結衣「ね、爆発オチってなに?」


1 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/25(金) 12:57:38.32 ID:iKaYEJ8uO

八幡「あ?」

結衣「だから、爆発オチ。ってなに?」

八幡「いや聞こえたけど… なんだよ突然」

結衣「なんか今日さ、姫菜が話してるの聞こえたんだよね。なんとかが爆発オチでどーのこーのーって」

八幡「あー、それでどんな意味か気になったっつーこと?」

結衣「うん。言葉はなんとなく知ってたけど、実際なんなのかよくわかんなくて。ヒッキーならそーゆー系詳しいかなって」

八幡「詳しいとかあんのかそれ…」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1443153458


ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1443153458/


2 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/25(金) 12:58:39.57 ID:iKaYEJ8uO

八幡「まあ、あれだ。爆発でオチがつくやつだよ」

結衣「へーなるほどー… ってそのまんまじゃん! まったくイメージつかないし」

八幡「その通りなんだから仕方ねぇだろ。用件は済んだか? なら俺は読書に戻る」

結衣「済んでない! ぜんっぜん済んでないから! もっとわかりやすく教えらんないわけ?」

八幡「そんな上から目線で言われて教える気になると思ってんのか? 人にものを頼む態度じゃないからそれ」

結衣「う、うっざ! ヒッキー超うざい! もーいいし自分で調べるから!」スマホーン

八幡「なら最初からそうしとけっつの」


4 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/25(金) 12:59:51.73 ID:iKaYEJ8uO

結衣「ふーんだ。Yukipedia使っちゃうし! ヒッキーなんかよりずーーーっと役に立つんだから!」

八幡「へいへい」ペラ

結衣「むーっ……」

結衣「あっそ、あーっそ! いいの? あたしヒッキーに頼んないでかしこくなっちゃうよ?」

八幡「そうか。いいことじゃねぇか」

結衣(むかっ… なにヒッキー、あたしのことなんて興味ないってこと? まじありえないし!)

結衣「……」

結衣「ばーか。ヒッキーのばーかばーか」

八幡(なんだこいつめんどくせぇ…)

結衣「ふんっ。見てなさいよ、今にヒッキーなんかよりぜんぜん詳しくなっちゃうん」

『シャットダウン中です』(0%)

結衣「……………」

八幡「……」ペラ

結衣「……」

八幡「……で、俺よりなんだって?」

結衣「あ、あははー……」

結衣「こんのクソスマホォォおおおお!!」ブンッ!!

ドーーーーン!!!

結衣「ね、爆発オチってなに?」

fin.


5 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/25(金) 13:01:04.91 ID:iKaYEJ8uO

以上です。
前作がクソ長かったのでクソ短いの書きたくて勢いで書いた。

でもスレ建てたからにはもう少しあとでなんか書くかも


10 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/28(月) 21:12:37.61 ID:/Dh05XEx0

結衣「ね、勘違いオチってなに?」

八幡「……」ドクショ

結衣「……」

結衣(あ、あれ? 聞こえなかった?)

結衣「ねーヒッキー、夢オチってなに?」

八幡「……」ペラ

結衣「ヒッキー? えっ… 聞こえてるよね?」

八幡「……」ドクショ

結衣「ねーえー、ヒッキー! ヒッキーってばー!」

八幡「……」ドクショ

結衣(なっ、まさかのガン無視!?)


11 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/28(月) 21:15:27.99 ID:/Dh05XEx0

結衣「ちょ、ヒッキー? 聞こえてるんでしょ? なんで無視すんの?」

八幡「……」ドクショ

結衣「……」

結衣「あのさ、無視とかサイテーなんですけど。なに? ヒッキーあたしと話すのそんなにイヤなん?」

八幡「……」ペラ

結衣「…こっち見ろし」

八幡「……」ドクショ

結衣(むっか! 完全無視じゃん! なんかあたし一人喋ってるみたいでバカみたいだし)

結衣「ふーん。そーゆーことする? 知らなかったなー、ヒッキーってそーゆー人だったんだ」

八幡「……」ドクショ

結衣「……」

八幡「……」ドクショ

結衣(……負けないもん)


12 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/28(月) 21:16:55.58 ID:/Dh05XEx0

八幡「……」ペラ

結衣「ヒッキーってばぁーーーー。もしもーーーし?」

八幡「……」ドクショ

結衣(……こーなったら)

結衣「ヘーイヒキガヤァ!」(CV. 東山奈央)

八幡「……」ドクショ

結衣「ヒッキー、目だけじゃなくて耳まで腐ってしまったデース?」(CV. 東山奈央)

八幡「……」ドクショ

結衣「ねっ? ヒッキー、ねっ? ほんとは聞こえてますもんねっ?」(CV. 東山奈央)

八幡「……」ドクショ

結衣「……」

結衣(ま、まだ無視する気? 信じらんない!)

八幡「……」ドクショ

結衣「……ヒッキー、いい加減にしないと怒るよ?」


13 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/28(月) 21:18:48.41 ID:/Dh05XEx0

八幡「……」ドクショ

結衣「……ゆきのんに言いつけるよ」

八幡「……」ドクショ

結衣「……」

結衣(…あたし、ヒッキーになんかしたっけ……)

結衣(教室じゃほとんど話せなかったけど、いつものことだし)

結衣(優美子たちと少し喋ってあたしが後から部室きて)

結衣(その時は普通に挨拶したし、ゆきのんが遅れてくるって教えてくれたのヒッキーだし)

結衣(ヒッキーはいつの間にか本読んでて、あたしは写メ加工してて…… 全然いつもの感じだったと思うんだけどな…)


14 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/28(月) 21:20:02.40 ID:/Dh05XEx0

結衣(唯一ちがうのは今日ゆきのんが珍しく遅れてくるってことくらい…… もしかして…そのせい!?)

結衣(い、いやいや! だってヒッキーはいつもゆきのんとバトってるし、『あいつが居ないと心が落ち着くZE☆』とか思ってそうだし)

結衣(まさかねー! まさかヒッキーがゆきのんのこと好きなわけないし! あっははー、ないない!)

結衣(うん……ない。ぜったいない)

結衣(……)

結衣(あれ?)

結衣(でもそうすると、あたしがヒッキーに嫌われてるってことになる……のかな……)

結衣(……)ズキ

八幡「……」ペラ


15 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/28(月) 21:22:10.47 ID:/Dh05XEx0

結衣「ひ、ヒッキー…?」オソルオソル

八幡「……」ドクショ

結衣「あの、そろそろ返事してほしいかなー……なんて」

八幡「……」ドクショ

結衣「……」

八幡「……」ドクショ

結衣「あー、えと、さっきのさ、ウソだよ? 別にあたし怒ってないし、ゆきのんにも言ったりしないし…」

八幡「……」ドクショ

結衣「ヒッキー…… ねぇってば……」

八幡「……」ドクショ

結衣「……」

八幡「……」ペラ

結衣(なんか…むなしくなってきた)


16 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/28(月) 21:24:56.27 ID:/Dh05XEx0

結衣(と思ったらまたむかついてきた!)

結衣「ヒッキー! いい加減にしてっ! そんなにあたしのこと無視して楽しいわけ?」

八幡「……」ドクショ

結衣「もう、おーじょーぎわが悪いってゆーの? よくないよそーゆーの! もう諦めて返事したら?」

八幡「……」ドクショ

結衣「……」

結衣「……あっそ、あくまで無視すんのね」

八幡「…!」ブル

結衣(もーいいし、こうなったら実力行使だもん)ガタッ

結衣(後ろに回りこんで首しめるし。ついでに、む、胸も当てちゃうし)ソローリ

八幡「……」パタン

結衣(日ごろドンカンな罰も兼ねてだよ。逆にちょっと大サービスかもだけど… これならさすがに無視できないでしょ)

結衣(ふんっ。くらえ、ヒッ)ガバッ

八幡「……」スクッ

結衣「ふぇっ!?」スカッ

ガンッ!!

結衣「いったぁーーーっ!?」


17 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/28(月) 21:26:10.43 ID:/Dh05XEx0

結衣(うー、イスにヒザぶつけたぁぁ…)

八幡「……」スタスタ

結衣「あっ… ひ、ヒッキー!!」

ガララッ ピシャッ

結衣「そんなぁ…」ヘタッ

結衣(一目も見ないで行っちゃった…)

結衣「……」ぽつん

結衣「なんで……」


18 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/28(月) 21:27:06.32 ID:/Dh05XEx0

結衣「……」

結衣(なんで… 無視するの?)

結衣(あんなに呼んだのに……話しかけたのに)

結衣「……」

結衣(なんで助けてくれないの…?)

結衣(女の子がケガしてるんだよ? 痛がってるんだよ…?)

結衣「……」

結衣「なんでよ……ばかヒッキー……」


19 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/28(月) 21:28:42.94 ID:/Dh05XEx0

結衣「……」

結衣(ヒッキー…あたしのこと嫌いになったのかな……)

結衣「……」

結衣(それとも……)

結衣(あたしなんか……もうどーでもいいってこと…?)

結衣「……」ズキ

結衣「痛いよ……」

ポタ

結衣「あ…れ…?」

ポタ ポタ

結衣「あ、あは、おっかしいなぁ… 急に…前……みえなく……」

結衣「あ……うぁ……うわあああああぁぁん…!!」


20 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/28(月) 21:30:26.76 ID:/Dh05XEx0

八幡(あー、すっきりした)

八幡(T・T・K! T・T・K!)〜♪

ガララッ

八幡(タツコじゃないよ、ト・ツ)

結衣「ぅああああぁぁん……」ポタポタ

八幡「カッ!!?」

八幡「ゆ、由比ヶ浜!? どうした、誰にやられた!?」(錯乱)

結衣「ぅえ……? ヒッ…ひっく……ひっくぃー…?」

八幡「……あ?」


21 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/28(月) 21:33:06.84 ID:/Dh05XEx0

結衣「ヒッキー…… ほんとにヒッキーだ…」ペタペタ

八幡「ばっ、近い近い触んな! っつーかなに? さっきからなんか喋って…」

八幡「…… あ、そうか」

キュポ

結衣「へっ…?」

八幡「付けてんのすっかり忘れてた」

結衣「それって…」

八幡「おう。昨日親父が買ってきた。なんでも究極の耳せんらしい」

結衣「耳せん……」

八幡「あまりのノイズキャンセル具合についた名前が『ポニキャン』なんだと。あ、ちなみに馬の耳に念仏から来てる。俺じゃねぇぞつけたの」


22 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/28(月) 21:36:40.96 ID:/Dh05XEx0

八幡「ってそんな話はともかく… え? まじでどうしたのお前」

結衣「じゃ、じゃあヒッキー、ほんとに聞こえてなかっただけ?」

八幡「あん?」

結衣「あたしのことどーでもいいとか、嫌いになったとかじゃ……」

八幡「は? ……いや別に嫌いとかはねぇけど」

結衣「………」ギュム

八幡「ぅおい!? だ、だから触ん…」

結衣「うっ……ぐすっ…… えへへ…よかったぁ…」

八幡(えぇ……なにこれなにこれなに…)


23 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/28(月) 21:38:30.12 ID:/Dh05XEx0

八幡「…あ」

八幡「もしかしてあれか? お前さっき俺になんか話しかけてたりした?」

結衣「……」コク

八幡「あー…まじか…… いや、その……すまん」

八幡「この耳せんまじで優秀でな、そりゃもう自分の声しか聞こえないレベル」

結衣「ん… いいよもう」ギュー

八幡「お、おう」

八幡(それならもう離れてくれよ… 制服にいろんな汁ついてるから!)

結衣「えへへへへ……」ギュー

八幡(あと勘違いしちゃうだろ!)


24 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/28(月) 21:39:51.93 ID:/Dh05XEx0

八幡「……」

結衣(よかった…… 勘違いだったんだ………)

雪乃「……………」

結衣「……あれ? ゆきのん」

八幡「は?」


25 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/28(月) 21:41:38.55 ID:/Dh05XEx0

結衣「や、やっはろー…ゆきのん」

八幡「……」

雪乃「……」

八幡「いや、違うんだこれは」

雪乃「お取込み中失礼しました。鍵と避妊はしっかりしてね」

ガララッ ピシャッ

結衣「……へっ?///」

八幡「ま、まて雪ノ下!? 勘違いだ、勘違いだーーーっ!!!」

Fin.


26 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/28(月) 21:44:07.04 ID:/Dh05XEx0
勘違いしちゃった
訂正

>>10

結衣「ね、勘違いオチってなに?」

八幡「……」ドクショ

結衣「……」

結衣(あ、あれ? 聞こえなかった?)

結衣「ねーヒッキー、勘違いオチってなに?」

八幡「……」ペラ

結衣「ヒッキー? えっ… 聞こえてるよね?」

八幡「……」ドクショ

結衣「ねーえー、ヒッキー! ヒッキーってばー!」

八幡「……」ドクショ

結衣(なっ、まさかのガン無視!?)


31 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/29(火) 02:24:10.52 ID:r7mLFhXR0

結衣「ね、ミゾオチってなに?」

八幡「なんだよ溝から棒に」

結衣「いやさ? そいえば戸部が休み時間に『まじミゾオチはないわー、ミゾオチだけはごめんだわホントガチでミゾオチだけはー』ってうるさかったの思い出したから」

八幡「……」

結衣「体の一部? だよね? 男子がよく使ってるけどよくわかんなくって」

八幡「あーいや、体の一部っつーか…」

結衣「? ちがうの?」

八幡「いや、いいのか。手足みたいなハッキリしたもんじゃねぇけど」

結衣「ふーん?」

八幡(っつーか溝から棒にってボケを華麗にスルーされたんですけど……)

結衣「ミゾオチー、ミゾオチねー」ボケー

八幡(あ、違う。こいつ知らないだけだ)


32 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/29(火) 02:28:28.45 ID:r7mLFhXR0

結衣「んで? ヒッキー、ミゾオチって?」

八幡「仕方ない、この俺が直々にミゾオチ蘊蓄を語ってやろう」

結衣「うっわ、えらそ……」

八幡「蘊蓄というか昔話なんだが」

八幡「あれは俺が幼稚園の頃だったな…」

結衣「……」

結衣「はい?」

八幡「よく晴れた夏の日だ。同じ組の男子5、6人くらいで園庭で隠れんぼをしていた」

結衣「ちょ、ヒッキー?」

八幡「まあ聞け。鬼が50数える間に、俺を含む残りの男子は思い思いの場所に散った」


33 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/29(火) 08:06:04.02 ID:kZXE83EAO

八幡「俺が向かった方角へはもう一人、ちょっぴり…いや、かなりのシャイボーイが走っていた」

八幡「木登りが得意だった俺は生い茂った木の上に登り、そいつはその麓にあった水路の溝の内側に身を隠した」

八幡「俺とそいつはお互いに場所を認識し、口の前で指を立てて、しーっ!ってな。そんな時代が俺にもあったもんだ……」

結衣「……」

八幡「さて、しばらくして威勢のいい『死ねやぁぁ』とかいう掛け声と共に鬼による捜索が始まった」

八幡「木の葉の隙間から眺めていた俺は察した。鬼は真っ先にこちらへ向かってくると」

八幡「俺らのルールでは最初に見つかったやつが次の鬼だった。すなわち、開始早々俺とそいつがいきなりピンチになったわけだ」


34 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/29(火) 08:09:28.60 ID:E2cxYUUQ0

八幡「俺はギクリとした。何故か。俺がピンチになったなら? いや、そうじゃない」

八幡「俺はむしろ、そのシャイボーイが最初に発見され、鬼になることを恐れたんだ」

結衣「へっ…?」

八幡「実はそいつは、それ以前の隠れんぼで何度か鬼になったことがある。問題は、そいつの捜索能力が欠如していることだった」

八幡「一言でいえば隠れんぼの鬼のセンスがなかったんだ。それも皆無と言って差し支えないレベルで」

八幡「そいつが鬼になるともはや隠れんぼは隠れんぼじゃなくなる。なぜだか1人も見つけられないままに時間だけが過ぎ、飽きた少年たちが別の遊びを始める」

八幡「ところがそいつはそれにも気付かず、夢中でみんなを探し続けるんだ。隠れてもいないみんなをな」

結衣「か、かわいそう… ヒッキーみたい」

八幡「……」


35 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/29(火) 08:12:43.98 ID:E2cxYUUQ0

八幡「しまいにそいつは泣き出し、隠れんぼは自然終了する。そしてそいつは決まって翌日幼稚園を休む」

八幡「なんで誰も教えてやんなかったんだろうな、隠れんぼが終わってること。いや俺もだけど」

結衣「ひっど! ヒッキーもひっど!」

八幡「幼稚園の頃だからな。何考えてたのか今となっては推測も碌にできねぇよ」

八幡「でもって、俺は木の上からそいつに合図した。溝を這って逃げろってつもりで必死にサインを送った」

八幡「けどそいつは俺の意図を全く察知することなく、面白がってわけわからんサインを送り返してくるだけだった」

八幡「口下手なシャイボーイだったからな。非言語的なコミュニケーションが嬉しかったのかもしれん」

八幡「そうこうしているうちに、鬼の男子がこちらに迫ってきた。木の上の俺はともかく、上から覗けば見つかるような溝にいるそいつは万事休すの状態だった」


36 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/29(火) 08:13:58.64 ID:kZXE83EAO

八幡「このままだとまたそいつが鬼になってしまう… わずかな逡巡の末、俺はヒーローが如く木から飛び降り、鬼の前に立ちはだかった」

ーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

鬼男子『うわ! びっくりした』

幼八幡『ここはとおさねぇ。とおりたかったらオレをたおして行くんだな!』

シャイ『……!』(溝)

鬼男子『……』

幼八幡(オレがギセイになればいいんだ。それであいつが助かるなら)

鬼男子『ひきがや……』

鬼男子『おまえ、そーゆーのしらけるからやめろよ。これナシな。早くべつのとこかくれろよ』

幼八幡『……』

鬼男子『てか、道ふさぐってことは、そこだれかいるんだな? えーっと…』スタスタ

幼八幡『えっ、ちょ』

シャイ『あ……』

鬼男子『あっ、シャイみーっけ! おまえ次オニなー』

シャイ『……』

鬼男子『さーて、あとはどこかな』スタスタ

幼八幡『……』

シャイ『……』

幼八幡『…ごめん』

シャイ『…おまえのせいだぞ』

幼八幡『……』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーー


37 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/29(火) 08:16:52.47 ID:kZXE83EAO

八幡「……とまあ、俺の勇気ある行動は裏目に出たわけで」

結衣「……」

八幡「それ以来、そいつはほぼ口を聞いてくれなくなった」

八幡「おまけに鬼の男子はリーダー格だった。『ひきがやはつまらないやつ』とかいう噂が一時期広まるきっかけになったのも多分それだな」

結衣「ヒッキー……」

結衣「で、でもヒッキーは、その子を守ろうとして自分から出てったんだよね?」

八幡「一応な。まあ、結果的にはむしろ逆効果だったっつー話ね」

結衣「それでも……」

結衣(もしあたしがその子だったら…きっと……)


38 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/29(火) 08:18:06.53 ID:kZXE83EAO

結衣(やっぱ、ヒッキーは昔も今も、ヒッキーなんだなぁ…)

八幡「……」ソンナコロモアッタナーシミジミ

結衣「……ん?」

結衣「ってぇ! ちがうちがう!」

結衣「なんか聞き入っちゃったけど、ミゾオチ! ミゾオチの話は!?」

八幡「は?」

結衣「えっ?」

八幡「いやいや、だから今したろ」

結衣「……はぁ?」


39 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/29(火) 08:19:36.84 ID:kZXE83EAO

結衣「なに? どゆこと?」

八幡「ああ、言ってなかったっけか」

八幡「そのシャイボーイだけど、溝内君っつーんだわ」

結衣「……」

結衣「うん?」

八幡「だから、ミゾオチの話っつったろ。ミゾーチ。溝内」

結衣「…………」

八幡「あ、それと。アホが故に気づかないであろう由比ヶ浜のために今の話のポイントを教えてやろう」ドヤァ

八幡「溝内君が隠れたのが『溝の内側』ってとこがまた掛かってて実に趣があっごぶゥ!!」ドゴッ

結衣「ドヤ顔がむかつく。いっかい死ねば?」

八幡「かはっ…… ナイス……鳩尾……」

バタッ

Fin.


50 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/09/30(水) 18:01:59.82 ID:kxwrjSGnO

八幡「デェーデェーデッデレレーン!!!」

八幡「デレデレデレデレデッデッデェー!!!」

八幡「デレデレデッデレデレデレデッ!!!」

八幡「デレデーデレデレデレデーレレー!!!」

八幡「デェーデェーデッデレレーン!!!」ダンッ ダンッ

小町「お兄ちゃん!」

八幡「デーデレデーデレデッデッデェー!!!」ダンッ ダンッ

小町「お兄ちゃんってば!」

小町「もうやめようよ! こんなことダメだよ!」

小町「ねえお兄ちゃん!」

八幡「デレデッデレデレデッデレデーデレデレデレデーデレレー!!!」

八幡「デーデーデーデデデレデーデェー!!!」ピチャッ

小町「聞いてよ! お兄ちゃん!」

八幡「デーデーデーデーデーレレー!!!」ダカダカ ダカッ

八幡「デェエエエエエエエエエエエエエエ!!!」

八幡「デーレーデーレーレーレーデーッデデー!!!」ジュウゥウゥ

八幡「デデーレデーレーデーデデー!!!」ジュウゥ

小町「お…兄…ちゃ…」

小町「もぅ…やめてよぅ… お母さんとお父さん悲しむよぉ…」

八幡「デェエエエエエエデレデレデレデーデデー!!!」パラ パラ

八幡「デデーレデーデーデェーデデー!!!」ガポ

小町「………」

八幡「デーデレデーデーデーデレレー! デーデレデーデーデー!!! デー!!!」バク バク

八幡「デーデレデーデーデーデレレー!!!」

小町「うぅ…」

小町「ううううううううううぅ…うううううううううううぅ…」

小町「うぅううう…」

放課後

結衣「ね、出オチってなに?」

八幡「今朝の俺かな」

結衣「……へ?」

Fin.

※ 拝借ネタ元: くそまんがぶくろ様


53 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 23:09:44.88 ID:Ul25xMqqO

結衣「ね、夢オチってなに?」

八幡「……」ペラ

結衣「ねーってば。ヒッキー? 聞いてんの?」

八幡「ちっ… 俺に聞いてたのかよ」

結衣「舌打ちされたっ!? てか当たり前じゃん、ヒッキー以外いないし」

八幡「由比ヶ浜がいるだろ」

結衣「いや、あたしヒッキーと違ってひとりごととか言わないから」

八幡「ば、ばっかお前、俺だって独り言なんか…… 言わねぇよ家でしか」

結衣「家で言ってるのは認めるんだ…」


54 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 23:11:02.71 ID:Ul25xMqqO

八幡「んで、夢オチだっけか?」

結衣「そうそう。やー実は今日さ、姫菜が(ry」

八幡「あー、なるほど。それで具体的にどんなやつか気になったってこと」

結衣「うん。ヒッキーならそーゆー系詳しいかなーって」

八幡「詳しいとかあんのかそれ…」

結衣「それでそれで? なんなん?」

八幡「けっこう有名だと思ってたんだけどな。夢オチっつーのは……」

結衣「……」ワクワク

八幡「いや、待て」

結衣「…?」

八幡「お前、俺に聞く前に自分で調べてみた?」

結衣「ん? なんで?」

八幡「質問に質問で返すなって習わなかったか? 質問に答えろよ」

結衣「えー、なにそれヒッキーうっざ!」

八幡「……」


55 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 23:11:58.10 ID:Ul25xMqqO

八幡「まあ、その様子だと調べちゃいないっぽいな」

結衣「…そーだけどさ」

八幡「だろうな。ちょっと待ってろ」ガタ

結衣「へっ? ヒッキーどっか行くの?」

八幡「ちょっとな」

結衣「ちょ、ちょっとって?」

八幡「すぐ戻る」

ガララッ

結衣「むーっ…」

結衣「質問に答えてないのはヒッキーもじゃん!」


56 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 23:14:40.59 ID:Ul25xMqqO

結衣「……」

シーン

結衣「……」パカ

結衣「……」ピコピコ

結衣「……」ピコ

結衣「……」

結衣「……ぶっ」

結衣「はっ!」

結衣「……」キョロ

結衣「……///」

結衣「……」

結衣「……」ピコピコ

結衣「……」

結衣「……」ボー

結衣「……」

結衣(ヒッキーまだかな…)

結衣(……)ウト


57 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 23:15:49.74 ID:Ul25xMqqO

ガララッ

八幡「やっはろー、結衣」

結衣「あ、ヒッキーやっは……ぅえっ!?」

八幡「どうかしたか?」

結衣「えっ? えっ? ヒッキーいま…やっはろーって…?」

八幡「それがなんだよ」

結衣「や、それより……ユイって…」ゴニョ

八幡「あ? 全然聞こえねぇんだけど」ズイッ

結衣「ひぇっ!? あぅ、あの、その……」

八幡「なんだよはっきりしねぇな」ズズイッ

結衣「だ、だって…… ちかい…し」ゴニョ

八幡「おいおい、お前そんな喋れねぇやつだったっけ? いつもの威勢はどうした」

結衣「うー… そんなこと言われても…」


58 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 23:17:39.63 ID:edcKOjli0

結衣「ヒッキー、なんかさっきと違くない…?」

八幡「は? 俺はいつも通りだろ。なんか文句でもあんのか?」ズイズイッ

結衣「ひゃっ! べ、べつに文句はないけど…」ガタッ

結衣(だから近いってばぁ〜!!)

八幡「ならなんだよ。っつーか結衣、お前の方がいつもと違うんじゃね? よそよそしい感じすんだけど」

結衣(またユイってゆった…///)

結衣「それはヒッキーが…なんか積極的だし…」ゴニョ

八幡「だから聞こえねぇからもっとはっきり喋れって」

結衣(とりあえず距離とんなきゃ…! 緊張してまともに話せないし)スーッ

八幡「…!」


59 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 23:23:05.08 ID:edcKOjli0

トンッ

結衣(あたっ、壁…)

八幡「お、おい結衣? なんで離れるんだよ」

結衣「だって近いと……ってかヒッキー、なんであたしのこと名前で呼ぶの!?」

八幡「っ!? 嘘だろ、ほんとにどうしちまったんだよ」

結衣「どうって、い、今まで名前でなんて読んでくれなかったし…」

八幡「それ……本気で言ってんのか?」

結衣「へっ?」

八幡「クソッ、なんてこった。何がどうなってやがる」ブツ


60 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 23:24:36.57 ID:edcKOjli0

八幡「いつからだ…いつからこんなことに」ブツブツ

結衣「…ヒッキー?」

八幡「操作か? 洗脳か? 畜生許せん……機関のエージェントか、はたまた六畳間の侵略者か…」ブツブツ

八幡「一体誰だ……俺の結衣をこんなことに……」ブツブツ

結衣「お、おーい?」

八幡「くそっ!!!」

結衣「ひっ!?」ビクッ

八幡「結衣」

ズンズンズンズン

結衣「え、ちょっ、ヒッキー!?」トッ

結衣(あ、壁)

ドンッ!!

結衣「ふぇっ」

八幡「お前は俺のモンだ。誰にも渡さねぇ」

結衣「」

八幡「愛してる。結衣」

結衣「」


61 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 23:28:11.46 ID:edcKOjli0

八幡「……思い出したか?」

結衣「………//////」ぷしゅー

八幡「くっ…まだか!」

結衣(な、なにこれぇ…////)

八幡「結衣、キスさせてくれ」スッ

結衣「ふぇっ!? キスって……んむっ……!!」

結衣(ふぁああ…//// うそ……キスしちゃってる……////)

八幡「ハムッ、ハムハムッ、フヒッ」

結衣(ヒッキーと…キス///)

八幡「ホムッ、ハッフハフッ、ムホッ」

結衣(…てかヒッキー…大胆すぎ……/////)

「……い」

結衣(なんでこんな……信じらんない…けど…)

「……いって」

結衣(もー…なんでもいーや///)

「……浜。おい!」

結衣(……ヒッキーとのキス……きもちいぃ…)

「おいって! 由比ヶ浜!!!」

結衣「はわぁっ!?」パチッ


62 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 23:30:07.26 ID:edcKOjli0

結衣「へっ? へっ?」

八幡「やっと起きたか。ったく、下校時間までぐっすりとか健康的すぎだろ」

結衣「……」キョロ

結衣「えっ? ゆ、夢……?」

八幡「あー、やっぱ夢見てたのか。なんかすげぇ身悶えてたし」

結衣「あ……ああああっ……!!!/////」カァァ

結衣(あたしのバカぁぁ!! なんて夢みてんのよっ!////)

八幡「お、おいどうした? 顔真っ赤だぞ?」

結衣「なんでもないっ! なんでもないからぁ!」

八幡「あれか、エロい夢でも見たか」

結衣「はぁっ!?/// だからなんでもないっつってんじゃん!! ってかキスはエロくなんかな……」

八幡「あ?」

結衣「〜〜〜!!!////」ボンッ

八幡「今なんつった? キス…?」

結衣「ううううるさいし! 間違えたのっ! もー黙っててヒッキー!! ばかっ!!」

八幡「えぇぇ……」


63 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 23:33:49.34 ID:edcKOjli0

結衣(もーダメ… あの夢のせいでまともにヒッキーの顔見れないし///)

八幡「っつーか本当に大丈夫か? 実は熱あんじゃねぇの?」ピト

結衣「ひゃうんっ!!」ビクーン!

八幡「変な声出すなよ…興奮しちゃうだろ」

結衣「はぁあ!? き、キモい!! ヒッキー最低ちょーキモいっ!!////」ドキドキ

八幡「冗談だようっせぇな…… え? まじで熱あんじゃねこれ」

結衣「……」ドキドキ

結衣「えっ? うそ……」

八幡「かなり熱いな… 微熱ってレベルじゃねーぞ」

結衣(あれ…言われてみれば……)ドキドキ

結衣(すごいドキドキするのも…夢のせいかと思ってたけど、たしかになんか苦しい…ような……)フラッ

八幡「っ! おいっ」

ガシッ

結衣「あうっ」

八幡「っと…… セーフ」

結衣(あれ………)

結衣(あたしなんで……ヒッキーに…抱かれて…)

八幡(……じゃねぇなアウトだ。どうすんだよこの状況)


64 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 23:38:13.09 ID:edcKOjli0

保健室

先生「じゃ、さっきも話したように私は職員会議だからしばらくいなくなるけど、戻ってくるまで休んでなさい」

八幡「ありがとうございます」

先生「もし君が途中で帰るときは職員室のドアの窓から合図くれたらいいよ。他の先生達にも事前に断っておくから」

八幡「わかりました。ども」

八幡「……」

シャッ

結衣「……」(ベッド)

八幡「よかったな、下校時間後だけど休ませてもらえて」

結衣「……ん」

八幡「どうしてもの会議らしい。終わったら平塚先生が飛んできて送ってくれるんだと。家か病院かは知らんが」

結衣「……ごめん」

八幡「謝る必要はねぇよ。あとで保健の先生と平塚先生に礼言っとけ」

結衣「…うん。でもそうじゃなくて…ヒッキーに…」


66 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 23:41:15.68 ID:edcKOjli0

八幡「俺? いやいや、それこそ謝る必要ねぇし」

結衣「でも……迷惑かけちゃった…」

八幡「別にそんなの今に限ったことじゃないだろ」

結衣「へへ……そーかも…」

八幡「ばっか、冗談だっつの」

結衣「……いつも…ごめんね…?」

八幡「……喋んな。寝てろ」

結衣「……うん」


67 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 23:43:17.04 ID:edcKOjli0

八幡「……」

結衣「……ヒッキー?」

八幡「喋んなっての」

結衣「……ごめん」

八幡「だから、いちいち謝んなくていい」

結衣「あ……うん……ごめん」

八幡「謝んなってのに…」

結衣「あう…」

八幡「謝らない、喋らない。とにかく寝てろ。それが一番ありがたい」

結衣「ん……」

八幡「……」

結衣「……」

八幡(やっと大人しくなったか)

結衣「……ヒッキー…」

八幡「おい」


68 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 23:45:54.64 ID:edcKOjli0

八幡「お前はあれなの、喋らなきゃ死ぬ病的なやつなの? キャプテンウソップなの?」

結衣「うー……だってぇ…」

八幡「なんだよ」

結衣「……いるか不安なんだもん…ヒッキー」クイ

八幡「……」

八幡(裾引っぱんなよ… でもなにこの小動物守りたい)

結衣「……」

八幡「まあ…いるよ。平塚先生が来るまではな」

結衣「……ほんと?」

八幡「ああ。なんなら手つないでてやろうか?」

結衣「ん……えへ……おねがい…」

八幡「お前そこは『キモい』って言うとこだろうが」

結衣「んーん……すごい嬉しい…」

八幡(まじかよ)

結衣「……はやくー」パー

八幡「お、おう」パー

ギュ

結衣「……ふへへ…///」

八幡「……」ポリ


69 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 23:51:59.08 ID:edcKOjli0

結衣「あ……」

八幡「どうした」

結衣「ヒッキーはさ… 結局どこ行ってたの?」

八幡「あ? ああ、さっきか。図書室だよ」

結衣「……なんで?」

八幡「ちょっくら辞書を借りに。今は部室に置いてきちまったけど」

結衣「ふーん…… なんで辞書?」

八幡「辞書使うのなんて言葉の意味調べるか文鎮かだ。今回はふつうに前者だな」

結衣「ヒッキー、なんか調べものしてたん…?」

八幡「ばっか。お前に『夢オチ』って言葉を調べさせるつもりだったに決まってんだろ」

結衣「えっ…」

八幡「分からないことはまず自分で調べる、っつー習慣を身につける良い機会だと思ってな」

八幡「人に聞くのも手段のひとつにゃ違いない。ただ、自力で調べてから聞いて照らし合わせたほうが精度も上がるし、理解も深まりやすいんだよ。ソースは俺」

結衣「そ、そーなんだ」

八幡「まあ俺は人に聞くことなんざ滅多にないけどな。っつーか聞く相手いないし」

結衣「説得力なっ……」


70 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 23:58:25.42 ID:edcKOjli0

八幡「それに紙の辞書はいいぞ。辞書で引くってところに意味があるし、周囲の用語なんかもついでに見れる」

結衣「へー… あたし電子辞書しか使ったことない」

八幡「そりゃ勿体無いってもんだ。一週間借りてるから、次部室来たときにでも調べてみ」

結衣「ヒッキーが言うなら…そーしてみよっかな」

八幡「あ、ちなみに『夢オチ』ってのはその辞書に載ってないから」

結衣「えぇー…… 意味なくないそれ」

八幡「最近の造語だしな。当然だろ」

結衣「ヒッキー、それ知ってたのにわざわざ図書室まで借りにいったん?」

八幡「まあな」


71 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/03(土) 23:59:43.67 ID:edcKOjli0

八幡「まあ、そういう用語の場合はネットで調べればたいていヒットする」

結衣「…じゃあケータイでよかったじゃん」

八幡「さっき言ったろ、辞書を引くところに意味があるって。それに情報リテラシーってのもあるからな。由比ヶ浜はそういうのも身につけたほうが良い」

結衣「へっ? 情報……なに?」

八幡「情報リテラシー。丁度良いな、今度それ一緒に調べてみるか」

結衣「あ……うん…」

結衣(……一緒に……)

結衣「っくしゅっ!」

八幡「お……大丈夫か?」

結衣「うー… 顔あついけど…体さむい…」ブル

八幡「まじかよ。ちゃんと布団着てるのにな」


72 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/04(日) 00:01:40.40 ID:lePMiXM/0

八幡「手、離すか? 末端が冷えるとなんか良くなさそうだし」

結衣「っ…! だ、だめ…!」

八幡「いやそう言ってもな…」

結衣「……!」フルフル

八幡「……わーったよ、なら逆にこのまま中に入れる。それでいいか?」

結衣「……」コク

八幡「へいへい」

結衣「えへへ……」

八幡「……」

結衣「……」ブル

八幡「…まだ震えてね?」

結衣「……さむい…かも」


73 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/04(日) 00:04:18.51 ID:lePMiXM/0

八幡「なかなか重症だな…まいった」

結衣「うー……」ブル

八幡「ちょっと隣のベッドから布団もってくるわ。2枚は重いかもしんねぇけど寒いよりはマシだろ」ガタ

結衣「……」ギュ

八幡「……」

八幡「……あの、布団もってくるから」

結衣「うん…」

八幡「……手はなしていいっすかね」

結衣「……イヤ」

八幡「じゃなくて、離さないと届かねぇんだけど。すぐもってくるから」

結衣「……イヤなの」ウル

八幡(なにこのワガママな子……でも可愛すぎんだろこれは…っていかんいかん)


74 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/04(日) 00:06:13.95 ID:lePMiXM/0

八幡「……」

結衣「……」ブル

八幡「震えとまってねーぞ… 少しくらいいいだろ、布団もってくるって」

結衣「……」フルフル

八幡(平塚先生はやくぅ…)

結衣「……」ブル

八幡(まじで寒そうだな…… なんだっけ、雪山でよくある…)

八幡「ああ、人肌がどうのこうのっていう」

結衣「……えっ」

八幡「……あ?」

結衣「……ヒトハダ……」

八幡「あ、いやすまん、なんでもない」

結衣「……ほしい」

八幡「……」

八幡「えっ」


75 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/04(日) 00:08:12.60 ID:lePMiXM/0

結衣「人肌……ほしいな…」

八幡「……あっはっは。平塚先生おっせぇな全く」

結衣「ヒッキー……人肌…」

八幡(なに言ってんのこいつ……)

結衣「……」ブル

八幡「知ってるか? サメハダって存外バカにならないダメージ食らうとくせいでな、ぶつりこうげきしかワザがない場合はもう」

結衣「ヒッキーさむいー……」ブル

八幡「あっはっは! あーっはっはっは!」

八幡(まじで平塚先生はやくしてぇぇ!!)


76 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/04(日) 00:12:03.02 ID:lePMiXM/0

結衣「うー……」

八幡「いやいや、ちょっと意味がよく……な?」

結衣「……ばかヒッキー……わかってよ」

八幡「まさかな。人肌って……一緒に寝ろとかそういうんじゃないよな。まさかな」

結衣「……ん」クイ

八幡「え? なんで引っぱんの? ちょ、ヤバいからそれはまじでヤバいからまじヤバ」

ボスッ

八幡「…………」ファサッ

結衣「……///」

八幡「…………」

結衣「…もーちょっと近くきて……お布団着れないじゃん」

八幡「ア、ハイ」

結衣「……ふへへー///」スリ

八幡(平塚先生、やっぱり今は来ないでください)


77 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/04(日) 00:14:12.68 ID:lePMiXM/0

八幡(なんだこれはなんだこれはなんだこれは…)

結衣「……んふー……ヒッキーあったかい……」スリ

八幡(ええ、とてもあったかいですともあったかいあったかいいいにおいあったかいいにおい)

結衣「ヒッキーもっと…近く…」

八幡「はぁあ!? 無理だろこれ以上は」

結衣「腕…まわしていいから」

八幡「!?!?」

八幡(いいからじゃねぇよ! いくねーよ!)

結衣「……」

八幡(熱でどうかしてやがる。この辺でやめさせねぇと本当にヤバい……主に俺の自慢の理性がヤバい)

結衣「もーヒッキーおそい…… んしょ」ウデマワシ

八幡「……」

結衣「……んふふ……もっとあったかぁー…」

八幡(ええ、とてもあったかいです)

八幡(あったかいどころかアツいです……主に俺の自慢の八幡がアツいです。あ、これバレたら死ぬな)


78 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/04(日) 00:16:02.95 ID:lePMiXM/0

結衣「……」スンスン

八幡「お、おい、さすがに少し離れてくんない? 寝苦しいだろ?」

結衣「ヒッキーのにおい…落ちつく…」

八幡(聞いちゃいねぇ… っつーか顔うずめて人のにおい嗅ぐとかやめろよ、いいにおいすんなこいつ…… あ、俺もだ)

結衣「……」スゥ

八幡「……」

八幡(寝たのか?)

結衣「……」スヤ

八幡(…よく寝るわこんな体勢で。さて、名残り惜しいような気もするが先生に見つかったら鉄拳制裁どころの騒ぎじゃないからな)

八幡(理性のあるうちに抜けさせていただくとしますよっ……と……)

結衣「……」ガッチリ

八幡(………これどうやって抜けんの?)


79 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/04(日) 00:18:16.56 ID:lePMiXM/0

八幡「……」ダラダラ

結衣「……」スヤ

八幡(やべぇ、予想以上にホールドかてぇ。案外プロレスの才能あるんじゃねーの由比ヶ浜って)

八幡(ってそんなのはどうでもいい! とりあえず一旦起こそう)

八幡「おーい、もしもしガハマさんや」

結衣「……」スヤ

八幡「おい起きろって。起きるんだ。起きろクソビッチ」

結衣「……」スヤスヤ

八幡(熟睡とか…… まじかよ、俺ってば超熟睡ガード。将来は生理用品にでもなろうかしら)

八幡(いやアホか。仕方ない、とりあえずこのホールドを解かねば)ゴソ

結衣「ん……」

八幡(所詮は寝てる人間だ。力が籠っているわけじゃなし、指から順にはずしていけば抜けられるはず)ゴソ


80 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/04(日) 00:20:05.40 ID:lePMiXM/0

結衣「……」スヤ

八幡(よし、あとは腰に回された腕を前に戻すだけ)

八幡(体を持ち上げつつ、腕をのけつつ…… くそ、意外に体勢がきつい)

結衣「……」スヤ

八幡(ふぅ、なんとか安全圏に近づいて…っ!?)

八幡(か、顔が近い! 息かかる距離だぞ…くすぐってぇ……)

結衣「……ヒッ……キー…」ムニャ

八幡「お、おう? 起きたか?」

結衣「ん……」スゥ

八幡「……」

八幡(……寝言かよ)

結衣「また……キスぅ……」ムニャ

八幡「」


81 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/04(日) 00:22:14.24 ID:lePMiXM/0

八幡(なんだなんだァ? なんですかァ!?)

八幡(キスって……え? またって何!? 一回もねぇだろしたこと!)

結衣「……はや…く……」ムニャ

八幡(っ! どんな夢見てんだよ畜生… 早く抜けねーと。まずは由比ヶ浜の腕を前にして…)

結衣「んー……」モゾ

ハチマーン

八幡「きゃっ」

結衣「……」モギュ

八幡「あばばばばば」


82 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/04(日) 00:23:44.18 ID:lePMiXM/0

八幡(由比ヶ浜氏ぃ! 八幡の八幡を掴むのはやめてぇ!!)

結衣「んふー……グングニル……」ニギ

八幡「ふぇえ……」

八幡(どこでそんな言葉覚えたのよぉ…… いやそんなことはどうでもいい! っ、うまく手が届かんっ…)

結衣「えへ……おっきぃー…」ムニャ

八幡(ああああ! だから何の夢だよ!? なんでいちいちエロいんだよ!)

八幡(くそっ、抜けるが先だ! 理性の糸が切れないうちに! とりあえず由比ヶ浜の身体をのけ)

ムニュッ

八幡「」

結衣「ん…っ!」ピクッ

八幡「……………」

八幡(山ダァァァァ!!!)

プツッ


83 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/04(日) 00:27:20.89 ID:lePMiXM/0

結衣「あ…んっ………ぅぇえっ!!?」

八幡「ハムッ! ハムハムッ! ホムッ!」

結衣「やぁぁ!?//// ヒッキーなにしてっ…!///」

八幡「シャブッ! ハブッ! マフマフッ!!」

結衣「あんっ!/// ちょおっ…… もっと…優しく…ひぅっ/////」

八幡「マッフンモッフン!! ハフッ! ホムハムッ!!」

八幡(信じられないかもしれないが、気がついたらこうなっていた。いや、今でも気がついていないのかもしれない)

八幡(どうやら俺は知らぬ間に由比ヶ浜のブラウスのボタンを外し、その豊満な山に飛び込んでいたようだ)

結衣「だ……だめっ/// ヒッキー…そんなっ…強くしたらぁっ……!//////」

八幡(このまま永遠にこの時間が続いてほしい…… そんな得も言われぬ幸福感だけが脳を占有し、身体は欲望という名の生理活性物質により支配されていた)

結衣「っ……!!///// ヒッキーっ…あたしもう……あたしっ…!!」

八幡(……しかし)

ガララッ

平塚「すまん! 今会議が終わった! 大丈夫か、由比っ……」

結衣「んっ……」

八幡「あっ……」


84 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/04(日) 00:29:27.96 ID:lePMiXM/0

八幡「……」

結衣「……」

平塚「これは……どういうことだ?」

八幡「……あのですね……」ダラダラ

結衣「……えと……」ダラダラ

平塚「………」

八幡「ち、違うんです先生」

平塚「何が違うんだ? その先を言ってみろ比企谷」

八幡「………」ダラダラ

平塚「はぁ…… 言い訳は無用だ。事の顛末はどうだっていい」

結衣「……」

八幡「………すみません」

平塚「なに、謝る必要はない。可愛い生徒同士のことだ、きっちり折檻はしてやるが公にはしないさ」

八幡「先生…!」

結衣「………」ホッ

平塚「ただし」

八幡「……ただし?」

平塚「この私を差し置いて、という部分が気に入らん」

八幡「……」

八幡「………は?」

八幡「あの、先生」

平塚「私も混ぜてもらおうか」

八幡「」

結衣「」


85 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/04(日) 00:31:22.10 ID:lePMiXM/0

材木座「………という夢を見たものでな」

八幡「……」

結衣「……///////」

雪乃「……」ペラ


86 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/10/04(日) 00:33:41.05 ID:lePMiXM/0

材木座「我は朝起きて絶望した故」

八幡「故に、なんでそれを文章化して俺らに読ませた?」

材木座「バッフンバッフン! 勢い余ってな!」

八幡「勢い余りすぎだろ。で、言い訳は? 寛大な心に定評のある俺が聞いてやるよ2文字までな」

材木座「なっ!? 八幡よ、それでは何も言えぬではないかっ!」

八幡「オーケー。遺言は済んだか?」

材木座「ゆ、遺言!? 言い訳は!?」

八幡「……」ガシッ

ツカツカ

材木座「ま、待て八幡! 椅子はやばいぞ椅子は! 当たったら怪我じゃ…」

材木座「えっ? 冗談だろ? なんで振りかぶって…冗談だよなっ!?」

材木座「待て待てっ! 話せば分かる! 俺たちトモダ」

アッーーーー

Fin.

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