-
1 : 2011/09/11(日) 00:25:23.13 -
~数日前 お昼休み 3年A組にて~
田中「ねぇ、薫。22時ちょうどに、中央階段にある鏡に運命の人が映るんだって」
棚町「ホントにぃ? ちょっと胡散臭くない?」
梅原「その噂話を知ってるなんて……田中さんもなかなか通だね~」
田中「あっ!? 梅原君と橘君」
純一「やぁ、二人とも」
棚町「やっほー」
梅原「悪いね、いきなり話に割り込んじまって」
田中「ううん、気にしないでいいよ。梅原君はこの話詳しいの?」
梅原「ちょっと今、調べてる話でさ。実はうちの学校の『七不思議』の一つらしい!」
田中「『七不思議』だったの、この話?」
梅原「なんだ? 田中さん、知らなかったのか?」
田中「う、うん」
ソース: http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1315668323/
-
3 : 2011/09/11(日) 00:26:21.61 -
棚町「それで? どういう話なの?」
梅原「うーん、確か夜の22時ちょうどに中央階段にある姿見を覗き込むと……」
純一「うんうん」
梅原「その人の運命の異性の姿が映るって話だな」
棚町「へぇ~ なんだかロマンチックな話ね」
田中「でしょ~?」
梅原「ただ……ここからが七不思議と言われる由縁でさ……」
純一「う、うん……」
梅原「その鏡に運命の異性の姿が映らなかった人は……」
田中「ご、ごくり……」
梅原「……一生を一人身で過ごすことになるとかならないとか?」
田中「えぇ~! そうなんだぁ。それは知らなかったなぁ……」
-
6 : 2011/09/11(日) 00:27:39.55 -
棚町「それで、他にはどんな話があるの?」
梅原「よっくぞ、聞いてくれました!……聞きたいか?」ニヤリ
純一「もったいぶるなよ、梅原」
梅原「おう! まずは定番の『生物室の動く人体模型』だな」
棚町「うん、普通ね」
田中「そうね」
梅原「次に『開かずの倉庫』……」
純一「へぇ、何だいそれ?」
梅原「あぁ……生徒会が管理している倉庫があるだろ?」
田中「ん~と、創設祭とかの用具がしまってある倉庫のこと?」
梅原「そう、その倉庫!」
棚町「その倉庫がどうかしたの?」
-
8 : 2011/09/11(日) 00:29:07.31 -
梅原「なんでも、ある年の創説祭の準備期間中に起きた話らしいんだけど……」
純一「うんうん」
梅原「夜遅くまで準備をしていた男子生徒が、倉庫にある荷物を出そうとしていた時に……」
田中「うん……」
梅原「見回りの先生が、その生徒が倉庫の中にいるのを気づかずに、倉庫の鍵を閉めちまったらしい」
棚町「へぇ~それで?」
梅原「その年の冬っていうのが……大雪が降るような厳しい寒さだったらしくてさ……」ブルブル
田中「……ちょ、ちょっと…雰囲気出しすぎじゃない?」
梅原「翌朝、その生徒は倉庫で冷たくなった姿で発見されたんだけど……」
純一「ご、ごくり……」
梅原「倉庫のドアには、必死になって外に出ようとした男子生徒がつけたと思われる……」
梅原「……無数の引っかき傷が残されていたそうだぜ?」
田中「や、やだ……」
-
9 : 2011/09/11(日) 00:30:26.35 -
梅原「もちろん、そのドアは交換されたんだけど……」
梅原「それ以来……倉庫に入る時には、決してドアを閉めないよう、厳重に注意してるらしい……」
棚町「どうして閉めちゃいけない訳?」
梅原「ドアを閉めちまうと、鍵を掛けてないのにドアが開かなくなっちまって……」
純一「うっ……」
梅原「一人で……寂しく亡くなっちまった男子生徒の幽霊に……一緒にあの世に連れてかれちまうんだと」
田中「こ、怖いよぉ……」ブルブル
棚町「その話はちょっとクルわね……」
梅原「……だろ?」ニカッ
純一「これで三つか……」
梅原「あとは『夜のプールに蠢く影』『校内を彷徨う少女』……」
田中「う、うん」
梅原「それに『教員トイレから聞こえる女性のすすり泣き』っていうのがあるらしいんだが……」
梅原「……残念ながら、詳しい内容は現在調査中だ!」
棚町「なによ、それ!」
-
12 : 2011/09/11(日) 00:32:02.35 -
純一「ひーふーみー…………あれ? 六つしかないじゃないか?」
田中「うん、言われてみれば……」
棚町「最後の一つは何なの?」
梅原「う~ん、それがな……最後の一つもあるらしいんだが、どうもはっきりしなくてな」
純一「最初から『六不思議』しかなかったとか?」
梅原「いや、先輩達が代々受け継いで聞いてるのは、間違いなく『七不思議』らしい」
田中「ふ~ん」
梅原「間違いなく『七不思議』なんだけど、七つ目の話を誰も聞いたことがない……ってな」
棚町「『七つ目の話がわからない』っていうのが、最後の不思議とか?」
梅原「なるほど……そういう線もありだな」
純一「薫、相変わらず冴えてるな」
棚町「えへへっ、まーね♪」
梅原「そんで、田中さんは鏡に映る運命の人を確認したいのかい?」
田中「うん、だから、薫についてきてもらおうと思ってたんだけど……」
純一「……けど?」
-
14 : 2011/09/11(日) 00:33:42.17 -
田中「梅原君の話を聞いて、ちょっと怖くなってきちゃった……」
棚町「何言ってんの、恵子が『私の運命の王子様を見に行きたい』って言い出したんでしょ?」
田中「そ、それはそうなんだけど……」
梅原「よしっ! そこで一つ提案があるんだが?」
純一「提案?」
梅原「おう。田中さんは『運命の王子様』を確認したい」
田中「う、うん」
梅原「棚町は田中さんが心配だから、当然つき添うんだろ」
棚町「そうね」
梅原「俺は『七不思議』の情報を集めたい……そこでだ!」
棚町&田中「うん」
梅原「皆で夜の学校に潜入するってのはどうだ? 男手があった方が田中さんも安心だろ?」
田中「うん、それは……そうかな」
棚町「ん、確かに、あんたらでもいないよりはいいか」
純一「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
-
15 : 2011/09/11(日) 00:35:24.34 -
梅原「どうした、大将?」
純一「もしかして、僕も一緒に行くのか?」
棚町「当たり前でしょ」
田中「……」コクコク
梅原「大将~つれないこと言うなよ? 俺たちの仲だろ」
純一「で、でも……」
棚町「純一……あんた、あたしと恵子のこと、見捨てる気なの?」
田中「……」コクコク
梅原「見捨てる気なの?」クネクネ
純一「み、見捨てるとかじゃなくてだな」
棚町「あたしと恵子が梅原に襲われたらどうするのよ?」
田中「……」コクコク
梅原「そうそう、俺に襲われたら……って、ヒドイだろ、二人とも!」
棚町&田中「あははっ」
-
16 : 2011/09/11(日) 00:37:05.64 -
純一「はぁ……わかったよ、行くよ」
棚町「あはっ、そうこなくっちゃ♪」
梅原「さっすが大将、話がわかるぜ」
田中「橘君、ありがと」
純一「それで、いつにするんだ?」
棚町「そうねぇ~ 今日はちょっと都合が悪いから……明日とかは? ちょうど土曜日だし」
梅原「明日か? 俺は構わないぜ?」
純一「田中さんはどう?」
田中「うん、土曜なら、薫の家に泊まることにすれば、夜に家を出ても怒られないと思う」
純一「よし、それじゃ明日で決まりだな。時間は夕方……18時頃集合でどう?」
梅原「ちょっと早すぎやしないか?」
純一「あんまり遅い時間に集まると、田中さんも家を出にくくなるんじゃないかな?」
田中「うん、そうだね。それくらいなら大丈夫だと思う」
-
18 : 2011/09/11(日) 00:37:59.78 -
>田中「……」コクコク
かわいい
-
19 : 2011/09/11(日) 00:39:03.78 -
棚町「ひゅーひゅー やっさしぃ~」
純一「茶化すなよ。薫もそれでいいだろ?」
棚町「ん、私は夕方以降なら何時でも大丈夫よ」
梅原「そんで、集合場所はどうする? 学校か?」
純一「いや……集合場所なんだけど、薫のバイト先のファミレスでいいよな?」
棚町「私の? 私は別に構わないけど……」
純一「薫、お前夕方までバイトだろ?」
棚町「え? うん……そうだけど」
梅原「なんだ。棚町はバイトだったのか?」
純一「うん、ファミレスで集合なら薫も時間を気にしなくて済むし……」
田中「そうだね」
純一「暗くなるまで、ファミレスで時間を潰せばいいだろ」
梅原「だな、行く前に簡単な打ち合わせも出来るし、さっすが大将」
-
20 : 2011/09/11(日) 00:39:45.30 -
純一「うん、それじゃ明日の18時頃に薫のバイト先のファミレスに集合ってことで」
棚町「おっけー」
田中「うん、わかった」
梅原「よっしゃ。んじゃ、俺はもう少し情報を集めとくわ」
純一「頼むぞ、梅原」
絢辻「…………はぁ」
-
23 : 2011/09/11(日) 00:41:35.24 -
~放課後 通学路にて~
田中「ねぇ、薫」
棚町「ん~ どうしたの恵子?」
田中「橘君って結構すごかったんだね」
棚町「スゴイって、何が?」
田中「うん、今日のお昼の時に話してた、夜の学校に行くこと」
棚町「それがどうかしたの?」
田中「橘君、最初は私たちと一緒に来る気なかったでしょ?」
棚町「そうね~ちょっとノリ悪い感じだったもんね」
田中「でも、一緒に来るって決めてから、パッと仕切っちゃって……」
棚町「梅原のヤツも呆気にとられてたね」クスッ
田中「そうそう」クスクス
棚町「…………」
-
25 : 2011/09/11(日) 00:42:49.86 -
田中「しかも、薫や私が困らないように色々考えてくれて……あんな人が彼だったら素敵かも」
棚町「あ、ごめ~ん、あたしバイトだからここでね」
田中「そっかぁ……バイト頑張ってね、薫」
棚町「てーんきゅ。また明日ね♪」
田中「うん、また明日♪」
棚町(……あたしは……知ってたよ)
棚町(あいつが優しくて、気配りも出来て、スゴイやつだって……あたしは前から知ってるの)
棚町(……でも)
棚町「……はぁ」
棚町「しゃっきりしろ……あたし!」
-
29 : 2011/09/11(日) 00:45:05.76 -
~土曜日 2年A組にて~
梅原「じゃ、俺は幾つか準備があるから先に帰るぜ?」
田中「うん、またあとでね」
純一「梅原、遅れるなよ?」
梅原「わぁってるって。大将こそ遅れたりするなよ? 棚町もあとでな」
棚町「おっけー ファミレスのウェイトレス姿で待っててあげるわよ♪」
梅原「うっひょ~ こりゃぁ意地でも遅刻出来なくなっちまったな、大将!」
純一「い、いや、僕は何度か見てるから」
田中「薫、そうなの?」
棚町「え? あ、純一は何度か、バイト先に遊びに来てくれたことあるから」
梅原「大将~ そりゃぁちょっと冷たいんじゃないか?」
純一「な、なんでだよ?」
梅原「あのなぁ、棚町はうちのクラスどころか、学年でも絢辻さんと二分するぐらい人気があるんだぞ?」
純一「そうなのか?」
梅原「その棚町のウェイトレス姿を独り占めなんて…ファンに後から刺されるぞ?」
-
30 : 2011/09/11(日) 00:47:23.57 -
田中「確かに薫は人気あるよね……何度か告白されてるし」
棚町「け、恵子!?」
純一「へ、へえ、すごいんだな、薫」
田中「でも、薫は告白されて、とりあえずつき合ってみるけど、すぐ別れちゃうのよねぇ」
棚町「け、恵子! 余計なこと言わないの」
田中「へへへ~、ごめんね」
純一「……なぁ、薫は何ですぐに別れるんだ?」
棚町「う~ん」
梅原「そうそう、とりあえずとはいえ『つき合う』って事は、好きな人がいるって訳じゃないんだろ?」
棚町「……なんていうかさ」
田中「うんうん」
-
31 : 2011/09/11(日) 00:49:19.70 -
棚町「つき合ってみないと、その人がどんな人か?ってわかんない訳じゃない?」
純一「まぁ、確かにそれは言えるな」
棚町「で、つきあってみるんだけど……なんかしっくりこないっていうか」
田中「それで、すぐに別れちゃうんだよね」
棚町「えへへっ♪」
梅原「なるほどなぁ……って大将、ちょっと顔色が悪くないか?」
田中「うん、なんだか少し元気ないね~」
純一「……最近、寝つきが悪くてさ。ちょっと寝不足気味なんだ」
棚町「なぁんだ、あたしが人気者って知って、ショックを受けたのかと思ったのに」
純一「ば、バカ。薫が人気があるのは知ってるよ、昔っからのことじゃないか」
棚町「好きでもない人とつき合って、あんたの気をひこうとしてるのに……」
純一「なっ?!」
-
34 : 2011/09/11(日) 00:51:36.87 -
梅原「健気だねぇ~棚町は」ニヤニヤ
田中「薫、かわいそう……」
純一「ちょ、ちょっと二人まで」アセアセ
棚町「それなのに純一は……なんてかわいそうなあたし……恵子に慰めてもらおっと♪」
田中「よーし、よし」ナデナデ
純一「た、田中さん……」
梅原「まぁ、具合が悪いなら、あんま無理すんなよ? なんだったら、二人のエスコートは俺に任せて……」
田中「えぇ!? 橘君来ないの~?」
梅原「た、田中さん……ワザトヤッテマセンカ?」
純一「……ぷっ。大丈夫、集合時間まではまだあるし、少し休めば良くなると思うから」
田中「そっかぁ……でも、無理しないでね?」
純一「ありがとう、田中さん」
-
35 : 2011/09/11(日) 00:53:36.36 -
棚町「あんた、あたしが仕事してるところに、寝ぼけた顔で来ないでよ?」
純一「わかってるよ、薫」
棚町「で、でも……ホントに辛かったら、ちゃんと言いなさいよ?」
純一「うん、ありがとう」ニコッ
梅原「……なんかさ、二人だけの世界作っちまって、なぁ?」ニヤニヤ
田中「……うん、私たち邪魔者~って感じだよね?」
棚町「ちょ、ちょっと!///」
純一「お、おい!///」
-
36 : 2011/09/11(日) 00:54:02.17 -
梅原「よしっ! 二人の邪魔にならないよう、帰ろうか!」キリッ
田中「ふふっ、そうだね。私も帰ろ~」
純一「う、梅原!///」
棚町「け、恵子!///」
梅原「んじゃ、またあとでな」
田中「またね~」
…………
純一「ぼ、僕たちも行こうか」
棚町「そ、そうね」
-
38 : 2011/09/11(日) 00:57:41.75 -
~夕方 ファミレスにて~
棚町「いらっしゃいませ~……って純一じゃない。随分早かったのね」
純一「うん、帰る時にみんなに心配掛けちゃったから、早めに来ておこうと思って」
棚町「そっか……こちらにどうぞ」
純一「やっぱり僕が一番最初?」ヒソヒソ
棚町「うん、あんたが一番だね……顔色、良くなったじゃない?」ヒソヒソ
純一「ただの寝不足だって言ったじゃないか。少し寝たら良くなったよ」ヒソヒソ
棚町「そっか、良かった♪」
棚町「ご注文がお決まりになりましたら、お呼びください」
純一「あ、とりあえずコーヒーを」
棚町「コーヒーだけなの?」
純一「コーヒーだけだよ。そんなにお金がある訳じゃないし」
棚町「しょうがないなぁ、薫さんがなんとかしてあげよう♪」
…………
-
39 : 2011/09/11(日) 00:59:23.86 -
棚町「お待たせしました。カップルに大人気♪ 『らぶらぶジャンボパフェ』とコーヒーです」
客A「……おい、あいつ一人で『あれ』頼んでるぜ?」ヒソヒソ
客B「甘い物が好きなんだろうけど……何も一人で頼まなくてもなぁ……」ヒソヒソ
純一「ちょ、ちょっと薫!」グイッ
棚町「なぁによぉ~ 急に引っ張らないでってば」
純一「どうしてよりによって『これ』なんだよ?」ヒソヒソ
棚町「『薫さんがなんとかする』って、さっき言ったでしょ?」ニッコリ
純一「それにしても一人で食べる量じゃないだろ、これは」アセアセ
棚町「じゃ、あたしが一緒に食べてあげよっか?」
純一「か、薫は仕事中だろ」
棚町「あと10分くらいであがりだし、さすがの純一でも10分で全部食べるのは難しいでしょ?」
純一「そ、そりゃそうだけど……まさか薫が食べたいから、持ってきた訳じゃないよな?」
棚町「う~ん、確かに私も食べたいかも?」
純一「お、おい……」
-
40 : 2011/09/11(日) 01:01:10.80 -
棚町「それにさ……疲れてる時は甘い物がいいって言うし」
純一「あ……」
棚町「これ食べて、元気だしてよ」ニコッ
純一「ありがとう……薫」
棚町「えへへっ、どういたしまして♪」
…………
梅原「よぉ~、バカップッ……ぐぼぉぉぉっ!?」ドガスッ!!
田中「薫、橘君、遅くなっちゃった」
純一「やぁ、田中さん」
棚町「恵子、あんたこのヘンタイに何かされなかった?」
田中「大丈夫、入口で偶然会っただけだから」
棚町「そう? ならいいけど」
梅原「う、ぐっ……た、棚町……出会い頭に……みぞおちにパンチなんて入れるか?」
純一「さっきのは梅原が悪いな」
棚町「そうよ! あんたがいきなり変なこと言おうとするから」
-
41 : 2011/09/11(日) 01:03:10.98 -
梅原「だって、お前たちが食べてるのって……」
梅原「直径10cm深さ5cmのピンクガラスの器にフレークを2cm敷き敷き詰めて……」
梅原「バニラ、チョコ、ストロベリーの三種のアイスに12種類のフルーツに大量の生クリーム……」
梅原「加えて、可愛らしいスプーンが2つセットでついてくる……」
梅原「正式名称『らぶらぶジャンボパフェ♪』通称『バカップルパフェ♪』じゃないか!」
棚町「説明ありがと」
田中「すごいすごい」パチパチ
純一「梅原、なんでそんなに詳しいんだ?」
梅原「そりゃぁ、彼女が出来た暁には、是非一度頼んでみようと思ってたからな!」エッヘン
棚町「それで、頼んだことは?」
梅原「ないっ!」エッヘン
純一「だろうな」
田中「ふふふっ」クスクス
-
42 : 2011/09/11(日) 01:04:19.92 -
梅原「まぁ……それにだ……」チラッ
純一「うん?」
梅原「四人席だってのに、わざわざ隣りに座って、そんなもの食べてたら、誰がどう見ても『バカップル』だろ」
棚町「だってぇ~ 純一が『一人じゃ寂しい……』って言うから~♪」ギュッ
純一「こ、こら、薫!? くっつくな!」
田中「わぁ~ 薫ったら積極的♪」
梅原「大将は俺を置いて、大人の階段を登っちまったんだな……」
…………
-
43 : 2011/09/11(日) 01:06:34.88 -
店員「棚町君、あんまり騒ぐと他のお客さんに迷惑だから、ほどほどで頼むよ」
棚町「はい、ごめんなさい」ペロッ
店員「ん……わ、わかってくれたらそれでいいから///」スタスタ
梅原「なんだ、あれ? 棚町に気でもあるんじゃないのか?」
田中「うん、顔が真っ赤になってたね」
純一「薫はどこに行っても人気があるな」
棚町「ただの同僚だってば、興味ないわよ」
梅原「だって……ホレ、大将のこと睨んでるぜ?」
田中「ほんとだ」
棚町「も~うっさいなぁ」
純一「そ、それで、梅原。あれから何かわかったのか?」
梅原「おぉ? 『七不思議』の話か?」
純一「そうそう」
梅原「『生物室の動く人体模型』『開かずの倉庫』『中央階段の運命の姿見』は話したっけ?」
田中「その三つは聞いたかな」
-
45 : 2011/09/11(日) 01:08:50.13 -
梅原「あとは『夜のプールに蠢く影』『校内を彷徨う少女の霊』『教員トイレから聞こえる女性のすすり泣き』か」
棚町「それと、七つ目の不思議もね」
梅原「そうだな……結論から言うと、七つ目の不思議はよくわからないままだな」
純一「そっか……それで残りの三つは?」
梅原「『校内を彷徨う少女』は、片思いの初恋が実らなかったことを苦にして、自殺した生徒の幽霊らしい」
棚町「へぇ~そんな子がいたんだ?」
梅原「あくまで噂話だからな。まぁ、その初恋の相手を探して、今も校舎内を彷徨ってるらしいぜ」
田中「なんだかかわいそうなお話ね」
梅原「あと『教員トレイのすすり泣き』だけど、何でも男性教員に騙された教育実習生の幽霊だとか」
純一「そういや、毎年実習生は来てるもんな……そういう話があってもおかしくないか」
梅原「騙されたことを恨みに思って、腹いせにトイレで命を絶ったとかで……」
田中「う、うん」
梅原「その男性教員どころか、世の中の男全員に対して、恨み言を繰り返すそうだ」
棚町「ウジウジした幽霊ねぇ」
純一「いや、幽霊ってそういうもんじゃないかな?」
-
48 : 2011/09/11(日) 01:11:23.97 -
梅原「で、最後に『夜のプールに蠢く影』だけど……」
田中「うん」
梅原「これは……デマみたいだな」
純一「そうなのか?」
梅原「あぁ。どうも、大会前に遅くまで練習していた水泳部員じゃないか?って話だ」
棚町「なぁ~んだ、つまんないの」
純一「それじゃあ、実質『五不思議』になるのか?」
梅原「う~ん、そうなっちまうなぁ、これまでの調査結果だと」
田中「ずいぶんと減っちゃったね」
棚町「『幽霊の正体見たり枯れ尾ひれ』って言うじゃない」
純一「それを言うなら『枯れ尾花』だろ」
棚町「細かいわね~ 似たようなもんでしょ」
梅原「まぁまぁお二人さん。……で、そろそろ行かないか?」
-
49 : 2011/09/11(日) 01:13:05.25 -
純一「もうそんな時間か?」
田中「少し早くないかな?」
梅原「ちょっと早いかもしれないけど、何が起こるかわからないだろ?」
田中「……な、何か起こるの?」
棚町「ちょっと、あんまり恵子のこと、怖がらせないでよ」
梅原「すまんすまん。まぁ……何もないと思うけど、一応念のために……な」
純一「まぁ、ギリギリに行くよりはいいんじゃないかな?」
棚町「それもそうね……それじゃ行きましょ。二人ともゴチソウサマ♪」
梅原「お、俺たちが払うのか?」
棚町「あったり前でしょ~♪ あ、パフェの分は大丈夫だから」
純一「最初に言ったと思うけど、僕あまりお金持ってないぞ」
田中「ねえねえ。薫、悪いよぉ~」
棚町「大丈夫だって。これぐらいの甲斐性がないとモテないよ?」
-
50 : 2011/09/11(日) 01:13:54.44 -
梅原「かぁ~っ、そう来るか! ……しょうがない、ここは俺が大将の分も立て替えとくぜ」
純一「す、すまん、梅原」
棚町「てーんきゅ♪」
田中「ほんとにいいの?」
梅原「大将、その代わりに新作のお宝本……頼んだぜ?」
純一「わ、わかった」
棚町「あんたたち、それがなきゃモテるのに……」ボソッ
梅原「……ん? 何か言ったか?」
棚町「なんでもな~い」
田中「ふふふっ」クスクス
-
52 : 2011/09/11(日) 01:15:44.35 -
~20時30分 正門前にて~
梅原「しかし、大将が本当に寝不足だったとはな」
田中「うん、顔色よくなってたもんね」
純一「心配してくれてありがとう」
棚町「えっちなことばっかり考えてるから、寝不足になるのよ」
純一「薫は寝不足じゃないのか?」
棚町「わ、私は平気よ」
梅原「なぁんだ、棚町も寝不足なら面白かったのに」
棚町「あんたねぇ!? ど~いう意味よ!」
純一「ほ、ほら着いたぞ」
田中「あ……門、閉まってるね」
梅原「まぁ、この時間だし、当然といえば当然か」
棚町「どうするの、乗り越える?」
純一「そんなことしなくても大丈夫だよ。梅原、懐中電灯は?」
梅原「おう、二つ持ってきてるぜ」
-
53 : 2011/09/11(日) 01:17:17.91 -
純一「うん。じゃ、行こうか」スタスタ
棚町「ちょっとどこ行くの?」
純一「まぁ、ついて来ればわかるよ」
…………
棚町「ねぇ、ちょっとどこまで行く気よ」
田中「この辺は街灯もないから暗いね……」
純一「確かこの辺なんだけど……暗くてよく見えないな。梅原?」
梅原「懐中電灯だな、ほれ」
純一「さんきゅ」カチッ
純一「え~と……お!? あったあった」
-
54 : 2011/09/11(日) 01:20:15.21 -
田中「……フェンスに穴が開いてる」
棚町「こんなところがあったんだ?」
純一「うん、遅刻しそうな時や早退したい時に使う緊急ルート」
梅原「さっすが大将。いいモンもってるぜ」
棚町「なぁ~んか、いやらしい言い方……」
梅原「うん? そうか?」
純一「ほら、くっちゃべってないで行こう」
田中「う、うん」
純一「少し広げた方がいいかな……よっ」ガシャッガシャッ
梅原「まるでどっかの潜入工作員だな」
棚町「妙に手馴れてるよね」
純一「よし、これでいいだろ。梅原、先に行ってくれるか」
梅原「よっしゃ、任せとけ……よっ…と」ゴソゴソ
純一「大丈夫か?」
梅原「おう、大丈夫だ」
-
55 : 2011/09/11(日) 01:21:53.62 -
純一「じゃぁ、次は田中さん」
田中「うん、わかった」
純一「服をひっかけないよう、気をつけてね」
田中「んっ……うん……ふぅ。ほんとにスパイみたい」ゴソゴソ
純一「行けたみたいだね。じゃぁ、次は薫」
棚町「おっけー」ゴソゴソ
純一(ふぅ……薫のお尻がもぞもぞと右に左に……いい眺めだ♪)
棚町「抜けたよー」
-
56 : 2011/09/11(日) 01:22:20.59 -
純一「あ、あぁ……じゃぁ最後は僕か」
梅原「大将、懐中電灯が邪魔だろ、持つぜ」
純一「頼む。……よっ……と」
田中「さすがに慣れてるね~」
純一「よしっと」
梅原「大将、お疲れさん。それにしても、無事に潜入出来たな」
田中「夜の学校に忍び込むって、何だかドキドキするね」
棚町「ほんとほんと♪」
純一「よし、じゃあ行こうか」
-
58 : 2011/09/11(日) 01:24:02.26 -
~20時45分 校舎玄関前にて~
棚町「あ~やっぱり鍵が掛かってるね」ガチャガチャ
梅原「どこか、鍵の開いてる窓がないか探すか?」
田中「でも、それだと時間かかりそうだね」
純一「……う~ん」
梅原「うん? 大将、何かいいアイデアでもあるのか?」
純一「そうだな……非常階段にある非常ドア……3年生の所からからならもしかしたら……」
田中「非常ドアって外から開かないようになってるよね?」
純一「普通ならそうなんだけど……ここだと目立つから、とりあえず非常階段の方に行こうか」
棚町「そうね、宿直の先生の見回りもあるだろうし」
梅原「見回りなら確か21時からだと思うぜ、前に麻耶ちゃんがそんなこと言ってたから」
田中「そうなんだ?」
棚町「見回りを潜り抜けながらのみっちょんかー 燃えるわ♪」
-
60 : 2011/09/11(日) 01:27:03.49 -
~20時50分 校舎裏にて~
純一「……という訳で、3年生の教室のある非常ドアは外からでも開くようになってるらしい」
梅原「なるほどな……しっかし壊れたままほっとくなんて、のん気というか無用心というか」
田中「でも、そのお陰で校舎の中に入れるなら感謝しなくちゃ」
純一「う~ん、でも森島先輩からその聞いてから結構経つから、もしかしたらダメかもしれないよ」
梅原「そしたら、手分けして鍵の開いた窓をさがすしかないか……」
棚町「……ねぇ」
純一「どうした、薫?」
棚町「しっ! ……何か音が聞こえた気がするんだけど……ほら!?」
……ガサガサ
田中「ほ、ほんとだ……」
梅原「非常階段と……屋内プールの方か……」
田中「も、もしかして『プールで蠢く影』?」
-
61 : 2011/09/11(日) 01:28:02.71 ID:fq8tJTx/0 - 蠢くって何てよむの?蠢く?
-
62 : 2011/09/11(日) 01:28:38.73 -
>>61
「ウゴメく」ですね -
63 : 2011/09/11(日) 01:29:43.35 -
純一「で、でもあれは、デマって話なんじゃ……?」
棚町「とりあえず、行ってみない?」
梅原「だな、ここで逃げちゃ男がすたる」
田中「わ、わたし女だよ……」
純一「でも、田中さんもここで一人で残るのはイヤでしょ?」
田中「う、うん」コクコク
梅原「よしっ、決まりだな。じゃぁ、行ってみようぜ」
田中「か、薫、待って」ギュッ
棚町「け、恵子?! 動きにくいって」
田中「だ、だってぇ……」
……ガサガサ
純一「音は……こっちか……」
棚町「プールの中じゃないみたいね」
梅原「まぁ……あれはデマって話みたいだからな」
田中「そ、それじゃあ……何の音だろう??」
-
64 : 2011/09/11(日) 01:31:50.10 -
純一「何にしても、非常階段に行くには、屋内プールの裏を通らないといけないんだし……」
田中「そ、そうよね……」
棚町「……しっ!」
……ガサガサガサガサ
田中「ふええぇぇぇぇぇええ!!」
棚町「恵子、あんたは後ろに」
純一「梅原、田中さんを頼む。僕が見てくる」
棚町「あたしも行く」
田中「か、薫!?」
純一「……非常階段の下から音がするな」
棚町「……ってことは、さっきの音のした場所から、動いてるってことになるよね?」
純一「そうなるな……行くか?」
棚町「もち!」
純一「じゃ、せーので行くぞ! せーの…っうわ!?」
……ガサガサガサガサ!!!
-
65 : 2011/09/11(日) 01:33:37.18 -
棚町「きゃあ!?」
梅原「な、なんだありゃ……」
田中「ぅぅぅ…………」ギュッ
純一「……え、え……と」
棚町「……ね、猫??」
黒猫「みゃぁ……」
梅原「あぁ~あ、こりゃヒデぇな」
田中「ど、どうしたの……」ギュゥ
純一「うん、スーパーの袋が首に引っかかってるみたい」
黒猫「みゅぅ……」
棚町「袋を取ろうとして暴れてたから、あんなに大きな音がしたんだね……」
梅原「あんなもんが首に引っかかってりゃ、暴れもするよな」
田中「ほんとだ……かわいそう……」
純一「ほら……取ってやるから動くなよ……よし、これで大丈夫」
-
68 : 2011/09/11(日) 01:36:39.33 -
黒猫「みゃぁ♪」
棚町「この子、急に甘えた声なんて出して。驚いたんだからね」クスクス
梅原「全くだ……『蠢く影』はデマってのがデマだったのかと、一瞬焦っちまったぜ」
純一「その言い方ややこしぞ」
田中「黒猫ちゃん、かわいいね」ナデナデ
黒猫「みゅぅ♪」スリスリ
純一「それにしても、ずいぶんと人に慣れてるな……」
田中「誰か餌でもやってるのかな?」ナデナデ
棚町「そうかもしれないね、こっちの方はあまり人も来ないだろうし」
梅原「田中さんに撫でてもらって……羨ましいやつだな、お前」
純一「変なところで時間を取っちゃったな。僕、非常ドアを見てくるよ」ダッ
梅原「おぅ、頼むぜ大将」
田中「それにしても……薫も橘君も怖くなかったの?」
棚町「あたしは恵子のこと守らなきゃ……って思ったから。……あいつはどうなんだろうね」
梅原「俺の存在感って一体……」
-
69 : 2011/09/11(日) 01:38:02.79 -
田中「だ、だって梅原君は何もしてなかったでしょ」
梅原「俺の服を掴んで……『ギュッ』ってしてくれた、可愛い田中さんはどこに行っちまったんだぁ」
棚町「あんたねぇ~」
田中「あ、あれは!? でも……確かに近くにいてくれたよね……ありがとう、梅原君///」
梅原「おう! これからも俺が田中さんのことを守るから、大船に乗った気でいてくれ♪」
田中「……///」
棚町(ふ~ん、梅原のやつ言うじゃない? 恵子も……恵子は惚れっぽいからなぁ……)
純一「お~い、ここから入れそうだぞ」
梅原「……おっ、どうやら中に入れそうだな」
棚町「そんじゃ、行きましょうか」
田中「黒猫ちゃん、バイバイ。今度から気をつけるんだよ」
黒猫「ふみゅ? ……みゃぁ♪」
-
70 : 2011/09/11(日) 01:40:05.90 -
~21時05分 校舎内にて~
純一「まだ一時間近くあるな」
田中「時間までどこかに隠れてる?」
棚町「せっかくだから時間まで探検しようよ。夜の校舎なんてなかなか来る機会もないんだし」
梅原「棚町に一票! 出来れば『七不思議』の謎は解明したいしな」
純一「校舎内をうろつくなら、懐中電灯は消した方がいいか。もう宿直の先生が見回りしている頃だろ?」
田中「あ、そういえば9時から見回りなんだっけ?」ヒソヒソ
棚町「う~ん、梅原の情報が確かならね」ヒソヒソ
梅原「声も落とさないと……バレたら流石に面倒なことになりそうだし」ヒソヒソ
純一「生物室は棟が違うから、行くなら『開かずの倉庫』かな?」ヒソヒソ
田中「あ!? その前に教室に行ってみない?」
梅原「教室? 俺たちのか?」
田中「そう、夜の教室ってどんな感じかな~?って思って」
棚町「いいね~ じゃあ、まずはあたしらの教室から行ってみよっか?」
純一「よし、決まりだな」
-
71 : 2011/09/11(日) 01:42:32.76 -
~同時刻 宿直室にて~
高橋先生「もう……何が『麻耶ちゃん、愛してるぜ(ハート)』よ」
高橋先生「大人をからかうもんじゃ……ないっていうの! はい、採点終わり!」グビグビ
高橋先生「幾ら男子生徒に人気があってもなあ……教師としては嬉しいことだけど」
高橋先生「宿直室でビールを飲みながら、生徒の冗談にニヤニヤしてるってどうなの?」
高橋先生「少し問題のある子もいるけど……みんなは基本的にいい子たちだし……」
高橋先生「あぁ~~~ 私があと10年若かったらなぁ……」
高橋先生「……もしかして『あの時』の私がピークで、あとは下り坂な訳?」グビ
高橋先生「ふぅ……どこかにいい人いないかなぁ……」
高橋先生「…………」
高橋先生「…………」ウトウト
高橋先生「…………あっ!? いけない、もうこんな時間!?」
高橋先生「見回りだけ済ませておかないと……」ゴソゴソ
-
73 : 2011/09/11(日) 01:45:35.09 -
~21時10分 2年A組にて~
純一「どうだ、梅原?」
梅原「おう、今んとこは大丈夫そうだな」
田中「わぁ、私の席だ♪」
棚町「やっぱり昼の学校とは違うよね~」
純一「うんうん」
梅原「他の生徒が誰もいない、っていうのもポイントだな」
田中「そうそう、何だか私たちだけの教室みたい♪」
梅原「……どうだ、大将。今日は来て良かっただろ?」ヒソヒソ
純一「う、うん、まぁ……な」ヒソヒソ
-
74 : 2011/09/11(日) 01:46:37.00 -
棚町「あんたたち、何こそこそやってんの?」
純一「な、なんでもないよ」
梅原「つ、次はどこに行こうかってさ、な? 大将」
純一「お、おう」
棚町「次は『開かずの倉庫』でしょ」
梅原「そ、そうだったな。それじゃそろそろ行くか」
純一「そ、そうだな」
棚町「なぁんか、あやしいなぁ」
田中「薫、もう行くの?」
純一「ずっと教室にいても仕方ないからね」
棚町「ん~ ま、いいか」
梅原「よし、じゃぁ見回りに気をつけながら行こうぜ」
田中「うん」
-
75 : 2011/09/11(日) 01:48:36.39 -
~21時18分 校舎内にて~
棚町「『開かずの倉庫』かぁ……ちょっと楽しみだよね」
田中「ええぇぇ? 怖くないの薫?」
純一「でも、普段は鍵が掛かってるんじゃないのかな?」
棚町「だとしたら、中には入れないか……」
梅原「なぁ……」
純一「どうした、梅原」
梅原「……いや、なんか急にトイレに行きたくなっちまってよ」
棚町「はぁ?」
梅原「いや~ファミレスで、コーヒーを飲み過ぎたみたいでさ」
-
77 : 2011/09/11(日) 01:49:46.42 -
田中「あ、あの……」
棚町「どうしたの、恵子?」
田中「わ、わたしも……///」
棚町「恵子も?」
純一「田中さんもなら仕方ないか、途中でトイレに寄ろう」
梅原「仕方ないって……俺だけならトレイに行かせてもらえなかったのか?」
棚町「あんただけなら、寄り道なんてする訳ないでしょ」
田中「ちょ、ちょっと言いすぎじゃないかな、薫?」
梅原「いいのいいの、田中さんは気にしなくても」ニカッ
純一「うん、これくらいはいつものことだから。田中さんは気にしなくていいよ」ニコッ
田中「あ……うん」
-
79 : 2011/09/11(日) 01:51:05.69 -
~21時22分 2階トイレ前にて~
梅原「んじゃ、ちょっくら行ってくるから」
田中「……えっ?」
純一「梅原、ウインクなんてして、何のつもりだ?」
梅原「なんでもない。一応、大きい方も行っとくからってことでな。ま、ゆっくりしててくれ」
棚町「ばか、早くいきなさいよ!」
田中(梅原君。もしかして……私がトイレに行きたかったことに気づいて)
棚町「恵子、大丈夫だと思うけど、何かあったら呼びなさいよ」
田中「う、うん……わかった」
-
80 : 2011/09/11(日) 01:52:52.09 -
純一「心細いかもしれないけど、明かりを点けるとマズいから、懐中電灯渡しておくね」
田中「あ、ありがとう」
棚町「全く、あのバカは……少しは見直してやろうかと思ってたのに」ブツブツ
純一「どうした、薫?」
棚町「な、なんでもない」ムスッ
田中「薫……梅原君は……違うんじゃないかな?」
純一&棚町「……えっ?」
田中「あ、な、なんでもない。それじゃ、行ってくるね」
棚町「……え、うん」
純一「どうしたんだろう、田中さん」
棚町「……さぁ?」
-
81 : 2011/09/11(日) 01:55:50.71 -
~同時刻 梨穂子の部屋にて~
伊藤『それで、橘君とはどうなってるのよ?』
桜井「ふえ? あ、う~ん、どうなんだろう?」
伊藤『いや、こっちが聞いてるんだけど?』
桜井「そうだねぇ~あんまり変わってないかな~」
伊藤『そっかぁ……桜井も大変だね』
桜井「あはは。……純一ね、最近は棚町さんと仲良さそうにしてるの」
伊藤『棚町さん? 少し前まで森島先輩じゃなかったの?』
桜井「森島先輩とも仲はいいみたいだよ。学校に行く時に美也ちゃんたちと話してるの見かけるし」
伊藤『見かけるって……桜井、なんでその輪に入っていかないの?』
桜井「う~ん、純一が気づいてくれるかな?……って思って」
伊藤『はぁ~~ そんなんじゃ、いつまで経ったっても、彼に気づいてもらえないよ?』
桜井「そうかなぁ? 純一は見てないようで、結構見てるから」
伊藤『橘君が気づいてるなら、余計に悪いじゃないの』
桜井「そ、そっか……あはは」
-
82 : 2011/09/11(日) 01:57:35.38 -
伊藤『それで、今度は棚町さん?』
桜井「う、うん。棚町さんは中学から一緒だし、元々純一たちとは仲が良かったんだけど……」
伊藤『うん』
桜井「最近、特に仲が良さそうかな?って。あっ、あとは梅原君と田中さんとも」
伊藤『梅原君と田中さんも?』
桜井「うん、四人で一緒にいることが多いみたい」
伊藤『…………』
桜井「あれ? 香苗ちゃん、どうかした?」
伊藤『あ…… な、なんでもない』
桜井「そう?」
-
83 : 2011/09/11(日) 01:58:45.00 -
伊藤『と、とにかく、まず橘君と話をすることから始めなさい』
桜井「うん、わかったよ~ 頑張ってみるね」
伊藤『…………』
桜井「……香苗ちゃん?」
伊藤『あっ!? ご、ごめん……今日の宿題まだだったから、もう切るね』
桜井「そっか~ 頑張ってね」
伊藤『頑張るのは桜井の方でしょ、もう。 ……ありがとね』
桜井「うん、おやすみ~」
伊藤『はいはい、おやすみ』カチャン
プーップーップーッ
桜井「……あれ? 今日って宿題あったかな?」
-
87 : 2011/09/11(日) 02:01:02.54 -
~同時刻 校舎内一階にて~
高橋先生「母校とはいえ……どうしてこの学校は無駄に広いのかしら?」
高橋先生「見回りをするだけでも大変よ……」
高橋先生「まぁ……寝る前の散歩と思えば……」
…………
高橋先生「……?」
高橋先生「……今、音がしなかったかしら?」
高橋先生「もしかして……泥棒?」
…………
高橋先生「どうして私が宿直の時に限って……って、あぁ、もう! そんなこと言ってられないか」
高橋先生「音がしたのは……上の方からね」
高橋先生「よしっ! ……行ってみましょう」
-
88 : 2011/09/11(日) 02:03:58.36 -
~21時25分 2階トイレ前にて~
棚町「二人とも遅いわね……」
純一「まだ、入ったばっかりじゃないか」
棚町「だって~ …………今?」ヒソヒソ
純一「うん、聞こえた」ヒソヒソ
棚町「見回りかな?」ヒソヒソ
純一「下からだから……多分」ヒソヒソ
棚町「二人に教えないと」ヒソヒソ
…………
純一「ダメだ。梅原のヤツ、しばらくかかりそうだって」ヒソヒソ
棚町「うん、こっちも……どうしよう?」ヒソヒソ
純一「……よし、二人にはこのままトイレに隠れてもらって、僕たちで注意をひきつけよう」ヒソヒソ
棚町「う、う~ん、それしかないか」ヒソヒソ
-
89 : 2011/09/11(日) 02:04:59.03 -
カツーン……カツーン……
純一「ヤバイ、近づいてきてる。二人に隠れてるように言って、僕たちもここから離れよう」ヒソヒソ
棚町「お、おっけー」ヒソヒソ
カツ、カツ、カツ、カツ……
純一「よし、どうだった?」ヒソヒソ
棚町「うん、恵子にしばらく隠れてるように言っておいた」ヒソヒソ
純一「ヤバイ、階段を登ってきてる……反対側に逃げるぞ」ギュッ
棚町「あっ……!?(手……)……うん///」
…………
-
91 : 2011/09/11(日) 02:07:01.18 -
高橋先生「だ、誰かいるの?」
高橋先生「お、おかしいわね……あっ!? 奥の方で何か動いたような……」
高橋先生「……行って確認しなきゃ」
…………
棚町「ダメ……追いかけてくるみたい」
純一「上に逃げてやりすごすか……あとは非常ドアから逃げるか」
棚町「恵子たちを置いていくの?」
純一「懐中電灯の光がこっちに来てるってことは、二人は上手くやり過ごせたはず」
棚町「そ、そうよね」
純一「非常ドアから逃げるのは最終手段、上手くやり過ごせたら……」
棚町「じゃ、上に行こう」
…………
-
93 : 2011/09/11(日) 02:09:18.63 -
高橋先生「……誰もいないわね」
高橋先生「…………」
高橋先生「……上?」
…………
純一「どこかに隠れられる場所は……くそっ」
棚町「やっぱり、一旦非常ドアから逃げるしか……」
純一「あ、ここはどうだ?」
棚町「え? こ、ここって……」
純一「背に腹は……鍵は……開いてる?!」ガチャッ
棚町「な、何で?」
純一「何でもいいから、とにかくここに隠れよう」
棚町「わ、わかった」
…………
-
94 : 2011/09/11(日) 02:10:04.93 -
高橋先生「おかしいわね……やっぱり誰もいない」
高橋先生「気のせいだったのかしら……」
高橋先生「念のために奥も確認した方が……いいのよね、やっぱり」
-
95 : 2011/09/11(日) 02:11:48.44 ID:4xcFRJPn0 - 書きだめてるの?
-
96 : 2011/09/11(日) 02:12:10.48 -
~21時33分 生徒会管理倉庫にて~
純一「くそっ……こっちに歩いてくるみたいだ……」ギュッ
棚町「じゅ、純一……痛い」
純一「え、あ!? ご、ごめん」パッ
棚町「大丈夫……それより、どうしよう?」
純一「ここに入ってこない可能性もあるけど……念のために奥に移動して」
棚町「うん、ここなら棚も多いし、隠れられるかも」
純一「しかし、まさかこんなことになるとはなぁ……」
棚町「うん、ゴメンね」
純一「薫があやまることじゃないだろう」
棚町「そうなんだけど……」
-
97 : 2011/09/11(日) 02:13:12.45 -
>>95
ですね、一応完成してから投下はしています
流石にこの速度では書けないのでwww -
98 : 2011/09/11(日) 02:14:27.62 -
純一「しっ!? 廊下の音が止まった……」ヒソヒソ
棚町「…………」
純一「な、何かないか……何か……」
棚町「もう……私たちだけでも怒られた方が……」
純一「諦めるなんて薫らしくないぞ。何かあるはずだ……何か……」
…………
純一「こ、これは……使えるか?」
……ガチャリ
-
100 : 2011/09/11(日) 02:15:13.20 -
~同時刻 生徒会管理倉庫前にて~
高橋先生「この先は何もないわね……」
高橋先生「……あとは倉庫だけど」
高橋先生「倉庫には鍵が…………あれ?」ガチャリ
高橋先生「……開いてる」
高橋先生「だ、誰か中にいるの?」
…………
高橋先生「だ、誰かいるなら……出てきなさい」
……ザッザザザッ
高橋先生「な、何の音!?」
高橋先生「……誰かいるの?」
高橋先生「もう……どうしてこんなことに……」
-
108 : 2011/09/11(日) 02:23:48.00 -
ザザッ……ザァーザザッ……
高橋先生「音は……こっちの方から……」
高橋先生「……出てきなさい!」バッ
ザッ……ザザッ……
高橋先生「何これ? …………ら、ラジオ?」
高橋先生「なんでこんな物が…………」
ザッ……ジジッ……ザッ……ブツッ
高橋先生「止まった……電池切れ? 接触不良かしら?」
高橋先生「もしかして……さっきからの音ってこれだったの?」
高橋先生「はぁ……何やってるんだろう、私……」
高橋先生「……宿直室に戻りましょ」
-
111 : 2011/09/11(日) 02:27:11.42 -
~21時40分 生徒会管理倉庫隣の教室にて~
棚町「う、上手くいったみたいね……」
純一「そ、そうだな……」
棚町「それにしても……よくとっさにあんなこと、思いついたわよね?」
純一「あぁ……ラジオに注意を向けさせてる隙に、倉庫から抜け出すって?」
棚町「そう、そのあともすぐ隣の教室に隠れるなんて……」
純一「意味がわからない音とはいえ、ハッキリと聞こえる音があれば、当然そっちに注意がいくだろうし……」
棚町「うんうん」
純一「まさか『不審者』が逃げ出さず、すぐそばに隠れているとは、普通は思わないだろうからね」
棚町「上手く、相手の盲点を突いた作戦ってことかぁ」
純一「そういうこと」
棚町「ふふふっ、それにしても自分たちで『不審者』って?」クスッ
純一「高橋先生から見れば、『不審者』には違いないだろ?」
棚町「まーね」
-
113 : 2011/09/11(日) 02:29:57.27 -
純一「それより、ラジオに電池が残ってたみたいで、助かったよ……」
棚町「……あ、あのさ///」
純一「どうした、薫?」
棚町「か、隠れる場所……もう少し何とかならなかった訳?」
純一「だ、だってなるべく音を立てずに、急いで隠れられる場所っていったら教壇の下くらいしか……」
棚町「そ、それはそうだけど……あんたに引っ張りこまれた時は、流石に声が出るかと思ったわよ///」
純一「ご、ごめん///」
棚町「はぁ……まぁ、純一だから別にいいんだけどさ///」
純一(よ、よく考えたら……とんでもない体勢なんじゃないのか、これ?)
棚町「ね、ねぇ……?」
純一(狭い教壇の下で、若い男女二人が抱き合ってるって……)
棚町「ねぇってば!」
純一「ど、どうしたんだ」
棚町「あ、当たってる……///」
純一「へ?」
-
117 : 2011/09/11(日) 02:35:02.01 -
棚町「あ、あんたのが……さっからあたしのお尻に当たってるんだけど///」
純一「ご、ごめん!! い、意識したら……急に!///」
棚町「し、しっ! ……声が大きい///」ヒソヒソ
純一「あ、あぁ……ごめん///」ヒソヒソ
棚町「ふ~ん、純一でもあたしのこと意識したりするんだ?」
純一「そ、そりゃぁ……薫だって女の子だし……」
棚町「『だって』ってどういう意味かな~?」グリグリ
純一「う、うわぁ!? お、お尻を押しつけるな///」
棚町「あ!? また硬くなった……ヘンタイ///」
純一「あ、あのなぁ……こんなことされたら誰だって///」
棚町「……あ、あたしは、あたしは誰にだって……こんなことする訳じゃないのよ///」ゴニョゴニョ
純一「ぁ……うん」
-
122 : 2011/09/11(日) 02:39:54.29 -
棚町「さ、さっきも言ったけど、純一だからいいかな……って///」ピトッ
純一「か、薫……(ま、マズい……色々とマズい)」
純一(か、考えろ、橘純一! 薫が僕に体を寄せてきて、お尻が僕のお宝の上でもぞもぞと……)
純一(お、お尻どころか、胸の感触まではっきり……考えろ、何が最善か考えるんだ!)
棚町「ね、ねぇ……///」スッ
純一「……ご、ごくり!?(か、薫が……め、目を閉じて)」
純一(……こうして見るとやっぱり可愛いな……性格もサッパリして、薫が人気者なのがわかる気がする)
純一(そういえば、アルバイト先のあいつ……梅原の言うとおり薫に気があるんだろなぁ)
純一(薫……唇が……細い肩も震えてる……薫がこんなに頑張ってるのに……僕は)
純一「……薫」
棚町「…………」
-
125 : 2011/09/11(日) 02:43:08.36 -
純一「……薫、田中さんと梅原を探して合流しよう」
棚町「…………意気地なし」ボソッ
純一「……っ!? も、もう高橋先生も宿直室だろうし」
棚町「……やっぱり……あたしじゃダメなのかな?」
純一「ち、違うんだ、薫。こんなのは……成り行きに任せただけみたいな……だから」
棚町「……初めてだから……勇気、出したんだけどな」
純一「そ、そうなのか?」
棚町「うん……確かに色んな人とそういう噂があったかもしれないけど……友達の延長みたいなもんだったし」
純一「あぁ……」
棚町「……周りが勝手に言ってるだけで、つき合ってるかどうかなんて、本人しかわからないよ」
純一「そ、そうだったのか」
棚町「……でも、無意味だったのかも」
純一「そ、そんなことない!」
-
128 : 2011/09/11(日) 02:46:13.25 -
棚町「……え?」
純一「いい加減なままにしないから……だから、もう少し、もう少しだけ待ってくれないか?」
棚町「……わかった」
純一「か、薫……」
棚町「あんたがそこまで言うんだから、信用してあげる」
純一「そ、そうか……ありがとう」
棚町「でも、あんまり遅くなったら、釣り上げようとした魚は逃げてるかもよ?」ベーッ
純一「……必要だったら、逃げても捕まえるよ」
棚町「……え!?///」
純一「逃げても捕まえて……捕まえたら絶対に離さない」
棚町「…………そっか。うん、そっか///」
純一「行こうか、薫」
棚町「そ、そうだね、行こうか」
-
131 : 2011/09/11(日) 02:49:05.84 -
~21時59分 校舎内1階 中央階段姿見前にて~
棚町「二人ともいないね」
純一「あぁ、二人とも時間にはここに来ると思ったんだけど……」
棚町「無事ならいいんだけど……」
純一「梅原が一緒だから大丈夫だよ」
棚町「それもそうね」
純一「へぇ……」
棚町「ん? なに?」
純一「いや、梅原のこと、そんな風に言うなんて思わなかったからさ」
棚町「あんたたちが、いいヤツだってのは知ってるから」
純一「……そっか」
-
133 : 2011/09/11(日) 02:51:47.91 -
棚町「もうすぐ時間だね……」
純一「そうだね……」
棚町「何も映らなかったら、どうしよっか?」
純一「どうしようって、『プール』みたいにデマかもしれないし……」
棚町「それもそっか」
純一「……そろそろかな?」
棚町「うん、時間だね……」
…………
棚町「あは、やっぱり何も映んないか」
純一「…………」
-
134 : 2011/09/11(日) 02:54:03.42 -
棚町「これで一生、寂しい一人身確定かな~」
純一「……僕には見えてるけど?」
棚町「え? 嘘?」
純一「うん……ほら?」
棚町「え? ……あた、し?」
純一「僕にははっきりと、鏡に薫のことが映って見えてるけど……薫は……どうかな?」
棚町「え、ぁ……あ、あたしにも……純一が見えてる」ジワ
純一「そっか……よかった。……さっきはごめんな、薫」
棚町「う、うん……」
純一「僕が意気地がないばっかりに……2年前のあの日から……逃げてばかりいたばっかりに」
純一「薫に、辛い思いばかりさせちゃったな。今もこうして……泣かせちゃってるし」
棚町「こ、これは……」
純一「だから、ごめん」
棚町「あ、あやまんないでよぉ……ばかぁ……」
-
138 : 2011/09/11(日) 02:57:14.84 -
純一「あの時、僕のこと必死になって励ましてくれたよな」
棚町「……う、うん」
純一「正直、あの時は『ほっといて欲しい』って思ってたんだけど……」
棚町「…………」
純一「今になって考えたら、薫たちのお陰でこうして立ち直ることが出来たんだし……」
純一「あ……まだ、完全にとはいかないかもしれないけどね」
棚町「あたし……あの時、あんたが落ち込んでいる時、どうしていいかわからなくてさ」
純一「うん」
棚町「バカやって、ちょっとでもあんたが元気になったらいいなって……それだけで」
-
139 : 2011/09/11(日) 02:59:24.14 -
純一「……2年前のあの日、僕が振られたのは運命だったのかもしれないけど……」
棚町「うん」
純一「今、薫とこうしてここにいるのは、運命とか薄っぺらいものじゃなくて」
純一「薫が僕のために一生懸命頑張ってくれたからなんだって」
純一「だから、僕はその薫の気持ちに応えたいんだ」スッ
棚町「ぁ……」
純一「今までありがとう。これからも僕が挫けそうになったら、僕のことを励ましてれないか」
棚町「純一……」
純一「薫、好きだよ。これからも、僕のそばにいてほしい」ギュッ
棚町「嬉しい……あたしもあんたのことが……好き」ギュッ
純一「また、泣かせちゃったね」チュッ
棚町「あっ/// こ、これはいいの、嬉し涙なんだから…」
純一「そっか。好きだよ……薫」チュッ
棚町「あたしも……」チュッ
-
141 : 2011/09/11(日) 03:01:45.56 -
…………
??「ねぇ……どうしよう?」ヒソヒソ
??「え~と、ちょっと出ていきにくいよな……お邪魔だろうし」ヒソヒソ
棚町「だ、誰?」
??「あ、見つかっちゃったみたい」
??「おう、見つかっちまったらしょうがないな……」
純一「梅原! それに田中さん!」
棚町「無事だったの、恵子?」
田中「うん、私は大丈夫だよ」
梅原「いや~大将たちも無事でなにより……って無事以上かね、こりゃ」
純一「い、いつからいたんだ?///」
梅原「『……僕には見えてるけど』の辺りだったかな?」
田中「うん『え? ……あた、し?』の辺りよね?」
棚町「ちょ、ほとんど最初からじゃないの!///」
-
143 : 2011/09/11(日) 03:03:55.14 -
梅原「いや~大将たちが真剣な顔してたからさ、出ていかない方がいいだろうって、田中さんと。な?」
田中「うん『面白いものが見れるかもよ?』って梅原君が言うから。ね?」
純一「こ、こら、覗きなんて趣味が悪いぞ」
棚町「ほんと、信じられない……ってあんたたち、何で手なんかつないでるの?」
梅原「棚町たち一緒でさ。ま、こっちも色々とな」
田中「えへへ///」
棚町「恵子、あんた詳しく聞かせなさい!」
田中「やだ、薫が怖い~」
純一&梅原「あはははっ」
-
146 : 2011/09/11(日) 03:06:10.90 -
~同時刻 教員トイレにて~
高橋先生「……飲み過ぎたかも」
高橋先生「うぅっ……気持ち悪い……」
高橋先生「見回りでは変なことが起こるし! いい男はいないし! 生徒にはからかわれるし!」
高橋先生「一体、どうなってるのよ!!」
高橋先生「もぅ……」グスン
高橋先生「私だって先生である前に、一人の女性なんだから……」
高橋先生「寂しくなる時だってあるんだよぉ……」グスッ
高橋先生「教頭のハゲー!! 慣れなれしく触るなってのスケベジジイ!!」
高橋先生「ぅぅ……あの時……どうして勇気が出せなかったんだろう……」
高橋先生「今頃、どうしてるのかなぁ……」
高橋先生「…………」
高橋先生「……そういえば、倉庫の鍵ってどうして開いてたのかしら?」
-
148 : 2011/09/11(日) 03:09:51.75 -
~数日後 2年A組にて~
梅原「よぉ、大将。相変わらず仲睦まじいことで♪」
純一「な、なんだよ」
棚町「あんたたちだって、人のことは言えないでしょ?」
田中「えへへ♪///」
梅原「まぁまぁ。そういえば『七不思議』の最後の不思議があったろ?」
純一「あぁ、結局よくわからなかったやつだろ?」
梅原「そうそれ! ……あれ、どんな話かわかったぜ?」
棚町「マジ?」
梅原「マジもマジ、大マジよ♪」
田中「へぇ~結局、どんなお話なの?」
梅原「おぅ、どうもな『中央階段の姿見』に関係する話だったみたいでな」
純一「へえ、それで?」
梅原「運命の人が映るっていうのと、映らないと一生一人身ってのは知ってるよな?」
棚町「ちょっと、もったいぶらないで早く教えなさいよ」
-
149 : 2011/09/11(日) 03:11:36.06 -
~数日後 2年A組にて~
梅原「よぉ、大将。相変わらず仲睦まじいことで♪」
純一「な、なんだよ」
棚町「あんたたちだって、人のことは言えないでしょ?」
田中「えへへ♪///」
梅原「まぁまぁ。そういえば『七不思議』の最後の不思議があったろ?」
純一「あぁ、結局よくわからなかったやつだろ?」
梅原「そうそれ! ……あれ、どんな話かわかったぜ?」
棚町「マジ?」
梅原「マジもマジ、大マジよ♪」
田中「へぇ~結局、どんなお話なの?」
梅原「おぅ、どうもな『中央階段の姿見』に関係する話だったみたいでな」
純一「へえ、それで?」
梅原「運命の人が映るっていうのと、映らないと一生一人身ってのは知ってるよな?」
棚町「ちょっと、もったいぶらないで早く教えなさいよ」
-
150 : 2011/09/11(日) 03:12:02.36 - あ、ミスった
-
153 : 2011/09/11(日) 03:12:50.55 -
梅原「わかってるって、急かさないでくれよ。……でだ」
田中「……ご、ごくり」
梅原「あの姿見なんだけどな……22時に男女で映ると、一生幸せなカップルとして結ばれるらしい」
棚町「ホントに?」
田中「ロマンチックかも」
純一「その話、どっから仕入れたんだ? まさかデマとかじゃないだろうな?」
梅原「デマなんかじゃあるもんか、入手ソースも確かだしな♪」
棚町「今まで全くわからなかったのに、よく調べたわね」
田中「ほんとほんと、梅原君すごいね」
梅原「へへ~ん、もっと褒めてくれていいぜ?」
純一「調子に乗るな」
梅原「……まぁ、今までわからなかったのは理由があってだな」
棚町「うんうん」
-
154 : 2011/09/11(日) 03:15:22.51 -
梅原「『七不思議』っていうのは、その時その時で内容が入れ替わったりするもんなんだ」
田中「どういうことなの?」
梅原「まぁ、簡単に言うと流行り廃りってものがあってさ」
梅原「時代を反映したり、その時に起きた大きな事件があったりとか……」
梅原「……あとは、誰かが意図的に広めたりとか」ニヤリ
純一「梅原、もしかして……」
梅原「へっ、大将は鋭いな」
田中「どういうこと?」
棚町「あんたが作ったってことでしょ、さっきの話」
梅原「正解! さっすが棚町、似たもの夫婦♪」
棚町「うっさい!」
梅原「まぁ、そういう訳さ。入手ソースは俺たち、情報もデマなんかじゃない、だろ?」
純一「ま、まぁ……な///」
-
155 : 2011/09/11(日) 03:17:52.62 -
田中「よく、そんなこと思いついたね」
梅原「おぅ、まぁ……この話が広がったとしてさ」
梅原「いつか、俺たちがその話を聞いた時に、あの時のことを思い出せたらいいな、と思ってな」
田中「なんだか素敵ね」
梅原「この話がデマにならないように、大将たちには是非とも幸せになってもらないとな?」
棚町「わ、わかってるわよ、もう」
純一「僕たちだけじゃなくて、梅原たちもだろ?」
梅原「おぅ、そうだな」
田中「そうだね///」
絢辻「…………はぁ」
キーンコーンカーンコーン♪
高橋先生「はい、みんな席に着いて! ホームルーム始めるわよ」
おわり
最近のコメント