ちひろ「さーて、今週のアイドルはだれでしょう?」


1 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 22:54:05.46 ID:q4jJ0wn10
アイドルマスターシンデレラガールズ
SSに慣れるまでマイペースで。慣れたとしてもマイペースで。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1375451645


ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1375451645/


2 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 22:54:45.51 ID:q4jJ0wn10
事務所

ちひろ「……」カタカタ

ガチャ

モバP「ただいま戻りました」

ちひろ「あ、プロデューサーさんおかえりなさい」

モバP「ふう……やっぱ中は涼しいや」

ちひろ「営業周りお疲れ様です。今冷たいものを用意しますね」

モバP「わざわざすみません。そういや、杏、今日も来てます?」

ちひろ「ええ。あっちのソファーでグッタリしてますよ」

モバP「仕事ない日も事務所来るとはねえ……熱心なのかやる気ないのか、アイツもよくわからんな」

ちひろ「……いい気なもんですね。まあ、そう思っておいて下さい」

ちひろ「それよりも、今日の杏ちゃん、なんだかいつもより元気がないみたいで……」

モバP「なんだろう……夏バテですかね」


3 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 22:55:23.55 ID:q4jJ0wn10
杏「……」

モバP「おーい杏、大好きな飴買ってきたぞ。ほれあーん」

杏「あー……やっぱりいい。いらない」

モバP「な、に……」

モバP(杏が飴を拒否するだと……そんなバカな。いや、そんなことよりもだ)

モバP(折角見つけたこの激辛キャンディ、なんとしても杏に食わせねば!)

モバP「とてもおいしい飴だぞ! この、赤くて、艶々しくて、まあるくて……」

杏「いいから。放っておいて」

モバP「ちょっとだけ! せめて一口だけでも! さきっちょだけでいいから!」

杏「しつこいなあ。だか……」ズキン

モバP「……どうした? 本当に大丈夫か?」

杏「いた、いたたたた!」

モバP「……杏?」


4 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 22:57:23.20 ID:q4jJ0wn10
杏「……歯が痛い」

モバP「虫歯ね……あれは痛いよ」

杏「そんなのわかってるって。杏のこと見れば分かるでしょ……」ズキンズキン

モバP「いや、お前は分かってないな。そんなの序の口だ。等比級数的に痛みは加速するぞ」

ちひろ「またそうやって杏ちゃんのことからかって……。はい、お飲み物どうぞ。こっちは杏ちゃんの、だけど……」

モバP「ありがとうございます。杏には……冷たいものはちょっと厳しいか」

モバP「よし、杏には本当の歯痛というものを見せてやろう」

杏「そんなの別に見たくないよ」

モバP「まあまあ……ここに、今ちひろさんが持ってきてくれたアイスコーヒーがある」グビリ」

モバP「はああ……アイスコーヒー、冷えててうまいなあ。このシロップたっぷりの……うっ!」

モバP「痛い何だこれ! 虫歯が、歯の奥から痛みが……ズキズキする……」

杏「……」

モバP「あああ痛い……いたいいたいいたいいいたいいいいいあああああ!!!」

モバP「へ、ヘア……アアァ……おおおおおおォォォォオオうおおおおおおお!!!」

モバP「いでえよおおおおおおおおおおおおお!!! あああああああああああ」ゴロゴロゴロ

杏「ヒィッ!」


5 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 22:58:01.09 ID:q4jJ0wn10
ちひろ「ちょっとプロデューサーさんやめてください。杏ちゃん怖がってるじゃないですか!」

モバP「……ふむ」ピタッ

モバP「どうだ杏。これで少しは虫歯の恐ろしさが分かっただろう」

杏「プロデューサーの頭がおかしいことはよく分かったよ」

モバP「あっそ! しかし困ったな。この様子だと仕事にも差し支えが出てきそうだし……」

ちひろ「近くに知り合いのいる歯科医院があるので、ちょっと聞いてみますね」


6 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 22:58:52.43 ID:q4jJ0wn10
モバP「お前、最近ちゃんと歯を磨いてなかったな? どうせだるい、疲れたとか言ってそのまま寝ちまったんだろ?」

杏「そんな不潔なことしてないよ。これでも杏はアイドルなんだかんね!」

モバP「ほう」

杏「寝る前にウトウトしてると、口がもの寂しくなっちゃって。そしたら飴舐めたくなるでしょ?」

モバP「なるほど」

杏「で、とても幸せな気分じゃん? そうなってくるともう布団から出るのが面倒で、面倒で」

モバP「そりゃ仕方ないよな……って結局同じことじゃねーか! ものぐさにも程があるぞ……」

杏「だったらもうプロデューサーさ、今度から寝る前に杏の歯を磨きにきてよ。なんなら泊まってってもいいよ」

モバP「このたわけが! 軽々しく男を泊めるとか言うんじゃない! だいたいアイドルというのはだな……」クドクド

杏「あーもう、また説教が始まった。歯の痛みがぶり返してきちゃったよ……」


7 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 23:00:07.02 ID:q4jJ0wn10
ちひろ「プロデューサーさん、来院してくれれば当日でも大丈夫だそうですよ」

杏「え、ちょっと急すぎない!?」

モバP「お、よかったな。俺もちょうど時間空いたし、杏のこと連れてくよ」

杏「ね、ねえ……やっぱり虫歯の治療って痛いんでしょ?」

モバP「ああ、凄まじく痛いな。おやおや、やっぱり怖くなってきたのかね杏ちゃん? んん?」

杏「いや、そうじゃなくて……このままでもまだ平気だから、そんな無理に今日行かなくても……」

モバP「じゃあ問題ないな! さあ立った、立った!」グイッ

杏「あっ……ちょ」

ガチャ

凛「あ、プロデューサー」

あい「ちょっと覗きにきたんだが、どうも間が悪かったかな」

きらり「Pちゃん杏ちゃん、どこいくんだにぃ?」

杏「……歯医者」

モバP「皆ついてこいよ! むっちゃ面白いもんが見られるぜ!」

ちひろ「いい加減やめんか」ドスッ

モバP「ウッ……」バタン


8 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 23:00:47.77 ID:q4jJ0wn10
歯科医院前

モバP「なんかワクワクしてきたな!」

杏「なんでそんなに活き活きしてるの……」

モバP「いやあ、俺も昔は歯医者が大嫌いでねェ……」

モバP「泣く泣く親に連れられてきたもんさ」

杏「じ、じゃあ今日はやめ」

モバP「だが他人のこととなれば別だ。さあ入ろうぜケケケ!」

杏「ま、まってプロデューサーまだ心の準備が」

モバP「はいはいお邪魔しまーす」カチャッ


9 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 23:01:40.60 ID:q4jJ0wn10
院内

モバP「スハースハー……このケミカルなにおいたまらんな」

ヒィィィィ
ウワアアアアアア

杏(な、なにこの声……)

杏(奥で何がおきてるんだろう……)ソォ

子供1『うわあああああああ!! 痛いよおおおおおおおお!!!』ガリガリガリ

子供2『ママああああああああああ!! やだあああああああああああ!!』ガガガガガ

杏「……」

杏「ねえプロデューサー、ここまずいって。また今度にし」

モバP「ここに保険証入れて」ストン

杏(終わった……)


10 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 23:03:10.30 ID:q4jJ0wn10
待合室

杏「…………」

モバP「ところで、最近はどうだ?」

杏「え?」

モバP「いやさ、ここんとこ二人きりで話す機会がなかったろ」

モバP「折角だし、アイドルとプロデューサー、一つ腹を割って話し合おうぜ」

杏「この空気、このタイミングで本当に話し合おうとか思ってるの?」

モバP「そんなこというなよ。いつも杏に辛くあたっちまってるけど、俺もそれなりに心配してるんだぜ、お前のこと」

母親「頑張ったわね、今日はこれでおしまいよ」

子供1「ま、またくるの!? いたいのいやだあああ!!! もうぎだくないよおお!!!」

杏「……」

モバP「アイドルとプロデューサーの信頼関係、っていうのかな、そういうの大事だよな」

老人「お嬢ちゃん、虫歯の治療かい? ワシもずっと放置してたら、ほれ」クワッ

老人「歯茎が疼いて疼いて、全部ポロポロ抜けて結局なくなってしもうた。痛かったのう……」

杏「…………」

モバP「俺は信じてるぞ。お前がこの仕事と真剣に向き合えば、まだまだ伸びるって。自信を持て!」

隣の人「ハッ……ハッ……アアア……ハアハア……くう……ッ! ア゛ア゛ア゛」

付き添い「もう少しだ……親知らずは抜いちまえば楽になる。それまで頑張って耐えろ」

杏「………………」

杏「プロデューサー、ちょっと用事を思い出した」スッ

モバP「ん? どこへいく。俺の溢れ出る想いはまだまだ伝え切れていないぞ」

受付「ふたばあんずさん」

モバP「よしきたか! さあいこう!」グイグイ

杏「ううう……杏を家に帰らせろおおお!!!」ズズズ


11 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 23:04:22.31 ID:q4jJ0wn10
治療室

モバP「それでどうですか? やはり麻酔をグサッと刺して抜歯するとか……やりますかね!?」

杏「ヒィィィ!!」

歯科医「いや、少々進行していますがそこまでは。患部を削って除去するという形になりますねえ」

モバP「なに削る!? こう、歯をゴリゴリやって神経をズルズル引き抜くような!?」

杏「あわわわわわ……」ガタガタ

歯科医「神経は抜きませんよ……」

モバP「なんだ、つまらんな」

歯科医(何言ってんだこの人)

モバP「それじゃ待合室にいるから、頑張るんだぞ杏」

杏「ま、まって!」ガシッ

モバP「うん?」

杏「い、いや……おいていかないでプロデューサー……」


12 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 23:05:33.63 ID:q4jJ0wn10

モバP「十七歳にもなって、杏は子供だなあ、ははっ!」

杏「子供でも何でもいいからぜったいに離さないでよ! 手離したら怒るからね!」

モバP「ううむ……あの受付の人、アイドルでも通用しそうだな……後で誘ってみるか」

杏「……」ムカッ

モバP「やはりあのむnアダダダ! 何するんだよ! 俺の手を潰す気か!」

杏「ふん、そんなの知らないよ! まったくもう……」


13 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 23:06:09.70 ID:q4jJ0wn10
歯科医「それじゃ治療を始めますね」チュイーーーン

モバP「……」ジィィ

歯科医「……あの、危ないのであまり口に顔を近づけないで下さい」

モバP「ああ……尖ったドリルみたいのが杏の歯に向かってきたぞ」

杏「はひ……はひ……」

モバP「これがガリガリ歯を削るわけか。相当痛いな」

モバP「ああー、歯に触る触る。ゴリゴリが始まるぞお」

杏「ひ、ひ、ひゃだあああああああああ!!!」ジタバタ

歯科医「うわっ! 暴れないで下さい! さっきから何やってんですかアンタ!」

杏「やだやだやだやだ!!! 杏かえる! おうちにかえるんだああああ!!!」ガバッ

モバP「おい杏離れろ! 抱きつくな! この格好はまずい!」

ヤダーヤダー
グゲエエエエエ
ギャーギャー


14 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 23:07:30.81 ID:q4jJ0wn10



帰り道

カァーカァー

モバP「嗚呼、日が暮れる……」トボトボ

モバP(あの後、暴れる杏をなだめて無事治療を済ませたはいいが、夕方になってしまった)

モバP(歯科医、無茶苦茶怒ってたよなあ……主に、俺に対して。何かしたっけかな)

杏「うう……尖ったドリルが迫ってくる……」スピィ

モバP(それにしても背中が暑いし痒い。杏といえど背負い続けるのはきついぞ……)

杏「プロデューサー……飴を、飴をおくれ」ムニャムニャ

モバP「……汗とよだれでスーツがドロドロだぜ……へ、へへ」


15 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 23:09:12.90 ID:q4jJ0wn10



あくる日の事務所

きらり「うきゃー! きらりケーキ大好き!」

モバP「ああ俺も大好きだぞ! 好きなだけ食べようぜ!」

凛「プロデューサー、本当にいいの? それに、このケーキ結構高かったんじゃ……」

モバP「この前は折角来てくれたのに、すぐ出かけちまったからな。お詫びだと思ってくれ」

きらり「Pちゃんありがとにぃ! そんなPちゃんにきゅんきゅんよー☆」

あい「君はこうやってまたアイドル達を毒牙に……や、失礼だったね。すまない。ありがたく頂くよ」

杏「杏もこの前頑張ったんだからたくさん食べる権利があるよね。さてどれにしようかな、へっへへ」

モバP「おっと待て。杏は少しの間甘いもの禁止だ」

杏「え、なにそれ酷くない!? 理不尽だよ! いじめだよ! 差別! パワハラ!」

モバP「お前まだ治療が完全に済んでないだろ。完治しないと甘いものは食べられないんだぞー」ササッ

杏「ぐぎぎぎ……」

ちひろ「また杏ちゃんをからかってる……嘘を教えないでください」

杏「え、嘘?」

モバP「嘘じゃないぞ。いやはや残念ですなAnzuchangあっはっはムシャm」ゴリッ

ちひろ「ん?」

モバP「……」

杏「どうしたの?」

モバP「……」

モバP「……歯の詰め物が、とれた」


16 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 23:10:35.27 ID:q4jJ0wn10
ちひろ「プロデューサーさん、予約取れましたよ」

モバP「え!? なにそのはやさおかしいよ! まってまって詰め物が取れただけだから、まだ」

ちひろ「今からでも問題ないみたいです」

モバP「ほ、ほらこれから外回りが」

ちひろ「さっき帰ってきたばかりじゃないですか」

モバP「そ、そうだ! 凛たちを送っていかないと」

ちひろ「あいさんが送って下さるみたいだから大丈夫ですよ」

モバP「よく考えたらそこの歯科医からもう来るなって言われてたわ!」

ちひろ「早くおいでなさい、ですって。それはもう、嬉々とした声で」

モバP「ころされるッ! た、たすけてあんず……ッ!」

杏「あー、飴くれないと身体が動かないや。でも甘いものは暫く禁止だったよね。ざんねんざんねん」


17 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 23:11:14.41 ID:q4jJ0wn10
きらり「それじゃPちゃん、歯医者さんいこうにぃ!」ガシッ

モバP「な、なにをするきらり! やめるんだ!」

杏「きらりが一緒に行ってくれるってさ。がんばってね」ヒラヒラ

モバP「あ、あんずうううううううううう!!!」

モバP「はっ! り、凛! あいさん!」

凛「頑張ってね。辛いだろうけど、これもプロデューサーの為だから」

モバP「あいさ「グッドラック」ん……」

きらり「Pちゃん、きらり気付いちゃった……もしかしてこれ、でぇと!?」ズルッズルッ

モバP「んなわけあ……や、やめろやめろやめろヤメロオオオオオォオォォ!!!」

イヤダアアアアアアア 
ハイシャイヤヤアアアアアア
ニョワーーーー

おわり

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