-
1 : 2013/02/24(日) 21:59:58.79 -
P「今日からは俺が如月の担当になる。よろしく頼む」
千早「新しいプロデューサー? 前の方は?」
P「ストレスでゲロ吐いて辞めた」
千早「……またですか。ではこれからよろしくお願いします、新しいプロデューサー」
ソース: http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1361710798/
-
3 : 2013/02/24(日) 22:01:24.32 -
P「初対面だし、自己紹介でもしてもらおうかな」
千早「構いませんが、履歴書やプロフィールに書いてあること以外は特に」
P「プロフィールっていうと……趣味は、歌と音楽鑑賞、だっけ?」
千早「はい」
P「特技も歌?」
千早「そうですね」
P「歌、好きなんだ」
千早「はい」
P「ふーん」
-
4 : 2013/02/24(日) 22:04:14.22 -
【ダンスレッスン】
P「今日は朝からレッスンの予定が入ってる。支度してくれ」
千早「ボーカルレッスンですか?」
P「いや、ダンス。初回だから俺も付いていく」
千早「……踊れることは、それほど重要でしょうか。私は歌を評価して欲しいのに」
P「重要だよ。如月はアイドルだからな」
千早「アイドルだから……ですか。そこで思考停止するのは少し浅はかだと思います」
P「そうか? できることのレパートリーが増えたら、色々とお声もかかりやすくなるだろう」
千早「それは……不本意ですが、そうでしょう」
P「その分、大舞台に出る機会も増えて、より多くの人に歌を聴いてもらえるじゃないか」
千早「……確かに」
-
5 : 2013/02/24(日) 22:07:35.87 -
P「そこそこは動けるみたいだな」
千早「一応、自主的に筋トレはしてますから」
P「筋トレか……」
千早「何か問題がありますか?」
P「下手な筋肉のつけ方をすると良くない。後で俺がトレーナーに相談しておく」
千早「相談?」
P「ダンスの専門家ならどこをどれだけ鍛えれば良いか、よく知ってるはずだろ?」
千早「……そう言われてみると、素人考えで無茶するより効率は良さそうですね」
P「そういうこと。何事もまずは効率重視だ」
-
7 : 2013/02/24(日) 22:12:29.89 -
千早「あなたは……今までのプロデューサーとは違います」
P「そうか?」
千早「下手な愛想笑いもしませんし、私の機嫌を伺ったりもしませんし」
P「ディレクターや、よその営業担当が相手ならともかく、如月に愛想笑いしてどうする?」
千早「でも前のプロデューサーも、その前の人も、私を腫れ物のように扱っていました」
P「へぇ。よく分からないけど、如月はそういう風に扱って欲しいのか?」
千早「……嫌に決まっています、そんなの」
P「じゃあ、今のままでいい?」
千早「はい。今のままがいいです」
-
10 : 2013/02/24(日) 22:15:50.73 -
【初オーディション】
P「今日は音楽番組のオーディションだ。合格すればデビューだぞ」
千早「アピールポイントは何が重視されるのですか?」
P「今回はボーカルだな。もしかしたら、如月なら余裕かも」
千早「……ですが、オーディションへの参加は初めてです。うまくできるかどうか」
P「え、初めて?」
千早「はい……」
-
13 : 2013/02/24(日) 22:21:13.67 -
P「デビュー前でも、オーディションの1つや2つ受けてると思ってたけど」
千早「今まではどのプロデューサーも、二週間程度で辞めてしまいましたから」
P「……オーディションまでこぎつけられなかったのか」
千早「はい。ですが、原因は私にあるんです。私、うまくコミュニケーションが取れませんから」
P「そうか? 俺はそんなに困ってないけど」
千早「それは……あなたが変なんです」
P「その変な俺と噛み合ってる如月も変ってことか」
千早「……くっ」
-
17 : 2013/02/24(日) 22:26:22.64 -
オーディション後——
審査員「合格は……2番と5番!」
千早「……受かった」
P「おめでとう。これで堂々のデビューだな」
千早「…………あの。ありがとうございます」
P「俺は何もしてない。如月の実力だ」
千早「実力、ですか……それなら尚更、あなたにお聞きしたいことがあります」
P「なんだ?」
千早「どうして、ろくにレッスンも受けていない私が、このオーディションに受かると?」
P「それは……もちろん、如月の地力を踏まえた上で決めた。でも決定的だったのは、アレだ」
千早「アレ?」
-
21 : 2013/02/24(日) 22:30:25.43 -
P「初めて会った日、『特技も歌?』って質問したの覚えてるか?」
千早「よく覚えています。なぜ改めて聞いたのか疑問でしたし」
P「あの時、如月が自信満々で『そうです』って答えたからだよ。その日のうちに応募した」
千早「ええ……!? そ、それだけで……?」
P「迷ってるだけ時間の無駄だからな。どうせデビュー前なんだし、何でもやってみるもんさ」
千早「なんだか……すごい人です。思い切りがいいというか」
P「でも、結果的に良かっただろ。如月の歌は評価に値する物だってことが分かったんだから」
千早「……はい。これからも、よろしくお願いします」
-
25 : 2013/02/24(日) 22:36:02.90 -
【ボーカルレッスン】
千早「おはようございます」
P「おはよう。今日も早いな」
千早「朝のジョギングのために早起きしていますから」
P「へえ、ジョギングか……じゃあ喉渇いてるだろ、お茶でも淹れてやろう」
千早「気を使って頂かなくて結構です。甘やかされる為にアイドルになった訳ではありませんし」
P「いや……如月は歌が命のアイドルだから、もっと喉を大事にして欲しいだけだ」
千早「……そうですか。それなら、お言葉に甘えて」
-
27 : 2013/02/24(日) 22:39:44.88 -
千早「ふぅ……ご馳走様でした」
P「ところで歌といえば、今日は午後からボーカルレッスンだったな」
千早「そうですが、何か?」
P「今回は俺も付いていく」
千早「え?」
P「少しな。如月の歌を聴いて、色々勉強しようかなと」
千早「……まあ、なんでも、いいですけれど」
-
30 : 2013/02/24(日) 22:43:33.32 -
P「あおいぃぃ~とりぃぃぃ~もぉししあぁわぁせぇぇぇ~」
千早「それでは演歌です。私のデビュー曲を馬鹿にするなんて、最低です」
P「俺は大真面目だ。そもそも、この曲が難しいのが悪いんだ」
千早「言ってることが無茶苦茶です……ところで、なぜ急に『蒼い鳥』を歌ってみたいなんて」
P「俺は如月のプロデューサーだからな」
千早「……どういうことでしょうか?」
P「どこが歌いづらいとか、どこで息継ぎするかとか、把握しとかないとアドバイスもできないだろう」
千早「それは……私としても助かりますけど、歌唱力が絶望的では意味が……」
P「それを言うな」
-
34 : 2013/02/24(日) 22:48:03.35 -
【番組の都合】
千早「納得できません」
P「だいたい予想できるけど、何がだ?」
千早「あのディレクター、この番組は私がメインじゃないからもう少し下手に歌えと」
P「……やっぱりか。でもデビュー曲の初披露、思いっきり歌いたいよな」
千早「はい……私、どうすればいいのか。せっかくオーディションに合格したのに……」
P「…………」
-
35 : 2013/02/24(日) 22:51:49.21 -
P「如月……すまない」
千早「えっ?」
P「俺にもっと力があれば、意見もできる。偉くなればゴリ押しもできる」
千早「…………」
P「でも今の俺では、無理なんだ。無名のプロデューサーでは……」
千早「…………」
P「こればかりは、本当に……すまない……」
千早「…………」
-
36 : 2013/02/24(日) 22:55:38.91 -
春香「——って、昨日そんなことがあったんだ。それで千早ちゃんはどうしたの?」
千早「自分がギリギリ許せる範囲で下手に歌ったら、OKが出たわ」
春香「え……千早ちゃんが自分から折れたの!?」
千早「しょうがないでしょう」
春香「……なんか、意外」
千早「プロデューサーが無理と言うのだから、無理なのでしょうし」
春香「へぇ……プロデューサーさんのこと、結構信用してるんだね」
千早「べ、別にそういうわけではないけれど……」
-
39 : 2013/02/24(日) 23:00:12.08 -
P「昨日は、如月に悪いことをしたな……」
律子「芸能界にいる以上、避けられない話ですよね」
P「でも将来大舞台に上がる如月のことを考えると、下手に反論して経歴にキズをつけたくなかったんだ」
律子「……その判断は間違いじゃないと思います。同じプロデューサーとして賛同しますよ」
P「ありがとう……ただ、如月がすんなりと承知してくれたのが意外なんだ」
律子「それだけ、千早に信用されてるってことじゃないんですか?」
P「別にそういうわけじゃないと思うけど……」
-
40 : 2013/02/24(日) 23:04:25.37 -
【初ライブ】
P「——さて。今日は初のソロライブだ」
千早「はい。あの、プロデューサー」
P「なんだ?」
千早「プロデューサーが発言権を得るためには、どうすればいいのでしょうか」
P「……俺のプロデュースのもと、如月が成長して、もっと活躍していくこと、かな」
千早「そうすれば、この前のようなことは……」
P「うん、徐々に減っていくとは思う」
千早「……分かりました。私が努力することは、あなたの為になり、私の為にもなる」
P「そうだけど、俺もいるんだから一人で頑張られてもなぁ」
千早「あ……二人で、ですね。すみません。拗ねないでください」
P「拗ねてないし」
-
42 : 2013/02/24(日) 23:07:47.84 -
ライブ後——
千早「ふう……」
P「おつかれ。ほら、タオル」
千早「だから甘やかさないでくださいと……」
P「早く汗拭かないと風邪ひくだろ。そしたら如月も、俺も困るんだ」
千早「……そうですね。たまには素直に受け取ります」
P「いいライブだったよ。でもこれだけ人が集まるなら、ハコはもっと大きい方が良かったな」
千早「はい。まだこんな規模では満足できません」
P「だよな……よし、次はもう少し上を狙おう。社長や律子にも相談してみるよ」
千早「是非、お願いします」
-
43 : 2013/02/24(日) 23:12:24.79 -
【ランキング】
P「如月、ちょっとこれ見てみろ」
千早「なんですか? えっと、月間のCD売上ランキング?」
P「この間リリースした『蒼い鳥』が約1万枚で、50位にランクインしてる。上出来だ」
千早「い、1万枚ですか……?」
P「初シングルでそれだけ売れたのも凄いけど、50位に入ったことが大きい」
千早「1万枚……」
P「50と51じゃ雲泥の差がある。ランキングサイトは50位までを表示させるところが多いしな」
千早「いちまん……」
P「パッと見て目に入るかどうかの違いは大きい。これからもっと宣伝すれば……如月?」
-
48 : 2013/02/24(日) 23:17:40.61 -
P「無理もないか。最初のうちは、自分のCDを買った人が1万人もいるとは信じがたいだろうから」
千早「は、はい……」
P「でも嘘じゃない。現に、この前の番組の視聴者やライブ参加者から、何十通もファンレターが届いてる」
千早「ファンレター……」
P「あと、これはまだ未確定だけど……次の番組のお誘いも来ている。しかも2つ」
千早「2つも……」
P「ただ『蒼い鳥』に傾倒しすぎると一発屋になるから、二曲目も考え始めてて——」
千早「私が……私、アイドルに……」
P「……今さら自覚したのか。もう立派なアイドルだよ、如月千早は」
-
49 : 2013/02/24(日) 23:22:48.41 -
【水着撮影】
千早「水着……ですか」
P「これも名前を売るために必要なんだ。将来を考えて、ここは我慢してくれないか?」
千早「プロデューサーがそう仰るのなら……でも、私の体に需要があるとは思えませんけど」
P「ところが、ファンは色々な如月の姿を見たいと思ってるんだよ」
千早「……理解に苦しみます」
P「そういうのに敏感な年頃のはずなのにな。もっと友達が増えれば分かるかな」
千早「失礼です。私にだって友達の1人や2人くらい……」
カメラマン「如月さーん、準備できたんでお願いしまーす」
千早「あ……はい。今行きます」
-
50 : 2013/02/24(日) 23:28:28.95 -
カメラマン「はいこっち見てェ」
千早「こうでしょうか」クルッ
カメラマン「いいねェいいねェ、小さいのは最ッ高だねェ!」パシャパシャ
千早「……くっ」
P「…………」
カメラマン「スレンダーな体がなんともたまらないねェ」パシャパシャ
-
51 : 2013/02/24(日) 23:32:53.12 -
P「すまない」
千早「……屈辱です。ただの写真撮影だけでも不愉快なのに、水着のうえ……」
P「悪かった。まさかカメラマンがあんな可哀想な人間だったとは」
千早「これで成果が出なかったら、本当にプロデューサーを恨みます」
P「ごめんなさい」
千早「はぁ……もういいです。気分転換に、次の曲の話でもしませんか?」
P「そ、そうだな。『目が逢う瞬間』って曲なんだけど——」
-
56 : 2013/02/24(日) 23:38:07.72 -
【ストレス】
千早「プロデューサー。曲のことでご相談が」
律子「しーっ」
千早「…………?」
P「Zzz……」
千早「デスクで寝てるの……?」
律子「寝かせてあげましょう。ここ数日は家にも帰ってないみたいだから」
千早「帰ってない……? 律子、どういうこと?」
-
62 : 2013/02/24(日) 23:44:58.84 -
P「Zzz……」
P「Zzz……」
P「——あっ? い、いま何時だ!?」
律子「まだ夕方ですよ、ご心配なく」
P「そ……そうか。気付いたら寝てたってことは、やっぱり疲れてるのか……」
律子「最近、上手くいかないことも多かったんでしょう? ストレス疲れですよ、きっと」
P「……番組もライブも撮影も、如月が満足する形でやらせてやれなかったんだ」
律子「千早の前にまず自分でしょう。体を壊したら本末転倒ですよ?」
P「いや、如月のデビュー&50位入りで、一気に仕事が増えたんだ。ここで挽回しないと」
律子「………………」
-
64 : 2013/02/24(日) 23:51:30.94 -
P「よし。気合入れ直して頑張るか!」
千早「……プロデューサー」ズイ
P「うおっ!? い、いたのか如月」
千早「はい。そこの壁の裏に」
P「じゃあもしかして、今の話……」
千早「全部聞いていました。私のせいで、プロデューサーが……」
P「…………」
千早「……どうして……」
-
68 : 2013/02/24(日) 23:56:30.95 -
P「……律子は、如月が聞いてるって知ってたのか?」
律子「むしろ、私がこっそり聞いておけって言いました」
P「なんで……」
律子「どうせ頑張るなら、二人で支え合って頑張ればいいじゃないですか」
P「……俺はプロデューサーだぞ。アイドルに……」
律子「弱味を見せてはいけない、ですか? だからって一人で頑張って倒れて、何か生み出せます?」
千早「それに『一人で頑張られてもな』と言ったのはあなたです。ご自分の発言には責任を持って下さい」
P「ぐぅ……頭いいヤツが揃うと手に負えん……」
千早「何か言いました?」
P「何でもないです」
-
69 : 2013/02/25(月) 00:01:41.98 -
律子「ということで、今日は帰って寝てください」
P「次の打合せ資料が1ミリもできてないんだけど」
律子「明日やればいいことは明日やる! 千早、強制連行」
千早「分かったわ」ガシッ
P「ちょ……如月、俺はお前のために」
千早「身を削ってまで何かをしてほしいなんて、私は一言も言っていません」
P「…………」
千早「あと、私はもうプロデューサーを失いたくありませんから。あなたが休むなら何でもします」
P「……それを今言うのは、卑怯だろ……」
-
74 : 2013/02/25(月) 00:06:25.00 -
【Pの家】
P「……あの」
千早「はい」ジー
P「そんなに見られてると寝られない……」
千早「プロデューサーが寝たら帰ります」
P「ええ~……そうだ、そろそろ帰った方がいい。親御さんも心配してるだろうし」
千早「私は一人暮らしです。ご存知でしょう?」
P「そうだった……」
千早「いいから早く寝てください。子守唄でも歌いましょうか?」
P「恥ずかしいからやめて……」
-
77 : 2013/02/25(月) 00:12:36.35 -
千早「……プロデューサー?」
P「Zzz……」
千早「本当に寝たみたいね。これなら当分起きてこないでしょう」
千早「……いつも、いつも本当にありがとうございます、プロデューサー」
千早「私の我儘に付き合っていただいて、こんなになるまで頑張って」
千早「今日くらいは、ごゆっくりお休みになってください」
カシャッ
千早「……寝顔を待ち受けしたら怒られるかしら……」
千早「って、何を考えてるの、私……///」
-
78 : 2013/02/25(月) 00:15:34.41 -
【呼び方】
P「今日、夜にレッスン入ってたな。何時までか覚えてるか?」
千早「最長でも21時くらいですね」
P「じゃあその頃に迎えに行く。いつも通り家まで送るから」
千早「すみません、プロデューサー」
P「それが仕事だからな。それにしても最近は、ずっと如月といるような気がする」
千早「そうですね。出社から帰宅まで一緒の日もありますし」
春香「…………」ジー
-
81 : 2013/02/25(月) 00:18:14.39 -
春香「なんか、二人とも丸くなりましたね」
千早「そうかしら?」
P「だとすれば、如月と……お互い不満を言える関係になったから、だろうな」
春香「……『如月』って、距離が縮まったのに、まだ苗字で呼んでるんですね」
P「え?」
千早「ちょ、ちょっと。春香?」
-
82 : 2013/02/25(月) 00:21:06.87 -
春香「だってプロデューサーさん、律子さんのことは『律子』って呼んでるよ?」
千早「そ、そうだけど……プロデューサー、私はどちらでも結構ですから」
P「…………」
千早「…………」
P「ち……千早」
千早「はい!?」
P「うわっ、これ恥ずいな……///」
千早「うぅ、ずるいです、こんなの……///」
春香「……あれ。軽い気持ちで言っただけなのに」
-
86 : 2013/02/25(月) 00:25:45.16 -
【興味のあるもの】
P「きさら……ち、千早は、アレだな」
千早「な、何でしょうか……? 慣れませんね、これは」
P「千早千早千早千早千早千早千早!!」
千早「!?」
P「いっぱい呼べば慣れるかと思って千早」
千早「語尾につけないでください……それで、私が何なのですか?」
P「ああ、ほら。なんか淡々と物事を考えるフシがあるよな。歌以外のことには興味ないのか?」
千早「……まったく興味がない訳では。最近は友人を増やす努力もしていますし」
P「へぇー、千早がね……」
-
88 : 2013/02/25(月) 00:29:56.51 -
P「そういえば、たまに春香以外とも話してるな」
千早「はい。そもそも『友達が増えればなぁ』と言ったのはあなたでしょう」
P「……確かに言った。この前も思ったけど、よく俺の発言なんか覚えてるな」
千早「何か問題が?」
P「いや。俺ってそこそこ信頼されてるのかなって」
千早「信頼してはいけませんか?」
P「いけなくないです」
千早「………………」
P「………………」
千早「……あ、い、今の、無しで……///」
P「言って恥ずかしくなるなら言うなよ……///」
-
89 : 2013/02/25(月) 00:33:34.97 -
【家】
千早「どれがいいのかしら……」
P「どうした、千早。何見てるんだ?」
千早「あ……家のカタログです。もしトップアイドルになったら、どういう家に住もうかなと」
P「将来設計か。今のうちから考えてるなんて偉いな」
千早「取らぬ狸の、ですけれど。私はこの家など好みですが」
P「どれどれ……いやこれ、全部の窓が北向きだし、部屋も少ないだろ。リビングも狭い」
千早「一人で住むのなら、必要最低限の機能さえあれば問題ありません」
P「え? 旦那と子供は?」
千早「えっ?」
-
91 : 2013/02/25(月) 00:37:08.31 -
P「……普通に忘れてたのか。好きな人とかいないのか?」
千早「好きな、人……」
千早「…………」ジー
P「……なんだ?」
千早「い、いえ!? いません、そんな人!」
P「そんな全力で否定しなくても……そうか、いないのか」
千早「……ちなみに、好きな人などとはまったく関係の無いお話ですけれど」
P「ん?」
千早「その、あなたはどんな家がいいと思われますか? いえ、あくまで男性の意見の一例として……」
P「俺なら……そうだなあ」
-
93 : 2013/02/25(月) 00:40:41.68 -
P「子供は男の子が1人として、自由に使える部屋は3つ。東か南向きの窓と、ベランダも欲しいな」
千早「私は女の子2人が理想です。部屋は私と旦那さんの分を入れると3つでは足りませんね」
P「男の子がいないと寂しくないか?」
千早「それは男性の考えです。客観的に見れば女の子の方が育てやすいんです」
P「女の子は夜道とか危ないぞ。俺の帰りが遅くなった時どうするんだ」
千早「私が迎えに行きます。その頃にはアイドルを引退して共働きにはなっていないはずです」
P「それはそれで千早が危ないんじゃないか」
千早「40過ぎの女性を狙う男なんていません」
P「25で産んだら子供が5歳のとき30だろ。十分危ないから」
千早「そもそも引退する時期を25と——」
律子「……家の話は?」
-
101 : 2013/02/25(月) 00:55:07.15 -
【二曲目】
P「このライブが、『目が逢う瞬間』の初披露になる。うまく行くといいけどな」
千早「……プロデューサー。絆創膏とか持っていませんか?」
P「絆創膏? ケガしたのか」
千早「ケガ……というか」
P「……珍しく歯切れが悪いな」
千早「先ほど楽屋で、メインのアーティストの方に『アイドル風情が調子に乗るな』と言われまして」
P「…………あん?」
-
104 : 2013/02/25(月) 00:57:46.38 -
千早「黙っていたら腕を抓られたので、振り払って逃げてきました。でも、少し腫れてしまって……」
P「……千早は不器用だな」
千早「すみません。黙り通す以外のやり方が思いつきませんでした」
P「言い返さなかったのか」
千早「以前の私なら……でも、もし降板させられたら、私もプロデューサーも困りますから」
P「そうか。よく耐えたな」ナデナデ
千早「あっ……」
P「……ご、ごめん。思わず撫でてしまった」
千早「い、いえ……嫌では、ありません……///」
-
107 : 2013/02/25(月) 01:02:53.07 -
【快挙】
P「ご、ごごご、5万!? しかもランキング10位!」
千早「…………(呆然)」
高木「大したものだよ、キミも如月くんも。今夜はお祝いだな!」
律子「今月のシングルのラインナップが不作だったとはいえ……」
小鳥「それでも、二曲目で10位は快挙ですよ!」
P「……なんか、現実味が無い……」
千早「わ、私もです……とりあえず、春香に報告してきます」
P「俺は……そうだ、寝よう。これは夢だ」
律子「寝てる場合か! 追加で宣伝かけないと、私も手伝いますから!」
-
109 : 2013/02/25(月) 01:06:34.30 -
——
————
——————P「ん~、あれから一週間経って、少しは落ち着いたかな」
律子「しばらくは色んなとこからの電話が鳴りっ放しでしたからね。嬉しい悲鳴です」
千早「……プロデューサー」
P「えっ、千早……まだ帰ってなかったのか?」
律子「……私、ちょっとコンビニ行ってきますね」ガチャッ
P「? 行ってらっしゃい」
-
110 : 2013/02/25(月) 01:09:53.75 -
千早「プロデューサー。良かったら……今日、うちにいらっしゃいませんか?」
P「……送り迎えで割と行ってると思うけど。改まってどうした?」
千早「そ、そういうことではなくて……」
P「…………」
千早「ランキング10位……ここまで連れてきてくれたお礼に、夕食をご馳走したいんです」
P「……二人だけで、お祝いってことか?」
千早「は……はい。駄目でしょうか……」
-
119 : 2013/02/25(月) 01:14:09.96 -
P「嬉しいお誘いだけどな……やっぱり駄目だ」
千早「…………」
P「年頃の女性の……しかもアイドルの家に、男性が上がりこむのはよくないだろ」
千早「……はい」
P「加えて、俺は千早のプロデューサーだ。もし世間にバレたら事務所まで……」
千早「……そう、ですね……その答えも」
千早「本当は、分かっていたのに……」
-
120 : 2013/02/25(月) 01:16:35.96 -
千早「でも……でも、私は……!」
P「つらいけど。千早がアイドルを続ける限り、俺も気持ちには応えられない」
千早「………………」
千早「…………えっ?」
-
122 : 2013/02/25(月) 01:20:16.22 -
千早「その……私のプロデューサーへの想いは、伝わって……」
P「さっきので、さすがにな……」
千早「でも私がアイドルだから、気持ちには応えられない」
P「……そうだよ」
千早「それなら逆に、もし十数年経って、私が普通の女性に戻ったら」
P「ちょ……言わなきゃダメか、その先……///」
千早「…………///」
-
124 : 2013/02/25(月) 01:22:57.39 -
P「……千早の傍で、気長に待つよ。千早のプロデューサーとして」
千早「はい……これからもよろしくお願いします。ずっと、ずっと……」
律子「あー、外は寒いなぁ。私も彼氏欲しいなぁ……」
終わり
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