【艦これ】清霜は戦艦になった


1 : ◆FfvRSd7Ma6 2015/05/17(日) 11:10:55.65 ID:V0IpXIXGo

私は清霜。

とうとう私は戦艦になった。

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【注意】
※グロシーン有り
※話が意味不明

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SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1431828645


ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1431828645/


2 : ◆FfvRSd7Ma6 2015/05/17(日) 11:12:09.01 ID:V0IpXIXGo

ある日、私は戦場で大腿部に被弾した。

大腿部に装備した魚雷が誘爆し、

両足を吹き飛ばした。

腰から下がグチャグチャだった。

誰が見ても、もう助からない状態だった。

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3 : ◆FfvRSd7Ma6 2015/05/17(日) 11:13:10.64 ID:V0IpXIXGo

そんな死にぞこないの私をかかえて、

武蔵さんは全速力で撤退していた。

清霜 「私を捨てて……」

清霜 「先に行って…… 下さい……」

清霜 「もう、助からない……」

武蔵 「喋るな」

武蔵 「任せろ」 ニコッ

武蔵さんは短く言った。

清霜 (大好きな武蔵さんに抱かれて死ぬなら……)

清霜 (悪くないかも……)

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4 : ◆FfvRSd7Ma6 2015/05/17(日) 11:14:14.66 ID:V0IpXIXGo

ドンッ

物凄い衝撃のあと、

武蔵さんは動きを止めた。

ゆっくりと速度が落ちて、

やがて止まった。

そして、

まるで赤子を抱くように私をかかえたまま、

ゆっくりと膝を付いた。

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5 : ◆FfvRSd7Ma6 2015/05/17(日) 11:15:28.70 ID:V0IpXIXGo

清霜 「武蔵さん!!!」

あの武蔵さんが膝を付くなんて、

私は想像できなかった。

清霜 「あ…… あ……」

武蔵さんが少し笑ったように見えた。

そして、

武蔵さんの鼻と口から、

滝のように血が流れ出した。

武蔵さんの後頭部に、

敵戦艦の主砲が直撃した。

砲弾は頭部装甲を貫通し、

ミキサーの様に

頭部の機関を破壊した。

清霜 「あ…… あ……」 ポロポロ

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6 : ◆FfvRSd7Ma6 2015/05/17(日) 11:16:41.58 ID:V0IpXIXGo

武蔵さんが、つぶやいた。

武蔵 「今度は……」

武蔵 「一緒に帰ろう……」

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7 : ◆FfvRSd7Ma6 2015/05/17(日) 11:17:49.59 ID:V0IpXIXGo

気付くと私は光あふれる部屋にいた。

清霜 (私…… 轟沈したのかな……)

清霜 (でも…… ここ……)

清霜 (見覚えがある……)

武蔵さんが向かいにいた。

少し戸惑っているようだった。

武蔵さんは私に気付くと

近づいてきた。

そして、私を抱きしめた。

清霜 (あ、思い出した……)

清霜 (近代化改修だ……)

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8 : ◆FfvRSd7Ma6 2015/05/17(日) 11:18:57.23 ID:V0IpXIXGo

気付くと私は海に戻っていた。

違和感があった。

水面を見ると、

武蔵さんの顔があった。

私は武蔵さんになっていた。

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9 : ◆FfvRSd7Ma6 2015/05/17(日) 11:19:38.23 ID:V0IpXIXGo

その後、私は援軍と合流し、

鎮守府に帰った。

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10 : ◆FfvRSd7Ma6 2015/05/17(日) 11:21:09.81 ID:V0IpXIXGo

瀕死の艦娘二人が一体になる現象は、

全く前例が無いそうで、

私は精密検査を受けた。

しかし、詳しい理由は分からなかった。

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工廠技官 「近代化改修と似た現象が起きて」

工廠技官 「武蔵さんの船体と」

工廠技官 「清霜さんの頭部機関が統合された……」

工廠技官 「と、推測しますが」

工廠技官 「それ以上は分かりません」

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人類にとって艦娘はブラックボックスに近く

分かっていることは、ほとんど無いそうだ。

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11 : ◆FfvRSd7Ma6 2015/05/17(日) 11:21:56.35 ID:V0IpXIXGo

私は戦艦になった。

でも、全然、嬉しくなかった。

武蔵さんと引き換えだったからだ。

私は会わなくてはいけない人がいた。

大和さんだ。

私は意を決して、

大和さんに会いに行った。

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12 : ◆FfvRSd7Ma6 2015/05/17(日) 11:24:31.76 ID:V0IpXIXGo

清霜 「大和さん」

清霜 「大和さんの大切な妹さんの……」

清霜 「武蔵さんの代わりに……」

清霜 「私が……」

清霜 「武蔵さんのお体を借りて……」

清霜 「生きて…… 帰ってきて……」

清霜 「すみません…… ずびばぜんでした……」 ポロポロ

清霜 「ずびばぜん…… ずびばぜん……」 ポロポロ

大和さんは私を抱きしめた。

大和 「あなたが」

大和 「生きて帰れて良かった……」

大和 「悲しくないと言ったら嘘になるわ」

大和 「でも」

大和 「武蔵も私も」

大和 「戦場で轟沈する覚悟は」

大和 「していたから……」

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13 : ◆FfvRSd7Ma6 2015/05/17(日) 11:26:20.52 ID:V0IpXIXGo

清霜 「私は」

清霜 「戦艦に憧れていました」

清霜 「凄い馬力」

清霜 「大きい船体」

清霜 「大口径の大砲」

清霜 「でも」

清霜 「本当は違いました……」

清霜 「戦艦の体になったら気付きました……」

清霜 「武蔵さんは」

清霜 「捨てて当然の」

清霜 「死にぞこないの駆逐艦を」

清霜 「自分の危険を顧みず」

清霜 「助けようとしてくれました……」

清霜 「本当に憧れていたのは……」

清霜 「武蔵さんの」

清霜 「大きい心だったんです……」 ポロポロ

清霜 「ウワーーーーーン」

私は号泣した。

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14 : ◆FfvRSd7Ma6 2015/05/17(日) 11:27:28.19 ID:V0IpXIXGo

大和 「あの子は……」

大和 「武蔵は、少し変わっていたというか……」

大和 「大雑把というか……」

大和 「ウフフ」

大和 「細かいことには、こだわらない子だった」

大和 「多分、自分の心が轟沈したことは」

大和 「気にしてないわ」

大和 「清霜ちゃんが助かったら」

大和 「それで良いって」

大和 「思ってる」

清霜 「うう……」

清霜 「武蔵さん……」

清霜 「やっぱり心が大きいです……」

清霜 「……」

清霜 「大き過ぎますーーーーー!!!」 ビエーーーーーン

大和 (慰めるつもりだったけど……)

大和 (逆効果だったかしら……)

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15 : ◆FfvRSd7Ma6 2015/05/17(日) 11:29:01.34 ID:V0IpXIXGo

大和 「そういえば……」

大和 「武蔵は、時々……」

大和 「清霜ちゃんのことを話していた」

大和 「前世でお世話になったって」

大和 「今度は私が守るって」

大和 「そして」

大和 「一緒に帰るって」

大和 「武蔵は」

大和 「清霜ちゃんの心を助けられて」

大和 「体だけでも一緒に帰れて」

大和 「とても喜んでいると思うわ」

清霜 「うう……」

清霜 「武蔵さん……」

清霜 「……」

清霜 「武蔵さんは」

清霜 「あの時」

清霜 「『今度は一緒に帰ろう』って」

清霜 「言ってくれました……」

清霜 「こんな私に……」

清霜 「……」

清霜 「やっぱり武蔵さんが生きて帰るべきでしたーーーーー!!!」 ビエーーーーーン

清霜 「私なんか、私なんかがーーーーー!!!」 ビエーーーーーン

大和 (慰めるつもりだったけど……)

大和 (どんどん泥沼にハマッているかしら……)

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16 : ◆FfvRSd7Ma6 2015/05/17(日) 11:30:59.14 ID:V0IpXIXGo

大和 「ウフフ」

大和 「武蔵は、時々……」

大和 「私と二人きりの時に」

大和 「私に甘えていたわ」

大和 「私が膝枕して……」

大和 「ナデナデして……」

大和 「清霜ちゃん!」

大和 「来て!」

大和 「膝枕!」

大和 「慰めてあげる」

大和さんは私に膝枕をしてくれた。

清霜 「あ……」

清霜 「とても懐かしい気分です」

清霜 「前にも膝枕をしてもらった感じがします……」

大和 「武蔵の心が」

大和 「まだ、その体に」

大和 「残っているのかもね」

清霜 「武蔵さんの……」

清霜 「心が……」

清霜 「まだこの体に……」

清霜 「……」

清霜 「武蔵さーーーーーん!!!」 ビエーーーーーン

大和 (慰めるつもりだったけど……)

大和 (いくら注水しても傾斜復元できない感じかしら……)

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17 : ◆FfvRSd7Ma6 2015/05/17(日) 11:32:24.99 ID:V0IpXIXGo

ヤレヤレという顔で、大和さんは言った。

大和 「清霜ちゃん……」

大和 「今晩」

大和 「ずーーーっと、お姉さん、付き合ってあげる」

大和 「思いっきり泣いていいのよ」

清霜 「武蔵さーーーーーん!!!」 ビエーーーーーン

私は一晩中泣いた。

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19 : ◆FfvRSd7Ma6 2015/05/17(日) 11:34:05.53 ID:V0IpXIXGo

私は戦艦になった。

でも体だけだ。

武蔵さんのような大きい心には、

まだなっていない。

清霜 (私の体の中の)

清霜 (武蔵さん、お元気ですか?)

清霜 (武蔵さんみたいな、大きい心になれるよう)

清霜 (私、頑張ります!)

いつの日にか、心も戦艦になるよう

私は頑張る。

– 完 –

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