春香「清純派ちーちゃんの初めての悩み」


1 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/11(火) 23:51:42.03 ID:1Bs+5WmL0
千早「……」ハァ

春香(ちーちゃんが悩ましげな溜息を……!)

春香「千早ちゃん、どうしたの?」

千早「あ、春香……」

春香「何か悩み事?」

千早「え、べ、別に……」アセアセ

春香「もう、私達の間で隠し事は無しだよ?」

千早「……」

春香「話してみて?」

千早「えっと、その……」

春香「うん」

千早「最近、プロデューサーを見てると、胸が苦しくなるの……」

春香「それは恋だよ千早ちゃん」

千早「えっ」


ソース: http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1355237502/


3 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/11(火) 23:56:59.85 ID:1Bs+5WmL0
千早「こ、これが恋、なの……?」

春香「千早ちゃん、これまで異性を好きになったことは?」

千早「ないわ」

春香「じゃあ例えば……ジュピターの誰かを思い浮かべて」

千早「ええ」

春香「どう思う?」

千早「いえ、何も」

春香「じゃあプロデューサーさんのこと思い浮かべて」

千早「えっ?!」アタフタ

春香「思い浮かべてみて」

千早「あ……うぅ……」カァァァッ

春香「どう?」

千早「胸が、苦しくて……張り裂けそうで……辛いの……」ハァッハァッ…

春香「あーこれは重症ですねー」


4 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 00:01:45.95 ID:NkxIl6Pj0
(ガチャッ)

P「おはよう」

千早「ひぁっ!?」

春香「あ、プロデューサーさん、おはようございます!」

P「おー、今日も元気がいいな……って、千早、どうした?」

千早「い、いえっ! な、なんでもっ、ない、ですっ……」

P「調子悪そうだなぁ。風邪か?」ピトッ

千早「ふあっ……!?」

P「熱はないな……でも顔真っ赤だぞ?」

千早「なんでもっ! な、なひっ! れすっ!」カァァァァァアッ

春香「千早ちゃん、ちょっとテンションがおかしくなっちゃってて……あはは」

P「体調崩してるわけでなければいいけど……仕事に差し支えないようにな?」

千早「は、はひ……」


5 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 00:05:40.51 ID:NkxIl6Pj0
P「さて、ちょっと事務仕事するかな」

春香「あ、私達はちょっとお散歩行ってきますね!」

P「はいはい。午後から仕事だから、それまでには落ち着けて戻って来いよー」

春香「はーい」

千早「ひ、ひは……」カクカク

春香「千早ちゃん……緊張しすぎだよ……」

千早「ら、らってっ、私っ、ぷろでゅーさーのことっ、好きれっ、そひはらっ、ぷろりゅーさーがっ」

春香「呂律が回ってないよ千早ちゃん、はい深呼吸してー」

千早「すぅーっ」

春香「はい、吐いてー」

千早「はぁーっ」

春香「どう?」

千早「……す、少しはましになったけれど……どんな顔して会えばいいのか……」カァァァッ

春香(顔真っ赤にして俯くちーちゃん可愛いなー)


8 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 00:10:31.38 ID:NkxIl6Pj0
春香「千早ちゃん、完全に恋する乙女だね」

千早「か、からかわないで……」

春香「ううん、からかってないよー、現状そのままを口にしただけだよ」

千早「あ、うぅ……」

春香「普段はあんなにクールな千早ちゃんが恋に悩んでるなんて、プロデューサーさん知ったらどう思うかなー?」

千早「い、いじわる! 春香のイジワル! じょ、冗談でも、そんなこと、言わないで……」プシュー

春香「あーどうしよう千早ちゃんが可愛すぎてこのままプロデューサーさんに報告したい」

千早「!? や、やだっ! 絶対やめて! ダメ、ダメ、絶対にダメ!! 私死んじゃうから!!」アタフタアタフタ

春香「えへへ、千早ちゃんもやっぱり女の子なんだね」

千早「ば、馬鹿……春香の馬鹿…………」


10 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 00:15:37.93 ID:NkxIl6Pj0
春香「でも、恋する乙女のためなら、力を貸してあげないとね!」

千早「春香……」

春香「というわけで、まずはプロデューサーさんと会ってもテンパらないように気を付けないとね」

千早「そ、そうね……この後、早速収録の付き添いに来るし……」

春香「はい、千早ちゃん。りらーっくす、りらぁーっくす……」

千早「ええ……すぅー……はぁー……大丈夫、のはず」

春香「とりあえず事務所に戻ろっか」

千早「戻りましょうか」


13 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 00:20:03.94 ID:NkxIl6Pj0
(ガチャッ)

春香「ただいまー」

千早「戻りました」

P「おぉ、おかえり。千早は落ち着いたか?」

千早「え、えぇ。なんとか……」

P「はは、クールな千早にしては珍しいな」

千早「ご迷惑をおかけしました」

P「いやなに、気にするなよ。春香の方がよっぽど迷惑かけてるから」

春香「な、なんですかそれ?!」

P「ほう、収録先のセットに突っ込んで壊して、修理費事務所持ちにしたのは誰だったかな?」

春香「うぐっ」

千早「……ふふっ」

春香(ちーちゃん、平静を装ってるけど……傍で見てるとまだまだ無理してるのが分かるなー)


15 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 00:26:13.12 ID:NkxIl6Pj0
千早「プロデューサー、今日は何の収録でしたっけ?」

P「収録というか……撮影だな。雑誌のグラビアの」

千早「グラっ……?!」カァァァァァッ

P「おー、水着だ水着。気が進まないかもしれないけど、こういうのも仕事だからなぁ。我慢してくれ」

千早「い、いえ、水着撮影自体は、いいのですが」

春香(あー、ちーちゃん……)

千早(ぷろでゅーさーに水着見られるぷろでゅーさーに水着見られるぷろでゅーさーに水着みられる)プシュウウウウ

春香(……とかなってるんだろうなぁ、頭の中……)


17 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 00:30:36.52 ID:NkxIl6Pj0
春香「さて、撮影現場に来たはいいけど」

千早「……」チラッチラッ

春香「プロデューサーさんの方気にしすぎだよ、千早ちゃん……」

千早「で、でも……水着姿なんて……!」

春香「大丈夫大丈夫、千早ちゃんの水着姿で、プロデューサーさんもイチコロだよ!」

千早「いちこっ……」プシュウウウウウ

春香「ああもう、ちーちゃんはいちいち純情だなぁ」

千早「ち、ちーちゃん?」

春香「あ、うん、何でもないよ。オフレコオフレコ」

P「ん、どうした。何かトラブルか?」スッ

千早「ふぁっ!?」

P「驚き過ぎだろう……」

春香「プロデューサーさん! どうです、千早ちゃんの水着姿!」

千早「春香?!」

P「そうだなぁ……」


18 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 00:35:25.14 ID:NkxIl6Pj0
春香「……というやり取りが昨日あったけど」

千早「……」ハァ

春香「千早ちゃん、昨日からずっと溜息吐いてるね」

千早「はぁ……」

春香「気にしてるの? その……」

春香「昨日言われた、胸のこと」

千早「っ」ピクッ

千早「だ、だって……プロデューサー……」

P『うーん、もう少し胸があった方がいいかな? なんちゃって。あはは』

千早「これまで胸のことなんて、気にしたことなかったから……」

春香「あーこっちもなんですねー」


19 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 00:40:36.16 ID:NkxIl6Pj0
千早「……」チラッ

千早「やっぱり、男の人は胸がある方がいいのかしら……」

春香「うーん、一概には言えないと思うけど」

千早「……」ペタン

春香「こればっかりはどうしようもないよ」ポヨン

千早「……これまでは言われても、全然、気にならなかったのに……」

春香「好きな人に言われたら、普段は気にしないことでも気になっちゃうんだよ」

千早「そ、そうなのかしら……でも……」ペタン

千早「……はぁ……」

春香「千早ちゃん……」


21 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 00:45:53.92 ID:NkxIl6Pj0
千早「……はぁ」

P「なぁ春香」コソコソ

春香「なんです?」コソコソ

P「千早、最近悩み事でもあるのか? 溜息をつく回数が増えてる気がする」

春香「あー……」

P「今も窓際で悩ましげに……」

春香「女の子には、色々と悩み事があるんですよ」

P「ふぅん……まぁ気を遣ってやってくれよ、俺じゃ力になれなさそうだ」

春香「分かりました。それにしても……」

P「ん?」

春香「千早ちゃんのこと、良く見てるんですね?」

P「あ、あぁ……なんか、気になってな……」

春香「…………」


22 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 00:50:18.73 ID:NkxIl6Pj0
春香(どう考えても、ちーちゃんの勝算はばっちりなんだけどなー)

千早「ねぇ、春香」

春香「ん? なに、ちーちゃん?」

千早「ちーちゃんって……」

春香「あ、気にしないで。それで、どうしたの?」

千早「……わ、私、これからどうしたらいいのかしら」

春香「へ?」

千早「か、仮にも私はアイドルだから……やっぱり、早いうちに諦めた方がいいのかしら……」

春香「そんなことないよ!!」

千早「は、春香?!」

春香「千早ちゃん、初めての恋なんでしょ?」

千早「ええ……」

春香「どんな結果になるか分からないけど、そんな理由で捨てちゃ、ダメだよ!」

千早「春香……」


24 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 00:55:50.03 ID:NkxIl6Pj0
春香「私は、千早ちゃんを応援してるから」ギュッ

千早「わ……」

春香「がんばろ……ね?」

千早「……うん」

春香「まずは、もう少しプロデューサーさんとの距離を近づけてみよう! おー!」

千早「お、おー!」

千早「あ、あの、ぷろっ——」

P「んー……あずささんの胸は反則だよなぁ……」

春香「それで逃げてきちゃったんだ」

千早「……」

春香「挫けるの早いなぁ」


25 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 01:00:25.26 ID:NkxIl6Pj0
千早「改めて考えてみると」

春香「うん」

千早「私の胸って、本当に小さいのね……」

春香「そ、そういうのが好きな人もいるよ!」

千早「でも、プロデューサーは……」ショボン

春香(あーもういちいち可愛いなぁ)

春香「胸なんて判断基準の一つに過ぎないんだから! 気にしちゃダメだよ!」

千早「え、ええ……」

春香「というわけで、再アタック、ゴー!」


29 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 01:05:38.57 ID:NkxIl6Pj0
千早「あの……プロデューサー」

P「ん? どうした?」

千早「お茶……どうぞ……」

P「お、千早が淹れてくれるとは珍しいな?」

千早「っ、い、いえ……」

P「じゃあいただきます」ゴクッ

千早「……」ドキドキ

P「へぇ、美味しく淹れたなぁ」

千早「!」パァァァァッ

P「ありがとな、千早」ナデナデ

千早「ふぁっ……?! し、失礼します!!」ダダダッ

P「ち、千早ー?」


31 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 01:11:00.11 ID:NkxIl6Pj0
千早「っはぁっはぁっはぁっ……」ゼーッゼーッ

春香「ど、どうして逃げちゃったのちーちゃん! いい雰囲気だったのに!」

千早「い、いきなり頭撫でられて……頭が真っ白になって……」

春香「もう……でもいきなりあのリアクションじゃ、飛んじゃっても無理はないかな?」

千早「うううぅ……プロデューサーの顔、まともに見れない……」カァァァァ

春香「頭撫でられてこれじゃ、抱き締められたりしたら大変だねー」

千早「抱き締めっ——?!」クラッ

(バタン)

春香「ち、ちーちゃん?!」


32 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 01:16:01.39 ID:NkxIl6Pj0
P「おい、何か音がしたけど大丈夫か? って、千早?!」

春香「あ、大丈夫です。ちょっと想像してたら頭がショートしちゃったみたいで」

千早「きゅぅ……」

P「仕方ない……ソファーに運ぶか」ダキッ

春香「わ、お姫様抱っこ!」

P「茶化すな茶化すな。よっと」

(トサッ)

千早「うー……」

春香「あ、千早ちゃん、名残惜しそうな声出してる」

P「全く……仕方のないヤツだな」ナデナデ

春香「あれ、プロデューサーさん、顔がちょっと赤いですよ?」

P「うるさいぞ、春香」デコピンッ

春香「あいたっ!」

春香(…………)


33 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 01:20:37.77 ID:NkxIl6Pj0
春香「どう考えてもテンパイなんだけどなぁ……」ナデナデ

千早「んん……」

春香「あ、目が覚めた?」

千早「……あれ……私……?」

春香「プロデューサーさんのこと想像してたら、いきなり倒れちゃったんだよ」

千早「あ、うぅ……」カァァァァ

春香「本当に純情だねー」

千早「は、春香っ、その、運んでくれてありが」

春香「あ、ソファーまで運んでくれたのはプロデューサーさんだよ。お姫様抱っこで」

千早「……きゅぅ」ガクッ

春香「あーあ、また気絶しちゃったよ」ナデナデ


36 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 01:25:37.13 ID:NkxIl6Pj0
春香「そんなやり取りをしながら早一か月」

千早「プロデューサー、お茶です」

P「お、サンキュー。最近は千早にお世話になってばかりだな」

千早「ふふ……」

P「よしよし、いい子だ」ナデナデ

千早「ふわっ……う、うぅ……は、春香にもお茶を渡してきますっ」カァァァ

P「おー」

春香「随分耐性はついてきたね」

千早「ま、まだプロデューサーのぬくもりが残ってる……」カァッ

春香「でも、まだまだなんだよねー」

千早「え?」


39 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 01:30:41.90 ID:NkxIl6Pj0
春香「プロデューサー、千早ちゃんのお茶、どんどん美味しくなってると思いませんか?」

P「あぁ、雪歩に教わりながら頑張ってるみたいだな。態度まで雪歩みたいになってきてるけど」

春香「技術もそうですけど……やっぱり、一番はあれですよ! あれ!」

P「あれ?」

春香「『愛は最高の調味料』って言うじゃないですか!」

P「…………茶化すな馬鹿」

春香「何で顔を赤くしながら目を逸らすんですか?」

P「黙ってろリボン」

春香「うぅ、酷いですよぉ」

春香「……というか本当にじれったいなぁ、この二人」


40 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 01:35:27.58 ID:NkxIl6Pj0
春香「プロデューサーさん、率直に聞いていいですか?」

P「ん?」ズズッ

春香「千早ちゃんのこと、どう思ってます?」

P「ぶほっ!?」

春香「わっ! 汚いですよ!」

P「す、すまん……で、なんだって?」

春香「千早ちゃんのこと、どう思ってるのかなーって」

P「……え、ええと……それは……あ、アイドルとプロデューサーで……」アタフタ

春香「あっ、はいっ、ありがとうございます、もう分かったからいいです」

春香「どう考えてももう完璧なんだけどなぁ」

千早「何が完璧なの?」

春香「ええと、うん、なんでもないよ」

千早「え……」

春香(今言っても、多分爆発するだけだからなー)


41 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 01:40:29.55 ID:NkxIl6Pj0
千早「ふぅ、今日も疲れたわ」

(ウー、ワッホイ♪)

千早「……あら、春香からメール」パカッ

千早「ええと……『明日レッスンが終わったら、事務所で待っていて欲しい』?」

千早「分かりました、と。送信」ポチッ

千早「何の用かしら」パタン

千早「……」パカッ

千早「改めて受信ボックス見ると、春香のメールばっかりね……」

千早「あ、この前のプロデューサーからのメール……」

千早「……ただの業務連絡なのに、名前を見るだけで、ホッとする」

千早「これが、恋」

千早「…………崩したくない、この幸せな気持ち……」ギュッ


43 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 01:45:28.49 ID:NkxIl6Pj0
千早「ええと、レッスンが終わったら事務所、よね。……春香はまだかしら」

千早「来るまでまだ時間があるわね……楽譜でも」ゴソゴソ

(ガチャッ)

千早「あ、はる——」

P「ん、千早か?」

千早「ぷろ——っ?!」ビクッ

P「あ、驚かせてすまん。春香に呼ばれてな」

千早「プロデューサーもですか? 私も、春香に事務所で待ってるように呼ばれて」

P「ん? 俺達二人に用があるのか。なんだろうなぁ」ギィッ

千早(……春香、まさか……)

(ウー、ワッホイ♪)

千早「あ、春香から……」パカッ

『頑張って』

千早「……やっぱり」パタン


45 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 01:50:29.44 ID:NkxIl6Pj0
千早(でも、どこかで踏み出さなきゃ、いけないのよね)

千早「あの、プロデューサー」

P「ん、どうした?」

千早「あの……」

P「何か言いたいことがあるのか? ゆっくりでいいぞ」

千早「……その……」

P「ああ」

千早「…………」

P「…………千早?」

千早「…………っ」

千早(ダメ、踏み出せない)

千早「……ごめんなさい」ガチャッ

P「お、おいっ、千早?」

(バタァンッ)


47 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 01:56:15.69 ID:NkxIl6Pj0
千早「はぁっはぁっはぁっはぁっ」タッタッタッタッ

千早「ごめんなさい……ごめんなさい……っ!」タッタッタッタッ

千早「っぜはぁっ……はぁ、はぁ……」タッ…タ…

千早「……慌てて出て来たから、上着、事務所に置きっぱなしじゃない……」

千早「……寒い」ブルッ

(バサッ)

千早「あ……」

P「そんな恰好じゃ、風邪引くぞ、馬鹿」ハァッハァッ

千早「プロ、デューサー……?」キュッ

P「ああ。何だ?」

千早「……。……勇気のない、意気地なしの私で、ごめんなさい」グスッ

P「お、おい、泣くなよ」

千早「だって……私はっ……」グスッエグッ

P「ほら、いい子だから」ナデナデ

千早「でもっ……!」


49 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 02:00:34.84 ID:NkxIl6Pj0
P「何か、言いたいことがあったんだろう?」

千早「……はい」

P「聞くよ、どんな話でも」

千早「……どんな話でも、ですか?」

P「ああ、最後まで聞くよ」

千早「……」

千早「私、最近、とても幸せだったんです」

千早「全然、これまで知らなかった感情だったから」

千早「名前を見るだけでほっとして」

千早「顔を見るだけで気持ちが昂って」

千早「声をかけられるだけで心臓が破裂しそうで」

千早「……でも」

千早「それを口に出して、全部伝えたら」

千早「壊れてしまいそうな気がして」

千早「さっきも、踏み出せなかったんです」


50 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 02:05:34.36 ID:NkxIl6Pj0
千早「せっかく、親友が時間と場所を用意してくれても」

千早「臆病な私は、前に進めないんです」

P「…………」

千早「失くしたくなかったんです。幸せなこの気持ちを」

P「……千早」

千早「ふふっ。でも、それももう終わりですね」

千早「……こんなに幸せな気持ちなら、もっと早く知っておけばよかった」

千早「それに、失うのがこんなに辛いって知ってたら……」

千早「……死ぬまで知らなければ、良かったっ……!」

P「…………」

千早「ぅ……ぐすっ……ひっく……ぅぁ……あぁぅ……!」

P「なぁ、千早」

千早「えぐっ……なんで、すかぁ……?」


51 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 02:10:32.71 ID:NkxIl6Pj0
P「俺も同じだよ、臆病者だ」

P「同じ事務所でなぁ、もうそれなりにやってきて」

P「チャンスも空気も、いくらでもあったのに」

P「全部逃げてきたんだ」

千早「え……」

P「スキャンダルがどうとか、プロデューサーとアイドルだからとか、年齢がどうこうとか」

P「色々と理由を付けて逃げてはみたけど」

P「要するに、今のこの関係すらも失くすのが、本当に怖かったんだ」

千早「えっと、プロデューサー……?」

P「多分、俺も千早と同じこと、ずっと想ってたよ」

千早「それって…………」

P「なぁ、千早。お前が事務所で言おうと思ってたこと、教えてもらえないか?」


54 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 02:15:53.81 ID:NkxIl6Pj0
千早「わ、私、は……」

P「ああ」

千早「…………っ」

千早「プロデューサーのことが、好きです」

千早「ずっと、好きでした」

千早「気付いたのは最近でしたけど」

千早「きっと、ずっと、好きでした」

P「……なぁ、千早。俺が初めてプロデュースする相手として千早を選んだ時のこと、覚えてるか?」

千早「は、はい……歌声に惚れた、って」

P「歌もだけどな、その……何か、感じたんだよ」

千早「……?」

P「一目惚れだったんだ、お前に」

千早「……!」

P「いやぁ、今はそんな軽いモノじゃないぞ? プロデュースも……この気持ちも」


55 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 02:20:29.11 ID:NkxIl6Pj0
千早「……プロデューサーは、ずるいです」

P「かもな」

千早「私だけに言わせて、自分からは言ってくれないんですね」

P「う……」

千早「……」

P「……好きだよ、千早」

千早「……!」

(ギュウッ!)

P「千早っ!?」

千早「プロデューサーっ……ぷろでゅーさー、ぷろでゅーさー、ぷろでゅーさー!!」

P「ああ、千早……大好きだよ」

千早「う……ぐすっ……うぅぅぅぅう……!」

P「ほら、いい子いい子」ナデナデ

千早「子ども扱い……しないでください……」グスッ


59 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 02:25:41.72 ID:NkxIl6Pj0
春香「へー、そんなことがあったんだねー」

千早「は、恥ずかしい……」カァッ

春香「まぁこういう結果になることはもうだいぶ前から分かってたけど」

千早「えっ……?!」

春香「いや……傍から見れば二人ともバレバレだし……」

千早「うそ……」

春香「多分事務所全員、二人以外は気付いてたよ」

千早「…………」カァァァァ

春香「プロデューサーさん?」

P「ん?」ギィッ

春香「実はプロデューサーさんも気付いてましたよね? ちーちゃんの気持ち」

P「……あー」

千早「えっ!?」

P「いや、確証は持てなかったけど、薄々とは、な」

春香「流石にあれだけ露骨にアタックしてれば、ね……」


60 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 02:30:27.16 ID:NkxIl6Pj0
千早「うそ……うそよ……」

春香「雪歩も、千早ちゃんのために頑張りますぅって息巻いてたし」

千早「え、え?!」

春香「でも一番酷いのはプロデューサーさんですよ? ちーちゃんが言うまで待ってるなんて……」

P「わ、悪かったよ……でも確証が持てなくてさ……これで突っ込んでアレだったら免職モノだし……」

千早「…………」

P「……千早?」

千早「……プロデューサー、最低です」

P「うぐっ」グサッ

千早「……信じられないわ……本当に、最低……」

P「あぐっ」グサグサッ

春香「ちーちゃん、そんな事言ってるとプロデューサーさん貰っちゃうよ?」

P「え?」

千早「!? だ、ダメよそんなの!」

春香「えへへ、じゃあしっかりと首に縄付けて捕まえておかないとね」


62 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 02:36:02.24 ID:NkxIl6Pj0
春香「そういえばちーちゃん、もう一つの悩みはどうなったの?」

P千早「「もう一つ?」」

春香「胸のこと」

千早「うぅっ」グサッ

春香「ちーちゃん、グラビア撮影で言われてからずっと気にしてたんですよ? 胸が小さいこと」

千早「は、春香!」

P「そんなに気にしてたのか……すまん」

千早「いえ、そんな……」

P「でも、スレンダーで綺麗だと思うけどな」

千早「え?」

P「一般のグラビア的には言ったとおりかもしれないけど……俺は、今の千早が好きだよ」

千早「ぷろ、でゅーさぁ……」

春香「あーコーヒーが飲みたいなーすごく飲みたいなー」


64 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/12/12(水) 02:40:38.77 ID:NkxIl6Pj0
P「お、千早、そろそろ収録に向かう時間だぞ」

千早「あ、はい」ガタッ

春香「今日はちーちゃん一人?」

千早「え、えっと……その……」

千早「……プロデューサーと、車で……」カァッ

春香「あーうん、頑張ってねー」

千早「は、春香……そんな目で見ないで……」

春香「えへへ、冗談だよ。ちーちゃんの幸せは私の幸せだから!」

千早「春香……」

春香「じゃあちーちゃん、プロデューサーさん、行ってらっしゃい!」

千早P「「行ってきます」」バタン

春香「……」

春香「あー、私今とーーってもブラックコーヒー飲みたいなぁ」

おしまい

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