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1 : 2014/09/24(水) 03:00:15.76 -
美琴「この間、卵が一パック300円で売ってるのを見たのよ」
当麻「ふーん」
美琴(あれ、思ったよりも食いついてこない……?)
当麻「いや、別に普通だろ。むしろ高い方だよなー」
美琴「あ、違った。えっと、30円で売ってるのみたのよ」
当麻「先に教えてくれよ! どこでやってたんだ!」
美琴「もう終わっちゃったわよ」
当麻「そう、だよな……」ショボーン
美琴「でも、こ、今度見かけたら、教えてあげるわよ」
美琴「だから、だから……!」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1411495205
ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1411495205/
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2 : 2014/09/24(水) 03:02:08.26 -
美琴(結局、いつものように寮に帰って来てしまった……)
美琴(一言、番号を教えてって言うだけなのに……)
美琴(私に、もう少し勇気があれば……)
黒子(お、お姉さまが落ち込んでいらっしゃる!)カシャッ
美琴(! そうだ……いいこと思いついた)
美琴「黒子、ちょっと手伝って」
黒子「はい?」
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3 : 2014/09/24(水) 03:03:51.77 -
美琴「待ってって! あんた、あんたよ!」
当麻「お、ビリビリ中学生じゃないか」
美琴「くっ……」
美琴(落ち着きなさい、私)
美琴(作戦Dを実行するのよ)
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4 : 2014/09/24(水) 03:05:52.21 -
——回想
美琴「ちょっと劇の練習やるから、手伝いなさいよ」
黒子「はぁ。それはいいですが、私は何をすればいいんですの?」
黒子(劇って、文化祭……ではないですよね?)
美琴「とりあえず、アドリブで喋ってくれればいいわ」
黒子「台本とかもないんですの?」
美琴「まだ出来上がってないみたいなのよ。とりあえずやるわよ」
美琴「スタート」
美琴「えいっ」
ドン
黒子「いたたっ……ん、何か落とされましたよ?」
美琴「あ、その紙は! 私のプライベートが書いてある紙! 絶対に開かないで!」
ピラ
黒子(数字……?)
美琴「知ったわね、私の電話場号を」
黒子「え、ええ」
美琴「不公平だから! あ、あんたの電話番号も教えなさいよ」
美琴(いける! この方法なら、絶対、番号をゲット出来る!)
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5 : 2014/09/24(水) 03:06:42.40 -
美琴(私は勇気がない。そうよ、臆病なのよ)
美琴(でも、この方法なら、勇気がなくても、自然な形で電話番号を知ることが出来る)
当麻「?」
美琴「いくわよ……ていっ」
ヒョイ
当麻「……」
当麻(猛獣にでも転職したのか?)
美琴「な、何で避けるのよ!」
美琴(作戦が台無しじゃないっ)
当麻「いや、何でも何も、避けるに決まっているでしょう」
当麻「というか、何で突進してきたんですか?」
美琴「そ、それは……」
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6 : 2014/09/24(水) 03:07:45.91 -
美琴(結局、何も言えず寮に帰ってきてしまった……)
美琴(作戦Dは穴がありすぎたわ)
美琴(まず、最初の……)
黒子(お姉さまが、また落ち込んでいらっしゃる!)カシャッ カシャッ
美琴(そうだわ! こうすればいいんだ!)
美琴「黒子、劇の練習をするわよ」
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7 : 2014/09/24(水) 03:09:39.57 -
当麻「またビリビリか、こんなところで何をやってるんだ?」
美琴「んースマホ」
当麻「こらこら、歩きスマホはやめなさい。人にぶつかると危ないでしょう」
美琴(また私を子供扱いして!)
美琴(って、待つのよ、私。落ち着きなさい)
美琴(プランEを実行するのよ)
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8 : 2014/09/24(水) 03:11:13.35 -
——回想
美琴「見てみて、私スマホ新しいのに替えたのよ。見る?」
黒子「見たいです、ぜひぜひ」
美琴「まーこんな感じなんだけどね」
黒子「これ、テレビのCMとかでも見かける、最新機種じゃないですか!」
美琴「あーそうなんだっけ? まあとりあえず、変えたばかりだから、アドレス帳に何も登録されてなくてね」
美琴「そうだ、あんたの携帯貸しなさいよ」ニヤリ
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9 : 2014/09/24(水) 03:14:25.44 -
美琴(なるべく自然な流れで行くのよ、私)
美琴(決してコイツの番号が、特別ってわけじゃない)
美琴(ただ単に、アドレス帳に何もないから入れたいだけ!)
美琴(そう、そう思い込むのよ、私)
当麻「ん? お前、スマホ変えた?」
美琴「! いいところに気付いたわね」
当麻「どれ、貸してみ?」
美琴「はい」
当麻「こ、この重量感といいデザイン性といい、凄いな」
美琴「まあ、最新機種みたいだからね」
当麻「デスクトップ三輪さんかよ、ははっ」
美琴(なんか興味深々ね……チャンスよ!)
美琴「ただ私、か、変えたばかりだから、かか、家族以外はアドレス帳に何も登録されてないのよね」
当麻「うん? そうなのか?」
美琴「そ、そうなのよ! だから……」
美琴「だだからね、あんたの、け、けけけ……」
当麻「大丈夫か? 顔赤いけど、熱でもあるんじゃないのか?」
美琴「っ!」
美琴(み、右手が私の額に……)
当麻「熱は、ないみたいだな。それで、何だって?」
美琴「いや、あの……何でもないです……」
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10 : 2014/09/24(水) 03:15:39.14 -
美琴(また、気づいたら、寮に帰ってきてしまった……)
美琴(うう、私のバカー!)
黒子(うーん)
黒子「お姉さま、ここ最近落ち込んでばかりですね」
美琴「うっ、そ、そんなことないわよ」
黒子「……それと、こんなこと言いたくありませんが、劇というのは嘘ですよね?」
美琴「うっ」
黒子「これはあくまで私の推測ですが、もしかして、あの猿人から電話番号を聞こうとしているんですか?」
美琴「うぐっ」
美琴(す、鋭い……ってか、何で分かるのよー!)
美琴「はー。その通りよ。あいつから電話番号を聞き出そうとしているんだけど、どうにも上手くいかなくてね」
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12 : 2014/09/24(水) 03:16:59.39 -
黒子「あの猿人野郎、今からぶちのめしに……」
美琴「いや、そういうのはいいから。ねえ黒子」
美琴「どうすれば、電話番号を聞けると思う?」
黒子(えっ、もしかして……今、私って)
黒子(頼りにされているー!?)
黒子「そ、そうですね、こういうことは直球で聞くのが一番ですわ」
美琴「ちょ、直球?」
美琴(それが出来れば苦労しないわよ!)
黒子(怖い怖い、お姉さまの視線怖い……)
黒子「え、ええ。下手に変化球で責めるより、直球で行く方がいいと思いますわ」
黒子「思えば私も、お姉さまと出会う前は……」
美琴(直球で、責める方がいいのか……)
美琴(凄いなぁ、黒子は)
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13 : 2014/09/24(水) 03:19:11.90 -
——回想、だいぶ前の夏
ミーン、ミーン
美琴「ねえあんたさ、携帯電話持ってる?」
当麻「何を言い出すかと思えば」
当麻「いくら貧乏な上条さんだって、男子高校生の三種の神器」
当麻「携帯ぐらいもってますよ」
美琴「そうよねー」
当麻「ビリビリは持ってるのか?」
美琴「うん。もちろん」
当麻「そうなのか。じゃあ……」
美琴「じゃあさ! あ、あんたの……」
美琴(ちょっと待って、本当に聞くのか、私よ)
美琴(だって、もし……いやいや、コイツのことだから、そんなことはしないと思うけど……)
美琴(もし、もしも、もしもしも断られたりしたら、これからどうしようもなくなってしまう)
美琴(そんなの……生きていけない!)
美琴「あ……あんたの携帯って、ド〇モ? 〇ーユー?」
当麻「……いや、ソフ〇バンクだけど……」
美琴「ソフ〇バンクぅ? ははっ、何それ、訳分かんない!」
シェミシェミシェミシェミ——
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14 : 2014/09/24(水) 03:23:34.00 -
黒子「思えば私も、お姉さまの携帯番号を聞くまで、ものすごく緊張しました」
美琴「あんたが? ……へえー、意外と繊細なところがあるのね。私の同僚、追い出してまで同じ部屋に乗り込んできたのに」
黒子「意外って酷いですわ……これでも、毎晩悩み続けていましたわ」
黒子「朝起きたら、電話番号聞きたいと思い、もし断られたらどうしよう、と考えました。一日が終わって、明日こそ聞こうって決意して、でも断れたら……」
黒子「ずっとずっと、そんなことを考えていましたわ」
美琴「ふーん。でも、最後はあっさり聞いてきたわよね?」
黒子「そうですわ。変化球勝負が、全部無駄に終わってしまいましたからね」
美琴「あんたが変化球を?」
黒子「そりゃもう、お姉さまの学年の人に、片っ端から番号を聞き出そうとしたり、こっそり部屋に入ったり……」
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15 : 2014/09/24(水) 03:24:19.10 -
美琴「いたいた、あの……」
——回想
黒子「でも、初春が教えてくれたんですの」
黒子「友達を作るときも、先輩と仲良くなりたい時も、素直になればいいんだよと」
黒子「全く、生意気な……友達です」
美琴「クスッ、いい友達じゃない」
黒子「……まあ、そうですわね、とにかく、今はお姉さまですわ」
黒子「あの猿人と会える日も、多いわけではありませんし……」
黒子「直球勝負で言ってみてはどうですか?」
美琴「でも、もしも断れたら……」
黒子「お姉さまを断る人なんて、この世界に存在しません」
黒子「もしもいたら、私がぶちのめします!」
——
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16 : 2014/09/24(水) 03:29:19.64 -
美琴「上条当麻!」
当麻(えっビリビリ? って、なんか様子がおかしい?)
当麻「……と、とりあえず落ち着け。みんな見てるぞ」
美琴「大丈夫、私は落ち着いているわ」
美琴「すー、はー」
美琴(黒子、背中を押してくれてありがとう)
美琴(私に勇気をくれて、ありがとう)
美琴「ねえ、私に、その……」
美琴「携帯のば、番号を教えて!」
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17 : 2014/09/24(水) 03:32:03.84 -
後日
当麻の父「お前、携帯の使用料金見たか?」当麻「はい、はい」
当麻の父「通話料金が膨大な額に膨れ上がってたぞ。一体誰と電話しているんだ?」
当麻「誰ってそんなの……」
プルルルル プルルルル
当麻「ごめん。友達から電話かかってきた」
当麻の父「あ、切るな。話はまだ……」
当麻「よう、美琴」
美琴「よう、じゃないわよ……当麻、ちょっと出るの遅くなかった?」
当麻「父親と電話しててな。で、用事ってなんだ?」
美琴「うん? ああ、新しい電話料金のプラン考えたんだけど……なんかさ、離れている気がしないね。当麻との距離」
当麻「俺も、目をつぶっていても分かるよ、美琴の表情」
美琴「電話があるから」
——fin
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