少年エルフ「僕をパパにしてくれてありがとう」


1 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 18:50:24.62 ID:NHJiC3+00
これはハーフエルフの少年と彼に育てられた人間の娘の話

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1425635424


ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1425635424/


3 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:16:54.11 ID:NHJiC3+00
前スレッド

1:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1418379532/

2:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1419425539/

3:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1419695619/

4:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1422708931/

5A:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1423919388/

5B:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1424521392/


4 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:17:38.16 ID:NHJiC3+00
○早朝、少年エルフの部屋

バタン

娘が部屋に入ってきた。

娘「パパ、朝よ起きて」

少年エルフ「スースー」

娘「パパー、起きて。 時間よ準備しないと……、起きないと耳を食べちゃうよー」ボソボソ

少年エルフ「スースー」

娘「」はむ

はむはむフニフニペロペロちゅるちゅる

娘「ん~~」(昔から不思議だけど、どうしてパパの耳は美味しいのかしら)

少年エルフ「うん、ぁん……んひゃあ!? なに? 娘!!??」

娘「あ、起きた? パパ朝よ」

少年エルフ「も、もう耳食べないでって言ってるでしょ! そのクセそろそろ卒業してよ」

娘「仕方ないじゃない、子供の頃からなんだし。 ほら時間ないわ、着替えなきゃ」ぬがしぬがし

少年エルフ「……うん。 あ! ちょっと!? 一人で着替えるからでてって」ぐいぐい

娘「え、そう? わかったから押さないで」

少年エルフ「いいからはやく」ぐいぐい

バタン

娘は廊下に出されてしまった。

娘「変ね……。 ってこんな時間、行かなきゃ」


5 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:18:20.08 ID:NHJiC3+00
○朝、川原

娘「はぁ!」キンキン

男子「ふん」ブオン

娘と男子が剣術の訓練をしている。

ガキン

娘「はああ!」

カキーン

男子「む、まいった」

娘「……あんた、本気出してないでしょ」

男子「いや、そう言われてもな。 充分本気だぞ」

娘「うそ、あんたならもっと早く踏み込めるでしょう。 ったく、これじゃ訓練にならないじゃない」

男子「しかし、どうしたんだ急に朝練に付き合えなんて」

娘「べつに……最近運動不足だっただけよ」

男子「うむ? そうか」

娘(この前の奴、剣だけじゃ勝てなかった。 私もまだまだ)

男子「……そろそろ戻ろう腹が減った」

娘「ちょっと顔洗ってくるわ」テクテク


6 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:18:52.19 ID:NHJiC3+00
???「ゲコゲコ」ガサゴソ

娘「ん?」

草陰から大カエルがあらわれた。

ピュッ

娘「きゃ」

娘は足を絡め取られた。

男子「フン!!」ギュン

ズバン!

大カエル「グペペペぺ」バタバタ

大カエルは逃げ出した。

男子「大丈夫か?」

娘「……ほらぁ! アンタあんなに早く踏み込めるじゃない。 手加減してる証拠よまったく」

男子「あぁ、その……。 すまん」

娘「もういいわ、朝食にしましょ」


7 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:19:40.06 ID:NHJiC3+00
○少年エルフの喫茶店

少年エルフ「あ、おかえり。 朝ごはん出来てるよ」

娘「先に着替えてくるわ」

娘は2階に上がって行った。

少年エルフ「そう、はい男子君お茶」

男子「どうも……(うまい)」ずずっ

少年エルフ「はい、出来立てだよ。 ベーコン2枚でいい?」

男子「はい」

カチャカチャ

男子(……これもうまい、こんな朝飯久しぶりだな)モグモグ

少年エルフ「もう、汗かいてるじゃない。 はい、これで拭いて」

男子「あ、どうも」

ふきふき

男子(タオル柔らかいしいい匂いがする……)

少年エルフ「おかわり欲しかったら遠慮せずにいってね」

男子「はい……(母親が居たらこんな感じだろうか? いや、まぁ。 エルフさんはオトコなのだが)」

少年エルフ「娘が急に付き合わせてごめんね。迷惑じゃない?」

男子「そんなことないです、日課のついでですから」モグモグ

少年エルフ「そっかありがとね」


8 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:20:12.76 ID:NHJiC3+00
娘が2階から降りてきた。

娘「男子、あんた先に食べてるの? ずうずうしいわね」

男子「ゴフ。 うむ、すまん」

少年エルフ「なにいってるの遅いのは娘でしょ、ほら座って。 ベーコン半分?」

娘「半分よ」

少年エルフ「年頃なんだからもっと食べないと。 男子君食べる?」

男子「いただきます」


9 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:20:47.04 ID:NHJiC3+00

カランカラン

女薬師「ふぁああ、エルフおはよー」

女薬師がネグリジェであらわれた。

少年エルフ「ちょっと!?」

男子「」ブハ

娘「……また二日酔い?」

少年エルフ「ちょっと薬師なんてかっこうなの、ちゃんと服着てよ」

女薬師「なによいいじゃない、いつものことなんだし。 あらーいいオトコじゃない? なに? カレシ?」

娘「なにいってるの男子よ」

女薬師「あら~、男子君か大きくなったわねー」

男「は、はい」カァア

娘「ちょっとそんなカッコでウロウロしないで早く着替えて」ぐい

女薬師「はいはい、わかったわ」

カランカラン

少年エルフ「えーと、ごめんね。 だらしなくて」カアァ

男子「いえ……はい」カアァ


10 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:21:20.17 ID:NHJiC3+00
◯女薬師の部屋

女薬師「あー、メンドイ」

娘「ほらちゃっちゃっと着替えて、これでいい?」バサ

女薬師「なーんか最近エルフ厳しくない?」ヌギヌギ

娘「……今のは男子もいたからでしょ」タタミタタミ

女薬師「いや、さっきのだけじゃなくて。 ここのところ厳しいというか、ちょっと変じゃない?」キガエキガエ

娘「……やっぱり、薬師もそう思う?」

女薬師「やっぱり?」


11 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:21:59.60 ID:NHJiC3+00
○商人の家、娘友の部屋

娘「とかなんとかあってね最近パパの様子が少し変なのよ」

娘友「ふーん」カキカキ

娘「聞いてるの? とも」バサッ

娘友「ああ、課題が!?」

娘「あなた、『ちょっと参考までに』とかいいながら答え丸写ししてるでしょ」

娘友「してないしてない」ブンブン

娘「ウソね、やめてよすぐにバレるじゃない、もう」

娘友「それでなんの話だっけ」

娘「パパの様子がおかしいって話」

娘友「そうだったわね。 ふーむ、エルフさんがね。 ……そっか、エルフさんもオトシゴロなのね」

娘「……はぁ?」


12 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:22:53.36 ID:NHJiC3+00
娘友「あたしも弟がいるからわかるわよそれくらい。 あちこち生えたり伸びたりイロイロ気になりだす頃よ」

娘「そんな……だってパパよ」

娘友「エルフさんもオトコノコでしょ、いくらエルフ族でもまったく成長しないわけじゃないでしょ?」

娘「そうだけど」

娘友「娘も子として親の成長は喜ばなくちゃ。 って、言ってて違和感がすごいわ」

娘「……あ~、いやだ。 パパも男子みたいにむさ苦しくなるのかしら」

娘友「そうねー、もうしばらく見てたらわかるんじゃない? それよりコレ、やっと届いたわよ」

娘友は小包を渡した。

娘「よかった間に合ったわ、ありがとう。 帰ったらすぐに組まないと」

娘友「あたしも明日行っていい?」

娘「ダメよ。 二人っきりで過ごすんだから」

娘友「……忠告だけど、無理強いするとトラウマになるわよ」ニヤリ

娘「」ス

娘のアイアンクロー! 娘友の頭が締め付けられる!!

娘「あなた、パパのことをからかわないでくれる!!」ギリギリギリギリ

娘友「ぎゃああああ、だってエエエエエエエエエ」

\ギブギブ/


13 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:23:38.90 ID:NHJiC3+00

娘友「あたー、暴力はいけないとおもいます」

娘「口は災いの元よ。 まったく、私とパパは家族なのよそんなことしないわ」

娘友「でも、血は繋がってないでしょ」

娘「……それでもよ。 私はパパの嫌がることは絶対にしないの」

娘友「でも、もしエルフさんの方から来たらどうするの?」

娘「パパからってそんな、そんなことあるわけないじゃない」

娘友「でもねー、オトシゴロだしねー、ソロソロねー、アルカモネー」

娘「……(年頃だからってあのパパが)……ん?」

娘友「」ニヨニヨ

娘「なーにーよーその顔は!! あなたやっぱりからかってるでしょ」

娘友「バレタ—」


14 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:24:10.71 ID:NHJiC3+00
○少年エルフの喫茶店

カランカラン

娘「ただいま」

少年エルフ「おかえり、宿題はかどった?」

娘「んーん、そうでもないかな。 そうそう今日は遅くまで課題するけど気にしないでね」

少年エルフ「そうなの? 夜食つくろうか?」

娘「いらないらない!! 夜食べると太るし自分でやるから。 パパは先に休んでいいから」

少年エルフ「そう? とりあえず夕飯たべようか。 今日はシチューだよ」

娘「ありがとう、パパ」


15 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:24:54.12 ID:NHJiC3+00
○早朝、少年エルフの部屋

ギィィ、パタン

娘(結局徹夜になってしまった。 なんとか間に合ったからよかったかな)

少年エルフ「すーすー」

娘(よく寝てるわ、ふふ)そー

娘は忍び足で少年エルフに近づく。

女薬師「エルフーー!! 起きてる? 手伝ってーー!!」

少年エルフ「ひゃっ!?」

娘「薬師!?」


16 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:25:23.07 ID:NHJiC3+00
ドタドタバタン

女薬師が駈け込んで来た。

女薬師「助けて、大カエルの毒にやられた患者がいるのけど解毒がわからないの、早く来て」

少年エルフ「……わかったすぐ行く!」

娘「あ、パパ」

少年エルフ「あ、娘。 すぐ戻るから」


17 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:26:11.45 ID:NHJiC3+00
◯女薬師の店

女兵士「たいちょー、あたしもうだめです。うぷ、一生のお願いがありますぅ」

男「バカすぐ治るからしっかりしろ」

女兵士「角の店のカップケーキが食べたいです。 あ、チョコレートの奴で」

男「……結構余裕あるなお前」

少年エルフ「このひとが患者?」

男「エルフきてくれたか助かる」

少年エルフ「診せて、……どこでこんなのを?」

男「最近増えた大カエルだ、朝から退治してたんだが」

少年エルフ「そんな毒なんて持ってたの!?」

女薬師「わたしもしらなくて、強い毒じゃないみたいだけど解毒成分がわからなくて」


18 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:26:38.08 ID:NHJiC3+00
少年エルフ「どれを試したの?」

女薬師「これとこれを」

少年エルフ「これはまだ?」

女薬師「ま、まだ」

少年エルフ「だったら少量ずつ試して、僕は治癒と解毒魔法を試すから」

女薬師「はい」

女兵士「あぅ、たいちょー。 クレープでもいいですから、うぐ」

男「お前、なんで食欲あるんだよ」


19 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:27:14.56 ID:NHJiC3+00
○昼、少年エルフの喫茶店

カランカラン

少年エルフ「ふー、治ってよかった。 ただいま」

シーン

少年エルフ「あれ? 出かけたのかな? 娘—?」

パタパタ

娘「すやすや」

少年エルフ「あ、娘。 こんなところで寝ちゃお腹冷やすよ。 むーすーめー」

娘「すやすや」

少年エルフ(起きないな、そういえば昨日は遅くまで課題をしてたんだっけ? せめてタオルケットでもかけないと)


20 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:27:46.46 ID:NHJiC3+00
そー

少年エルフはタオルケットを娘にかけた。

少年エルフ(食事ができるまで寝かしておこうかな?)

少年エルフ(お昼も出来たしそろそろ起こさないと)

パタパタ

少年エルフ「娘ー」

娘「うぅん」ゴロン

少年エルフ「あ」ドキッ


21 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:28:39.15 ID:NHJiC3+00
娘は眠っている。

少年エルフ(……こうやってみるとおっきいなぁ。 ……なんでこんなになるんだろ)ドキドキ

そー

農夫「エルフ坊おるかーー!?」

少年エルフ「うわぁ!!! いい、いるよ。 どうしたの!?」

農夫がかけこんできた。


22 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:29:09.28 ID:NHJiC3+00
農夫「水路にスライムが詰まって大変なんだ、手伝ってくれ」

少年エルフ「わかったすぐ行くよ」

娘「うん?」

少年エルフ「あ、起きた? ちょっと手伝ってくるから、先にお昼食べてて」

娘「あ、パパ。 あたしも」

少年エルフ「いいよいいよ。 疲れてるでしょ、ゆっくりしてて」

どたどた

娘「なんで今日に限ってこんな……、パパ……」


23 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:29:46.99 ID:NHJiC3+00
○夕方、少年エルフの喫茶店

少年エルフ「はー疲れた、今日は忙しかったな」

娘「パパおかえり、大丈夫?」

少年エルフ「うん、今日は朝から忙しかったね。 あ、夕飯も作ってくれたの、ありがとう」

娘「当たり前よだって今日は」 男「エルフー、ゴブリンだゴブリンがでた!! 手を貸してくれ」

少年エルフ「また!? わかったすぐ用意するから、娘ごめんさきに……」

娘「もーーーーーーッ!! なによ朝から!! ホントに今日に限って!!」

少年エルフ「娘!?」

男「どうした!?」

娘「どこ! ソッコーで片付けるわ!!」


24 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:30:29.77 ID:NHJiC3+00
◯スイカ畑

娘「"閃熱"! なんなのよあんたらスイカ泥棒って"炸裂"! ふざけてんの、どっからわいたの!? "雷撃"!」

ヒュゴオオオ ドォオン バリバリバリバリ

ゴブリン達に魔法が降り注ぐ。

\ギャアアア/ \スイカバー/ \アズキバー/ \イムラヤー/

男「……こりゃ、ヘタに手を出せんな、 女兵士の具合はどうだ? 何度もすまんな朝から」

少年エルフ「気にしないで、こういう時もあるよ。 "治癒"」パァア

女兵士「うう、たいちょーあたしもうだめです最後に広場の店の限定パンケーキを……」

男「……お前、横っ腹に穴あいてるんだぞ」


25 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:31:07.39 ID:NHJiC3+00
少年エルフ「ふぅ、これでとりあえずだいじょう……」パタ

少年エルフは倒れてしまった。

男「おい、エルフ!?」

娘「え!? パパ? パパー!?」


26 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:32:17.26 ID:NHJiC3+00
◯帰り道

娘が少年エルフをおんぶして歩いている。

少年エルフ「すーすー」

娘(寝てる、朝からドタバタだったし仕方ないわ)

少年エルフ「すーすー」

娘「昔は私がこうやっておんぶされてたよね、パパ」

テクテク

娘「私がパパの身長越したとき……結構ショックだったでしょ?」

少年エルフ「すーすー」

娘「あの時言ったよね『娘のパパでいたいって』……ふふ」

テクテク

娘「結構ショックだったのよ、私もね……」

少年エルフ「すーすー」

娘(わかってる……わかってるわ)


27 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:33:01.40 ID:NHJiC3+00
○深夜、少年エルフの部屋

少年エルフ「うぅん、あれ? ここ僕の部屋だ。 いつの間に……」

娘「すやすや」

娘は眠っている。

少年エルフ「……そっか運んでくれたんだ。 ありがとう」

少年エルフは娘が手にしている小包を見つけた。

少年エルフ「んと、これは? 『パパへ——』 ……そっか、すっかり忘れてた」


28 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:33:39.29 ID:NHJiC3+00
◯兵舎

男「やれやれ、今日は大変だったな。 おーい、後処理は済んだか?」

男兵士A「はい、あと言われたようにゴブリンとカエルの死体を保管しましたが。 あんなのどうするんです? 臭いんですけど」

男「あぁ、この報告書と一緒にして王都へ届けてくれ。 王都の奴ら以前の報告を信じなかったしな」

男兵士A「了解です」

男「そっちは大丈夫か? 引継ぎは終わったか?」

男兵士B「はい」

女兵士「はーい、おわりましたー」

男「やれやれ、やっと帰れるな。 ……しかしなにか忘れてるような」

女兵士「たいちょー、がんばったあたしへのご褒美じゃないですか? 大通の店のバアムクーヘンってすごく美味しいんですよ、今度おごってくださいよ」

男「あー、そうだ。 しまった忘れてた……」

女兵士「あの、聞いてます? 無視しないでください、たいちょ~」


29 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:34:18.56 ID:NHJiC3+00
○商人の家

商人「なんだって!? お前知ってたならどうして教えてくれなかった?」

娘友「なによー、もう。 知ってたんじゃなかったの? ま、いいんじゃない親子水入らずで」

商人「お前恩人の大切な日だぞ、明日でも皆にも知らせて盛大にせねば!!」

娘友(まぁ、こうなると思って言わなかったんだけどね)


30 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:34:58.49 ID:NHJiC3+00
◯翌日、少年エルフの喫茶店

娘友「エルフさん、1日遅れだけど誕生日おめでとう」

少年エルフ「ありがとううれしいよ」

娘友「あと、先にいっとくけどゴメンね」

娘「何が?」

カランカラン、ドタドタドタ

商人「おぉ~兄弟よ! 昨日が誕生部だったんだな知らなくて済まなんだ。 遅れた分盛大に祝ってやるぞ!!」

少年エルフ「あ、商人さん。 そんなの気にしなくてもいいのに……」

商人「わしの気がスマンのじゃ、よーし運び込めわしからの祝いだ」

ガヤガヤガヤ

大量の料理とケーキ。そして使用人よって店内が飾り付けられていく。

少年エルフ「ちょ、ちょっと」

娘「……止めようがないわね」


31 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:35:39.37 ID:NHJiC3+00
カランカラン

男「エルフ、お前昨日が誕生日だったよな、遅れたが祝いだぞ」

少年エルフ「男も来てくれたの? ありがとう」

女兵士「昨日はお世話になりました~。 これどうぞここのマフィンは絶品なんですよ~」

男「お前は自分の食べたいモノ持ってきただけだろ」

少年エルフ「ありがとう今日は休みだったでしょ、よかったら食べていって。 こんなに食べれないし」

女兵士「やったー」

男「すまんな」


32 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:36:21.35 ID:NHJiC3+00
カランカラン

農夫「おー、エルフ坊。 昨日が誕生日だったってな。 なんもないけどウチで採れたもんだ食ってくれ」

少年エルフ「うわぁ、こんなにありがとう。 さっそく料理するから」

娘「ダメよ、パパの祝いなのよ。 私がやるわ」


33 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:36:52.43 ID:NHJiC3+00
カランカラン

女薬師「なんだか賑やかねー、なに? 合コン?」

娘「してないわよ。 パパの誕生日祝いよ、一日遅れだけど」

女薬師「そっか。 エルフおめでとー、いくつになったんだっけ」

少年エルフ「えっとね、61歳になったよ」

娘友(……みえない)

女薬師(なんという年齢詐称)

男(エルフ族だしな)


34 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:37:45.60 ID:NHJiC3+00
娘友「あ、エルフさんその首飾りってもしかして?」

少年エルフ「うん、娘のプレゼントだよ」

娘「王都で買ったアミュレットよ、守護魔法がかかってるからご利益抜群よ」

娘友「で、アレも仕掛けたの」ボソボソ

娘「えぇおかげさまで、パパには言わないでよ」ボソボソ

娘友「モチのロンよ」ボソボソ

少年エルフ「不思議な魔力を感じるしキレイだよ」

娘「気に入ってくれてよかったわ」

少年エルフ「ありがとう、大事にするよ」

ガヤガヤガヤ


35 : ◆VEKixXsFvlSQ 2015/03/06(金) 19:38:26.29 ID:NHJiC3+00

娘「今年は賑やかな誕生日になったわね」

少年エルフ「うん、みんなに感謝しなくちゃ」

娘「えぇ」

ガヤガヤ

少年エルフ「ねぇ、娘にも感謝してるよ。 君と出会った時から僕の世界は変わったよ」

娘「そうなの?」

少年エルフ「うん。 ……僕の所に来てくれて、僕をパパにしてくれてありがとう」

娘「……私だってパパに感謝してるわ。 世界で一番パパが好きよ」ギュウ

少年エルフ「むぐっ、ちょっとギュウってしないで。 もう」カァア

—— おわり ——

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