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1 : 2014/06/28(土) 22:05:47.54 -
又兵衛「これは驚いた…お主が何故ここにおるのだ」
ロボとーちゃん「えーと…はは、いやまあその」
ロボとーちゃん「…私がひろしだってよく分かりましたね」
又兵衛「そのようなくたびれた髭の持ち主なんぞヒロシ一人しかおらぬわ」
ロボとーちゃん「あー…はは、そうですね」
又兵衛「…しかし、お主がここにおるという事は」
ロボとーちゃん「…まぁ、そういう事ですよ」
又兵衛「…うむ、そうか」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1403960747
ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1403960747/
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3 : 2014/06/28(土) 22:20:47.41 -
又兵衛「しかし久しぶりじゃのおヒロシよ」
又兵衛「お前たち家族との日々は、今になってもわしの宝物よ」
ロボとーちゃん「あー…大変でしたねぇ」
又兵衛「おかげでここに来てからは酒に困ってはおらぬ、なっはっはっは」
ロボとーちゃん「おっ!って事はもしかして…」
又兵衛「うむ、極楽は良いところじゃ」
又兵衛「毎日びいるが好きなだけ飲むことができるからのお」
ロボとーちゃん「おお~!さっすが天国だぜ!」
又兵衛「どうだ、再会を祝って一杯」
ロボとーちゃん「あ、是非!」
又兵衛「うむ」
又兵衛「では、数千年振りの再会を祝って」 カンッ
ロボとーちゃん「かんぱーい!」 カンッ
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4 : 2014/06/28(土) 22:28:13.43 -
又兵衛「っか~!美味い!」
ロボとーちゃん「んぐ、んぐ…くぅ~!このために昨日まで生きてきた!」
又兵衛「おっ、お主上手い事を言いよる!」
ロボとーちゃん「はっはっは!伊達に35歳も生きてきてませんよぉ!」
又兵衛「そうかそうかがっはっはっはっは!」
ロボとーちゃん「あっはははははは!」
又兵衛「…ところでお主、何故尻から酒を入れておるのだ」
ロボとーちゃん「あいやこれはその…色々あったんですよ。色々!」
又兵衛「そうかそうか!生きいれば色んな事があるからなあ!はっはっはっは!」
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5 : 2014/06/28(土) 22:38:00.16 -
ロボとーちゃん「いや~でも良かった!」
又兵衛「どうした薮から棒に」
ロボとーちゃん「ははは…俺、こっちの知り合いなんて指折りもいませんから」
ロボとーちゃん「又兵衛さんに会えて本当に良かった」
又兵衛「うむ、そうかそうか」
ロボとーちゃん「はははは」
又兵衛「ふぅ…」
又兵衛「…ところでヒロシよ」
ロボとーちゃん「あ、はい」
又兵衛「確か貴様と俺と出会った時、歳は35だと聞いておったが…」
ロボとーちゃん「……あっ」
又兵衛「…いや、すまん。余計な詮索であったな」
ロボとーちゃん「いえいえ」
ロボとーちゃん「…又兵衛さんの考えてらっしゃる通りです」
又兵衛「…そうか」
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6 : 2014/06/28(土) 22:51:23.40 -
ロボとーちゃん「でも、あっけないものですね」
ロボとーちゃん「これから一家の大黒柱として、妻一人と子供二人に犬一匹支えていこうと思っていたのに」
ロボとーちゃん「まさかこんなに早く…はは、逝っちまうなんてなぁ」
又兵衛「…みな、お主と同じ気持ちよ」
又兵衛「ここには恋人を、妻を、家族を置いて死んでしまった者たちで溢れておる」
又兵衛「それが故に未練を残し成仏出来ぬからこそ、こうやって上から世を見守っておるのだ」
ロボとーちゃん「へぇ~。そうだったのか…」
ロボとーちゃん「…じゃあ、又兵衛さんも」
又兵衛「……」
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8 : 2014/06/28(土) 23:00:01.13 - ごめん、ネタバレ注意書くべきだったわ
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9 : 2014/06/28(土) 23:02:11.64 -
ロボとーちゃん「ん?でも俺がここにいるのに…廉姫さんはもうとっくに」
又兵衛「俺と貴様は、生きていた時代が違う」
又兵衛「故に見える現世もまた別…そういう事で良かろう」
ロボとーちゃん「あ、なるほど…」
又兵衛「……」
ロボとーちゃん「……」
ロボとーちゃん「…後悔、ですかね」
又兵衛「何を申すか。武士として戦で死ぬことができたのだ、後悔なんぞあるわけなかろう」
ロボとーちゃん「あ、そうですか…はは」
ロボとーちゃん「…私でしたら、聞きますよ。又兵衛さんの未練」
又兵衛「…ふっ、言いよるわ」
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10 : 2014/06/28(土) 23:25:05.35 -
グビッ
又兵衛「ふぅ…」
又兵衛「…情けないものだ」
又兵衛「一国の姫君とその家来。…そうケジメをつけて仕えておったのに」
又兵衛「男としての情は、何時までも姫様を諦める事はなかった」
又兵衛「それが故に姫様にも辛い思いをさせてしまった…武士として仕える者としての恥よ」
ロボとーちゃん「…そう、ですかね」
又兵衛「なんだ、間違ってると申すか」
ロボとーちゃん「たとえ身分の違いがあっても、又兵衛さんと姫様は男と女じゃないですか」
又兵衛「む…」
ロボとーちゃん「その男としての気持ちがあったからこそ、姫様は又兵衛さんを好きになったんじゃないですかね」
又兵衛「…だが、それは姫様にとって大きな傷を残す事になった」
又兵衛「誰の元にも嫁がぬとは…康綱様はさぞかし悲しんでおるだろうに…」
ロボとーちゃん「あー…それはまあ、はは、そうでしょうね」
ロボとーちゃん「…でも、嬉しいことじゃないですか」
ロボとーちゃん「姫様の心には、いつまでも又兵衛さんがいるんだって事ですよ」
又兵衛「…それが枷となるならば、男として半人前であろう」
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11 : 2014/06/28(土) 23:31:38.43 -
ロボとーちゃん「はぁ~でもいいなぁ~」
ロボとーちゃん「愛する妻にそれだけ愛されるだなんて…いやいや、羨ましい!」
又兵衛「だ、誰が妻と申したか!?べ、べつに俺は姫様にとととと嫁いでなどおらぬわ!」
ロボとーちゃん「いやいや、もう結婚したも当然ですよ!はっはっは」
又兵衛「き、貴様からかいおって…!」
ロボとーちゃん「ははは」
又兵衛「全く…態度だけは大きくなったわ」
ロボとーちゃん「でも、羨ましいなあ本当に」
ロボとーちゃん「…愛する人に、ずっと愛してもらえるなんて」
又兵衛「…ぬっ?」
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12 : 2014/06/28(土) 23:42:35.45 -
又兵衛「何を言うかヒロシよ」
又兵衛「お主にはみさえがおったであろう」
又兵衛「あのような強い絆で結ばれた男女は他にはおらぬ」
ロボとーちゃん「…はは、そうですね」
ロボとーちゃん「えぇ、居ますよ……今でも、ずっと」
又兵衛「…なんだ、やけに含みのある言い方をするのだな」
ロボとーちゃん「……」
又兵衛「……」
又兵衛「話してみよ」
又兵衛「それがお主のその身体にも何か関係があるのだろう」
ロボとーちゃん「…まあ、そうですね」
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13 : 2014/06/28(土) 23:44:11.53 -
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
又兵衛「……」
ロボとーちゃん「…まぁ、こんな所ですかね」
又兵衛「ううむ、」
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14 : 2014/06/28(土) 23:50:35.27 -
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
又兵衛「……」
ロボとーちゃん「…まぁ、こんな所ですかね」
又兵衛「ううむ、お主も色々と苦労したのだな」
ロボとーちゃん「ははは。でもこの体、しんのすけには好評だったんですよ」
又兵衛「しんのすけか…懐かしい響きだ」
又兵衛「今頃お主がいなくて寂しい思いをしておるだろう」
又兵衛「まだ齢5歳だと言っておったな…悲しい事よ」
ロボとーちゃん「…いや、しんのすけはいつも通りだと思いますよ」
ロボとーちゃん「家族は、ちゃんと4人と1匹、揃っているからなあ」
又兵衛「…そうか」
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15 : 2014/06/29(日) 00:05:11.00 -
ロボとーちゃん「…一時期は、この体を便利だと思いましたよ」
ロボとーちゃん「人間のオレなんかより、数倍も仕事が出来て、家族サービスもこなせる」
ロボとーちゃん「生まれ変わったスーパーとうちゃん!なんてな。ははは」
又兵衛「……」
ロボとーちゃん「でも、この身体が家族を傷つけるハメになりましてね」
ロボとーちゃん「なんとか丸く収まったんですけど…まぁ、私はこの通りです」
ロボとーちゃん「しんのすけの強くて格好良い父親になれた事が、私にとっても誇りだと思いました」
ロボとーちゃん「…でも、俺は愛する夫にはなれなかった」
ロボとーちゃん「みさえに、夫婦としてのぬくもりを与えてやることは出来なかったんですよ」
又兵衛「……」
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16 : 2014/06/29(日) 00:13:22.86 -
ロボとーちゃん「…当たり前、ですよね」ロボとーちゃん「こんな、冷たくて硬い鉄の身体じゃあ、みさえを抱きしめてやる事が出来ない」
ロボとーちゃん「みさえの心の中を、半分も満たしてやる事が出来ない」
ロボとーちゃん「そんな男じゃあ、夫として失格なんですよ」
又兵衛「…ヒロシ」
又兵衛「涙を拭け。 …今のお前は見れられん」
ロボとーちゃん「あれ?おかしいなぁ…俺、スイッチ押さないと…泣けない、のに」
ロボとーちゃん「なんでだ…変だなぁ …はは、は」
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18 : 2014/06/29(日) 00:29:47.00 -
又兵衛「…ヒロシよ」
ロボとーちゃん「……」
又兵衛「お前の最期は、寂しいものであったか」
ロボとーちゃん「…いえ」
ロボとーちゃん「…家族全員が、俺の最期を、見届けてくれました」
ロボとーちゃん「しんのすけは、最後まで俺を父親として見ていました」
ロボとーちゃん「カッコよかった、強かったよ、って…みさえも、あなた…って」
ロボとーちゃん「そう、言ってくれてっ…」
又兵衛「…そうか」
又兵衛「…なら、お主は妻に、家族に見捨てられてなどおらぬ」
又兵衛「例えカラクリの身体だとしても、心は家族を愛する漢の鑑だ」
又兵衛「しんのすけも、みさえも、それが分かっておったからこそ…お主の死を見届けたのだのであろう」
又兵衛「お主は偽物などではない…野原家の当主。野原ひろしだ」
ロボとーちゃん「…はい。…っ…っはい!」
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19 : 2014/06/29(日) 00:35:16.80 -
ロボとーちゃん「……」
又兵衛「…未練は無くなったか」
ロボとーちゃん「…そう、ですね」
又兵衛「…そうか、良かったのう」
ロボとーちゃん「又兵衛さんのおかげです」
ロボとーちゃん「二度も助けて頂き、ありがとうございました」
又兵衛「それはこっちの申す事だ」
又兵衛「礼を言う。…楽しい時を過ごす事が出来た」
ロボとーちゃん「へへ…それほどでも」
ロボとーちゃん「じゃあ、お先に失礼しますね」
又兵衛「うむ、達者でな」
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20 : 2014/06/29(日) 00:37:37.21 -
又兵衛「……」
又兵衛「また、一人になってしもうたか…」
又兵衛「……」 グビッ
「おい、青空侍。」
又兵衛「…!」
又兵衛「姫…様」
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21 : 2014/06/29(日) 00:42:08.18 -
又兵衛「……」
又兵衛「…ふっ、雲を眺めてそのような名を囁くとは」
又兵衛「誠に、難儀な事ですな」
又兵衛「…姫様」
又兵衛「私の様な芋侍を、心からお慕い頂き」
「…誠に、光栄でございました。」
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22 : 2014/06/29(日) 00:50:40.92 -
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「しんのすけー!バスが来たわよー!」
「ほーい」
「しんのすけー!しんちゃ…ってコラァーっ!」
「何でまだパジャマのままで寝てるのよ!バスが来たってママ言ったでしょう!?」
「んー今日はおしりが二つにわれてるからようちえんお休みしようかと」
「お尻に三つ目の割れ目入れてやろうかアンタァーっ!!いいからさっさと着替えなさい!」
「いやあああああんけだものおおおおおおお!オラたち親子なのにいいいいいいいっ!!」
「ご近所に誤解されるでしょうがああああああああああああ!!!」
みさえ「すみませんすみません…後で送って行きますので…」 ペコペコ
よしなが先生「あはは…ではよろしくお願いしますー」
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23 : 2014/06/29(日) 01:05:23.75 -
みさえ「はぁ…!はぁ…!はぁ…!はぁ…!」 キコキコしんのすけ「おお~!かあちゃんいつになく漕ぐのが早いゾ~!ダイエット?」
みさえ「やかましいっ!アンタ罰として今日おやつ抜き!」
しんのすけ「えぇ~!?そんなガムたいなぁ~!」
みさえ「それを言うなら御無体なでしょうがっ!!」
しんのすけ「そうともゆう~」
ひまわり「とっと!とっと!」
しんのすけ「…お?どしたのひまわり?」
ひまわり「たいや!たたいのお!ていっ!」
しんのすけ「んもうお空の雲なんか見て嬉しがるなんて子どもだなあ~」
ひまわり「たたたいっ!ぎーっ!たいやっ!」
しんのすけ「うわあ!分かった分かったから!見ればいいんでしょ見ればー!」
ひまわり「たいやっ!」
しんのすけ「んもうひまったらせっかちさんなんだから~」
しんのすけ「…お?」
しんのすけ「…おおっ!」
しんのすけ「おじさんの旗だ!」
しんのすけ「ロボとーちゃんの顔もあるゾ!」
ひまわり「たいやっ!」
しんのすけ「さっすがひまわり!オラの妹だ~!ほ~らよしよし~」
みさえ「自転車漕いでるのに立つなこのおバカ!三日間おやつ抜き!」
しんのすけ「ひいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!!」
~おわり~
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