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1 : 2015/10/11(日) 20:47:07.82 -
リトルバスターズ!とAngel Beats!のクロスです
自己解釈、キャラ崩壊などに注意
たまに安価
両作品のネタバレ全開ですのでお気をつけ下さい
ゆっくりやっていく予定です
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1444564027
ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1444564027/
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2 : 2015/10/11(日) 21:00:03.77 -
過去スレ一覧
恭介「戦線名はリトルバスターズだ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1436363023/恭介「戦線名はリトルバスターズだ!」ゆり「その2よ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1437915426/恭介「戦線名はリトルバスターズだ!」かなで「その3ね」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1440506266/ -
3 : 2015/10/11(日) 21:03:03.89 -
ここまでの簡単なあらすじ
死語の世界にやってきた恭介、戦線名をリトルバスターズと名付けた
真人、謙吾、沙耶、来ヶ谷、クド、葉留佳、美魚も参戦
オペレーションや馬鹿騒ぎを通じて、絆を深めていくリトルバスターズそんな中、デーモン・ピクニックや天使エリア侵入作戦において
この世界の創造主、あるいは神と考えられる存在が直接動き始めるどうやら恭介は神に目をつけられ、なにかを試されているようだ
神への復讐の為に戦うゆり
戦線の為に「天使」として戦うかなで
そして多くの戦線メンバー達…恭介たちは誰も消えることなく、みんなの魂を救うため
みんなの生前の悲しい記憶を、楽しい思い出で塗り変えることを誓うのだった… -
4 : 2015/10/11(日) 21:03:57.43 -
エピソード一覧
Episode:1 「反抗のはじまり」
Episode:2 「変化の風」
Episode:3 「動き始めた魔の手」
Episode:4 「希望の歌」
Episode:5 「???」恭介の称号一覧
「シスコン」・「ロリコン」・「ガルデモ大好き」・「筋肉ミドラー」
「ホモ疑惑」・「Love&Spanner 」・「甦れなかった斉藤」・「希望の歌」 -
5 : 2015/10/11(日) 21:11:16.85 -
4スレ目です
ここまでお付き合いいただきありがとうございました
引き続きお楽しみいただけると幸いですそれと一つ謝罪があります
もともと誤字・脱字が多いという自覚はありましたが
前回の投下分は読み直してみると本当に多かった…酷いのは「他でもない」というワードが「他でも」で途切れてたり
入江がひさ子を呼び捨てにしてる部分とかありました申し訳ありません
一応、気をつけてるつもりですが自分の注意不足です
以後、気をつけて減らすようにします
(無くします、と言えないのが辛い…)前スレで書いたとおり、明日20時くらいから再開します
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12 : 2015/10/12(月) 20:17:09.44 -
ゆり「よーし、全員揃ったわねー」
遊佐「はい」
恭介(いつもの定例会議。集められたのは幹部と…)
ユイ「へー、ここが本部ですかー!意外と普通のとこなんですね!」
恭介(ユイを加えた新生ガルデモメンバーたち)
恭介(特にユイは初めて本部を訪れただけに、少しはしゃいでいるみたいだ)
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13 : 2015/10/12(月) 20:18:03.77 -
日向「なあ、ゆりっぺ…」
ゆり「なにかしら?日向くん」
日向「この際、なんでガルデモメンバーまで招集されてるのかは、スルーしよう」
日向「前にもこんなことあったしな」
日向「が、このちっこいのは誰なんだよ!まさかこんなやつまで幹部にする気か?」
恭介(日向がユイを勢いよく指差す)
ユイ「ちっこい言うなっ!あたしにはちゃんと、ユイっていう名前があるんだからなぁーーっ!!」
竹山「うるさい人ですね」
野田「いきなり言動に難ありだぞ、こいつ…」
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14 : 2015/10/12(月) 20:19:21.98 -
岩沢「おい、ユイ。一応、日向は先輩だ。ちゃんと挨拶しろ」
恭介(岩沢がユイを軽く叱る)
ユイ「いや、だってー!ちっこいとか言われたんですよー!」
ユイ「可愛い後輩に、いきなりそんなこと言いますか!?普通!!」
日向「いや、別に可愛くねえし」
藤巻「ねえな」
野田「ゆりっぺと比べたら、月とスッポンだ」
ユイ「こらああーーーーっ!!なんだその冷たい態度はーーっ!!」
ユイ「お前らそれでも先輩かーーっ!!」
恭介(鼻息を荒くして怒るユイ)
恭介(今にも、『フカーッ!』とか言いそうなとことかが、鈴と少し被るな)
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15 : 2015/10/12(月) 20:20:33.50 -
沙耶「で、この子誰なの?ゆり」
ゆり「ガルデモの新メンバーらしいわよ」
「「「ええええええーーっ!?」」」
恭介(ゆりの発言に本部が揺れる)
日向「マジかよ…」
竹山「ガルデモはロックバンドでしょう?アイドルユニットにでもするつもりですか?」
椎名「あさはかなり」
松下「まあ、そういうのも少し見てみたい気はするが…」
藤巻「わざわざ新メンバー増やす必要あんのかよ?」
来ヶ谷「可愛い女子が増えてくれるなら、おねーさんは大歓迎だぞ」
真人「そりゃ、来ヶ谷の基準だろうが…」
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16 : 2015/10/12(月) 20:21:50.40 -
恭介「ユイ。一応、自己紹介ぐらいしといたらどうだ?」
ユイ「あ、はい、そうですね。ユイって言います!」
ユイ「今はまだまだ未熟者ですが、いつか岩沢さんと、ダブルボーカルをするのを目標にがんばってまっす!!」
恭介(八重歯を覗かせながらウインクし、元気に挨拶する)
葉留佳「あれ?ってことはボーカル志望なの?」
遊佐「岩沢さんと被ってますね」
ゆり「それはあたしも初耳なんだけど?」
日向「本当に大丈夫なのかぁ?」
恭介(やっぱりというか、予想通りというか)
恭介(みんな不安だったり、ユイの実力を疑問視してるっぽいな)
恭介(だが…)
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17 : 2015/10/12(月) 20:23:04.28 -
ひさ子「心配しなくても、ユイはちゃんと戦力になる大事なメンバーだよ」
ひさ子「お前たちが訝しく思うのも無理ないけど、こいつの実力とやる気はあたしが保証する」
ユイ「ひ、ひさ子さん…!」
高松「ええ。歌を聞けば、ユイさんの実力はすぐにわかると思います」
恭介「だな。いっそ、今から披露するってのはどうだ?」
ユイ「今からですか?」
岩沢「あたしもそれがいいと思う。なんせあたしがスカウトしたんだ」
岩沢「きっとみんなの心にも響くよ」
謙吾「恭介や岩沢たちが、そこまで言うくらいなのか」
日向「全然そんな風には見えないけどな…」
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18 : 2015/10/12(月) 20:24:27.16 -
ユイ「ふっふっふ、能ある鷹は爪を隠すんですよっ!」
ユイ「いざっ!」
パチンッ!
恭介(ユイが指を鳴らすと、あっという間にギターとアンプとラジカセ、更にマイクスタンドが現れる)
沙耶「どっから出てきたのよ!?」
ゆり「細かいことは気にしたら負けよ、沙耶ちゃん」
クド「私、生演奏の歌を聞くのは、初めてかもしれません!」
来ヶ谷「そういえば、おねーさんもガルデモの曲はまだ聞いてなかったな」
入江「ユイ~、がんばれ~!」
関根「失敗したら、ガルデモのかませ犬担当って呼んじゃうから覚悟しとけよっーー!!」
大山「だって!やったね藤巻くん!仲間が増えるよ!」
藤巻「おいばかやめろ」
恭介(表情をキッと引き締めると、マイクスタンドを手に持つ)
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19 : 2015/10/12(月) 20:25:43.74 -
ユイ「さあ、聴いてからどうか判断してくださいっ!」
野田「形だけは様になってるな」
ユイ「ぽちっとな」
恭介(スタンドでラジカセの再生ボタンを押した)
恭介(同時に『My Soul,Your Beats! 』のイントロが流れ始める)
ユイ「いえーい!みんなーっ!」
ユイ「今日は集まってくれてありがとぉーーっ!!」
恭介(そう煽り、勢い良くマイクスタンドを蹴り上げる。すると…)
恭介(それが天井に突き刺さり、そこから伸びるシールドが奇跡的にユイの絞めた…!)
ユイ「おぇっ!!」
恭介(だらんと、その体が垂れる…)
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20 : 2015/10/12(月) 20:26:41.89 -
クド「わふーーーーーっ!?」
真人「うおっ!感電しながら首吊ってるぜ、こいつ!」
美魚「なにかのパフォーマンスでしょうか?」
日向「デスメタルだったのか…」
TK「Crazy for you…」
ユイ「し…しぬっ…」
恭介「っておい、マジで事故かよ!?」
岩沢「ユイっ!?しっかりしろ!!」
恭介(俺と岩沢で助けるが、うつ伏せになったまま動かない…)
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21 : 2015/10/12(月) 20:27:40.99 -
ひさ子「このバカ…。マイクパフォーマンスなんか百年早いっつのに…」
松下「なんてブラックなギャグを…」
大山「いや、身を呈して、笑いを取りに行く心意気は賞賛に値するよっ!」
大山「僕は評価したいなっ!!」
入江「あの…。一応、音楽の審査だったはずなんですけど…」
沙耶「いつからお笑いの審査になってたのよ…」
関根「こりゃマジで、かませ犬確定ですね」
大山「やったね藤巻くん!仲間が増えたよ!」
藤巻「だからそのネタはやめろぉ!」
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22 : 2015/10/12(月) 20:29:10.68 -
ユイ「誰がかませ犬じゃーーっ!!しかもギャグじゃないやいっ!」
恭介(いきなり復活して、勢い良く立ち上がる)
ゆり「でなければ、とんでもないお転婆娘ね」
ゆり「クールビューティーな岩沢さんとは正反対」
沙耶「えっ!?岩沢さんってクールビューティーだったかしら…?」
ゆり「そうね…。最近、どっかの誰かさんの影響で、すごいアホになってたわよね」ジロッ
恭介「…おい。あらぬ風評被害が生まれてるみたいだが、岩沢は元からこんな奴だからな?」
岩沢「フッ…。まあな」キリッ
ひさ子「なんでそこでドヤ顔なんだよ、岩沢…」
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23 : 2015/10/12(月) 20:31:04.48 -
ゆり「まあ。正直、バンドの件は岩沢さんたちに任せてるから」
ゆり「今まで通り陽動ができるなら、新メンバーの加入も問題ないわよ」
ユイ「やったーーっ!!」
恭介(ぴょんぴょん飛び跳ねながら、喜ぶユイ)
ゆり「ただし!ユイを加えたことによって、陽動が以前よりうまくいかなくなったら…」
日向「クビだな」
遊佐「クビですね」
ユイ「ええええぇぇーーっ!?そんなプレッシャーかけないでくださいよーーっ!?」
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24 : 2015/10/12(月) 20:32:37.61 -
ゆり「あたしの方針は実力主義なのよ。認めて欲しければ、結果で示しなさい」
岩沢「了解だ、ちゃんと結果で示してみせるよ。な、ユイ?」
ユイ「は、はいっ!がんばりまっす!」
ひさ子「安心しろ、ユイ」
ひさ子「絶対そんなことにならないように、あたしがしごいてやるよ」
ユイ「し、死なない程度にお願いします…」
高松「まあ。今回は失敗しましたが、いつものユイさんの演奏なら、問題ありませんからね」
恭介「これで、あんま調子に乗らないようになるだろ」
恭介「すぐ近くに、関根っていう反面教師もいることだしな」
関根「そうそう!しっかりこのあたしを見て学ぶといいぜ!」
入江「しおりん…、貶されてることに気づいてない…」
葉留佳「バカだな~しおりんは♪」
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25 : 2015/10/12(月) 20:33:56.79 -
美魚「そういえば、ユイさんとおっしゃるんでしたよね?」
ユイ「はい。そうですけど」
クド「来ヶ谷さんも、下の名前は唯湖さんというんですよ!おそろいですね!」
来ヶ谷「ま、まあ、そうだな…」
ユイ「そうなんですか!なんか親近感感じまくりですっ!」
ユイ「唯湖先輩とお呼びしてもいいでしょうか!?」
来ヶ谷「いや、気持ちは嬉しいんだが…」
来ヶ谷「下の名前で呼ばれるのは、あまり好きじゃないというか…」
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26 : 2015/10/12(月) 20:34:59.41 -
大山「はっ…!来ヶ谷さんが怯んでるっ!これはレアだっ!」
ゆり「確かにレアね!あたしも初めてみたわ!」
ゆり「つまり、本人は可愛いものが好きでも…」
ゆり「自分の下の名前を呼ばれたり、可愛い扱いされるのが苦手ってところかしら?」
来ヶ谷「冷静な分析はよしてくれないか、ゆり君…」
日向「なんだ?意外と可愛い弱点あるんだな!唯湖ちゃん!」
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27 : 2015/10/12(月) 20:36:30.49 -
来ヶ谷「日向くん、どうやら死にたいらしいな…!」ゴゴゴゴゴ…!
ナギッ
バキ!ベギ!ボコ!ドカ!ズガガガガガガ!グシャ!メキョ!
日向「ぎゃあああああああっ!!」
男共「「「日向あああぁぁーーーっ!!」」」
ユイ「天罰、天罰!ざまーみろです!」
入江「明らかに人災のような気が…」
謙吾「哀れ日向。まだ来ヶ谷の恐ろしさがわかっていなかったのか…」
真人「来ヶ谷だけは敵には回せねえからな…」
葉留佳「姉御を下の名前で呼べるのは、小毬ちゃんくらいだしネ~」
恭介(後は、恋仲になった時の理樹くらいだな)
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28 : 2015/10/12(月) 20:37:31.77 -
高松「小毬さんというのは、やはりすごい人なんですね…」
大山「さすがリトルバスターズ最後の一人!」
沙耶「あたしの見た限りじゃ、ちょっとトロそうな普通の女の子だったんだけど…」
恭介「いや、あれで運動神経自体は良かったんだぞ」
恭介「正しい投球フォームとか教えたら、一発でマスターするようなやつだったし」
藤巻「それってめちゃくちゃすげえんじゃねえか…?」
椎名「やはり天才か…」
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29 : 2015/10/12(月) 20:38:51.26 -
真人「ただまあ、ちょっと抜けたことがあるやつだよな」
クド「一緒にいるととても和む人です」
葉留佳「あ、あと小毬ちゃん。地味におっぱい大きかったよ!」
葉留佳「メンバーの中じゃ、姉御の次ぐらいに」
TK「Oh,really!? Yeaaaaaah!!」
ゆり「ひくなっ!」
遊佐「ドン引きです」
美魚「そろそろやめないと、只でさえ高いハードルが更に上がってますよ?」
恭介「大丈夫だろ。小毬だし」
ゆり「すごい信頼っぷりね、ほんとに何者なのよ、その小毬って人…」
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30 : 2015/10/12(月) 20:40:48.63 -
竹山「………あの、さっきから雑談ばかりですが。もう定例会議は終わりなんですか?」
ゆり「お、終わってないわよ!むしろ、これからが本題よ」
謙吾「また、本題忘れてたな」
大山「絶対忘れてたね」
松下「毎度のことながら、雑談が長すぎるからな」
ゆり「ぐぬぬぬぬ…!」
日向「それで、その様子だとまたオペレーション発動か?」
ゆり「フッ…。そのとおりよ!」
ゆり「その名も、オペレーション『DAY GAME』!!」
大山「デイ・ゲームってことは…」
ゆり「ええ。明後日行われる球技大会にゲリラ参加するのよ!」
恭介(きたかっ…!球技大会…!)
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31 : 2015/10/12(月) 20:41:55.96 -
謙吾「球技大会!?そんなものまであるのかっ!」
ゆり「そりゃあるわよ。普通の学校なんだから」
大山「そっか、もうそんな時期だったかぁーー!!」
松下「だな…」
藤巻「くそ、たりぃ…」
日向「また、やんのかよ…」
恭介(なぜか、日向たちは不満げだ。球技大会といえば、めちゃくちゃ心躍るイベントだってのに)
真人「どうしたんだよ、お前ら?」
真人「あまり乗り気じゃなさそうだな」
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32 : 2015/10/12(月) 20:43:01.37 -
日向「NPCにも劣る成績を収めたチームは、毎年きっつーい罰ゲームが待ってんだよ…」
恭介「…ああ。そういや、前にそんなこと言ってたな」
恭介「だから、乗り気じゃないのか」
沙耶「大丈夫よ!ようは勝てばいいんでしょ?」
ひさ子「男子はともかくガルデモチームは弱いからなぁ…。一回戦くらいは勝てるといいんだけど」
ゆり「フッ…。なにを勘違いしてるの?ひさ子さん?」
恭介(ひさ子の呟きに、ゆりっぺが反応する)
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33 : 2015/10/12(月) 20:44:01.07 -
ひさ子「えっ、なにがだよ?」
ゆり「確かに今までは、それぞれメンバーを集めてチームを作ってきたわ」
ゆり「けど、今回は違う!」
ゆり「棗くんをリーダーに起用し、最強チームを結成する」
ゆり「そして、目指すは優勝あるのみ!種目は…、野球よ!!」
恭介「はぁ!?」
岩沢「棗がリーダー?」
美魚「それに、野球ですか」
恭介(ちょっと待て。野球に参加するのはいい、むしろ望むところだ)
恭介(けど、なんで俺がリーダー確定なんだ?)
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34 : 2015/10/12(月) 20:45:06.36 -
野田「待ってくれ、ゆりっぺ…!なぜ、恭介がリーダーなんだ…!?」
野田「俺でもいいだろうっ!?」
日向「いや、それは無い」
藤巻「ねえな」
椎名「あさはかなり」
野田「ぐはっ…!」
高松「安心してください、野田くん!」
高松「たとえ絶望的に人望がなくても、私たちバカルテットは野田くんの友達ですから!」
松下「地味にひどいぞ、高松…」
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35 : 2015/10/12(月) 20:46:47.14 -
ゆり「まあ、ちゃんと聞きなさい。棗くんをリーダーにするのには、ちゃんと理由があるんだから」
恭介(いつもの、顎のところで指を組むポーズでゆりっぺが語り始める)
ゆり「棗くんとは、直接話したんだけど…」
ゆり「デーモン・ピクニックで、神によって操られたり…」
ゆり「天使エリア侵入作戦で、直接的な干渉を受けたり…」
ゆり「どうやら棗くんは、神に目をつけられていると見て間違いないわ」
ユイ「操られる…!?干渉…!?」
ユイ「な、なんの話ですか…?」
恭介(ユイが、驚きの声を上げる)
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36 : 2015/10/12(月) 20:47:55.86 -
途中ですが、諸事情で少しだけ離れます
戻ってきしだい再開します -
37 : 2015/10/12(月) 21:17:15.38 -
入江「そっか。ユイはデーモン・ピクニックで、具体的に何があったのか知らないんだよね」
ユイ「はい…。なんか犬に襲われて、様子がおかしくなってたってくらいしか…」
椎名「棗は、チルーシャに被せられた仮面によって、神に操られたことがあるんだ」
沙耶「その時は、なんとか仮面を破壊して、恭介くんも正気に戻ったんだけど…」
大山「でも待って…。天使エリア侵入作戦での干渉ってなに?」
大山「僕たちその話は、聞いてないんだけど」
藤巻「ああ、初耳だぜ」
松下「まさか、俺たちの知らない間にも神が仕掛けてきていたのか!?」
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38 : 2015/10/12(月) 21:18:13.47 -
恭介「…ああ、いきなり強烈な頭痛が襲ってきてな。そのまま、俺は意識を失ったんだ」
恭介「夢の中で、あるいは異世界で…。俺は神によって、未来を見せられた」
恭介「岩沢があのライブで、消える未来をな…」
岩沢「えっ…!?」
ひさ子「おい…。ってことはまさか…」
関根「あの時、棗先輩が来なかったら、岩沢先輩は本当に…」
ゆり「ええ。消えていたはずよ」
ゆり「あなたたちだって、岩沢さんが消えかけていたところを見たんでしょ?」
ゆり「それが本来の運命。棗くんの行動によって、運命が変化したのよ」
入江「そ、そうだったんですか…」
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39 : 2015/10/12(月) 21:20:02.76 -
ユイ「ちょ、ちょっと待ってください…!」
ユイ「消えるメンバーがいるって話は聞いてましたけど、あの場には天使はいなかったじゃないですか!?」
ユイ「どうして、岩沢さんが消えかけたんですか…?」
ゆり「…下っ端たちには詳しく話して無かったけど」
ゆり「この世界に留まる理由が無くなれば、消えてしまうのよ」
ゆり「なにかしら満足してしまうとかね…」
ユイ「そ、そんな…」
岩沢「だから言っただろ。ユイには満足して欲しくないって」
岩沢「消えたくなければ、この世界に留まる為の、情熱を燃やし続けている必要があるんだよ」
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40 : 2015/10/12(月) 21:21:10.21 -
ゆり「そう。だから、あたしは最初にみんなに問いかけるのよ」
ゆり「神に抗い、この世界で戦い続けていく、確固たる信念があるのかどうかをね」
ユイ「…あたしたちの知らないところで、本当に大変なことが起きてたんですね」
美魚「はい。今の内容にはわたしも驚きました…」
葉留佳「思ってた以上にハードな戦いしてたんですネ。恭介さんたちは…」
謙吾「安心しろ。確かに、大変な戦いではあるが、結果的に今までなんとかなっている」
日向「実際、天使ともそこそこ戦えてきたしな」
恭介「……………」
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41 : 2015/10/12(月) 21:22:13.85 -
椎名「問題は、神のほうだな」
ゆり「ええ、今回のオペレーションも神との戦い」
ゆり「神の情報を引き出すための戦いと言っていいわ」
クド「それが、野球なんですか?」
竹山「野球で、どうやって神の情報を引き出すんですか…?」
ゆり「簡単なことよ」
ゆり「さっきも言ったとおり、棗くんが神に目をつけられているのは、ほぼ間違いないわ」
ゆり「そして、今までどちらもオペレーション実行中に、神は棗くんに仕掛けてきている」
ゆり「となれば、道は一つ…」
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42 : 2015/10/12(月) 21:23:14.78 -
恭介「俺が野球チームのリーダーとして、球技大会に乱入するオペレーションを起こせば…」
恭介「きっとまた、神は俺に対して何かを仕掛けてくるってことだな?」
ゆり「そのとおりよ。さすがの理解力ね、棗くん」
真人「おい、待てよっ!ってことは、今回のオペレーションは…!」
来ヶ谷「恭介氏を囮にするということか…」
沙耶「そんな、危険すぎるわよ!ゆり!」
日向「そうだぜ!今度こそ、恭介に何かあったらどうするんだよ!?」
高松「いくら、ゆりっぺさんの命令でも賛成出来ません!」
TK「It's not insane…!!」
恭介(次々とみんなが反対し始める)
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43 : 2015/10/12(月) 21:24:50.98 -
恭介「…気持ちは嬉しいが落ち着いてくれ、みんな」
岩沢「落ち着けるわけないだろっ!あたしも反対だっ!」
岩沢「神と戦うにしろ、別の方法を考えた方が良い!!」
ゆり「…じゃあ。みんなには、他に神に接近する手立てがあるのかしら?」
ゆり「何十年と戦い続けて、ようやく訪れた転機」
ゆり「それは、紛れもなく棗くんの存在によって、もたらされたものなのよ」
ゆり「どのみち、今後なにかしらのオペレーションを起こしたら」
ゆり「その際にも、神が仕掛けてくる可能性は極めて高いわ」
ゆり「それとも、二度とオペレーションを起こさず、このまま神の恐怖に怯えて過ごす?」
ゆり「それでも、神が何もしてこないなんて保証はどこにもないわよ?」
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44 : 2015/10/12(月) 21:26:02.30 -
「「「……………………」」」
恭介(みんなが沈黙する…)
恭介(ゆりっぺの言っていることが正しいと、わかっているから)
恭介(ここで立ち止まるわけにはいかないと、わかっているから)
ゆり「…あなたたちは、あたしが選んだメンバーよ」
ゆり「そんな臆病者の集まりだったかしら?」
日向「…そんなわけねえだろっ!」
日向「でも、いくらなんでも…!」
恭介「安心してくれ、日向。みんな」
恭介(なんとかゆりっぺに、反論してくれようとしている日向の肩に、俺は手を置いた)
恭介(そして、みんなに語りかける)
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45 : 2015/10/12(月) 21:27:51.07 -
恭介「ゆりっぺの言うとおりだ」
恭介「ここで立ち止まるわけにはいかない。遅かれ、早かれ、いつか神と対峙する時は来る」
恭介「そして、その時の為に、俺たちは戦い続けてきた」
恭介「お前たちにだって、神に抗ってでも戦う理由があるはずだ」
恭介「なら、前に進もうぜ!こっちから強気に攻めてやろうじゃねえかっ!」
恭介(不安なのは、誰だって同じはずだ)
恭介(だから、みんなを鼓舞する。俺の言葉で…!)
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46 : 2015/10/12(月) 21:28:50.58 -
岩沢「棗…。お前は…怖くないのか?」
岩沢「もしかしたら、また操られてしまうかもしれないんだぞ…?」
恭介「怖くねえよ」
沙耶「どうしてよ…?」
恭介「もしなにかあっても、みんなと一緒なら乗り越えられるに決まってるからさ!」
恭介(俺のその言葉に、みんなが息を呑むのがわかった)
恭介(俺だって、完璧な人間じゃない)
恭介(何もかも上手くいくとは思ってないし、当然恐れや不安もある)
恭介(それでも、この気持ちだけは本物だ)
恭介(疑いようもない、確かな想いだ)
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47 : 2015/10/12(月) 21:30:14.74 -
恭介「俺たちの力を合わせれば、不可能なんてない!」
恭介「そう信じてんだよ、俺はな」
「「「……………………」」」
日向「…は、ははは」
日向「あっははははは…!!」
日向「まいったぜ、やっぱお前は大物だよ…。俺たちをその気にさせる天才だな!」
大山「恭介くんにそこまで言われたら、引き下がれないよね!」
野田「それでこそ、俺のライバルだ…!恭介っ!!」
藤巻「ああっ!見せつけてやろうぜ!俺たちの絆ってやつを、神のヤローによ!」
松下「無論だ、恐れるものは何もない!」
高松「私たちは一人じゃないんですから!」
TK「Let's go for it…!!」
椎名「どんな強敵が相手でも、わたしが斬り伏せてみせる…!」
恭介(良い反応だぜ、お前らっ!ハートに火が付きやがったな…?)
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48 : 2015/10/12(月) 21:31:09.48 -
竹山「すごいですね…、棗さんは…」
真人「当然だ、あいつを誰だと思ってんだよ?」
謙吾「俺たちのリーダーだぞ!」
来ヶ谷「むしろ、平常運転だな」
クド「私もどこまでもついていきます!」
葉留佳「はるちんも頑張っちゃいますヨ!」
美魚「目指せ、武道館」
遊佐「それは違うと思います、西園さん…」
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49 : 2015/10/12(月) 21:32:03.17 -
入江「なんだか、ほんとになんとかなっちゃうような気にさせてくれますね。棗さんは!」
岩沢「なんとかしてみせるんだろうな、棗なら」
ユイ「困った人ですね、棗先輩は~!」
関根「まさにカリスマってやつですね!あたしには及びませんが…!」
ひさ子「どんな根拠があって言ってんだよ、お前は…」
ゆり「………………」
沙耶「どうしたの、ゆり?」
ゆり「…いえ、なんでもないわ」
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50 : 2015/10/12(月) 21:32:49.99 -
ゆり「さあ、みんなも覚悟完了したみたいだし…」
ゆり「棗くん、この中から、8人のメンバーを選びなさい!」
恭介「俺も含めて、9人ってことだな?控えのメンバーは選べないのか?」
遊佐「はい、9人以上は認められていません」
恭介「よーし、じゃあ決めるぜ?」
恭介「俺と一緒に、野球やりたいやつは手を上ーげろっ!!」
バババババっ…!!
-
51 : 2015/10/12(月) 21:33:42.09 -
恭介「……………」
ゆり「っておーい!?あとしと遊佐さん以外全員かーい!!」
遊佐「竹山さんまで…」
竹山「なんか、ノリでつい…」
関根「いやぁ、棗先輩と野球なんて絶対面白そうですし♪」
入江「せっかくだから、やってみたいかなぁって」
岩沢「ああ、絶対楽しい。棗と一緒に野球やりたい!」
ひさ子「岩沢がやるなら、あたしもやる」
ユイ「あたしも、あたしも~!野球やってみたかったんですよね~っ!」
-
52 : 2015/10/12(月) 21:34:36.44 -
ゆり「いや、さすがにガルデモは戦力には…」
恭介「何を言うゆりっぺ…!俺と一緒に野球をやりたいと言ってくれるなら!」
恭介「俺はその気持ちを無下にはしない…!」
ゆり「でも、神が仕掛けるように仕向けるには、優勝狙えるくらい強いチームじゃないと意味が…」
恭介「リーダーは俺な」
ゆり「ぐぬぬ…!」
-
53 : 2015/10/12(月) 21:36:47.39 -
美魚「わたしは、マネージャーとして参加しますね」
恭介「いや、せっかくだから、西園も選手としてやろうぜ!」
恭介「その方が面白いだろ!」
美魚「ですが…」
恭介「もう、影を気にする必要もないだろ?」
美魚「………………」
恭介(少しだけ、迷うような仕草をする西園)
恭介(だが、すぐに…)
美魚「…そうですね、そうしてみます」
恭介「よしっ!」
-
54 : 2015/10/12(月) 21:38:07.57 -
沙耶「けど、どうやってチーム決めるの?」
野田「俺だっ!俺を選べ、恭介!!」
大山「あっ、抜け駆け禁止だよ!野田くん!」
葉留佳「私も久しぶりに野球やりたーい♪」
真人「恭介、俺の筋肉が必要だよなっ!」
岩沢「棗、あたしを選んでくれ!」
日向「俺、生前野球やってたぜ!恭介!」
美魚「モテモテですね、恭介さん」
沙耶「完全にハーレムじゃない…」
-
55 : 2015/10/12(月) 21:38:57.99 -
来ヶ谷「こうなれば、公平にくじで決めるしかないな」
来ヶ谷「というわけで、こんなこともあろうかと、くじを用意しておいた」
日向「どんな想定してたんだよ!?」
来ヶ谷「はっはっは」
恭介「ありがとよ、来ヶ谷!」
恭介「じゃあ、みんな、くじ引いてくれー!」
恭介「当然、ゆりっぺや遊佐たちもな!」
ゆり「えっ!?あたしたちも!?」
遊佐「わたしはオペレーターなんですが…」
恭介「今回だけは俺がリーダーだ。従ってもらうぜ?」
ゆり「はぁ…。仕方ないわね、遊佐さん。引きなさい」
遊佐「なんということでしょう…」
恭介(そして、賑やかな雰囲気の中、みんながくじを引き始めた)
-
56 : 2015/10/12(月) 21:40:30.48 -
野球のメンバーを下記から5人選んでください
ゆり・遊佐・椎名・岩沢・ひさ子・関根・入江・ユイ
大山・野田・藤巻・松下・高松・TK・竹山
真人・謙吾・沙耶・来ヶ谷・クド
なお、恭介、日向、葉留佳、美魚は確定です
22:00:00:00
↓5 重複したら更に下 -
57 : 2015/10/12(月) 21:45:38.12 -
分かりづらいので書き直し
22:00:00:00から
↓1~5重複したら更に下です
-
64 : 2015/10/12(月) 22:11:08.47 -
というわけでメンバーは
恭介・日向・葉留佳・美魚
真人・ユイ・野田・ゆり・来ヶ谷に決まりました、普通に強そうですねw
今日は以上です
お疲れさまでした -
81 : 2015/10/17(土) 15:13:59.61 ID:JOm3SS4WO - >>80みおちんと一緒で単に新規(今エピソードから)で参加したからじゃない?
-
82 : 2015/10/17(土) 17:26:43.71 -
支援ありがとうございます
葉留佳、美魚が確定なのは>>81の推測通りです
ちなみに次回分は書き終えているので、もう少しお待ち下さい
-
86 : 2015/10/18(日) 21:32:06.62 -
恭介「よし、全員くじは引いたな?」
恭介「いっせーのーで、で確認するぞ。いいな?」
来ヶ谷「ちなみに、あたりにはくじの先に赤い印がある」
来ヶ谷「そのくじを引いた者が、メンバー入りというわけだな」
クド「わくわく、どきどき…!」
岩沢「………………」
遊佐(あたりは嫌…。あたりは嫌…。あたりは嫌…。あたりは嫌…)
沙耶「なんか、すごい緊迫した雰囲気になってるわね…」
真人「おい、恭介。もったいぶってねえで、さっさと頼むぜっ!」
恭介「そうだな。いくぞー?」
-
87 : 2015/10/18(日) 21:33:19.28 -
恭介「いっせーの…、でっ!!」
恭介(俺の合図で、全員が一斉にくじを確認する)
恭介(それと同時に…)
葉留佳「やったーー!!私、あたりだーーっ♪」
日向「よっしゃあ!あたりだぜっ!」
藤巻「くっそ、はずれかよ…」
大山「僕もはずれみたいだよ…、ついてないなぁ…」
椎名「不覚っ!!」
恭介(あちこちで歓声や、悲鳴に近い声が上がり始める)
-
88 : 2015/10/18(日) 21:34:10.21 -
野田「ふははははっ!恭介っ!やはり俺とお前は戦う運命にあるようだなぁ!!」
真人「同じチームなんだから、戦うもなにもねえだろ」
野田「む、真人っ!お前はどうだった!?」
真人「ほら、見てのとおりだ」
恭介(真人が赤い印のついた、自分のくじを見せる)
真人「これも、筋肉の成せる技だぜっ!」
高松「バカルテットからは、野田くんと真人くんが選ばれましたか」
松下「俺たちの分まで、頑張ってくれ!」
真人「おうよっ!」
野田「任せてくれ…!高松、松下っ!」
-
89 : 2015/10/18(日) 21:34:54.40 -
TK「Goddamn…!!」
謙吾「ガッデム…!!」
クド「ガッデムなのです…」
恭介(TKと並んで、頭を抱えているのは謙吾と能美だ)
恭介(特に謙吾は、すげえ悔しそうだな…)
恭介「残念だったな、謙吾」
謙吾「…恭介。いや、仕方ない。俺の修行不足だ…」
真人「筋肉が足りなかったんだろ、ドンマイ!」
恭介「いや、足りなかったのは運だからな…」
-
90 : 2015/10/18(日) 21:35:46.00 -
葉留佳「あちゃ~、謙吾くんとクド公ははずれちゃったのか~」
クド「はい…、みなさんはどうでしたか?」
来ヶ谷「フッ…。私はあたりだったぞ」
美魚「わたしもです」
クド「お二人ともおめでとうございますっ!はずれてしまったのは残念ですが…」
クド「その代わり、みなさんのことを一生懸命応援しますっ!」
謙吾「…………!!」
来ヶ谷「うむ、楽しみにしておくよ」
-
91 : 2015/10/18(日) 21:36:26.63 -
葉留佳「沙耶ちゃんはどうだったの?」
沙耶「あたしもはずれね…。今回は応援に回るわ」
美魚「遊佐さんはどうでしたか?」
遊佐「はずれです。本当に誠に非常に遺憾で無念で残念極まりませんが、はずれなので仕方ないですね」
恭介「…のわりに、なんか表情がイキイキしてないか?」
遊佐「気のせいです」
-
92 : 2015/10/18(日) 21:37:12.85 -
ユイ「よっしゃあーーっ!!あたしも野球ができるーーっ!!」
日向「なんだ。悶絶パフォーマンスのデスメタルボーカルまでメンバー入りかよ…」
ユイ「んなパフォーマンスするキャラに見えるかあぁっ!!」
日向「見えるよ、十分…」
ユイ「ふっふっふーん!こう見えてあたし戦力になるよぉ?」
日向「戦力?お前が?」
日向「いや待てよ?デッドボールを顔面に受けて危険球。相手ピッチャー退場…、当たり屋か!!」
ユイ「お前の脳みそ、とろけて鼻からこぼれ落ちてんじゃねぇのかああ、ごらあっ!!」
バキッ!
-
93 : 2015/10/18(日) 21:38:01.68 -
恭介「おお、ナイスハイキックだな」
竹山「運動神経は良さそうですね」
日向「ぐはっ!!おま…俺、先輩だからなっ…」
ユイ「おっと…先輩のお脳みそ、おとろけになって、お鼻からおこぼれになっておいてでは?」
日向「なるかあぁーーっ!!」
ゲシッ
ユイ「ぐぎゃあっ!」
恭介(日向が仕返しとばかりに、ユイの後頭部に本気キックを食らわした)
ユイ「先輩、痛いです…」
日向「俺だって痛えーーよっ!!」
-
94 : 2015/10/18(日) 21:38:45.42 -
入江「ガルデモからはユイだけが当選だね」
関根「おのれぇ…、只でさえ人気キャラの癖に…!」
入江「いやいやいや。何言ってるの、しおりん」
岩沢「…………………」ガーン
ひさ子「…い、岩沢。これは運だから、こういう時もあるから!なっ!なっ!」
入江「岩沢さんの土下座ポーズなんて初めて見た…!」
関根(これはマジで脈ありなのでは…?)
-
95 : 2015/10/18(日) 21:39:43.46 -
恭介「えーっと、当選なのは…」
恭介「三枝に日向。野田と真人に、来ヶ谷と西園、ユイか」
恭介「あと一人誰だ?竹山、お前か?」
竹山「いえ、僕ではありません。それと僕のことはクライ…」
ゆり「…あたしよ」
恭介(ゆりが頬杖をつきながら、あたりくじをプラプラさせている)
野田「よっしゃああぁぁああーーーっ!!」
野田「やはり俺とゆりっぺは、運命の赤い糸で結ばれて…」
ゆり「……………」スチャ
野田「待て、ゆりっぺ!?なぜ無言で銃を構えるんだ!?」
松下「そのうち本当に撃たれるかもな」
椎名「どうせ死なないんだ、問題ない」
野田「問題あるわっ!」
-
96 : 2015/10/18(日) 21:40:56.66 -
日向「おーっと?いつもはさぼってるゆりっぺも今回は参加か!」
ゆり「人聞き悪いこと言わないでよ!日向くん!」
ゆり「まあ、よくよく考えてみれば、神が何か仕掛けてきた時に、その場にあたしがいないのも格好つかないしね」
ゆり「やるからには、優勝目指すわよ!いいわね!?」
恭介「ああっ!もちろんだ!」
-
97 : 2015/10/18(日) 21:41:32.84 -
高松「私たちは今回は役目なしですか?」
藤巻「いっそ、もう1チーム作って乱入しようぜ」
沙耶「それは多分意味ないわね。今回の作戦の要は恭介くんだし」
岩沢「棗が二人いたら良かったんだけどな…」
美魚「恭介さんが二人…」
遊佐「なんて恐ろしい妄想を…!」
恭介「おいこら、遊佐。そろそろ落ち込むぞ俺…」
-
98 : 2015/10/18(日) 21:42:36.46 -
謙吾「フッ…。だが、役目なしと言うのは違うぞ!高松!」
高松「…と、言いますと?」
謙吾「俺たちには、俺たちにしかできないことがあるということだ!」
岩沢「本当か、宮沢!?」
真人「ん?お前何企んでんだよ?謙吾」
関根「悪巧みなら、あたしにも一枚噛ませて下さいよー♪ぐふふ」
謙吾「悪巧みじゃない!戦線の為に、俺たちにもできることがあるというだけだ」
大山「そうなの?じゃあ僕達も協力するよ!」
入江「でも、何をする気なんですか?」
謙吾「それは後で話そう。野球班には当日までのお楽しみだ!」
藤巻「仕方ねえな。やること無しってのも暇だし付き合ってやるか!」
TK「I kiss you!!」
恭介(どうやら謙吾を中心に、野球しない組もなにかおっ始めるつもりらしいな)
-
99 : 2015/10/18(日) 21:43:26.26 -
ゆり「…なんだかよく知んないけど、あたしたちの邪魔だけはしないようにね」
恭介「さて、球技大会は明後日だろ?今日はもう遅いし、練習できるのは明日だけだな」
ゆり「そうね。ポジションや打順も決める必要あるし、明日は厳しく行くわよ!」
恭介「了解だ!みんな、ベストを尽くそうぜ!」
全員「「「おおーーーっ!!」」」
恭介(球技大会当日に向けて、それぞれが闘志を燃やしながら、今日も夜が更けていった)
-
100 : 2015/10/18(日) 21:44:19.54 -
来ヶ谷「ちなみにな、恭介氏」
恭介「ん、なんだ?」
来ヶ谷「ゆり君は、絶対にあたりを引くように、くじに細工をしていたんだ」
恭介「やっぱそうか。お前がくじ用意した時点で、そうじゃねえかと思ったぜ」
恭介「用意周到だな、来ヶ谷は」
来ヶ谷「褒め言葉として受け取っておくよ」
恭介「で?自分で作ったくじで、自分があたり引いてる点についてはどうなんだ?」
来ヶ谷「…細かいことを気にしているようじゃ、将来ハゲるぞ?恭介氏」
恭介「うっせえ!」
-
101 : 2015/10/18(日) 21:45:39.66 -
ー翌日ー
恭介(俺たちは朝早くから、野球場に集合していた)
恭介(この時間は、NPCたちは授業を受けている頃だ)
恭介(まさに心置きなく練習できるってもんだぜ)
恭介「さて、とりあえずは守備を見てみるか」
ゆり「リトルバスターズは元野球チームなんでしょ?」
ゆり「あなたたちは、自分のポジション決まってなかったの?」
恭介「大体は決まってたが、鈴と理樹の二人がいないしな」
恭介「西園ももとはマネージャーだから、実際どんなもんか確認する必要あるし」
美魚「よろしくお願いします」
葉留佳「なんだかんだいって、みおちんもバトルランキングでブイブイいわせてたし、問題ないんじゃない?」
美魚「NYP兵器が使えたら良かったのですが」
ゆり「いやいやいや。さすがに問答無用で反則負けになるわよ…。あんなの…」
-
102 : 2015/10/18(日) 21:46:14.81 -
日向「俺とゆりっぺと野田は、これでも戦線創設時からのメンバーだ」
日向「運動神経には自信あるぜ?」
野田「フッ…、当然だ!」
ゆり「となると、懸念材料は…」
日向「ああ…」
恭介(日向がユイに視線を向ける)
-
103 : 2015/10/18(日) 21:47:56.86 -
日向「こんな頭のネジ飛んだやつの仲間だと、思われなきゃいけねーとはな…」
ユイ「ふふん、こう見えて、あたしは生前よく野球中継見てましたからね!」
ユイ「このユイにゃんが、ばんばんホームラン打ってみせますよ!」
日向「…あん?もういっぺん言ってみろ」
ユイ「ユイにゃんっ♪」
日向「そっっっいうのが一番むかつくんだぁよっ!!!」
恭介(ユイに卍固めを決める日向)
ミシミシミシミシっ…
ユイ「ぎゃああぁぁぁ…!!ギブギブギブギブ!!」
ゆり「馬鹿二人はおいといて、話進めるわよー」
真人「初っ端からグダグダだな」
来ヶ谷「いつも通りだな」
-
104 : 2015/10/18(日) 21:48:56.60 -
ゆり「とりあえず必要なのはピッチャーね」
ゆり「バッティングピッチャーを用意した方が、より実戦の感覚にも近いし、誰かできる人いないの?」
恭介「本職じゃないが、一応出来ないこともないぞ?」
日向「へえ。恭介は、変化球とかなんか投げれんのか?」
恭介「ああ。球速は大体140km/h、球種は…」
恭介「ストレート、カーブ、スライダー、シュート、シンカー、ナックル、チェンジアップってところか」
日向「どこが一応だよ!?普通に甲子園のエースとして通用しちゃいますからっ!!」
恭介「っつっても、俺の変化球は付け焼き刃だ。大して使えるもんでもない」
恭介「試合形式がトーナメント制である以上、スタミナを温存する為にも」
恭介「基本はストレートとチェンジアップに頼って、配球を組み立てた方が良いだろうな」
ゆり「さすが野球経験者ね。ちゃんと考えてるじゃない」
-
105 : 2015/10/18(日) 21:49:49.03 -
真人「でもよ恭介、お前いつの間にピッチャーの練習してたんだよ?」
恭介「鈴が投げれる球種を、兄貴の俺が投げられないのはカッコ悪いだろ?」
恭介「だから、こっそり練習してたんだよ」
ゆり「鈴って聞き覚えのある名前ね。バス事故で生き残った、初期メンバーの一人だっけ?」
恭介「ああ。そして、俺の妹でもある」
ゆり「えっ、そうなの!?棗くんって妹がいたの!?」
恭介「いるぞ、一つ年下の妹がな」
野田「恭介の妹ともなると、またすごいやつなんだろうな…!」
来ヶ谷「まあ、恭介氏が今上げた球種を自在に操り、ストレートは最速150km/hを超える程度にはすごかったな」
日向「お前らはメジャーでも目指してたのかよっ!?」
ゆり「元祖リトルバスターズは、化物の集まりね…」
-
106 : 2015/10/18(日) 21:50:48.39 -
葉留佳「じゃあ、ピッチャーは恭介さんがやるとして、次はキャッチャーだね」
ゆり「そうね。ピッチャーとキャッチャーくらいは、早いうちから決めておいた方がいいわよね」
野田「フッ…!恭介がピッチャーをやるというのなら!その球は俺が受け…」
ゆり「却下」
恭介(意気揚々と野田がキャッチャーに名乗りを上げようとするが、言い終わる前に却下された)
野田「なぜだっ!?なぜ却下なんだ、ゆりっぺ!?」
ゆり「野田くんをキャッチャーにしたら、絶対棗くんに無駄にライバル意識燃やして面倒なことになるじゃない」
日向「ああ、なるな」
美魚「宿命のライバルですからね、恭介×野田は」
恭介「そのカップリングの×はやめてくれ…」
美魚「いやです」
-
107 : 2015/10/18(日) 21:51:59.03 -
日向「でも野田に内野とか外野の守備させても、アホだから足ひっぱりそうだぜ?」
日向「まだ、キャッチャーの方が適任なんじゃねーか?」
ゆり「確かにそれも一理あるわね。アホだし」
野田「俺はアホではないっ!!」
恭介「まあまあ、良いじゃねえか。野田がやりたがってんだし、やらせてやろうぜ!」
ゆり「まあ…、棗くんがそう言うなら仕方ないわね」
野田「本当かっ!?」
ゆり「でも、もし棗くんに対抗してアホな振る舞いしたら…」
ゆり「その時は延々と罵倒しまくるわよ?覚悟しときなさい」
-
108 : 2015/10/18(日) 21:52:49.39 -
野田「了解だ!ゆりっぺ!」
ゆり「返事だけはいいんだから。本当に…」
野田「フッ…。恭介、キサマが如何なる球を投げようと、俺が全て受けきってやる…!」
恭介(ハルバードを突きつけられる)
ゆり「ってこらーーーっ!!言った矢先にライバル意識燃やすなっ!!」
ゆり「それとハルバード持ち出すなーーーっ!!」
ユイ「アホですね!」
-
109 : 2015/10/18(日) 21:54:09.37 -
恭介「そんじゃ、話もまとまったところで、とりあえず守備練習から始めるぞー!」
恭介(みんなに号令をかけ、バッティングピッチャーとして、マウンドに立つ)
恭介(まず、真人、来ヶ谷、三枝は案の定なんの問題もない)
恭介(特に来ヶ谷と三枝の守備力は魅力的だ。二人には守備の要になってもらうか)
恭介(次にゆりっぺ、日向、野田。ゆりっぺはさすがの運動神経だ)
恭介(動きが素早いし、内野ゴロ時のフォーメーションも説明するまでもなく、自分で判断できている)
恭介(日向ももと野球部だったらしく、そこらへんの動きは大したもんだ)
恭介(ただ、肩が弱いらしく、外野よりは内野向きだな)
恭介(野田は逆に俺へのライバル意識がプラスになってんのか、どんな球投げても、一球も逸らさずにキャッチしてくれている)
恭介(これなら、あの球も大丈夫そうだな…)
恭介(しかも…)
-
110 : 2015/10/18(日) 21:55:01.08 -
ユイ「ほっ!いえいっ!とりゃあーっ!」
恭介「ユイのやつも、普通に守備できてるな」
日向「ああ、めちゃくちゃ意外だぜ…」
恭介(ショートの位置に立ち、問題なく捕球していくユイ)
恭介(さすがにすげえ上手いって程でもないが、初心者のわりに良い動きをしている)
ユイ「ふっふっふ。ユイにゃんは天才なんですよ?ま、先輩の見る目が無かったってことですねっ!」
日向「…おい、ユイ。ちょっとファーストに送球してみろ」
ユイ「お安い御用ですっ!それっ!」
ビュっ!
真人「あだっ!?」
恭介(ユイの投げた球は、ファーストとは正反対。サードに立っていた真人の顔面に直撃した…)
-
111 : 2015/10/18(日) 21:56:10.13 -
ユイ「あ、あれ…?」
日向「どこが天才だっ!!いや確かに天才だよ!!神なるノーコンだなあっ、あん!?」
ミシミシミシミシっ…
ユイ「いだだただっ!!わざとじゃない、わざとじゃないですって!!」
恭介(またもユイに卍固めを決める、日向)
真人「なあ、今のはギャグか…?俺はツッコむべきだったのか…?」
恭介「いや、マジで投げてあれらしいな…」
来ヶ谷「まるで昔の鈴君だな」
ゆり「あんな送球しか出来ないんじゃ、ユイはファースト以外使い物になりそうにないわね…」
恭介「もしもの時は、俺たちでフォローするか」
恭介(それと、もう一つ問題なのが…)
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112 : 2015/10/18(日) 21:57:17.91 -
美魚「えいっ!」
ぽてん
美魚「あ…」
葉留佳「ドンマイですヨ!みおちん!」
美魚「す、すみません…!」
恭介(どうやら、西園はボールとの距離感がまだ掴めていないみたいだな)
日向「まあ、女子は普通はあんなもんだよな…」
野田「どうするんだ?恭介!!」
恭介「西園には素早い動きは難しいだろうし、ライトを守らせるか」
日向「だな。相手も基本、素人だ。ライトにはあまり球飛ばねーだろ」
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113 : 2015/10/18(日) 21:57:49.26 -
ゆり「西園さんはユイと違って、普通に送球できるのが救いね…」
日向「ユイの奴は運動神経は悪くないが、野球のセンス皆無だからな…」
ユイ「こらぁああーー!!聞こえてるからなああーー!!」
ユイ「バッティングで汚名挽回じゃああーーっ!!」
来ヶ谷「一般的には汚名挽回は誤用だ。汚名返上と言うべきだぞ、ユイ君」
ゆり「アホね」
-
114 : 2015/10/18(日) 21:59:36.36 -
恭介(そしてバッティング練習、ここで意外だったのが)
美魚「えいっ!えいっ!えいっ!」
キン!キン!キン!
ユイ「………………」
葉留佳「汚名挽回したのは、みおちんだったネ!」
恭介(わりと速めに投げたストレートにも、しっかり対応してミートしている)
恭介(無駄に力んだりせず、自然体って打ってるのが良いのかもしれないな)
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115 : 2015/10/18(日) 22:00:46.79 -
恭介「フッ…。埋もれていた原石を、掘り当てちまったな…!」
真人「なんかちょっと意外だぜ」
来ヶ谷「考えてみたら、あらぬ方向に飛んだ打球も、即座に日傘でガードしていたからな。美魚君は」
葉留佳「もしや読書で鍛えた集中力が、バッティングに活かされているのかっーー!?」
ゆり「そんな漫画じゃあるまいし…」
恭介「それっ!」
ポイっ
美魚「きゃっ!?」
恭介(試しにチェンジアップを投げてみると、豪快に空振りして尻餅をついた…!)
-
116 : 2015/10/18(日) 22:01:42.26 -
恭介「わ、わりい、西園!大丈夫か!?」
美魚「…こんなことする人、嫌いです」
恭介「悪かったって!実戦訓練のつもりだったんだよ!」
葉留佳「…まあ、みおちんってこういうタイプですよネ」
来ヶ谷「多少、隙があるほうが女としては魅力的なものだよ。葉留佳君」
日向「でも西園は、バッティングだと普通に戦力になるな」
日向「で…、自称天才さんは…」
ユイ「えいっ!ほいっ!へいっ!」
ブンっ!ブンっ!ブンっ!
恭介(フォームすら定まってない。完璧にバットに振り回されてるな)
-
117 : 2015/10/18(日) 22:02:39.86 -
野田「駄目だな、あれは…」
ゆり「完っ全に扇風機と化してるわね…」
日向「これで誰が一番役立たずか決まったってわけだ」
ユイ「役立たずって言うなーーっ!!」
葉留佳「まあまあ、日向くん。最初は誰だってそんなもんだって!」
恭介「ああ。今日一日練習して、正しいフォームを身につけたら、打てるようになるだろ」
日向「そう、上手くいくかぁ?」
恭介「大丈夫だ!野球に必要なのは、ガッツと勇気と友情だからなっ!」
ゆり「どこのスポ根漫画よ…」
恭介(まあ、これは漫画じゃなくて、小毬からの影響なんだけどな)
-
118 : 2015/10/18(日) 22:03:32.69 -
ユイ「正しいフォームを身につけたら、ホームラン打てるようになりますかねっ!?」
日向「は?」
恭介「ホ、ホームランか…?」
ユイ「はい!あたしが打ちたいのは、ホームランなんです!」
恭介(ユイが真剣な眼差しを、俺たちに向けてくる)
ゆり「あのね…。まともにバットに当てることすら出来ないのに、一日でホームランが打てるわけないでしょ」
野田「なに考えてんだ、お前…」
美魚「さすがに一日でホームランは、不可能だと思いますよ」
ユイ「や、やっぱりそうですか…。でも、ホームランを打ってみたいんです!」
恭介(みんなに非難されても、ホームランに拘るユイ)
恭介(これは、なにかワケありっぽいな)
-
119 : 2015/10/18(日) 22:04:56.42 -
恭介「ユイ、なんでそんなにホームランが打ちたいんだ?」
恭介「なにか理由があるんだろ?」
ユイ「…はい。さっきもちょっと言いましたけど、生前は、野球中継をよくテレビで見てたんです」
ユイ「それで、ホームランってのを打ったら、すごく気持ちいいんだろうなって思いました」
ユイ「ホームラン打ったら、負けてても、みんなにハイタッチで迎えられるじゃないですか」
ユイ「ホームランだけは、どんな時でも、どんな劣勢でも、みんなに喜んで受け入れてもらえるんだなって」
ユイ「こんなあたしでも…」
ユイ「間違ってますか…?」
恭介(みんなに喜んで受け入れてもらえる。だから、ホームランを打ちたい)
恭介(もしかしたらこれは、ユイの生前生きていた環境に、起因する想いなのかもしれないな…)
-
120 : 2015/10/18(日) 22:06:44.18 -
日向「…そうだよ。ホームランだけは、どんな状況でも、みんなに手放しで喜んで迎えてもらえる」
ユイ「その特別なホームランを打ちたいんですっ!」
恭介「ホームランか…」
日向「…無理だよ。たとえ正しいフォームを身につけたところで、お前の筋力じゃ届かねーよ」
真人「悪いが俺もそう思うぜ。フォームを直せば、ヒットは打てると思うけどな」
ユイ「じゃあ、筋トレにも励みます!だから、打ち方教えてください!」
ユイ「お願いしまっす!」
恭介(頭を下げて、熱心に頼み込むユイ)
恭介(野球初心者で筋力も足りない。そんなやつが一日でホームランなんてどう考えても無理だ)
恭介(でもそこまで頼まれると、叶えてやりたいと思っちまうよな)
-
121 : 2015/10/18(日) 22:07:49.13 -
ゆり「どっちにしたって、筋力なんて一日でつくものじゃないわよ。諦めなさい」
恭介「おい、ゆりっぺ…」
ゆり「あたしたちの目的は、オペレーションを成功させることよ」
ゆり「ユイにホームランを打たせることじゃないわ」
真人「それは、そうだけどよ」
日向「…だったら、腹筋背筋腕立て伏せスクワット、30回を3セット」
日向「それをやれるだけの根性を見せたら、バッティング教えてやるよ」
ユイ「はああぁぁぁぁぁーー!?それぞれ30回を3セット!?」
日向「運動部としてはそれくらい当たり前だかんな。甘いくらいだ」
日向「そんなのでびびってるようじゃ、到底ホームランを打つなんて無理だぜ?」
-
122 : 2015/10/18(日) 22:08:31.45 -
ゆり「日向くん、あなたね…」
日向「…別に、本気でホームラン打たせようとは思ってねーよ」
日向「ただ、このままのヘボバッティングじゃ、マジで足手まといだ」
日向「一度、根性叩き直して、基本のバッティングぐらいは教えてやった方がいいんだよ」
恭介(あれだけ邪険にしときながら、結局ユイに世話焼いてやるつもりなんだな。さすがは日向だ)
恭介(ちょっと素直じゃないけどな)
-
123 : 2015/10/18(日) 22:09:30.20 -
恭介「でもそれだとバッティング教える前に、ヘバッちまうだろ」
恭介「それぞれ30回だけで良いんじゃないか?」
野田「30回!?少なすぎだろっ!一瞬で終わるぞ、その程度!」
真人「ああ、全然物足りないぜ!」
来ヶ谷「君たち筋肉馬鹿の基準と、一緒にするんじゃない」
日向「30回か…。まあ後でバテバテになっても面倒だからな。それで良しとしてやるか」
ユイ「わ、わかりましたっ!やってみせますっ!」
-
124 : 2015/10/18(日) 22:10:38.41 -
ゆり「まったく…。そういうことなら、ちゃんと日向くんが面倒みてあげるのよ?」
日向「ええっ!?俺だけかよっ!!」
ゆり「当たり前でしょ。あなたが言い出したんだから」
ユイ「あたし的には、棗先輩の方が、優しく教えてくれそうなんだけどなぁ…」
ゆり「だめよ。棗くんはピッチャーなんだから」
恭介「悪いな、ユイ。けど、日向だって元野球部らしいし、優しいやつだから大丈夫さ」
ユイ「えええぇぇ…。ほんとですか?全然そういう風には見えないんですけど…」
日向「…お前はよくそんな舐めた態度がとれるなっ!?」
日向「そっちがその気なら、厳しくいくかんな!」
ユイ「げっ、マジですか…!?」
-
125 : 2015/10/18(日) 22:11:43.25 -
日向「口答えするなぁ!いつまで間抜けづらさらして突っ立っている!」
日向「さっさと這いつくばって地面にキスしろ!」
ユイ「…え?あ、はえ?」
日向「誰がそんな人間みたいな返事を教えた!お前に許した言葉はひとつだけだ!」
ユイ「…サー!イエッサー!」
日向「そうだ!そしてお前はなんだ!」
ユイ「ユ、ユイです!戦線メンバー陽動班担当のユイです!」
日向「違う!お前はクズだ!豚にも劣るマヌケ野朗だ!」
日向「ただ酸素を消費するだけで雑草ほどにも価値のない存在だ!」
ユイ「さ、サー!イエッサー!」
-
126 : 2015/10/18(日) 22:12:25.57 -
日向「声が小さい!それでもタマついてんのか!」
ユイ「ついとらんわーーー!!」
チーン!
日向「ふぅぐ!」
恭介(日向がタマを蹴り上げられた…)
恭介(その痛みを想像するだけで、俺たち男子組は内股になってしまう)
日向「お、ま…潰れたらどうすんだよ…」
ユイ「潰す気だったわぁぁーー!!」
-
127 : 2015/10/18(日) 22:13:38.41 -
恭介「なんだっんだ?日向のあのノリ…?」
ゆり「戦線流のしごきよ。まだ人数が足りてなかった頃に、あたしとチャーであんな感じにしごいてたのよ」
野田「う、うわあああぁぁぁ…!!」ガクガク
真人「お、おいっ!しっかりしろ野田!?」
ゆり「トラウマがフラッシュバックしただけよ。ほっといたらすぐ直るわ♪」
恭介「その笑顔がこえーよ…」
葉留佳「戦線の闇は深い…!おわかりいただけただろうか…?」
来ヶ谷「君はどこを向いて喋ってるんだ…?葉留佳君」
-
128 : 2015/10/18(日) 22:14:53.48 -
ゆり「とにかく、やるんなら隅っこで真面目にやりなさい」
日向「くっそぅ…。思わぬ貧乏くじ引いちまったぜ…」
恭介(ブツブツ文句を言いながらも、ユイを連れて、ベンチ際に引っ込んでいった)
恭介(ユイの事は日向に任せるとするか)
恭介「よしっ!練習再開だ!」
恭介(途中休憩を挟みながらも、バッティングと守備練習を繰り返す)
恭介(たまにユイが日向を蹴飛ばしたり、日向もユイに関節技決めたりしてる様子も見えたが)
恭介(案外、仲良くやってるみたいだな)
恭介(久しぶりの野球を楽しみながら、日が暮れるまで俺たちは練習を続けた…)
ーーーーー
ーーー
ー
-
129 : 2015/10/18(日) 22:15:37.17 -
恭介「今日はここまでにしよう。良い汗かいたな」
葉留佳「いやー、やっぱり野球は楽しいネ!」
来ヶ谷「美魚君は、初めて野球をやってみてどうだった?」
美魚「はい。自分でやるのも、また違う楽しさがあるものですね」
美魚「やってみて良かったです」
恭介「だろ!これだけ体動かしたんだ、今日の飯はうまいぞー!」
ゆり「そういえば、もう夕食時ね。随分、時間の経過が早かったような気がするわ」
葉留佳「楽しい時間っていうのは、早くすぎちゃうものなんですヨ!」
ゆり「楽しむのも結構だけど、本来の目的を忘れないようにね」
-
130 : 2015/10/18(日) 22:16:33.77 -
野田「もちろんだ…!ゆりっぺの為に、絶対優勝してみせるっ!!」
ゆり「はい、みんなー!これが本来の目的を忘れたアホの姿よー!」
野田「な、なぜだっ!ゆりっぺ!?」
来ヶ谷「本来の目的は、優勝ではなく、神の情報を掴むことだぞ。野田君」
野田「そうだったーーーっ!!」
葉留佳「アホですネ」
恭介「ああ、アホだ」
-
131 : 2015/10/18(日) 22:17:13.87 -
真人「心配すんな野田!俺も忘れてたからよっ!」
野田「さすがだ…!それでこそ真人だなっ!」
ガシッ
ゆり「ほんと馬鹿ね、あなたたち」
恭介「真人と野田は、これくらいが丁度いいんだよ。それよりもだ」
恭介(会話にすら入ってこれない、二人に目を向ける)
-
132 : 2015/10/18(日) 22:17:58.14 -
日向「はぁ…はぁ…はぁ…」
ユイ「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…」
恭介「二人とも大丈夫か?」
日向「大丈夫じゃねえよ…」
ユイ「大丈夫じゃないです…」恭介(地面に手をついて、息も絶え絶えの二人)
野田「なんで俺たちより疲れてるんだ!?お前たちは!?」
ゆり「そりゃあ、あんな頻繁に仲良くケンカしてたらねぇ…」
日向「仲良くねえよっ!!」
ユイ「仲良くないですっ!!」来ヶ谷「息ぴったりだな」
葉留佳「ケンカする程、仲が良いって言うしね」
-
133 : 2015/10/18(日) 22:19:24.37 -
ゆり「で、それだけ練習して、バッティングはマシになったの?」
日向「いや、全然駄目だな…。こいつ教えたことを片っ端から忘れていく鳥頭だ」
日向「ちゃんと打てるようなるまで、途方もない時間がかかりそうだぜ…」
ユイ「うるさいわーーっ!!最初に筋トレで体力使いすぎたからじゃあーーっ!!」
日向「ホームラン打つ気なら、筋力が必要だろうがっ!!」
ユイ「くっそーーっ!!なんでホームランなんて打ちたいって思っちまったんだあぁぁーー!!」
日向「お前がみんなに、喜んで迎えてもらえるからって言ったんだろうがっ!!」
-
134 : 2015/10/18(日) 22:20:00.62 -
美魚「…夫婦漫才ですか?」
日向「ちげえよっ!!」
ユイ「ちがうわっ!!」来ヶ谷「ネタ合わせしても、これほどタイミングは合うまいな」
ゆり「なんの訓練してたのよ、あなたたち…」
恭介(どうやら、筋トレとバッティング練習を通じて、二人の間に絆が芽生えたみたいだな)
恭介(それもまた、青春ってやつだぜ)
-
135 : 2015/10/18(日) 22:20:49.07 -
恭介「さて、二人の仲が深まったのは結構だが、最後に発表することがある」
恭介「お待ちかねの、ポジションと打順についてだ」
恭介「今日の練習を見て、俺が独断と偏見で決めたものだ」
ゆり「まあ一応、リーダーは棗くんだし。真面目に考えたなら従うわよ」
ゆり「『チャンスの場面で、ユイがホームランを打ったら燃えるから四番!』とか言うようなら却下するけど」
恭介「…………ちょっと考え直していいか?」
ゆり「おいっ!?」
恭介「冗談だ」
ゆり「ほんっとにあなたって人は…!」
真人「なんだかんだ、ゆりっぺも恭介のノリがわかってきてるな」
日向「結構、単純だからな。恭介も」
-
136 : 2015/10/18(日) 22:21:39.23 -
恭介「一番、ショート!来ヶ谷!」
恭介「来ヶ谷は脚が速いし、ミートも上手いからな。理想的なリードオフマンだ」
恭介「守備の腕は、今更言うまでもないだろ。期待してるぜ」
来ヶ谷「うむ、期待に応えよう」
恭介「二番はピッチャーの俺だ。状況に応じて、色んな策で相手チームを翻弄してやるぜ」
ゆり「相手からしたら、嫌なバッターになりそうね」
恭介「ま、二番ってそういうもんだからな」
恭介「わりと求められるものは多いもんなんだが、しっかり努めてみせるさ」
-
137 : 2015/10/18(日) 22:22:42.35 -
恭介「三番、サード!ゆりっぺ!」
恭介「後ろに四番が控えている以上、勝負されやすいのが三番だ」
恭介「よって求められるのはチーム一の勝負強さと、確実に塁に出るための長打力と俊足」
恭介「どれも満たしている、ゆりっぺが望ましい」
ゆり「へえ、あたしが一番勝負強いと?」
恭介「ああ、間違いなくな。チャンスを広げ、確実に後続に繋げるのがゆりっぺの仕事だ」
ゆり「わかったわ、任せなさい!」
-
138 : 2015/10/18(日) 22:23:47.12 -
恭介「四番、レフト!真人!」
真人「しゃあーーーっ!!待ってましたっ!!」
恭介「チームの顔、打線の核とも言えるのが四番だ」
恭介「最も必要なのは、存在感。威圧感とも言い換えられる」
恭介「お前の筋肉で、試合の流れを引き寄せるんだ。真人!」
真人「オーケー。筋肉の力、見せてやるぜ!」
-
139 : 2015/10/18(日) 22:24:42.86 -
恭介「五番、キャッチャー!野田!」
恭介「五番の役割は、わかりやすく言うなら自分で勝負を決めるくらいの、存在感と長打力」
恭介「状況次第じゃ、真人が勝負を避けられることもあるだろう」
恭介「そうなったら、お前が格好良く決めてやれ!野田!」
野田「ゆりっぺと真人の後に俺が決めるのか…!」
野田「いいだろう…!やってやる…!」
-
140 : 2015/10/18(日) 22:25:24.42 -
恭介「六番、セカンド!日向!」
日向「六番か、まあそれぐらいだろうな」
恭介「ああ。クリーンアップを返したり、自らチャンスメイクをする役目が六番だ」
恭介「そしてセカンドとして、守備でも活躍してもらうことになる」
恭介「そんだけ器用な対応は、野球部でプレイしてた日向がうってつけだ」
日向「口が上手いな、恭介は。ま、やってやるぜ!」
-
141 : 2015/10/18(日) 22:26:01.86 -
恭介「七番、センター!三枝!」
恭介「七番は言わば、第二の二番バッターだ」
恭介「俺にも負けないくらい、思う存分相手をかき乱してやれ」
葉留佳「お任せあれ!この日のためにイタズラしまっくってきたようなもんですヨ!」
恭介「それと三枝と言えば、粘り強い守備が持ち味でもある」
恭介「広い外野を駆け回って、ファインプレーを見せてくれよな!」
葉留佳「アイアイサー!」
-
142 : 2015/10/18(日) 22:26:56.74 -
恭介「八番!ファースト!ユイ!」
恭介「思いっきり打て!以上!」
ユイ「えええぇぇーー!?それだけですか!?」
恭介「難しいこと考える余裕無いだろ?」
恭介「とにかく、全力で打つことを考えろ。それだけでいい」
恭介「それと日向。セカンドとして、もしもの時はユイをフォローしてやってくれ」
恭介「もちろん、なるべく俺もフォローするがな」
-
143 : 2015/10/18(日) 22:27:31.99 -
日向「またお守りかよ…。仕方ねえな」
ユイ「足ひっぱんじゃねえぞーー!!ああんっ!?」
日向「100パーセント足ひっぱんのはお前の方だよっ!!」
ミシミシミシミシっ…
ユイ「いだいっいだいっ!!死ぬーっ!死ぬーっ!」
恭介「次行くぞー」
-
144 : 2015/10/18(日) 22:28:14.95 -
恭介「最後に九番、ライト!西園だ」
恭介「状況に応じた、器用なバッティングが求められる。ま、今日の調子でやれば問題ない」
美魚「はい、わかりました」
恭介「三枝、西園はまだ守備が苦手だからな。お前が捕れると思ったら、捕ってやってくれ」
葉留佳「オッケーですヨ!」
美魚「お願いします、三枝さん」
葉留佳「あいよっ。まあみおちんは、どーんと泥舟に乗ったつもりでいれば、だいじょぶじょぶ♪」
美魚「…やっぱり頼りないです」
葉留佳「なにぃーーーっ!?」
-
145 : 2015/10/18(日) 22:29:03.79 -
ゆり「なんかまとまりあるのか、無いのかよく分かんないチームになっちゃったわね」
恭介「俺たちらしくて良いじゃねえか。この九人が俺たちのチーム…」
恭介「リトルバスターズだ!!」
ユイ「戦線名と被ってません?」
恭介「良いんだよ。リトルバスターズという名前に意味がある」
恭介「オペレーションの目的も大事だが、やるからには楽しくやろうぜ!」
恭介「いいなっ!お前らっ!」
「「「おおーーーっ!!」」」
-
146 : 2015/10/18(日) 22:29:48.02 -
ゆり「やれやれ」
恭介(当然と言えば当然なんだが、本部での一件以来)
恭介(ゆりっぺとの距離が、また微妙に広がっちまったような気がするな)
恭介(でも、みんなで一緒に野球するのが、満更でもないように見えるのも確かだ)
恭介(だったら、やっぱ楽しくやらないとな)
恭介(ゆりっぺのためにも、みんなのためにも、そして俺自身のためにもだ)
ーーーーー
ーーー
ー
-
147 : 2015/10/18(日) 22:30:31.00 -
恭介(風呂上り。部屋に戻り、あとは寝るだけだ)
恭介(本当なら宿題とかあるんだろうが、俺たちは授業に出てないからな)
恭介「今日はサンキューな、日向」
日向「ん?なにがだよ?」
恭介「俺たちが練習してる間、ずっとユイの面倒見ててくれたろ」
日向「ああ、そのことか。いいんだよ、ゆりっぺの命令だったしな」
-
148 : 2015/10/18(日) 22:32:16.97 -
日向「しっかしホームランなぁ。随分、無謀な夢持ちやがってユイのやつ」
恭介「まあ、そう言うなよ。確かにホームランは特別だからな。憧れる気持ちはわかる」
日向「そりゃ俺だってわかるけどな。でも、今日一日教えたってのに、フォームもまだめちゃくちゃだ」
日向「筋力だって足りてないし、本気でホームラン打つ気なら、すげえ時間と努力が必要になるだろうな」
恭介(残念だが、日向の指摘は正しい。ただまぐれだけで打てるもんでもないから、ホームランは特別なんだ)
-
149 : 2015/10/18(日) 22:34:09.44 -
恭介「案外、球技大会終わっても、諦めずにホームラン打つ特訓するかもしれないぜ?」
日向「さすがにねーだろ。あいつのやりたいのはガルデモだろ?」
日向「噂に聞いた感じじゃ、ガルデモの練習だって相当ハードらしいし」
恭介「それでもコツコツ努力を続けてたら、いつか打てるようになるさ」
日向「努力ね…。まあ俺は知ったこっちゃないけどな」
恭介(そっぽを向く。素っ気ない態度をとっているが、バッティング自体はすげえ真剣に教えてるように見えた)
恭介(なんだかんだ日向も、ユイの事を気にかけてるんだろう)
恭介(もしユイが、本当にホームランを諦めずに努力を続けたら)
恭介(きっと面倒見てやるんだろうな、日向なら)
-
150 : 2015/10/18(日) 22:35:32.06 -
日向「ってかユイはともかく、恭介たちはさすが野球経験者って感じの動きだったな」
恭介(日向が話題を変える)
日向「西園だって、初めてのわりには筋が良かったしな」
恭介「そうか?日向たちだって、動きが素人のそれじゃなかったぜ」
日向「俺たちは、何十年も訓練積んでるからだよ。前にもちょっと言ったけど、俺は元野球部だし」
恭介(そっか。日向も俺たちみたいに、仲間と一緒に白球を追いかけてたりしてたんだよな)
-
151 : 2015/10/18(日) 22:36:35.06 -
恭介「日向はどうして、野球を始めたんだ?」
日向「えっ、俺か?」
恭介「ああ。父親の影響とか、友達に誘われてとか色々あるだろ?」
恭介「もしくは、憧れのプロ野球選手でもいたのか?」
日向「違う、違う。俺はそんな理由で、野球始めたんじゃねーよ」
日向「ただ…、何て言うんだろうな。とにかくなにか、打ち込めるものが欲しかったんだよ」
日向「それが、たまたま野球だった。そんだけの話だ」
-
152 : 2015/10/18(日) 22:38:28.25 -
恭介「日向…?」
恭介(日向の表情に僅かに影が差す。もしかしたら、ユイがホームランにすげえ拘るのと同じで)
恭介(日向も、生前野球に関してなにかあったんだろうか?)
恭介(本当に、ただ打ち込めるものが欲しかったから、野球をしてたなんてのは寂しすぎる)
恭介(俺としては、ユイにも日向にも楽しく野球をやって欲しい)
日向「そういう恭介は、なんで野球始めたんだよ?」
日向「真人たちと一緒に、わざわざチーム作るところから始めたんだろ?」
恭介(ふっ…。丁度良いタイミングの質問だ。いいぜ、答えてやろうじゃねえか)
恭介「俺が野球を始めたのはな…」
-
153 : 2015/10/18(日) 22:39:16.51 -
恭介「俺が、俺であるためだ!」
日向「は…?」
恭介「俺が俺であるために、俺は野球を始めたんだよ!」
日向「えーっと…?何言ってるのかさっぱりわかんないんだが…?」
恭介(ポカンとした顔をしてるな。まるであの時の理樹たちを見てるみたいだぜ)
恭介(まだあの世界を創る前。理樹が昔みたいに、みんなでなにかをしようと言い始めた)
恭介(もちろん、俺も賛成だった。これまで何度も、楽しむだけのためにミッションを起こしてきたんだから)
-
154 : 2015/10/18(日) 22:40:14.64 -
恭介「当時俺は、就職活動に奔走してたんだけどな…」
恭介「ふと、なにやってんだろう、って思う時があった」
恭介「これからサラリーマンとしてあくせく働いていくんだろう…、それだけは確かだ」
恭介「でも、それは流されているだけだ」
恭介「周りがそうし始めているから、自分もなんとなくそうしようってだけだ」
恭介「そこには自分がいない。自分自身というものがない」
恭介「体だけあっても、中身はからっぽの人形のようじゃないか。そうは思わないか?」
日向「まあ、なんとなくはわかるが…」
-
155 : 2015/10/18(日) 22:41:01.51 -
恭介「だから、俺は俺であり、そして俺がここにいることを証明し続けるために…」
恭介「野球をやることにした」
日向「ん?途中までは理解できていたつもりなのに、最後の部分だけわからなかったぞ…」
日向「…なあ、恭介。なんでそこで野球だったんだ?」
日向「ようは、自分の意志で何か始めることに意味があるって話だろ?」
日向「別に人数集める必要なんかねーし、野球なんて手間かかるもんじゃなくても…」
恭介「否!だからこそだよ!」
日向「は?」
-
156 : 2015/10/18(日) 22:42:17.57 -
恭介「自分だけでなにかするより、みんなでやるほうが楽しいだろ?」
恭介「だから野球なんだよ。青春の王道スポーツだし、なんか起こりそうで燃えるじゃねえか!」
恭介「チーム全員で一つのことに取り組み、共に泣き、共に笑い、共に歓喜する!そして、多いに楽しむ!」
恭介「それは俺の行動理念であり、それこそがリトルバスターズの流儀だ」
恭介「最初にも言ったろ?お前たちともそんな仲間になりたいって」
恭介「だから、野球をやることにしたんだよ」
-
157 : 2015/10/18(日) 22:42:58.31 -
恭介(そう、始まりはいつもそうなんだ)
恭介(野球を始めたのも、ミッションを何度も起こしたのも、リトルバスターズを結成したのも)
恭介(俺が今の俺になった、あの始まりの日からずっと)
恭介(周りのみんなを巻き込んで、楽しい馬鹿騒ぎを繰り返してきたんだ)
日向「それって…、ようは他の奴らは巻き添えじゃねえか!?」
恭介「まあ、そうとも言うな」
日向「そうとしか言わねーよ」
恭介(日向が苦笑する)
-
158 : 2015/10/18(日) 22:44:10.32 -
日向「でも、そうだな…。もし俺も、生前に恭介たちと出逢えてたら、楽しく野球できてたのかもな…」
恭介「何言ってんだよ、日向。お前大事なこと忘れてるぜ?」
日向「えっ?」
恭介「明日は野球の試合だぞ。確かに、生前に日向と野球出来なかったのは残念だが」
恭介「その分、明日思いっきり楽しめば良いじゃねえか!そうだろ?」
日向「………………」
日向「…はは。そうだな」
日向「楽しくやりますか!みんなで、思いっきりな!」
恭介(日向が拳を突き出す)
恭介「ああっ!」
恭介(そして、俺も拳を合わせた…)
-
159 : 2015/10/18(日) 22:45:00.70 -
~その頃、謙吾たち~
藤巻「ああ…、終わらねえ…。これ絶対明日までとか無理だろ…」
大山「どうしてそこで諦めるの!?藤巻くん!!もう少し頑張ろうよ!!」
松下「そうだっ!!人間諦めなければ不可能はないっ!!」
高松「あともうちょっとなんですよ!?ここで頑張らないでいつ頑張るですか!!」
岩沢「今だろ!!そうだよな!?みんなっ!!」
TK「HOOOOーーーっ!!」
-
160 : 2015/10/18(日) 22:45:52.01 -
ひさ子「なんなんだよ…。あいつらのテンションの高さは…」
沙耶「深夜のテンションってやつよ。まあ寝ずにやれば間に合うでしょ」
関根「マジっすか…」
入江「目がしょぼしょぼする~…」
竹山「なんで僕まで…」
遊佐「わたしはオペレーターなのに…」
クド「あっ、椎名さん。ここはこう縫うですよっ!」
椎名「なるほど、こうか。クドは器用だな」
クド「いえ、私なんて全然です。それよりも…」
-
161 : 2015/10/18(日) 22:47:06.33 -
謙吾「うおおおおおぉぉぉっ!!」
バババババっ…!!
入江「宮沢さんすごいですね…」
ひさ子「女子として自信失くすぜ…」
関根「あの無駄に高い裁縫スキルは、どこで身につけたんでしょう…」
大山「そこぉ!お喋りする余裕があるのかぁ!」
大山「ここからは戦線流で厳しく行くぞっ!!」
大山「足りない頭で物を考えるな!アホはアホらしく体だけを動かせ!」
関・入「「ええーーーっ!?」」
岩沢「そうだっ!!邪念を捨てて針とミシンを動かせっ!!」
ひさ子「岩沢まで感化されやがったぜ…」
大山「返事はどうしたぁーーー!!」
「「「サーー!!イエッサーー!!」」」
謙吾(ふっ…。待っていろよ、恭介!みんなっ!)
-
162 : 2015/10/18(日) 22:49:36.74 -
今日は以上です、次回からついに野球開始
最後に打順とポジションを貼っておきます一番 来ヶ谷 遊
二番 恭介 投
三番 ゆり 三
四番 真人 左
五番 野田 捕
六番 日向 二
七番 葉留佳 中
八番 ユイ 一
九番 美魚 右 -
173 : 2015/10/25(日) 10:56:57.69 -
一週間経ったので生存報告
友人と人数集めて野球したりしてたら遅くなりました
もう暫くお待ちください -
175 : 2015/10/26(月) 10:58:25.51 -
リトルバスターズだ!
と言いたいところですが人数の都合上ちゃんとした野球の試合をやるほどの余裕はありませんでした
野球回書くなら少しくらい野球しとこうと思ったのですが反動で次の日ずっと筋肉痛でしたしもう若くない…
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176 : 2015/10/27(火) 04:30:28.48 ID:zI5Iz/Rfo -
気合い入れすぎワロタw
もしかして自転車旅行して恭介と理樹の自転車SS書いてた人か? -
182 : 2015/10/31(土) 00:47:02.16 ID:Lks7VJf+o -
>>1せめてバッティングセンターにでもいったのだろうか?
それともプロ野球でも見に行ってるのだろうか? -
183 : 2015/10/31(土) 10:59:01.27 -
遅くなっていて申し訳ありません
野球回が思いの外難しく苦戦しているのが原因です
かなり長くなっているので近いうちに一度NPC戦を投下します>>176
そのSSを書いた人とは別人ですね
ただああいうSSを書く人がいるくらいだから、自分も野球をしてから書こうと影響は受けました>>182
遊具とかがあまりない広い夜の公園で、友人数人と近所迷惑にならないように気をつけて野球しました
大人になると、野球をしようにも場所や時間の都合が思うようにいかないですね -
188 : 2015/11/05(木) 21:41:56.73 -
ー翌日ー
恭介(本日はついに球技大会だ)
ゆり「素晴らしい天候ね」
ユイ「見事な球技大会日和ですなー」
真人「フッ…!俺の筋肉は、見ろっ!震えてやがるぜ…!」
野田「どうした?風邪でも引いたのか、真人」
恭介「この世界で風邪なんか引くのか?」
-
189 : 2015/11/05(木) 21:42:54.09 -
真人「ちげえよ!これは遊佐震いってやつだぜ!」
ゆり「なんでそこで遊佐さんが出てくるのよ…?」
来ヶ谷「おそらくだが、武者震いの言い間違えだろうな」
真人「それだぜ!そうとも言う!」
美魚「そうとしか言いません」
葉留佳「真人くんは相変わらず、素晴らしい筋肉馬鹿っぷりですネ」
真人「ありがとよ」
ユイ「うわ、アホだ…」
-
190 : 2015/11/05(木) 21:44:42.73 -
恭介(野球場へと近づくにつれ、大歓声が聞こえてくる)
恭介「おっ!すげー盛り上がってんな」
日向「そりゃあNPCたちのほとんどが、自分のクラスを応援するために集まってんだからな」
来ヶ谷「となると、私たちは若干アウェイだな」
美魚「乱入する側ですからね」
葉留佳「あれ?そういえば、謙吾くんたちはどうしたんでしょ?」
ゆり「そういえば見てないわね。沙耶ちゃんや遊佐さんも」
野田「なんだ?俺たちだけに任せて、サボりか?」
恭介「いや、あいつらはそんなことしないだろ」
-
191 : 2015/11/05(木) 21:46:01.31 -
恭介(あの遊びたがりの謙吾が、こんな一大イベントを放っておくわけがない)
恭介(そう考えた矢先…)
謙吾「待たせたな、みんなっ!!」
岩沢「遅くなって悪かった!」
ゆり「あっ、どこ行ってたのよ!あなたた…ち…」
恭介(ゆりっぺが唖然としている。無理もない、そこには…)
謙吾「リトルバスターズ応援団!!ここに参上っ!!」
男共「「「おおーーーっ!!」」」
女共「「「いえーーーいっ!!」」」
遊佐「いえい…」
ひさ子「いえーい…」
恭介(長ランに身を包み、鉢巻と白手袋をした謙吾たちと、赤を基調としたチアガールの格好をした岩沢たちがいた…!)
-
192 : 2015/11/05(木) 21:46:52.19 -
恭介「うわっ!すっげえ!!マジかよ、お前ら!?」
ゆり「まさか、これを一日で準備したの…!?」
岩沢「ああ。全力で作り上げた、もう倒れそうだ」
高松「ぶっちゃけ寝てません!!」キラーン
TK「The sun is bright…!!」
日向「アホだ…」
ユイ「こらああぁぁーーっ!!岩沢さんたちに向かって誰がアホだああぁぁーー!!」
バキっ!!
日向「ぐはっ…!!」
-
193 : 2015/11/05(木) 21:48:07.07 -
ゆり「きゃーー!!沙耶ちゃん似合ってるじゃない!!」
沙耶「ふふん、ありがと。ゆりたちを応援するために頑張ってつくったのよ」
恭介(確かにみんなよく似合っている。謙吾なんか物凄いハマりっぷりだ)
恭介(長ラン+鉢巻だと、尚更そっちの人に見えるけどな)
真人「なんか企んでると思ったら、これ作ってたのかよ」
謙吾「まあな!」
大山「野球には参加出来ないけど、せめてこれ着て応援しようって謙吾くんがねっ!」
藤巻「大変だったけど、結構格好いいだろ?これっ!」
恭介「ああ、似合ってるぜ!」
-
194 : 2015/11/05(木) 21:49:03.74 -
恭介(大山とTK、それに竹山はメガホンやスティックを持ち)
恭介(松下は大太鼓、藤巻はトランペット、そして高松は一際目を引く応援旗を抱えている)
恭介(応援旗はスリーエスの部隊章と、ジャンパーの猫を合わせたものだ)
野田「よくこんなもの一日で作れたな…」
松下「応援旗は、謙吾が一人で作り上げたからな」
真人「お前、剣道よりそっちの方が向いてんじゃねえのか?」
謙吾「ふっ!褒めても何も出ないぞ、真人よ!」
真人「褒めてねえよっ!」
-
195 : 2015/11/05(木) 21:50:04.33 -
恭介「あっはははっ!竹山だけは全然似合ってねえな!」
竹山「大きなお世話です!それと僕のことはクライ…」
真人「謙吾みたいに髪立てたら、ちっとはサマになるんじゃねえか?」
謙吾「いいアイデアだな。よし竹山、俺の整髪料を貸してやろう」
竹山「いいですよっ!?なにもそこまで…!」ガシッ
恭介「よし、今だっ!やれ謙吾!」
謙吾「おうっ!!」
竹山「ぎゃああああーーっ!!」
-
196 : 2015/11/05(木) 21:52:06.31 -
葉留佳「おおっ!クド公も可愛いじゃーん!」
クド「ありがとうございます、三枝さん!間に合って良かったですっ!」
来ヶ谷「ああ、可愛い…」
美魚「長ラン姿の男子のみなさんも良いですね。これは妄想が捗ります…!」
関根「なんか二名ほど変なトリップしてませんっ!?」
入江「でも、結構恥ずかしいよね…。この格好」
椎名「可愛ければ問題無い。それに動きやすいからな」
ひさ子「椎名の基準はそれだけかよ…」
ゆり「遊佐さんもよく着たわね。チアガールの服なんて」
遊佐「断固拒否しました…。ですが、深夜のテンションで暴走したみなさんには勝てませんでした…」
日向「目が死んでるけど大丈夫か?おい…?」
-
197 : 2015/11/05(木) 21:52:58.69 -
岩沢「棗…」
恭介「ん?」
岩沢「ど、どうだ?ちょっとは似合ってるか?」
恭介(少しだけ顔を赤くした岩沢に声をかけられる)
恭介「お、おう。すげえ似合ってると思うぜ…!」
岩沢「そ、そうか!良かった!あたしもこんな格好するのは初めてだからな」
恭介(はにかむような笑顔に、少しだけ胸が高鳴るような気がした)
-
198 : 2015/11/05(木) 21:53:45.98 -
ひさ子「ぐぎぎ…!」ワナワナ…
入江「ひさ子先輩抑えて!抑えて!棗さんは今から野球なんですから…!」
ユイ「関根さん。やっぱあの二人ってそういう関係なんですかね…?」
関根「うむ。フラグは建っていると思うのじゃが、遊びキチと音楽キチだからのぉ…」
関根「やはりここはこのわしが、あの二人をひっつけるしか…!」
葉留佳「やめといた方がいいと思うけどな~」
来ヶ谷「人の恋路に野暮なちょっかいはしない方がいいぞ。関根君」
-
199 : 2015/11/05(木) 21:55:16.26 -
関根「えええぇぇっ!?でもその方が絶対に二人のためになりますよっ!」
来ヶ谷「いや、君のために言ってるんだ」
関根「ほえ?」
葉留佳「しおりん、うしろ」
関根「うし…、はっ…!!」
ひさ子「せぇぇきぃぃねぇぇっ…!!」ゴゴゴゴゴ…!!
関根「ひええええーーっ!!」ダダダッ…!
ひさ子「待ぁて、コラァーーっ!!」ダダダッ…!
岩沢「ひさ子と関根は今日も元気だな」
恭介「元気すぎるような気もするけどな」
-
200 : 2015/11/05(木) 21:56:31.09 -
恭介(思わぬサプライズに、俺たちのテンションは最高潮だ)
恭介(にしても、まさか一日でこれだけのことをしてくれるとはな。さすがに驚いたぜ)
野田「なあ、ゆりっぺ。ゆりっぺはチアガールの格好はしないのか…?」
ゆり「は?」
恭介(ふと野田がゆりっぺにそう切り出す)
ゆり「あのね。あたしは選手なんだから、そんな格好するわけないでしょ」
野田「いや…!選手もチアガールの格好をするのもアリだと思わないか…!」
ゆり「いや、何言って…」
恭介「なるほど。確かにアリだな」
ゆり「アリじゃないわよっ!棗くんの基準と一緒にしないでよっ!」
-
201 : 2015/11/05(木) 21:57:48.32 -
ゆり「ってかなんでそんなに、あたしのチアガールの格好に拘るのよ!」
野田「そ、それは…、脚が…」
沙耶「脚?ゆりの脚がどうしたのよ?」
野田「い、いや!別になんでもないっ!」
来ヶ谷「ほほう、そうか。野田君は脚フェチだったんだな」
野田「ぎくっ…!」
TK「Oh,Legs fetish!?」
大山「そういえば、いつかの体育祭で、ゆりっぺの生脚見て鼻血出してたよね」
藤巻「ああ、あったな。そんなことも」
葉留佳「エロいなぁ~。野田くんは」
野田「俺はエロくないっ!ただゆりっぺの生脚が好きなだけだっ!」
ゆり「いや、その発言にあたしはドン引きなんだけど…」
-
202 : 2015/11/05(木) 21:58:52.86 -
藤巻「生脚よりやっぱおっぱいだよな」
日向「色気がねえとダメだよな」
松下「いや無いなら無いで!それはまた魅力的だろうっ!?」
来ヶ谷「当然だ。可愛いは正義だ」
謙吾「俺としては、セクシーなうなじがだな」
真人「いや、やっぱ筋肉だろ!」
高松「さすが真人くん。いつ如何なる時も筋肉ですね」
恭介(便乗して、それぞれが自分のフェチを語りだす)
-
203 : 2015/11/05(木) 21:59:34.20 -
ゆり「ってこらああぁぁーーっ!!あたしたちの前で堂々とエロ談義するなぁぁーーっ!!」
恭介「エロ談義じゃない。あくまでフェチの範囲の話だ」
来ヶ谷「そうだ。至極健全な話だ」
椎名「来ヶ谷はどっちの味方なんだ…」
ひさ子「フェチの話でも、あたしたちの前で堂々とそんな話されたら、さすがに引くぜ…」
恭介「えっ?マジかよ…、他のみんなもか?」
-
204 : 2015/11/05(木) 22:00:24.57 -
岩沢「だな。引く。やめてくれ」
ユイ「アホにもほどがあります」
入江「あたしもちょっと…」
美魚「それくらい弁えて下さい」
クド「ちょっと恥ずかしい…、です」
沙耶「この変態」
関根「エロ猿」
遊佐「最高に最低な気分です」
椎名「あさはかなり」
来ヶ谷「君たちは有頂天でひゃっほうとでも言ってるといい」
-
205 : 2015/11/05(木) 22:01:47.62 -
恭介「ぐはぁっ…!!」
日向「そこまで言わなくてもいいだろぉーー!?」
藤巻「ってか来ヶ谷!てめー俺たちの味方じゃなかったのかよ!?」
来ヶ谷「はっはっは」
大山「この流れだと、ゆりっぺの生脚は諦めたほうが良さそうだよ。野田くん」
野田「くっ…、無念だ…!あしっぺの生脚が見れないとは…!」
ゆり「だれがあしっぺだぁぁーー!!」
バキッ
野田「ごふぅ…!」
美魚「ゆりっぺさん、野球する前から野田さんが死んでしまいます」
-
206 : 2015/11/05(木) 22:04:25.89 -
恭介(ハイキックで顔面を蹴っ飛ばされ、別の意味で鼻血を出すはめになってしまった)
竹山「哀れですね…」
高松「あなたの髪型もなかなか哀れですよ、竹山くん」
松下「ポルナレフみたいになってるな」
-
207 : 2015/11/05(木) 22:05:14.57 -
謙吾「とにかく!今日はみんなのことをめいいっぱい応援するからな!」
大山「NPCたちに負けないでね!」
ゆり「当然よ、あたしたちの目的はあくまで神なんだから!」
ユイ「岩沢さんたちに応援されて、格好悪いとこ見せられませんからね!」
日向「いいのか?そんなこと言って。絶対に格好悪いとこ見せることになるぞ」
ユイ「あんだとこらああぁぁーーっ!!」
-
208 : 2015/11/05(木) 22:05:47.31 -
藤巻「おいおい、始まる前からケンカしてるじゃねえか。そんなんで大丈夫なのかよ?」
恭介「問題ない。あいつらはトムとジェリーみたいなもんだからな」
日向「誰がトムとジェリーだぁ!!」
ユイ「誰がトムとジェリーじゃあ!!」沙耶「うわ、息ぴったり」
恭介「なっ」
日向「うぐぐ…」
ユイ「ぐぬぬ…」 -
209 : 2015/11/05(木) 22:06:56.62 -
来ヶ谷「さて、一回戦が終わらない内にそろそろ行くとしよう」
真人「おうよっ!息合わせてバッチリ行こうぜ!」
クド「みなさーん!ファイトなのですーーっ!!」
遊佐「ご武運を」
関根「昇天するまで応援しますよーー!!」
入江「昇天しちゃだめだよ、しおりん」
恭介(みんなの応援の声、太鼓やトランペットの音、ポンポンのしゃかしゃかした音に見送られ球場に向かう)
恭介(そしてNPCの生徒たちとなんとか話をつけ、予定通り乱入に成功した)
-
210 : 2015/11/05(木) 22:07:36.45 -
応援団「「「♪高く飛べ!高く空へ!高く蹴れ!高く声を上げ~♪」」」
応援団「「「♪いつか挫けた~そ~の日の向こうまで~♪ 」」」
ユイ「うわあ、応援歌まで作ってきてくれたんですかね…!?」
日向「まだ試合始まっても無いのにな」
ゆり「さすがにちょっと恥ずかしいわね」
恭介(ゆりっぺが珍しく照れながら、頬をかく)
美魚「でも心強いです」
来ヶ谷「私たちは良い仲間を持ったな」
恭介「ああ、だからこそみんなの応援に応えないとな」
葉留佳「よ~しやるぞ~!」
-
211 : 2015/11/05(木) 22:08:51.45 -
ゆり「あたしたちは後攻よ。7点以上差をつけた時点で、あたしたちの勝ちが確定するわ」
ゆり「天使が止めにくる可能性も高いから、さっさと終わらせちゃいましょ」
野田「ふん、望むところことだ…!」
真人「見せてやろうぜ、俺達の筋肉をよっ!」
恭介「よおし、じゃあお前ら気合入れるぞぉ!」
恭介「しまっていくぞぉーーー!!」
全員「「「おおーーーっ!!」」」
-
212 : 2015/11/05(木) 22:09:53.60 -
恭介(主審のプレイボールの合図とともに、試合が開始される)
恭介(コールド狙いな以上、俺が点を取られてちゃ始まらない)
恭介(しっかり0点で抑えてやるぜ!)
恭介「ふっ!」
恭介(大きく振りかぶって、インハイへ真っ直ぐを投げた)
バッター「うわっ!」
ズバンッ
主審「ストライクっ!」
ゆり「はっや…!?」
日向「マジで140km/h出てるな、ありゃ…!」
恭介(NPCだけでなく、ゆりっぺや日向が驚く声が聞こえる)
恭介(驚いてくれるのは嬉しいが、まだまだここからだぜ。まだほんの一球投げただけ…)
-
213 : 2015/11/05(木) 22:10:45.79 -
野田「お前の本気は!こんなものかあーーー!!」
恭介(野田が立ち上がり、すぐさま投げ返してくる)
恭介「うおっ!?」
ゆり「は…?」
日向「え…?」
恭介「やってくれるじゃねえか…!そんなに俺と張り合いたいのか?」
恭介「球筋に出てる、ぜっ!!」
恭介(お返しとばかりに全力で投げ返す)
ズバンッ
-
214 : 2015/11/05(木) 22:11:21.09 -
野田「ぐっ、まだまだぁ!」
恭介(剛速球が戻ってくる)
恭介「そんなに俺を本気にさせたいか…!」
恭介「球筋に出てるぜぇ!!」
恭介(投げ返す)
ズバンッ
バスッ
ズバンッ
バスッ
ズバンッ
バスッ
主審「フォアボール!」
日向「二人だけでするなぁーーっ!!」
-
215 : 2015/11/05(木) 22:12:45.42 -
ゆり「はぁ…、タイム」
恭介(ゆりっぺがタイムをかけ、俺と野田に集合をかける)
ゆり「正座」
恭・野「「…はい」」
ゆり「あんたたち頭脳が間抜けなの?ド低脳なの?ハッピーセットなの?」
ゆり「バカさ加減を笑われたいの?そんなに笑われたいなら笑ってあげましょうか?それがご褒美なんでしょ?」
ゆり「ほら笑ってあげるわよ、感謝しなさい!あーはっはっはってっ!」
ゆり「あーはっはっはっ!!」
-
216 : 2015/11/05(木) 22:13:36.98 -
日向「落ち着け、ゆりっぺ…。沙耶みたいになってるぞ」
真人「沙耶だと自虐なのに、ゆりっぺだと罵倒になるんだな」
来ヶ谷「SとMの違いだろうな」
ゆり「まったく。次やったら本当にただじゃおかないわよ。いいわね!」
恭介「了解だ。ゆりっぺ」
野田「すまなかった!あしっぺ!」
ゆり「あしっぺ言うなああぁぁーー!!」
バキッ
野田「げほっ…!」
美魚「ゆりっぺさん。初回から野田さんが死んでしまいます」
ユイ「アホは死んでも治らないんですね」
-
217 : 2015/11/05(木) 22:14:26.88 -
恭介(解散した後、それぞれのポジションに散っていく)
恭介(さすがにテンション上がりすぎてたみたいだな。落ち着け、棗 恭介。クールになれ…!)
恭介(今度は低めにストレートを投げる)
恭介(狙い通り、バッターが引っ掛ける。サードゴロだ)
ゆり「5!」
日向「4!」
ユイ「3!」
主審「アウッ!」
恭介「よしっ!」
日向「よっしゃあ!いいぞー、恭介!」
恭介(理想的なダブルプレーで、すぐさまツーアウトを取る)
-
218 : 2015/11/05(木) 22:15:13.55 -
恭介(次のバッターは二球続けて、ストレートを投げ追い込む)
恭介「空振れっ!」
ポイッ
バッター「うわっ…!」
ブンっ
主審「ストライクっ!バッターアウト!」
恭介(チェンジアップで、空振り三振に抑えた)
-
219 : 2015/11/05(木) 22:15:46.18 -
日向「ナイス!恭介!」
真人「さすがだな!」
恭介「サンキュー。二人とも!」
恭介(日向と真人に肩を叩かれる)
恭介(よし。この分なら、ちゃんと実戦でもチェンジアップは使っていけそうだ)
-
220 : 2015/11/05(木) 22:16:29.17 -
恭介(そして後攻、今度は俺たちの攻撃だ)
恭介(先頭打者の来ヶ谷がバッターボックスに入る)
葉留佳「姉御ーー!!ファイトーー!!」
恭介(三枝の応援の他にも、応援団たちから応援曲のリズムが聞こえてくる)
恭介(これは確か、『Light Colors』とかいう曲だ)
来ヶ谷「まあ、見ていろ」
恭介(相手ピッチャーが投じた、その初球…)
-
221 : 2015/11/05(木) 22:17:14.40 -
来ヶ谷「ふっ!」
恭介(強いドライブのかかった打球が三遊間を襲う)
恭介(ショートが捕球に戸惑っている間に、来ヶ谷はあっさり一塁まで進塁していた)
来ヶ谷「容易い」
日向「イチローみたいなヒット打つ奴だな」
ゆり「さすが来ヶ谷さんね」
-
222 : 2015/11/05(木) 22:18:11.80 -
恭介(二番は俺だ。応援曲は…、これは『Boys Don't Cry』か…!)
恭介(良いチョイスじゃねえか。期待に応えたくなるな…!)
恭介(一塁には俊足の来ヶ谷だ。ここは仕掛けておくか…)
恭介(来ヶ谷にサインを送り、バッターボックスに入る)
恭介(見た感じ、相手ピッチャーの球は決して早くない)
恭介(鈴の球に慣れてる俺たちなら、いくらでも対応出来る速度だ)
恭介(ピッチャーが投げるのと同時に…)
来ヶ谷「翻弄してやろう!」
ユイ「走った!」
-
223 : 2015/11/05(木) 22:18:48.72 -
恭介(さらに…!)
恭介「だあっ!」
恭介(俺の打った打球は右中間へ伸びる。ライナー性の長打コース、来ヶ谷の脚なら本塁も狙える当たりだ)
ゆり「打つ自信があったから、エンドランのサインってわけね」
ゆり「やるじゃない。棗くん」
真人「走れー!来ヶ谷ー!」
恭介(落ちた打球に外野は追いつけない。俺も走ろうとした瞬間…)
-
224 : 2015/11/05(木) 22:20:01.88 -
野田「そうはさせるかーーっ!!」
カキィン!
日向「は…?」
ゆり「……………」イラッ…!
恭介(野田が颯爽とボールに追いつき、俺に向かって打ち返してくる)
恭介「おっと。こいつはびっくりだぜ!」
恭介(俺も意地になってバットを手に打ち返す)
野田「まだまだぁ!」かぃん!
恭介「続けぇ!」かぃん!
恭介(お互い打ち返し続ける)
-
225 : 2015/11/05(木) 22:20:39.39 -
野田「やるなっ!」かぃん!
恭介「あらよっと!」かぃん!
野田「奇跡を!」かぃん!
恭介「いやっほぅー!」かぃん!
野田「止まらないぜ!」かぃん!
恭介「もっと強いの打っていいんだぜ!」かぃん!
日向「よくねーよ!だから二人だけでするなぁっ!」
主審「守備妨害、アウトーーー!!」
ユイ「アホにつける薬は無いんですね…」
-
226 : 2015/11/05(木) 22:21:49.51 -
ゆり「……………タイム」ゴゴゴゴゴ…!!
恭介「…………」
野田「…………」
恭介(ゆりっぺの無言のプレッシャーを前に、命令される前に正座する)
ゆり「…一応、言い訳だけは聞いてあげるわ」
恭介「理樹と謙吾がたまにああいうことしてたから、羨ましかったんだ」
葉留佳「やってましたネ。確かに、ああいうの」
日向「なんつー非常識な練習してたんだよ…」
美魚「常識に囚われていては、リトルバスターズはやっていられませんから」
-
227 : 2015/11/05(木) 22:22:50.32 -
ゆり「…で、野田くんは?」
野田「恭介に張り合いたかった。それと…」
ゆり「それと?それ以外に理由があるの?」
恭介(ゆりっぺが意外そうな顔をしている)
野田「ゆりっぺに罵倒されたかったっ!!」ドン!
ゆり「清々しい顔して何言ってんだああぁぁーーっ!!」
バキッ
野田「ぬわーっ!」
-
228 : 2015/11/05(木) 22:23:57.45 -
ユイ「ひなっち先輩。野田先輩はドMなんですか?」
日向「誰がひなっち先輩だ。ああ、何度も蹴られてるうちに、本格的にドMになっちまったのかもな」
真人「別にいいんじゃね?ドMでも。俺は気にしねえよ」
葉留佳「心が広いですネ、真人くん」
真人「そりゃあ俺は恭介の親友だからな」
ユイ「物凄い説得力ですね…」
日向「ホモだかんな、恭介は…」
恭介「俺はホモじゃねえっ!」
美魚「恭介さんと野田さんとゆりさんの三角関係…。これは流行ります…!」
日向「いや、絶対流行らねえよ…」
ゆり「お願いだから、そんなもの流行らせないでよね…!」
来ヶ谷(一塁ベースにいなければ、話に混ざるというのに…。ぐむぅ…)
-
229 : 2015/11/05(木) 22:25:02.89 -
ゆり「とにかく罵倒程度じゃ生温いというのがよくわかったわ」
ゆり「二人とも、並んで尻を向けなさい」
恭介(ゆりっぺがバットを持ち出してそう言う)
恭介「まさか!?」
野田「それは…!?」
葉留佳「デデーン!!棗、野田。アウトーー!!」
ゆり「ふんっ!!」
恭介「ぎゃあっ!」バシンッ!
野田「ぐおおっ!」バシンッ!
-
230 : 2015/11/05(木) 22:26:22.68 -
ユイ「うわぁ…。いたそー…」
美魚「ゆりっぺさん。金属バットはさすがに、野田さんと棗さんが死んでしまいます」
ゆり「殺す気でやったのよーー!!」
恭介(バットを振り回しながら、ゆりっぺが暴走する)
日向「お、落ち着け。ゆりっぺ!!今は試合中だ!!しかもタイムかけてる途中なんだぞっ!!」
葉留佳「そうそう!次の打席、ゆりちんなんだから!クールダウンですヨっ!」
ゆり「うがあぁぁーーーーっ!!」
-
231 : 2015/11/05(木) 22:27:09.85 -
沙耶「試合中になにやってるのよ、ゆり…」
謙吾「まあ、あれだけ恭介と野田がアホなことしていればな…」
大山「いいなぁー。僕もやっぱり野球したかったなぁ」
関根「案の定、めちゃくちゃ面白いことになってますからね」
ひさ子「振り回されてるゆりが少し可哀想だぜ…」
岩沢「いいんじゃないか?楽しそうだし」
遊佐「もういやです。この戦線…」
-
232 : 2015/11/05(木) 22:28:02.20 -
恭介(長いタイムが終わり、ゆりっぺがバッターボックスに立つ)
恭介(と同時に、今度はゴジラのテーマ曲が聞こえてきた)
ゆり「ちょっ!?こら、そこぉ!!なんであたしの応援曲がゴジラなのよ!?」
藤巻「いや、ゆりっぺと言ったらこれっきゃねえだろ!」
クド「満場一致で決まりました!」
松下「ちなみに真人のキン肉マンのテーマより先に決まったぞ」
ゆり「揃いも揃ってあたしを振り回して遊ぶなぁーー!!」
-
233 : 2015/11/05(木) 22:28:58.51 -
ゆり「はぁ…はぁ…。まったくどいつもこいつも好き勝手やってくれるんだから!」
ゆり「結局、あたしが…」
恭介(ピッチャーが振りかぶり、投げた)
ゆり「しっかりするしかないのよねっ!」
恭介(初球を振り抜くと一・二塁間を真っ二つに)
恭介(守備妨害のせいで結局一塁に戻ることになった来ヶ谷だが、一気に三塁まで進んだ)
恭介(ワンアウト。一塁、三塁)
-
234 : 2015/11/05(木) 22:30:41.77 -
恭介(このチャンスの場面に、キン肉マンのテーマと一緒にユイがバッターボックスに入る)
ユイ「よーし、ホームラン打つぞー」
日向「ターイム!」
日向「いつからお前が4番バッターになったああぁぁーー!!」
ミシミシミシっ…
ユイ「ホ、ホームランがうでなぐなりまずっ…!!」
日向「んな期待最初からしてねーよっ!!」
-
235 : 2015/11/05(木) 22:31:47.92 -
恭介(気を取り直して、今度こそ真人が打席に立つ)
真人「へっ。ここで俺に回ってくるとは、運の無い奴らだぜ」
恭介(キャッチャーがミットを構え、ピッチャーがセットポジションから投げる)
恭介(直球がミットに収まる寸前…!)
真人「いっくぜーー!!」
グワァラゴワガキーンっ!!
恭介(とんでもない打球音と一緒に、ボールはフェンスを越えていった)
恭介(文句無しの場外ホームランだ)
ピッチャー「嘘だろ…」
恭介(みんなで真人たちを迎える)
-
236 : 2015/11/05(木) 22:32:49.00 -
日向「よっしゃあ!これで三点先制だぜ!」
真人「どうだっ!みたか!俺の筋肉をよ!」
恭介「ああ。さすが、俺たちのキン肉マンだぜ!」
真人「めちゃくちゃ飛んでっただろ!俺が打ったんだぜ!」
真人「テレビ局呼んだほうがいいんじゃねえか!なあ、誰かテレビ局を!」
ゆり「そんなものこの世界には無いわよ」
葉留佳「ひやあああ!あ、姉御!なんで私のほっぺつねるんでふかぁ!」
来ヶ谷「私をのけ者にし、君たちだけで楽しい雑談をしていたのが気に食わん。というわけでお仕置きだ」
日向「子どもかよ…」
-
237 : 2015/11/05(木) 22:34:02.89 -
恭介(その後、五番の野田もホームランを打ち、これで4対0だ)
野田「お、おい、恭介。俺の活躍がスルーされたような気がするのは気のせいか…?」
恭介「気のせいだ」
恭介(六番は日向。応援曲はなぜか、西城秀樹の『YOUNG MAN』だ)
日向(なっ、誰が俺の下の名前を…!?)
遊佐「フフフ…。戦線のオペレーターに知らないことはありません」
椎名「遊佐、笑い方が黒いぞ」
遊佐「失礼しました」
恭介(またも初球を振り抜くと、今度は三遊間を破った)
-
238 : 2015/11/05(木) 22:38:28.83 -
恭介(次は七番の三枝。応援曲は『Gentle Jena』だな)
葉留佳「ふっふっふ。今回は手堅くいくのですヨ!」
恭介(打席に入り、バントの構えを見せている)
ゆり「バント?次はユイだし、ワンアウトなんだから悪手じゃないの」
来ヶ谷「なに。葉留佳君は馬鹿じゃないよ」
美魚「なにか考えがあるのかもしれませんね」
恭介(ピッチャーが高めの球を投げる。フライを誘い打ち取るつもりだったんだろう)
恭介(だが、それを…)
-
239 : 2015/11/05(木) 22:39:23.07 -
葉留佳「はるちんフラッシュ!!」
恭介(即座に打ち返した!)
ゆり「なっ、あれってバスターってやつ!?」
真人「ああいうのは器用なやつなんだよ、三枝は」
来ヶ谷「やればできる子だからな、葉留佳君は」
恭介(日向は三塁でストップ。打った三枝も二塁まで進んだ)
-
240 : 2015/11/05(木) 22:40:11.52 -
ユイ「またも、チャンスですね!今度こそ打つぞー、ホームラン!」
恭介(ガルデモ好きのあいつらしく、応援曲もガルデモの『Alchemy』だ)
恭介(バッターボックスに入るなり、予告ホームランのポーズを取る)
真人「本気でホームラン打つ気かよ?」
ゆり「無理だって言ってるのに…」
恭介「いや、鈴のライジングニャットボールが目覚めたのだって、土壇場だったじゃねえか!」
恭介「きっとこのチャンスで、ユイの眠っていた潜在能力が目覚め…」
主審「ストライク!バッターアウト!」
-
241 : 2015/11/05(木) 22:41:06.76 -
恭介「…………」
来ヶ谷「目覚めなかったな」
ゆり「そうなんでも、漫画みたいに上手くいくわけないのよ」
ユイ「うぅ…、スミマセン」
恭介「気にするな、ユイ。次打てばいいんじゃねえか。俺だってアウトだったんだからな」
ユイ「…はいっ!次こそ頑張ります!」
ゆり「フォローが上手いわね」
恭介「落ち込んでやっても楽しくないからな」
-
242 : 2015/11/05(木) 22:42:05.08 -
恭介(最後のバッターは西園。応援曲は『雨のち晴れ』だな)
恭介(ここで西園が繋げば、また来ヶ谷に回る)
恭介(ツーアウトでのチャンスの場面。どうしてもプレッシャーを感じるはずだが…)
美魚「………………」
恭介(カウントはツーボール、ツーストライク。投げた五球目を…)
美魚「えいっ!」
キン!
恭介(お手本のようなセンター返しで出塁した!)
恭介(その隙に、日向がホームへと生還する)
-
243 : 2015/11/05(木) 22:42:42.53 -
日向「へっへーん!ただいまっ!」
恭介「おう、お帰り日向っ!」
恭介(日向とみんながハイタッチを交わす)
ゆり「これで5点目!なおも一塁、三塁。チャンス継続ね!」
日向「どこかの予告ホームランさんと違って、西園がしっかり繋いでくれたからな」
ユイ「誰が予告ホームランさんだぁ!?ああん!」
日向「お前だよ!ってか名前言わずに反応してる時点で自覚ある証拠だろうが!」
ユイ「ぐぬぬ…。次こそは、次こそは…!」
-
244 : 2015/11/05(木) 22:44:02.40 -
恭介(打者が一巡し、再度来ヶ谷が打席に入る)
来ヶ谷「止まって見えるな」
カキーン!
恭介(一打席目に続いてヒットを放ち、今度は三枝がホームインだ)
葉留佳「やはー!みんな、おかえり!じゃなくてただいまー!」
ゆり「これで6点目。あと1点で初回コールド勝ちよ!」
日向「よぉし、決めちまえ!恭介!」
-
245 : 2015/11/05(木) 22:44:47.06 -
ゆり「ここで長打を打てば、二塁の西園さんが生還するわ」
ゆり「そうなれば見事ヒーローよ。気合い入れなさい!」
恭介「無理に長打打たなくても、繋げればゆりっぺが返してくれるだろ?」
ゆり「なに甘えたこと言ってんのよ。この場面で燃えないあなたじゃないでしょ?」
ゆり「さっさと決めちゃいなさい!」
恭介(バシッと、思いっきり背中を叩かれた)
恭介「いてっ…!簡単に言ってくれるな。まったく」
恭介「だが…」
-
246 : 2015/11/05(木) 22:45:25.38 -
恭介(打席に入る。ベンチからの声援、応援団のみんなの声援が聞こえる)
恭介(ああ。よくわかってるじゃねえか、ゆりっぺ)
恭介(ここで燃えずして…!)
ピッチャー「だっ!」
恭介「いつ燃えるんだってな!!」
カキィーン!!
恭介(俺の打った打球は、青空に向かって真っ直ぐ伸びて行く)
恭介「フッ…。サヨナラホームランだ、なんてな」
恭介(白球はどこまでも伸び、遥か彼方まで飛んでいった…)
-
247 : 2015/11/05(木) 22:46:12.44 -
主審「ゲームセット!」
恭介(並んで、礼をする。それが終わるのと同時に応援団のみんなも駆け寄ってきた)
謙吾「やったなぁ!!恭介ぇ!みんなぁっ!!」
恭介(謙吾が大はしゃぎで俺と真人に抱きついてくる)
恭介「ははっ。サンキュ、謙吾。みんなの応援のおかげだぜ!」
真人「ったく、たかが一回戦勝ち進んだくらいで、はしゃぎすぎなんだよ。てめえはよ」
岩沢「何言ってるんだ。棗も井ノ原もホームラン打ったじゃないか!」
入江「二人とも大活躍でしたね!」
クド「はい!とっても格好良かったのです!」
-
248 : 2015/11/05(木) 22:47:09.24 -
TK「Congratulations!!Hoooooo!!」
美魚「ありがとうございます。みなさん」
来ヶ谷「まあ、当然の結果だな」
野田「おいぃ!俺もホームラン打ったんだぞっ!」
野田「忘れるなよっ!お前らっ!」
松下「仕方ないさ、野田。真人はスリーラン、恭介はサヨナラホームランなんだからな」
高松「野田くんはソロホームランでしたからね」
野田「くっそぉ…。俺はまた恭介に負けたのか…!」
-
249 : 2015/11/05(木) 22:47:45.97 -
恭介「違うぜ、野田。お前が真人に続いてホームラン打ったから、相手ピッチャーの心をへし折ったんだよ」
恭介「俺がホームラン打てたのは、みんなの応援とお前のホームランのおかげだぜ!」
野田「フン…!さすがは恭介!わかっているなっ!」
沙耶「アホね…。一瞬で丸め込まれてるじゃない」
椎名「あさはかなり」
-
250 : 2015/11/05(木) 22:48:58.56 -
ゆり「まあ、最初はこの馬鹿二人のせいでどうなることか思ったけどね」
大山「いや~、でもあのやり取り、僕たちは爆笑しながら見てたけどね!」
関根「リアルでケツバットなんて見る機会無いですからね~!ププッ」
葉留佳「でも冷静に考えてみたら、私たち結構強いんじゃない?」
竹山「一回でホームランが三本、加えて棗さんも結局は三人で抑えましたからね」
-
251 : 2015/11/05(木) 22:51:05.74 -
ユイ「くっそぉ!次の試合こそ、ホームランを…!」
入江「ユイ…。まずはヒットを打つことを目標にしようよ」
ひさ子「全くだぜ。ヒットも打てないのに、ホームランが打てるわけ無いだろ?」
ユイ「それはそうですけど…」
恭介「そんなに焦らなくても、そのうち打てるさ。なっ、ユイ」
岩沢「そうだぞ。気負わず打ったほうが楽しいだろ?」
ユイ「棗先輩…!岩沢さん…!はいっ!そうしますっ!」
日向「ったく、恭介と岩沢に素直なんだからな、こいつ…」
大山「あれ?日向くん、もしかして嫉妬?」
日向「ちげーよっ!!」
-
252 : 2015/11/05(木) 22:51:59.34 -
恭介(みんなで雑談しているとそこへ、野球部のユニフォームを着た連中がこっちに向かってやってくる)
恭介(先頭にはジャージを羽織った立華がいる)
恭介(来たか…。立華…!)
ゆり「あら、生徒会長さんじゃない。野球部を引き連れて、なんの用かしら?」
立華「あなたたちのチームは、参加登録をしていないわ」
ゆり「別にいいでしょ。参加することに意義があるんだから」
-
253 : 2015/11/05(木) 22:53:38.92 -
NPC「失礼。生徒会、副会長の直井です」
ゆり「…副会長?」
恭介(言葉少ない立華の代わりに、学生帽を被った男子がそう名乗り出た)
恭介(制服からして、NPCみたいだな)
直井「はい。勿論、参加していただけるのは嬉しいのですが」
直井「登録をされていなければ、他の生徒たちの迷惑になります」
直井「しかし、かといって退場させるのは可哀想だと、会長が仰りましたので、フェアな処置を用意させて頂きました」
恭介「フェアな処置?なんだよ、それは?」
直井「我々は生徒会チームを結成しました」
直井「この球技大会の趣旨に則り、野球で勝負をつけようということです」
恭介(なるほどな。立華の言ってた特別な処置ってこのことか)
-
254 : 2015/11/05(木) 22:54:46.93 -
日向「へえ、生徒会チームねえ?そいつら、野球部のレギュラーに見えるんだけどな」
ゆり「遊佐さん」
遊佐「はい。日向さんの言うとおりです。間違いありません」
恭介(遊佐のことだ。きっとこういう事態も想定して、予め調べていたんだろう)
来ヶ谷「フッ…、面白い」
葉留佳「それくらいじゃないと燃えないからネ~!!」
-
255 : 2015/11/05(木) 22:55:38.39 -
ユイ「はっ!頭洗って待っとけよなああぁぁーー!!」
恭介(ユイが腕を振り上げて、立華に向かって吠えていた)
日向「お前はさっき三振だっただろうが!!後、洗うのは首だっ!!」
日向「頭だったらただの衛生上の身だしなみだぁーー!!」
ミシミシミシっ…
ユイ「い、いだいでずぅーっ…!!」
真人「おい、恭介…」
恭介(二人のやりとりをよそに、真人が声をかけてくる)
恭介「ああ…」
恭介(真人も気づいたようだ。野球部のメンバーの中に一人だけ、明らかに体格の違う屈強な男がいる…)
-
256 : 2015/11/05(木) 22:56:30.89 -
恭介「なあ、立華。そこのでかい奴も、本当に野球部のメンバーなのか?」
立華「?」
直井「はい。ここにいるのは正真正銘、野球部のメンバーですが?」
真人「そうかよ。だったら、前に出てこいよ。その筋肉、ただ者じゃねえだろ?」
NPC「……………」
恭介(真人に言われ、その男が前に出てくる)
クド「わふっ!?」
沙耶「うそ…」
椎名「なんて体格だ…!」
恭介(身長は2メートル近いだろうか。体付きも真人や謙吾に劣っていない)
恭介(それどころか、まるで…)
-
257 : 2015/11/05(木) 22:57:48.29 -
日向「本物のプロ野球選手みたいな体してやがるぜ…」
謙吾「貴様…、何者だ!」
NPC「うっす!俺、斉藤っす!」
恭介(その男は、確かにそう自己紹介した)
葉留佳「えっ!?さ、斉藤!?」
来ヶ谷「偶然か…?いや…」
遊佐「…おかしいですね。少なくとも、昨日調べた時点では」
遊佐「野球部には斉藤という名前の部員はいなかったはずですが?」
野田「なんだと!?」
立華「えっ?」
恭介(立華が驚いている。どうやら立華も知らなかった事実らしい)
-
258 : 2015/11/05(木) 22:59:04.61 -
ゆり「ナイスよ、遊佐さん」
ゆり「で、そのいなかったはずの部員の斉藤くんは、この球技大会に参加しても問題ないのかしら?」
直井「なにを馬鹿なことを。そこまで言うなら、確認してみますか?」
直井「昨日以前に参加登録されている、この登録証を」
恭介(直井が手にしていたファイルから、一枚の用紙を取り出す)
恭介(そこには確かに、昨日以前の日付と、立華が押したであろう生徒会印がある)
恭介(いや、それ自体は偽造が効くものだろう。それ以上に不可解なのは)
恭介(もし斉藤が本当に昨日以前に存在しなかった部員なら)
恭介(なぜ他の野球部員たちはなにも言わないのか、ということだ)
恭介(表情を伺ってみるが、誰一人不審に思ってる節はない)
-
259 : 2015/11/05(木) 23:01:04.55 -
ゆり「…………」
直井「話は以上でいいですね?では、十分後。この場で試合を開始しましょう」
直井「では」
恭介(それだけ言い残すと、立華たちは一度引き上げていった…)
立華「……………」
恭介(最後に一度だけ、立華が俺たちに向かって振り返るような仕草をするのが見えた)
-
260 : 2015/11/05(木) 23:01:47.02 -
日向「ゆりっぺ、恭介…。これは…」
ゆり「ええ。みんなも察しがついてるかと思うけど…」
ゆり「あの斉藤とかいう選手は、おそらく神が用意した刺客でしょうね」
ゆり「参加登録証をでっち上げ、NPCたちの記憶を改竄し、あたしたちを倒すために生徒会チームを作った」
ゆり「まあ、そんなところでしょ」
ユイ「そ、そんなことができるんですか!?」
ゆり「当たり前でしょ。相手はこの世界を創った神なんだから」
椎名「天使やチルーシャがいる以上、新たな刺客が現れても、なんらおかしくない…か」
-
261 : 2015/11/05(木) 23:02:47.72 -
恭介「ああ。斉藤という名前もそうだが、奴が言ってた『俺、斉藤っす!』っていう挨拶も」
恭介「俺たちが使ってた、おはようございますをもじったネタだ」
恭介「多分、わざと言わせたんだろうな」
美魚「偶然じゃない、むしろ…」
来ヶ谷「神からの宣戦布告と言ってもいいだろうな」
真人「くそっ!馬鹿にしやがって…!」
葉留佳「見るからに、学生の体格じゃなかったもんね」
葉留佳「言うなれば、ベースボール斉藤ってやつなのかな」
-
262 : 2015/11/05(木) 23:03:48.71 -
恭介(わざわざ神が用意した刺客だ。きっと尋常じゃない身体能力の持ち主なんだろう)
恭介(それプラス野球部のレギュラー。神は一体この試合でなにを見極めようとしているんだ…?)
藤巻「どうすんだよ、ゆりっぺ!このまま試合に臨むのかよ!」
ゆり「ええ、そのつもりよ」
恭介(ゆりっぺの迷いのないその発言に、みんなが少しだけ動揺する)
ゆり「こんな回りくどい手段を使うということは、神も野球での決着に拘っているとみて間違いないわ」
ゆり「野球を通して、神はあたしたちのことを試すつもりなのよ」
ゆり「そこにどういう意図があるのかまではわからないけどね」
-
263 : 2015/11/05(木) 23:04:25.18 -
葉留佳「まさか本当に、野球で神様と戦うことになるなんてね」
高松「こんな大事な勝負を応援しか出来ないというのは歯痒いですね…!」
謙吾「だが、俺たちにできることはそれだけだ…。悔しいがな」
沙耶「でもこの試合の勝敗の先に、一体なにがあるのかしら…?」
ゆり「さあね。こればっかりは、やってみなければわからないわ」
ゆり「当初の予定通り、この試合に勝ち、神の情報を引きずり出す!」
ゆり「オペシーション『DAY GAME』、ここからが本番よ!」
-
264 : 2015/11/05(木) 23:05:03.33 -
藤巻「頼むぜ!みんな、絶対勝ってくれよ!」
竹山「頑張ってください!」
TK「I believe victory!!」
謙吾「俺たちリトルバスターズの力を、見せてやってくれ!」
恭介「ああ、みんなが応援してくれるんだ。百人力…、いやもう千人力だ!」
真人「お前たちは、俺たちの活躍と筋肉を目に焼き付けとけよ!」
大山「うん、力の限り応援するよ!」
-
265 : 2015/11/05(木) 23:05:39.85 -
岩沢「喉が枯れるまで声を出すからな!」
ひさ子「さすがにそれは勘弁して欲しいけど、まあどうせ治る世界だしな」
ひさ子「あたしらも、燃え尽きるまで応援するぜ!」
入江「神様に負けないでください!」
関根「もういっちょ格好良いとこ見せてくださいよっ!」
ユイ「岩沢さん…。ひさ子さん…。入江さん…。関根さん…」
ユイ「みなさんの分のガルデモ魂も、ドーンとぶつけてきますねっ!!」
岩沢「ああ、頼んだぞ!ユイ!」
-
266 : 2015/11/05(木) 23:06:28.56 -
松下「野田、頑張れよっ!」
高松「バカルテットとしてだけでなく、ここにいるみんなの代表なんですから!自信を持って下さい!」
野田「ああ、俺たちに任せておけっ…!」
クド「私、信じてます!絶対にみなさんは負けないって!」
来ヶ谷「当然だ。君たちはなんの心配もしなくていい」
美魚「必ず勝って凱旋します。約束です」
-
267 : 2015/11/05(木) 23:07:14.56 -
沙耶「無理はしないでね。ゆり、みんな」
ゆり「わかってるわ。でも大丈夫よ、あたしたちは無敵のチーム。いえ、無敵の戦線だもの」
日向「らしくねーこと言ってんな。ゆりっぺ」
遊佐「まったくです。ゆりっぺさんは少し変わってしまいました」
遊佐「多分、良い方向に」
ゆり「うるさいわね。そう言う遊佐さんだって…。いえ、やっぱいいわ」
恭介(ゆりっぺと遊佐がそう言葉を交わす)
恭介(気のせいじゃなければ、小さく笑っているように見えた)
恭介(おそらく、遊佐も…)
-
268 : 2015/11/05(木) 23:08:43.88 -
恭介「さあ、もう一度気合い入れようぜ!みんな円陣だっ!手を出せっ!」
恭介(みんなで輪を作る。大きすぎるくらいの輪だ)
恭介(それでも、一人一人の声を、確かな存在をすぐ近くに感じる)
恭介「ゆりっぺ。掛け声頼むぜ!」
ゆり「あら?あたしでいいの、野球チームのリーダーは棗くんでしょ?」
恭介「これはリトルバスターズ戦線の戦いじゃねえか。だからやっぱゆりっぺが言うべきだろ」
日向「そうだよ。恥ずかしがってないで、一つ頼むぜ。ゆりっぺ!」
ゆり「べ、別に恥ずかしがってなんかないわよ!もう、仕方ないわね!」
恭介(ゆりっぺが目を閉じる。何を言うか考えているんだろう)
恭介(みんなも静かに、ゆりっぺの言葉を待つ)
恭介(そして…)
-
269 : 2015/11/05(木) 23:09:51.76 -
ゆり「いい?みんな。この戦いはあくまで通過点、過ぎ去る1ページでしかないわ」
ゆり「だから勝って当然。そして、この輪のみんなで、もっと真っ直ぐ!この青春(イマ)を駆け抜けるわよ!」
ゆり「いいわねっ!!」
全員「「「おおーーーっ!!」」」
ゆり「いくわよ!?リトルバスターズ…」
ゆり「最高ぉーーーっ!!!」
全員「「「最高ぉーーーっ!!!」」」
恭介(ゆりっぺの掛け声に合わせて、手を高く上げ、そして俺たち自身も高くジャンプした…!)
-
270 : 2015/11/05(木) 23:11:18.62 -
恭介「まさに最高の掛け声だったぜ!ゆりっぺ…!」
ゆり「別に、誰かさんの病気が移っちゃっただけよ」
日向「本当に素直じゃねーな。ゆりっぺは」
ゆり「うっさい!ほらそろそろ時間よ!」
恭介(生徒会チームは既に整列を始めている。いよいよだ…)
恭介「よし、いくぜっ!」
恭介(そして、俺たちも野球での勝負に臨むべく、歩き始めた…!)
-
271 : 2015/11/05(木) 23:14:12.31 -
今日は以上です
リアルが忙しいのもありますが、野球をSSで表現するというのが難しく遅れてしまいました生徒会チーム戦はもっと長くなる予定です
-
279 : 2015/11/06(金) 18:00:50.71 -
実は戦線メンバーでの野球はハイテンション・シンドロームでやるつもりです
やっぱり他のメンバーの野球やってる姿も書きたいし、小毬と音無も野球していないので -
286 : 2015/11/11(水) 16:31:59.83 -
恭介(ゆりっぺと立華のじゃんけんの結果、俺たちは先攻に決まった)
恭介(マウンドには斉藤、身長や体格のせいかすげえ威圧感だ)
ゆり「やっぱりあいつがピッチャーね」
ユイ「どんな球投げるんですかね」
野田「フンっ…!どんな球だろうと俺がホームランを打ってやる…!」
恭介(打席には来ヶ谷。さあどうなるか…)
主審「プレイボール!」
-
287 : 2015/11/11(水) 16:33:34.92 -
直井「さて。悪名轟くリトルバスターズの実力がどの程度のものなのか…」
直井「じっくり見物させてもらいましょうか」
立華「…直井くん、さっきの斉藤くんの登録証の生徒会印。あれ、本当にあたしが押したものだったかしら?」
直井「会長まで何を言ってるんですか?生徒会印は会長が自ら保管しているじゃないですか」
直井「他の人間に登録証の偽造なんて不可能ですよ」
立華「…そうね」
-
288 : 2015/11/11(水) 16:34:25.21 -
直井「もし僕が独断で。野球部に助っ人を用意したと疑っているんでしたら」
直井「それはきっぱりと否定しておきます」
直井「確かに前々から、会長のリトルバスターズに対する処遇は、甘すぎるとは思っています」
直井「ですがこの試合のためだけに、わざわざそこまでする必要性があるとは思えませんから」
立華(…多分、直井くんは嘘をついてない)
立華(なにを考えているのかわかり辛いところはあるけど、確かに登録証の偽造は直井くんにも不可能だわ)
立華(なら、あの登録証は…。今マウンドに立っている彼は…)
立華(…棗くん)
-
289 : 2015/11/11(水) 16:35:35.50 -
主審「アウト!」
恭介(初っ端から随分と粘ってたが、最後はキャッチャーフライに倒れた)
恭介(おそらく際どい球は、狙ってカットしていたんだろう)
恭介(打席に向かう途中で来ヶ谷とすれ違う)
恭介「どんなもんだ?」
来ヶ谷「球速は恭介氏と同じ140km/h前後、コントロールも良い」
来ヶ谷「審判は外角のストライクにやや甘いな。それと…」
-
290 : 2015/11/11(水) 16:37:01.40 -
来ヶ谷「球が重い。あのストレートで長打を狙うのは苦労しそうだ」
来ヶ谷「次の打席は小細工せず、真っ向から打ち崩すとするよ」
恭介「一打席でそれだけ引き出してくれたんなら充分だ。ありがとよ、来ヶ谷」
来ヶ谷「あれだけ粘ったというのに、変化球は使わなかったがな。注意してくれ、恭介氏」
恭介「ああ」
恭介(バッターボックスに入り、斉藤を見据える)
恭介(どういう魂胆かは知らねえが、俺たちに野球で勝負するっていうんなら望むところだ)
恭介(この勝負、負けられないぜ…!)
-
291 : 2015/11/11(水) 16:37:44.98 -
恭介(しっかりとバットを構える。そして斉藤が、投げた…!)
ビュッ!
恭介「!?」
恭介(身の危険を感じ、咄嗟に上体を反らす…!)
恭介(斉藤の投げた球は、キャッチャーのミットを大きく外れバックネットに直撃した)
恭介(もし避けなかったら、顔面に当たっていたかもしれない…)
-
292 : 2015/11/11(水) 16:38:48.31 -
真人「おいてめえっ!!危険球だぞっ!!」
美魚「まともに当たれば大怪我ですね…」
主審「きみ、大丈夫かい!?」
恭介「…ええ、大丈夫ですよ」
主審「ピッチャー!もう一度、あんな球を投げたら退場処分にするぞ!いいな!?」
斉藤「うっす!俺、斉藤っす!」
日向「それしか言えねーのかよ…、あいつは…!」
ゆり「いきなりやってくれるわね…!」
-
293 : 2015/11/11(水) 16:39:38.87 -
恭介(再度バットを構え、打席に立つ)
恭介(随分な挨拶じゃねえか…。俄然燃えてきたぜ。そっちがその気なら、俺は…)
斉藤「……………」
ビュッ
恭介(正々堂々…)
恭介「打ち返すだけだっ!」
カキィン!
日向「打った!」
ユイ「やったあ!」
恭介(俺の打った打球はレフト前に落ちる。当然、ヒットだ)
-
294 : 2015/11/11(水) 16:40:48.62 -
藤巻「いきなりあんな挑発されたのに、なんだよ!屁でもないって感じじゃねえか!」
岩沢「当たり前だ。棗があの程度で怯むわけがない!」
謙吾「いいぞぉー!恭介ぇー!」
ゆり「さすがね、棗くん」
ゆり(打席に入る。あの斉藤とか言う奴に、自意識があるのかはわからないけど)
ゆり(あんな挑発までしてきたり、つくづく神の性格の悪さが透けて見えるわね)
-
295 : 2015/11/11(水) 16:41:26.82 -
ビュッ!
主審「ストライク!」
ゆり(さすがにもう危険球は投げてこないか)
ゆり(なら思う存分、バットであんたを…)
ビュッ!
ゆり「ノックアウトしてやるわ!」
カキィン!
恭介(ライナー性の当たりが三遊間を抜ける。さすがに三塁は狙えないが、ゆりっぺもゆうゆうセーフだ)
-
296 : 2015/11/11(水) 16:42:15.39 -
恭介(ワンアウト。一塁、二塁)
恭介(初回からのチャンスに、ベンチや応援団のみんなのテンションも上がる)
恭介(そして打席には、四番の真人だ)
真人「へっ!見とけよ、かっとばしてやるぜ!」
葉留佳「真人くん、ファイトー!もう一度スリーランだー!」
日向「この調子なら、マジでいきなり得点もありえるな」
-
297 : 2015/11/11(水) 16:43:47.41 -
来ヶ谷「だが、仕掛けてくるならこの場面だな」
ユイ「仕掛けるって?」
来ヶ谷「私たちは、鈴君の最速150km/hを超える速球に慣れているんだ」
来ヶ谷「奴が神の刺客なら、奴の球種が140km/h程度のストレートだけのはずがない」
葉留佳「いや打てて当然のように言ってますけど…」
葉留佳「その速さについていけるのは、姉御と恭介さんと真人くんくらいですからネ…」
美魚「なにかしらの変化球があるということでしょうか?」
来ヶ谷「ああ。それもここまで温存するようなとっておきがな」
-
298 : 2015/11/11(水) 16:44:26.29 -
恭介(斉藤が振りかぶり、投げた)
シュッ
真人「遅えっ!もらったぁ!」
ブゥン!
恭介(真人が豪快にスイングする。だが…)
スパン!
恭介(バットは空を切り、ボールはキャッチャーのミットに収まっていた…!)
-
299 : 2015/11/11(水) 16:45:35.11 -
真人「な、なにぃ!?」
ゆり「なに、今の球…!?」
恭介「あの揺れながら変化する軌道。あれは…」
日向「ナックルだ…!」
ユイ「ナックル…?ひなっち先輩、それってどんな球なんですか?」
日向「握りに違いはあれど、普通ボールはしっかりと握ってリリースする」
日向「それによって回転が生まれ、球が伸びたり変化したりするんだ」
日向「けどナックルは違う。握るんじゃなくて、指で弾くようにして投げるんだ」
日向「そうやって投げると、無回転のボールになるんだよ」
-
300 : 2015/11/11(水) 16:46:30.53 -
ユイ「回転がかからないのに、なんで変化するんですか?」
来ヶ谷「無回転ということは、当然空気抵抗をもろに受けるということだ」
来ヶ谷「それにより、投げた本人ですらどう曲がるかはわからない」
来ヶ谷「まさに現代の魔球とも言える変化球なんだよ、ユイ君」
ユイ「現代の魔球…」
葉留佳「しかもあのナックル、速いね…!」
美魚「はい。鈴さんのナックルよりも速い上に、より変化しているみたいです」
-
301 : 2015/11/11(水) 16:47:19.58 -
主審「ストライク!バッターアウト!」
真人「ちっ…!まさかナックルを投げてきやがるとはな!」
恭介(まずいな…。あのナックルを打ち崩すのは難しい)
恭介(ランナーが溜まってる今のうちに仕掛けるべきだ…!)
主審「ストライク!」
野田「くそっ!なんだこの球は…!」
恭介(ワンボール、ワンストライク…。次だ!)
恭介(斉藤が投げるのと同時に…)
-
302 : 2015/11/11(水) 16:48:15.29 -
恭介「いくぜっ!」
ダッ!
日向「走った!」
野田「ぬおぁっ!」
カン!
恭介(詰まらせた当たり、ファーストゴロだ)
恭介(野田も懸命に走るが…)
塁審「アウト!」
恭介(間に合わない。二者残塁でチェンジだ)
-
303 : 2015/11/11(水) 16:49:36.87 -
野田「スマン…。みんな…」
恭介「仕方ないさ。ナックルをまともに芯に当てるのは難しい」
恭介「初見で当てただけでも大したもんだ」
ゆり「ナックル…ね。面倒な球を投げてくれるじゃない」
ゆり「あれがあいつの奥の手ってやつかしら?」
ユイ「曲がる方向がわからない球なんて、どうやって攻略するんですか…?」
-
304 : 2015/11/11(水) 16:50:50.63 -
日向「たとえば、さっきの恭介みたいに、脚で揺さぶりをかけたりとかだな」
日向「あいつのナックルは速いが、それでもストレートより遥かに球速は落ちる」
日向「脚に自信がある奴の盗塁なら防げない。ただこれは、塁に出なければ使えないけどな」
日向「あとは一打席目の来ヶ谷みたいに、カットしまくって相手の握力を減らす手なんだが…」
美魚「神の刺客に、スタミナを削る作戦が通用するんでしょうか?」
日向「そこなんだよなぁ…。しかもあんなナックルを狙ってカットするのは至難の技だぜ」
-
305 : 2015/11/11(水) 16:51:55.18 -
ゆり「とにかく、なんとかしてあいつから点を取るわよ!」
ゆり「棗くん。がんばって抑えてちょうだい!」
恭介「ああ。任せとけ!」
恭介(攻守交代。今度は俺がマウンドに上がる)
恭介(あのナックルを攻略する前に、点を取られる展開だけは避けたい)
恭介(打席には一番バッター。野球部のレギュラーだろうがなんだろうが…)
恭介(抑えてみせるぜ。絶対にな…!)
-
306 : 2015/11/11(水) 16:52:39.25 -
恭介「うおおおおっ!」
ズバン!
主審「ストライク!」
大山「うわあ…!一試合目より速くない!?」
謙吾「あいつのことだ。燃えているんだろう…!」
沙耶「ピンチやチャンスの時こそ、燃えるのが恭介くんだからね!」
-
307 : 2015/11/11(水) 16:53:20.42 -
恭介「うおおおおっ!」
ズバン!
主審「ストライク!バッターアウト!」
クド「わふーーーっ!!」
関根「いきなり三球三振っすか!?」
入江「すごい…!」
ひさ子「…なんて言うか、斉藤とは対照的だな」
竹山「対照的ですか?」
-
308 : 2015/11/11(水) 16:54:56.69 -
ひさ子「ああ。棗は闘志全開で投げてるけど、斉藤は黙々と投げてただろ?」
ひさ子「打ち取っても顔色一つ変えてなかったし、機械みたいで不気味っていうか…」
椎名「…あながち、その表現は間違っていないかもしれないな」
椎名「天使だって自意識があるか不明なんだ。あの斉藤という男が、自意識の無い野球人形でも不思議じゃない」
高松「野球人形ですか…。だとしたら哀れな存在なのかもしれませんね」
-
309 : 2015/11/11(水) 16:56:05.05 -
松下「試合に燃えることも、野球を楽しむこともできないということか…」
TK「That’s brutal…」
岩沢「…確かに、気の毒かもな。でも、だからこそ、棗たちはそんな奴には負けない」
藤巻「へっ。神の刺客なんかに同情なんて必要ねえよ!」
藤巻「俺達は応援あるのみだぜ!」
謙吾「ああ!そのとおりだ!」
-
310 : 2015/11/11(水) 16:57:07.88 -
恭介「うおおおおっ!」
ズバン!
主審「ストライク!バッターアウト!」
恭介(チェンジアップを混ぜながら、二番打者も打ち取る)
恭介(これで二者連続三振。ここまでは上々の立ち上がりだ)
恭介(だが、次からはクリーンアップ。三番打者が打席に入り、ネクストバッターサークルには…)
斉藤「……………」
恭介(エースで4番ってやつか。笹瀬川を思い出すな)
恭介(こいつの前にランナーは出したくない。この回はこのまま三人で押さえてやる)
-
311 : 2015/11/11(水) 16:58:12.77 -
恭介(三番打者に一球目を投げる…。インコースへ、ストレートだ!)
恭介「うおおおおっ!」
バッター「ふんっ!」
カキーン!
恭介「なっ…!?」
恭介(初球打ちか…!打球はセンターとライトの中間に落ちる)
-
312 : 2015/11/11(水) 16:58:51.01 -
葉留佳「任せて!みおちん!」
美魚「は、はいっ…!」
恭介(三枝が捕球し、セカンドに投げる)
恭介(三番バッターは一塁でストップしていた)
恭介(やるな…。綺麗に外野まで持っていきやがった)
恭介(さすがは野球部のレギュラーってことか)
-
313 : 2015/11/11(水) 16:59:55.58 -
日向「ドンマイ!ドンマイ!打たせてこーぜ!恭介!」
恭介「ああ!」
恭介(できればランナー無しの状況で勝負したかったが。まあ、そう上手くはいかないか)
斉藤「……………」
恭介(軽い素振りもせずに、斉藤が無言で打席に入る)
恭介(フッ…面白え。燃えてきたぜ…!)
恭介(あの体格、そして四番打者だ。長打を警戒し、丁寧に攻め立てるべきだな)
-
314 : 2015/11/11(水) 17:01:26.76 -
恭介(まずは、インハイにストレート!)
恭介「うおおおおっ!」
ズバン!
主審「ストライク!」
斉藤「…………」
かなで「…何キロ?」
直井「スピードガンの数値は145km/hです。さっきまでの最速は、最初に投げた143km/h」
直井「面白いピッチャーですね、彼は」
かなで(…あたしにはわかる。棗くんは、楽しんでいるんだわ)
かなで(真剣勝負を。たとえそれが、得体の知れない相手でも…)
-
315 : 2015/11/11(水) 17:02:40.28 -
ブンッ!
主審「ストライク!」
斉藤「……………」
恭介(カウントはツーボール、ツーストライク。追い込んだぜ…!)
恭介(チェンジアップに空振った後だ。外角低め一杯に、ストレートで決まる…!)
恭介「いくぜっ!斉藤っ!」
恭介(今日一番の気合を込めて、思いっきり振りかぶる…!)
-
316 : 2015/11/11(水) 17:03:15.71 -
恭介「うおおおおあっっ!!」
ビュッ!
恭介(狙い通りのコースに、ボールは伸びていく)
恭介(が…)
斉藤「うっす!」
カキィーン!!
恭介「!?」
恭介(嫌な快音だ…。センター方向に打球は伸びていく…)
恭介(まさか…)
-
317 : 2015/11/11(水) 17:04:01.95 -
葉留佳「うりゃああああ!!」
恭介「三枝…!?」
恭介(三枝が諦めずボールを追いかける。打球はフェンスに直撃しようかという当たりだ)
葉留佳「ジャーンプっ!!」
恭介(それでも高くジャンプしながら懸命に手を伸ばした…)
恭介(体がフェンスにぶつかり、ひっくり返る…!)
-
318 : 2015/11/11(水) 17:04:37.28 -
美魚「三枝さん…!」
真人「おい!大丈夫かよ!?」
葉留佳「…ふっふっふ」
恭介(倒れたまま、左手にはめたグラブを付きあげた)
葉留佳「ゲットですよ…!」
恭介(その中には、確かにボールが収まっている)
審判「アウトーーっ!!」
-
319 : 2015/11/11(水) 17:05:52.44 -
日向「よっしゃあーー!!」
ゆり「すごいわ!三枝さん!スーパープレーじゃない!!」
恭介(三枝のキャッチにみんなが沸く。ケガが心配だったが、ピンピンしながら駆け寄ってきた)
恭介「サンキューな、三枝!助かったぜ!」
葉留佳「ふっふっふ~ん!はるちんにお任せですヨっ!」
野田「やるな…三枝!大したやつだ…!」
日向「おっ?野田が素直に、恭介やゆりっぺ以外を褒めるなんて珍しいな」
ユイ「試合中に雨降っちゃうかもしれませんね!」
野田「うるさいぞ、お前らっ!俺だってすごいと思ったら普通にだなっ…!」
-
320 : 2015/11/11(水) 17:06:40.71 -
恭介(ベンチに戻る。いきなりヒヤッとさせられたが、なんとか無失点で一回を終えた)
恭介(だが、チェンジアップの後のあのコースを、フェンスぎりぎりまで運ばれるとはな…)
恭介(やっぱ斉藤は一筋縄じゃいきそうにないぜ)
恭介(二回の表。この回は六番の日向からだ)
-
321 : 2015/11/11(水) 17:07:29.51 -
恭介「頼むぜ、日向!」
ユイ「元野球部の意地、見せて下さいよーっ!」
日向「お前に言われると、なんかやる気失くすんだよな…」
ユイ「どういう意味じゃ、こらぁーー!!」
日向「ま、やってみせるぜ。早く恭介を楽にしてやりたいしな」
恭介(そう言いながら、打席に入る。誰かがナックルを攻略しない限り、この試合に勝ち目は無い)
-
322 : 2015/11/11(水) 17:08:14.91 -
日向「さあ、来やがれ!」
斉藤「……………」
恭介(振りかぶって、投げた)
ビュッ!
日向「なっ!?」
ズバン!
主審「ストライク!」
真人「ナックルじゃねえ!?」
来ヶ谷「ストレートと織り交ぜながら出すつもりなのか、それとも…」
日向「やろうっ!」
-
323 : 2015/11/11(水) 17:09:11.23 -
カィン!
主審「ファール!」
恭介(フルカウント。そしてまだ、一球もナックルを投げていない…!)
野田「間違いない…!あいつナックルを温存する気だ…!」
ゆり「ピンチの場面以外は、ナックルを見せる気すら無いってこと…!?」
恭介「だが、確かに効果的だ…。初見で対応するのは難しい球だからな」
来ヶ谷「肝心な場面で抑えさえすれば、ナックルを見せる相手は最小限にできる」
来ヶ谷「ただでさえこの試合のイニングは5回しかないんだからな」
-
324 : 2015/11/11(水) 17:10:33.68 -
日向「なめやがって…!俺にはナックルを出すまでもないってことかよ…!」
日向「だったら…」
斉藤「……………」
ビュッ!
日向「そのストレートを打つまでだっ!!」
カキィン!
恭介(痛烈なライナーが、一・二塁間を襲う。これは…抜ける!)
-
325 : 2015/11/11(水) 17:11:06.20 -
セカンド「やっ!」
パシッ!
日向「なっ!?」
塁審「アウトぉ!!」
恭介(セカンドのファインプレーに防がれた)
日向「ちくしょうっ!!」
ユイ「ひなっち先輩…」
恭介(日向が悔しさを顕わにしながら、帰ってくる)
-
326 : 2015/11/11(水) 17:12:31.76 -
ゆり「落ち着きなさい、日向くん。怒ったら相手の思うつぼよ」
日向「…ああ、わかってる。次こそ打ってやるぜ!」
美魚「良い当たりだったんですけどね」
来ヶ谷「斉藤の球は重いからな。他のピッチャーなら長打だったんだろうが…」
恭介(しかし、嫌なムードだ…。この様子だと、ピンチの場面か、真人や野田以外にはナックルを投げてこない)
恭介(ナックルを攻略するにはとにかく、塁に出なければ始まらないってことだ…!)
葉留佳「……………」
恭介(三枝が無言で打席に入る。そして、予想外の行動に出た…)
-
327 : 2015/11/11(水) 17:13:08.88 -
葉留佳「ほらほら、センターバーック!!」
野田「よ、予告ホームランだとっ…!」
日向「三枝ってそんなパワーあんのか!?」
来ヶ谷「いや斉藤の球は、葉留佳君の力じゃ打ち返せないだろうな…」
美魚「ということは…?」
恭介「ああ。きっとまたなにか仕掛けるつもりだ…!」
-
328 : 2015/11/11(水) 17:14:03.92 -
主審「ストライク!」
葉留佳(やっぱ速いなぁ…。こりゃ私には打てなさそうだね)
葉留佳(でも確かに、鈴ちゃんの本気の球よりは遅い…)
葉留佳(だから見える…。見えさせすれば…!)
ビュッ!
葉留佳「こういう手もあるんですヨっ!」
コォン!
-
329 : 2015/11/11(水) 17:14:36.52 -
ゆり「バント!?」
恭介(三塁線に、上手いこと転がした。切れるか切れないか際どい…!)
斉藤「……………」
恭介(斉藤は見送ることを選んだようだ。ボールは…)
ピタッ
恭介(三塁線の上で止まった)
塁審「フェアっ!!」
-
330 : 2015/11/11(水) 17:15:17.96 -
恭介「すげえっ!すげえぜ、三枝っ!!」
葉留佳「やはは。もっと褒めて~♪」
恭介(一塁に立ち、ニコニコしている。応援団のみんなからも、歓声が聴こえてくるぜ…!)
ゆり「やるわね!バスターの次は予告ホームランからのバントなんて…!」
日向「どんだけ器用なんだよ、あいつ…!」
恭介(とにかく、塁に出てくれた。それだけでもムードは変わる。ほんとに大した奴だぜ)
-
331 : 2015/11/11(水) 17:15:50.89 -
ユイ「よっし。打つぞー!ホームランは無理でもヒットなら…!」
斉藤「…………」
ビュッ!
ユイ「きゃっ!」
ズバン!
主審「ストライク!」
-
332 : 2015/11/11(水) 17:16:39.79 -
ユイ(う、嘘…。こんなに速いの…?なんでみんなこんな球見えるの…?)
ユイ(ゆるい球でもまともに当てた事ないのに、こんな球打てるわけないよ…)
ユイ(でも、でも、せめて振らないと…!)
ビュッ!
ズバン!
ユイ「た、たぁ!」
主審「ストライク!」
-
333 : 2015/11/11(水) 17:17:12.08 -
真人「完全に振り遅れてるな」
野田「それどころか、怖がってないか?あいつ…」
来ヶ谷「無理もない。ユイ君は私たちと違って素人だ」
来ヶ谷「初めての試合で、140km/hの球に対応するのは難しいだろう」
日向「……………」
ユイ「えいっ…!」
主審「ストライク!バッターアウト!」
-
334 : 2015/11/11(水) 17:17:54.07 -
ゆり「これでツーアウトね…」
真人「あの速球じゃ、三枝のやつも走れねえだろうな」
ユイ「す、すみません…」
恭介(ユイがトボトボ歩きながら戻ってくる)
恭介(台詞こそ同じだが、さっきの試合より目に見えて落ち込んでいる)
恭介「ドンマイだ、ユイ。いきなり打つのなんて難し…」
-
335 : 2015/11/11(水) 17:18:44.61 -
日向「落ち込んでじゃねえよ、アホっ!」
ユイ「なっ…!?」
恭介「お、おい日向…?」
恭介(俺が声を掛けてる途中で、日向が割って入ってきた)
ユイ「アホだとぉーー!?誰がアホじゃ、こらぁーー!!」
日向「だからお前がアホだって言ってんだよ!」
日向「情けなく三振して、そんな顔して戻ってきて。これのどこがアホじゃねーってんだよ」
-
336 : 2015/11/11(水) 17:19:40.45 -
ユイ「うるさいわぁーーっ!!ひなっち先輩だって、結局アウトだったじゃないですかぁーー!!」
日向「ああ、そうだよ!俺だってアウトだよ!すげえ悔しいよっ!」
日向「けど、お前みたいに落ち込んでねーよ。次は絶対打つつもりだからなっ!」
ユイ「えっ…」
日向「だからお前も落ち込んでじゃねえよ。お前らしくもない!」
日向「次打てばいいんだよ…!」
ユイ「ひなっち先輩…」
-
337 : 2015/11/11(水) 17:20:47.68 -
ユイ「そうですね!あたし、がんばりますっ!」
日向「ま、期待はしてねーけどな」
ユイ「なんでお前は一言多いんじゃああぁぁーー!!」
バキッ
日向「…いってぇっ!!そうやってすぐ脚出すから、お前は可愛げがないんだよっ!」
ユイ「あら、失礼。ひなっち先輩如きには、可愛げを見せるつもりはありませんの」
ユイ「ごめんあそばせ!おーっほっほっ!」
日向「似合わねえ言葉使いしてんじゃねえよ、気色わりい…!」
ミシミシミシ…
ユイ「タップ…!タップ…!関節がくだげまずぅ…!」
-
338 : 2015/11/11(水) 17:21:34.03 -
恭介(蹴飛ばされたり、関節技決め返したり。もうすっかり定着した、この二人のやりとりだ)
ゆり「まったく。痴話喧嘩ならよそでやってほしいわね」
日向「痴話喧嘩じゃねえよっ!!」
ユイ「痴話喧嘩じゃないですっ!!」ゆり「はいはい」
恭介(俺より日向の方が、ユイの扱いがうまいな。この分ならユイは大丈夫そうだ)
恭介(さて、なら俺は…)
-
339 : 2015/11/11(水) 17:22:16.32 -
恭介「タイム!」
恭介(一度、タイムを取り、打席に入ろうとしている西園に声をかける)
美魚「なんですか?恭介さん」
恭介「いや、西園もユイと同じで野球は初心者だろ」
恭介「だから…」
美魚「だから、私も怖がるかもしれない。怖がる必要は無いと励ましに来てくれた、というところですか?」
恭介「えっ…」
恭介(言おうとしていたことを、ピシャリと当てられる)
-
340 : 2015/11/11(水) 17:24:00.01 -
美魚「お気持ちは嬉しいです。ありがとうございます。ですが…」
美魚「少し失礼ですよ、恭介さん」
美魚「私だってあの世界で、何度もみなさんと無茶な遊びをしたんですから」
美魚「今更、速球くらいで怯んだりしません」
恭介(そう言うと、西園は小さく笑った)
恭介「そっか…。悪い、余計な気を遣っちまったな」
美魚「いえ、昔の私なら間違いなく怯んでいたと思います」
美魚「変われたのは、恭介さんたちのおかげですから」
-
341 : 2015/11/11(水) 17:24:47.94 -
美魚「だから打ってみせます。みなさんのために」
恭介「ああ!期待してるぜ!」
恭介(少しも怯えた様子を見せずに、西園は打席に立った)
恭介(集中しているのが、こっちにまで伝わってくる)
恭介(こいつはイケるかもしれない…!)
-
342 : 2015/11/11(水) 17:25:23.72 -
斉藤「……………」
ビュッ!
西園「…!」
主審「ボール!」
ゆり「よく見ているわね」
日向「ああ。しっかりと見送った感じだったな」
来ヶ谷「美魚君の集中力は、おそらく私たちの誰よりも優れている」
来ヶ谷「見えさえすれば、当てることはできるはずだ。さっきの葉留佳君のように」
-
343 : 2015/11/11(水) 17:26:05.24 -
葉留佳(くっそー。姉御くらい脚が速ければ、盗塁で揺さぶれるんだけどなぁ…)
葉留佳(みおちんっ!がんばれっ!)
美魚(ワンボール、ツーストライク。ここまで全てストレート…)
美魚(次、来る…!)
斉藤「……………」
ビュッ!
美魚(来た、ストライク…!)
-
344 : 2015/11/11(水) 17:26:37.62 -
美魚「ええいっ!」
カィン
美魚「…!」
恭介(西園の打球はピッチャーゴロ…。そのままファーストに送球される)
塁審「アウトっ!」
野田「くそっ…!また残塁か…!」
-
345 : 2015/11/11(水) 17:27:43.17 -
恭介(西園と三枝が戻ってくる)
美魚「すみません、みなさん。三枝さんも」
葉留佳「だいじょぶ、だいじょぶ!切り替えていこー!」
ゆり「タイミングは合ってたわね」
美魚「はい。でも、振り抜けませんでした」
真人「西園の筋肉じゃあな。仕方ねえよ」
美魚「はい。次は打ちます」
-
346 : 2015/11/11(水) 17:28:43.75 -
恭介(それだけ言うと、早々にバットを納めて、ライトに向かっていった)
ユイ「燃えてますね…。西園さん」
恭介「フッ…!俺も負けていられないな!」
ゆり「棗くんは、斉藤にライバル意識燃やしなさいっての!」
-
347 : 2015/11/11(水) 17:29:33.01 -
恭介(二回裏。今度は俺が抑える番だ)
恭介(だが、いきなり先頭打者にヒットを許すと、次の打者がきっちりとバントで送ってきた)
恭介(七番は三振に抑えるが、八番にまたもヒットを打たれる)
恭介(ツーアウト。一塁、三塁)
恭介(さすがに手強い…!それでも、点はやらねえっ!)
-
348 : 2015/11/11(水) 17:30:22.59 -
恭介「うおおおおあっ!!」
ズバン!
主審「ストライク!バッターアウト!」
直井「また145km/h…。さっきまでは140km/h前後だったのに」
直井「恐ろしくピンチに強いみたいですね、彼は」
かなで「ええ…。棗くんらしいわ」
直井「……………」
-
349 : 2015/11/11(水) 17:31:20.06 -
恭介(三回表。ちょうどまた一番からだ)
来ヶ谷「さて、行ってくるよ」
恭介「ああ。頼むぜ、来ヶ谷」
来ヶ谷「頑張っている恭介氏に、そろそろプレゼントをあげたいからな」
来ヶ谷「まあ、おねーさんに任せておけ」
恭介(そう言うと、颯爽とバッターボックスに立つ)
恭介(こういう時の来ヶ谷はすげえ頼りになる)
恭介(あいつのセンスは俺よりも上だ。おそらく、ナックルはまだ投げてこない)
恭介(本気になった来ヶ谷ならきっと…)
-
350 : 2015/11/11(水) 17:32:33.54 -
来ヶ谷(……………)
ビュッ!
主審「ストライク!」
来ヶ谷(懲りずにストレートだけか。その球は、一打席目でさんざん見させてもらったというのにな)
来ヶ谷(斉藤…。お前が何者なのかはどうでもいい)
来ヶ谷(たとえ本当に神の使いだろうと関係ない)
来ヶ谷(私の望むものはただ二つ)
来ヶ谷(一つは理樹君と再会し、この想いを伝えること)
来ヶ谷(そして、もう一つは…)
-
351 : 2015/11/11(水) 17:33:14.83 -
葉留佳「レッツゴーー!姉御ーーっ!」
クド「来ヶ谷さーん!がっつでがっつんがっつんです!」
椎名「負けるなっ!来ヶ谷っ!」
来ヶ谷(ふっ…本当に賑やかだな。そう騒がなくても聴こえているというのに)
来ヶ谷(みんなの応援も、うるさいくらい響いている太鼓やトランペットの音もだ)
来ヶ谷(そう、私は…)
ビュッ!
主審「ボール!」
-
352 : 2015/11/11(水) 17:33:51.94 -
来ヶ谷(みんなにとって、格好いい『姉御』で有り続けたい)
来ヶ谷(みんなから頼られる、そんな存在でいたい)
来ヶ谷(他者には理解できないような、望みかもしれないがな)
来ヶ谷(だが、この二つが今の私の全てなんだ…!)
来ヶ谷(だから…)
ビュッ!
来ヶ谷「打たせてもらう!」
カキィン!
-
353 : 2015/11/11(水) 17:34:43.24 -
恭介(快音が響く。センター前ヒットだ)
恭介(ついにノーアウトのランナーが出た…!)
ゆり「よしっ!」
真人「いいぞぉーー!来ヶ谷ぁーー!」
恭介(さあ、勝負だぜ。斉藤…!)
恭介(さっきはてめえのストレートを打ち返してやったが、今度はどう出る…?)
-
354 : 2015/11/11(水) 17:35:22.22 -
斉藤「……………」
シュッ!
恭介(遅い…。これは…!)
ブゥン!
主審「ストライク!」
恭介「ちっ…!」
ユイ「ナックル…!」
野田「ここで使ってきたか…!」
真人「恭介はさっきの打席、ストレートをヒットにしてるからな」
-
355 : 2015/11/11(水) 17:36:33.33 -
日向「でも、今回はすでに塁に…!」
シュッ!
来ヶ谷「翻弄してやろう…!」
日向「来ヶ谷がいるぜっ!」
ブゥン!
恭介(思いっきり振る、すこしでも来ヶ谷のアシストをするためだ)
恭介(キャッチャーが二塁に投げるが…)
塁審「セーフ!」
来ヶ谷「フッ…。遅いな」
葉留佳「姉御ーーっ!さすが!さすが!さっすがーーっ!」
-
356 : 2015/11/11(水) 17:37:55.35 -
恭介(余裕でセーフだ。このままナックルを投げれば、また盗塁を許すぜ?)
恭介(さあ、どうする斉藤…?)
斉藤「……………」
ビュッ!
恭介(ストレート…!)
恭介「そいつを待ってたぜ!!」
カキィン!
恭介(またもセンター前だ。こいつは来ヶ谷に打たせてもらったヒットだな)
恭介(ノーアウト。一塁、三塁)
恭介(最大のチャンスだ。そして打席には我らがリーダー、ゆりっぺが入る…!)
-
357 : 2015/11/11(水) 17:39:19.18 -
ゆり(ゴジラのテーマが聞こえてくる。まったくひどい選曲ね…)
ゆり(そもそも『ゆりっぺ』なんてあだ名もそうよ。日向くんがつけたものだけど、センス無さすぎだっての)
ゆり(いつもバカなことやって、好き勝手アホな振る舞いしてくれて)
ゆり(このメンバーのリーダーは本当に大変だわ)
ゆり(でも…これがあたしの仲間。あたしが守るべき、かけがえの無い仲間たち)
ゆり(あたし自身のために、そしてみんなのために…!)
ゆり(あたしは斉藤を…、神を打ち破る…!)
-
358 : 2015/11/11(水) 17:40:08.14 -
斉藤「…………」
シュッ!
恭介「いくぜっ!」
ゆり(ナックルを読み、即座に棗くんが走った)
ゆり(完璧なスタート。キャッチャーが投げるまでもないわね)
斉藤「……………」
ゆり(これで二塁、三塁。もう棗くんたちは走れないけど、チャンスは広がった)
ゆり(後は、あたしがナックルを攻略するだけ…。それで点が入る)
ゆり(大丈夫、打てる…。揺れる軌道だろうと、魔球だろうと…)
-
359 : 2015/11/11(水) 17:40:49.92 -
斉藤「……………」
シュッ!
ゆり(あたしの勘は、その上を行く…!)
ゆり「たあっ!!」
カキィン!
斉藤「!?」
バシッ
恭介(ピッチャーライナーが斉藤を襲う…!グラブごと弾いて、ボールが落ちる。ヒットだ!)
-
360 : 2015/11/11(水) 17:41:31.02 -
斉藤「……………」
恭介(ファーストがカバーに入り、ホームに返球する…!)
来ヶ谷「フッ…、残念だったな。すでにホームインだ」
恭介(ゆりっぺの投げ捨てたバットを拾い上げ、来ヶ谷が堂々とホームを踏んでいた)
ユイ「やった!やったーー!」
葉留佳「ついに得点だぁーー!」
野田「さすがだぁっ!ゆりっぺぇーー!!」
-
361 : 2015/11/11(水) 17:42:14.35 -
恭介(欲しかった一点が、ついにスコアボードに刻まれる)
恭介(すげえぜ、ゆりっぺ…!あっさりナックルを攻略しやがった!)
恭介(しかもまだノーアウト。チャンスは続く…!)
真人「さあ、筋肉さんのお出ましだぜ!」
恭介(この場面もおそらくナックルしか投げない。ってことは…)
-
362 : 2015/11/11(水) 17:42:52.00 -
シュッ
ゆり「邪魔よっ!」
日向「また、走った!」
恭介(キャッチャーが刺そうとするが…)
塁審「セーフ!」
葉留佳「とことん、翻弄しまくってますネ!」
来ヶ谷「盗塁はナックルの弱点だからな」
美魚「また二塁、三塁。ここからですね」 -
363 : 2015/11/11(水) 17:43:55.73 -
恭介(フルカウント…。斉藤はここまで全てナックルを投げている)
恭介(六球目…)
斉藤「…………」
シュッ!
真人「おらあっ!!」
カィン
恭介(鈍い音。詰まらせた当たりだ)
恭介(セカンドフライか…)
-
364 : 2015/11/11(水) 17:45:43.25 -
塁審「アウト!」
真人「くそっ!ふがいねえっ!」
恭介(これで、ワンアウト。二塁、三塁…)
野田「任せろ、真人!お前の分も俺が打つ…!」
真人「ああ、頼むぜ!野田っ!」
恭介(真人の応援を受け、今度は野田が打席に入る)
野田「来いっ…!」
恭介(あいつは居合抜きのようなフォームで打つ)
恭介(普通のフォームよりも、もしかしたらそのフォームの方が効果的かもしれない)
-
365 : 2015/11/11(水) 17:46:45.12 -
野田(不思議な気分だ…。みんなの応援がすごく頼もしい)
野田(この世界でも、ずっと浮いた存在だったはずの俺なのに…)
野田(ただゆりっぺの力になることが、俺の戦う理由だったはずなのに…)
野田(いつの間にかこんな俺ですら、みんなの輪の中にいる)
野田(打ちたい…!ゆりっぺの為だけじゃなく、みんなの為にも…!)
-
366 : 2015/11/11(水) 17:47:21.60 -
斉藤「……………」
シュッ!
野田(俺にも…!)
野田「かっこつけさせろぉ!!」
恭介(野田の打った打球は、ワンバウンドし三遊間へ)
恭介(行ける…!これは抜けるぜ…!)
恭介(そう確信し、ホームに走る!)
-
367 : 2015/11/11(水) 17:48:10.71 -
パシッ
恭介(!?やべえ…!今の音、掴みやがったか…!)
日向「急げ、恭介ぇ!!」
恭介(直後、日向の声が聞こえた。やっぱりか…!)
恭介「間に合えーーっ!!」
恭介(刹那。相手キャッチャーがボールを掴むのが見えた)
ドガッ…!!
-
368 : 2015/11/11(水) 17:49:41.12 -
ゆり「え…?」
日向「あっ…」
野田「な…」
真人「恭介ええぇぇーーー!!!」
恭介(…なんだ。なにが起こったんだ…?)
恭介(真人の声が聞こえる…。それに続いてみんなの声も…)
恭介(なんで俺は空を見上げてるんだ…?しかも…)
恭介(体中が、痛え…)
-
369 : 2015/11/11(水) 17:50:30.73 -
ユイ「先輩、棗先輩!しっかりしてください!」
真人「おい恭介っ!オレの声が聞こえるか、恭介!?」
直井「おやおや、これは不幸な事故ですね」
かなで「………………」
かなで(なに…?今、あたしはなにを見たの…?)
かなで(今…、まるで棗くんが、吹っ飛ばされたような…)
-
370 : 2015/11/11(水) 17:51:35.63 -
謙吾「恭介えええぇぇーーっ!!!」
岩沢(宮沢が真っ先に、棗の元に走った…!)
岩沢「棗っ!!」
岩沢(あたしたちも走った…。今の当たり方はやばい…)
岩沢(そう思わせるなにかがあった…。みんなも同じものを感じたに違いない…!)
主審「大丈夫かい!立てるかい!きみ!?」
恭介(そうか、吹っ飛ばされたのか…。俺は…。情けないぜ、くそ…)
-
371 : 2015/11/11(水) 17:52:30.08 -
謙吾「おいっ!貴様、今意図的に恭介を突き飛ばしただろうっ!」
キャッチャー「い、言いがかりだ!それに、真正面から突っ込んできたのはそっちじゃないか!」
藤巻「あんだと!?てめえっ!!」
恭介「…落ち着け。みんな」
恭介(痛みに耐えながら、なんとか立ち上がる)
-
372 : 2015/11/11(水) 17:53:11.55 -
ゆり「棗くん!大丈夫!?」
沙耶「頭とか打ったように見えたんだけど!」
恭介「ちょっと痛めただけだ。心配かけちまったな、みんな」
野田「恭介…」
恭介「なんだよ、野田。そんなしょげた顔してんじゃねえよ」
恭介「悪かったな、走った俺のミスだ。ナイスヒットだったぜ」
主審「本当に、大丈夫なのかい?」
恭介「ええ、大丈夫ですよ。それとお前…」
-
373 : 2015/11/11(水) 17:55:32.17 -
キャッチャー「な、なんだよ…?」
恭介「お前はケガしてないか?無茶して突っ込んじまったからな。どっか痛めたりしてないか?」
キャッチャー「い、いや。大丈夫だ。悪かった…」
主審「重ねて聞くけど、本当に大丈夫なんだね?どこか酷く痛むなら、棄権した方が…」
恭介「本当に大丈夫です。お騒がせしました、続けさせて下さい」
謙吾「恭介…。無理はしてないんだな?」
恭介「だから大丈夫だっての、心配しすぎだぜ。この程度、怪我のうちにも入らねえよ!」
-
374 : 2015/11/11(水) 17:56:34.95 -
恭介「まあでも、こんだけみんなが心配してくれるなら、痛い思いした甲斐があったかもな」
恭介(少しおどけて、冗談を言ってみる)
大山「バカなこと言わないでよ、恭介くん!」
岩沢「本当に心配したんだからな!」
クド「もうあんな無茶はしないで下さいっ!」
恭介(畳み掛けるように、みんなから批難される)
恭介「悪かった、悪かったって!」
ゆり「………」
-
375 : 2015/11/11(水) 17:57:17.65 -
恭介(なんとかみんなをなだめて、戻ってもらう)
恭介(まだツーアウト、俺たちの攻撃は続いてるんだからな)
竹山「意外と大丈夫そうでしたね」
関根「すごい派手に吹っ飛んだように見えたんですけどね」
遊佐「タフですね、棗さんは」
謙吾「大丈夫なものか…」
-
376 : 2015/11/11(水) 17:58:47.00 -
日向「恭介…。お前、本当はどっか怪我したんじゃねーか?」
恭介「日向まで何言うんだよ。大丈夫だ、問題ない」
日向「…まあ、こういう時に弱音吐くような恭介じゃねーよな」
日向「待ってろ。お前が阻まれた点、俺が取ってきてやる」
恭介「日向…」
-
377 : 2015/11/11(水) 17:59:43.06 -
日向(打席に立つ。ツーアウト、一塁、三塁)
日向(今の激突が事故か、故意のものなのかはとりあえずは置いておくとしてだ…)
日向(完全に火が付いたぜ…!)
日向(恭介は本気だ。本気で神相手に勝とうとしてる!)
日向(恭介のあんなプレー見せられた後に、打ってやることができないなら…)
日向(俺は、親友失格だ…!!)
-
378 : 2015/11/11(水) 18:00:51.20 -
斉藤「……………」
シュッ!
日向「うおおおおーーーっ!!」
カキィーーン!!
日向(球の重さを殆ど感じなかった…。覚えがある…。この感覚は…)
恭介(日向の打った打球はライト方向に真っ直ぐ伸びていく…)
恭介(入ると思った…。だが、わずかに低い。フェンス直撃の長打だ…!)
-
379 : 2015/11/11(水) 18:01:38.98 -
ゆり「…ふふっ。やる時はやるじゃないの、日向くん」
恭介(まず、ゆりっぺがホームを踏んだ)
恭介(そして、野田が疾走する…!三塁を蹴り、ホームへ…!)
恭介(ボールは…)
野田「どけええぇぇっ!!」
キャッチャー「うっ…」
恭介(野田が威圧するまでもなく、間に合わなかった。それほどまでに速かった…!)
-
380 : 2015/11/11(水) 18:02:33.19 -
日向「っしゃあああーーっ!!」
恭介(日向が吠える!)
恭介(これで三点が入った!本当に大きい追加点だ…!)
ゆり「ほらほら、リーダーのお帰りよーっ!」
野田「フッ…!帰っきてきた!俺は帰ってきたぞぉーーっ!!」
恭介(浮かれ気分で、みんなハイタッチを交わす…!)
恭介(応援団のみんなの歓声も聴こえる…!)
-
381 : 2015/11/11(水) 18:03:10.67 -
恭介「ははっ!めちゃくちゃカッコよかったな、日向のやつ!」
恭介「いやもうくちゃくちゃだ!くちゃくちゃカッコよかったぜ!」
美魚「恭介さん、それは鈴さんのネタです」
真人「鈴のやつが聞いてたら怒るぜ?こら!パクんなってな!」
ゆり「ホモの棗くんとしては、今ので日向くんに惚れちゃったんじゃない?」
恭介「だから俺はホモじゃねえよっ!感動に水指すようなボケいれんじゃねえっ!」
ゆり「あら、これは失礼~♪」
-
382 : 2015/11/11(水) 18:03:53.37 -
ユイ「すごいですね…!ホームランじゃなくても、ヒットでも、こんなに人を湧かせることができるんですねっ!」
恭介「ああ、ようは気持ちの問題だからなっ!」
恭介「ユイもきっと、日向みたいなヒットを打てるさ!」
ユイ「はいっ!」
恭介(弾けるような笑顔を見せてくれた。ユイはやっぱこうじゃねえとな)
-
383 : 2015/11/11(水) 18:05:14.92 -
恭介(その後、三枝が三振に終わり、攻守交代だ)
恭介(今から三回裏。五回までこの三点のリードを守りきれば勝てる)
ゆり「棗くん、怪我は大丈夫?投げれるわね?」
恭介「ああ、投げてみせるさ」
ゆり「そう、頼むわよ。あいつらを抑えられるピッチャーは、棗くん以外にいないんだから」
恭介「フッ…。自分で言うのもなんだが、ゆりっぺってほんと俺の扱い慣れたよな」
ゆり「そりゃあ、いい加減慣れるわよ。だってあなた単純だもの」
ゆり「しっかりやりなさい!」
恭介「ああ!」
-
384 : 2015/11/11(水) 18:05:47.77 -
関根「勝てるっ!勝てますよねっ!これっ!」
入江「うんうん!絶対勝てるよ!」
ひさ子「いつまではしゃいでんだよ、二人して」
関根「そういうひさ子先輩だって、ニヤついてますよ~?ぐふふ」
ひさ子「に、ニヤついてねえよっ!」
-
385 : 2015/11/11(水) 18:06:40.41 -
高松「ですが、勝負はここからが本番といえるかもしれません」
岩沢「そうなのか?もう押せ押せムードじゃないか」
松下「生徒会チームも、この回先頭打者から始まるからな」
松下「一巡した後だ。恭介の球に慣れたやつだっているかもしれない」
椎名「加えて、一人でもランナーを出せば、また斉藤に回るな」
大山「大丈夫だよ!恭介くんなら、絶対抑えるよっ!」
TK「No doubt about it!!」
謙吾「……………」
謙吾(恭介、俺は見逃さなかったぞ…。お前が一瞬、右肩を抑えようとしたのをな…)
謙吾(おそらく、お前は…)
-
386 : 2015/11/11(水) 18:08:00.03 -
主審「ボール・フォア!」
恭介「く、くそっ…」
野田「ドンマイだ、恭介!落ち着いて投げろ!」
恭介「ああっ…!」
恭介(いきなり先頭打者を歩かせちまった…)
恭介(問題ないと思ってたが、投げる瞬間痛みが響きやがる…!)
恭介(狙いが定まらねえ…。しかもさっきより速度まで出てないと来てるぜ…)
-
387 : 2015/11/11(水) 18:08:35.05 -
来ヶ谷「………………」
ゆり「まさか…!」
ユイ「棗先輩…。さっきので…」
日向「肩をやっちまったのか…!?」
恭介(このままじゃストライクすら取れねえ…!)
恭介(いや、だからといってコントロール重視で投げるのは危険だ…。これ以上速度を落とせば絶対打たれる…!)
恭介(そう考えた瞬間…)
-
388 : 2015/11/11(水) 18:09:06.90 -
来ヶ谷「落ち着け、恭介氏!打たせればいい!私たちが取ってみせる!」
日向「ああっ!俺たちを信じてくれっ!」
ゆり「まずはストライクを入れなさい!いいわねっ!」
恭介「………!みんな…」
ユイ「がんばってください!棗先輩!」
真人「俺たちもついてるぜぇーー!!」
美魚「ファイトです!恭介さん!」
葉留佳「ばっちこい、こーい!」
-
389 : 2015/11/11(水) 18:10:15.57 -
恭介(そうだな…みんなの言うとおりだ。俺一人で何とかする必要なんてない…!)
恭介(俺にはみんながいる…!仲間がいる…!)
恭介(だから信じて、投げるだけだ!)
恭介(二番打者が打席に入る。そして野田がミットを構える)
野田「来いっ!恭介っ!」
恭介「ああっ!」
恭介(野田の構えた位置に、投げるっ!)
-
390 : 2015/11/11(水) 18:10:43.22 -
恭介「うおおおおっ!!」
ズバン!
主審「ストライク!」
恭介「ぐっ…!」
恭介(なんとかストライクを取る。だが、これはしんどいぜ…!)
-
391 : 2015/11/11(水) 18:11:19.38 -
直井「130km/h…。可哀想に、やっぱりさっきの衝突で肩を痛めたようですね」
直井「止めなくてもいいんですか?会長」
かなで「…棗くんは投げるわ。痛くても、最後まで」
直井「そうですか。痛みで倒れないといいんですが」
かなで「………………」
-
392 : 2015/11/11(水) 18:12:02.18 -
カィン
恭介(ピッチャーゴロ…!?)
恭介「くっ…!」
恭介(なんとか捕球し、即座に投げようとするが…)
パシッ
恭介「!?」
恭介(弾いた…?俺が…ピッチャーゴロを…)
-
393 : 2015/11/11(水) 18:13:17.14 -
ゆり「棗くん…」
日向「恭介…」
恭介「はぁ…はぁ…」
恭介(くそっ…!気にしないようにしてたが、右肩だけじゃない…)
恭介(頭までクラクラしやがる…)
恭介(だが、倒れるわけにはいかない…!ここで俺が倒れちまえば、その時点で試合終了だ…!)
-
394 : 2015/11/11(水) 18:13:52.36 -
日向「まだ三点差ある!まずはワンアウトだ!」
恭介「ああ…!」
恭介(倒れるわけにはいかない…!野田のミット目掛けて、投げるしかない…!)
恭介「うおおおおっ!!」
ビュッ!
バッター「ふっ!」
カキィン!
恭介(初球打ち…!?やばい!抜かれる…!)
-
395 : 2015/11/11(水) 18:14:36.02 -
来ヶ谷「抜かせん!」
恭介(三遊間を抜けるかと思った当たりだったが、来ヶ谷が追いついてキャッチしてくれた…!)
来ヶ谷「6!」
ゆり「5!」
ユイ「3!」
塁審「セーフ!」
恭介(三塁はアウトを取ったが、一塁はセーフのようだ…)
恭介(危なかったぜ。今のは来ヶ谷じゃなきゃ取れなかったな)
-
396 : 2015/11/11(水) 18:15:56.43 -
恭介「サンキュー!来ヶ谷、助かったぜ!」
来ヶ谷「フッ…、三遊間は絶対に抜かせん。頑張れ、恭介氏」
恭介(来ヶ谷のファインプレーのおかげで、なんとかまずはワンアウトだ)
恭介(だが、ピンチはまだ続く…。ランナーを一塁、二塁に置いた場面で…)
斉藤「……………」
恭介(四番、斉藤…。こいつはやばい…!)
恭介(完璧に追い込んだはずだったのに、外角低めのストレートを、フェンスぎりぎりまで持ってかれたんだ)
恭介(今の俺の球じゃ、悔しいが勝ち目は無い…!)
恭介(敬遠気味に対処するしか…)
-
397 : 2015/11/11(水) 18:16:41.90 -
恭介(外角へ、ボール球のストレート…!)
恭介「うおぁっ!!」
ビュッ!
斉藤?「がっかりだよ。棗 恭介…」
恭介「えっ…」
カキィーーンッ!!
恭介「あ…」
恭介(打たれた瞬間わかった…。今の当たりは…)
恭介(振り向くと、フェンスをゆうに超えていく白球が見えた…)
-
398 : 2015/11/11(水) 18:17:42.99 -
主審「ホームランっ!!」
恭介(相手ベンチから歓声が聴こえる…)
恭介「嘘…だろ…?」
恭介(やっちまった…。みんながあれだけ、必死になってとってくれた三点だったってのに…)
恭介(あっという間に、追いつかれた…)
恭介「く…」
恭介「くっそおおぉぉーーっ!!」
恭介(思わず叫ばずにはいられなかった…)
恭介(ただただ、不甲斐なかった。みんなが俺を信じてくれて、俺もみんなを信じて投げたってのに…)
恭介(俺は、みんなの信頼に応えられなかった…)
-
399 : 2015/11/11(水) 18:20:11.89 -
今日は以上です
生徒会チーム戦、前編終了
次回でEpisode.5完結ですハイテンションシンドロームは4.5話らしいので野球回の次のオペレーションでやります
それまでに色々挟んだりしますが
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