scGQ0
スラグホーン「ほーれ、出来た出来た!ホラス特製の、あー……イケメンニナールだ!」

ハニー「いくらなんでも……」

ロン「すごい!!ください!!!!それをのめばぼくもろみるだに!!!」

ハニー「……今のロンには、無駄のようだわ」

スラグホーン「ハハハ、慌てない慌てない。これは君専用なのだからね」

ロン「フォんとう!?」

スラグホーン「そうとも!聞き及んだが、君は今日が誕生日だそうじゃないか!うん、ウィーズリー家に恩を売っておくのは悪くない……」

ハニー「無駄な策略をめぐらせないでさっさと渡しなさい」

スラグホーン「……その目はやめてください寿命が縮まる。ほら、一気に飲みなs」

ロン「もちロンさ!!ゴッゴッゴッゴ・・・・・」

ハニー「……」

スラグホーン「……」

ロン「……先生」

スラグホーン「うん?」

ロン「その大鍋、まだ煮えたぎって熱いままですか?」

スラグホーン「あぁ、そうだなぁ。週明けに生徒に見せようと思っていた薬を煎じているから、きっと相当」

ロン「それはよかった。ハニー。今までありがマー髭!!!!!!!」

バシャァアアアアアアアン!!!

ハニー「!?ろ、ローーーーーーーン!?」

スラグホーン「魔法薬ーーーーーーー!?!?!?!?」


271 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 23:26:20.12 ID:xYO/scGQ0
ロン「もう僕死にたい」

スラグホーン「いやあの温度の魔法薬に突っ込んで無事なことがまず奇跡だがね……魔法薬ぅ」

ハニー「滅多なことを言わないの、ロン」

ロン「だって、ハニー。僕、僕ぁ、君の豚なのに、あんなことを口走って……」

ハニー「抵抗する意思は何度も見ていたわ」

ロン「ビクってなりながらね痛い!ありがとう!そのまま圧死させてください!」

ハニー「この私が許すと言っているのだけれど? それに……素直な名前も、少しだけ聞いたわ」

ロン「? 上機嫌な君も最高だね!いつだってだけど!」

スラグホーン「は、ハッハッハ!もう自棄だ!どーれ、ウィーズリー!君に気付けのためにいい酒を開けてやろう!」

ハニー「お酒?」

スラグホーン「失恋の痛手を拭うのはそれは一番だ! さぁて、バタービール、オーク樽製ハチミツ酒……こいつは贈り物の予定だったが、まあ……知らなければ残念とも思わないだろう」

トクトクトクトク……

スラグホーン「そーら、こいつも一気にやりなさい!」

ハニー「いいの、かしら……バタービールならまだしも、これって普通のお酒で。そういうのは……」

ロン「それじゃ先ずは僕は飲んでみるよ、ハニー!ほら、ハハハ!毒見もかねてね!ゴッゴgg」

パリーン!

スラグホーン「ハッハッハ、まだ誕生日おめでとうも言っていないのに…………うん?どうしたね、グラスが落ち……」

バタンッ

ハニー「ロン?そんなにこのお酒、強……ロン……ロン!?!?!?」

ロン「」ガタガタガタガタガタガタガタガタガタ

ハニー「ロン、ロン!?!?なんで、どうして、痙攣、ロン!?!?!?」

ロン「ブクブクブクブクブクブクヒゲブクブクブクブウブク」ガタガタガタガタガt


274 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/03(日) 23:46:07.57 ID:xYO/scGQ0
ハニー「口から、泡、せ、先生!スラグホーン、先生!!」

スラグホーン「まさか、何故……これは……」

ハニー「助けて!誰か、誰か……毒を、解毒する方法、なんて……私、わたし」

ハニー「……っ!!」

ガタッ!! バタバタバタバタッ

ロン「」ガクガクガクガクガクガク

ハニー「待ってなさい、ロン!!! ここに、あの時、は!ここに……」

ゴソゴソ ガタガタ

ハニー「! あった……『ベゾアール石』!!!ロン!!」

ロン「」ガクガクガクガクビクビクビクビクビク

ハニー「これを!!口に入れて!ロン!!言うこと、きいて!!ロン……ロン!」

グイッ 

ロン「」ガタガタガタガタガタガタ……ピタッ

ハニー「あ、あぁ……震え、が……止まって……?」

ロン「……」

ハニー「ろ、ロ、ン?」

ロン「……ハニーの指舐めらっしゃァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

ハニー「」ビクッ

ロン「」バタッ

ハニー「……もう」

スラグホーン「……どうして、こんなことに」

ハニー「そういうのは、後にしましょう。先生……ロンを、医務室に」


276 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/04(月) 00:00:29.07 ID:OiIu6PDG0
夕方

医務室前

フレッド「僕らの想定してたこいつの成人祝いとは、随分違うもんになっちまったなぁ」

ジョージ「あぁ。少なくとも思い描いてたのは、こいつの意識がある姿だったもんなぁ」

ハニー「……二人とも、ホグズミートで待っていたのね」

フレッド「そうともさ。ところがどっこい君達どころか村に生徒はだぁれも来やしないし」

ジョージ「なにごとかと思ってにゃんこ女史に連絡してみれば、この騒動だったってわけ」

ジニー「びっくりしたわ……ディーンをうっちゃってここに来たけど、まだ面会できないのね。ハニーがいるのにまったくもう」

ハニー「仕方がないわ。だって、本当に……」

ハーマイオニー「……ぐすっ」

フレッド「……えーっと?そこでしおらしく座ってらっしゃるのは、もしかしなくてもミス・グレンジャー?」

ジョージ「どうしたい我らが才女様。僕らと一緒に件の毒盛り犯人を突き止めるための推理をしないのかな?」

ハーマイオニー「ハーマイとるわよ……ぐすっ」

フレッド「こっえー、自覚したらどうなっちまうんだか」

ジョージ「彼女はずーっとこの有様ってわけかい?え?」

ハニー「……そうね」

ジニー「自分のせいだって取り乱すハニーに『絶対あなたのせいじゃないわ。むしろあなたはロンの命を救ったのじゃなきゃぁ!あぁ(略)』って言った後は、えぇ……」

フレッド「それはそれは、どんな時でも仲のよろしいこって」

ジョージ「奴さんが飛び起きなかったのがおかしいこったね」


279 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/04(月) 00:25:34.17 ID:OiIu6PDG0
フレッド「君がベゾアール石を思いついてくれてラッキーだったぜ。お陰でロニーは命拾いだった」

ジョージ「ほんとほんと。ハニー、君、いつから得意科目が女王学から魔法薬学になったんだい?」

ハニー「……私はもとからどんな科目だって得意どころか極めているけれど?」

フレッド・ジョージ「「違いねぇや」」

ジニー「ハニーは完璧だものね、うん。それで、スラグホーンがくれた飲み物に、毒は入ってたのよね?」

ハニー「そう、だと思うわ。あれを口にした瞬間、ロンは……」

ハーマイオニー「……ぐすっ」

ハニー「……あぁなって、しまったんだもの」

フレッド「スラグホーンってのは初めてみたけど、なんだかこうしょぼくれた爺さんだったなぁ」

ハニー「随分とショックを受けていたから、かしらね。普段は快活よ、無駄に」

ジョージ「そんなもんかい? ロンをそいつが狙ったって訳じゃぁないのかな、君の見立てじゃ」

ハニー「違うと思うわ。スラグホーン自身驚いて、うろたえていたもの」

ジニー「グラスを間違えた、とか……ハニーに渡そうとして……ちょっとコウモリの鼻くそまみれにしてくる」

ハニー「落ち着きなさい。有り得ないわよ、あの人が私にそんなことをしよう、だなんて」

フレッド「どうしてそういえるんだ?死喰い人(爆)かもしれないじゃないか」

ジョージ「そうそう、新任教師が闇の陣営(失笑)はお決まりだろう?ってね」

ハニー「どこの世界のお決まりかしらないけれど。それよりはむしろ、スラグホーン自身が狙われた可能性の方があるわね……えーっと、ダンブルドアにとって、あの人は必要な人材だもの」

ジニー「でも、誰かに贈るつもりだった。そう言ってなかった?ハニーの紡がれる言の葉は全てが金言な高貴な唇が」

ハニー「……そう、だったわね。えぇ……」

フレッド「結局、誰が何がなんだか、さっぱり検討つかないってとこか。僕らだけだとさ」

ジョージ「名探偵さんがだんまりだとなぁ。ヘイお嬢さん、ロニーショックは抜けたかい」

ハーマイオニー「私、無言呪文も覚えたの」

フレッド「ごめんなさい」

ジョージ「僕らが黙るよ」


282 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/04(月) 00:46:23.74 ID:OiIu6PDG0
フレッド「そういや、親父とおふくろはもう着いたのか?」

ジニー「二人より一時間くらい前に。今は、校長先生のところでお話し中だと思う」

ジョージ「そりゃ長引くといいな……よし、俺達は帰るよ」

ハニー「……どうして?まだ、ロンと面会できていないでしょう?」

フレッド「いや、いや。男ってのはさ、ハニー。一々顔を合わせなくったって」

ジョージ「無事だってことが分かればそれでいいのさ。そんじゃ、また……あ」

ハニー「?」

モリー「ハニー、あぁ、ハニー!!」

ハニー「お母様!さっきは、話す余裕がなかったけれど、あの……あっ」

ギュゥゥゥゥッ

モリー「校長先生に全部聞きましたよ!あぁ、ハニー!あなたは、ジニーも、アーサーの命も助けてくれたのに……あぁ、今度はロンまで救ってくれて!あぁ、なんてお礼を、言えばいいのか!」

ハニー「あ、あの、お母様……私」

アーサー「考えてみれば、家族の半分近くは君に命を救われてる……ハニー、君には本当に感謝しなくてはいけない」

フレッド「あれ?親父ってば、数を間違えてないか?」

ジョージ「だよな。九人中三人を半分ってのはなぁ?」

モリー「お前たち二人を除いてです」

フレッド「……あー」

ジョージ「……うん」

アーサー「……そもそもこんな事態になった大元のこと、だがね。どうやらある女生徒が……とある筋から薬を入手した、と?」

フレッド「……」

ジョージ「……」

ハニー「えっと、お、お母様、お父様。だから、私が余計なことをしなければ、その……」

ハーマイオニー「」バチバチバチバチバチバチ

ハニー「……」

フレッド「……せめて、さ」

ジョージ「慈悲ある裁きを」

ハーマイオニー「お生憎、手加減は出来かねるわ」


283 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/04(月) 01:03:20.85 ID:OiIu6PDG0
医務室

マダム・ポンフリー「双子被害者専用ベッドが、まさかあなたたちが卒業した後、しかもあなたたちで使うことになるなんてねぇ」

フレッド「僕らもおったまげーですよマダム。へいロニー、元気かぁ?」

ジョージ「お前の兄貴達はひっでぇ紫色のブツブツに参ってるけどな!」

ハーマイオニー「自業自得よ……あぁ、ロン」

ハニー「……ロン」

ロン「……」

モリー「ひどい顔色だわ……でも、生きてる。えぇ、それが重要で……あぁ、よかった」

アーサー「ハニー。ロンが君の足元に跪いた瞬間こそ、ウィーズリー家にとって幸運な日だったことだろう」

ハニー「……もう少し感動のシーンを選んでほしかった、けれど」

バターン!

ハグリッド「ロンが毒盛られて死にかけた上ハニーの指を舐めただって!え!?!?」

ハニー「騒がしい豚は嫌いよ」

ハグリッド「ヒンヒン!」

ハーマイオニー「というか最後はどういうことなの、聞いてないわ。泣いて損して……泣いてはいないけど」

ジニー「ハーマイオニー、気持ちは分かるしあとでそのことは定例会議にかけるからロンの側頭部の髪をむしるのはやめてあげて」

アーサー「鬼だ……鬼嫁だぁ」

ハニー「気が早いわ、お父様」


287 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/04(月) 01:23:49.89 ID:OiIu6PDG0
ハグリッド「ひでぇ話だ……誰がロンを苦しめようだなんて思う?妬む豚だってここまではしねぇ」

ハーマイオニー「さらっと手前くらいまではしかねないって言わないで。すごくわかるけど」

ハグリッド「アラゴグの具合が悪くってよぉ……昔よう読んでやった絵本を読ませに森におったんだが、グロウプが『なんだか城が騒がしいですよ、兄さん』ってなぁ」

ハニー「……何も言わないわ」

ハグリッド「ロンの寝顔をみてみろ……なぁ、モリー。ロンを傷つけようだなんて思う奴はいねぇ、なんかの間違いだ」

モリー「あり、ありがとう、ハグリッド……えぇ、ロンはむかしっから、かわいいロニーちゃんで」

ハグリッド「おぉ、ボウトラックルくれぇかわいかったろうな、うん。城中、ロンが毒でぶっ倒れたっちゅう話でもちきりだったぞ」

ジニー「私がマクゴナガル先生に知らされるまでは、ロンがついに一番豚の称号を狙ったネビルと一騎打ちして下された、って筋書きだったわ」

ハーマイオニー「尾ひれつくのが早すぎよホグワーツ」

ハニー「……と、なれば。ロンが面会できる状態になった、っていうのも……きっと、彼女に」

バターーーーン!!

ラベンダー「私のウォン−ウォンはどこ!?!?」

ハニー「……やっぱり」

ポンフリー「どうでもいいですがどうして医務室の扉は勢いよく開けるという風潮がまかり通って居るんですかねまったく!」


290 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/04(月) 01:36:23.76 ID:OiIu6PDG0
ラベンダー「……おかしいわ!ハニーと、それに家族なジニーたちはまだ分かるわ!でも!」

ハーマイオニー「……」

ラベンダー「どうしてハーマイオニー、あなたがもうここにいるの!?私は、面会時間まで廊下で待たせてももらえなかったのに!!」

ハーマイオニー「どうして、って……」

フレッド「なんだこの面白い雰囲気」

ジョージ「おいピーブズ、何だこれ」

ピーブズ「かくかくしかじか」

フレッド「バっカじゃねぇのロニー坊や」

ジョージ「おったまげた脳みそしてるな」

ハニー「……医務室にいるべきじゃない混沌さんは帰りなさい」

ラベンダー「ロンのガールフレンドは、私なのよ!!!」

アーサー「えっ」

モリー「えっ」

ラベンダー「えっ、って!なに!誰なのこの二人!」

アーサー「ロンの父です」

モリー「母親よ」

ラベンダー「……愛さえあれば両親の反感なんて!!!」

ハーマイオニー「色々、勝手に盛り上がらないでくれる? 前にも、言ったけど。私はただ……ロンの、と、友達、として」

ラベンダー「友達!へーぇ!何週間も口を利いてないのに!?」

ハーマイオニー「……それは」

ラベンダー「ロンがちょっと面白いことになったからって、近寄らないで!」

ハーマイオニー「……今なんて言ったの!?」

ロン「うー、ん……うー」

ラベンダー「! ほらみて!!私の声が聞こえたから、きっとウォン−ウォンは……!」

ロン「うー、ん…………ハ、ニー」

ラベンダー「…………」

ハーマイオニー「…………」

ハニー「…………あの。なんか……えぇっと」

ラベンダー「ううん、分かってた。大丈夫」

ハーマイオニー「平気よハニー、予想してたから、大丈夫。問題は二人目よ、えぇ」

フレッド「才女様、もはや隠す気もねぇよなあれ」

ジニー「ロンをとりあってる、っていうね」

ジョージ「野暮なこと言うなよな面白いんだから」


292 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/04(月) 01:49:58.46 ID:OiIu6PDG0
ロン「うーん……」

ラベンダー「ウォン−ウォン!私とのあの熱い夜を思い出して!!」

ロン「うー……」

ハーマイオニー「……」

ロン「ハーマイ、オニー」

ラベンダー「……」

ハーマイオニー「! あ、わ……嘘……」

ロン「ハーマイオニー……愛してる」

ラベンダー「」

ハーマイオニー「!?」

ハニー「!」

フレッド「今の、録音は?相棒」

ジョージ「してないと思うか?」

ロン「愛してる……ハーマイ、オニー」

ハーマイオニー「ちょ、ちょっと、何を、あの、言って!」

ラベンダー「……恋愛のバカヤローーーーーーーー!!」

バターン!

パーバティ「お、おかえりラベンダー!色んな意味で!!!」


294 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/04(月) 01:56:10.63 ID:OiIu6PDG0
ジニー「駆け抜けて行っちゃったわ……でも、驚いた」

ハニー「そうね……ねぇ、ハーマイオニー?」

ハグリッド「よがったなぁ、よかった!なぁ!えぇ!?」

ハーマイオニー「や、やめてよ!ニヤニヤしないで!こ、これはきっと、なにか、えぇ!間違いで!」

ロン「愛してる……ハーマイオニー」

ロン「だなんて……HAHAHA、何だよ、この、カード……ドッキリなら……もっと上手く……やれよな……むにゃ」

ハーマイオニー「」

モリー「……ロンの部屋からマクゴナガル先生が持ってきたカードに……そういえば?」

アーサー「……書かれていたね、あぁ」

ハニー「…………マダム?」

ポンフリー「あー、えーっと……処方した薬は、えぇ……前後の記憶が、少しその、混濁するわねぇ」

ジニー「……それじゃ、ロンはあれが、えっと……ハーマイオニーからだと思ったまま?」

ハグリッド「……ロン……おめぇさんは」

フレッド「……おい相棒、俺の頬をつねれよ。お前よりすこしばかりイケメンな、な、っく」

ジョージ「……俺の方も頼むぜ相棒。お前よりちょいと男前な俺の頬を、な……っぷ、っく」

ピーブズ「ゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!!!!!」

ハーマイオニー「………………ちょっと、お手洗い。泣いて損したわ……まったく、もう!!!!!」

バターーーーン!

ポンフリー「だから扉!!!」

ハニー「……はぁ……ロン……あなたはどうして、そう」

ロン「だからさ……ハーマイオニー……うーん」

ロン「そういうのは男の……僕から……このくらい言えなくて、ハニーの豚は……うーん」

ハニー「……今のは?」

フレッド「きっちりばっちりクリアに録音済みさ、我らがハニー。でもさ」

ジョージ「こいつはロニーが本当に伝えられるまで、とっておくとしよう」

ハニー「えぇ、そうしましょう……ロン?私の一番の豚のあなたなら……ふふっ。出来るわね?」

ロン「うーん……ヒン、ヒン!もちの、僕さ! むにゃむにゃ」


295 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/04(月) 01:58:11.81 ID:OiIu6PDG0
今回はここまで
ラベンダーはラベンダーだった
続きは来週日曜
じゃあの!

315 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 15:46:51.67 ID:uE5Z0B3T0
廊下

ハニー「家族だけ残してあとは帰るよう、言われてしまったわね」

ハグリッド「ハニーは世界人類みんなの家族みてぇなもんだってのになぁ」

ハーマイオニー「来年のおわりにはどうかしらね……ロンはいつ、起きるのかしら」

ハニー「あら、なぁに?何か伝えたいことがあるのかしら?」

ハグリッド「そん時はハニー、俺ん家にこいや。二人で祝杯をあげよう、あぁ、ロンとハーマイオニーはごゆっくり」

ハーマイオニー「そういうことじゃなくて!あー、そうよ!色々不明なところが多すぎるもの、えぇ!ダンブルドアも、ロンから話を聞きたいでしょうし……」

ハグリッド「でーじょうぶだ、ダンブルドア先生は頭がえぇ。何百っちゅうお考えがあるに違いねぇ……それでも、うん。ネックレスのこと、今度のこと、相当心配してらっしゃる」

ハニー「……マルフォイのせいで、ね」

ハーマイオニー「……ハニー、とりあえずあの人のことは置いて頂戴」

ハグリッド「? そんで、俺も心配でよお。このまま生徒が襲われっちまうことが続けば、まーたあの『秘密の部屋』事件の時みてぇになるんじゃねぇか、って」

ハニー「……学校が、閉鎖される?」

ハーマイオニー「そんな……えぇ、そういう時だけここの理事会の動きが早いのはわかる、けど」

ハグリッド「ほんと、日頃目立たねぇくせにな……学校閉鎖させるだけの機関なんじゃねーかと俺もおもう」

ハニー「私の高貴で可憐すぎて常に目立って仕方ない儚さとは大違いね。違う?」

ハグリッド「その通りだハニー!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「真面目に話して」

ハニー「私はいつだって真面目だわ」


317 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 15:57:02.67 ID:uE5Z0B3T0
ハグリッド「学校に生徒を預けるのはいつだってちーっと、危険が伴う。そりゃそうだろうが?」

ハーマイオニー「未熟な魔法使いが、何百って一緒に生活してるんですものね。えぇ」

ハグリッド「そう、そんで、アラゴグみたいなあんなにか弱い生き物たちを無駄に怖がって怒らせっちまったりよぉ。事故だ、事故」

ハーマイオニー「それを事故と呼ぶのなら世の中の大半は事件にすらならないわ」

ハニー「殺人事件が立て続けに起こってしまうのはわけが違う、そういうことね」

ハグリッド「あぁ、ダンブルドア先生は参っちまってる。口にだすことはねえが、俺にはわかる。俺ぁハニーの豚で、ダンブルドア先生の教え子で、ここの森番だからよぉ」

ハニー「気遣いのできる豚は好きよ?」

ハグリッド「ヒンヒン! そんで、あいつだ。ダンブルドアが立腹されるのももっともだ、あのスネ——あ」

ハニー「!スネ、なに!?ハグリッド!!!」

ハーマイオニー「……ハグリッド」

ハグリッド「あー、えーっとよぉ……す、すねかじりの、マルフォイ……あー」

ハニー「!!! あいつが、なんなのハグリッド!!!」

ハーマイオニー「……ハグリッド」

ハグリッド「火にアッシュワインダー投げこんじまった……ち、ちげぇんだハニー。フォイの野郎は関係ねぇ、言葉のあやだ、うん」

ハニー「じゃぁ、なぁに?だぁれ?その、スネなんとかって嫌味ったらしい名前の人は。きっとゲジマユで気持ち悪い鉤鼻なのでしょうね?」

ハグリッド「おぉ、おまけに髪がベタベタだ、うん」

ハニー「スネイプがどうしたのか教えなさい、この豚」

ハグリッド「! なんでわかっちまった!?あぁ、ハニーはきっとなんだって見通しちまうんだなぁ!ヒンヒン!」

ハーマイオニー「私、ハグリッドにこそ『閉心術』を習得させたほうがいいんじゃないかと思うわ。ダンブルドア先生」


320 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 16:09:00.92 ID:uE5Z0B3T0
ハーマイオニー「この際だから乗ってしまいましょう……ダンブルドア先生が、怒る? とても想像できないわ」

ハニー「えぇ、そうね。常に茶化した態度しかとらないもの、あの意地悪豚……一度だけ見たけれど」

ハグリッド「あー、うん……スネイプはほら、自分が働かされすぎちょる。そういう風なことを言っとった」

ハニー「……ダンブルドアは、なんて返事をしたの?」

ハグリッド「『君の口に弱音を吐く資格があると思っとるのかね』とか……」

ハーマイオニー「……し、辛辣ね」

ハグリッド「そんで、うん。一度やるって承知したんだからそれ以上文句言うな、とかよぉ……うん、随分厳しく言いなすった。あとは、そうさな……スネイプがネックレスのことで寮の調査をちゃんとしてねぇこと……」

ハニー「! それって!」

ハグリッド「あー!あーーー!!ちげぇ!うん!それはなーんも変じゃねぇ、うん!!!寮監の先生たちはみーんなネックレスのことを調べるように言いつけられてるしよぉ!」

ハニー「でも、スネイプ以外はだぁれも口論になってないわ!違う!?」

ハグリッド「わ、わかんねぇぞ?え?マクゴナガルに『よりによって私の生徒を疑うとは何事ですかアルバス』って言われて涙目になったかもしんねぇ!」

ハニー「……ありえるけれど!!」

ハーマイオニー「落ち着いて二人とも」


323 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 16:22:18.26 ID:uE5Z0B3T0
ハグリッド「あぁ、ハニー。お前さんがスネイプのことになるとカーッとなるのは知っちょる」

ハーマイオニー「どこかの一等星さんに向けるのとは違う意味でね」

ハニー「……夜は覚えてなさいハーマイオニー。私は至って冷静よ、当然ね」

ハグリッド「あぁ、普段はそうだけどよぉ。奴さんが関わると、なんせジェームズの娘だからなぁ。信じられねぇくれぇ天使だけど。女神か」

ハニー「知ってるわ。だって、そういうことじゃない!やっぱりスネイプはマルフォイに協力していて……」

ハーマイオニー「ハニー、スネイプが調べなかったのは何もマルフォイ個人だけじゃないわ。知ってるでしょう?あの人のスリザリン贔屓は」

ハニー「……」

ハーマイオニー「あー、例えばザビニに何か、こう、共感する部分があって、贔屓したのかもしれないでしょう?」

ハグリッド「そ、そうだそうだ。スネイプはザビニってるからな、うん。あれで、本人は」

ハニー「……ありえるのがいやだわ」

ハーマイオニー「私個人としてもあんまり賛同したくなくていやよ。何なのかしらホグワーツ教員」

ハグリッド「みんな俺とかフリットウィック先生みてぇにハニーの豚になってまともになりゃえぇのになぁ」

ハーマイオニー「まともって単語はどこにいったの」

ハニー「目の前にいるじゃない?」

ハーマイオニー「…………そうね」


326 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 16:39:24.90 ID:uE5Z0B3T0
談話室

ハニー「ダンブルドアは、自分はスネイプを信じてる、って言ってたくせに……あの意地悪豚。やっぱり思うところがあったんじゃない」

ハーマイオニー「どうしても、マルフォイと組してる説を曲げないつもりなのね、ハニー」

ハニー「だって、ここまでそろっているのに結び付けないことの方が不自然だわ。違う?」

ハーマイオニー「あなたは頭からそういう見方をしているから、そうなのでしょうけど……」

ハニー「どうして嘘をついたのかしら。私の豚のくせに……」

ハーマイオニー「あなたがこうやって、このことに自分から首をつっこむようなことをしないように、じゃないかしら……見上げた人だわ、豚だけど」

ハニー「私以外が豚って呼ぶのはやめなさい」

「なら、ぼ、僕を呼んでみればどう、かな」

ハニー「きゃぁ!?」

ハーマイオニー「誰!!!!!ハニーを抱きつかせてくれたことはお礼を言うけど……マクラーゲン?こんな時間にそこで、何を?」

マクラーゲン「あー、お、驚かせたならごめんよ、ポッター」

ハニー「……誰が何にですって?私が恐れるのは退屈と体重計だけよ、えぇ。これはただ、そうね。二人きりだと思ったからいつもの、えぇ。それをしようとしただけ。そうでしょ?」

ハーマイオニー「……ネビルとかジニーがどこからともなく沸いてきていないから一目稜線だわ、ハニー。それで、マクラーゲン?」

マクラーゲン「あぁ、ポッター。君を待ってたんだ。あの、そうだ。ウィーズリーのことを聞いた」

ハニー「……どこまで?」

マクラーゲン「ロングボトムがほら貝の中から『僕がグリフィンドールの豚、ロングボトムだ!!』って言いながらなんだか物騒な剣を取り出してウィーズリーをばっさりやっちまう、までかな」

ハーマイオニー「誰なの無駄に壮大な物語に仕上げた輩は」


330 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 16:48:41.40 ID:uE5Z0B3T0
マクラーゲン「それで、だ! ウィーズリーは次の試合には間に合わない、違うか?」

ハニー「……私の一声さえ聞けばどんな状態からでも出場するでしょうけれど」

ハーマイオニー「あなたに限ってそんな無茶はさせないでしょうけど出来そうだからやめて。えぇ、絶対安静だもの。来週の試合はとても無理よ」

マクラーゲン「よし! となると、代わりのキーパーは僕しかない、そうだろう?」

ハニー「……あー、そうね。そうなるかしら」

ハーマイオニー「……選抜にはほかに、キーパー志望はいなかったものね」

マクラーゲン「よし!よし!! キャプテン、よろしく頼むよ!ゴールは僕に全部任せてくれ!僕は何せ頼れる男だ!」

ハニー「……むしろネビルに頼もうかしら」

ハーマイオニー「……今なら一部から絶大な支持をよせていそうだものね」

その頃男子寮

ネビーーールさん!!!ネービーーールさん!!!!!

ネビル「ね、ねぇ胴上げやめてよ!!!僕なにがなんだか、ろ、ローーーーーーン!君に何があったのさ、ローーーーーーーーーン!!!」


335 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 17:02:20.13 ID:uE5Z0B3T0
マクラーゲン「ロングボトムの体格じゃ無理さ!やっぱりキーパーは、僕のように……大きくて!」

ハニー「ハグリッドはどうかしら?私が頼めば、承諾しないわけない、そうでしょう?」

ハーマイオニー「ハニー、まず前提から。グリフィンドール生じゃないと」

マクラーゲン「次に、頭脳だ!やっぱりプレイヤーは戦術、それに戦略だ!」

ハニー「あなたがやる?」

ハーマイオニー「お生憎、私の頭脳はもう少しマシなものに使う事にしているわ」

マクラーゲン「最後に、闘志だ!僕は今なら誰にも負けない!やる気に満ち溢れて居る!」

ハニー「……むしろラベンダー」

ハーマイオニー「やめて。なんだか私達の寝室から羽ペンなのかなんなのかわからないものをガリガリガリガリ走らせる音が談話室まで響いてる雰囲気に触れるのはやめて」

マクラーゲン「聞いてるのかい、ポッター!」

ハニー「……はぁ。そうね、マクラーゲン。どうやらあなたしかいないみたい。お願いしてあげるわ?」

マクラーゲン「いいともさ! よし、よし! グレンジャー!」

ハーマイオニー「えっ? はい」

マクラーゲン「ハハハ、余所余所しいな!一緒にパーティにいった仲じゃないか!」

ハーマイオニー「だからこそ余所余所しいのだけど」

マクラーゲン「そう、それだ。あのことだ……僕が負けたら、散々に罵ってくれてかまわない」

ハーマイオニー「はぁ……というか、チームが、ってことよね?」

マクラーゲン「それで……僕が、勝ったら!!」

ハーマイオニー「チームがね」

マクラーゲン「僕の事をおもいっきり蹴り付けて罵ってくだs」

ハニー「ネビル」

ガチャッ!!

ネビル「おかえりハニーところでロンのこと、はあとでいいやほら貝くらええええええ!!!」

マクラーゲン「うわっ!や、やめろ!!!僕はグレンジャーの鉄槌以外で感じるようなマゾじゃないぞ!!!!!!!!!!!!」

ワーーーーワーーーーー!!
 ネビルさーーーーーーーん!!!

ハニー「……」

ハーマイオニー「……」

ハニー「……豚、とは呼べないわね」

ハーマイオニー「それ以下、むしろ生き物であることが不思議だわ」


337 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 17:44:18.28 ID:uE5Z0B3T0
メシやらなんやら
19時半には戻る

343 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 20:03:41.26 ID:uE5Z0B3T0
翌週 試合前

医務室

ロン「あぁハニー!試合の直前なんて一番集中したいはずの時間にこんな豚のところに来てくれるなんて君は慈愛の女神だね知ってたけど!ヒンヒン!」

ハニー「右に同じよ、えぇ。具合はどうかしら?」

ロン「君がいりゃいつだって健康そのものだけどさ。マダム・ポンフリーが動いちゃいけませんって言うんだ……マー髭」

ハニー「そう……分かってはいたけれど、試合にはあなたを使いたかったわ」

ロン「その言葉だけで僕は一生クィディッチできるよ君の下で。あ、これ精神的にも物理的にもね、もちのロンでさ」

ポンフリー「ポッター、ウィーズリーは一応病人なので今くらい背中に座るのはおやめなさい」

ロン「冗談きついぜマダム!僕にとっちゃこれが一番の特効薬なのに!」

ハニー「あら、どうかしら。先に競技場に向かった私の大事な誰かさんが顔をみせれば、もっといい気付けになったと思うけれど」

ロン「あぁ、ハーマイオニーね……そりゃ、気は使うよな、うん。なんだか機嫌はなおったけどさぁ……これ見たら」

ハニー「……あー……この、えーっと、何故だか薄い、本の山?」

ロン「ら、ラベンダーの奴、何考えてこんなもん……『ウォン—ウォンのだぁいじなご兄弟をあらゆる組み合わせで描いてやったわ!さようなら!!!』だとさ……髭も出ないよ」

ハニー「ほんと……極端よねぇ」


345 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 20:17:09.55 ID:uE5Z0B3T0
ロン「マクラーゲンの仕上がりはどうだい? あー、僕よりは使えるキーパーだろうってのは分かるけど」

ハニー「あなた以上に出来る豚なんて存在しないわ。あの人は豚じゃないどころか豚以下の微生物だけれど……」

ロン「あんにゃろ何やらかしたのさ!場合によっちゃ豚の総力をあげて!!」

ハニー「それはネビルがやってくれたわ、出来る豚さんがね」

ロン「やっぱりネビルは漢だなぁ」

ハニー「本当。それで、どんなにマクラーゲンがいい選手だったとしても、チームに残すつもりはないわ。この私を差し置いて、チームに指図をしようとするんだもの」

ロン「あいつに送る命令は一つだよな。『地獄に落ちろ』だ」

ハニー「えぇ、そうしてほしいくらいだけれど、今はチームに必要だわ。今だけね。ロン、しっかり休んで治しなさい……そろそろ行くわ」

ロン「あぁハニー!武運を祈るよハニー!ヒンヒン!ザガリアスの野郎がメンバーなハッフルパフチームなんて君の前じゃ全員豚さ!」

ハニー「大体そのようなものだけれど、試合では手を抜かないように言ってあるわ。それじゃ、試合の後で」

ロン「うん」

ハニー「……ハーマイオニーも一緒にね」

ロン「……えーっとさ、悪戯っぽく笑うハニーの、あの、顔はもちの僕でステキきわまりないんだけどさ。あのー、そうだな。ほら、別に僕が君色な顔になるのは、あー……ま、マーリンの髭!」


347 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 20:33:04.72 ID:uE5Z0B3T0
廊下

ハニー「ロンがいないし、ハーマイオニーは先に競技場に向かってしまうし……一人でお城を歩くのは久しぶりね」

ハニー「ふふっ、あの二人ったら。ロンが意識を取り戻してからずっと、なんだか余所余所しいんだから」

ハニー「……前みたいに、不機嫌な余所余所しさじゃなくって。お互いを、凄く意識していて」

ハニー「まぁ?これまでだって、ずっとずっと二人とも、お互い意識した上で避けていたけれど」

ハニー「ふふっ、楽しい。二人がずっと、私を見てニヤニヤしてた気分がやっと分かったわ」

ハニー「私と……わたしと、シリウ……」

ハニー「……」

ハニー「わ、わたしはあそこまでじれったくなかったわよ!!えぇ!!」

マルフォイ「うわ!?な、なんだ?!まだ城に誰か——あぁ。お前か、ポッター」

ハニー「! マルフォイ……なぁに?不機嫌そうな女の子二人つれて……どこへ行くのかしら?」

女生徒1「……」

女生徒2「……」

マルフォイ「ふんっ、そんなの決まってるだろう?この娘たちは、えーっと、僕のガールフレンドだ」

女生徒1「オエッ」

女生徒2「ウップ」

マルフォイ「どういう意味だいや僕だってお前たちにこんなこと言いたくないけどどういう意味だ!困ルフォ……ごフォん。とにかく、説明してやる義理はないね。ポッター、とっとと競技場にでも行けばどうだい?」

ハニー「……言われなくたって」

マルフォイ「『選ばれしキャプテン』『得点した女の子』とでも称されていればいい。それでいい気になっていればいい。僕はもっともっと——素晴らしい物を得る。行くぞ」

ハニー「……」

ツカッツカッツカッツカッ

マルフォイ「そうだ——それしか——ないんだ——僕は……僕達は」

女生徒1「……ドラコマジヤンデルンデスケドー」

女生徒2「……チョーコワーイ」

マルフォイ「お前たちが必死に女生徒っぽく見せようとしたその言葉遣いの方が大概だろうなんなんだそれ、普段より喋れてるってなんなんだ困ルフォイ!!!」


350 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 20:43:18.12 ID:uE5Z0B3T0
ハニー「……」

ハニー「……なんてことなの」

ハニー「ほとんど空っぽのお城で……マルフォイたちが、何か企んでるのに」

ハニー「このまま放っておいて……いいの?わたし」

ハニー「でも……」

ジニー「ッハァ、ハァ、ッハァ、っ、ハニー!!やっと見つけた!!」

ハニー「! ジニー?」

ジニー「なに、してるの!?試合はもう始まっちゃうのに、こんなところで!あぁ!お城の廊下でクィディッチローブ姿なあなたを見るのも新鮮だけど!」

ハニー「それは……だって、今……マルフォイが」

ジニー「っ、ハニー!!!」

ハニー「」ビクッ

ジニー「何が一番大事なのかを考えて!あなたはキャプテンなの!私達のリーダーよ!それで!」

ハニー「……」

ジニー「私のハニーなら、たとえマルフォイがどうこうしてるのが気になったって!しっかりと、あなたの大事なクィディッチのことをこなした上で、あんなフォイフォイのことなんて後からどうとでも片付けられるに決まってる!」

ハニー「……」

ジニー「そうでしょ?違う?」

ハニー「……違うわけないわ。だってわたし、私はあなたの」

ジニー「えぇ、とっても立派な飼い主だわ!ヒンヒン!」

ハニー「……えぇ、ふふっ。そういうこと」

ジニー「ほら、行かなきゃ!あぁ!ハニーの手を握れるなんて役得!!できればしゃぶりたいのに!!」

ハニー「……ジニー?」

ジニー「なぁに!ヒンヒン!」

ハニー「あなた、ほんと。すっかりいい女になったわね」

ジニー「お褒めの言葉は『さすが!ハニーの豚!』から受け取るわ!」


354 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 20:55:56.69 ID:uE5Z0B3T0
競技場

ワーーーーワーーーーーーーー!!

ハニー「……みんな、今日の試合はサクッっと片付けるわよ!いいわね!」

ヒンヒーーーン!
 オーーーーーー!

マクラーゲン「僕の戦術をもってすれば完璧さ!おいクート、ビークス!日差しが強いから絶対に太陽に背を向けて飛べよ——」

ハニー「マクラーゲン!キャプテンは私よ!」

ジニー「太陽に背を向けろ!?ハニーが居ればその方角はいつだって太陽が昇ってるも同意でしょ!」

クート「ヒンヒン!」

ビークス「ヒン!」

マクラーゲン「なんだよ!!僕は勝ちたいがために!!勝ってグレンジャー様にののs」

ハニー「行くわよ!!!」

バタンッ!

ワーーーーワーーーーーーーーーー!!
 ヒンヒーーーーーーーン!!

「グリフィンドールチームの遅刻で開始時間がずれ込みましたが、いよいよ開幕です。きっとハニーは、そうだな。スノーカックでもみつけたのかも? あとで教えてほしいもン」

ハニー「……今日の、実況って」

ジニー「うん、今朝張り切ってたわ。赤いカブつけて」

ハニー「……なんだかある意味で、リーより不安だわ……ルーナ!」

ルーナ「あ、ハニーが実況席に手を振りました。『そうよ』だって。やっぱりね、あの子ほら、変わってるから。スノーカックって変わった人のとこにしか現れないんだって」

お前が言うなーーーーーー!!
 ヒンヒーーーーーーン!!


358 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 21:13:42.77 ID:uE5Z0B3T0
ルーナ「グリフィンドール対ハッフルパフ。グリフィンドールはハニー・ポッターが率います」

ヒンヒーーーーン!!
 ハニーーーーー!!

ルーナ「チェイサーにはジニー・ウィーズリー。その他の選手——私、あんまり詳しくないんだ、前の試合はあっちに飛んでたラックスパート見てたから」

マクゴナガル「……ここに名簿があります、ラブグッド」

ルーナ「ん、ありがと先生。それで、ハッフルパフチームは——この前解説してたザガリアスがチェイサーだって」

ブーーーブーーーーー!
 ひっこめザガリーーーーー!

ザカリアス「ザガリーって言うなよ!!!あと ザ カ リ ア ス だ よ !!!!!

ルーナ「彼はグリフィンドールにとっても失礼でした。きっと後悔するんじゃないかな、ジニーはとっても強いから。それにとっても素敵。ハニーもね」

ザワザワザワザワザワ
 ヒン!? ヒン!ヒンヒンヒン!!

マクゴナガル「……人選を間違えたでしょうか」

ネビル「えっ?せ、先生、今更ですか?」

マクゴナガル「ロングボトム、課題は済ませたのでしょうね?」

ネビル「あれ?なんでだろ、マクゴナガル先生がスネイプに見える、あれ?」

ルーナ「えぇっと、それじゃぁ解説を呼ばないと。そうでした。解説は——」

マクゴナガル「オホン」

ルーナ「——ダンブルドア先生です、こんにちは」

マクゴナガル「!?」

にゃn……えっ!?!?

 ザワザワザワザワザワ!!!

ダンブルドア「どうも諸君!解説は——わしじゃよっ!」

ハニー「——みんな、再確認するけれど。きょうの、試合は、サクっと!片付けるわよ!いいわね!?」

ひ、ヒンヒーーーーン!


363 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 21:36:07.23 ID:uE5Z0B3T0
ダンブルドア「おう、どうしたねミネルバ。颯爽と席を立ち喉をならし、くるであろうにゃんコールに備えておったかね?」

マクゴナガル「……アルバス」

ダンブルドア「出番を奪ってわるいのう。あとでレモン・キャンデーをあげよう」

マクゴナガル「アルバス」

ダンブルドア「さぁて、おっほん。しあーーぃ、かいしーーーーーぃっ!!」

マクゴナガル「アルバス!!!」

ピーーーーッ!!!

ワーーーワーーーーー!!

ルーナ「クァッフルが投げられました。取ったのは、えーっと、ザガリアスです」

ザカリアス「カだってば!!!!あっ!」

ルーナ「あ。ジニーがクァッフルを奪いました。うーん、開始数秒でこれって……先生」

ダンブルドア「どうしたね、ルーナ」

ルーナ「ザガリアスってもしかして、『負け犬病』を患ってるのかも。パパの雑誌にこのあいだ載ってたもン」

ハハハハハハハハハッ!!!
 ゲラゲラゲラゲラ!!

ルーナ「? みんななんで笑うのかな。これってとってもコワイんだよ?」

ダンブルドア「おーぉぅ、ルーナ。まっことその通りじゃ……諸君、この病を軽んじてはいかんぞ?かく言うワシの友人、ドージものう。学生時代は『ドジのドージ』と呼ばれ、おそらくこれなんぞもわしはこの病におかされていたと確信し——」

カーン!

マクゴナガル「グリフィンドールのウィーズリー、先取点!」

ルーナ「え、もう?」

ダンブルドア「気づかんかった」

マクゴナガル「アルバス、あとで根こそぎレモンキャンデーをいただきますからね」


367 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 21:46:37.00 ID:uE5Z0B3T0

ワーーーワーーー!!

ルーナ「ジニーがハッフルパフの生徒にクァッフルを奪われました。えーっと、なんて名前だったかな……ギブル、みたいな」

ダンブルドア「おしい、おしいのう」

ルーナ「ほんと? んー、バンキンズ?」

ダンブルドア「ちょいと離れた。前のからもーちょいじゃ」

ルーナ「ヒントがほしいもン」

ダンブルドア「よかろう。第一のアルバス・ヒント。頭文字は——」

マクゴナガル「バンキンズ、です!!!二人とも!!!選手の名前で遊ばない!!!!!」

ハハハハハハハハハハ!!
 ゲラゲラゲラゲラ!!

ダンブルドア「おぉう、そこまで怒鳴ることないじゃろミネルバ。わしがびっくりしてこの高さから落ちちゃったらどうするのかね」

マクゴナガル「精々その何度か曲がってる鼻がもう一段折れるくらいでしょう……なんですか、どうしてラブグッドとそこまで仲がよろしいのですか」

ダンブルドア「夢遊病ダチじゃ」

ルーナ「夜中に何度か城中でバッタリ」

マクゴナガル「……アルバス、今あなた生徒の規則違反を見逃していたとこくは——ハッフルパフ、得点です!!!」

ハニー「マクゴナガル先生……お願いだから二人のペースにはまらないで」


368 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 21:49:54.38 ID:uE5Z0B3T0
×マクゴナガル「バンキンズ、です!
○マクゴナガル「ギャッドワラダー、です!
マーリンの髭!

373 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 22:07:20.24 ID:uE5Z0B3T0
ハニー「……そういえば、そうだったわね。私が、ルーナと面と向かって知り合う前に」

ハニー「夜中、何故だか城の中を出歩いてる彼女の名前を、地図に見たことがあったんだったわ」

ハニー「……夢遊病だったのね、ついでにあの豚も」

ハニー「……スニッチスニッチ」

ルーナ「ザガリアスがまたクァッフルを奪われました。まだ一分もクァッフルを持てていません。うーん、やっぱり『負け犬病』かも」

ダンブルドア「ポピーにちょいと薬を頼もうかのう」

ザカリアス「だ、ダンブルドアが真剣に……ぼ、僕って」

マクゴナガル「アルバス!!!!生徒を!!!!傷つけない!!!!」

ダンブルドア「めんご。ザカリアス、平気じゃよ。今日の君はちと調子が悪いだけじゃろうて」

ザカリアス「——名前を、呼んでもらえた!!」

ルーナ「あ、ザガリアスの飛びっぷりが急によくなりました。もしかして今までラックスパートが鼻にでもつまってたのかな」

ダンブルドア「あれは痛いのう、うむ。頭がボーッとしてひどいものじゃ」

ルーナ「うーん、せっかく『負け犬病』の実例が見れたと思ったのになぁ。先生、やっぱりあぁいうのってみんなが笑っちゃうようなものなの?」

ダンブルドア「そう思うかね?」

ルーナ「うん。結局、パパはスノーカックを中々見つけられないし……雑誌の売り上げも、ちょっと下がり気味」

マクゴナガル「……グリフィンドール、得点です」

ダンブルドア「ふぅむ、ルーナ。君らしくないのう。世間に認められなければ、全てが価値の無いもの。そう思っておるのかね?」

ルーナ「ううん」

マクゴナガル「ハッフルパフ、点を返しました」

ダンブルドア「そう、分かっておるはずじゃ。君は聡い子じゃからのう。無駄なものなど何もないのじゃ」

ルーナ「うん」

マクゴナガル「……グリフィンドール、得点です。同時に、ペナルティシュート……入りました」

ダンブルドア「例えば、君とわしがばったりでくわした夜中のあの城で発見した光景。どうだったね?」

ルーナ「素敵だったよ!」

ダンブルドア「そうじゃ! たとえ他の者には無駄なことでも、そう見えることでもじゃ!その眼でしかと見た者にとっては何よりも価値のあるもの、そして君のお父様はそれを追い求めておるのじゃよ、うむ」

ルーナ「そっか……ありがと、先生」

ダンブルドア「うむ、ザ・クィブラーはわしの愛読書じゃからのう。無駄なものなどない、と言えば。時に去年掲載されたあの古代ルーン文字のことでちと——」

カーン!

マクゴナガル「ハッフルパフ得点!40対30、グリフィンドールリード!」

ルーナ「え、もうそんなに?気づかなかった」

ダンブルドア「なんと、歳をとると時間が早いのう」

マクゴナガル「そうでしょうとも!!!!!!」


378 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 22:18:37.64 ID:uE5Z0B3T0
ルーナ「あ、見て先生。あの雲先生の髭みたいな形してる」

ダンブルドア「ほっほっほ、わしの髭が雲みたいなだけかものう」

ルーナ「それって、鶏が先か卵が先かってことかな」

ダンブルドア「個人的には卵が先かのう。じゃって、そうでないと昔の人が卵焼きを食べられないじゃろ」

ルーナ「そっか!先生頭いいね!」

ダンブルドア「実はの、わし、校長なんじゃよ。知ってた?」

ルーナ「!!!」

ダンブルドア「この驚き顔。見て。今までこの子わしのこと多分ちょっとボケた老人じゃとおもっとったよこれ」

ルーナ「冗談だもン」

ダンブルドア「ハッハッハ」

ルーナ「フフフ」

マクゴナガル「……は、h」

カーン!

ルーナ「グリフィンドールに点が入って、50対30。リードが続きます」

ダンブルドア「何を笑っておるのかねミネルバ!寮監として応援に力を入れんといかんのでは?」

マクゴナガル「リー、あなたって実は真面目な実況だったんですね……」


382 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 22:34:01.26 ID:uE5Z0B3T0
ハニー「まったく、もう、ほんと……何がなんだか」

ハニー「点はとれて、いるけれど……思ったとおりにチームが機能してないわ」

ハニー「……それもこれも……マクラーゲン!!!」

マクラーゲン「ほら、こうだ!このスウィングだ!!毎晩グレンジャーにこれで叩かれることを想像した僕に間違いはない!こう!振るんだ!いいな? なんだよ、ポッター!」

ハニー「ビークスの棍棒を返して、キーパーの位置に戻りなさい!!それで!!!残念だけれどハーマイオニーは毎晩わたしと一緒だし貸してあげるにしても絶対にロンだけ——」

ルーナ「グリフィンドールのキャプテン、ハニーがなんだかキーパーと揉めています。あれ?キーパーなのになんでビーターのクラブを持ってるのかな」

ダンブルドア「アルバス分かった、あれが彼らの新戦略じゃ。どうかねミネルバ」

マクゴナガル「そうでなければ私はマクラーゲンを虱に変えたいところです」

ダンブルドア「おっとまさかのマジレスポンスにアルバスびっくり——っ!!!」

ルーナ「あっ!!!」

ヒューーーッ

マクラーゲン「何を言ってるんだ!僕は助言してやってるんだ!いいか、こう、ブラッジャーがきたら……えいっ!!!」

ハニー「眼を瞑ってスイングしておいてなに————ぇ」

バキッ!!!!

ウワァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

ハニーーーーーーーー!!!!!!

ロン「僕がのうのうとベッドに寝たまま遠く離れた競技場でハニーを落下させる展開なんてあると思うかおらぁあああ痛い!!!ありがとう!!幸せな重み!!!!!」ズザァアアアアアアア!!

ネビル「ろ、ローーーーーン!やっぱり覗きに来てたんだ!やっぱり君は一番豚だよローーーーーーーン!!」

ヒンヒーーーーーーーン!!!
 ローーーーーーン!ローーーーーーーン!!

マクラーゲン「は、はは。よ、よかった……でも、あー、ポッター、は……頭にブラッジャーが、当たっ……うわ」

シーーーーーーーン

マクラーゲン「……う、わ」

「ルーナ。僕にマイクを」


389 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 22:47:59.64 ID:uE5Z0B3T0
「さぁさぁさぁさぁやっちまったねコーマック」

マクラーゲン「あ、あぁ……」

「いやぁこれからの君の人生、いんや豚にも劣る虫以下だから虫生の哀れさを思うとなけてくるねほんとにさ」

マクラーゲン「う、わ……」

「さぁみんな!今回鉄槌をくらわすのはこの虫野郎とはひと悶着あってつま先も触れたくない我らが才女様じゃぁありません!」

「あれだけのボケを突っ込んでもまだたりないでしょう!叫び足りないでしょう!やっぱり呼ばれなきゃしっくりこないでしょう!!」

「お任せしました!お願いします!音頭を務めますのは!」

リー「永遠の実況!!!わたくしことリー・ジョーダン!」

シッテターーー!

リー「そしてこの方……マクゴナガルせんせーーーーーー!!!」

にゃんこーーーーーーーーー!!
  やっちまえーーーーーーーー!!!

マクゴナガル「マクラーゲン」

マクラーゲン「……せ、せん」

マクゴナガル「私は、体罰のために自らの術を用いるなどということはしません」

マクラーゲン「ほっ……」

マクゴナガル「しかし……丁度、次のクラスで人を虱に変身させる必要があります」

マクラーゲン「」

マクゴナガル「これは 教 育 です。さぁ、お構えなさい。男らしく。そうすれば、毛の色くらいはあなたらしさが残るでしょう」

リー「ヒューッ!にゃんこ女史かっくぃーーーー!」

マクゴナガル「リーーーーーーー!!」


400 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 23:07:43.43 ID:uE5Z0B3T0
数時間後

医務室

ハニー「……きっと、ハーマイオニーは、二週連続で泣きはらすことに、なったでしょうね」

ロン「おはようハニーあぁ君って病みあがりでも素敵だね!ヒンヒン!うん?とりあえず今日はほんと鼻すすりっぱなしだったよな、うん。もちのロンで」

ハニー「えぇ、おはよう……どうなったの?」

ポンフリー「頭蓋骨骨折です、ポッター。もちろん私がしっかり治しましたが、無理をしてはだめ!寝ていなさい!」

ハニー「あら、ハァイマダム。ありがとう、でもそうはいかないわ。マクラーゲンの間接をすりつぶされるまで締め付けてやらなきゃ」

ロン「奴さんがヒトに戻ったらそうしなよ、うん。でも大分反省してると思うぜ、その脳みそがあれば」

ハニー「……はぁ。ねぇ、何点差だったのかしら」

ロン「あー、そうだな。ジニーから後で聞いた話だけど……マクラーゲンは抜けて、君も抜けて……で」

ハニー「……えぇ」

ロン「あー、雰囲気というかさ……ほら、凄い事に」

ハニー「……回りくどい豚は嫌いよ」

ロン「ヒンヒン!ごめんよ!360対60で」

ハニー「……そう」

ロン「グリフィンドールが勝ったよ」

ハニー「!?」

ロン「……マクゴナガルが去り際に『グリフィンドール。チームが恥を晒した上に、あまつさえゲームでも負けるなんてことはありませんね……?』って」

ハニー「……先生」

ロン「まったく、あの人も大概クディッチバカだよな。君とおなz痛い!ありがとう!ヒンヒン!」


405 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 23:18:14.25 ID:uE5Z0B3T0
ハニー「ジニーが代役になった、そういうこと?」

ロン「というかクァッフルで得点しまくってスコアエリア侵入前に相手チェイサーを止めまくってスニッチを掴んで判定うやむやにしたよ」

ハニー「……ほんと、いい女になったわね」

ロン「さすが、ハニーの女豚。それにしても、ルーナの実況は最高だった。君の声ほどじゃないけど。『負け犬病』かぁ」

ハニー「えぇ、そうね。まったく、私のお友達だわ……ダンブルドアと妙に波長が合うんだから」

ロン「君が言うかななんでもないよハニー!君の波長って奇跡みたいだよな!僕もう治ったよほんと!いてて!」

ポンフリー「全身打撲レベルの症状が追加された患者は黙る」

ロン「ハニーの重みでうけたものだぜ?こんなの勲章にしかならないよ、もちのロンでね!」


410 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 23:35:36.69 ID:uE5Z0B3T0
ロン「ポンフリー、怒って事務所に戻っちまった。事実を言っただけだってのに。マーリンの髭」

ハニー「校医としてのプライドがあるんでしょう、尊重しなさい。それはそれとして、よくやってくれたわロン。お礼は動けるようになってからしてあげる」

ロン「ヒンヒン!ハニー!君は明日の希望を用意する名人だね!」

ハニー「えぇ、そうね。いつだって溢れてるわ」

ロン「クィディッチ優勝杯もほんとこの試合のおかげで間近だしね、うん。試合と言えばさ、ハニー。ジニーが言ってたけど、試合に遅れてきたって?」

ハニー「……それを聞いて居るのなら、どうしてなのかも聞いてるのでしょ。回りくどい豚は嫌いだわ、ってば」

ロン「ヒンヒン! あのさ、ハニー。もうマルフォイのことを気にするのはよそうよ」

ハニー「絶対、何か企んでるんだったら! あいつは前の試合の時にもいなかったわ……嫌々一緒にいる、みたいな女の子二人をつれて……一体、何をしに」

ロン「ナニ……あのやろ……いつの間に……マーリンの髭!!!女の子二人になんて!!!髭!!髭!!!!」

ハニー「? とにかく、悔しいわ……スニッチ・キャッチがなくてもなんとかなったなら、やっぱり試合じゃなくてマルフォイの方を追いかければ……もう」

ロン「おいおいハニー、飛行バカクィディッチバカな君らしくな痛い!ありがとう!」

ハニー「そのくらい悔しいということよ。何とかして、マルフォイを尾行する手段をみつけなきゃ……」

ロン「それなら僕達が!」

ハニー「ダメよ、授業があるでしょう?私の豚ならば学生の本分は守りなさい……でも、今日はあの時みかけておけば頼めたのに、と思うわね」

ロン「ヒンヒン!ごめんよハニー!あぁ!ハニーに一声かけられればどこからともなく現れられればよかったのになぁ!」

ハニー「まったくだわ」


414 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 23:48:15.86 ID:uE5Z0B3T0
ハニー「はぁ……本当、わたし、クィディッチ大好きだけれど……何度も痛い目にあってるわね」

ロン「クィディッチの野郎!ハニーになんてことすんだぶっ殺してやる!!」

ハニー「言葉だけ受け取らないの。三年生の時は、吸魂鬼のせいで箒から落ちて」

ロン「今なら僕あいつら蹴飛ばせるよ。何せ僕らの希望の光たるハニーから守護霊教えてもらったしね!ヒンヒン!」

ハニー「心強いわ、えぇ。その前は、あのロックハートのせいで」

ロン「そういやあの時もマクゴナガルは野郎にフルスイングビンタしてくれたっけな」

ハニー「骨を生やすのは、さすがの私でも不快、だったわね……それにあの時は、真夜中に……っ!」

ロン「閃いたハニーの横顔もすんばらしいなぁ」

ハニー「ロン、それよ!そうだわ!! 生徒じゃなくて、いつでも私の近くにいられて、頼みを聞いてくれる、存在!」

ロン「……君の旦那様ならまだ寝てるからちょっと無理かなと痛い!!ありがとう!!!」

ハニー「『いつでもわたしの近く』違いよそれは! ……うるさい!!」

ロン「連続でありがとう!!近くどころかね!中にだよね痛い!!!本当にありがとう!!」

ハニー「はぁ、もう! だから、彼よ! 彼に頼めばいいんだわ……癪だけれど」

ハニー「クリーチャー!」

バチンッ!

クリーチャー「ホグワーツに寄生するダニ、それが貴様らでぐぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!!!!」

ドビー「謝れ!!!ダンブルドアとドビーたちに謝るのです!ドビーはクリーチャーにおしおきをいぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!」

ハニー「!? ちょ、ちょっと!クリーチャー、それに……ドビー!?」

ドビー「はっ!あぁ、ハニー・ポッター様!お久しゅうございます!ヒンヒン!」

ロン「そういうことかハニー。さすが豚使いの名人。やぁ同胞、そんでそいつととっくみあってどうしたんだい?大体分かるけど」

クリーチャー「クリーチャーは屋敷しもべ妖精として当然のことを言ったまでです血を裏切る赤いバカめが」

ロン「……前半は別にいいや。けど後半はこっちにいる赤い素晴らしく高貴な女の子までバカにしたぞこんにゃろ!!マーリンの髭!!!」

ドビー「謝れ!ハニー・ポッターに謝れ!ヒンヒン!」

ハニー「静かに出来ない豚は嫌いよ、もう」


415 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/10(日) 23:49:51.24 ID:uE5Z0B3T0
ちょっとキリ悪いがここまで
来週はちと投下できそうにない。すまん
次回は23日土曜に
じゃあの!

421 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/11/14(木) 21:07:12.09 ID:FcnFgwe20
クリーチャー「ホグワーツに寄生するダニ、それが貴様らでぐぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ!!!!」
このセリフどっかで聞いた事あると思ったら、リーガル・ハイの
「大企業に寄生する心優しいダニ、それが皆さんだ!!」
じゃねぇかwwwwwwwwww

439 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/23(土) 14:22:59.10 ID:fry6wO450
ドビー「ドビーはハニー・ポッターの出来る妖精豚なので静かにするのです!ヒンヒン!」

ロン「僕もハニーの一番の豚だからこの真夜中に映えるハニーの美しさを静かに見守りながら一日の終わりを迎えるよヒンヒン!」

クリーチャー「……何用ですかな、ご主人様。ペッ」

ハニー「静かに、を守りなさい豚ならば。それで、クリーチャー。そこをあとでしっかり掃除してもらうわよ」

クリーチャー「……きれいにしたところでどうせ穢れた血のお仲間がすぐに穢しにくるでしょうがな」

ロン「わぁ、あいかわらずぶっころしたい」

ハニー「分かるけれどやめなさい。クリーチャー、あなたに仕事を頼んであげるわ」

クリーチャー「……ご主人様の仰せならば。クリーチャーに、拒否権はありません」

ハニー「分かっているじゃない、あなたは豚ではないけれどね」

ロン「ってことは同胞予備軍かぁ。あれ?そういや首輪って衣服にあたるのかな」

ドビー「ドビーは自由な屋敷しもべ妖精なので気にせずつけておりますが、同僚たちは血の涙を流して羨ましがっているのです!」

ハニー「そういえば、そうだったわね。何か別のものを用意するわ、ホグワーツが大好きなバッジとか」

ロン「ホグワーツみんなが大好きなのは君っていう存在だけどね、もちのロンで」

ハニー「えぇ、そうね。愛されている事実を胸に誇りなさい」

ロン「ヒンヒン!」

ドビー「ヒンヒン!」

クリーチャー「……馬鹿どもめ」


440 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/23(土) 14:33:20.15 ID:fry6wO450
クリーチャー「クリーチャーに選択肢はない、クリーチャーはやりたくなくともやらねばならない、クリーチャーはやりたくないのに」

ロン「ブツブツうるさいなしわくちゃ毒吐き野郎め。なぁ、ハニー。本当にこんな奴に頼むのかい?」

ドビー「そのとおりですハニー・ポッター!いえ!ハニー・ポッターの決定はもちの」

ロン「僕で」

ドビー「世界の決定に等しいです!ヒンヒン!」

ロン「あぁ、ハニーが発言しっちまえばたとえ六親等どころかなんだろうが20歳以上の年の差だろうが関係ないよなまぁ関係ないというか関係はもうもっちまtt痛い!ありがとう!!!」

ハニー「ゴチャゴチャ言わない。そう、これは決定よ。でも、そうね……ドビー?」

ドビー「はい、ハニー・ポッター!」

ハニー「あなたにも手伝わせてあげるわ。クリーチャーがしっかり仕事をしているか、見張る役目をね」

ドビー「! なんたる光栄!」

ロン「ちっくしょう!僕はなんのために一番の豚なんだ!いっそあの毒もっかい飲んで屋敷しもべ妖精として生まれ直ってマーリン!髭!!」

ハニー「ハーマイオニーが乾く暇なくなるからやめなさい。ただでさえないでしょうけれど。それで、クリーチャー」

クリーチャー「……なんでしょう、ご主人様」

ハニー「ドラコ・マルフォイを二十四時間監視しなさい。どこで、誰に会って、何をしているのか。ドビーもね」

ドビー「はい!そしてドビーはもしもその任務に失敗した場合」

ハニー「えぇ、けれど自分を傷つけることは——」

ドビー「あのフォイフォイうるさいくずをふんじばってあなた様のところにさしだしてすべて吐かせてしまう手段にうつるのです!!」グッ

ハニー「……そこまでは、しなくていいわ、えぇ」


442 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/23(土) 14:44:37.72 ID:fry6wO450
クリーチャー「……マルフォイ。マルフォイ家の、一番若いご子息様?」

ロン「そうそう、フォイクズ」

ハニー「そのマルフォイよ」

クリーチャー「マルフォイ家の、クリーチャーの昔の女主人様様の姪御様の、純血のご子息様の跡をつけろと、と?」

ハニー「……そういえばあなたには前科があったわね。いいこと、クリーチャー」

クリーチャー「いやです」

ハニー「拒否権はない、そう言っていたはずだけれど? どんな手段であろうと、あなたの存在をマルフォイに知らせる行いを禁じるわ」

ロン「まぁ大多数の人類にとっちゃ簡単な禁制だよな、あいつと関わりたい奴なんてそういないし、フォんと」

ドビー「フォんとフォんと」

ハニー「間接的に関わっている人は多いようだけれどね……どうなの、クリーチャー。返事をしなさい」

クリーチャー「…………ご主人様はさまざまなことをお考えのようで」

ロン「大半が黒くて大きな一等星のことだけ痛い!ありがとう!」

クリーチャー「クリーチャーはそうするしかないようです、例えマルフォイ家の坊ちゃんの召使になるほうがずっといい、そう思っていても。あぁ、そうですとも」

ハニー「それじゃ、決まりね。二人とも……この豚が私の下から離れないように、しっかりマルフォイに張り付いているのよ。いいわね?」

ロン「ヒンヒン!君が座るのはいつだって僕の背中ってことだよねハニー!あぁ!僕の背中って世界中で一番幸せな背中だろうなぁ!もちのロンで!」


443 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/23(土) 15:04:03.37 ID:fry6wO450
月曜日

ハーマイオニー「退院おめでとう、二人とも」

ロン「ハニーがいたおかげで窮屈だった病室は王座もいいとこだったけどね」

ハーマイオニー「あなたはその敷物だったんでしょ、はいはい」

ハニー「……ふふっ。なんだか二人が普通にしゃべってるだけで、おかしいわ」

ロン「どうしたんだいハニー!なるほど、今日は全人類の機嫌がいい日なんだろうね、うん!HAHAHA!君がいるからかな!」

ハニー「ハーマイオニーの機嫌はあなたが入院した夜からずっといいけれどね」

ハーマイオニー「そうでもないわ、そうでも。えぇ、ハニー。言っておきますけど私たちに今まで散々ニヤニヤがどうとか言っていたのに……あら」

ハニー「なぁに? あぁ、ハァイ、ルーナ」

ルーナ「うん、こんにちは。病室にあんたを探しにいったんだけど」

ハニー「お見舞いかしら?」

ルーナ「それなら代わりにガーディルートを送っておいたよ」

ロン「なんだいそれ、君の目には見えないおともだち?」

ハニー「言い方を考えなさい、ロン。えーっと、たしかあの球根?みたいなもの、よね」

ロン「あぁ、あの気味悪い……ポンフリーが没収してたっけ」

ルーナ「そうなんだ、残念。あれ、ガルピング・プリンピーを撃退するのに効果的なのに」

ハーマイオニー「……用件に入ってもらっていいかしら、ルーナ?」

ルーナ「うん。それで、ガルピング・プリンピーって」

ハーマイオニー「その話は今度の夜中にダンブルドアにゆっくりしてあげて」


445 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/23(土) 15:18:42.06 ID:fry6wO450
ルーナ「そう、それ。ダンブルドア……手紙を預かってきたんだ。ちょっと待って、探すから」

ゴソゴソ

ハニー「意地悪豚から?」

ルーナ「うん。昨日の夜またたまたま会ったから、実況の反省会をしてたんだけど……えっと、猫のトイレの砂……ちょっと、持っててもらえる?ありがとう」

ザザーーーーッ

ロン「……これ何に使うんだい?」

ルーナ「さぁ……えぇっと、どこだっけ」

ハーマイオニー「……さらっと言っていたけど、生徒の夜間抜け出しを咎める気すらないのね、ダンブルドア」

ロン「ルーナに至っては言うだけ無駄ってことさ、もちの僕で」

ゴソゴソ

ルーナ「夢遊病ダチだもン。えーっと……ロナルド、これも持ってて。毒しいたけ」

ロン「君の鞄どうなってんのさ。そういや、その実況聞いてたけど最高だったよ。特に『負け犬病』の件」

ルーナ「みんなは酷かったって言ってたけどな、笑いながら。えぇっと……これも持っててくれる?」

ロン「ハニー以外に命令されるのは一番豚としてあれだけどさ、いいぜ。同胞じゃなくってももちのロンで君はハニーの——」

モサァァァァァァ

ハニー「」

ハーマイオニー「」

ロン「…………なんだい、これ」

ルーナ「? マーリンの髭」

ロン「………………うん?」

ルーナ「マーリンの髭、だよ?あんたいつも、言ってなかった?」

ロン「……………………マーリンの髭!!!髭!!!!!!」


448 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/23(土) 15:31:25.91 ID:fry6wO450
ロン「……驚き桃の木鞄のことはもういいよ。ルーナ、まだ見つからないのかい?」

ルーナ「えーっと……あった!はい、これ」

ハニー「ずいぶんとひしゃげた羊皮紙ね」

ルーナ「いろいろ敷かれてたから」

ハーマイオニー「色々がなんなのか、はあまり聞きたくないわ……」

ハニー「とりあえず、ありがとう……今夜だわ!」

ロン「あぁ、あの同胞の君と二人っきりだなんていうなんて羨ましい個人授業の髭だね」

ハニー「えぇ、そうね。全豚の羨望を受けていいところだわ、夜にこの私と待ち合わせだなんて」

ルーナ「? あんたも夢遊病なの?」

ハニー「いいえ。だってそうしたら、ハーマイオニーが乾く暇なくなるでしょ?」

ハーマイオニー「どっちにしろだわ、ハニー」

ロン「あぁ、なんで僕って女の子じゃないんだろ。どっかに女の子になれる道具とかないのかなぁ、ほんと」

ルーナ「うん?いる?」

ロン「……えっ!?!?!?!?」

ハーマイオニー「ルーナ、冗談はやめて。冗談よね?……冗談よね!?」


451 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/23(土) 15:45:15.16 ID:fry6wO450
夜中

校長室

コンコンッ

 ダンブルドア「入っておるよ!」

ガチャッ

ハニー「だからそれやめなさいって……あぁ、お邪魔したかしら?」

トレローニー「まぁ——どうやらお邪魔なのはこちらのようですわ——十字架の如き赤き命運をその身に背負いし——そう、選ばれし者——わたくしはずっと昔から予言していましたわね」

ハニー「だからあんまりあなたに関わりたくないのよ」

トレローニー「そうでしょう、ダンブルドア? わたくしが邪険に放り出されるのは、このせいでしたのね」

ダンブルドア「これこれシビル、わしは彼女のように君を放り出したりなんかせ、ウップ、いかん吐き気が」

ハニー「間違ってもこれから入る篩の方に足を向けるのはやめなさいよ」

トレローニー「入る……?まぁ、いいでしょう。校長先生?どうしてもわたくしの申請を受理してもらえないのですわね」

ダンブルドア「そうじゃのう……前向きに検討する形でひとつ善処したい所存じゃったりなんじゃったりこう、あ、髭に枝毛が。やはりちょびっと切ったのはまずかったのう」

ハニー「あれあなたのなのね何やってるのよ」

トレローニー「聞いてませんのね!!! わかりましたわ、それならばわたくしにも考えが」

ハニー「……なんのことだか分からないけれど、先生も落ち着いて」

トレローニー「わたくしの居場所を奪うあのお馬さんを教職から追い出す、というわたくしの願いをむげにされるのでしたら!考えがありますわ!」

ハニー「折れるのは早いわ、先生。ちょっとこの豚、まじめに聞きなさい、真面目に。大真面目よこれ」

ダンブルドア「ワシハイツダッテマジメジャヨー」

ハニー「第一声から髭を三つ編みながら言ってるんじゃないわよこの豚」


452 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/23(土) 16:06:39.80 ID:fry6wO450
ハニー「……言ってしまったわね、トレローニー先生」

ダンブルドア「最終的に水晶玉をわしに投げつけてのう。なにあの豪腕、あの人杖なしでも戦えるわあれ」

ハニー「冗談やめなさい。先生は、そうね。やっぱりフィレンツェが教えることにまだご不満なの。私もだけれど」

ダンブルドア「彼は追放の身じゃからのう、仕方ないのじゃ。かと言って、トレローニー先生を辞めさせるわけにもいかん……彼女がこの城から離れるのは、あまりにも危険じゃ」

ハニー「……先生が、私とヴォルデモートに関する予言をした、から」

ダンブルドア「そうじゃ。そしてそのことは一部どころかかなりの死喰い人幹部が知っておる……まったく、シビルがインドアな女性で助かった」

ハニー「城が自分の家、というくらい閉じこもっているのだものね」

ダンブルドア「これで君のお母様のように野生児な女の子だったらどう、おっと、やめておこうかのう。短い老い先をまだ終わらせとうない、まだ」

ハニー「あと半世紀は現役でいそうなくせに何言ってるのよ」

ダンブルドア「そうだったらよかったのじゃがのう。それで、ハニーよ」

ハニー「なぁに?」

ダンブルドア「前回の最後に出した課題のことなのじゃがのう」

ハニー「…………ぁ」

ダンブルドア「……」

ハニー「……え、tt」

ダンブルドア「愚問じゃった、愚問じゃったのう、ハニー。君は聡い子じゃ」

ハニー「……えぇ、その」

ダンブルドア「わしから、初めて課した君への宿題じゃ。よもやこなせなかったなど、まさか忘れておったことなどあるわけはあるまい。豚として大変失礼じゃった」

ハニー「……」

ダンブルドア「そう、わしは君の豚じゃった。その飼い主たる君のことを信じられず何が豚じゃろう、そうじゃろ?何せ君は高貴であり、可憐であり、儚げであり伝説的、そして道徳的で家庭的な模範的行動の化身とも言える聡い子なのじゃから」

ハニー「……ごめんなさい」

ダンブルドア「……」

ハニー「……やろうとは、したの。授業の後に、先生に聞いたわ。それで、けれど、教えてもらえ、なくて」

ダンブルドア「そうじゃろう、そうじゃろう。君のことじゃ、その大変有利に働くはずの見た目を武器にせず、真っ向から聞き出そうとしたのじゃろう。そう、第一弾は不発に終わった。して、ハニー。次の手は何を講じたね?」

ハニー「……」

ダンブルドア「君のことじゃ、最善を尽くしたのじゃろう。君のあふれんばかりの創意工夫をこらして、あの強情者のホラスをギャフン!アルバスサイコウ!と言わせたのじゃろう?どうじゃね?」

ハニー「……あの」

フィニアス『怠け者はこれだk』

ダンブルドア「フィニアス黙っておれ。今わしのターンじゃ」


454 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/23(土) 16:21:17.80 ID:fry6wO450
ダンブルドア「わしはこの記憶がいかに重要なのか、君にたしかに伝えたつもりじゃった」

ハニー「……」

ダンブルドア「例え一度失敗に終わっても、君の不屈なる精神は何度でも挑戦するはずじゃと考えておった」

ハニー「……」

ダンブルドア「友のことを心配するのは最もじゃ。そう、ミスター・ウィーズリーの事態で酷く動揺したことじゃろう。記憶のことからひと時意識が離れても仕方あるまい」

ハニー「……」

ダンブルドア「じゃが、その後はどうじゃろう。君には十分な時間があったのでは?特に、ミスター・マルフォイのことについて考える時間などは、そちらに意識を向ける絶好の機会だったのでは?」

ハニー「……」

ダンブルドア「クィディッチ、結構。君の喜びや楽しみはわしら豚にとっても同じこと、それはよろしい。じゃが、練習を終え、一息ついた後、その足でホラスの部屋に向かうこともできたのでは?」

ハニー「……」

ダンブルドア「君を厳しい言葉で叱りつけるのは簡単じゃ。じゃが、わしは、君自身に自ら答えてほしい」

ハニー「……わたしを信用して、まかせてくれたのに。ごめんなさい」

ダンブルドア「うむ」

ハニー「頑張るわ。絶対、今度こそ。だって、っ、そうよ。わたし」

ダンブルドア「わしの飼い主じゃ、そうじゃろう?」

ハニー「っ、っっ!そうよ! 待ってなさい!あと、ちょっと自分が情けない、から!!!後ろを向いて、頬をつねるけれど!!!こっちを見ないこと、いいわね!!」

ダンブルドア「もちの一番豚じゃて」

フィニアス『ふん、やはり泣けば済むとおm』

ダンブルドア「フィニアス、わし二度も同じこと言いたくないんじゃけど」

フィニアス『うーんむにゃむにゃ、あと3世紀』


455 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/23(土) 16:51:18.72 ID:fry6wO450
ダンブルドア「さて、ホラスの話はやめじゃ。なんじゃねあのケチンボ、たかが記憶くらいチョチョーイとくれればいいものを」

ハニー「全否定ねあなた……それで、今日はどんな記憶に、入るのかしら」

ダンブルドア「うむ。これまでは、ハニーよ。かのお辞儀フリークが」

ハニー「火付け役あなただったけれどね」

ダンブルドア「……そのリドルが、十七歳になるまでの確かな事実の根拠となる記憶を共に見て、そして足らない部分を推量してきた」

ハニー「えぇ、そうね」

ダンブルドア「しかし、これより先。つまりは彼が卒業してからのことは、事実たる部分が減り、更に推量していく他ないじゃろう。なにせ、成人したヴォルデモートの記憶を語ってくれるものはほとんどおらなんだ……その片鱗の記憶をもつホラスでさえ、あれじゃ」

ハニー「……」

ダンブルドア「大変困難じゃった。事実、奴が卒業してからこれまでの生き方を完全に語れるのは、おそらく奴本人だけじゃろう。まぁ、ベラトリクスあたりが十五年前まで一言残らず発言をノートにまとめてそうじゃが」

ハニー「嬉々としてそうでいやだわ」

ダンブルドア「じゃが、そこはまぁわしじゃからのう。何とか二つの記憶を入手できた……これらを見、そしてわしの引き出した結論が正しいかどうか、君に判断してもらいたい」

ハニー「そうしてあげるわ……それじゃ、それはあいつが卒業した後の時代の」

ダンブルドア「そうじゃ。七年生になったヴォルデモートは、君が予想しておる通りうけた試験ではすべて一番の成績をおさめておった。時に、すでに説明されておるかの?七年生では追加授業を申請できることは?」

ハニー「? なぁに、それ」

ダンブルドア「卒業後の進路に関わるより専門的な学問を、七年生では生徒の申請があれば特別に開講するのじゃ。ヴォルデモートもまた、その権利である授業を申請した」

ハニー「……聞きたくないわ」

ダンブルドア「その名も『お辞儀学』」

ハニー「聞きたくないわ」

ダンブルドア「わしの権限であと一歩のところでとめさせたがのう」

ハニー「何やってたのよ他のホグワーツ教師陣」


456 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/23(土) 17:04:29.34 ID:fry6wO450
ダンブルドア「ともあれ、トム・リドルは全ての試験で最高の点を取り、周りの者は輝かしい何かを期待しておった」

ハニー「……監督生で、主席。それに特別功労賞。全部上辺だけのものだけれどね」

ダンブルドア「ホラスを含む何人もの教師が、彼を魔法省に入省させようとした。面接を設けようとし、あるいは己が人脈に紹介しようとしたのじゃ」

ハニー「あんな質問をされた後も、スラグホーンはお気に入りからはずさなかったのね……ますます、あの後なにがあったのか」

ダンブルドア「知らねばのう。そして、しかし、あの者はそれらを全て断った。どこで働いたと思うね?」

ハニー「……悪の秘密結社の総裁、とか?」

ダンブルドア「闇の陣営オジギスルノダーじゃのう。それも大いに視野にいれておったじゃろう。じゃが、彼は教職員たちが気づいたときにはボージン・アンド・バンクスで働いていたのじゃ」

ハニー「……ボージン・アンド・バンクス!?」

ダンブルドア「驚きも最もじゃ。ホラスなんて泡吹いて倒れたのう。『わたしのクラブの一等ナメクジがブクブクブクブク』とか」

ハニー「ちょっと待ってなぁにその嫌な格付け」

ダンブルドア「もっとも、この職はヴォルデモートの第一の選択ではなかった。その事実を知るのは当時の役立た、ゲフン、ディペット校長と、そして校長からヴォルデモートよりも信頼を勝ち得ておったわしじゃった」

ハニー「……何を望んだの? いいえ、その流れは大体分かるわ。まさか」

ダンブルドア「そう、ヴォルデモートは初め、この城で教職に就くことを希望していたのじゃ」

ハニー「いやよ授業最初に何度も頭を下げさせられるのは」

ダンブルドア「すまんて」

ハニー「そうよ、あなたのせいよあなたの」


457 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/23(土) 17:33:04.87 ID:fry6wO450
ハニー「あいつがこの城に残りたかった理由……は、いくらでもあるわね」

ダンブルドア「そうじゃのう。まずは一つに、単純にこの城を自らの故郷と思っておったことじゃろう」

ハニー「……秘密の部屋のあの記憶はうそまみれだったけれど、えぇ。本心からここから去りたくなかったことは、確かなようだったわ」

ダンブルドア「そして、この城に残された古代の魔法の数々。創設者四人の、あらゆる高みが生きた牙城じゃ。わしも校長になってから受け継いだいくつかの事柄で、年甲斐もなくテンション上がってしもうたことがある」

ハニー「あなたの年甲斐はいつになったら身につくのかしらね」

ダンブルドア「つかずじまいかものう。そして、第三に。これはおそらくホラスの影響じゃろう……ここで教えること、若い魔法使いの上に立つことによる影響力、権利の行使じゃ」

ハニー「ここを、自分の恥ずかしい集団の人材集めにしようとした、そういうこと」

ダンブルドア「そうじゃ。そして異論を唱える者の排除、もしくは矯正じゃのう」

ハニー「……でも、それは適わなかった」

ダンブルドア「わしの助言もあり、ディペット校長は思いとどまった。『十八歳ではまだ若すぎる。外の世界を見て、数年後にまた再応募の意思があるのならば考えよう』とのう」

ハニー「……教えたがったのは」

ダンブルドア「『闇の魔術に対する防衛術』じゃ。もちの一番豚」

ハニー「私の豚を私以外が豚と呼ばない。そう……なんとなく、分かっていたけれど」

ダンブルドア「その当時勤めておった古株のガラテア・メリィソート先生が、歳と健康上の理由で退職する話があってのう……本当に、一時は決まりかけたのじゃ」

ハニー「……」

ダンブルドア「いやぁ、危なかった。ニコラスから送られてきたすんごい美味しい水をガラテアの朝食にちょいと一滴足らした結果見る見る元気になるというまるで奇跡のようなことが起きなかったら、危なかったのう。ふーぅ」

ハニー「……何をやらせてるのよ、何を」

ダンブルドア「持つべきものは友、というやつじゃて」


459 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/23(土) 17:59:14.87 ID:fry6wO450
ダンブルドア「城に残って自分の息のかかった魔法使い、つまりは『ミニ俺様を作ろう!』と目論んだヴォルデモートじゃったが」

ハニー「言い方」

ダンブルドア「その企みは潰えて、奴はホグワーツを去り、そしてボージン・アンド・バンクスで働きだしたのじゃ」

ハニー「……ただの、店員として?」

ダンブルドア「もちろん、違う。それはもう、接客の態度と言ったら申し分なかったそうじゃがのう。奴はやろうと思えばいくらでも社交的になれたのじゃ」

ハニー「すばらしい角度でお辞儀している姿が目に浮かぶわ」

ダンブルドア「店主は当然、ヴォルデモートの才能を知っておった。そして、丁寧な物腰で賢く、しかもハンサムじゃったあ奴に、強い魔法力のある特別な商品をまかせるようになったのじゃ」

ハニー「……それこそが、あいつがあの店で働き出した理由ね」

ダンブルドア「その通り。物への執着は孤児院の記憶の中でも説明したとおりじゃ……そして、今後ますますじゃが。それでは、件の記憶を覗くとしようかの」

ハニー「誰の記憶なの?その当時の、あの店の店主?」

ダンブルドア「いや、とある屋敷しもべ妖精じゃ。この者が仕えておったのは、年老いた大金持ちの魔女でのう——ヴォルデモートの仕事で一番の得意先と呼べる相手だったのじゃ」

ハニー「顔だけ、はいいものね。それでも私からみればイマイチに過ぎるけれど」

ダンブルドア「そりゃそうじゃのう、じゃって君の中じゃ堂々一位どころか殿堂入りした光り輝く一等星が」

ハニー「あなたも星にしてあげてもいいのよ?」

ダンブルドア「ほっほ、それはそれは。見守らせてほしいものじゃのう、君の姿を——さぁ、行こう」

ポチャンッ

グルグルグルグル







460 : ◆GPcj7MxBSM 2013/11/23(土) 18:13:25.02 ID:fry6wO450
今日はここまで
屋敷しもべで始まり屋敷しもべで始まるハーも感涙仕様
続きは来週日曜
12月からはもうちょいペース上げられるはず
じゃあの!

474 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/01(日) 17:39:28.06 ID:ksDyZLMq0
屋敷しもべ妖精 ホキーの記憶

ハニー「……随分と立派なお屋敷ね」

ダンブルドア「正直に言ってよいのじゃよ、ハニー。けばけばしいとのう」

ハニー「私はいつだって自分に正直よ、世界がそうさせるから……まぁ、いいわ。あんなにお年寄りなご婦人なのに、この内装はちょっと、えぇ。はしゃぎすぎよ」

ダンブルドア「服装ものう。彼女はヘプシバ・スミス。この家の主で、この記憶の持ち主であるホキーの主人でもあるのじゃ」

ヘプシバ『ホキー!さぁ!はやくおし!あの人が来てしまうでしょう!え!?』

ホキー『はいっ!はいっ、奥様!お足を失礼——ですが、あぁ奥様!スリッパはもう一回り大きいものをお召しになられたほうがよかろうかとホキーは存じます!』

ヘプシバ『馬鹿を言わないで!これが我が家で一番可愛いスリッパでしょう!?この家で一番可愛いのは!?』

ホキー『奥様にございます!!!』

ヘプシバ『よろしい!!さぁ、誰に何を履かせるって!?』

ハニー「……必死ねぇ」

ダンブルドア「誰かを見ているようじゃのう」

ハニー「的確にうるさいわ。この婦人がこんなに、慌ててるのは……」

ダンブルドア「そうじゃ。あの者の訪問が近いのじゃろう……噂をすれば」

チリンチリンッ!

ヘプシバ『!ほら、いらしたわ!あぁ、時間ピッタリ!彼はいつだってそう!ホキー!?あたくしの顔、どうかしら!』

ホキー『素晴らしすぎて花もはじらいしおれるほどにございます!!』

ハニー「……歳相応に落ち着きなさい、と言いたいわ」

ダンブルドア「まったくじゃ」

ハニー「あなたは言う資格ないわよあなただけは」

ヘプシバ『よろしい、オホンッ!——トムを案内してきなさい、ホキー』

ホキー『そのように、奥様!』

バタバタバタバタッ

ハニー「……」

ダンブルドア「……」


476 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/01(日) 17:51:53.56 ID:ksDyZLMq0
ツカッツカッツカッツカツ

ハニー「これが、成長したリドル……表現としては、ハンサムね。普通の」

ダンブルドア「君にとってのとびっきりはいま就寝中じゃからのう」

ハニー「黙って……この部屋、色々な小道具とか花瓶やらでかなりゴタゴタしているのに、苦もなく進んでくるわね……通いなれて居る証拠、かしら」

ダンブルドア「そういうことじゃのう。さぁ、そしてここから」

ハニー「えぇ、どうせ……素晴らしい角度でお辞儀で……えっ」

スッ

リドル『ごきげんよう、マダム——お目通りかない光栄至極です』

ハニー「……跪いて、手をとったわ」

ヘプシバ『あぁ——トム』

リドル『お手をとる事をお許しください。愛らしい手だ。今このひと時、この手だけは、マダム?——マドモアゼルに戻ってもらっても——?』

ヘプシバ『トム、そんな、あぁ!手にキスをされるなんて、何年ぶりかしら……!』

ハニー「……」

トム『お花もどうぞ——美しいご婦人』

ヘプシバ『まぁ、まぁトム!こんなことをしちゃ——あなたは本当に、いけない子だわっ!!!!』

ホキー『ヒューヒューーー!奥様ヒューヒューーーッ!』

ハニー「……ナニアレ」

ダンブルドア「ヴォルデモート卿じゃよー」

ハニー「…………あぁ、ロンかハーマイオニーがどう言うのか聞きたいわ、本当」


479 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/01(日) 18:09:26.69 ID:ksDyZLMq0
ハニー「いくらでも社交的に、って、限度があるでしょう……なによあれ」

ダンブルドア「イケメンは往々にしてジゴロ気質ということかのう、どこぞの一等星と同じく」

ハニー「黙りなさいと言ったけれど」

ダンブルドア「ヒンヒン!」

ヘプシバ『全く、年寄りを甘やかすのが上手ね、トム!さぁさ、おかけなさい。ケーキはいかが?あなたが甘いものが好きなのは知っているわよ?』

リドル『僕が好きなのはあなたからいただく物すべてですけれどね。えぇ、いただきますよ——色々と』

ヘプシバ『喜んでもらえて嬉しいわ!それに、トム。そうでなくとももっとお食べなさいな、随分とやせているわ……あのお店でこき使われているのでしょう?』

リドル『いえ、若い者がより働くのは当然のことです——それで、マダム。例のゴブリン製の甲冑の件ですが、店主のバークは五〇〇ガリオンでどうか、と——』

ヘプシバ『まぁ、まぁ!待って、トム! そう話を急がないで頂戴?それじゃ、まるであなたがあたくしの小道具のためだけにいらしたように思ってしまいますことよ?』

リドル『えぇ、もちろんマダムとお会いできる事も楽しみにしています。ですが、僕は店主の使用人としてそういった物のためにこちらを伺うように、と——』

ヘプシバ『バークなんか、プフーッ!だわ! あなた「だけ」に見せたいものがありますのよ、トム……?ゴブリンの甲冑なんてちんけなものじゃない、本当の歴史的な価値のあるもの、を……興味はあありかしら?』

リドル『……マダムから拝見させていただけるのでしたら、喜んで』

ハニー「……ここに来てから初めて、本心で笑ったわね」

ダンブルドア「これまで心の中で反吐を噴きながら売った媚びがようやく実った、そういうことじゃろうのう」

ハニー「あいつにしては、随分と回りくどい話だわ、まったく」


480 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/01(日) 18:20:13.52 ID:ksDyZLMq0
ホキー『お持ちいたしました、奥様!』

ヘプシバ『えぇ、ホキー。頭の上にしっかり掲げなさいな?なんと言っても我が家の、最高の!秘宝なんですから。二つとも、ねぇ……?』

リドル『……二つ』

ヘプシバ『驚いたかしら、トム?あぁ、あたくしの親族がこれをあなたに見せたと知ったら!あの人たちはみんな、喉から手が出るほどこれが欲しいのよ?これをね……』

コンココンッ、コン……

ハニー「……?ホキーの持ってきた皮製の箱の一つを、ノックした、わね」

ダンブルドア「ハッフルパフ・リズムじゃのう」

ハニー「なぁに、それ」

ダンブルドア「ハッフル豚に聞いてみてはどうかのう、君にとは言え口を割るとは思わんが。ほっほっほ」

ハニー「私以外が豚って呼ばないの……中にはいっていたのは、金色の、取っ手が二つついた、カップ?」

ヘプシバ『これが何かお分かりかしら?あぁ、トム。いいわよ、お手にとりなさいな。布越しでお願いね?』

リドル『……お預かりします』

ハニー「……一瞬、目が赤くなったような、そんな気がするわ」

ダンブルドア「本心を隠すのが下手じゃのう、こやつは。ところでハニー、わしもうすぐ死ぬんじゃけどー」

ハニー「なんなのよそれは、はいはい」


481 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/01(日) 18:34:07.10 ID:ksDyZLMq0
リドル『この刻印……穴熊、ですか?』

ヘプシバ『えぇ、その通りよ!』

リドル『するとこれは——まさか、ヘルガ・ハッフルパフの——?』

ヘプシバ『賢い子!そう、よくご存知のようにあの伝説の魔法使い、ホグワーツの創始者、ヘルガ・ハッフルパフの持ち物——あたくしの、遠いご先祖様の!あら、言っていなかったかしらぁ?オホホ』

リドル『それはそれは……初耳です』

ハニー「嘘ね」

ダンブルドア「あれなんでわしこんな分かりやすい奴の本性暴けなかったんじゃっけ」

ヘプシバ『これにどんな秘められた力の数々があるのか!もったいなくて試したことはないわ、こうして大事にしまっておくだけで』

リドル『それはそれは……もったいない』

ヘプシバ『「みなしゃんで飲んだあの時のホットミルクが、お酒が、カボチャジュースが、いつでもまた味わえるように」なんて言葉が伝わっているけれどねぇ……きっと最初の部分がおかしいあたり暗号なのかしら』

リドル『……さぁ、どうでしょう』

ハニー「……ヘルガ・ハッフルパフの素だと思うわ」

ダンブルドア「わしも髭とか残しておこうかの」

ハニー「もうルーナにやったでしょ」


482 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/01(日) 18:50:26.27 ID:ksDyZLMq0
ヘプシバ『さぁ、しまってしまいましょう。トム、もっといいものがあるのよ?こっちに、さぁ?』

リドル『……』

ハニー「……渋々、と言った感じね。ご婦人は、表情というより顔だけしか見ていないから気づいていないようだけれど」

ヘプシバ『もっと近くにいらして、トム?あなたはこれがもっと気に入ると思うわ』

リドル『……』

ヘプシバ『これが本当に存在すること、そしてそれをあたくしが持っていることを知っているのはあたくしとホキー、それにもちろんバークだわね、彼から買ったんだもの……今日からあなたもその一人よ、トム?』

リドル『……金色の、ロケット』

ハニー「!」

リドル『スリザリンの印……マダム、これは』

ヘプシバ『そう! サラザール・スリザリンその人の持ち物よ!あぁ、トム!とっても気に入ったのねぇ!うっとりした顔もステキだわ!』

リドル『それはそれは……』

ハニー「聞いちゃいないわね……あなたの汚れた手でサラザールの大事なロケットを触らないで」

ダンブルドア「この後触るどころじゃないことするがのう」

ハニー「益々ぶっ飛ばしたいわ」

ヘプシバ『身ぐるみはがされるほど高かったわ。でも見逃すわけにはいかなかったもの、この家のお宝をいくつも売ってコレクションにくわえたの……バークはどうやら、みすぼらしいみなりの汚い女から買ったそうだけど。ボロ儲けねぇ』

リドル『…………』

ヘプシバ『これを、売るなんて!その女は価値を一つも知らなかったのでしょうね。無知で愚かだわ、バークが雀の涙ほどの金貨しか払わなかったのは当然! このお宝にそんな扱いしかできないなんて、きっとその女は盗っ人に違いないもの』

リドル『………………』

ヘプシバ『そう思うでしょう、トム?』

リドル『……………………えぇ、それはもう』

ハニー「……」

ダンブルドア「……」

ヘプシバ『そうよねぇ……あら?トム、興奮するのは分かるけど鎖を握り締めてはだめよ?それに、オホホ。目の色まで変わって……あ、あら?光の加減かしら……?赤く……オホホ、気のせいねぇ』

ダンブルドア「……ここまでじゃ、ハニー」

ハニー「……あのご婦人は?」

ダンブルドア「二日後に殺された。公式には、屋敷しもべ妖精ホキーが誤って毒を盛ったことで、のう」


483 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/01(日) 19:07:14.91 ID:ksDyZLMq0
校長室

ハニー「リドル家の時と同じだわ!あいつはまた、人に罪をなすりつけて!」

ダンブルドア「その通りじゃ。魔法省も最初から疑ってかかっておったから、自白されれば何の異論もなくホキーを有罪にした。歳をとって混乱したのじゃろう、と言うてのう」

ハニー「ホキーが……ホキーが、屋敷しもべ妖精だから!?」

ダンブルドア「そうじゃ」

ハニー「彼らはとっても、ドビーだって、私達のためによくしてくれてるのに!あぁ、ハーマイオニーを抱きしめてあげたい!『S.P.E.W』に今ならとっても共感するわ!」

ダンブルドア「明日から会員が数倍増じゃのう。さて、彼女が殺された後、親族の間では彼女の蒐集物の確認がなされた。具体的には、代々受け継がれたお宝の数々、そして件のカップの」

ハニー「……当然だけれど、なくなっていたのよね。カップも……それに、ロケットも」

ダンブルドア「一族がその事実に気づいたのは随分と経ってからじゃった。何せヘプシバはお宝をぬかりなく隠しておったし、その全てを把握しておったホキーは投獄中じゃ。奴は周到じゃからのう、それも見越してホキーを犯人にしたてたのじゃろう」

ハニー「……じゃぁ、あの屋敷に頻繁に出入りしていた人間が怪しい、と思う頃には」

ダンブルドア「トム・リドルはボージン・アンド・バンクスから姿を消しておった。誰にも消息がつかめず、その時を最後に長い間、奴は人目に触れる事がなくなったのじゃ」

ハニー「……どうせ恥ずかしい連中と一緒だったんでしょうけれど」

ダンブルドア「そうじゃのう、ふんぞり返っておったことじゃろう。さて、ハニー。今回の記憶で奴の性根の一端が分かったじゃろう。孤児院の頃から何も成長しておらぬ、人の宝物を手に入れるという物への執着が」

ハニー「まともじゃないわ」

ダンブルドア「わしや君にとってはのう。しかし奴にとっては違ったのじゃ」

ハニー「……サラザールのロケットを奪いたがる理屈は、まだ分かるわ。でもどうして、ハッフルパフのカップまで」

ダンブルドア「ホグワーツの創設者に連なる物の魅力、この学校に未だ強く惹かれておったあ奴には効し難かったのじゃろう。もう一つの理由は、追々説明しようかの」

ハニー「まだこの私に隠し事があるというわけ、この豚」

ダンブルドア「何事も順序じゃて、順序。ヒンヒン!」


484 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/01(日) 19:32:55.99 ID:ksDyZLMq0
ちょいメシ
9時には再開

487 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/01(日) 21:10:17.78 ID:ksDyZLMq0
ダンブルドア「さて、ハニー。今宵見せる記憶の二つ目、そしてこれが、わしが用意した君への授業、最後の記憶じゃ」

ハニー「……」

ダンブルドア「ホラスのあれを除いてじゃけど」

ハニー「絶対手に入れるから待ってなさいって言ってるのしつこいわよ」

ダンブルドア「期待しようかのう。この記憶は、ホキーの記憶から十年の月日が流れておる。その間、ヴォルデモート卿が何をしておったのかは、想像するしかない」

ハニー「……したくもないわ」

ダンブルドア「おぉ、そうじゃの。あの面を拝めば益々その感想を強くすることじゃろうて。さて、行くとしようぞ」

ハニー「今度は、誰の記憶なのかしら」

ダンブルドア「わしじゃよ」

ハニー「初めて正しくまともにその台詞が使われた気がするわ」

ポチャンッ

グルグルグルグル







488 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/01(日) 21:15:46.42 ID:ksDyZLMq0
ダンブルドアの記憶

ダンブルドア「ようこそハニー、わしの記憶へ」

ハニー「えぇ、お邪魔してあげ——」

ダンブルドア『ようこそ』

ハニー「……うるさいわ」

ダンブルドア「おぉ、どうしたねハニー。再三言うておることじゃが、これは記憶の中のわしじゃから何を語りかけても無駄じゃよ。のう?」

ダンブルドア『まったくのう』

ハニー「……」

ダンブルドア「ホッホッホ、この頃は独り言がひどくてのう、いや全く」

ハニー「何も言わないわ、もう。 そうね、今より若い頃のあなただわ……この部屋を見るに、校長になった後のことらしいけれど」

ダンブルドア「若々しいのう。特に右腕なんて。みて今のわしの右腕、しわくちゃじゃぁ。歳はとりたくないものじゃなぁ」

ハニー「老化が原因だったらとんでもないわよそれいい加減に教えなさいよ」

コンコンッ

ダンブルドア『……入りなさい』

ハニー「……入っておるよ、じゃないのね」

ダンブルドア「ハニー、君に向けてよい台詞ではないが、今割りと真面目な場面じゃよ?わかっとる?」

ハニー「分かりすぎてるわよ、うるさいわねこの豚」

ダンブルドア「ヒンヒン!」


490 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/01(日) 21:27:27.09 ID:ksDyZLMq0
ギィィィィィッ

ダンブルドア『こんばんは、トム』

ペコッ

リドル『……おひさしぶりです 先生』

ペコッ

ハニー「あぁ、やっぱりあいつ……キャッ、っ、ゴホン。なに、かしら今の声。えーっと、赤豚が鳴いたのかしらね?」

ダンブルドア「そうじゃのうハニー。記憶の中のフォークスはまどろんでおるが、奴の気配に声をあげたのかもしれぬ、うむ……この、溶けた蝋を無理やり固めたような輪郭は、凡そあのハンサムな若者のそれではないからのう」

ハニー「……白目の部分が全部、血走ってるわ。今みたいに縦に切れた瞳孔では、ないけれど……」

ダンブルドア「十年間、何をしていたのか、は。君の言ったとおり、想像したくないのう」

ダンブルドア『掛けなさい。短く済む話ではないじゃろう』

リドル『ありがとうございます』

ダンブルドア『ふむ……少し、変わったのう?トム』

リドル『それはそうでしょう わたくしは、卒業してから——』

ダンブルドア『痩せた?』

リドル『——まぁ、それも多少』

ダンブルドア『やはりのう、それに色も随分と白い。ちゃんと食べておるかね?うん?』

リドル『……ダンブルドア、今日は世間話をしにきたのではありません』

ハニー「真面目なのは一瞬なのね、あなた」

ダンブルドア「よく言われるよ、なぜかのう」


494 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/01(日) 21:58:09.81 ID:ksDyZLMq0
リドル『あなたが校長になった、と聞きました 素晴らしい人選です』

ダンブルドア『君が賛成してくれて嬉しい。それで、トム。どんな用件で訪ねてくださったのかな?』

リドル『——わたくしは、もう『トム』とは呼ばれていません このごろは』

ダンブルドア『君が何と呼ばれておるかは知っておる。いや、呼ばせておるか、かものう』

リドル『では——』

ダンブルドア『しかし、わしにとっては君はずっとトム・リドルなのじゃよ。イライラするかもしれぬが、年寄りにありがちなこととして我慢してくれんじゃろうか。のう、「トム」』

リドル『……』

ハニー「……会話の主導権は渡さない、そういうわけ?」

ダンブルドア「いや普通に調子のっててイラっときたから」

ハニー「…………正直な豚は好きよ」

リドル『あなたがこれほどここに留まって居ることに、驚いています』

ダンブルドア『ふむ?』

リドル『あなたほど偉大な、魔法使いが なぜ教師に甘んじ、この学校を去りたいと思わないのか いつも不思議に思っていました』

ダンブルドア『左様、わしのような魔法使いにとって一番大切なことはのう、トム。若い才能を磨く手助けをすることなのじゃ。君もかつて、教えることに惹かれたことがあったはずじゃ、と記憶しておるが……?』

リドル『もちろん そして今でも、そうです ただ、魔法省大臣に二度も誘われたというあなたがどうして、と』

ダブルドア『実は三度じゃ。しかし一生の仕事として、魔法省に惹かれたことはない。おぉ、君とわしの共通点じゃのう、トム?』

リドル『……そのようです』

ダンブルドア『ほっほっほ。昔はもちーと、愛想笑いが出来たように思うがのう』


495 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/01(日) 22:19:35.76 ID:ksDyZLMq0
リドル『……そうです わたくしは戻ってきました 教えるため、教師になるために』

ダンブルドア『本題、というわけかな』

リドル『えぇ ディペット校長が期待していたよりも遅れたかもしれませんが』

 肖像画ディペット『いやいやウエルカム!』

ダンブルドア『ディペットちょっと黙っとって』

リドル『それでも戻ってきたことに変わりはありません ここで、あなたの下で教えさせていただきたいとお願いに参ったのです』

ダンブルドア『ふむ』

リドル『あなたならば当然、ご存知でしょう わたくしがこの城から去った後 多くの事を見聞し、そして成し遂げたことの多くを わたくしは生徒達に、他の魔法使いからは得られないものを教えられるでしょう』

ダンブルドア『いかにも、トム。わしは幸いなことに、君の数々の所業を風の頼りで得られるだけの情報網は持っておる。しかしその全てが、信じたくもないものばかりじゃ」

リドル『——偉大さは妬みを招き、妬みは恨みを、恨みは嘘を招く あなたも偉大な魔法使いだ このことは分かっているはずでは?』

ダンブルドア『君は自分のやってきたことを「偉大だ」と称するのかね』

リドル『無論です わたくしは魔法の限界を 可能性の境界線を広げてきた 数々の実験と実践をもって』

ダンブルドア『ある種の魔法、と言うべきじゃろう』

リドル『えぇ、ですがそれこそ 魔法使いの真の力です』

ダンブルドア『そう、君が信じておることは分かる。じゃが君は、失礼な物言いになるが、それ以外は全くの無知じゃ。嘆かわしいまでに』

リドル『……ハハハッ』

ダンブルドア『おぉ、トム。どうやら、本心で笑えたのう?どうしたね』

リドル『古臭い議論だ もう聞き飽きた また、「愛」ですか? 先生』

ダンブルドア『そうじゃ、トム。「愛」じゃよ』

リドル『残念ながら、わたくしが自分の足で見てきた世の中に わたくし流の真の魔法よりもあなたの説く有名な、愛の方が強い、などという見解を支持する者は皆無でした それでも?』

ダンブルドア『随分と狭い世界を覗いていたのじゃな、と言わせてもらおう』

リドル『……ご自分こそこちらの世界を知らないのに——』

ダンブルドア『おっと、トム。言うておく。「使わない」ことは、「知らない」のと同意ではない』

リドル『……』


497 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/01(日) 22:32:36.97 ID:ksDyZLMq0
リドル『では、わたくしに試させてもらえませんか?』

ダンブルドア『ふむ?』

リドル『そこまで言うのならば、この場を覗いてわたくしの新しい研究を始めるにふさわしい場所があるでしょうか』

ダンブルドア『……』

リドル『わたくしの知識をあなたの生徒たちに与えてみましょう わたくし自信とその才能をあなたにゆだねます あなたの指揮に従いましょう どうです?』

ダンブルドア『おぉう、トムよ。そうなると君が指揮しておる者達はどうなるね?わしはその者たちまで迎えるつもりはないが?自ら名乗って、と噂されておる——「死喰い人」とかいう集団は?』

リドル『!! 何故 その名を——』

ダンブルドア『言うたじゃろ、情報網はある、と……それにしても』

リドル『……』

ダンブルドア『……死喰い人<デスイーター>(笑)』

リドル『…………何のことかは存じませんが 洒落て居るとは思いますが』

ダンブルドア『洒落ならよかったのじゃがのう。しかし、この自称死を喰らう者(笑)たちが洒落にならん雰囲気でホッグズ・ヘッドにおるというのはいかんのう』

リドル『……』

ダンブルドア『具体的に言うと、ノット、ロジエール、マルシベール、ドロホフと言うような? おぉ、トムよ。随分と献身的な友人を持ったのじゃな?君が教職を求めるため「だけ」にこの寒空の旅を付き合おうとは』

リドル『……相変わらず、博識ですね ダンブルドア「先生」』

ダンブルドア『よく言われるのう』


499 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/01(日) 22:54:48.96 ID:ksDyZLMq0
ダンブルドア『さて、トム。率直に話そうぞ。君が望んでもおらぬ仕事を求めるために、腹心の部下を引き連れて再びこの地に現れたのは、なぜかね?』

リドル『なぜ、とは? 言ったはずです わたくしは教えるため——』

ダンブルドア『あぁ、そうじゃな。そして君はまさかこのわしが、君を受け入れるはずがないと確信しておったはずじゃ。君は無知で、愚か者で、どこまでも孤児院にいた頃と変わらぬクソ生意気なガキんちょじゃが、馬鹿ではない』

リドル『……この』

ダンブルドア『ここに何をしに来た、トム』

リドル『……どうしても、わたくしにその仕事をくれるつもりはない、と』

ダンブルドア『君に教えさせるくらいなら顔だけで頭からっぽな似非イケメン野郎を生徒の反面教師となるよう招いた方がマシじゃ』

リドル『……それが最後の言葉なのか』

ダンブルドア『そうじゃ』

リドル『なら これ以上は何も 言葉はいらないな』

ダンブルドア『そのようじゃな、トム。そう、君の洋箪笥を燃やして怖がらせたりすることで、君の罪を償わさせることが出来た時代はとうに過ぎてしまったのじゃ……できるならば、そうしてやりたいが』

リドル『やってみろ 今度燃えるのは お前のほうだ』

ツカッツカッツカッ

ギィィィィッ、バタンッ


503 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/01(日) 23:15:52.32 ID:ksDyZLMq0
ハニー「……これ以来、あいつは魔法界の表舞台に出てきたのね」

ダンブルドア「本格的に血の浄化、マグル排除に乗り出すまでは猫かぶっておったがのう。そうじゃ」

ハニー「あなたは、他の人たちよりは随分と情報を握っていたようだけれど?」

ダンブルドア「ならず者や、ちょっと規則破りをしたい生徒が集まるパブと言えばホッグズ・ヘッドじゃが、あそこのバーテンとは知り合いでのう」

ハニー「仲良しなのね?」

ダンブルドア「……そう聞かれると、否じゃが」

ハニー「? とにかく、あいつは戻ってきた……でもほんと、どういう神経をしているの?あなたが校長なのに、教師になれるわけないじゃない。そうでしょ?」

ダンブルドア「その通りじゃ」

ハニー「……あなたも聞いていたけれど、何が目的だったわけ?」

ダンブルドア「今はまだ、推測に過ぎぬ」

ハニー「回りくどいのは嫌いよ」

ダンブルドア「ほっほ、ハニー。さっきも言うたじゃろ、順序じゃ、順序。その全ては、これまたさっきも言うたが——ホラスの記憶に、かかっておる」

ハニー「……」

ダンブルドア「さぁハニー、今日はもうお帰り。明日からの知恵を振り絞る毎日に向け、安まねばならんじゃろう?」

ハニー「振り絞らなくたって、やってみせるんだから。えぇ、おやすみ……ねぇ、一つだけいいかしら」

ダンブルドア「君ならばいくらでも?」

ハニー「出来る豚ね。でもいいわ……あいつは、あの時も『闇の魔術に対する防衛術』を教えたがっていたの?教科については、何も言っていなかったけれど」

ダンブルドア「おぉ、そうじゃな。無論、『闇の魔術に対する防衛術』じゃったじゃろう……何せ」

ハニー「えぇ」

ダンブルドア「あの会合以降、この学校には一年を越えてその職に留まった者は一人も、おらぬのじゃから」

ハニー「……クィリナスは」

ダンブルドア「ずーっとマグル学教師だったのじゃが、休暇で旅に出た後『ま、ままマグルが怖いですぅ!か、かか、変りに、闇の魔術から身を守る術を教えさせてくださぁい!!』と言い出してのう」

ハニー「……あなたなんとも思わなかったわけ」

ダンブルドア「いや、うん、じゃから、怪しいなーってセブルスに監視させとって、うん。ホントジャヨー」

ハニー「そういうことに、してあげるわ」


504 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/01(日) 23:17:35.47 ID:ksDyZLMq0
今回はここまで
ギルデロイとクィリナスに関しちゃレッツポタモア
次回はおそらく次の日曜、変更になったらまた知らせるんですまんの
じゃあの!

517 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/07(土) 21:03:00.30 ID:mPRO3sZf0
アクセラポッターの物語がが好きなので、ハニー・ポッターシリーズが完結したら
一方通行「アクセラポッターとアズカバンの囚人……ふざけてンのか」
の続きをお願いします。

518 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/08(日) 09:24:18.56 ID:Vck9icRK0
申し訳ない
今週は休み
つづきは来週日曜
すまん

533 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/15(日) 18:49:33.35 ID:/ziE+klf0
日曜夜

談話室

ハニー「……」

ハーマイオニー「……どれだけ真剣な顔でページを眺めてもステキなだけで、スラグホーンから記憶をもらう手がかりがその教科書から見つかることは絶対にないわよ、ハニー」

ハニー「……あら、わからないじゃない?聞き出すのに丁度いい呪文とか、薬のことが書かれているかもしれないわ」

ロン「さすがハニーの持ち物。もとの奴、さては豚だな!五十年前からの!」

ハーマイオニー「時空を超えさせないで。そもそもね、ハニー?ダンブルドアは、あなた『だから』できること、そう言ったんでしょう?」

ハニー「……そうね」

ハーマイオニー「呪いや薬で何とかなるなら、誰だって出来るわ。あなたがするべきなのは——」

ロン「スラッギーじいさんは首が見えないからなぁ」

ハーマイオニー「そういう方向じゃなくて! いいえ、ハニーがそれでいいなら、えぇ、それが一番、そうね。手っ取り早いわくやくて頭が痛いことに」

ハニー「それは、やよ」

ハーマイオニー「そうでしょ?ならやり方を間違えてるわ……あなたもね、ロン。あなた、いつから名前を『ローニル・ワズリブ』に変えたわけ?」

ロン「はぁ?誰だよそれ、どこの豚の骨……うわっ!?ぼ、僕の渾身のレポートの名前欄が!」

ハーマイオニー「書いておいて気づかない時点で身を入れていないことが丸わかりだわ」


534 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/15(日) 19:03:19.65 ID:/ziE+klf0
ロン「どうなってんだろ……これはあれかな、ハニーっていう女神から夢の中で与えられた洗礼名、いや、豚名?」

ハニー「えぇ、そうね。しっかり励みなさい、ローニル」

ローニル「ヒンヒン!」

ハーマイオニー「謝っておじさまとおばさまに。そういうことじゃないんじゃないかしら……ほら、あなたのレポート、所々に致命的な誤字があるわ」

ローニル「Honeyの綴りがHannyになってたとか?そりゃ屠殺もんだね」

ハーマイオニー「レポートでどうしてハニーの名前を出す必要が——あぁ、あったわね、あなたは。二行に一回」

ローニル「『この手法はまさに僕のハニーくらい完璧な対処法と言える』ってな具合に、ハニーへの賛美の言葉は呼吸するレベルで吐き出すし書き出さなきゃいけないしね、一番の豚として」

ハニー「当然の義務ね、えぇ」

ハーマイオニー「あなたの豚一同落第一直線よそれ……ほら、ここ。『吸魂鬼』が『球根木』になっているし、『卜占』が『木占』になってるわ。どんな羽ペンを使ってるの?」

ローニル「……双子からもらった、綴り修正機能付き、ってやつだ。マーリンの髭! ちょっと待ってくれよ、それじゃ全部書き直し!?ま、マーリンの髭!髭!」

ハーマイオニー「あなたっていつになったら魔法使いになるのかしらね。少しの綴りくらいなら、ほら。呪文で直せるわ。ちょっと待ってて」

ハニー「文字が動いて、正しいつづりに変わっていくわ。ふふっ、ロンが退院してから随分と優しいわね、ハーマイオニー?」

ローニル「あぁ、よかった。まったく……愛してるよハーマイオニー」

ハニー「」

ハーマイオニー「」

ローニル「………!? の、杖!!!」

ハニー「……ロン」

ハーマイオニー「……そう、それならよーくみせてさしあげるわ。そちらも修正しなくちゃいけないようだもの、丁度いいでしょう?」


535 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/15(日) 19:23:52.55 ID:/ziE+klf0
ロン「ペッペッ!インク壷をぶつけるこたぁないじゃないか!マーリンの髭!」

ハーマイオニー「それで少しでもレポートに身を入れればどうかしらということよ、ローニルさん」

ギャーギャー!

ハニー「……じれったいわ……これでも進展したけれど」

ハニー「いっそのこと、この教科書にそういういい雰囲気を作ったりする呪文や薬が、書かれていないかしら……他人に頼るのは私らしくないけれど、この本は特別ね」

ハニー「……ないわ。プリンスは、そういった方面には疎かったのかしらね」

ハニー「代わりに……随分あらあらしく殴り書きされた呪いをみつけたわ」

ハニー「……『敵に対して使え! 「セクタムセンプラ!」』」

ハニー「ふぅん? この私に敵なんていないけれど、覚えておき——」

バチンッ! バチンッ!!

ハニー「きゃぁ!?」

ロン「うわっ!」

ハーマイオニー「きゃっ!」

ドビー「ハニー・ポッター!ドビーめは仰せの通りハニー・ポッターへ定期的な報告に……これは一番豚様!ハニー・ポッターのみならず両手に花で抱きかかえておいでとは!」

ロン「あ、な、なんだ君かよドビー、それにクリーチャー。いやこれはさ、ハニーを不測の事態から身をだして守るのは僕のあれだし、それに、あー、ハーマイオニーは、ほら……マーリンの、ほらね?」

クリーチャー「もげればいいのに」


537 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/15(日) 19:39:18.14 ID:/ziE+klf0
ハーマイオニー「あー、どうして、ドビーとクリーチャーが?報告?えーっと、あなたたちのあの集まりの件とか、そういうことなの?ローニル?」

ロン「それやめろよ。えぇっと、うん。そうじゃないんだ、あー」

クリーチャー「もげあがればいいのに」

ハニー「そう言うのはやめなさい。そうね、ハーマイオニーには言ってなかったわ……えーっと」

ドビー「ドビーとクリーチャーは、ハニー・ポッターからあのフォイを監視するよう頼まれていたのです!」

クリーチャー「昼も夜も、休まずに」

ハーマイオニー「……ハニー?」

ハニー「……えっと」

ドビー「ドビーは一週間寝ておりません、ハニー・ポッター!」

クリーチャー「あの一等星クズもここまでの仕打ちはしませんでした。全く新しい女ご主人様は性格まであの方ににておられる」

ハーマイオニー「…………ハニー・ポッター?」

ハニー「……や、やめてよ」

ロン「いい仕事したぜ君たち、しおらしいハニーは久しぶりで……」

ハニー「ロン」

ロン「ヒンヒン!なんだいハニー!」

ハニー「向こう一週間、ちょっと眠らずにハーマイオニーのことを考えてみればどうかしら」


539 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/15(日) 19:50:58.10 ID:/ziE+klf0
ハーマイオニー「奴隷労働!よ!まったく!!まったく!!!」

ハニー「ごめんなさい、ってば……ど、ドビー?それにクリーチャーも。眠らずにやれとまでは言っていないわ。少しは休みなさい、いいわね?」

ドビー「承知しましたハニー・ポッタぐーっ、ぐーっ、Zzz……」

ハーマイオニー「ほら!!こんなに無理させていたのよ!?」

ロン「いやこれは豚としてハニーの提案に答えたまでだけどね……一週間かぁ」

クリーチャー「我々を豚と表現する始末、まっこと高貴さとはかけ離れた思考で」

ハニー「残念だけれどあなたは豚じゃないわよ。それに、なぁに?高貴?呼んだかしら」

ロン「ハニー・リリー・フローレンス・高貴・可憐・儚げ・伝説的・道徳的・家庭的・模範的・ポッターさぁん!」

ハニー「ハァイ?」

ロン「ヒンヒン!」

ハーマイオニー「……ダンブルドアも真っ青ね」


541 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/15(日) 20:05:26.24 ID:/ziE+klf0
ハニー「それで、ドビー?クリーチャー?マルフォイの方は、どうだったのかしら」

ハーマイオニー「屋敷しもべ妖精への奴隷労働に気を取られていたけど、ハニーったらまたマルフォイのことで何か動いていたのね……」

ロン「マルフォイのくせにハニーの思考に居座るなんて贅沢だよな、マぁいいじゃないか、すきにやらせルフォイ」

ハーマイオニー「あなたほんと医務室行った方がいいわよそろそろ」

クリーチャー「マルフォイ様は純血に相応しい振る舞いをなさいます。あれこそ、高貴な者の行いです」

ロン「マジかよそれじゃ僕一生平庶民でいいや」

クリーチャー「心配しなくてもそうだが」

ロン「わぁぶっとばしたいいい加減にしろよお前」

クリーチャー「マルフォイ様の顔立ちはクリーチャーのかつての女ご主人様を思いださせ、その立ち居振る舞いはまさしくブラック家の真の」

ハニー「あなたのマルフォイへの愛の告白はどうだっていいわ。あいつは、どこを出歩いているの?」

クリーチャー「……マルフォイ様は起床されるとすぐにご学友の二人をゆり起こし、ご自分の着替えの後に、ローブを上下さかさまに着ようとするご学友を」

ハニー「そこも、どうでもいいわ……聞きたくないわそれは」


543 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/15(日) 20:18:29.78 ID:/ziE+klf0
ロン「このままだとこいつ、『マルフォイ坊ちゃまのマル秘私生活録だフォイ!』をおっぱじめっちまうぜ……へい同胞、君が報告しろよ」

ハニー「そうね、その方がよさそうだわ。ドビー?あいつは、どこかいくべきではない所へ行かなかった?」

ドビー「あのフォイは、色んな生徒と一緒に出歩いているようにおもいます!ハニー・ポッター!」

ハーマイオニー「そういえば以前、見たことのない女生徒と一緒だったわね」

ハニー「この間も、二人も引き連れていたわ」

ロン「マルフォイのくせに!マーリンの髭!」

クリーチャー「もげロン」

ロン「うるさいな!なんなんだよお前はさっきから!」

ドビー「とくに、八階に行っているようにおもいます。そこで、他の生徒達に見張らせて、自分は——」

ハニー「……! 『必要の部屋』!!あぁ、あいつ……あいつの企みは、あそこで進んでたのね!」

ロン「……ハーマイオニー、なんかそろそろ現実味帯びてきたんだけど」

ハーマイオニー「……ひょっとしたら、ひょっとして」

ハニー「だから言ったじゃない、この私が! そうよ、あの部屋は、パパとリーマスとあの鼠、それに、シリウスが作った地図でも!」

ロン「奴さんは一まとめにしないあたり特別なんだよね名前をあげるものわかっていたい!ありがとう!」

ハニー「『部屋を出現させた人が必要だと想えば』地図に映ることがないんだわ……ドビー?私の豚?そうね、まずはほめてあげなきゃ」フーッ

ドビー「うひゃぁありがとうございます!ヒンヒン!ヒン!」

ロン「蹴られるのもたまにはいいもんだぜ、同胞」

ハーマイオニー「……ねぇ、あなた本当にマゾじゃないの?」


544 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/15(日) 20:37:55.96 ID:/ziE+klf0
ハニー「ドビー、そこまで突き止めたのなら……マルフォイがあの部屋で何をしているのか、も?」

ドビー「申し訳ありません、ハニー・ポッター。それは不可能なのです……あの部屋には、部屋を望んだ者とその部屋が何の目的で開かれたのかを知る者しか、入れません」

ハニー「……マルフォイは、去年……」

ハーマイオニー「あれはお馬鹿なマリエッタがペラペラと喋ってくれたおかげで、あの部屋がDAの集会所になってるとバレていたから、よ。ハニー」

ハニー「……マルフォイが何かを企んでる部屋、って、望んだらどうかしら?」

ロン「君が望んだら僕ならなーんだって用意するんだけどなぁ、あぁ」

ハニー「……なんとか、するわ。しなくちゃ。ドビー、本当にありがとう。かえって休みなさい?」

ドビー「とんでもございません、ハニー・ポッター!おやすみなさいませ!」

ハーマイオニー「あなたもね、クリーチャー。お疲れ様!」

クリーチャー「穢れた血がクリーチャーに話しかけるな」

ロン「お前こそ二度とその口が開かないようにしてやろうかこの野郎!!!!」

バチンッ!バチンッ!

ロン「あぁ、逃げやがった!マーリンの髭!髭!あいつ!今度あったらただじゃ!」

ハーマイオニー「……思えばいつもロンってこうやって怒ってくれるわね。一年生の、時から」

ハニー「あらハーマイオニー。一週間と言わず夜眠れないのは、あなたもなのかしら」

ハーマイオニー「……ニヤニヤしないで!」


546 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/15(日) 20:58:42.52 ID:/ziE+klf0
ハニー「これで、はっきりしたわ。マルフォイはお供を引き連れて、『必要の部屋』で何かしてる」

ロン「ヒンヒン!あぁハニー!君の推理はいつだって正しいよね!知ってた!」

ハニー「その通りよ、えぇ。とうとう追い詰めてやったわ」

ハーマイオニー「でも、色んな生徒と一緒に、っていうのはどういうことかしら……えーっと、マルフォイがそこまで大勢の人間を信用して、そのなんだか企てに関わらせるとおもう?」

ハニー「……それも、そうだわ。あのクリスマスの晩に聞いた限りじゃ、マルフォイにはそう多くの助けはないようだったもの」

ロン「あんなのに付き合うのは、せいぜいがあの腰巾着二人だよな。君を支えるのは豚一同総員だけどさ、もちのロンで」

ハニー「えぇ、そうね。天井知らずに増えて……二人!そうよ、いつも……それでここのところ、別行動を!」

ロン「?」

ハーマイオニー「ハニー?」

ハニー「そう、そうだわ!辻褄があうじゃない!スリザリン寮のすぐ近く!魔法薬の貯蔵桶には、スラグホーンが学期の初めに煎じたポリジュース薬が残されてる!材料なんてものじゃない、薬そのものが!」

ロン「……うーわぁ。マルフォイの奴、自分の取り巻きを女の子に変身させてたのかよ。おっどろきー」

ハーマイオニー「……ラベンダーとパーバティには聞かせたくないわね」

バタンッ!

ラベンダー「邪道よ!」

パーバティ「悪いけどそういうニーズにはこたえられないわ!!」

ハーマイオニー「答えなくていいから引っ込んで頂戴悪かったから」


548 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/15(日) 21:18:48.94 ID:/ziE+klf0
ロン「……あぁ、びっくりした。心臓が止まるかとおもった。マーリンの髭」

ハニー「えぇ、そうね。ロンがこわばって座り心地が悪くなるのは嫌だもの、ラベンダーには急に現れないでほしいところだわ」

ハーマイオニー「色んな意味でね、えぇ……ハニーがあの『姿くらまし』の初回の授業で聞いたクラッブ、ゴイルの不満っていうのも、きっとその変身させられてることについてだったんだわ」

ロン「女の子になれて不満だなんて、贅沢な奴らだよなぁ」

ハーマイオニー「あなたのその思考回路は不憫だけどね……」

ハニー「それでも、やめられることは出来なかったんだわ。だって、マルフォイが腕にある『闇の印』をみせて、脅したに違いないもの!」

ハーマイオニー「……それは、確定ではないわ、ハニー」

ロン「そろそろ苦しくなってきたよな、否定するのも」

ハーマイオニー「でも、うぅん……でも、そうだわ!ハニー、ほら、あなたはもっと他に目を向けるべきことがあるじゃない?」

ハニー「なぁに?あなたとロンのこととか?秒読みじゃない」

ロン「あ!あそこにあるのなんだろう!マーリンの髭かな!」

ハーマイオニー「なんのことかしら!おほん! あのね、ハニー?二兎追う者は一兎も得ず、という言葉はわかるでしょう?あなたはとにかくマルフォイのことよりもまず、ダンブルドアとの約束……きゃぁ!?」

ハニー「平気よ、ハーマイオニー。この私にかかれば二兎どころか、おまけに豚だってたくさんついてくるわ。そうね、加えてかわいいカワウソなんて、どうかしら……?」

ハーマイオニー「ちょっ、ハニー、それは、今の談話室には、私達しかその、だめ、あぁ、そんな、獲物を狙う、バジリスクみたいな視線じゃ、動けなく、なるわ……」

ロン「真上でつづけて!どうぞ!やったね!」


549 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/15(日) 21:25:10.47 ID:/ziE+klf0
開始が遅くなったせいで短いがここまで。すまん
続きは22日の日曜日

年末年始にかけて、以前のようなぶっつづけを数日やってとにかく六巻を最後まで消化する
来年初めに七巻を開始して、ゆっくり完結まで進めていきたい
時間ばかりかかるが申し訳ない
じゃあの!


567 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/22(日) 21:52:23.57 ID:XojsJxj90
数日後

八階の廊下

ハニー「……私はマルフォイがここで何をしているのか知る必要がある、私はマルフォイがここで何をしているのか知る必要が——」

ハニー「……必要な事を考えながら、この壁の前を三度通って、と」

ハニー「さぁ、どうかしら。この私のお願いなわけだけれど」

ハニー「……」

ハニー「元の壁のまま」

ハニー「へぇ? この私を無視だなんて、いい度胸しているわ。そうね、望みが間違っていた、そういうこと?」

ハニー「……マルフォイが何度もやってくる場所になりなさい、マルフォイが——」

ハニー「さぁ、これで……」

ハニー「……駄目ね」

ハニー「それじゃ、今度は……そうね、ここのところ一番フォイフォイ鳴っている場所、なんてどうかしら?」

ハニー「どうおもう、ロン?」

ロン「ゼェ、ゼェ、ゼェ、うん、はに、ゼェ、君って最高だよな!もちの、ゼェ、僕で!」

ハニー「違いないわ。さぁ、ロン。空き時間が惜しいもの、急いで」

ロン「ヒンヒン!あぁハニー!君のためなら僕ぁ廊下の端から端まで何千往復だってしてみせるよ!あぁ!」

シェーマス「ロンのやつ、午前の空き時間ずーーーーーーーっとあそこをダッシュしてるぜ。ハニー背負って。羨まヒン」

ディーン「幸せな重みだよな。一番豚の特権ってやつかぁ」

ネビル「……で、でもあの汗の量はそろそろまずいと、おも、ろ、ローーーーーン!!!」


570 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/22(日) 22:04:04.56 ID:XojsJxj90
地下教室

ハニー「たくさん試してみたけれど、必要の部屋は変化しなかったわ……何様なのかしら」

ロン「豚じゃないことは確かだよな、あぁ。あぁハニー!僕ら豚は君にとっての必要の家畜だよ!ヒンヒン!」

ハニー「えぇ、そうね。いつだって私の望みどおりでいなさい? 次は、スネイプの授業ね……あぁ、丁度教室が開いたところみたいで……」

スネイプ「ポッター、またまた遅刻とは随分とお偉いつもりのようですなぁ?鼻持ちならないどこぞのレンズとフレームを思い出させる行いに十点減点」

ハニー「まだ始業のベルも鳴っていないのに絶好調のようね『先生』」

スネイプ「何度言えば分かるのだ教授を睨むな十五点減点。ウィーズリー、貴様もだ」

ロン「おいおいとばっちりはネビルの特権だぜ。マーリンの髭」

ネビル「ローン!マダム・ポンフリーから脱水に効く薬……あれ?すっかり元通りだ!豚ってすごいや!」

ロン「あぁ、なんてったってハニーっていうだけで生まれ変わる気分になれるからな」

スネイプ「ロングボトム、罰則」

ネビル「わぁ!やっぱり!!」

ハーマイオニー「……ちょっと離れた所から見ていると、本当、改めて頭抱えたくなることばかり話してるわね、あの周り」


572 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/22(日) 22:23:31.75 ID:XojsJxj90
ハニー「ハァイ、ハーマイオニー。朝食ぶり」

ハーマイオニー「えぇ、ハニー。朝刊でマンダンガスが捕まった記事を読んで、喜んでいいのか悪いのか判断に困っていたようだけど、絶好調のようね」

ロン「『亡者』のふりして押し込み強盗しようとした、なんてさぁ。あいつも随分つまらなくなったよなぁ」

ハニー「……シリウスのお家の、つまりはわ、私の家から盗みをしたことは許せないけれど。あれも一応、元私の豚だもの」

ロン「今度会った時は全身全霊土下座のレクチャーしとこう」

ハーマイオニー「アズカバンをふらっと立ち寄れるパブみたいに言わないで」

ハニー「馴染みの人なら二人ほどいるけれどね、元気な豚と私のファンが」

ハーマイオニー「それも頭が痛くなるからやめて」

スネイプ「私語は慎みたまえ。今日の授業だが……なんだね、フィネガン」

シェーマス「はい、先生。今朝の新聞で読んだんですが……『亡者』と『ゴースト』はどう違うのですか?」

スネイプ「グリフィンドールは、なるほど?簡単な文字さえ拾うことが出来ないと見える。『予言者』の記事にあったのは『亡者』でなく薄汚いこそ泥でどこぞの小汚い犬畜生の同類だ」

ハニー「……あなたに比べればいくらか綺麗よ」

ロン「あの面と髪でよく人の外見のこととやかく言えるよな、マーリンの髭」


573 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/22(日) 22:36:20.52 ID:XojsJxj90
スネイプ「なるほど? お偉い諸君らの飼い主であるポッターは何かこの件に関してご存知のようだ。ポッター、立ちたまえ」

ハニー「……そうしてあげるわ」

スネイプ「こっちを見るな反吐が出る」

ロン「こいつなんで教師やってんだろ」

スネイプ「さて? フィネガンの問いに答えてさしあげたまえ」

ハニー「……」

スネイプ「『亡者』と『ゴースト』、この両者の違いは何か?」

ハニー「『ゴースト』はその魂の痕跡、そう去年ニコラスに聞いたわ。『亡者』は死者の肉体を魔法で操ったもの、これはダンブルドアから聞いたわね」

スネイプ「……」

ハニー「どちらも私のかわいい豚からの受け売りだけれど、シェーマス?これで満足かしら?」

シェーマス「ヒンヒン!すっげぇやさすがハニー!」

ロン「あぁ!生徒の質問一つまともに答えられないどこぞのベタベタ髪とは違うよな!」

スネイプ「ウィーズリー、今度は聞こえたぞ。罰則」

ロン「」

ネビル「ウエルカム、とばっちりワールド」

ハーマイオニー「いいえ今のは当然の流れよ、ネビル。罰則って単語に麻痺しないで」


574 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/22(日) 22:59:50.82 ID:XojsJxj90
放課後

ロン「あーあ、まさかネビルと一緒にアンブリ、もとい、蛙の臓物を繰り抜く作業をさせられるなんてね。マーリンの髭」

ハニー「私の命令以外で働かされるなんて無駄もいいところ、そうでしょう?」

ロン「まったくだよハニー!ヒンヒン! 何も罰則が終わるまで待っててくれなくてもよかったのに、やっぱり君って女神だなぁ」

ハニー「ハーマイオニーは別の授業だし、『必要の部屋』は今度はマルフォイがあそこにいる時に試すことにしたもの。あの童貞教師がこれ以上私の豚をいびることがないよう見張るのは当然だわ」

ロン「君が退屈でうっつらうっつら船こぎだしたら何故だか奴さんやけにテンションあがって蛙の臓物つめた樽に『あれはなんとかかんとかじゃない!!!』って頭突っ込んでたけどね」

ハニー「全く、挙動不審な人ねいつまでたっても」

ロン「もちのロンさ……うえ、そのときとびちったアンブリ、もとい蛙の臓物がローブの端っこについちまってら!マーリンの髭!ハニーを背負ってるってのに!髭!髭!」

ハニー「触れてはいないけれど、この私の乗る物が綺麗じゃないのは我慢ならないわね?」

ロン「今度から朝三回シャワー浴びよう……ちょっと待ってくれよ、ハニー!えぇっと、どこかに水道……あー」

ハニー「そこの男子トイレでいいじゃない?」

ロン「……あー、君は全く気にしないだろうけどさ。君をそんなとこに連れ込んでるところ見られたら僕今度こそ屠殺判決決定だなぁ」

ハニー「?」

ロン「えぇいままよ!一番豚の特権だこんちくしょう!」

ガチャッ!!!

マートル「 ハ ニ ー を男子トイレに入れるなんて何事よ!!トイレの水くらえ!!!!」

ロン「いや分類上は一応女子な君がいきなりここにいるのもどういうことなんだよってやめろよハニーにかかrさせるかああああうああばばばばばばばばば!!」

バシャアアアアア!


577 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/22(日) 23:22:16.45 ID:XojsJxj90
ハニー「ハァイ、マートル……あなた、男子トイレまで覗く趣味があったのかしら?」

ロン「スルーされてると思うだろ?僕、今ハニーに髪拭いてもらってるんだぜ。やったね。水おかわり!」

マートル「たまーにね。でも、今日はそんな不埒な目的じゃないわ……ここのところ、って言ったほうがいいけど」

ハニー「? 最近ここを訪れる用事が出来た、ってことかしら」

マートル「えぇ……彼に、会いにくるの。それに、彼も私に会いにきてくれるわ」

ロン「うへぇ……なんだよ、どこもかしこもラブコメかよ。気楽だよなぁまったく!」

ハニー「ロン、鏡ならそこよ」

マートル「また来てくれる、って言ったもの……もっとも、あなたも私にそう言ったけど」

ハニー「……それは、悪かったわ」

マートル「いいのよ、気づいたわ。私には今彼がいるもの……彼と私、とっても共通点があるの。あぁ、そういう意味じゃあなたとも少し似てるかも?」

ハニー「私っていう存在は唯一無双よ」

ロン「そうだぞ失敬な! マートルと似てる?そんじゃ、そいつもS字パイプのあたりに住んでるのかい?」

マートル「違うわ!つまり、その人は繊細で、みんなにいじめられて……」

ハニー「……」

ロン「それこそなんの冗談だよ。ハニーは皆に愛されてるぜまったく。昔の事なんて知らないね、そんなの僕の同胞が日夜贖罪してるんだから、つっつくのも野暮ってもんさ」

ハニー「…………あなたってどこまで」

ロン「ヒンヒン!僕ぁどこまでも君の一番の豚さ!」

マートル「……彼は孤独だわ!えぇ、支えてくれる人もいないし、誰も話す相手がいないの!人語を!いつも頭をかかえて、ここで泣くのよ!」

ロン「ヒン語なら教えるぜ?人前でピーピー泣くって、そいつ、まだ小さい奴なのか?ヒンヒン鳴く方に変えてやるよ」

マートル「気にしないで!私、彼の秘密は誰にも話さないって約束したのよ!この秘密は——」

ロン「墓場までもっていく、じゃないよな?えーっと……下水まで、とか?ハハハ!」

マートル「お望み通りおかわりくらいなさいよ!!!!!」バシャァアアアアアアア!!!

ロン「まーひgああああああやめろよハニー以外が僕に折檻するなよマー髭!髭!!!!!!」


578 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/22(日) 23:40:56.10 ID:XojsJxj90
ロン「マートルのボーイフレンドなんて、どんな奴だろうなぁ」

ハニー「少し気弱な子のようだけれど、悪い人じゃなさそうだわ」

ロン「まぁ君に似てるとなりゃそうかもね、無条件で」

ハニー「彼女にとっても死後の楽しみが増えるのはいいことだわ。覗きより、よっぽどね」

ロン「ハニー見てればいつだって楽しすぎて昇天するレベルだってのに面倒な奴だなぁ……さってと、そろそろ行こうかハニー!ハーマイオニーも待ってるだろうしね」

ハニー「えぇ、そうしましょうか。ふふっ、ロン。それは私に気を使ったのかしら?それとも自分自身が気になるのかしら、ハーマイオニーのこと」

ロン「前者以外ちょっとマーリンの髭が耳につまっててあれしてこれして髭……あー、それにしてもさほら。マートルも、うん。やるよなあ」

ガチャッ

ロン「気のある相手をトイレに連れ込んで、泣かせるなんてさぁ」

ハーマイオニー「へぇ?」

ロン「ワーオ、ハーマイはどこだろう。魂の痕跡すらないや!」


579 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/22(日) 23:42:54.76 ID:XojsJxj90
ちょびちょびですまんが年末に向けて今日はここまで
続きは29と30日、年始で
大きなイベントはあとは記憶と最後くらいなんでいけるはず
じゃあの!

587 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/29(日) 15:52:59.86 ID:n1Wh2ggC0
四月終わり

ハニー「……うまくいかないわ」

ロン「あー、そうだねハニー!僕の今日の『姿くらまし』試験はてんでうまくいきそうにないや!うーん、どこへ、どうしても、どういう意図で……」

ハーマイオニー「初回の授業で成功させたのはなんだったのかしらね、あなた……ハニー?あなたは七月生まれだから、試験は来年以降のはずだけど……?」

ロン「ハニー相手に年齢制限なんて間違ってるよな、魔法界の法律」

ハニー「えぇ、それはもう不満だらけだけれど。この私が、試験程度で頭を悩ませるわけがないじゃない」

ロン「そんじゃ、世の中の年の差が多すぎるカップルへの偏見とかかなハニーでもさ君がやることならみんななにも痛い!ありがとう!」

ハニー「……あの部屋のことよ。必要の部屋」

ハーマイオニー「……これっきり言わないわ、ハニー。マルフォイのことは忘れなさい」

ロン「そうだよハニー。あんなやつのこと、僕ぁきれいさっぱりあたマから消えてルフォイさ」

ハーマイオニー「潜在意識からも」

ハニー「どうしてあなたたちはそう、強情なのかしらね」

ハーマイオニー「あなたには負けるわ」

ロン「ハーマイオニー、さすがにそれは鏡って知ってる?」


588 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/29(日) 16:06:15.49 ID:n1Wh2ggC0
ロン「ほらきっとあれだよ、あいつがやってるのはさ。腰ぎんちゃくゴリラどもへの言語教室とか」

ハニー「クラッブやゴイルを見張りにしている、と言ったでしょう?本末転倒だわ」

ハーマイオニー「それもあなたの推測よ」

ハニー「この私の推測なのに?」

ロン「真実かぁ」

ハーマイオニー「堂々巡りだわね、もう。ついでで言うわ、ハニー。スラグホーンの……」

ハニー「わかってる。記憶を手に入れなきゃ、そうでしょ?わかってるの……問題は、スラグホーンは私に話しをする暇もくれない、っていうこと」

ロン「あのじいさんめ、他寮豚が嬉し泣きして有り金全部差し出してでも手に入れたいハニーとの会話の機会を自ら屠るなんて、屠られても文句言えないぜ」

ハーマイオニー「あなたなんでこれまで闇討ちされてないのかしらね……今度の魔法薬の授業は、『姿くらまし』の試験と被ってほとんどの生徒が欠席のはずよ?」

ハニー「すわり心地が悪そうね」

ロン「待っててくれよハニー!今僕が不在でも君に固い椅子なんかに座らせることがないよう、こう、限りなく人体に違いクッション状の何かを『出現』呪文させっちまうから!」

ハーマイオニー「魔法使いとしては次のステージでしょうけど人としてやめて」

ロン「それじゃもう、僕が二人になるしかないじゃないか」

ハーマイオニー「……どうしてかしら、『姿くらまし』がものすごく簡単な呪文なんじゃないかと思えてきたわ」


589 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/29(日) 16:29:50.33 ID:n1Wh2ggC0
ロメルダ「……ハニー・ポッターさん」

ハニー「あら、ハァイ……ロメルダ」

ロン「ひっ! いきなり現れないでくれよな!君を見ると一瞬自分を殴りたくなっちまうんだから!マーリンの髭!」

ハーマイオニー「そういう部分での自制は働くのにね、あなた……今度は何を差し入れするの?」

ロメルダ「もうあんな真似は二度としません」

ハニー「えぇ、まぁ。そうしてくれると助かるわね。それで?」

ロメルダ「これ、あなたにお手紙を預かりました」

ハニー「……ありがとう。えーっと、あなた、元気?」

ロメルダ「えぇ、すこぶる。それじゃ、また」

ハニー「……行っちゃったわ」

ロン「……僕があれになった件で、マクゴナガルにものすごく怒られたんだよな、彼女」

ハーマイオニー「……何故か猫恐怖症になったのも含めて気になるけど、そっとしてあげましょう」


591 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/29(日) 16:49:58.23 ID:n1Wh2ggC0
ハーマイオニー「それよりハニー、それ……ダンブルドアからの手紙なんじゃ?」

ハニー「……私が記憶を手に入れるまでは次の授業はしない、って言ったわ」

ロン「あの豚野郎、ハニーとの約束をなんだと思ってるんだ!」

ハーマイオニー「約束を反故にしかけてるのはハニーの方でしょ……経過を確認したいんじゃないかしら」

ハニー「……これで出だしだ『わしじゃよっ』だったら、吼えメールで返信するところだわ」

ロン「ハニーの声で鼓膜がしびれるなんて至福だね、いつだって体の奥底からしびれてるけど……うーん?随分曲がりくねった文字だけどさ、ダンブルドア、もう歳なのかな?」

ハーマイオニー「実際ご高齢でしょうけど……違うわ、これ、ハグリッドの字よ!」

ハニー「……何箇所も何箇所も、インクがにじんで……」

ハーマイオニー「読みにくいわね……えーっと」

ロン「何言ってんのさ。ここの『ヒンヒン』を読めよ」

ハーマイオニー「百歩譲って口頭なら理解しないこともないわ。でも、だから、文面でまでそんな」

ハニー「……アラ、ゴグが?」

ロン「あー、そりゃ、あの森も静かになるなぁ」

ハーマイオニー「話進めないで」


592 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/29(日) 17:19:18.85 ID:n1Wh2ggC0
ロン「要約すると、『アラゴグが死んじまった。ハニー、ロン、おめぇさんたちは前にあいつに会ったよな。だからあいつがどんなに特別なやつだったかわかるだろう?ハーマイオニー、お前さんもあいつにあったらきっと気に入るに違いねぇ』」

ロン「あぁ、そりゃ特別さ奴さんは。僕らを食べっちまえ、だなんてお仲間に言ってさ!今でも夢にみるねまったく!ハニーいたおかげでいい悪夢手前の最高の夢だけど!」

ハーマイオニー「それはにじんでない部分を読み取ったのよね?そうなのね?」

ロン「『今日の夕闇が迫るころに、あいつを埋葬してやろうと思っちょる。あいつが好きな時間だったんだ』」

ハニー「優しいハグリッドらしいわね」

ロン「……次のとこまではね。『お前さんたち三人にも立ち会ってもらえりゃ、俺は、うんと嬉しい』」

ハーマイオニー「……警備が百万倍も厳しくなってて、これまで以上に生徒の夜間外出が大問題になる、それを分かってて言ってるのかしら」

ロン「『分かってるけどよぉ、ハーマイオニー。俺ぁ、ひとりじゃ耐え切れねぇ』 君の反応って分かりやすいから、そう返事よこしてるぜ」

ハーマイオニー「用意周到なのはなんなのかしら、あなたたちの必須スキルなのかしら」

ハニー「……」

ハーマイオニー「ハニー、分かってると思うけど!絶対に行ってはだめよ?」

ロン「優しい君が葛藤するのは至極当然だしそんな君が天使で女神なのは自然の摂理だけどさ、こりゃ無茶だよハニー」

ハニー「……えぇ、分かってる。ハグリッドは、一人で埋葬することになるわね」

ロン「ついでに怪物趣味も埋めっちまってくれないもんかなぁ」

ハニー「……どれも可愛いじゃない?」

ロン「ハーマイオニー、ちょっと僕生まれなおして怪物になってくる」

ハーマイオニー「結構一歩手前よ」

ロン「お互い様さ、マーリンの髭」


595 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/29(日) 17:30:17.22 ID:n1Wh2ggC0
地下牢教室

『魔法薬の授業』

スラグホーン「はっはっは!なんとも寂しい教室だ! 『姿くらまし』の試験のおいてけぼりをくらったのは君たちだけかね?え?」

ハニー「えぇ、先生」

アーニー「はい、先生!それに!ハニーの下にいられるなんて!光栄の極みです!」

ハニー「そうね、アーニー。あなたをこの季節以降に生んでくれたお母様に感謝しなさい?」

アーニー「ヒンヒン!母さんとハニーありがとう!!ヒンヒン!!」

マルフォイ「……フンッ」

スラグホーン「それでは、授業はどうするか!これだけしかいないのだ、何か楽しいことをしようじゃないか?」

ハニー「……先生に何でも質問、なんていうのはどうかしら」

スラグホーン「うん?ハニー?なんだね?先生きこえなかったよごめんねとしだからね。それじゃぁ、今日は大なべを好きに使いなさい!面白いものを見せてくれ!」

ハニー「……やっぱり、聞いてくれそうもないわ」

マルフォイ「……チッ」

アーニー「ハニーの下ならなんでも作れそうな気がする!ハッ!ロン悲願の性転換の薬まで!!!」

スラグホーン「あー、そうだ。そうだった。好きに使っても良い、とは言ったがね。諸君?お願いだから、チョコレートフォンデュを始めるのはやめてくれよ?あぁ、彼は魔法薬が不得意というか、不真面目だったなぁ……大真面目に」

ハニー「……どこのリーマスのことかは聞かないわ、先生」


603 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/29(日) 17:47:02.07 ID:n1Wh2ggC0
グツグツグツグツ

スラグホーン「いやぁ彼ときたらどこから仕入れたのか砂糖を毎回一袋持ち込むわ、バニラ・エッセンスの香りを部屋中に立ちこめさせるわ、かと思えば薬草的に甘い薬のときは完璧完全に仕上げるわでもう……」

ハニー「リーマスはまともな人、っていうハーマイオニーの最後の砦が崩壊してしまうからあまり話さないであげてほしいわ」

スラグホーン「眼鏡と付き合っていたんだ、彼もまとも違うよ、うん」

ハニー「いくら先生と言えども大なべにつっこませるわよ」

スラグホーン「その眼はやめてくれ思い出して夢に出る。さぁ、さぁ!みんな完成したかな?あー、君はどうだね?」

マルフォイ「……まぁ」

スラグホーン「『しゃっくり咳薬』かね?ふーむ」

マルフォイ「……」

スラグホーン「まぁまぁ、と言ったところか。しかし、ふーむ?ミスター・マルフォイ?これを使って何をしたいのかね?」

マルフォイ「……とくになにも」

スラグホーン「いかんねぇ、いかん。魔法薬は繊細な作業を伴う。そこに画くとした目的意識が欠けていては、集中しきれないのも当然。この状態では、そうだな。『しゃっくり咳』どころか『ものすごく悠長に喋るようになってくれる』効果くらいだろう」

マルフォイ「今芽生えました目的意識」

スラグホーン「そ、そうかね? あー、君はどうだね?」

アーニー「はい!僕は六代までさかのぼれる魔法族家系でハニーの豚です!」

スラグホーン「そうか、うん。薬の方は豚のえさよりひどい出来のようだが……いや、これは煽りでなく、本当にひどいにおいだよ、うん」

アーニー「ろ、ロンなら食べられますよ、たぶん」

ハニー「私以外がロンに無茶なフリをしないで頂戴」

スラグホーン「それで、ハニー!君はどうだね……おっほー!」

ハニー「えぇ、先生。完璧な『陶酔薬』、そうでしょ?」

スラグホーン「いやいや、いや!すばらしい!それに、正統派な工程にハッカの葉を入れたのか!うん!この発想はまさしく!リリーのものだなぁ!泣けてきた!煙でね!いかんねぇ!」

ハニー「えぇ、それに……先生がこれでいい気分になれば、って目的意識も、ばっちりだもの。当然ね」


605 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/29(日) 18:03:07.26 ID:n1Wh2ggC0
ジリリリリリリリッ!

スラグホーン「おや、授業は終わりか。諸君、今度はもっと大勢と楽しもう。それじゃ!」

ハニー「っ、先生、ちょっと!私の薬、試してみる気は……」

スラグホーン「すまないねハニー私はほらちょっとアルバスの奴に呼び出されていてハッハッハあいつが私にいつでも勝手なのは君もご存知だろうそれではまたリリーの片鱗を見せてくれたまえよ!」

バタンッ!

ハニー「……はぁ、まただめね」

アーニー「何をおっしゃる僕たちのハニー!君はまたまた優等だったじゃないか!君だから当然だけど!」

ハニー「それは、私だものね」

マルフォイ「……フンッ」

ハニー「あら、なぁにマルフォイ。言いたいことがあるならはっきりすればどうかしら」

マルフォイ「別に」

ハニー「自分はもっと、授業なんかより大きなことをやってる、そう言いたいわけ?」

マルフォイ「うるさいっっっ!!!!!」

ハニー「っ」ビクッ

アーニー「うわ!なんだろ!地震!?なんでハニーを乗せてる僕の体がすごく揺れたんだろう!?」

マルフォイ「うるさいぞ、ポッター……お望みなら、そこの負け犬寮の奴がつけているのと同じようにその文面でバッジを作ってやる」

アーニー「失礼だぞ!僕のこのバッジは『ホグワーツのチャンピオン、セドリックを応援しよう!』の方だけだ!今は!!」

マルフォイ「黙るフォイ」

ハニー「……締まらないわね最後まで」

マルフォイ「うるさいって言っている……今に、くそ……今に」

バタンッ

ハニー「……」

アーニー「なんだあいつ、あの態度!一番豚に言いつけてやる!」

ハニー「……マルフォイ、今気づいたけれど……やつれてたわね」

アーニー「…………あっ!!!それにあいつ、負け犬寮って!!!失礼な!!!犬じゃないぞ、僕らは!!!!穴熊、もしくは豚だ!!!」

ハニー「……怒る場所が違うわ、アーニー」


606 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/29(日) 18:05:39.16 ID:n1Wh2ggC0
一旦区切り
再開は21時頃

608 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/29(日) 21:36:51.26 ID:MHoL8Q6Y0
放課後

談話室

ロン「——ってな具合で、僕の方はあと眉毛半分だったってのに不合格だったんだ!なんだってんだよ、眉毛がないくらい!パパの頭を見ろよ!」

ハーマイオニー「失礼にもほどがあるでしょ……でも、本当に厳しいと思うわ。次は合格よ、絶対ね」

ロン「あぁ、一発合格な君と同じくね。全く、予想を裏切ってくれないよなぁ君は。ハニーの絶対的な美しさくらいに」

ハニー「私のハーマイオニーだもの、当然だわ。ロン?あなたも私の豚なのだから、今度はしっかりなさい。いい?」

ロン「ヒンヒン!もちのロンさハニー!」

ロン「今度の試験じゃ『どうにも男子生徒の合格者が少ない。お手本を見せましょう、こうです!』つってマダム・ロスメルタのロスメルタに特攻しやがったあのトワイクロスの野郎の真上に現れてやる、って皆で誓ったからね!」

ハニー「……懲りない人なのね」

ハーマイオニー「本当に」


610 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/29(日) 21:54:21.26 ID:MHoL8Q6Y0
ロン「君の方はどうだったんだい、ハニー。アーニーの奴に委任状渡して仕方なく授業中のマットの役目を譲ってやったけど」

ハーマイオニー「変なところしっかりしてるのね……」

ハニー「快適だったわ。あなたほどじゃないけれど」

ロン「ヒンヒン!この六年で僕の背中はハニーにジャストフィットする形に進化してるのさ!当たり前だろ?僕ぁ豚だぜ?」

ハーマイオニー「何をバカな、って言いたいけど……六年間ハニーが腰掛ける度に毎回だと、本当にそうなっていそうだわ……それよりも、収穫の方を聞きたいところよ、ハニー?」

ハニー「……あなたが聞いたらがっかりするリーマスの話なら」

ハーマイオニー「……色んな意味で聞きたくないわね」

ロン「でもどうせチョコレートのことなんだろうなぁ、ってのは想像できるよな、うん。ハニーの頭の中に黒くて大きい犬が駆け回ってるんだろうってことが想像できるくらいたやす痛い!ありがとう!」

ハニー「スラグホーンの、記憶の方は。てんで駄目よ、相変わらず……あぁ、最後の手段に出るしかないのかしら」

ロン「特製首輪は完成してるぜ、ハニー!」

ハニー「不本意だけれどね……でも、あと少し……最初に問い詰めた時から、そう思っているのだけれど……あと少し何か、幸運が……」

ハーマイオニー「……!それよ、ハニー!!」

ハニー「? なぁに?」

ロン「『幸運』が『ハニー』に聞こえたのかい?分かる分かる、似てるもんな。ねぇ、幸運・ポッターさん」

ハニー「ハァイ?」

ロン「ヒンヒン!」

ハーマイオニー「そうじゃなくて!ハニー、フェリックスよ!フェリックス・フェリシス!幸運の液体!」

ハニー「……それは、あの液体……まだ、残してはいる、けれど」

ハーマイオニー「そうでしょう?あの時使ってなかったのなら、ほら!今が正しく使う、その時だわ!」

ハニー「……そう、ね。それが……でも」

ロン「あんまり急かしてやるなよ、ハーマイオニー」

ハーマイオニー「どうして!?」

ロン「きっとハニーは最近気づいたのさ。この液体、あの眠ってるミスター肉球の口に流しこんだらどうなるのか、って……」

ハニー「ロン」

ロン「ヒンヒン!なんだいハニー!」

ハニー「ここに、今日アーニーが煎じた魔法薬があるわ」


614 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/29(日) 22:13:36.04 ID:MHoL8Q6Y0
ロン「あぁひどい、ママを怒らせた時の晩御飯よりひどかった、マーリンの髭」

ハーマイオニー「えーっと、ハニー?気持ちはよくわかるけど、眠ってる人に起きる幸運は、それこそ夢の中くらいなんじゃないかしら……」

ハニー「そんなこと考えていない、ったら。それに、シリウスならもっと大事なことに使え、そう言うはずだわ」

ロン「そう言うだろう、ってとこまで考えたわけだよnあ、はい。大鍋の隅にまだ残り、うん。ハニーからもらったものだもの、完食するのが僕の義務さ」

ハニー「それでいいの。フェリックスを、寝室から……ハーマイオニー?お願いできるかしら」

ハーマイオニー「? あなたの頼みなら聞くわ。でも、どうして私?監視しなくっても、ロンならその悪夢みたいな薬飲み干すと思うわよ」

ハニー「? だってあなた、『姿くらまし』に合格したのでしょう?」

ハーマイオニー「忘れておいでみたいね、ハニー。この城の中じゃ誰も、あの魔法は使えないってこと」

ハニー「あぁ、そうだったわね……じゃぁ、こんな風にしてもすぐさま寝室に飛ぶ、ってことも出来ない、そういう話だったかしら?」

ハーマイオニー「きゃぁ!?ちょっと、ハニ、だめ、っちょ、あなたそんなこと言って場所なんて考えたことこれまで、あぁ、そんな、ハニー、どこにでも、なんて、バンディマンの生息地じゃ、あぁ……」

ロン「つづけて!やったね!アーニーのやつ、さてはこれフェリックスだなブクブクブクブク」

ネビル「どうzうわあぁあああああああぁあああロン!?ロン!?顔色が君の髪色と真逆でそれ、ろ、ローーーーーーーン!?!?!?」


615 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/29(日) 22:51:12.57 ID:MHoL8Q6Y0
ハニー「久々に見たわ、フェリックスの小瓶」

ハーマイオニー「あんまりいい思い出はないわね」

ロン「すっごい効き目だぜ、それ。ハニーの存在を目にしたくらい、やっぱりハニーって幸運だよなぁ」

ハニー「えぇ、そうね。権化とも集合体とも呼べるわ」

ハーマイオニー「というか、あなたは本当のこの薬飲んでないじゃない。何を言ってるの」

ロン「飲んだと思っただけであの効果なんだ、同じようなもんさ」

ハニー「一瓶で半日……でも、そんなに長い時間はいらないわ。そうね、一、二時間……ハーマイオニーの口で二口くらい、かしら?」

ハーマイオニー「な、なんで私の口換算なの?ね、ねぇ?どうして口移し前提で話しているの?」

ロン「どうぞどうぞ」

ハーマイオニー「うるさいわ。ハニー、真面目に。スラグホーンの記憶、手に入れるって約束したんでしょう?ダンブルドアと」

ハニー「……いつだって、大真面目だわ。それじゃ……」

キュッ、キュッ、キュポンッ

ハニー「……いただきます」

スッ

ハーマイオニー「……」

ロン「僕ってなんでビンじゃないのかな」


616 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/29(日) 23:11:42.09 ID:MHoL8Q6Y0
ハニー「——プハッ……ふーっ」

ハーマイオニー「あー、ハニー?気分はどう……あー」

ロン「ヒンヒン!みるみる満面の笑みに変わっていく君もステキだねハニー!」

ハニー「——えぇ!わたしはいつだって最高、当然じゃない!ロン!」

ロン「うわびっくりした!?え、えっと、ハニー?上ずった声で、うん、その感じももちのロンステキだけどさ」

ハーマイオニー「だ、大丈夫なの、ハニー?」

ハニー「当然よ!何もかも、簡単にうまくいくわ!スラグホーンの記憶?このわたしにかかればそんなもの朝飯前、そうでしょう?」

ハーマイオニー「あー、えぇ。えぇっと……いつも通りなのかそうじゃないのか、判断に困るわ、うん」

ハニー「さっきも言ったわ!私はいつだって最高、って!それじゃぁ、行かなきゃ!」

ロン「うんハニー!乗せていくよ!」

ハーマイオニー「えぇ、私達も一緒にいくわ。なんだか、あなたテンションが……」

ハニー「いいえ、一人でいいわよ!早く行かなきゃ! ハグリッドのところへ!」

ロン「うんうん……うん?」

ハーマイオニー「ハニー!?」

ハニー「今晩はあそこで決まりよ!分かる?何かいいことが、起こるような気がするわ、わたし!」

ロン「……これ、酒じゃないよな」

ハーマイオニー「……『的外れ薬』、とか?」

ハニー「アハハハハハハハッ!」

ロン「」ビクッ

ハーマイオニー「」ビクッ

ハニー「大丈夫よ、心配しないで! 自分がなにをしようとしてるかは、分かってるわ!少なくとも、フェリックスには分かってる!それだけよ!」

ハーマイオニー「……」

ロン「……なるほど!フェリックスもハニーの豚ってわけだな!うん!」

ハーマイオニー「諦めないで」


621 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/29(日) 23:36:43.65 ID:MHoL8Q6Y0
ハニー「それじゃ、行ってくるわね!透明マントもあるもの、もっとも、かぶる必要なんてないんだけれど!」

ハーマイオニー「ちょ、ちょっと、ハニー?そんな無謀なこと……」

ハニー「無謀なもんですか!ほら、今のわたし!とーっても幸運なの!信じて?ね!」

ハーマイオニー「……小首かしげる仕草が男の子だったら鼻から鮮血噴出すレベルだわ」

ロン「代わりなよばーまいおにー」

ハーマイオニー「鼻に羊皮紙詰め込んでご苦労さま」

ロン「あのさハニー。君をおいてこんな夜中になんて、僕ぁ君の一番の豚だけどそんなお願いは……」

ハニー「ロぉン?」

ロン「はい!」

ハニー「待て♪」

ロン「喜んで!!!!ヒンヒン!ヒン!!!」

ハーマイオニー「期待してなかったわ……」

ハニー「じゃあね!いい報告を期待してて……あ!それから!ロン、それにハーマイオニー!」

ハニー「わたし、二人がとってもお似合いだと思うわ!ごゆっくり!」

ハーマイオニー「」

ロン「」

バタンッ!

ハーマイオニー「……」

ロン「……」

ハーマイオニー「……え、っと。あー、な、なんだったのかしら!ハニーの、あのテンション!って、行かせてしまってから言っても、しょうがないけど、あー」

ロン「そ、そうだよな!きっとスラッギーじいさんめ、薬を間違えて、あー、そ、そうなるとハニーをやっぱりとめ、でも待てって言われ、えーっと」

ハーマイオニー「あー……」

ロン「……は、ハハハハハハ!!」

ハーマイオニー「……ふ、フフフ!」

ロン「HAHAHAHAHAHAHA!なんだこれ!!!マーリンの髭!!!髭!!!!!」


624 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/29(日) 23:54:57.70 ID:MHoL8Q6Y0
廊下

ハニー「ふんふふっふ~ん♪」

フィルチ「む!どこの生徒だこんな夜中に抜け出して鼻歌を歌ってるのは!そっちか!!」

ハニー「あら、この間マクゴナガル先生からいただいた生姜ビスケットの残りがポケットに!はしたないけれど、あっちにポイしちゃいましょう!それ!」

ミセス・ノリス「にゃーん!」

フィルチ「あぁあミセス・ノリス!ノリスちゃーーーーん!!どこにいくんだーーい!」

ハニー「フフッ、あのビスケットマタタビか何かでも入ってたのかしら!ふんふふふーん♪」

ピーブズ「ウッヒャァアアッハハハハーーーーァアアア!ごぉきげんなようだなぁー、ポッティーちゃ——」

ハニー「あら、ハァイ!そこにいるのはスリザリンの寮憑きゴーストの血みどろ男爵!元気!?あぁ、お亡くなりなんだもの!今のは失礼ねぇ! 今日も透けてるかしら!」

ピーブズ「ヒェッ!? あ、あいつにゃかなわねぇ!おさらばララバイだ!!」スーーーッ!

ハニー「あら!ただの甲冑の影だったわ!私ったら!フフッ! ふんふふ~~~ん♪」

スネイプ「……廊下の角の向こうから、どこかの生徒がのん気に歩いて来るようですな」

スネイプ「スリザリン生ならば少し注意し、寮まで送ろう。他寮ならば五十点は減点しましょうかな。グリフィンドールならば停学」

ハニー「ふんっふふ~ん♪」

バッ!

スネイプ「こんな時間になにをs」

ハニー「ハァイ、セブ♪」ニコッ

スネイプ「」

バタンッ

ハニー「あら?気絶しちゃったわ?もしもーし! ふふふっ、おねむだったのかしらね!」


629 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/30(月) 00:01:44.78 ID:duN0EIVAO
>ハニー「ハァイ、セブ♪」ニコッ
こいつは誰だってノックアウトだ

631 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 00:17:34.16 ID:h2JBaqTH0
玄関ホール

ギィィッ

ハニー「フィルチが鍵を掛け忘れていたみたい!あぁ、なんてついてるのかしら!当然ね、今夜のわたしは最高なんだから!今夜も、かしら!」

ハニー「さぁて、ハグリッドの小屋!ハグリッドの小屋よ!」

ザクッザクッザクッ

ハニー「ハグリッドの小屋……けれど!」

クルッ! ザクッザクッザクッ

ハニー「こんなに新鮮な空気を吸えるんだもの!ちょっと寄り道しましょう!競技場の方……いいえ!」

クルッ! ザクッザクッザクッ!

ハニー「野菜畑の方に回れば、きっと楽しいわ!フフフッ!走りましょう、わたし!」

マクゴナガル「さて、今夜も異常は……校庭のあの、影はなんでしょう」

マクゴナガル「はて……今宵は月が隠れていて、どうにも……」

マクゴナガル「……ですが、あの気まぐれで不規則な動きは、おそらく動物の類でしょう」

マクゴナガル「遠目に見えた毛色からするに、ミス・クルックシャンクス?」

マクゴナガル「彼女には今度言っておかなくてはいけませんね、ホグワーツに住まう猫として、もう少し……」ブツブツブツ

ハニー「アハハ!ハァ、ふー。疲れちゃったわ。すこーし休憩!」

ハニー「スプラウト先生の、温室のところね!あら?」

スラグホーン「そろーり、そろーり、と……いやいや、これは盗みとかではなく、学術的研究のための採取なのだが、うん、そうさ。でもポモーナはきっと怒るだろうから、こーっそり、すこーし……」

ハニー「こ ん ば ん わ 、 ス ラ グ ホ ー ン 先 生 !!!」

スラグホーン「うひゃぁ!?!?は、はははははハニー!?」

ハニー「アハハハハハハッ!」

スラグホーン「な、何笑っとるんだね!?え!?し、心臓止まるかと思った!声でかっ!?」

ハニー「先生!これからわたし、ハグリッドのところに、50年以上生きたアクロマンチュラの埋葬に行くのだけれど!ご一緒に、どうかしら!」

スラグホーン「あ、あぁ、その、私はすこしいそが…………アクロマンチュラ!?!?や、野生種がここに!?え!?ぜ、是非とも是非とも!あれの毒、それに体液は……ハッハッハ!ハニー、今日の君はやけににこやかだねぇ!え!」

ハニー「ええ、ふふっ!今日のわたしは、最高よ!」


633 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 00:18:54.37 ID:h2JBaqTH0
酔ってんのかってところで今日はここまで
明日は朝から夕方までぶっつづけると約束する
じゃあの!

634 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 00:20:19.00 ID:h2JBaqTH0
明日ちゃう、今日の朝から夕方。マーリンの髭!
じゃあの!

640 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/12/30(月) 01:48:12.96 ID:7NoMyqsJ0
シリウスがこの状態のハニーを見たらどうなるんだろう…。

642 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 10:40:30.91 ID:h2JBaqTH0
×ミス・クルックシャンクス
○ミスター・クルックシャンクス
マーリンの髭!

643 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 10:58:05.32 ID:h2JBaqTH0
ハグリッドの小屋

コンッココン♪

ハニー「こーんばんは、ハーグリッド♪」

ガチャッ

ハグリッド「グスッ、ぅおぉ、ハニー!来てくれたんか!え!?そんで、そんで、なんだこの可愛い生き物天使か」

ハニー「知ってるわ! ハグリッド、辛かったわね! でも、わたしが一緒にいてあげるわ!ね……?」

ハグリッド「うぅ、おぉおおお、ハニー!お前さんは、お前さんはなんて優しくて、そんで、なんちゅー女神なんだ!ヒン、ヒンヒン!」

ハニー「知ってるったら! ロンとハーマイオニーは来られなかったけれど、怒らないであげてね?けれど、途中で出会った素敵なお客様もつれてきたわ!」

ハグリッド「えぇんだ、えぇさ、わかっとる、無理なお願いをしとったんだ。そんで……オー!ホラス!?」

スラグホーン「この度は、まことにご愁傷様で……ハグリッド、あぁ、友よ。なんと言ってやればいいか」

ハグリッド「ぐすっ、ぐすっ、えぇ、えぇんだホラス!来てくれただけで、アラゴグも喜ぶにちげぇねぇ!俺とあんたは確か殆ど付き合いなかったけど、なんて親切なんだ!」

スラグホーン「何を言うねハハハわたしは君が学生の頃からほらよくやる子だなあと目をかけていたさ、ははは」

ハグリッド「それに、ぐすっ、ハニーを罰則しなかったことも、感謝します。ありがとう、ありがてぇ。あんたはいい人だ、何か今度お礼をやらねぇと」

スラグホーン「そんなそんな、ハハハ!HAHAHAHAHA!」

ハニー「今日は先生も陽気ねぇ!」


644 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) 2013/12/30(月) 11:00:23.58 ID:OSPodO1n0
>>640
ハニー「待て♪」

シリウス「わふんっ!」


646 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 11:14:19.06 ID:h2JBaqTH0
スラグホーン「悲しい夜だ、まっこと。ハグリッド?哀れな仏さんはどこにいるね?」

ハグリッド「あそこだ、カボチャ畑の方。息を引き取った後、俺がここまで運んできた……眷属どもめ、アラゴグを食おうとしよったんだ」

ハニー「まあ……!」

ハグリッド「あぁ、そうなんだ。そんで、ハニー、両手で口元押さえるその仕草なんだろうルビウスアラゴグの後追って昇天しそう」

スラグホーン「眷属……つ、つまりハグリッド?この森では、アクロマンチュラが繁殖している、そう言ってるのかね?え?」

ハグリッド「あぁ、そうだ。アラゴグと、モクザっちゅう夫婦が最初でなぁ」

スラグホーン「……ニュートンが発見できなかった群生地が、まさか彼の過ごしたすぐ傍の森にあったなんてなぁ」

ハニー「あぁ、えぇ!『幻の動物とその生息地』でのアクロマンチュラの項目のことね! 未確認ってところ、このわたしとロンが確認済み!って書きなおしてあげなきゃ!」

ハグリッド「あぁ、でっけぇ群れになってくれた。そんで……そんで、あいつらはアラゴグが死んで混乱しちょる」

ハニー「わたしがいなくなった後の可愛い豚たちのようなものね!」

ハグリッド「そりゃみんなやっぱり後追いするけどよぉ……あいつらは、俺のことも食おうとしよったんだ!信じられるか、ハニー!今まではアラゴグが命令したから俺を食わなかっただけだ、とぬかしよった!」

ハニー「まあ……」

ハグリッド「幸いグロウプが間に入って『それが君達の尊敬していた長であるアラゴグの意志を報いる行いだというのか!恥を知れ!!!』っちゅってくれたおかげで隙をみてアラゴグを運んだけどよぉ」

ハニー「頼れる弟ね、ハグリッド!」

スラグホーン「弟?」

ハニー「なんでもないわ、せんせ!ねっ!」

スラグホーン「え?あ、あぁ、うん、ハハハ!」


648 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 11:26:56.68 ID:h2JBaqTH0
カボチャ畑

スラグホーン「……すごい。なんと、壮大なものだ。あぁ、こんなサイズを生で、野生種をお目にかかれるなんて……」

ハグリッド「そうだろう、ホラス。美しかろう?え?」

スラグホーン「あぁ、なんとなんと……金色の、ガリオン金貨のように輝いて見えるじゃないか」

ハニー「ハグリッド、きちんとした埋葬をするんだから、わたしたちだけじゃなくアラゴグも正装させてあげなきゃいけないわ!死化粧とかね!」

ハグリッド「あぁ、そうだなぁ。でもよぉ、俺はそういうのをてんでしらねぇ……」

ハニー「スラグホーン先生が詳しいそうよ! ね、先生!」

スラグホーン「お任せあれ! ハグリッド、すこーし仏さんに触ることになるがいいかね?」

ハグリッド「ぐすっ、あぁ、好きにしてやってくれ。アラゴグも喜ぶ、うん。ぐすっ」

スラグホーン「ふーむ、まずは、そう!体液等を丁寧に抜いてやらねばいかんね、うむ。埋葬した後に腐臭が広がる原因となり、獣に掘り起こされたりなんだったりあれだったり……おぉ、何故かこんなところに大き目の丸瓶が!不思議だなぁ!」

ハグリッド「ぐすっ、あんたがいてくれて良かった、ホラス」

スラグホーン「いやいや、ハハハ!一瓶数百ガリオン!ハハハハハ!」


649 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 11:42:17.30 ID:h2JBaqTH0
スラグホーン「さて、採取、ごほん、最後の仕上げも終わった。ハグリッド、埋葬を始めようか?」

ハグリッド「ぐすっ、あぁ、そう、そうしよう」

スラグホーン「この穴に埋めるのだろう? わたしが杖で……?」

ハグリッド「いんや、えぇ。俺が抱き上げて、入れてやりてぇ。まだちーっちゃな赤ん坊の頃、卵から孵った時も、俺がこの手で抱きとめてやったんだ……」

ハニー「アラゴグの、ママだったのね!ハグリッド!」

ハグリッド「ぐすっ、ひぐっ、そう、可愛いちっちゃな鋏のアラゴグ……うぅ」

ガシッ ググググッ ドサッ

ハグリッド「ぐすっ、ぐずっ、おぉ、おぉぉお……おーーーいおいおいおいおい、アラゴグ、アラゴグぅー!」

スラグホーン「……君はよくやった。彼も君に入れられて本望だろう。別れの言葉は、私が代わろうか?」

ハグリッド「おぉ、おお、たのむ、あぁ、ああああ、アラゴグ、アラゴグーぅ!」

スラグホーン「それでは。ゴホン……」

スラグホーン「さらば、アラゴグよ! 蜘蛛の王者よ! 汝との長く固き友情を、なれを知る者全て忘れまじ! なれば亡骸は朽ち果てんとも、汝が魂は懐かしき森の住処にとどまらん! 汝が子孫の、多目の眷属が永久に栄え——」

ハニー「せんせ、長い♪」

スラグホーン「ありがとう!!!ありがとう友よ!!!!さあハグリッド、しみったれた空気はおしまいだ!この最高級オーク樽ハチミツ酒をどーんと開けようじゃないかね!あぁ、友よ!アラゴグよ!ありがとう!ありがとーーーう!!」

ハグリッド「おぉおお、おーーーぉおおお、アラゴグ、アラゴグぅーーーーー!!元気でな、元気でなーーーーぁ!!アラゴグーーーーーーーー!!」

ハニー「あらごぐー!」


650 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 12:03:21.59 ID:h2JBaqTH0
数時間後

ハグリッド「そんでよぉ、そんでよぉホラス!あいつぁ卵から孵った時、ほーんとにちっせぇペキニーズ犬くれぇのよお!」

ハニー「ふふふっ!ハグリッドったら、その話三回目よ!」

スラグホーン「ハッハッハ!いいじゃぁないか!さぁさぁハグリッド、飲みたまえ飲みたまえ!」

ハニー「(お酒が、かなり減ってきてるわね……もっと飲んでもらわなきゃ。フェリックスがそう言ってるわ)」

ハニー「(二人に、気づかれないように……無言で、補充呪文)」

ハニー「(出来るかしら)」

ハニー「(なんて!考えるだけ無駄よね!)」

ハニー「(えいっ♪)」

コポコポコポコポ……

スラグホーン「そういえばハグリッド?あそこにぶら下がってるのはなんだね?え?糸のようなものの、束……まさかとは思うが、ユニコーンの毛じゃなかろうね?」

ハグリッド「おぉ?おー、そうだ!森を歩ってるとよぉ、木の枝なんかにひっかかっちょるんだ!頑丈だから、怪我した動物の包帯を巻いたりすんのに使っちょる!」

スラグホーン「そんな、君ね、あれがどんなに……」

ハグリッド「なんならあんたにやろう、ホラス!こんなもんでお返しになるかわからねえが!ほれ!」

スラグホーン「ほんとーかいいやあ悪いね……ひ、一束!?い、いやいやいやいやいやいや!!!!流石にいやいや!!一本十ガリオンがこんな、いやいやいや!!!痛む!!!私の良心がディフィンドしちゃう!!」

ハグリッド「ハッハッハッハッハ!!ホラスはおもしれーなぁ!!ほーれ、かんぱーーーーい!!」

スラグホーン「あ、ああ!友情と気前のよさに、かんぱぁーーーーいい!!!」

ハニー「かんぱーい!」


652 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 12:21:25.47 ID:h2JBaqTH0
ハグリッド「そんでよぉ、ドラゴンの卵はもう絶対手はださねぇってきめたんだけどよぉ、チャーリーならもしかして、ってよぉ」

スラグホーン「なんと、ウィーズリーのお兄さんはあのレジェンドシーカーのチャーリーか。しまった私としたことが……な、なんだね?彼に頼めば?ど、ドラゴンの……?」

ハニー「ふふふふっ」



ハグリッド「アラゴグの家族たちもよお、しっかり話すりゃ分かってくれると俺ぁ思うんだ!だって俺ぁ奴さんの親友だったし、あいつらの兄弟も同じだ!そうだろうが?」

スラグホーン「あぁ、是非とも連中のコロニーに無事足を運べる折には案内してもらいたいものだ。美しいのだろうね、うん。アクロマンチュラの繭……あぁ、酒が美味い!美味しい!」

ハニー「ふふっ」



ハグリッド「かんぱーーーーぁい!かんぱーーーーぁい!!ホグワーツにかんぱーーーーぁい!!」

スラグホーン「かんぱーーーーい!たっくさんのお酒に、かんぱーーーーい!!」

ハグリッド「ダンブルドアかんぱーーーーい!!かんぱーーーーい!ハニー・ポッター、俺達の女神にかんぱーーーい!」

スラグホーン「そう、そうだ!『生き残った女の者』、とか、なんとか、あぁ、かんぱーーーーい!!」

ハニー「……ふふっ」



スラグホーン「『おぉ~♪ かくしてみんなは英雄の オドを家へと運びこむ~♪』」 

ハグリッド「あぁ、この歌は悲しいなぁ。いい奴ほど早死にする、そうだろうが?」

スラグホーン「『その家はオドがその昔 青年の日を過ごした場~♪』」

ハグリッド「俺の親父はまだ逝く歳じゃなかったし……おまえさんの父さん母さんもだ、ハニー……誰がなんと言おうと、あの二人はあの年頃の魔女と魔法使いン中じゃ、いっちばんだった」

スラグホーン「半分はどうかと思うがね『オドの帽子は裏返り オドの杖はまっぷたつ~♪』」

ハグリッド「ひどいもんだ、ひどい……おぉ~♪」

ハニー「……」

ハグリッド・スラグホーン「「『悲しい汚名の英雄の オドはその家に葬らる~~♪』」」

ハニー「…………」

ハニー「……さっきまでの私なにあれ」


655 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 12:33:01.81 ID:h2JBaqTH0
ちょいメシ
1時過ぎには戻る

659 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 13:59:27.72 ID:h2JBaqTH0
ハニー「……(この私が、私が!飲んだ薬に飲まれるなんて。許されないことだわ)」

ハニー「……(まだ、幸運の作用は残っているようだけれど)」

ハニー「……」

ハニー「……」

フェリックス『(へーい嬢ちゃん!ここはノリよくいっちゃおうぜ!それが幸運の——)」

ハニー「(この私に命令するんじゃないわよこの幸運豚!!!)」

幸運豚『……ヒンヒン!』

ハニー「……(これで、いいわ。でも、そうね。自分の意識がはっきりしだしたのは、もう時間がないってこと)」

ハニー「……(丁度いいわ。ハグリッドも、酔いつぶれて眠ってしまった。スラグホーンは……ハグリッドの最後の言葉で、何か考えてるところみたい)」

ハニー「……(本当、幸運ね)」

ハニー「……スラグホーン先生」

スラグホーン「ひっく……あぁ、ハニー……や、どうしたね。いやにおとなしくなって」

ハニー「忘れて頂戴」


662 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 14:29:05.12 ID:h2JBaqTH0
スラグホーン「オドの歌は知っていたかね、ハニー?魔法使いは葬儀の後、みなでこれを歌うものなんだ……」

ハニー「こういう場にいるのは初めてだもの、知らなかったわ」

スラグホーン「そう、そうだろうね。君は何せ、若い……」

ハニー「……若いからって、無縁というわけでもないですけれど。モンゴメリー姉妹の弟は、狼人間に殺された、って。新聞に書いてあったわ」

スラグホーン「……あぁ、そう。そういう時代だ。かつてと同じ……リリー、そして」

ハニー「パパとママが、ヴォルデモートに殺された時と?」

スラグホーン「ひっ!! あぁ、ああ、そうだ……ひどいことだ、ひどい……君は当然、覚えていないだろうね。まだ一歳だったのだから」

ハニー「えぇ。けれど、何の因果か知ることが出来たわ。当時の、詳しい情景までね……」

スラグホーン「……ハニー、無理に」

ハニー「パパが先に死んだわ」

スラグホーン「……ジェームズ・ポッター」

ハニー「私と、ママを逃がすために。パパが真っ先に、あいつに立ちふさがったの」

スラグホーン「……あぁ、彼はそういう奴だ」

ハニー「次に、ママだった。ママは、本当は……殺されるはずじゃ、なかった」

スラグホーン「」

ハニー「あいつは、私だけを殺そうとしていたの。何度もママにそこを退けって、言ったわ。ママは……逃げることができた」

スラグホーン「リリー……リリー……やめてくれ」

ハニー「……考えてみたら ママが死んだのは私を」

スラグホーン「やめろ……やめてくれ、ハニー」

ハニー「わたしを、かばったせいで」

スラグホーン「ちがう!!!!」

バンッ!!

スラグホーン「私だ……私のせいだ!!全部……リリーと、リリーの愛する君達が不幸になったのも全部!だから……」

ハニー「……そっか。先生は、ママが好き、っだったのよね。だから……あんな記憶、忘れていたかったの」

スラグホーン「……愚かしいだろう、分かっている。彼女が好きだった?当然だ……彼女に関わって、彼女を好きでいられない子が、いるはずがないのだ」

ハニー「私のようにね」

スラグホーン「…………本当に二人の子なのだなぁと思うねまったく」


663 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 14:45:55.82 ID:h2JBaqTH0
ハニー「……失礼だけれど。先生は自分勝手だわ」

スラグホーン「……」

ハニー「後悔も、償いも、自分の中で終わらせて。過去を過去のものとして。思い出の中でしか、ママと会おうとしない」

スラグホーン「……やめてくれ」

ハニー「ママは、私に。わたしに命をくれたわ。けれど、先生はわたしに記憶をくれない」

スラグホーン「やめてくれ、ハニー……あれは私の恥ずべきものだ……あれを見て、君は私を軽蔑するだろう……それだけだ。何の、役にも立たない」

ハニー「ダンブルドアがそれを必要としてるわ。その記憶こそが、ヴォルデモートを倒す手がかりになる、って」

スラグホーン「何故だね。何故、アルバスがそこまでする必要がある。そしてそれを……なぜ、君が手伝うのだ?え?」

ハニー「それは……」

ハニー「……」

ハニー「……(今夜のことは、お酒のせいで明日には綺麗さっぱり忘れている、みたいね)」

幸運豚『(ヒンヒン!)」

ハニー「(返事どうも、さっさと私に消化されなさい)」

ハニー「私が、『選ばれし者』だからよ、先生。当然じゃない」

スラグホーン「!!!」


664 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 15:16:24.31 ID:h2JBaqTH0
スラグホーン「君は、やはり!選ばれし、それでは……」

ハニー「えぇ、そう。世の中の噂と大体一緒。あいつを倒さなきゃいけないの。それが出来るのは、わたしだけ」

スラグホーン「つまり、つまりだハニー……君は恐ろしい事を言っている。つまり、わたしに、あの人を打倒する手助けをしろ、と」

ハニー「その通りよ」

スラグホーン「!」

ハニー「先生……勇気を出して」

スラグホーン「……」

ハニー「もう逃げてはだめ。ママはきっと、いいえ、絶対あなたのことを恨んだりなんてしないけれど」

ハニー「あなたがそんな気持ちでいたら、あなたの中のママは、死んだままだわ」

ハニー「生きているママを。今、ここにいるママを」

ハニー「ママの愛に、応えて。わたしを、助けて」

ハニー「それが、あなたが出来る、唯一の——」

スラグホーン「うわああああああああああああああああん!!!」

ハニー「」ビクッ

スラグホーン「おーーーーいおいおいおいおいおい!!リリーーーーィイイイイ!!リリーーーーーーーーィ!!」

ハニー「え、っと。あの、先生」

スラグホーン「わたしは、わたしは、あああああああああ!!君を二度も死なせたようなものじゃ、ないか!!あああああああ、うわぁあああああああん!!おーーーいおいおいおいおい!!」

ハニー「あ、あの、先生。そんな、子供みたいに泣かなくても……えっと」

スラグホーン「うぇえええええええ、うぅぅぅ、ああああ」

ハニー「……」

フェリックス『ヤッタレ』

ハニー「……よしよし。怖かったわね、よしよし」

スラグホーン「ママーーーーー!!」

ハニー「……そこは『リリー』じゃないのかしら」


667 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 15:47:13.79 ID:h2JBaqTH0
スラグホーン「ぐすっ。すまんね……取り乱した。酒を飲みすぎたね、酒を」

ハニー「お酒のせいにすれば許される、というものではないわ」

スラグホーン「……さぁ、これを」

スッ  サァァァァッ

ハニー「……先生が杖をあてたこめかみのあたりから、白い糸状のものが」

スラグホーン「……おそらくこのユニコーンの束よりも価値のない、なんのことはない……ただの老いぼれの恥ずべき行いの記憶にすぎないが。それでも?」

ハニー「えぇ。私たちにはそれが、重要だわ。先生にとっても、ね」

スラグホーン「……さぁ、とりたまえ。それで……私達のリリーの笑顔を奪ったあいつに」

ハニー「えぇ。しっかりけりを、つけてやるわ」

ハニー「……先生。さっきは自分勝手だなんて言ってごめんなさい」

スラグホーン「いやいや、いいんだ。そういわれてもしょうがない……わたしは」

ハニー「えぇ、そうね。お気に入りの生徒を集めて、自分の利益になるもの、価値のある物にしか興味がなくて。虚栄心が丸出しで。悪い人ではないけれど、少し嫌な部分が見えてしまう人だわ」

スラグホーン「……」

ハニー「けれど、先生は最後にはこれをくれたわ。この記憶を、わたしにくれた。その決断をしてくれた。先生は、愛を忘れてなんてなかった」

ハニー「……あなたは、勇敢で気高いわ。ありがとう、ホラス」

ホラス「……」

ハニー「……あら、今度は随分、静かに泣くのね」

ホラス「あぁ、ハニー……老人はね、時に涙だけが、意図せず流れてしまうのさ。さぁ、行きなさい……アルバスが待っているのだろう」

 「うぉっほん!」

ハニー「……今どこか外からの咳払いは聞こえなかったことにして。えぇ、そうね……それじゃ」

ギィィッ

バタンッ

ホラス「……あぁ。本当に……君の子供なのだなぁ、リリー」

ホラス「……」

ホラス「……首輪って、どこでもらえるのだろう」

ガチャッ

ロン「お困りのようだね」


673 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 16:02:08.84 ID:h2JBaqTH0
校長室

ハニー「……あれから少しハグリッドの小屋の周りを探してみたけれど、あの意地悪豚はどこにもいなかったわ」

ハニー「あのタイミング、絶対あそこにいたでしょ、あの豚……まったく、まわりくどいのだから」

ハニー「……」

コンコンッ

 ダンブルドア「ゼーッ、ゼーッ、ゼーッ、ヒューッ、フーッ。は、入って、おるよ」

ガチャッ

ハニー「嘘つきなさいよわざとらしく息切れして」

ダンブルドア「いやはや、さすがのわしもうむ体力がそろそろあれじゃて……さて、ハニー。こんな遅くにどうしたね」

ハニー「乗ってあげるわ……手に入れたの、スラグホーンの記憶! 本物の記憶を」

ダンブルドア「よし!それでは前もって用意していたこの憂いの篩を」

ハニー「早いったら。もう少し感慨もたせなさいなんなのよ怒るわよこの豚」

ダンブルドア「冗談じゃて、冗談。ちょっとしたお茶目じゃよ……ハニー、君なら必ず成し遂げると思っていた」

ハニー「えぇ、そうね。私だもの」

ダンブルドア「たとえ途中ちょっとハイテンションすぎてこれまでにないあざとさを発揮しておったとしても」

ハニー「どうやらやっぱりぶっ飛ばされたいようねこの豚」

ダンブルドア「おぉう、お叱りは後で受けようかのう。さぁ、ハニー……これで、全てが分かる」

ハニー「……えぇ」

ダンブルドア「今こそ、やつのしでかした全てを暴く時が……記憶を」

ハニー「……」

ポチャンッ

グルグルグルグルグルグル……


674 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 16:22:34.67 ID:h2JBaqTH0
記憶の中

リドル『ところで先生、メリーソート先生が退職なさるというのは、本当ですか?』

スラグホーン『おいおい、トム。全く本当に、どこから聞いてくるのかね!トム、トム、そればかりは本当でも教えてあげることは出来ないよ、困った子だ』

ハニー「……あの時の記憶ね。確か一度、このあたりで……」

ホラス『全く、トム。君のような優秀な生徒は、私の教師人生でも初めてだよ。そして恐らく今後、君ほどの人間は現れないことと確信するね——』

ハニー「そう、ここから霧がかかったように……けれど」

ダンブルドア「……今回は、改竄はなされていないようじゃ。ハニー、君は見事にやりとげたのう」

ホラス『——君はこれから二十年のうちに魔法省大臣になれると、わたしは確信しているよ。引き続きパイナップルを送ってくれたら、十五年だ。わたしは省にすばらしいコネがある』

リドル『覚えておきます、先生。ですが僕に政治が向いているとは思えません——生い立ちが、ふさわしくありませんので』

クスクス

ハニー「今の……リドルが孤児だ、って笑って……違うみたいね」

ダンブルドア「この頃には奴は、自分の母親の出目がスリザリンの末裔だと知っておった。それを吹聴しておったのじゃろう、その上での仲間内だけに伝わる皮肉じゃな」

ハニー「……嫌な趣味」

ホラス『こら、こら!笑うんじゃない!トム、生まれを恥じる必要なんてない。君は素晴らしい魔法使いだし、由緒正しい魔法使いの家系であることは火をみるより明らかなのだ。そのうち、知り合いに頼んで調べさせよう——笑うなというのに!』

ハニー「……ほら。ホラスが困ってるわ」

ダンブルドア「そうじゃrえっ、ホラスがファーストネーム呼びに昇格しとるっ」


677 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 16:39:07.71 ID:h2JBaqTH0
ハニー「あなたは意地悪豚で十分でしょ」

ダンブルドア「ヒンヒン!」

ホラs『なんと、もう十一時か!楽しい時間はあっと言う間だね、え?』

リドル『まったくです先生』

ハニー「そろそろ、問題の箇所ね……」

ダンブルドア「……」

ホラス『——早く寮に帰りなさい、トム——』

リドル『——一つだけ、教えていただきたいことがあるんです』

ホラス『ほーう? なにかね。私が答えられるものなら、喜んで答えよう。他でもない、監督生の君なのだから!』

リドル『先生、ご存知でしょうか……先生ほどの魔法使いなら、きっとお聞きになったことがあるんじゃないかと……ホークラックス、のことですが』

ハニー「……」

ダンブルドア「……」

ホラス『……』

リドル『……』

ホラス『……闇の魔術に対する防衛術の課題かね?』

リドル『いいえ……』

ホラス『あぁ、違うだろう。この存在は未来永劫、教科書には絶対に載らない事柄の一つだ。闇も闇、真っ暗闇の術……トム?よほど難しい本を読んでいたようだね?』

リドル『えぇ……先生、先生ならきっと、詳細をご存知でしょう?だって、先生はこの城で一番の先生だ』

ホラス『ハッハッハ、褒めすぎだよ、トム。そうだな……まぁ、勿論、ざっとしたことを君に話してもかまわないだろう。疑問を持っている生徒がいれば、それに応えるのが教授の義務だ』

リドル『ありがとうございます!』

ホラス『ホークラックス、分霊箱とも呼ばれるこれは、人がその魂の一部を隠すために用いられる道具のことだ』

リドル『魂……けれど、先生。僕はそれをどうやってやるのか、よくわかりません』

ホラス『そうだろう、そうだろう。君には無縁のものなのだ……そう、魂を分断し、その一部を身体の外にある物に隠す。そうすると、肉体が破滅しても死ぬことはない。なぜなら……」

リドル『……魂の一部が、生きているから。滅びずに、地上に残っている……素晴らしい』

ハニー「不死、でも目指してるのかしら。プレティーンね、もう」


678 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 17:04:56.12 ID:h2JBaqTH0
ホラス「すばら……?あぁ、そう。すさまじい。しかし勿論、こういう形での魂のあり方を望む者は少ないだろう。滅多にいないはずだ……死の方が望ましい」

ハニー「……一年目、あいつは『霊魂にもみたない、ゴーストの端くれにも劣る存在になった』って」

ダンブルドア「ざまぁじゃな」

ハニー「……もうちょっと言い様」

リドル『どうやって魂を分断するのですか、先生?』

スラグホーン『それは……理解していなくてはいけない。魂は完全な一体であるということ。本来、絶対に分断などされるものではないということ。それは自然の摂理に逆らうことであり、魂への暴力行為だ』

リドル『……どう、やるのです?教えてください』

ホラス『それは……あぁ、そうだ。邪悪な行為——悪の極みの行為だよ。つまり、殺人だ。殺人は、魂を引裂く。たとえそれが自ら手を下したことでなくとも、教唆しただけでさえ……加担しただけでさえ、人の魂は傷つく。誇りある魂というものは』

リドル『……』

ホラス『分霊箱を作ろうと意図する魔法使いは、この破壊を自らのために利用する。引裂かれた魂の一部分を物に閉じ込めるのだ』

リドル『閉じ込める?一体、どうやるのですか?』

ホラス『呪文がある……ある、らしい。聞かないでくれ!わたしがやったことがあるように、見えるかね?トム!わたしが殺人者に見えるかね?』

リドル『! いいえ先生、もちろん違います。すみません……お気を悪くさせるつもりは。ただ……ほんの、好奇心が』

ホラス『そう、そうだろう。いいや、いや、気を悪くなどしていないよ。時にこの手の魔法の深淵は、優秀すぎる人材の興味を惹いてやまないものだった。君もまた、その一人ということだろう……』

リドル『好奇心ついでに、先生……もう一つ。僕がわからないのは——』

リドル『たった一つの分霊箱だけで、役に立つのですか???』

ホラス『』

ハニー「」

ダンブルドア「…………」


680 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 17:19:36.24 ID:h2JBaqTH0
ホラス『と、トム?今、なんと』

リドル『だって、そうでしょう?たった一つじゃ、万全とは言えない。それは、ないよりはましでしょうけれど』

リドル『魂は一度しか分断できないのですか?もっとたくさん分断すれば、より確かで強力になれるのではないでしょうか』

ホラス『と、トム……?』

リドル『つまり、たとえば』

リドル『七という数は、最も強い魔法数字ではないですか?七個の場合、もっと、特別な——』

ホラス『とんでもない!!とんでもないぞ、トム!!!』

リドル『……?』

ホラス『そもそも、忘れていないかね?え?君らしくない……魂の分断のためには一人を殺す必要がある!たった一つでも、十分に悪い事じゃないかね?それが七つ、なんて……たとえ仮定とはいえ、恐ろしい』

ハニー「……後悔してるわ、ホラスの顔。この時初めて、リドルがおかしいことに気づいたのね」

ダンブルドア「……」

ホラス『勿論、そうだろう?トム、これはあくまで仮定の……すべて、学問的な……?』

リドル『……えぇ、先生!当然ですよ、ただの好奇心です。当然ですとも』

ホラス『は、ハハ、ハ。何だ、うん。君が喜んでいるようで嬉しい。さぁ、トム。もう戻りなさい……ときに、この話を私がしたことは内密にしてくれよ?世間体が悪いし、誤解されやすい。特に……ダンブルドアはこのことについて厳しいんだ』

リドル『えぇ、絶対に……嬉しそう?えぇ、そうでしょうね……先生』

ホラス『う、うん?』

リドル『本当に、ありがとうございました——先生の、おかげですよ?』

ホラス『——』

ダンブルドア「……ハニー、ありがとう。もうよいじゃろう」

ハニー「……えぇ」


681 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 17:42:08.30 ID:h2JBaqTH0
ダンブルドア「……この証拠を、長年捜し求めておった。わしが考えていた理論が正しいことを証明する、証拠が」

ハニー「……」

ダンブルドア「そしてつまり、この理論が正しいと同時に……また、道のりは長いものであるということを証明しておる」

ハニー「あいつは、今の私とそう変わらない年齢の時にはもう……殺人を犯して、不死なんて事を考えていたの?」

ダンブルドア「そうじゃ。ことの重大さが伺えるじゃろう……十六歳じゃ」

ハニー「……」

ダンブルドア「わしでさえ、精々が『学生の身にして名だたる伝説の魔法使いたちと交友をもつ希代の天才アルバス君』と言われていた程度じゃ」

ハニー「うるさいわ……本当に、作り上げたっていうの?分霊箱を……それも、複数……」

ダンブルドア「いまだかつて、二つに魂を引裂く以上の恐ろしい行いをしたものはおらんじゃろう。じゃが……奴はおそらく、その先に足を踏み入れておる」

ハニー「……」

ゴトッ

ダンブルドア「ハニー。これを覚えておるかね」

ハニー「……サラザールが噛んだ、リドルの……日記帳!!」

ダンブルドア「そう、ただの記憶が思考し、取り憑き、少女の魂を搾り取り、秘密の部屋を開こうと画策した……本当に、『ただの記憶』じゃろうか。有り得ぬ。この中にはもっと邪悪なるものが棲みついておったのじゃ」

ハニー「……日記は、分霊箱だった」

ダンブルドア「左様……そして、不気味なことに。この日記の扱いは、とても『たった一つの分霊箱』に対するものとは思えんほどに、投げやりなものじゃった」

ハニー「……あ」

ダンブルドア「ヴォルデモートはルシウスにこの日記を隠すようには言うても、それほど重要なものであるとは伝えなかったのじゃろう。つまり、それは、日記よりももっと価値があり、そして複数の……分霊箱が存在していると、考えられんじゃろうか」

ハニー「……もっと、価値のあるもの」

ダンブルドア「そうじゃ」

ハニー「あいつが、自分の器に選びそうなもの」

ダンブルドア「……そうじゃ」

ハニー「……創設者、たちの。遺品」

ダンブルドア「……君がわしの授業を真剣に聞いてくれて嬉しいよ、ハニー」

ハニー「……あなたがそういう時だけは、真面目に話してくれるものね」

ダンブルドア「ヒンヒン!」


683 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 17:56:29.63 ID:h2JBaqTH0
ダンブルドア「奴は勝利のトロフィーを欲しがった。自分を強大にみせるシンボルを、魔法史に名を刻む者としての足跡を」

ハニー「……悪趣味ね」

ダンブルドア「まっことのう。あの可愛そうなヘプシバ・スミスから盗まれた創始者の遺物、ロケットとカップは、分霊箱になっていると考えていいじゃろう」

ハニー「……」

ダンブルドア「さて……分かっておるものから説明し終えてしまおうかのう。日記帳……これは、自身がスリザリンの継承者であることを記した証だったのじゃろう」

ハニー「あの時代では継承者として認められなかったから、その日記の中に……」

ダンブルドア「そういうことじゃろうな。そして……この指輪じゃ」

ハニー「……あなたが今年度からはめていた、ゴーント家の指輪ね。ようやく、聞かせてもらえるというわけ?」

ダンブルドア「そう、これは奴の分霊箱じゃった。わしは、警戒しておったにも関わらず……腕の一本が、こんがりジューシーに焼けてしもうた」

ハニー「誰も味わうことはないから安心しなさい……焼けた、なんてものじゃないでしょう、それは」

ダンブルドア「そうじゃな、うむ。城に戻ってからのスネイプ先生の適切な処置がなければ、わしは今生きてこの話をすることもできんかったじゃろう」

ハニー「……」

ダンブルドア「ところで先刻恍惚の表情で廊下でのびとるセブルス足蹴にしてもうたんじゃがなにあれ、ハニー、君は何か知っておるかのう」

ハニー「……さぁー」


684 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 18:13:03.37 ID:h2JBaqTH0
ハニー「七つの分霊箱のうち、四つは分かったわ。でも、残り三つ……」

ダンブルドア「残りは二つじゃ、ハニー。最後の七つ目の魂は、どれだけ損傷されていようとも奴自身と共にある」

ハニー「あぁ、そういう……自分も含めて七つ……『誰よりも深く不死の道に入り込んでいた』そう、のたまっていたわ」

ダンブルドア「年月が経つに連れ、人ならざるものへと風貌が変わっていったのはそのためじゃろう。魂が傷つき、切り刻まれておったのじゃ。そうでなければ、ヒトがあのような姿になるはずがない」

ハニー「……」

ダンブルドア「……ハッ、まさかドローレスも」

ハニー「どうせ吐き気がくるのだからやめなさい。それで……残り、二つね。じゃあ、創設者の……」

ダンブルドア「その一人、我らがグリフィンドールが魔法界に残した遺物はたった一つじゃ。ハニー、君は知っておるはずじゃ」

ハニー「えぇ、そうね。彼らの全てを……グリフィンドールはその象徴を、剣しか残さなかったはずだわ」

ダンブルドア「そうじゃ。そしてその剣は、この部屋で絶対安全に守られておる」

ハニー「……そのようね。レイブンクローには、何かあるの?」

ダンブルドア「『失われた髪飾り』 文字通り、何世紀もの間失われた代物じゃがのう」

ハニー「……それを、あいつが探しあてたかもしれない?」

ダンブルドア「そうかもしれんし、そうでないかもしれぬ。我々の手元にない限り、推測にしかならんのじゃ」

ハニー「……それじゃ、残り一つも手がかりなし、なのかしら?」

ダンブルドア「あぁ、そうじゃのう。実はこちらの方が確たる証拠がある、と考えておる。ナギニじゃよ、ハニー。あの者のペットじゃ」

ハニー「……あぁ、あの僕っ娘」

ダンブルドア「なにそれ知らんかった」


686 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 18:24:51.75 ID:h2JBaqTH0
ハニー「動物を分霊箱に、って……危険じゃ、ないのかしら」

ダンブルドア「確かに、懸命とは言えぬのう。しかし、奴はあの復活の時点で分霊箱が目標の六つに足らないことを気にしておったことと思う」

ダンブルドア「おそらく最後の一つは、予言が示した存在である君の殺人をもって作るつもりだったのじゃろう……多分、ジェームズの眼鏡とかを戦利品にして。おっそろしい」

ハニー「うるさいわ」

ダンブルドア「おほん。もちろんそれは失敗に終わったわけじゃ。そして、あの肉体を取戻しつつある折に、老人を殺人したことにより魂が分断された……そこにおったのが、ぺティグリューや駆けつけない配下よりもよっぽど信用おける、ナギニだったのじゃろう」

ハニー「……」

ダンブルドア「いくら蛇語使いとはいえ、異常な程にナギニを操っておるようじゃ。それに、君がアーサーの襲撃事件を目撃したときも。元々、ナギニが奴の受け皿となっていたからこそ、と考えられるじゃろうて」

ハニー「あの蛇が、六番目の分霊箱」

ダンブルドア「最後の、分霊箱じゃ」

ハニー「? どちらでもいいでしょう?」

ダンブルドア「いいや、重要じゃようん、呼び名はのう」

ハニー「……日記と指輪は破壊済み、ロケットとカップは確実、それで……おそらくレイブンクローの何かと、ナギニ。それが、あいつの分霊箱なのね」

ダンブルドア「素晴らしい要約じゃ。その通り」

ハニー「あなたの言った、道のりはまだ遠いということが分かってきたわ……殆どが、どこにあるのかも分からないものじゃない」

ダンブルドア「そうじゃのう。今は、じゃが。わしは日夜それを捜し求めておる……そしてほどなく、そのうちの一つの場所を突き止められる、そう思っておる」

ハニー「!」


687 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 18:31:05.73 ID:h2JBaqTH0
ダンブルドア「それらしい印をようやく見つけられたのじゃ。ほどなく——」

ハニー「発見、できたら。わたし……私も、一緒に行くわ!」

ダンブルドア「いいじゃろう」

ハニー「反対しないで!これは、私と……え?」

ダンブルドア「おぉーう、ハニー。どうしたね、ミネルバがくさや目の前に突きつけられたみたいな顔をして」

ハニー「それは知らないけれど……つ、連れて行って、くれるの!?」

ダンブルドア「いかにも。ハニー、君はその権利を勝ち取ったと思う。わしが共に協力してことにあたるだけのものを」

ハニー「……っ」

 フィニアス「……フンッ」

ハニー「意味ありげな声は無視するわ。えぇ、絶対……力になってあげるんだから」

ダンブルドア「……頼もしいのう、ほっほ」


688 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/30(月) 18:34:38.31 ID:h2JBaqTH0
あと数レスで区切りなんやけど今日はここまで
予定を変更して明日の午前からも今年の予定分を
じゃあの!

698 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/31(火) 17:10:02.45 ID:9oE+FV9S0
ハニー「分霊箱を全て破壊すれば、あいつを……倒すことができるの?」

ダンブルドア「おそらく、そうじゃろう。分霊箱さえなくなれば、ヴォルデモートは切り刻まれ減損した魂をもつ、見下げ果てたこんちきしょうのクソッタレの滅すべき運命にある存在じゃ」

ハニー「言い方が軽いのよ、だから……けれど、分霊箱が次々壊されているのをあいつがただ待ってくれるというの?だって……」

ダンブルドア「その懸念はもっともじゃ、ハニー。じゃが、奴はどうやら自分の魂の分霊とその器が破壊されたことを、自分自身で感じ取ることは出来ないらしい」

ハニー「……自分自身なのに?」

ダンブルドア「自分自身なのに、じゃ。ヴォルデモートは今や悪にどっぷり染まっておるし、長きに渡り分霊と魂を切り離し過ぎた。我々が感じるような魂の存在を、奴は得られないのじゃ」

ハニー「……それじゃ、うまくやれば。あいつが分霊箱を全て失ったことを知るのは、あいつの最期の瞬間ということになるわけね」

ダンブルドア「そう、うまくやれば。じゃが、奴の頭脳と魔力は無傷であるということを忘れてはならぬ」

ハニー「……」

ダンブルドア「そう、ヴォルデモートのような魔法使いを殺すにはたとえ分霊箱がなくなっても非凡な技と、力を要するじゃろう」

ハニー「……それを、私にしろって」

ダンブルドア「そうじゃ」

ハニー「……知ってるくせに。私は……わたしには、そんな非凡な技も、力もないことを」

ダンブルドア「いいや、持っておる。君は、ヴォルデモートが絶対に手に入れることが出来なかったものをもっておる。君の力は——」

ハニー「っ、わかってる!わたしは、愛することができる!  それがどうしたっていうの!?」

ダンブルドア「そう、愛じゃ。ハニー、愛じゃよ」

ハニー「……じゃあ、予言の。わたしが、『闇の帝王の知らぬ力』を持つって言っていたのは……本当に、ただ、単なる愛……それだけ、だっていうの」

ダンブルドア「……単なる愛。そうじゃ、ハニー。君は、その偉大さを自分自身でさえ理解していないのじゃ」


700 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/31(火) 17:35:15.36 ID:9oE+FV9S0
ダンブルドア「これまで君の身に起こった様々な出来事。にも関わらず、君は人を愛し、世界を愛した」

ハニー「……」

ダンブルドア「ハニー、忘れるでない。予言が予言として意味を持つのは、ヴォルデモートがそのようにしたから、予言の通りに行動した時からなのじゃと言うことを」

ハニー「……意味が、よく」

ダンブルドア「ヴォルデモートは自分にとって一番危険になりうる人物に君を選んだ——正しく言えば、『そうすることで君を自分にとって最も危険な人物に“した”のじゃ』」

ハニー「……結局は、同じことでしょう?」

ダンブルドア「いいや、同じにはならぬ!ハニー、このことを理解しなくてはならん!!」

ハニー「っ」

ダンブルドア「ヴォルデモートがまったく予言を聞かなかったとしたら、予言は実現したじゃろうか?予言に意味があったじゃろうか?否じゃ!あの予言は、シビルが酒に悪酔いでもして口走った世迷いごと、それで終わったはずじゃろうて!」

ハニー「でも、けれど……わたしかあいつ、二人のうちどちらかが、もう一人を殺さなきゃ、って……」

ダンブルドア「それはヴォルデモートがシビルの予言を聞き、まんまとその通りの行動をとるという重大な間違いを犯したからじゃ!よいかね、ハニー!」

ダンブルドア「もしも奴がきみの父君を殺さなければ!君の心に燃えるような復讐の願いを掻き立てたじゃろうか!」

ダンブルドア「もしも奴がきみを守ろうとした母君を殺さなかったら!君に奴とのつながりや!あの者が侵入できぬほどの強い護りを与えることになったじゃろうか!」

ダンブルドア「否じゃ!ハニー、分からぬか?君はヴォルデモート自身が創り出した敵なのじゃ!」

ダンブルドア「それにも関わらず!!!復讐の動機も!!!奴との繋がりという死喰い人どもが喉から蛇を出してでも欲しがる才能を得ながら!」

ダンブルドア「君は一度でも!!!よいか、一度でも!!!!闇の魔術に誘惑されたことがない!!!最もその淵に近くとも!!」

ハニー「当たり前だわ!!だって、それはわたしのパパとママを——」

ダンブルドア「それじゃよ、ハニー!つまり君は愛する力によって護られておる!あらゆる苦しみ、あらゆる悲劇に!!!!君の心は何度となく闇の力から誘惑されたはずじゃ!!その力を手に入れ、その力に身を任せ!!!!そうすうことがどれだけ楽じゃろう!!!どれだけ簡単じゃろう!!!!」

ダンブルドア「しかし君はそれを選ばぬ。君の心は純粋なまま、十一歳の時に『みぞの鏡』を覗いた時のままじゃ。ハニー。君の愛する力は、間違いなく偉大なのじゃ」

ハニー「……」


701 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/31(火) 18:04:08.55 ID:9oE+FV9S0
ダンブルドア「あの者は未だ理解しておらぬ。君が何者なのか、間違いなく自らの敵であるということは分かっていても」

ダンブルドア「どうして君は自らを損なうこと無しにヴォルデモート卿の心に入り込めるのか。どうして自分が君の心に入り込もうとすれば死ぬほどの苦しみを受けるのか。この圧倒的な差はなんなのか、君の力がなんであるのか」

ダンブルドア「あの者は分かっておらぬ。ハニー、あの者は自らの魂を分断することを急ぐあまり、穢れのない、全き魂の比類なき力を理解する間がなかったのじゃ」

ハニー「…………結局、同じことだわ。全て同じこと。そんな力があるのなら、わたしはあいつを、殺さなければならない——」

ダンブルドア「『殺さなければならない』?もちろん、君はそうしなければならない!しかし、ハニー!それは予言のせいではない!!君がそうしなければ休まることができないからじゃ!!!!」

ハニー「……予言は、あくまで」

ダンブルドア「そうじゃ!ハニー、今この瞬間だけ、予言のことを忘れるのじゃ。さぁ、ヴォルデモートについて君はどう思う!どう考える!!」

ハニー「……パパ、ママ」

ダンブルドア「奴のこれまでの行動!奴のしでかしてきた恐ろしい行い!」

ハニー「……セドリック、シリウス」

ダンブルドア「奴への恐怖!ヴォルデモート卿を目の前にした時の絶望!混乱を!!」

ハニー「……あいつが手にかけてきた人たち……たっくさんの、みんな」

ダンブルドア「君はどうしたいのじゃ、ハニー!君には予言による宿命などない!!!それでも、君はどうしたいのじゃ!!ハニー・ポッター!!」

ハニー「あいつを、倒したい。わたし自身が、分からせてやりたい。そうしなくちゃ、いけないわ」

ダンブルドア「もちろん、君がそうしたいのじゃ!!」

ダンブルドア「そしてこれは、予言があったとしても変わらぬ!!君自身が何を選び、何を思い、何をするのか!それは決して予言が決めることではない!!!『君が』決めることじゃ!」

ハニー「……」


702 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/31(火) 18:12:21.81 ID:9oE+FV9S0
ダンブルドア「君は予言を無視して逃げ去ることもできる!」

ダンブルドア「君は予言を無視して自ら絶望し命を断つこともできる!!」

ダンブルドア「君は予言を無視して聖マンゴに横たわる輝かしい一等星を連れ出して世俗から切り離された白くて大きい家で彼の看病をしながら閉じこもることもできる!!!」

ダンブルドア「望むなら!!!それを君が望むならばわしは全て叶えよう!!!!!」

ハニー「……えぇ。とてもとても、それはステキね」

ダンブルドア「……しかし、ヴォルデモート卿は今でも予言を重要視しておる。君を追い続けるじゃろう。さすれば、確実に、まさに……」

ハニー「……一方が、他方の手にかかって死ぬ」

ハニー「あいつがそうする限り、わたしは、何を選ぼうともあいつと対峙、しなくちゃいけなくなる」

ハニー「……わたしが、何を選ぼうと」

ダンブルドア「そうじゃ。何を、選ぼうとも」

ハニー「……でも全然、違うわ。選択の余地がなくったって、結末がほとんど、かわらなくったって」

ハニー「戦いの場に嫌々、ひきずりこまれるか……それとも」

ハニー「足が、震えたって。怖くて、仕方なくったって」

ハニー「頭を上げて、その場に歩み入るのか」

ハニー「この二つは、天と地ほども違うわ」

ハニー「このわたしを、私を誰だと思っているの?絶対に……絶対に、逃げてなんか、やるもんですか!」

ダンブルドア「……あぁ、ハニー。ジェームズとリリーは、君を誇りに思うじゃろうて」


703 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/31(火) 18:37:49.76 ID:9oE+FV9S0
翌朝

談話室

ロン「七つの魂、ひぇー。『例のあの人』がそこまで人間離れした豚以下だったなんて」

ハーマイオニー「……どこの本にも載っていないはずだわ。きっと、ダンブルドアが校長になった時に図書館から除外したのよ」

ハニー「えぇ、随分と難しくしてくれたわよね……けれど、これで」

ロン「あぁハニー!ヒンヒン!豚一団のワクワク分霊箱屠殺ツアー開催の日和はいつかな!」

ハーマイオニー「ワクワクとその他の乖離がひどいわ」

ハニー「……常に私と共にあるのはあなたたちの宿命だけれど。今回は、無理よ。ダンブルドアは、私だけを連れて行くつもりのようだもの」

ロン「……あの野郎、ハニーと二人きりをなんて」

ハーマイオニー「真面目に考えて、ロン。当然のことじゃない……むしろハニーでさえ道連れに選ばれたことが驚きよ」

ハニー「私が選んであげたようなものだけれどね」

ハーマイオニー「はいはい……ねぇ、ハニー?本当に怖くない?無理は、していない?」

ハニー「……」

ハーマイオニー「……聞くまでもなかったわね」

ロン「あぁ、だろうね」

ロン「何せ僕たちときたら!ハニーの話を聞いてる間中僕ぁ背中じゃなく膝に座ってもらえてハーマイオニーは目一杯抱きしめてもらってんだからねやっほう生きててよかった!!ヒンヒン!ヒーーーン!」

ハーマイオニー「あー、あの、ハニー?えぇっと、とても光栄だけど、そろそろその、ね?」

ハニー「……わたし、平気よ。分かってる。自分がとんでもなく怖がりで、臆病な子だ、ってこと」

ハニー「心細くて、歩みが、止まりそうで……けれど、あなたたちがいたから頑張れたの」

ハニー「今度は、一緒に来てもらえない。だから……ちょっと、忘れないように。確かめさせて?ね?」

ロン「誰だよ昨日のハニーが可愛いとか言ったの。ハニーはハニーで魔法界が眩しい」

ハーマイオニー「右に同じだわ魔法界赤い」


705 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/31(火) 18:50:08.19 ID:9oE+FV9S0
「あぁ、あなたたちが仲いいのを見ると戻ってきたんだ、って気がするわ……」

ロン「うん?誰だい君、ってことはケイティか!いや分かってたよ、うん。ほんとだよ」

ケイティ「……もう少し入院してようかしら」

ハニー「ケイティ!帰ってきたのね……大丈夫?」

ケイティ「すっかり元気よ! あー、この前の試合のことは聞いたわ。マクラーゲンはどこ?ちょっと二、三個呪詛でも浴びせないと」

ハーマイオニー「散々に散々な目にあっているからもう見逃してあげて」

ロン「寮長直々にね、もちのロンで」

ハニー「えぇ。ケイティが戻ったし、ロンもここのところ絶好調だもの。最終戦でレイブンクローを負かして優勝するチャンスは十分にあるわ」

ケイティ「へぇ?ロン、どうしたの?何か心境の変化?」

ロン「べ、べべべべべべつに!?なぁ、ハーマイオニーさん?」

ハーマイオニー「そ、そうね!ローニル!」

ケイティ「誰それ」

ハニー「それより、ケイティ……聞いてもいいかしら、あのネックレスのこと。誰に渡されたのか、思い出せる?」

ケイティ「……ごめんね。みんなに聞かれたんだけど、全然覚えてないの。最後に、女子トイレに入ったところまでしか」

ハニー「……」

ハーマイオニー「間違いなく、女子トイレに入ったのね?ケイティ、トイレの前とかでなく、中に?」

ケイティ「えぇ、ドアを押し開けたところまで覚えてるの。だから、私に『服従の呪文』をかけた人はドアのすぐ後ろに立っていたんだと思う。そこからは、二週間前に目を覚ますまでまーっしろ」

ハニー「……あー、あなたが間違えて、男子トイレに入っちゃった、とかは?」

ケイティ「そうそう、存在感ないから私よく利用して、たまるか!」

ハニー「……ごめんなさい」


706 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/31(火) 19:01:16.26 ID:9oE+FV9S0
ハーマイオニー「……つまりケイティにネックレスを渡したのは女の子、または女性になるわけね。女子トイレにいたのなら」

ハニー「……女の子に見える誰か、だわ」

ハーマイオニー「……ハニー、まだ諦めないの?」

ロン「マルフォイ黒幕説!」

ハニー「忘れないで頂戴、ホグワーツには大鍋一杯のポリジュース薬があるってこと……あぁ、もう一回フェリックスを飲もうかしら」

ロン「そりゃ、ハニー。あぁは言ったけど男子トイレがぎゅうぎゅうづめでホグホグがワツワツになること請け合いだね」

ハーマイオニー「ハニー、幸運には限界があるわ。スラグホーンの場合は、あなたにはもとから説得するだけの材料があったから状況を少し好転させるだけでよかったの」

ハニー「それなら、必要の部屋も……」

ハーマイオニー「あの部屋の強力な魔法が、幸運だけで破れるはずないでしょう?ねぇ、フェリックスの残りは……ダンブルドアとのあれのために、とっておくべきだわ」

ハニー「……そうね」

ロン「もっと煎じておきゃどうかな。ほら、ハニー。君の御言葉の次の次の次くらいにありがたいプリンスの助言を見てみようよ」

ハニー「比べるのもおこがましいわね、えぇ……あー」

ハーマイオニー「さーて、解毒の原理を理解できなかったお二人にこのページの元々の難解複雑さの時点から読み解くことが可能なのかしら?」

ロン「マーリンの髭、髭ってね。あれ?ハニー、このページ折れ目がついてるけどなんだい?」

ハニー「私にかかれば、と思うけれど……あぁ、えぇ。この呪文を覚えておこうと思っただけよ」

ロン「ふーん。敵に対して、か! スネイプの野郎に今度……」

ハーマイオニー「スネイプは味方、って、これも何度言えば分かるの、ロン!」

ロン「スネイプ黒幕説!」

ハニー「……」


707 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/31(火) 19:09:00.35 ID:9oE+FV9S0
ハニー「(ダンブルドアは、わたしを信用してくれた。だから、分霊箱の破壊につれていってくれる約束をしたんだわ)」

ハーマイオニー「分からず屋ね!スネイプはこちらの陣営、ダンブルドアが言ってるでしょう?」

ロン「うるさいなぁ!ハニーに取るあの態度やらなんやらを見てもあいつを庇えるなんて、君、あのベタベタ髪に気でもあるんじゃないか!?マーリンの髭!」

ハニー「(けれど……自分の身に呪いがかけられた時に真っ先に頼るほど、スネイプのことも信用してる)」

ハーマイオニー「どこをどう考えたらそうなるのよ!!!だ、大体、髪、って……」

ロン「なんだよ!はっきり言えよ!はぐらかすなよな、君らしくない!」

ハニー「(どうして……?どう考えたって、あの人は怪しいわ。何度聞いても、はぐらかされて……)」

ハーマイオニー「わ、私が好きなのは、アモルテンシアの匂いにあったのは、あ、あなたの、髪の、その!」

ロン「えっ……」

ハニー「夫婦喧嘩はシリウスも食べないわよ、二人とも」

ハーマイオニー「! に、ニヤニヤしないで!」

ロン「ま、マーリンの髭!!髭!!!!」

ハニー「(どうしてダンブルドアは、スネイプなんかを……)」

ハニー「(……プリンスの方が、よっぽど、信頼できるわね)」

『敵に対して  セクタムセンプラ』

つづく


708 : ◆GPcj7MxBSM 2013/12/31(火) 19:13:41.58 ID:9oE+FV9S0
っちゅうわけで年内はこれで
残りレスはあるんやけどスレタイの関係で完結は新スレで!すまんの!
明けて三日には
ハニー・ポッター「アルバス・ダンブルドアと、わたし」
ってスレ建てるんでよろしゅう!
じゃあの!

 ハリー・ポッターシリーズ

 一巻~七巻

 世界的大ヒット発売中!

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