杏「あなたのうた」


1 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:19:32.54 ID:P0UtpBnSO
会うたび あなたに魅かれていきます

明日も ますます会いたくなります

あなたに会うたびそのたびに

会うたびふたたびそのたびに

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1382897972


ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1382897972/


2 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:21:22.42 ID:P0UtpBnSO
「おはよう、プロデューサー」

——また来たのか

「せっかく来てあげたのにその言い方は酷くない?」

——いや、毎日来てるから飽きないのかと思っただけだ

「好きで来てるのに飽きるも何もないでしょ」

——今気づいたが、その袋はなんだ?かなり膨らんでるけど

「お、さっそく気がついたね。これ、食べ物をどっさり入れて来たんだ」

——俺が食べれないものが入ってたり……?

「いくら杏でもそんなことはしないよ。ちゃ~んと食べれるかどうか調べてから持って来てるって。心配ご無用」

「えっと、どれから食べる?」


3 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:24:02.55 ID:P0UtpBnSO
月火水木金土日 止まることない時間足早に

過ぎていく中で疲れて負けそうになって

でもいつも心にあなた居て

「今日もまた頑張ろう」って思えて

本当いつも支えてくれて感謝してるよ


4 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:24:49.68 ID:P0UtpBnSO
「……おはよう、プロデューサー」

——どうした?少し顔色悪いぞ?

「……仕事がどっさりだからね。ちょっと疲れてる……のかも」

「今まで『何かを頑張って疲れた』って経験がないから、わからない」

——無理するなよ。頑張り過ぎは身体に毒だぞ

「わかってるって。体調管理も仕事のうち。どこかで休みとって1日だらだらしてみるよ」

「とれるかわからないけどね。最近杏、人気出てきたし」

——マネージャーの人に言ったら休みを調整してくれるんじゃないのか?

「……そうだね。一応ちひろさんに言ってみるよ」

——と言うより、俺に毎日会いにくる時間を休みにあてたほうがいいんじゃないか?

「それとこれは話が別。杏が会いたいから来てるんだよ」

「——お、もうこんな時間だ。仕事行ってくるね」


5 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:25:41.60 ID:P0UtpBnSO
あなたと出会い強くなれた

あなたと出会い 毎日を生きる意味

見つけたよ 大切な人


6 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:26:34.98 ID:P0UtpBnSO
「——おはよう、ちひろさん」

——杏ちゃん、大丈夫?昨日より顔色悪いですよ

「……大丈夫、全然問題ないよ」

——問題ないわけないでしょ。フラフラしてますよ。ほら、そこの椅子に座ってください。……はい、体温計

「大丈夫だって言ってるじゃん……」

——やっぱり熱がありますね。……今日の仕事は断りを入れましょう。

「ダメ。せっかくもらえた仕事なんだから、絶対にやる」

——確かに仕事は大切ですけど、杏ちゃんの身体のほうが大事ですよ

「それでもやる。今までやらなかったぶん、今やる」

「プロデューサーのためにも、やらなきゃいけないんだ」


7 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:27:35.82 ID:P0UtpBnSO
会うたび あなたに魅かれていきます

明日も ますます会いたくなります

あなたに会うたびそのたびに

会うたびふたたびそのたびに


8 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:28:49.37 ID:P0UtpBnSO
「おはよう、プロデューサー」

——まったく、ホントに飽きないな

「言ったでしょ、好きで来てるって。プロデューサーに会いたいから来てるんだよ」

——昨日も会ったじゃないか

「明日会えなくなるかも知れない。だから毎日会いたいんだよ」

——大げさだな

「……大げさなんかじゃない。大げさなんかじゃない!」

「また会えるかなんてわからないから、だから……!」

——……ごめん、君の気持ちを考えずに、酷いことを言ってしまった

「……杏こそごめんなさい。いきなり怒鳴っちゃって」

——…………

「……もう時間だね。今日は帰るよ」

「プロデューサー、またね。明日も来るよ」

——ああ、また明日


9 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:33:26.26 ID:P0UtpBnSO
疲れたら僕の肩貸すから

迷ったら立ち止まればいいから

無理はしないで 強がらないで 僕は知ってるよ

頑張り屋で負けず嫌いだし

自分捨てても誰にでも優しい

だから涙隠したまま いつもの笑顔


10 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:34:38.78 ID:P0UtpBnSO
——そういえば前から気になってたんだが

「どうしたの?プロデューサー」

——どうして君はいつも出会い頭の挨拶がおはようなんだ?

「…………」

——おーい?聞こえてるか?

「……あ、ごめん、聞こえてるよ」

「癖になってるんだよね」
——癖、か

「そう。仕事でそうだから、朝昼晩全部『おはよう』で挨拶しちゃうんだ」

「……もうそろそろ時間だね。行ってくるよ」

——おう。仕事頑張ってこいよ

「うん。また明日」

「教えてくれたのはプロデューサーじゃん」

「……プロデューサーのバカ」


11 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:35:53.09 ID:P0UtpBnSO
そんないくつものエピソードが

僕の胸を焦がすから

いつも僕は歌うから あなたのうたを


12 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:37:35.97 ID:P0UtpBnSO
——久しぶりだな、杏!

「……久しぶりだね、お兄さん」

——風の噂で引きこもってるって聞いたけど、ホントだったんだな。そんなお前にいい話がある

「学校にいく気もないし、働く気もない。お兄さんまで実の家族と同じこと言うの?余計なお世話だよ」

——いいのかな?そんなこと言っても

「……?」

——楽してお金を稼げる方法を持って来たんだが、残念だなぁ。この話は他の誰かに……

「待った。話だけでも聞こうじゃないか」

——よし、じゃあ杏。お前、アイドルになる気はないか?

「……」

「……アイドル?」


13 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:38:37.03 ID:P0UtpBnSO
会うたび あなたに魅かれていきます

明日も ますます会いたくなります

あなたに会うたびそのたびに

会うたびふたたびそのたびに


14 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:39:49.56 ID:P0UtpBnSO
「おはよう、プロデューサー」

——びっくりした。こんな時間に来るなんて

「仕事が遅くなって」

——それは仕方ないか。だけど、こんな時間に女の子の1人歩きは危ないぞ?特に君はアイドルなんだから

「心配ない。そのあたりは気をつけてるよ」

「プロデューサー、晩ごはんはもう食べた?」

——いや、まだだな。家の中と君からもらった書類に目を通してたら食べ忘れてた

「……あきれた。やっぱりプロデューサーはプロデューサーだね」

「杏がなにか適当に作るよ。そこで待ってて」

——そういえばさ

「なに?」

——こんな時間に君と話すのは初めてだと今気づいた

「……そうだね、昨日までは8時がタイムリミットだったし」

「うわぁ、冷蔵庫何もないよ」

「……そういえば、杏が片付けたんだった。忘れてたよ」


15 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:43:32.29 ID:P0UtpBnSO
あなたの昨日が僕になって 僕の未来があなたになって

どんな時でも そうずっと 泣き笑い繰り返しながら

繋いだ手は離さないまま 幸せを探そう


16 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:44:23.24 ID:P0UtpBnSO
——どうだ杏、アイドルやってみたくなっただろ?

「い、いきなりそんなこと言われても」

「どうせ、レッスンもたくさんやれって言われるんでしょ」

——大丈夫だ、心配するな。活動はお前のやりたいようにやればいい

「……どういうこと?」

——アイドルやるのに必要最低限のレッスンの指示はするけど、それ以外はお前の自由だ

——やりがいがあれば続ければいい。目標ができたら挑めばいい。しんどければやめればいい。強制なんてしない

「……」

——杏が楽しめれば、それでいいんだ

「……やってみるよ、お兄さん」

「家も出れるし、楽して稼げるなら話にのらない理由がないね」

——よし。じゃあ早速、荷物をまとめるぞ!

「うん!」


17 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:45:33.37 ID:P0UtpBnSO
あなたと出会えて ほんとに良かった

いつでも思うよ ほんとにアリガトウ


18 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:46:52.29 ID:P0UtpBnSO
「プロデューサー。杏、プロデューサーに出会えてよかった」

——どうしたんだ、いきなり

「杏が楽しいときはいっしょに笑ってくれて、辛いときは支えてくれた。……杏を、外の世界に連れ出してくれた」

「家族に意地はって、ただ無駄に時間を過ごしてた杏に手を差し伸べてくれた。」

「——本当に、本当に嬉しかった」

——いったい、なんの話を……

「わからなくてもいい。聞いてくれるだけでいいよ」

「今までずっと言えなかったから、言いたかったから、今伝えようと思ったんだ」

「——ホントは続きがあるんだけど」

「それは、『また会えたら』、会うことができたら、その時伝えるね」


19 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:47:49.51 ID:P0UtpBnSO
会うたび あなたに魅かれていきます

明日も ますます会いたくなります

あなたに会うたびそのたびに

会うたびふたたびそのたびに


20 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:49:02.10 ID:P0UtpBnSO
——えっと、あのファイルは……

「1段下、右から3つ目」

——あった。ありがとな

「どういたしまして」

「どう?仕事はなれた?」

——だいぶな。早く一人前のプロデューサーになれるように頑張るよ

「その心意気だね」

——よし、今日はこれで終わりだ。寮まで送ろうか?

「杏、まだやることがあるんだ」

——わかった、先に失礼するよ。お疲れさま

「お疲れさま、プロデューサー」

「また、明日」


21 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:51:24.49 ID:P0UtpBnSO
とある雑誌の、インタビュー記事

——双葉さんの今後の目標はトップアイドルとのことですが、その理由を教えてください

「——会いたい人がいるんだ」

「杏をアイドルの道に導いてくれた人なんだけどさ。トップアイドルになったら、杏のことに気づいてくれるんじゃないかなって」

「会うことができたら、感謝の気持ちとか、いろいろ伝えたいことがあるんだ」

「それが、理由かな」


22 : VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/10/28(月) 03:52:30.39 ID:P0UtpBnSO
——どうした、杏。言いたいことがあるって聞いたけど

「……プロデューサー、憶えてる?『また会えたら』、続きを伝えるって杏が言ってたの」

——憶えてるさ

「そっか、よかった」

「じゃあ、今こそ伝えるね」

「プロデューサー……ううん、お兄さん」

「杏は、あなたのことが——」

おしまい

Comments are closed.

Post Navigation