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1 : 2013/03/20(水) 23:43:09.25 -
【警告】
これより先は以下の事に注意しなければいけない。・宇宙が一巡しなかった、2015年杜王町が舞台のSSです。
・キャラ設定や話の流れに>>1妄想が色濃く出ています。すみません。
・一部、オリジナルキャラやオリジナルスタンドといった大変気持ち悪いモノが含まれます。ごめんなさい。
・「宇宙が一巡しなかったなんてありえませんよ…ファンタジーやメルヘンじゃあないんですから」
という人や、
「オリジナルスタンドォ〜?なによそれェェーッヤッダァーッ、スゴイ変!オリキャラ?飛んでるうーックールだわあーーッキャー!プーよね!」
っていう人は、今すぐここから「逃げるんだよォォォーーーッ!」・長くなりましたが、書かせていただきます。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1363790589
ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1363790589/
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2 : 2013/03/20(水) 23:46:51.01 -
「『名前』とは重要だ……
この世で唯一無二を表す記号。
偉大なる川の名前は一級河川『一小川』
そこに架かるのが『萩の橋』
その橋を南から北側へ渡ると……
そこがS市紅葉区『杜王町』
特産品は牛たんミソ漬け。
この町で、私——
『静・ジョースター』の、奇妙な物語が始まる……」
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5 : 2013/03/21(木) 00:20:42.56 -
車内——
静「……あのさあーッ、あんまし『こーいう事』、言いたくないんですけどぉ〜〜……」
仗助「なんだよ静ァ、フキゲンそーな顔しちゃってよォー……まだ十分間に合うぜーッ。おれが少し『信号無視』すりゃあ十分なぁ〜〜」
ブゥゥゥゥーン!!!
静「なんで寝坊するかなぁ!?可愛い『妹』の入学式で、『送ってほしい』って数日前から言ってたよねーーーッ!?その前日に『オクヤス』と呑む!?普通!!」
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6 : 2013/03/21(木) 00:34:34.32 -
仗助「静ァ〜〜……『お子ちゃま』なオメーにはわかんねーかもしんねーけどよーッ、『オトナ』ってヤツはツレに会うのが年々少なくなってくるんだよ。だからその貴重な時間は存分に使わねーとな〜〜ッ。ここ右だったか?」
キキーッ!ギャルルル……
静「てゆーか問題はッ!寝坊したっつーのにまず最初に髪の毛イジりやがったって事だってーのッ!イイ年してさぁ〜〜ヘンな髪気にしてんじゃあないってのッ!」
プッツーン☆
クレイジー・ダイヤモンド『ドラァッッ!!!』
静「うげえ!!?」ボコォッ!!!
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7 : 2013/03/21(木) 00:42:40.42 -
静「う……ええ……待った兄さん……ハナ、鼻血が出たよォ〜〜……」ボタボタ……
仗助「たとえ妹だろーと許さねェ〜〜……テメー今おれのこの頭のこと何つったァーーー!!?」
静「待った!待って!ゴメン、謝るからッ!ちゃんと前見て、ハンドル握ってッ!今日もイケてるってェー兄さんの髪型は〜〜ッ、メチャかっこいいよーッ!」
仗助「……んんー、そうかァ〜?」
静「うん!ホレちゃいそーになるくらいグーよ、グー!……だからこの、顔の傷さっさと治してくんないかなァ〜〜〜?」チョウイタイ
仗助「おおーっと!嫁入り前の女の子に傷つけちゃあいけねーよなーッ!すまねーな静ァ〜〜イタくなかったか?」
ズキュンッ!
静「全く……調子良ーんだからさァーイヤになるってのッ……あッ!前!前!!」
仗助「あん?おお〜〜〜危ねェ!ッとォ!赤信号ッ!!」
ギャギャギャギャギャァーーーッ!!
静「……こっちに引っ越して来たのは失敗だったかなァ……?」ハテ?
…………
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8 : 2013/03/21(木) 00:54:51.35 -
…………
一ヶ月前、アメリカ・ニューヨークの霊園——
シトシトシト……
「「「天にまします、我らの父よ。御名をあがめさせたまえ……」」」
シトシトシト……
『ジョセフ・ショースター(1920〜2015)』
シトシトシト……
朋子「うええぇ〜〜ん!ジョセフ!どぉーして私を置いて死んじゃったの〜〜ッ!!?」
シトシトシト……
仗助「……お袋、冷えるぜ……そろそろ戻ろう」
承太郎「…………じじい……」
シトシトシト……
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9 : 2013/03/21(木) 01:02:15.80 -
ジョースター邸内……
ガチャッバタン
承太郎「やれやれ、雨が本格的に降り出してきたな……暖炉の火が有り難いぜ」
仗助「なんスか、承太郎さん?おれを部屋に呼び出したりして?」
承太郎「……仗助……じじいのことは、残念だったな……」
仗助「ええ……全く、じじいにも困ったモンっすねェー。結局最後には女泣かして去っちゃうんだもんなーッ」
承太郎「…………」
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10 : 2013/03/21(木) 01:11:49.18 -
仗助「95歳の大往生っつーのはよー、じじいにはもったいないくらいのイイ人生だったんじゃあないっすかね?」
承太郎「仗助、お前の母親は……」
仗助「…………」
承太郎「……じじいの死を乗り越えられるのか?お前はずっとじじいの事を隠していたはずだが……?」
仗助「……お袋はよーッ、いい加減『ジョセフ・ジョースター』の影を追うのはやめて、新しい一歩を踏み出すべきなんスよ。そりゃあおれも最初は連れてくるのはどーかと思ったんスよ?だけど……知らないでいるってことは、全て知るよりも残酷だよなー、って俺は考えたんです……ガラにもねーことっスけどねェー……」
承太郎「……久々に会ったが、やれやれ。……成長したな、仗助」
仗助「や、やめてくださいよッ承太郎さんッ!おれもう三十路なんスよーッ!?」アタフタ
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11 : 2013/03/21(木) 01:16:56.18 -
承太郎「ところで仗助、本題だが……今回お前を呼んだのには、2つ、『葬式以外の』理由がある」
仗助「なんスって?」
承太郎「1つは遺産分配の件だ。じじいの妻にあたるスージーQおばあちゃんも2年前亡くなり、残るじじいの血縁者は……」
仗助「あッ!そのあたりのことは、考えると背中がカユくなるんスよねェ〜〜。承太郎さんに難しいことはお願いしていいですかァ〜〜〜?」
承太郎「……まぁいいだろう。『2つ目』のことのほうが大切だからな……」
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12 : 2013/03/21(木) 01:23:47.37 -
承太郎「仗助、お前、自分の『兄妹』について考えたことはあるか?」
仗助「『兄妹』ィ〜〜〜?おれは一人っ子っスよ?」
承太郎「いや違う、お前には兄妹がいる」キョロキョロ……
仗助「……あっ、あれっスか?堀井さん?とかいう、承太郎さんのお袋さんのことっスか?いきなりそんな会った事もない姉の話されてもっスねェ〜〜……」
承太郎「違う、お前の『妹』のことだ」キョロキョロ……
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13 : 2013/03/21(木) 01:31:14.07 -
仗助「……『妹』?妹なんかおれにいましたっけ?それって……あのじじいの子供って事っスよね?」
承太郎「ああ、そうだ……」キョロキョロ……
仗助「?承太郎さん?何キョロキョロしてるんです?」
承太郎「……結論から言おう。仗助、お前に『妹』を引き取ってもらいたい」
バ ン !
仗助「……なァッ!?何スってェ?何て言いました!?今ッ!」
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14 : 2013/03/21(木) 01:36:19.28 -
承太郎「スージーQおばあちゃんが死んで、じじいも死んで、お前の『妹』の身寄りはもういないんだ。スピードワゴン財団に任せようかとも考えたが……本人の強い希望でな。杜王町で暮らしたいそうだ」
仗助「だからっておれに任せますーッ!?そもそもその妹ってェーのにゼェーンゼン心当たりがないんスけどォ〜〜ッ!?」
承太郎「そのことだが……ム……」キョロキョロ
仗助「だからーッ!さっきから何キョロキョロしてるんスかッ!!承太郎さんッ!?」
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15 : 2013/03/21(木) 01:42:50.65 -
承太郎「おれは彼女に『この部屋で待つように』と言っておいたのだ。しかし姿が見えないというのは……ふむ、なかなか強いスタンドパワーを持つようになったな……そろそろ姿を現してくれるか?」
ジーッ……
仗助「承太郎さん、何処見て……?」
承太郎「……『静・ジョースター』」ビシイッ!!!
仗助「なッ……!?」
?「……げェーッ、キッチーっとあたしのほー指差して言うなんてさ、やっぱ承太郎さんには敵わないって言うかァー……」
スウウゥー……
仗助「何ィーッ!?し、『静・ジョースター』ッッ!!?」
静「……なんであたしのいる位置わかったの?承太郎さん?」
バァーンッ!!
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16 : 2013/03/21(木) 01:51:41.48 -
承太郎「姿は隠せても、微かな息遣いや衣擦れの音は隠せないようだな、静。E.T.シートンはこう言った。『追跡不可能な動物はいない』……」
静「年頃の女の子を動物扱いとか、ちょっぴりカチーンとくるんですけどォー……」
仗助「妹って、静ァ!?たしかに養子になったっつー話は聞いたっスけど……こーんなちっこい赤ん坊だったじゃあないっスかァー!?」
静「いつの話してンだよッ!それって兄さんが高校生のときの話でしょォ〜〜ッ!?」
仗助「に……『兄さん』ン〜〜ッ?」ゾゾゾ~ッ!
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17 : 2013/03/21(木) 01:58:20.69 -
静「そうよ、仗助『兄さん』、あたしはあんたの妹で、透明の赤ん坊だった静・ジョースター!今年で16歳になる立派なレディー な の」ウインクッ☆
仗助「ほへ〜〜〜っ、目鼻立ちとか面影あるなァー……その頭に乗せたサングラスって、もしかして赤ん坊ん時の?」
承太郎「いや、じじいの母親の愛用品だったものだそうだ。古い型だが高級品だな……」
仗助「グレート、いやしかしカワイイーく育ったもんだなァ〜〜じじいに似なくて良かったゼ」
静「聞いてよッ!あたし立派なレディーなんだってッ!親戚のオジサン面するんじゃあないッ!!」
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18 : 2013/03/21(木) 02:01:59.91 -
承太郎「とにかくだ。静は今年で16歳……仗助、お前の母校である『ぶどうヶ丘高校』に入学させる手配もしてある。だがお前が断るのなら、静の暮らしはこちらが……」
仗助「ミズくせーッスよ承太郎さん!静はおれの妹じゃあないっスか!面倒くらいいくらでも見てやるっスよォ〜〜!」
静「……あたしに会うまで妹の存在忘れてたくせに、ちょっと調子良すぎるんじゃあないのォ〜〜?」
仗助「あは、アハハハハ……」
承太郎「……やれやれだぜ」
…………
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28 : 2013/03/21(木) 22:40:37.83 -
…………
現在、ぶどうヶ丘高校前——
ブゥゥゥーン キキィーッ!!
ガチャ バタン!
仗助「ま、間に合ったぜェ〜〜……ぶどうヶ丘高校、新しくなったんだな。おれの通っていた懐かしき校舎の横に、真っ白な『新校舎』があるぜ〜〜ッ。旧校舎のほうはもう入れねーのか?」
ガチャ バタン……
静「こ、ここが、兄さんの通っていた、ぶどうヶ丘高校……ここで、『コーイチ』さんとか『ユカコ』さんとか『オクヤス』とかと出会ったんだよね?」
仗助「ああ〜ッ……ん、いや?よ〜〜く考えてみると、全員『学校外』で出会ったよーな気が……?」
静「あーッ!もう時間がないッ!!あたしも時間を止めることができたらな〜〜ッ!!!じゃあ兄さん、行ってくるねッ!」
仗助「……まあいいか。気をつけて行ってこいよォ〜静……あッ!静ッ!一つだけ言っておくゼッ!!」
静「はあ?」
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29 : 2013/03/21(木) 22:53:55.02 -
仗助「いいか、くれぐれも……静。『危険な事に首を突っ込まいこと』……だぜ。兄貴としての忠告だ……」
静「……兄さんはあたしと同い年で、この町に潜む『殺人鬼』をやっつけたくせに?」
仗助「……静……」
静「……フン!」クルッ、ダダダーッ……
仗助「……グレートにヘビーっスね〜〜〜こいつは。思った以上に、静の『闇』は深いのかもしんねーなーッ……」
…………
-
30 : 2013/03/21(木) 23:04:17.62 -
…………
承太郎「仗助、静を引き取る上で大切な事なのだが……彼女は『ジョースターの血統』に対して、大きな『コンプレックス』を抱いているフシがある」
仗助「コンプレックス……スか……?」
承太郎「彼女は『ジョースターの血を受け継いでいない』……そのため、『星型のアザを持たない』のだ……それに彼女は、おれや仗助、おれの娘徐倫のような、『明確なスタンドのビジョンを出すことが出来ない』……こういったことが、彼女にとって大きなコンプレックスとなっている可能性があるのだ」
仗助「…………」
-
31 : 2013/03/21(木) 23:17:53.36 -
承太郎「また、おれや仗助は高校一年生という若さで、『奇妙な冒険』『危険な戦い』を繰り広げた……じじいや、おれ達の先祖にあたるジョナサン・ジョースターも若い頃、同じようなことをしたらしい。ジョースターの血統は戦いに巻き込まれる運命、というべきか……」
仗助「ヤ〜な運命っスね〜、出来ればもう俺は、あんな戦いゴメンなんですけどねーッ」
承太郎「そうだな……しかし静は、未だそのような経験がない。今年で高校一年生、俺達が冒険をした年になるというのに、だ。……あせりと、憧れからだろうな。兄・東方仗助の通った、ぶどうヶ丘高校に自身も通いたいと言ったのは……」
仗助「なるほどグレートっすね〜〜ッ。で、おれはどうしたらいいんです?コンプレックスを解消しようにもよーアザなんかどーにもなんねーし、杜王町は平和だぜェー?」
承太郎「……スタンド能力は『遺伝』する」
仗助「……えッ?今なんて言いました?」
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32 : 2013/03/21(木) 23:24:51.85 -
承太郎「15年前の騒ぎで、仗助……杜王町はスタンド使いが増え、スタンド使いがスタンド使いを呼び、そして新たな世代にスタンドの才能は遺伝していっている……今杜王町は、世界でも類を見ないほどの、大量の『スタンド使い』が住まう町となっているのだ」
仗助「もしかしてじゃあ!あの『吉良吉影』以上に邪悪なスタンド使いだって……!」
承太郎「いるかもしれない。そして、彼女はそういった敵に『襲われたい』とも考えているのだ。自身を危険にさらすことが、『冒険』だと信じきっている」
仗助「…………」
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33 : 2013/03/21(木) 23:35:09.39 -
承太郎「彼女はこのままだと、コンプレックスという『闇』に飲まれ、危険な戦いの渦へと自ら飛び込んでいってしまうだろう……ジョセフ・ジョースターの娘である静の身の安全を守れるのは、仗助、兄貴であるお前しかいないんだ」
仗助「……グレート、っスねェ……」
承太郎「……」
仗助「……おれが静を守りますよ。じじいの代わりに……どんなことが起ころうと……」
…………
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34 : 2013/03/21(木) 23:49:06.94 -
…………
仗助「……っつってもよ〜〜学校ん中入ったら、守るに守れねェーよな〜〜ッ、康一のエコーズみてーな射程距離がウラヤマシイぜーッ……50メートルじゃあまだ足りねーか……」
ハァ……
仗助「……仕事行くかァ……集中出来っかなァ〜〜……ヤベー事に首突っ込むんじゃあねーぞ、静ァ〜……」
…………
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35 : 2013/03/22(金) 00:00:49.76 -
…………
教室——
静(無事入学式も終わり、ホームルームの時間になったみたいね……結局ちょっぴり遅刻しちゃったじゃあないの、馬鹿兄さんめ……)
先生「えーッ、今日から君たちの担任となる高塔 毬也(たかとう まりや)ですゥー……『女みたいな名前の先生』って覚えたら覚えやすいんじゃあないかと思うのだがー……まあどうでもいいな。年は29、好きな食べ物は——」
静(『マリヤ』って名前もそーだけど、『タカトー』?『ハイタワー』って名前もどーかとあたしは思うわね……見た目若くってハンサムだけどーッ)
-
36 : 2013/03/22(金) 00:10:20.47 -
高塔「——では、皆それぞれ自己紹介を。……立って言ってもらおうか?どっちでもいいか……君から順に……」
生徒「は、はいッ!」ガタガタッ!
生徒「ぼくの名前は——まー覚えてもらう必要はないですけど、広瀬川 康司15歳……ちょっぴりオカルトとか都市伝説とかが好きです。……だからどーだこーだ言うわけではないんですけど〜〜……」
静(……ネムくなってきた……太陽の光が暖かい……窓際の席だからなァ〜〜……)フワァァ……
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37 : 2013/03/22(金) 00:22:09.13 -
…………
………
……
…
パチパチパチパチ……
高塔「えー、では次ィ〜〜……ジョースター……?」
静「……あッ、ハイッ!」ガタガタッ!
静「静……ジョースターです。えーッとォ〜〜……」
静(す、少し寝ちゃってた……何を言うか全く考えてなかったよォ〜……)
静「えーッと、あたしは…………」
静「あたしは……」
静(うッ……ええい、思いついたことを喋っちゃえッ!)
静「……超能力、とかァー……超常現象とかに、すごく興味があります……あと冒険とか……そーいうのが好きな人と、友達になれたら嬉しいです。以上です」
ガタガタッ……
……ザワザワザワ……
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38 : 2013/03/22(金) 00:37:35.03 -
高塔「うん、皆……拍手、拍手」
パチ……パチパチパチ……
静(……しまったッ!あたしの名前のコトとかァ〜今までアメリカにいたコトとかァ〜〜〜そういう事を言うべきだったんじゃあないのッ!?)
高塔「では次ィー……」
静(……ま、いっかァ……)フワァァ……
-
39 : 2013/03/22(金) 00:44:08.49 -
生徒「えっと、僕は——……」
……ペラ……
静(……しかし、超能力……『スタンド』かァ……)
ペラ……ペラペラ……
生徒「——です。野球部ではピッチャーとして——」
静(……この教室に『スタンド使い』がいればなァ〜〜退屈で平和な毎日から抜け出せるっていうのになァ〜〜……)
ペラペラ……ペラ……
-
40 : 2013/03/22(金) 00:50:21.75 -
生徒「——これからよろしくお願いしますゥ〜」
パチパチパチパチ……
ペラペラ……カサカサ……
高塔「では次ィー……」
静(……まッ、そう簡単に『スタンド使い』なんている訳がないよねェ〜〜……)
ペラペラ……ペラ……カサカサ……
?『静……ペラ……ジョースター……ペラペラペラ……』
静「…………」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
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42 : 2013/03/22(金) 01:01:01.90 -
静「………………!?」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
紙人間『ジョースターの血統か……?本は好きか?……ペラペラ……スタンド能力は持っているのか?黄金の精神はあるのか?ペラペラ……興味が尽きないな……ドーナツは好きか?……僕は好きだが……』
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
静「——なッ!!!?」
ガタァーンッ!!
静「何だァ——ッ!?テメェーッッ!!!」
ドォーン!
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44 : 2013/03/22(金) 01:13:54.23 -
シィ——ン……
静「——はッ!」
シィィィ——ン……
高塔「……静・ジョースター?」
静「は、はいッ……?」
高塔「そんなに、今自己紹介した彼の名前が気になったのかい?虻村(あぶむら)君という名前だそうだが……そんなに怒鳴りつけたくなるほどの名前なのかい?私にはそうは思えないな……」
静「す、すみませんです……ちょっと、アノ、寝ぼけてて……忘れてください……」
ガタガタッ……ガタンッ……
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57 : 2013/03/22(金) 21:41:14.97 -
広瀬川「……また見てるよォ〜ジョースターさん……そんなに外をずーっと見て、何があるっていうんだろォ〜〜……」
平々凡々な一般人、広瀬川康司も彼女の観察をする一人だった。
生徒「ケッ、俺ァ〜〜〜あんなキドったオンナ気に入らねェ〜〜ぜェ〜〜〜ッ!変なグラサンなんか頭に乗せやがってよォーッ!カッピョイイーッとでも思ってんのかァァ〜〜ッ!?」
広瀬川「ちょ、ちょっと虻村君ッ!声がおっきすぎるよッ!彼女に聞こえちゃうよッ!?」
虻村「聞こえるゥ〜〜!?そのつもりでいってんだよッ!かまうもんかよ自己紹介中ヘンな声あげやがってッ!おれの自己紹介をジャマしてくれちゃってよォォ〜〜〜!!」
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58 : 2013/03/22(金) 21:59:48.54 -
広瀬川「……君、もしかしてェ〜〜自己紹介を『邪魔』されたことに怒ってるのかい?ひょっとして?確かに最後の『オチ』のところで彼女の声が入っちゃったけどさァ〜〜……今思うと、『その方がヨカッタ!』って感じだよ?君のユーモアのセンスはウッディ・アレン並だし……」
虻村「う、うっせェー康司ッ!別にんな事で怒っちゃあいねーし……それに何だァ〜〜〜?『ウッディ・アレン』〜?ホメてんのか?ケナしてんのか〜〜ッ?」
広瀬川「も、モチロンほめてるよッ!スゴくねッ!」アセアセッ!
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59 : 2013/03/22(金) 22:07:03.24 -
委員長「……虻村君、男の『ジェラシー』はみっともないと僕は思うんだけど……その点について君はどう思うかなァー?」
広瀬川「あっ、ど、どーも、委員長……」
虻村「あァ?何だァ〜イキナリィ〜〜?人の話に聞き耳立ててた上に、見下してんじゃあねーぞッ委員長ッ!」ガシィッ!!
委員長「き、君たちの声が大きすぎるんだよ……胸ぐらを掴むのやめてくれないかい?」
広瀬川「虻村君ッ!委員長に失礼だよッ!!」
委員長「いやッ、僕もいきなり会話に加わって悪かったよ……何やら面白そうな話をしていると思ってさ。混ぜてもらってもいいかい?」
虻村「断り入れる順序が逆だろ〜〜がよ〜〜ッ!ケェーッ!」
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61 : 2013/03/22(金) 22:14:19.45 -
広瀬川「委員長も、ジョースターさんのことが気になるんですか?」
委員長「広瀬川君、僕達は同級生だ。敬語はいらないよ」
広瀬川「は、はぁ……そうですか?」
虻村「そォーだぜ康司ッ!こんなヤローに敬語なんか必要ねーッつーのッ!なァ〜〜ッ!?」
委員長「……君はもう少し『礼儀』とかを考えたほうがいいんじゃあないかな。言っていることは正しいけどね」
広瀬川「まぁ、委員長がそう言うなら……」
委員長「うん……ところでなんの話だっけ?ああそうだ……彼女の事だった……もちろん彼女は気になるね。異性としても魅力的だし、名前と見た目からして『タダモノ』じゃあないという感じだろ?」
虻村「ちょっぴりマブいだけじゃあね〜〜かァ?魅力あるってもんじゃあねーだろォ〜〜ッ。胸だってピッタンコだぜーッ!?ぎゃははは!!」
委員長「……虻村君、君は本当に……品性とか……いや、もうどうでもいいか」
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62 : 2013/03/22(金) 22:23:22.59 -
広瀬川「確かに、魅力ある人なんでしょうね。でないとこんなにもみんなの注目を集めないだろうし」
委員長「うん。だけどその魅力のせいで、なんというか……『近寄りがたい』というイメージを持たれているよね、彼女」
虻村「いきなり奇声あげるよーなオンナだしな〜〜ッ、いっつもムスーッとして窓の外見つめてるしよォ〜〜〜」
委員長「うん……僕はね、このままだと彼女はこのクラスから孤立してしまうんじゃあないか?と、このクラスの委員長として頭をかかえているんだよ。もう本当にマイっている」
虻村「テメーが気にすることじゃあねーだろォ〜〜ッ?ほっとけほっとけェ!」
委員長「僕は委員長として、このクラスを明るい未来へと導く義務があるんだッ!」バンッ!
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63 : 2013/03/22(金) 22:34:58.61 -
委員長「そこでだ……広瀬川君、君にお願いしたいことがあるんだけど……」
広瀬川「えッ!?(な、なんだかイヤな予感……!)」
委員長「君……自己紹介の時、『オカルトや都市伝説が好き』って言ってたよねェー?」
広瀬川「いッ……言ったかなァ〜〜……?」
虻村「あァ〜ん?何トボけてんだァ〜〜康司?お前昔っからそーいうの好きじゃあねーかよォ〜〜ッ?」
広瀬川「も、もう!虻村君はちょっと黙っててよッ!」
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64 : 2013/03/22(金) 22:51:20.64 -
虻村「??」ナンデ?ネ?ナンデヨ?
委員長「彼女……超能力とか、超常現象が大好きなんだそうだよ」
広瀬川「う、うん……自己紹介の時に聞いたけど……?」
委員長「ひょっとしたら……広瀬川君……君、ジョースターさんと話が合うんじゃあないかい!?」
広瀬川「えッ!?」ドキィ!
委員長「ちょっとでいいからさーッ、ちょっと……彼女と『お話』してきなよォ〜〜ッ!」
広瀬川「えええェーッ!?(ヤ、ヤッパリ面倒なことにーッ!)」
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65 : 2013/03/22(金) 23:02:34.23 -
虻村「ぎゃははは!そりゃーいいじゃあねーか、康司ィ〜〜。あのオンナと『仲良しこよし』になっちまえよ〜〜ッ!」
広瀬川「い、いやだけど……『超常現象』と『都市伝説』って、似てるようで少し畑違いな気が……」
委員長「いいから行ってよ!委員長としての命令だよ!僕けっこうあがるタチだからさ」
広瀬川「ズルイなぁ〜〜……」
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66 : 2013/03/22(金) 23:11:08.14 -
オズオズ……
広瀬川「えーっとォ……じ、ジョースターさん……こんにちはァー……は、ハロォ〜〜、ゴキゲンいかが〜〜?」
静「…………」ジロリ
広瀬川「は……ハッピーうれピーよろピくねェ〜〜」
静「……ハッピーじゃあないし、うれピくもないわ……まぁ、よろピく」
広瀬川「うッ、ごめんね?いきなり急に……あれッ!よろピくって言った?今?」
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67 : 2013/03/22(金) 23:18:44.30 -
静「挨拶の『センス』は悪いけど、その『心』は受け取るってだけよ……なァ〜によ今のッ、初めて言った人のセンスを疑うレベルだっての〜〜ッ」
広瀬川「そ、そうかな……ボクは好きなんだけど。今の挨拶」
静「どォーでもいいわ……で、何の用よ?広瀬川康司君……だったよね?確か」
広瀬川「えッ!?あ、いや……用ってほどでもないんだけどォ〜〜……」
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68 : 2013/03/22(金) 23:22:04.11 -
静「……もしかしてさァ……貴方、『スタンド使い』……なわけ?」
広瀬川「……『イかんぞ歯科医』?確かに虫歯とかは一本も無くってキレイな歯だけどォ〜〜……歯医者さんには何度かお世話になったかなァ?歯並びが昔は悪くってさ……」
静「そうじゃあないってのッ!だから……あのさァ、貴方『超能力』とか使えるわけェ〜〜ッ?」
広瀬川「ええッ!?つ、使えるわけがないじゃあないかッ!も、もう〜ジョースターさんって結構お茶目なんだねぇ〜〜」ケラケラ
静「……」シラケ〜ッ
-
70 : 2013/03/22(金) 23:30:28.22 -
広瀬川「そのォ〜〜……ジョースターさんっていつも、窓の外を眺めてるよね?何を見てるのかなァ〜〜って気になっちゃってさぁ〜〜……」
静「……別に、何でもないわよ。面白いもんでも校庭に落ちてないかなァ〜〜とか、桜が綺麗だなァ〜〜とか、下らないことよ」
静(……スタンド使いかと思ってドキドキしたのに、『ドキドキ損』じゃあないの……あーあッ!スタンド使いの友達が欲しいなァーッ!この子はそーいうのとは全く無縁のよーだしィ〜〜……)
広瀬川「へェ〜〜ッ……てっきりボクは、今話題の『ペーパーマン』でも探しているのかと思ったよーッ。やっぱり『超常現象』と『都市伝説』は畑違いなのかなぁ……」
静「…………」
静「……なんて言った?今?……『ペーパーマン』??」
-
71 : 2013/03/22(金) 23:38:35.40 -
広瀬川「アレッ!?もしかして……知らないの?杜王町の学生だったらみーんな知ってる事だと思ってたけど……」
静「あたしアメリカに住んでたからさァ〜そーいうのは疎くって。それより何?『ペーパーマン』?紙で出来た人間なの?」
広瀬川「ま、まぁね……ホラ、どこの地域にでもあるでしょう?『学校の七不思議』とかァ〜そういうのが!」
静「が……『学校の七不思議』ィ〜〜?(ウサンクサー……)」
-
72 : 2013/03/22(金) 23:44:50.28 -
広瀬川「この杜王町には『学校』じゃあなくって、『杜王町の七不思議』っていうのがあって……半分、怪談でも何でもない話とかもあったりするんだけどねェー、しゃべる本とかボヨヨン岬とか……あッ、面白いのはこの七不思議が、他の地域に伝わる話とは違う全く、独自のものだっていう事で……」
静「……あたしはそーいう事が聞きたいんじゃあなくって、『ペーパーマン』について聞きたいんだってのッ」
広瀬川「ご、ゴメン!ボクこういう話が大好きで……オホン、それでね、『ペーパーマン』っていうのは……」
-
73 : 2013/03/22(金) 23:53:13.51 -
広瀬川「……これはボクの兄さんが友達から聞いた話なんだけど」
静「……なによそれェー?」
広瀬川「『お約束』ってやつだよッ……あのね、ある日の夕方、図書館で勉強中の女生徒が、少しあきちゃって本に『落書き』をしようとしたらしい。……そしたら、どこからともなく彼女の周りに『紙』が集まってきて、くっついて……天をつくような『大男』になったんだって」
静「…………」
-
74 : 2013/03/22(金) 23:57:02.67 -
広瀬川「大男は世にも恐ろしい声で、こう言った……『物を粗末に扱う者は、物に粗末に扱われても良い者だということだなァーッ!?』……女生徒はその大男に捕まって、連れ去られて……今も行方不明なんだってェー……」
静「…………」
広瀬川「……えっとォ、これで終わりなんだけど」
静「……えッ!?終わりィ?ウッソォ〜〜?それだけェー?」
-
75 : 2013/03/23(土) 00:02:31.00 -
広瀬川「まぁ……それでね、この辺りの学生の間では、『物を粗末に扱うとペーパーマンにさらわれるぞ』って噂されているんだ……といっても最近になって言われ始めた話なんだけどねーッ。ナマハゲか何かの伝説から誰かが作った創作なんじゃあないかなァ?物を丁寧に扱おう、っていう教訓を、ちょっぴり怖い話に混ぜてみんなが従うようにしたっていう……」
静「……物を粗末に扱った覚えはないんだけどねーッ、あたしィ……」
広瀬川「えッ?……それはどういう意味?」
静「何でもないわ……本当に、ゼェ〜ンゼンッなんでもなァ〜〜イ」
広瀬川(あ……アヤシイッ!)
-
76 : 2013/03/23(土) 00:12:43.49 -
静「ねェーねェー、他にはそーいうお話ないのォ〜〜ッ?あたしィ〜気になっちゃったなァ〜〜ッ!」
広瀬川「(し、白々しいなァ〜もう……)えーっと、他には……人体模型の呪い、とか?」
静「……なにそれ?怖い系?」
広瀬川「コレも最近ウワサになってるんだけどーッ……下校時間を過ぎても校舎の中を歩きまわっていると、人体模型に襲われて、『皮膚』を奪われちゃうんだってェー……」
静「『筋肉標本』みたいにズルむけにされる、って事ォ?想像するだけで気持ち悪いわね〜ッ……」
広瀬川「……興味深いのは、この話……どうやら、本当に『被害者』がいるみたいなんだよね〜〜……」
静「……はあ?」
-
77 : 2013/03/23(土) 00:23:04.97 -
広瀬川「いやァ……どうにもね、ぶどうヶ丘総合病院で『ミイラ男』みたいに包帯を全身グルグル巻きにした患者を見た、っていう目撃者が多いんだよねェ〜……ただの噂話とか都市伝説では考えられないくらいに。包帯の下は、もしかして……っていう」
静「ただの交通事故なんじゃあないのーッ?それか、看護師がホータイ巻き慣れてないだけかもォ〜〜……」
広瀬川「しかもね、その『ミイラ男』が警察と話しているのを見た、っていう人もいるんだ……これって、なんだか本当の『事件』のニオイがしないかなぁ?他にも——」
キィ〜ン コォ〜ン カァ〜ン コォ〜〜ンッ……
広瀬川「——っとと、話しすぎちゃったかなァ?ゴメンねジョースターさん、休み時間ジャマしちゃって……」
静「……ううん、面白かったわ。ありがとう、広瀬川……いや、康司君。それと……」
広瀬川「?」
静「……『静』でいいわ。……もしくは、『ジョジョ』って呼びなさい」
広瀬川「?うん……じゃあ、またね静さん」
静「…………(『ジョジョ』って呼ばれなかった……ショックゥ〜)」
…………
-
87 : 2013/03/23(土) 10:58:01.70 -
歌詞がほんの少しでも能力や展開に関係あったらカッコいいぞ
C-MOONの元ネタの「It will be L7 and I'd never get to heaven」とか
チョコレート・ディスコの元ネタの「バレンタインが近づいて」とか -
92 : 2013/03/24(日) 00:18:33.70 -
…………
夕方、東方家(新築)——
静「ただいまァ〜」
静(さてと、今日聞いた事について……兄さんの意見が聞きたいな。『ペーパーマン』はスタンドなのかどうかっていうのと、七不思議について)
静「兄さん帰ってるゥ?兄さー……」
仗助「——これが出土した土器——へぇ、損傷が——」
男「——見つかった時は——破片はここにあるのですが、どうも——」
静「ん?……リビングから声が……もしかして、仕事の話してるのかなァ〜……?」
-
93 : 2013/03/24(日) 00:30:43.15 -
静「ノックしてもしもお〜〜し」ヒョコッ
仗助「ん?お〜う静ァ〜お帰りィーッ。ちょっと待っててくれるかァ〜〜ッ?」
静(あー、大学の生徒とお話中なのねーッ、あの男の人よく来る人だわ……)
男「——東方准教授、僕はねーッこの土器を見つけた時、『コレだッ!』って思ったんですよォ〜〜。友達の間でも、僕の直感は頼りにされてるんですよ?」
仗助「……教授には見せたのかよォー?この土器の破片、土まみれでいかにも『採れたてシンセン!』って感じだけどよォ〜〜?」
男「見せてませんよ。だって僕が見つけたんですし、これは僕の研究ですもん」
仗助「見せろよッ。お前なーッ……あくまで教授のお手伝いで発掘作業に参加してるっていうこと、もっと自覚しろよなァ〜〜ッ、社会に出たら責任問題とか、とにかく重いゼーッ?」
男「この後見せに行きますよッ」
-
95 : 2013/03/24(日) 00:44:45.98 -
男「それで、センセ?この土器の修復、どうなりますかねッ?一応仮止めは僕がしたんですけど、ここから先はどうも……やっぱり修復作業は東方准教授が一番ですよねェ〜ッ」
仗助「オダてたって何も出ねーっつーのッ、それとお前……仮止めの段階でかなり歪んでんじゃあねーかッ!新手の『前衛芸術』かァ〜〜これはッ?」
男「今時はこーいうのが女の子にモテるんですよォ〜『オブジェ』ってヤツゥ〜?」
仗助「も、もう喋んなテメェーッ……話が噛み合わなくってクラクラしてきたぜェ〜〜ッ……」
-
96 : 2013/03/24(日) 00:53:51.79 -
男「で、どうします?一応接着剤とかハケとか持ってきてますけどォ〜〜今日は仮止めだけにしておきますか?」
仗助「いや……お前、もしかしてェ〜〜もう『接着剤』つけちゃってたんじゃあねーのかァ〜〜ッ?」
ズキュンッ!
静「……!」
-
97 : 2013/03/24(日) 01:05:40.29 -
男「ええッ?そんな馬鹿な……もうくっついちゃってます?やっちゃいました?僕……」
仗助「いや!そんな事ァ〜ゼンゼンねーぜッ!おれがよォ〜〜チョコっといじくったらよ〜〜ッ、なんとまぁ、キレーな形でくっついたぜーッ。ホラッ!」
ドジャァーンッ!
男「お……おおッ!さっすが先生!綺麗に『修復』されてるうッ!」
静(速い。そして、めちゃくちゃ自然な手付き……やはり兄さんは、スタンド使いとして私とレベルが違うなァー……)
-
98 : 2013/03/24(日) 01:20:46.98 -
仗助「S市北部が発掘現場だったよなーッ?そこから縄文土器が……後期に作られたモノかァ〜〜?確かに珍しい模様してるぜーッ。お前の見立ては正しかったのかもなァ〜〜」
男「そうですか?そうですか〜〜?」
仗助「おう……でも、変な土器っ!」
男・仗助「きゃあああーっ」
男・仗助「ひゃああひゃひゃあああうけけけけけけけ」
静(何だってェーのよ、その精神テンションは〜ッ)シラケーッ
-
99 : 2013/03/24(日) 01:30:12.86 -
男「じゃあ、准教授!僕はそろそろ現場に戻りますネェ〜ッ!」
仗助「ああ〜ッ、教授にキチーンと報告するんだぜーッ」
男「へいへ〜イッそれではッ……あッ、准教授の妹さん!お邪魔しましたァー。今度お茶でもどーお?」
静「ケッコーですッ。『ダイガクセー』が『コーコーセー』誘ったら犯罪じゃあないの〜ッ?」
男「細かい事ァー気にしないのが僕ちゃんなの〜ッ、ウヒヒ!それじゃあね〜ッ!」
ガチャ バタン!
仗助「……今度静に『イロメ』使ったら、ブン殴ってやるぜーッあのヤロォ〜〜ッ……」
静「大学の先生がそんな事したら捕まるんじゃあないのーッ?」
-
100 : 2013/03/24(日) 01:40:02.32 -
静「それにしても兄さん、今日は速かったのねーッ帰るのォ〜。サボリィ〜?」
仗助「ンなわきゃァーねーだろ〜がよ〜〜ッ!今日はよォ〜論文提出しなきゃあならねーんで、部屋こもって一生懸命書いてたんだよォー。ちっとはいたわれッ」
静「うげげ、考古学者ってもっと派手でさァ〜、地下遺跡とかで冒険してるイメージだったわァ〜。ちょっとゲンメツしたーッ」
仗助「映画の見過ぎだぜ〜オメーよォ〜……」
静「あ、肩もんであげようかッ?もみもみ、もーみもみッ!」
仗助「ぎゃはははは!く、くすぐってーからヤメロッ!いやッ!やめてくれェ〜ッ!!」ジタバタ
-
101 : 2013/03/24(日) 01:50:30.03 -
静「さてッ!妹のマッサージで疲れもとれたでしょォ〜?晩御飯さっさと作ってよねッ」
仗助「お前……もうちィ〜ッとだけよォー、『可愛げ』ってもんがあったほうがいいんじゃあねえかァ〜〜?」
静「何ィ?『もっとマッサァージィ〜が受けたいですゥ〜静サマァ〜ッ』??」
仗助「い、言ってねーッてのッ。手ェワサワサさせんじゃあねーよッコラッ。ワキッ!腋はやめろよッマジでッ!」
-
102 : 2013/03/24(日) 01:52:32.84 -
静「フン!さっさとご飯作ってよねーッ。ちょっと早いけどお腹ペコペコッ!兄さんの手料理が食べたいなァ〜」
仗助「……ワリーけどよォ〜静ッ、おれ今日『買い出し』に行ってなくってよ〜〜ッ……今からカメユーにでも行こうかと思ってたんだけどォォ〜〜……」
静「……あたしお腹空いてるんだけどォー」
仗助「スマネーッて!すぐ行くからよォ〜〜ッ!何か食いたいもんでもあるかァ〜作ってやるぜーッ!」
静「トニオさん!今日はトニオさんとこで食べようよォーッ!!」
仗助「今月財布がサビシーッから駄目だッ!」
…………
-
108 : 2013/03/24(日) 21:25:12.91 -
…………
車内——
ブウウゥーン……
仗助「スマネーッて静ッ!何が食いたいのか言ってくれたら作るし、好きなお菓子買ってやっからよォ〜〜機嫌なおせよなァ〜ッ!」
静「フン!飢えた『育ち盛り』がどんだけ食うか教えてあげるわッ!外で食ったほうが100倍マシ!ってくらい食ってやるからねーッ!伊勢海老とかッ!!」
仗助「お前魚介類ニガテだろーがよォ〜〜ッ……あと伊勢海老なんざ頼まれても買わねーッ」
-
109 : 2013/03/24(日) 21:37:48.72 -
ブウゥーン……
仗助「そォーだッ静ァ〜、帰りにちょっと『ボヨヨン岬』まで寄って行かねーかァ〜〜ッ?丁度いい時間で、夕日が海に沈むとこが見えると思うんだけどよ〜〜ッ」
静「いやだっつーのッあたしお腹すいてッ…………?……ぼ、『ボヨヨン岬』ィ〜〜?」
仗助「ああ〜ッ。ただの尖った岩があるだけの岬なんだけどよーッ、その岩が自殺したオンナを助けたっていう話があって……ま、真相は下らない事なんだよなーッこれがッ、ぎゃはは!」
静「あッ、ちょっと待って!『ボヨヨン岬』っていう名前、どこかで聞いたッ!つい最近聞いたよーな気がするッ!」
仗助「はあァ〜?」
-
110 : 2013/03/24(日) 21:46:50.95 -
静「どこだっけェ〜……?名前に聞き覚えあるんだけどォー……」
仗助「観光案内所とかなんじゃあねェーのかァ〜?」
静「違う……あッ、思い出したッ!『杜王町の七不思議』ッ!!昼間に康司がチラリと言ってたッ!」
仗助「『七不思議』ィィ〜〜ッ?胡散くせェーニオイがプンプンするぜ〜〜ッ?ていうかよォー、いつからそんな話になってんだ?」
静「いつからって……えッ?兄さんが学生のころからある話なんじゃあないのォ〜〜?」
仗助「おれが学生のころのぶどうヶ丘高校には『七不思議』なんか無かったぜ〜ッ?『ボヨヨン岬』だってただの『新名所』で、しかもそれはおれら……いや、『康一』のせいでそーなったんだからよォ〜〜」
静「……はあ?」
-
111 : 2013/03/24(日) 21:56:21.86 -
…………
………
……
…
静「なるほど……『スタンド』の仕業ねーッ……」
仗助「一部の一般人に見られたらしくってよォ〜〜、それが噂として広まって当時は観光名所になってたんだよ〜〜ッ。今はあまり人いねーけどッ……」
静「それが何でまた、『七不思議』に?」
仗助「おそらくよォ〜〜世代が移り変わり、話が伝達していく中で、尾ひれがついちまったんじゃあねーかな?噂話とか怪談ってそーいうもんだろォ〜〜?」
静「はァー……時間の流れって怖いわねーッ……」
-
112 : 2013/03/24(日) 22:09:48.16 -
仗助「七不思議なんてよーッ、真相がわかっちまえばくだらねーもんなんだよッ。幽霊の正体見たり枯れ尾花、ってなァ〜〜ッ。……幽霊は実在するけどよ〜ッ……」
静「あッ!じゃあじゃあ、人体模型の呪いとかも、くだらなーいスタンド使いの仕業な訳ェ〜ッ?」
仗助「人体模型の呪いだァ〜?」
静「うん。人体模型に皮膚を奪われるってヤツゥ〜」
仗助「…………」
静「……兄さん?」
-
113 : 2013/03/24(日) 22:24:22.21 -
仗助「……いや、聞いたことが無いと思ってよォーッ。そんな事件も噂も……おれが高校生だった時にはなかったぜ〜ッ」
静「へーッ、んじゃあこれはスタンド使い関係無いのかなァ〜?ただの創作怪談?」
仗助「……いや、俺が聞いたことが無いのは『人体模型の呪い』の部分だぜ〜ッ……『皮膚を奪われる』というのは、最近『聞いた』……いや!『奪われた』人を『見た』ことがあるッ」
静「ヘッ!?あ……『ある』のォ〜ッ!?しかも『見た』ァ〜?」
-
114 : 2013/03/24(日) 22:33:25.20 -
仗助「極秘だぜ〜ッ……静、お前の入学式の次の日に、スピードワゴン財団を通じてその『患者』……『被害者』の一人に会った……おれに『治してくれ』ってなァ〜」
静「ホントーにッ『最近』じゃんかよォ〜ッ!何それェーッ!?」
仗助「酷い状態だったぜ〜ッ……全身の皮膚をハギ取られててよォ〜……せっかくの美人が台無しだった。筋肉が丸見えでなーッ……しかも、おれの能力は『怪我』は治せても、『記憶』や『トラウマ』なんかを治したり癒したりすることは出来ね〜〜ッ……怪我が治ってもしばらくはガタガタ震えていたぜーッ……」
静「……うわァ……なんでまた、そんな酷い状態に?普通に生きてたら『皮膚』なんかハギ取られないと思うけどォー……」
仗助「そこだ。そこがポイントなんだよなァ〜」
ブゥゥゥーン!ギャルルルルッ……
-
116 : 2013/03/24(日) 22:47:40.94 -
仗助「おれもよー、気になって聞いてみたりしたんだよ〜ッ、『どうしてこんな状態になったんスか?』ってなァ〜。そしたらその被害者は、『わからない。気付いたら血まみれで倒れていた』って言うんだよォ〜ッ」
静「皮膚を奪われたショックで記憶が混乱してんじゃあないのーッ?」
仗助「そう思うだろォー?けどよーッ、他にも被害者は何人かいて、全員に警察や医者が質問してんだが……全員が全員、皮膚を奪われた『その日』の記憶がねェーんだよォ〜〜……」
静「?……どういうこと?『その日』のォ〜……?」
仗助「全員、『その日一日』の記憶が無え〜ッ。朝起きた記憶すらなーッ」
-
117 : 2013/03/24(日) 22:54:35.02 -
ブウウゥ〜ン……
仗助「……記憶喪失はまだわかるぜェ〜?百歩譲って全員記憶喪失になるってェーのもまだ解るッ。だけどよォ〜、普通はその記憶には個人個人の『バラつき』が出るはずだろォ〜?朝何食ったかくれーは覚えてるってヤツがいてもおかしくねーじゃあね〜かァ〜?」
静「……それってェー……記憶を操作してる『スタンド使い』がいるって事ォ?」
仗助「その可能性が高いから、おれがスピードワゴン財団に呼ばれたんだけどよ〜ッ、正直手詰まりで……今度露伴のヤローに相談してみようか考えてんだよォー……けどなァ〜……」ハァ……
-
118 : 2013/03/24(日) 23:03:54.45 -
静「ゼンゼン乗り気じゃあないみたいねーッ……露伴先生苦手なんだっけェー?」
仗助「あいつゼッテェータダでは動かねーかんなーッ。『仗助くん、人に頼み事するときはそれなりの誠意を見せるべきなんじゃあないのかい?フフーンッ』とか言って、土下座とかさせるぜーきっとォォ〜ッ!」
静「ふ〜ん……あたしは好きだけどなァーピンクダークの少年とかァー。おじいちゃんと一緒によく見てたしィ〜〜……あ、露伴先生とその患者引き合わせるって時、あたしも行っていい〜ッ?」
仗助「駄目に決まってんだろーがよォ〜ッ。変な事に首突っ込むんじゃあねーぜッ」
静「ちぇーッ、露伴先生のサインが欲しいだけなんだけどなァ〜……じゃあ、兄さん代わりにもらってきてくれる?」
仗助「か……考えとくぜ〜ッ……」
-
119 : 2013/03/24(日) 23:13:59.20 -
ブゥゥーン キキッ!
仗助「よっしッ、カメユーに着いたぜェ〜。結局晩御飯何が食いたいんだよォ〜静ァ〜?」
静「うーん……豪華なもの、とかァ〜?」
仗助「……いいけどよーッ、お前その代わり勉強頑張るんだぜーッ?メシ食ったら宿題とかァーしっかりやれよなァァ〜〜」
静「元はと言えば、兄さんが買い出し行ってないのが悪いんでしょォォー……ん?」
-
120 : 2013/03/24(日) 23:23:14.36 -
仗助「?どうしたァー?顔色ビミョーに悪くねーかッ?お前ェー……」
静「……あーーッ!!」
仗助「うおおッ!?い、いきなりデケェー声あげるんじゃあねーゼッ!どうしたっつゥーんだよォ〜〜?」
静「……しゅ、『宿題』……」
仗助「はぁ?『ハクサイ』ィ〜?晩御飯に食いてーのかァ〜?」
静「違うッ!し、『宿題』……学校に『忘れちゃった』のォーッ!」
ドギャアーンッ!
仗助「は……はああぁぁぁーッ?」
-
121 : 2013/03/24(日) 23:30:47.48 -
静「ヤバァーイ!頭脳明晰才色兼備の静ちゃん、やっちったァァーッ!」
仗助「まだ間に合うだろーがよォ〜、諦めるのはちと早ェ〜ぜ〜ッ?」
静「そ、それもそうだね……うんッ、ちょっとひとっ走り取ってくるッ!」
仗助「今すぐかァ〜?車で送るぜーッ?」
静「それだと晩御飯が遅くなるじゃんかさーッ!兄さんは買い物さっさと終わらせて家帰って、晩御飯作っててよーッ!お肉が食べたいなーッ!」
仗助「お、おう。わかったぜ〜〜ッ肉だなァー?それじゃあステーキでもするかァー?」
静「国産買ってよ!?『日本産』ッ!!行ってきま〜すッ!」
タッタッタッタ……
仗助「アメリカ育ちが何言ってやがんだよォー……気をつけて行ってこいよーッ!」
静「はーいッ!……あーもう最悪ッ!お腹空いてるのにィ〜早く取ってこようッ!」
タッタッタッタ……
…………
-
122 : 2013/03/24(日) 23:41:35.15 -
…………
教室——
ガラッ!
静「ハァーッ!ハァーッ!ハァーッ……さ、さすがにチト学校までは遠かったかァー……脇腹がイテーッ……」
ハァーッ!ハァーッ!
静「のどが……のどがすごく渇く……水が……すごく水が飲みたい」
ハァー……ハァー……
静「さ、さっさと宿題のプリント挟んだ『生物�のノート』、持って帰ろ〜ッと!」
スタスタ……
……ペラ……
-
123 : 2013/03/24(日) 23:49:45.79 -
ガサゴソ、ガタゴト……
静「……あーん?アレッ?おかしいなッ?」
ペラ……
静「……たしかにあたし、『置き勉』してたよなーッ?」
ペラ……ペラペラ……
静「……ノートが、『足りない』……?……」
ペラペラ……ペラ……
静「……はッ!!」
-
124 : 2013/03/24(日) 23:54:22.44 -
紙人間『…………』
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
静「…………」
静がたった今通った『教室のドア』……
そのドアにもたれ掛かるようにして、『紙人間』が立っていたッ!
薄い全身から、紙特有の音を出しながらッ!!
紙人間『……ペラリ…………』
静「……『ペーパーマン』……だっけ?やっと目の前に現れてくれたじゃァ〜〜ン……」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
-
141 : 2013/03/25(月) 23:03:33.03 -
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
紙人間『…………』
静「……以前変わりなくッ!あたしは物を粗末に扱ってはいないんだけど、どォーしてあたしの前に現れるのかなァ〜……?たしかに『置き勉』はしたけどーッ」
紙人間『…………ペラ……』
静「言いたい事があるならさーッ!本体が出てきて喋ったほうがいいんじゃあないのーッ?紙は喋るもんじゃあないッ、読むものよォ〜ッ?」
紙人間『……ペラペラ……』
静「……テメェー、もしかしてさァ〜……ひょっとしたら、ひょっとするとだよォ〜……」
-
142 : 2013/03/25(月) 23:16:02.14 -
紙人間『……』
静「もしかしてさァ〜〜『ペーパーマン』と『人体模型の呪い』は……この2つはッ、『同じ話』なんじゃあないの?」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
紙人間『……ふむ……?ペラペラ……』
静「人体模型の呪いは、実は……ペーパーマン、あんたが引き起こしたことなんじゃあないのッ〜?この数日であたしが見かけた『スタンドらしきもの』はアンタだけだしッ。……それで今ッ!スタンドが見えるあたしがジャマだってェーんで、始末しに来た……ッて所……!」
紙人間『……カサカサ……ペラペラペラ……!』
静「……なんとか言えよォー!笑ってんの?それェ〜……?」
-
143 : 2013/03/25(月) 23:28:10.53 -
紙人間『……ペラリ……ペラペラ……』
静「……このままダンマリ決め込むってェーんならッ!あたしは『黄金の精神』と『漆黒の殺意』を持ってアンタを倒すッ!『ジョースター』をあまり舐めるんじゃあないぞッ!!」
紙人間『……やめておけよ……君はそのどちらも持っていない……未だ、な。ペラペラ……』
静「——なッ……!?」
紙人間『そんな事より……忘れ物、だ』
ヒョイッ……
-
145 : 2013/03/25(月) 23:45:33.01 -
紙人間『君……日本語苦手なのかい?しっかり教えてもらった?一応言っておくが、チと手は全く違う文字だからな?線が一本多いぞ?もっと本を読みたまえ……ペラペラ……』
静「いッ!いきなり饒舌になったと思ったら、何だっつゥーんだよーッ!!バッ、バッ、馬鹿にしやがってェェー!!返せッあたしのノートッッ!!」ダッ!!
紙人間『やなこった』スイ……
静が紙人間に突進すると、紙人間は滑るように廊下へと逃れた。
紙人間『鬼さんこちら……ククッ!ペラペラ……』
静「——!!ッこのッ!!」バッ!!
スカァッ!!
静(はッ、早いッ!?紙のくせしてェ〜ッ!)
-
146 : 2013/03/25(月) 23:51:47.68 -
紙人間『ペラペラ……ペラ……』スススーッ……
紙人間は、バラバラの紙となったり、まとまったり、またバラバラになったりを繰り返しながら、
廊下をスイスイと逃げていった。
……手にノートを握ったままッ!!
静「待てーッ!この野郎ッ馬鹿にすんのもいーかげんにしろよコラァーッ!!あたし怒らせるとホンット怖いからなッうおおおォォーッ!!!」
ダダダダダダダダーッッッ!!!
紙人間『……乙女の出す声じゃあないな』
静「黙れッ今にその口きけなくしてやるぜ〜〜ッッ!!!」
ダダダダダターッッッッ!!!
…………
-
147 : 2013/03/26(火) 00:03:00.92 -
…………
ぶどうヶ丘高校正面玄関——
静「はひッ!はひッ!!はへェ〜……!早すぎる……追いつけないよッチクショーッ!」
紙人間『ペラペラ……』スイスイッ……
静(ど……何処まで逃げる気だァ〜あいつ〜〜ッ?……正面玄関出て、右手に向かったら……外来者専用駐車場以外には何もないはずでしょォ〜……?)
紙人間『……ペラ……ペラ……』
静「や、やっぱりあいつ……玄関を出て『右手』に向かうッ……!追い詰めてやるからなーッ……」ゼエゼエ……
…………
-
149 : 2013/03/26(火) 00:20:22.00 -
そこには……古めかしい、木造の校舎が立っていた。
かつて学生が勉学に励み、己を磨き上げ、成長していった場所……。
静の兄・東方仗助が友と笑いあった、思い出の場所……。
静「きゅ、『旧校舎』……!」
古くなり、取り壊す予定となった建物がそこにはあった。
入口は黄色いテープでぐるぐる巻きにされており、立入禁止の札がかかっている。
……が……!
紙人間『……ペラペラ……』
紙人間がその入口をこじ開け、片足をその中に突っ込んでいたッ!
-
150 : 2013/03/26(火) 00:30:02.80 -
静「あ、あのヤロォ〜〜……そんなとこに逃げ込んでどォーする気ィィ〜?」タタッ……
静が旧校舎の前に立った時には、もう紙人間は中へと侵入していた。
半開きとなったドアが、静に向かって手招きするかのように揺れ動く……。
静(も……もしかして、これっていわゆる……『ワナ』ってヤツーッ?あたしはまんまと誘い込まれたってワケェェ〜……?)
-
151 : 2013/03/26(火) 00:35:04.55 -
静「……う〜ッ……う〜ッ……!」ウロウロ……
静「し、知るかーッそんなコトーッ!!あたしはただッ!ノートを返してほしいだけだッ!!カワを剥ぐってェーんならブン殴ってやるだけよッチクショーッ!!」ダッ!!
バ タ ン ッ ! !
……扉が閉まり、周囲は静寂に包まれた。
…………
-
152 : 2013/03/26(火) 00:40:30.84 -
…………
旧校舎内、一階——
静(な……中は暗くって汚くって、結構サイアクーって感じねェ〜〜……紙の野郎どこ行きやがったのかしらーッ……)
ゴソゴソ……ゴトゴト……
静「……!上から物音……?」
ボソボソ……ヒソヒソ……
静「ッ!?」(こ、声も聞こえるぞッ!?か、紙のヤツ……なの……ッ?)ゾゾーッ!
-
153 : 2013/03/26(火) 00:48:14.15 -
静「…………」
ガサゴソ……ヒソヒソ……
静(こッ……『ここまで来て』だけどォー……ちょっぴり『怖い』っていうかーッ、あたしは実際に戦ったことがないから『ビビッてる』っていうかァ〜……へ、『へっぴり腰』になってきたよォー……)
静「……いや、あたしが……『ジョースター』としての『運命』を辿るための、『蜘蛛の糸』なんだこれはッ。これこそが『試練』ッ!」
静「今ッ!一番必要なのは……一歩下がる『冷静さ』ではないッ!一歩踏み出す『勇気』だッッ!!」
ザッ!!
…………
-
155 : 2013/03/26(火) 01:04:13.78 -
ズリ……ズリ……ズリ……
静(そーッと、そ〜ッとォ〜……)ドキドキドキドキ……
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
静「…………チラリ」
カラ……
-
156 : 2013/03/26(火) 01:15:04.44 -
女生徒「——ちょっとォォ〜〜もォ〜〜変態趣味じゃあないーッ?そんなにあたしの胸が気になるのォォ〜〜ッ?キャー!!」
男「ああ……美しい。スゲェ美しいッ。百万倍も美しい」
女生徒「キャー!キャー!ちょっとォォ〜そこはくすぐったいってェェ〜あッ!ダメ!やめてェェ〜ン!もォォー犯罪よッ!ハンザイッ!キャアァァ〜!!」
男「静かにしろよ……口数多いとせっかくの美人が台無しだぞ……」
女生徒「じゃあァ〜お口チャックねッ!ン!ウフフッ!」
静(……あ……『逢引き現場』ァァ〜〜ッ!?)ドギャアーンッ!!
-
157 : 2013/03/26(火) 01:24:10.20 -
静(はあー?……何だこれェ〜……あたしってば何に怖がってたのよ、バッカみたいィ〜……さっきの決意がハズカシーッ!)
男「しかし可愛い顔だ……表情豊かでサイコォォー……ほっぺた舐めていいか?首筋からゆっくりと……」
女生徒「もおォォ〜ッ!貴方イケメンのくせにィィーちょっぴりヘンタイすぎじゃあないのォォ〜!けどそこがすっごくソソルんだけどォォォ〜!」
男「ああ……私も前々から君には目をつけていたよ……フフ……」
静(……声聞いてるだけでムナクソ悪くなってきたわ……お腹すいたしィー……)
-
158 : 2013/03/26(火) 01:33:40.06 -
静(はァ……なんかもうどーでもいいなァー……ノートやペーパーマンすらどーでもよくなっちゃったァァ〜……)ハァ……
男「可愛いな……可愛いよ……」
女生徒「もうゥ〜!さっきから可愛いしか言ってないじゃあないのォォ〜!もうわかってるってェェ〜〜!キャハハハーッ!」
静(……ひと通りざっと見渡したら帰ろう……うん……)ザッ……
男「これで皮膚が無かったらもっと可愛いよ」
-
159 : 2013/03/26(火) 01:35:47.96 -
静「——えッ?」
女生徒「……は?」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
男「『——動くな。叫び声をあげる事は許可する』……」
バシィィンッッ!!!
女生徒「痛ッ!?——はッ——!?」
ドスッ
-
160 : 2013/03/26(火) 01:40:26.37 -
女生徒「ぎゃひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいッッッッッッッッ!!!!??あががががががががががががががァァァァァァァァッッッ!!!!」
バリ!バリ!ビリ!ブチュ!!
男「可愛いぞ!!スゴク可愛いッ!!たまらないぞォォォもうイッちまいそうだあああァァァあはははははははあああァァァァ!!!」
ビチュ!バチュ!メリ!メリッ!!
静「——ッ!?なッ——!!」
女生徒「痛い痛い痛い痛い痛い痛いやめてやめてやめてやめてやめてやめてェェェェェェ!!!!?」
男「こんなにも可愛いのにかッ!?さっきよりも百万倍も美しいのにかッッ!!?アーッはッはッはッはアァァははははははははははははははァァァァァァ!!!!」
ビリ!ビリ!ヌチャ!グチアッ!!
静「何をやってやがるんだッッ!?テメェーらァァーー!!?」バァーンッッ!!
-
162 : 2013/03/26(火) 01:46:16.42 -
男「——!」クルゥーッ!
静「何ィ〜ッ!?これはッ……なんて、非道いッ……!」
男「……『静・ジョースター』……?何故、立入禁止の旧校舎に……?」
静「質問しているのはこっちだァァーッ!!テメェー何者だァーッ!?一体ここで何をしているゥゥーッ!!?」
ドォーン!!
-
168 : 2013/03/26(火) 23:00:53.81 -
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
女生徒「……!……!!……」ビクン!ビクンッ!!
静「ハァー!ハァー!ハァーッ!……」
静(何なんだよォー、こいつ何なんだよォ〜……意味がわかんないッ!こッ、怖すぎるってのォー泣き出したいわッ!けどッ……)チラッ
男「……見られるとはな。しかし……」
静「……」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
静(逃げるわけにはいかないッ……石でも何でも使って、こいつを『再起不能』にしなきゃああたしに未来は無いわッ!!)ギリッ
-
169 : 2013/03/26(火) 23:12:41.60 -
男「……何者……『何者』と聞いたのか?今?私の耳が確かなら、今お前……私の存在を確かめるような言葉を吐いたよな?合っているか?ん?」
静「……言ってる事がわからないわ……イカレてるの?……この状況で……」
男「いや……確認したかっただけだ。ふむ……そうだな、2つめの質問には答えてあげようか?ここで何をしているかって事。まぁ、見ての通りだよ……『女の子の皮を剥いでいる』」
静(こ、コイツ……冷静に何でもないように……!『犬の散歩中にウンコを片してる所を見られた』ってくらいに、平然と言ってのけたッ……!)
-
170 : 2013/03/26(火) 23:20:57.01 -
男「小学生の頃、父の部屋にあった図鑑を見てね……ああ、医者だったんだよ私の父は。『人体解剖図鑑』とかいったかなァーあの本は……それでね、そこに載ってあったカラーイラストを見て、私は感動したんだ……」
静「?……何を……言っているのッ……?」
男「汚らしく粉や紅で色を塗って飾り付け、真の顔が見えないこの現代……皮膚一枚を取り除けば、素晴らしく美しい『素顔』があるという事を知ったんだあァ〜……メチャクチャ興奮したよ……弧を描くように流れる『眼輪筋』!しゅっとした『頬筋』!力強い意志を感じる『オトガイ筋』ッ!!全てが美しいッ!!ギリシャの芸術の基本がそこにはあったのだァーッ!!」
ギャ——z__ン!!
-
171 : 2013/03/26(火) 23:31:52.16 -
男「それに、私は収集癖があってねェ〜……牛乳瓶のフタを集めるような、下らないことに快感を覚えるんだッ……今まで23人の女性の皮を剥いできたが、どれもこれも綺麗になめして標本として保存している……そのコレクションが一枚増えるたびに、私は快感に打ちひしがれるんだよォォー……」
静「——ッ!!」ゾクゥ!!
男「今まで私の魅力によって、何人の女性を落としたかという記録にもなるしなァー……ククッ、自らが品定めした美しい筋肉を持つ女が、甘美な叫びをあげて美しい姿になるというのは何度見ても良いッ!標本を見ればその時の光景をまざまざと思い出す事が出来るよなァ〜……この女も顔の筋肉と胸の筋肉の付き方が良くてッ……」
静「……それ以上喋るんじゃあねーッ……もう十分だッ。十分アンタがゲス野郎だってことがわかったッッ!」
-
172 : 2013/03/26(火) 23:41:48.39 -
男「ほう?もういいか?これからじっくり一人ひとりの思い出を語ってやっても良かったのだが……まぁどうでもいいか」
静「どォーでもいいわねェーッアンタの正体すらッ!ここでブチのめしてそれで終わりよッ!覚悟はいい!?あたしは出来て——」
男「おっと待て待て、ちょっと待て。一つ、こちらからも質問させてもらっていいか?」
静「はあ〜ッ!?」
男「くどいようだが——大切な事なんでね、確認させてくれ。静・ジョースター、お前……本当に、『私が何者か知らないんだな?』」
-
173 : 2013/03/26(火) 23:50:59.49 -
静「……答える必要はない、と……判断するわ……」
男「いいから答えろよッ、ほれ……二人の今後に影響する問題なんだ。かなり重要ーッ。少しその場で私の名前を言ってもらうだけでいいんだよッ。ほらッ犬のようにわんと一声吠えてみろッ」
静「…………」
男「……答えられない、と……判断しても良いかなァー……?」
静「……畜生〜ッ……何者なのよッ、アンタァ〜〜……」
-
174 : 2013/03/27(水) 00:01:39.89 -
男「んー、んー♪グッド……それこそ答える必要はないなァ〜……そうか、知らないか……これで心置きなく『勝ちに徹する事が出来る』……」
静「何ィ〜……?」
男「『私はお前を知っている』『お前は私の事を知らない』……この『アドバンテージ』が意味する事は、一つだ……精々神経スリ減らしなッ!」
静「わけわかんねー事ばっか言ってんじゃあないわよッダボがァーッ!石を透明にするッ!『アクトン……」
男「『ディシプリン』ッッ!!!」
ドキュ——z__ンッ!!!
静「——何ッ!?」
-
175 : 2013/03/27(水) 00:10:43.90 -
男の右手から、長い鞭のような『パワーを持ったヴィジョン』が現れたッ!
静は知っているッ!このヴィジョンが何なのか、それが何を意味するのかをッ!!
静「ス……『スタンド使い』ッ! やはりというかチクショーというかッ!」
静(しかし……スタンドが『紙人間』じゃあないってどういう事ッ?他にもスタンド使いがいるっていうのッ!?)
相手の能力がわからない今、迂闊に飛び込むのは危険……!
静が躊躇したその一瞬、男は右手の鞭を振り上げたッ!!
静「うおおッ!あ、危な——」
男「命令するッ!『今日あった出来事全てを忘れろッ!』」
バチィィィン!!
女生徒「——!!」ビクンビクン!!
静「はあーッ!?」
意外!鞭で攻撃したのは、静の方ではなく女生徒ッ!!
-
176 : 2013/03/27(水) 00:21:26.61 -
男「そしてッ——『お前はそこから動くなァァーッ!』」
ビュウォーンッ!!
静「うおおッ!?」サッ!
スタンドの鞭は、しゃがみ込んだ静の頭の30センチ上を通り過ぎたッ!
後ろによろけて、体勢を崩してしまう静……
男はそのスキを見逃さなかった!静の立つ『教室の出口』に背中を向け、窓に向かって突進したッ!!
静「えッ!?ここ三階——」
バリィーンッ!!
窓を突き破って外へ出る男……
これが男の逃走経路だった!男はハナから戦うつもりなんてないッ!
逃げる事。それが男の『勝ち』なのだッ!!
-
177 : 2013/03/27(水) 00:31:04.88 -
静「に、逃げた……?……ッ!!」
ワンテンポ遅れて、静も気付く。
静「違うッ!逃げたんじゃあないッ!!『暗殺』するつもりだッ!!」
……静は男の事を何も知らないが、男は静の事を知っている……
つまり、男は何食わぬ顔で他人のふりをして近付いて、後ろから静を襲うことが出来るのだッ!
静(しかもさっきのスタンドは……恐らく、人に命令することが出来るっていう能力ッ!そんなので後ろから襲われたら——!!)
——記憶を失う程度で済めば、運が良かったと言える。
だが、あのゲス野郎がその程度で済ましてくれるだろうか?
もしかしたら、次の被害者となるのは、私——
——静の脳内で、最悪の展開がイメージされる。
静「これが……あいつの言う『アドバンテージ』ッ!にッ……逃がしてなるものかーッ!」ダッ!!
急いで、割れた窓に近付く静。外を見ると、スタンドを使って無傷で着地したのであろう男が、駐車場に向かって走るのが見える。
静「さすがに、三階はちょっぴり高いわね〜ッ……迷ってなんかいられないかッ……コオオォォォー……」
-
178 : 2013/03/27(水) 00:41:45.42 -
ドサァッ!!
静が豪快に三階から墜落する鈍い音が響いて、男は走りながらも、少し振り返った。
男「……!追ってくるか、静・ジョースター……だろうな、誰だってそーする。俺もそーする。しかし……追いつけるかな?」
タッタッタッタッ……………………
静「……イタタ……だからやりたくないんだってのーッ、コレェ〜……」
着地に少し失敗して尻をさする静。
その間にも男はグングン距離を開けているッ!静「あッやばいやばいッ!早く追いかけなきゃ……あーもー走りたくないのにィ〜!」
ダダダダーッ!!!
…………
-
179 : 2013/03/27(水) 00:49:31.70 -
…………
校門前——
静「くっそォ〜あの野郎〜ッなかなか足早いんじゃあないのーッ?」ハァハァ
タッタッタッタ
静「ていうかあたしがさっきから走りっぱなしで疲れてるだけかァ〜……絶対逃さな……!」
男「……」タタッ スイッ……
静「……あれッ?『何で』ェーッ!?」
人は逃げる時ッ!出来る限り『逃げ場』の多い方へと逃げる!
追い詰められていればそれが顕著だろう。誰だってそういうルートを取る。
なので静は、駐車場を通り過ぎた男は『右』へと曲がり、校門から外へ出ると思っていた……
だが男はッ!『右』ではなく、『左』へ曲がったッ!
それは即ち、正面玄関を通って校舎内に入ったという事ッ!!静「……何で、自ら逃げ場のない方へと逃げるんだァ〜?なんにせよッ!これは『チャンス』ッ!!」
ダダダダッ!!!
…………
-
180 : 2013/03/27(水) 00:59:11.48 -
…………
校舎内——
静「!!いたァーッ!近くまで来れたぞッ!!」
ダダダダダーッ!!
男「……!早いな……若さか。羨ましいーッ……」
ダッダッダッダ!
二人の距離は約20メートル。
普通の人よりも少し運動に自信がある静は、かなりのスピードで男を追いかけていたッ!静「ここまで来れば『投石』だって当たるッ!喰らえ——」
ガラッ!!
——静が投球モーションを取ったその時ッ!
男の走るすぐ近くの、教室のドアが開いたッ!! -
181 : 2013/03/27(水) 01:07:51.59 -
静「ッ!?」ビクウッ!
女子高生「?あーン?何してんのォ〜あんたら?追いかけっこォー?校舎でそんなことするなよなァーうるせェーぞォ〜〜」
下校時間もとっくに過ぎたというのに……
それでもまだダラダラ教室で時間を浪費していた、女子高生だったッ!
学校に一人はいたであろう、そんな生徒。そこに居てもなんらおかしくない、一般人……静「はッ!?な、何ッ……」ビュ……
しかしッ!いきなりの珍客の登場に、静の集中力はごっそりと持っていかれたッ!
ビュウーンッ!! ガシャァァーンッ!!
大きな音をたてて、近くの窓ガラスが割れるッ!
静の投げた『透明にした石』が、大きく的を外れて着弾した証だった!! -
182 : 2013/03/27(水) 01:13:16.93 -
女子高生「うおッ!?ガラスが一人でにィーッ?誰か石でも投げたのかァ〜〜ッ?」
男「……!いい所に来たなァー……いい娘だお前はッ……」
男は……一人で騒ぐこの珍客の登場に、ニヤリと顔を歪ませた。
女子高生「おいちょっとあんた、ガラスがッ……って、何あんた、なんでそんな変な覆面してんのォーッ?ダッセェェーッ!キャハハハ!パーティグッズのつもりィィ〜?ねぇねぇそれェ〜写メってもいいのォ〜ッ?ギャハハハハ……」
男「命令だッ!『後ろの女を捕まえろォーッ!!』」
ビシャアアアンッッ!!
-
183 : 2013/03/27(水) 01:19:45.22 -
静「はあッ!?何を——」
女子高生「GYAAAAAAAAAA!!!」グワッ!!
命令を受けた女子高生は、白目を向いて重機のような力で静に突進したッ!
その隙に男は、全速力で逃げるッ!
まるでこれが最後のチャンスだと言わんばかりにッ!!静「何だとォ〜〜……アクシデントを自分の力にするあいつの『したたかさ』には舌を巻くがッ……それ以上にッ!!一般人を平気で巻き込むそのドス黒い精神に驚かされるわねーッ!!」
女子高生「GYAOOOOOOUUUU!!!」ドスッドスッドスッ!!!
-
184 : 2013/03/27(水) 01:22:59.66 -
普通ならば、怪物と化した女子高生から逃げるべきだろうッ!
その手に捕まらないよう、回り道をして男を追いかけるのが最善と考えられるッ!
しかし静は……静「うおおおおおおお!!!」ダダダダダーッ!!
逆に思いっ切り女子高生に突っ込んだッ!!
静「回り道をしている暇なんてないッ!『アクトン・ベイビー』ッ!!」カチャ!
スウーッ……!
-
185 : 2013/03/27(水) 01:26:00.48 -
額にかけているサングラスを目にかけると、静の姿は見えなくなったッ!
女子高生「GA?」
ダダダダダーッ!!
ドヒューンッ!!
もの凄い勢いで、透明な『何か』が女子高生の脇を通り過ぎるッ!
静「『後ろの女』なんていないわーッ……全く見えないんだものォ〜……捕まえるべき対象がいないんだから、命令は達成されないわねーッ!『アクトン・ベイビー』解除ッ!」カチャ
スゥーッ……!
静がサングラスを再び外すと、静の姿がくっきりと現れたッ!
女子高生を難なくやり過ごし、男に向かって走るッ!男「何ィーッ!?クソッ!」ダダダダッ!
静「待てーッ!!」ダダダダダーッ!!
-
186 : 2013/03/27(水) 01:30:06.35 -
——しかし、女子高生は多少なりとも時間を稼いだようだった。
男は……少し、余裕を持って、ある一つの扉に手をかけて、止まった。男「静……ジョースター……ハァー、ハァー……なかなかの執念だったがァー……お前の負けだッ……!」
静「——はあッ?どういう事よッ!!」ダダダダッ!
静は、まだ追いつけない。
喋りながらも必死で男に向かうッ!男「『木を隠すなら森の中』ってなァァー……この部屋こそ『森』だッ!ここに行き着くのを目的としていたッ!!」
静「……!……そこは——!!」
-
187 : 2013/03/27(水) 01:33:05.72 -
静・男「「職員室ッッ!!!」」
ドギャアーンッッ!!!
中はまだ光が点っており…・・何人もの人の気配がしたッ!
静「あそこに……入られたらッッ!!」
-
188 : 2013/03/27(水) 01:36:29.25 -
男「ははは!では、さらばだ静・ジョースター……次に会うときは美しい姿に変えてあげようッ!!」
ガラガラッ ピシャアーンッッ!!
ガチャリッ!!
大きな音を立てて、職員室の中へと男は姿を消したッ!
ご丁寧に、鍵までかけて……!!静「……!!」
…………
-
189 : 2013/03/27(水) 01:39:18.33 -
…………
職員室内——
男「ハァーッ!ハァーッ!!ハァーッ……」ズルリ……
覆面を外した男は、肩で息をしながらも、勝利を確信し喜びで震えた。
男(や、やったぞ……ふはは、やったぞォォッ!このまま後は、何食わぬ顔で席に戻ればいいッ!思った通り職員室には他の教員でいっぱいだッ!バレるわけがないッ……!)
男(もしアイツが窓ガラスや扉をブチ壊そうとするならッ、他の教員がダマっちゃあいないだろう……その混乱に乗じて違う場所に逃げ出すのも手だッ、逃げる手段はいくらでもある……ククッ、やった、勝った……奴は私を『見失った』ッ!)
教員「……?どうしました?先生ィ〜?すごい勢いで中入ってきたと思ったら、しんどそうですけどォ〜?」
男「いえ……なんでもありませんよ、はは……ははは……ははははは……!」
…………
-
190 : 2013/03/27(水) 01:41:28.22 -
…………
静「『アクトン・ベイビィィィィ』ッッッ!!!」
バンッ!!
…………
-
191 : 2013/03/27(水) 01:43:22.94 -
ス……
スウウウゥゥゥ——ッッッ!!
男「はッ……なッ……!?」
静は……外から、『職員室』と『廊下』を隔てる壁に手を当てたッ!
壁の色はどんどん薄くなり……ついには、『透明』になったッ!!
それは、男が座るも逃げるも出来ないくらいの、一瞬の出来事だったッ!!男「何ィィィィィ!!?」
バァ——z__ン!!
-
192 : 2013/03/27(水) 01:47:11.83 -
静「フゥー、グレート……こうしたら汚れとか全く見えなくって綺麗なものよねェー……けどさァ〜〜……」
男「……くうゥ〜……!」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
静「……アンタのその、ゲロ以下のにおいがプンプンする顔だけはッ!綺麗にならずにハッキリと見えているわ〜ッ!!……ねェ、アンタよねェ?だって扉近くに突っ立ってるのって、アンタだけなんだもの。そうよねェーッ?」
男「…………」
静「えーっと、何て言ったっけェェー……?あたしは、あんたの『宿題』を取りに来てこーなったんだけどォォー……えっと、ああー……思い出したッ」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
-
193 : 2013/03/27(水) 01:49:08.71 -
静「『女みたいな名前の先生』……生物教師、高塔 毬也先生ね……」
高塔「……クソがァァー……」
ド——z__ン!!
-
195 : 2013/03/27(水) 01:57:05.58 ID:+Mx1lHFqo -
乙!
ジョジョっぽくて素晴らしかった
次でラストか……名残惜しいなしかし、アクトン・ベイビーって考えたらヤバイな。
メタリカ以上に隠密性あるし、拳銃なんか持ったらスタプラでもかなわないんじゃね? -
197 : 2013/03/27(水) 02:04:48.08 ID:hhtzLqR6P -
最初っからアクトンベイビーで透明になって追いかけろよって思ってたけど安易だったか、これはかっこいい
男の方はヘブンズドアーの劣化感がって次回でラストだとォーーーーッ!?決着と紙男と劣等感とか全部回収できるのか
-
199 : 2013/03/27(水) 02:12:54.36 -
>>195
>>197
コメありがとうございます。
馴れ合いダメな板だとはわかってますけど……やっぱウレシイ。えっとですね、ぶっちゃけると今書いてるの、「一話」でして……次回で「一話」完結です。
紙人間とかのウラ設定はもちろん考えてるんですが、それ書こうと思ったら「二話以降」になりますね……。
悠長な話プラスずーずーしい話ですが、「人気あったら続ける」って感じです……すいませェん……
……「二話以降」まで続けるとなると、超長編になりそうなので怖いんですけどーッ……。 -
200 : 2013/03/27(水) 02:18:15.43 -
しまった今思いついたけど、
職員室に籠城→無理矢理押し入る→静「全員ブチのめすッ!」
のほうがジョジョっぽい……
違和感感じた方いましたらすみません。脳内補完して下さい。……あっブチのめすスタンドがいないのか
-
212 : 2013/03/27(水) 22:02:39.03 -
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
教員「なッ、何だァーッ!?壁が無くなったぞォ〜ッ……どういう事ですかこいつァ〜ッ?ウギギ?」
高塔「……なァに、ただの下らない手品ですよ。彼女に教えましてね……科学に詳しい人が見たら笑っちまうほど、しょうもないタネですよォー……しかしこう乱用されるとメーワクですよね。少し……彼女に『注意』してきますよ……」
ガラガラ……ピシャッ
高塔「…………フーッ……」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
静「……『アクトン・ベイビー』解除ッ……(で、出てきたよォ〜ッ……)」タラリ……
-
213 : 2013/03/27(水) 22:12:54.92 -
静「高塔先生……いや、高塔ッ。アンタの負けよォーッ……アンタの正体はあたしが完璧に知っちゃったしィ〜……」
高塔「……ああ、そうだな……バレてしまった……」
静「……大人しく、観念しなさい。でないと『攻撃』を開始するわッ……」
言いながら……内心、静は冷や汗をかいていた。
-
216 : 2013/03/27(水) 22:39:47.44 -
しかしッ……
高塔「……フーッ……」
静はまだ知らないッ!
追い詰められた人間の、驚異的な『精神力』というものをッ!! -
217 : 2013/03/27(水) 22:51:18.07 -
静(あたしの方から逃げることは出来ないッ!『戦えない』ってことがわかれば、アイツは高笑いしながらスタンド攻撃を仕掛けてくるはずだからねェーッ……ベストなのは、�観念してヤツが自首する。�隙をみて兄さんに連絡、兄さんの力でヤツを捕まえる……この2つって所かしら……もし向かってきたら、い、石ブン投げてやるわッ……!)ギリッ……
静「……で、どうすんのよォ〜?自首すんのォー?戦うのォ〜?後者はオススメしないけどねェ〜あたし。ルンルンッ!」
精一杯の強がりを見せる静……
それを見て、高塔は『にやり』とした。 -
218 : 2013/03/27(水) 23:00:08.30 -
高塔「……笑顔が『笑っていない』な。緊張してガチガチに固まった笑顔だ……表情筋が硬い……」
静「……ッ!?」
高塔「……何を怖がっているんだァ〜?静・ジョースター……?」
静「……はあ?何の話かわからないってのッ……」
高塔「……」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
-
219 : 2013/03/27(水) 23:10:08.48 -
高塔「……フーッ……苦手、なんだけどなァ……」
静「……何ィ?」
高塔「私のスタンドはなーッ……正直、面と向い合って殴りあったら誰にも勝ち目ないくらいに脆弱なんだよ……射程距離もそんなに長くないし、持続力だって大したことない……悲しいことにな。能力に後悔はしていないが、もう少しだけパワーがあれば、と何度も思ったよ……しかし、しかしだ……」
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
高塔「……バレたからには……覚悟を決めよう。たとえ勝率が低くとも、安全でないとしても……覚悟を決めて突っ走るしかないなら、そうしよう……お前をブチのめして勝って帰るッ!!」
静「なッ!や、やめろよッバカ——」
高塔「『ディシプリン』ッッ!!」
ズアッ!!
-
221 : 2013/03/27(水) 23:29:40.02 -
高塔「さァ……お前もスタンドを出したらどうだ?余裕ぶってないでさァ〜……『アクトン・ベイビー』といったか?出してみろよォ〜攻撃してみろッ……私は覚悟を決めたぞ。お前はどうなんだ?えッ?『静・ジョースター』ッ!」
静「——は、はンッ!言っとくけどさァ〜あたしはアンタの正体を知ったのよッ!」
高塔「……そうだな。それで?」
静「だ、だから……あたしが、『兄さん』に告げ口したり、助けを呼んだらどォーなると思うッ?アンタの負けよォ〜ッ負・けッ!」
高塔「……何もわかっていないな……その前に口封じすればいい話だろう?」
静「えッ……」ギクリ
-
222 : 2013/03/27(水) 23:36:16.97 -
高塔「もうなァ〜……その段階の話は『終わった』んだよォー……向かい合った二人が覚悟を決めたのならばッ!新たなるステージへと向かうのが道理だろォーッ……?」
静「……う……ううッ……!」
高塔「……対峙してから今まで……お前は様々な事を『思った』のだろう?……私のスタンドはきっと貧弱なんだろーとか、助けを呼べばなんとでもなるだろーとか……」
静「そッ、そんな事ッ……!」
高塔「筋肉は全て教えてくれるッ!思っていたはずだ……そして!お前の筋肉を観察して、私のほうも『思った通り』だッ!……お前、本当は『戦えない』なッッ!!?」
ドンッ!
静「——ッ!!」
高塔「『ディシプリン』ッッ!命令だッ!!『指一本たりとも動かすんじゃあないぞォォォッッッ!!!』」
ブオォーンッッ!!!
-
223 : 2013/03/27(水) 23:43:15.18 -
静「う……うわあああああッッッ!!!」ブン!ブンッ!!
——静の投げた透明な石は、見当違いの方向へと飛んでいき……
……『ディシプリン』の鞭が、静を襲ったッ!バチィィィィィン!!
静「痛——ッッ!?」
ピタァーッ……
静(う、『動かない』ッ!?身体が、全く動かないッ!痛む部分を押さえることすらッ……!)
高塔「——は、ははははははは!!思った通りだッ!お前スタンドを出せないんだなッ!?あははははは!こいつは傑作だッ!私は有りもしないものを恐れて今まで戦っていたんだなッッ!!慎重に勝利を手にする戦いを望んだ結果がこれかッ!あは、あははははッッッ!!」
-
224 : 2013/03/27(水) 23:49:11.71 -
静「ウーッ!!ウーッ!!」
静(く、口すらも動かすことが出来ないなんてッッ……!!)
高塔「はァー……何と下らない女だ。いや、確かに正体がバレたときはヒヤっとしたよ。年甲斐もなく焦ってしまった……精神を消耗して折れそうになってしまったよ……マジでヤバいと思った……だがな、実戦を伴わないハッタリというものは、魂が乗らないんだよ魂がァ〜ッ……注意深く観察すればすぐにわかったぞォ〜……ハハハ……」
静「…………ッ」
高塔「スタンドは己の精神力で動かすもの……『アクトン・ベイビー』というスタンドの名前の通りッ!!お前の精神は『赤ん坊』なんだよォ〜〜ッ!」
静「——!!」
-
225 : 2013/03/27(水) 23:55:10.81 -
高塔「さて、無駄話が過ぎたな……新しい自分に『こんにちは』しましょォ〜う、静・ジョースターさァん……次会う時は、君を美しい姿に変える時だッ……ああ今から興奮して眠れないよおォ〜ッ……」
静「ウーッッ!!!ウーッッッ!!!」
高塔「ではさらばだッッ!!!『今日あった出来事全て忘れろォォォォォ!!!!』」
ビュオオオオオーッッ!!!
-
226 : 2013/03/28(木) 00:01:23.56 -
静「ウ……ウオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」
この時ッ!鞭が静を襲おうと迫り来る刹那ッ!
静の脳内をよぎったのは、『恐怖』でも『走馬灯』でも『諦め』でも無く、
『悔しさ』だったッッ!!
幼い自分が許せない『悔しさ』ッ!
己の精神全てを否定された『悔しさ』ッ!!
ジョースターの血統を侮辱された『悔しさ』ッ!!!
そして……か弱い女性を非道い目に合わせる、こんなクズに負けるという『悔しさ』ッ!!!!
静の157センチという小さな身体に、ほとばしるマグマのような熱い感情が駆け巡るッッ!!
『スタンド』を操作するために必要なのが、『精神力』なのだとしたら……
今現在の静・ジョースターはッ!『世界中の誰よりも強く、スタンドを操ることが出来るだろうッッ!!!』 -
227 : 2013/03/28(木) 00:04:45.23 -
静「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」
静(止まれえええええええええええええええェェェェェェェッッッッッッッ!!!!!!!)
バシィィィッッッ!!!
-
228 : 2013/03/28(木) 00:08:28.84 -
静「…………」
高塔「…………なッ」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
——それは、曰く『傍に立つもの』(Stand by me)
——それは、曰く『立ち向かうもの』(Stand up to)
それは、人々に『スタンド』と呼ばれていた。
スタンド、『ディシプリン』の放った鞭は……
静・ジョースターの『傍に立つもの』が両手で受け止めていた。
静・ジョースターは、困難に『立ち向かうもの』となったのだッ!!高塔「何ィーーッッ!!?ス、『スタンド』……だとォーッ!!」
ドォ——z__ン!!
-
229 : 2013/03/28(木) 00:10:50.79 -
静「……う……あッ、あー……あえいうえおあお……おッ、身体が『動く』よーになったッ……そして、今のはあたし、『指一本たりとも動かしてない』からね〜ッ。ちょっぴり心を動かしただけーッ……」
高塔「貴様ァ……静・ジョースターッ!嘘をついていたのかッッ!?」
静「いや、違うわ……今グーゼン、あたしのスタンド能力が『成長』した……ただそれだけよ。ちょっぴり大人になったの、あたしィ……」
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
-
230 : 2013/03/28(木) 00:18:40.48 -
静「……成長したんだからさァー……もう誰にもッ!『赤ん坊(ベイビー)』なんて呼ばせないッ……!」
確かに、そのスタンドのヴィジョンはもう、脆弱な『赤ん坊』とは似ても似つかない姿に成長していた。
静が心の奥底で思った通り、『近距離パワー型』のスタンドが発言していたのだッ!静「そうね、ぴったりの名前を思いついたわ……これからは『ハニー』よッ……『ワイルド・ハニー』……これが『名前』ッ!!!」
ズギャ——z__ンッ!!
-
231 : 2013/03/28(木) 00:23:48.19 -
『名前』とは重要だ……
この世で唯一無二を表す記号。
名前を授かったことで『ワイルド・ハニー』は、一瞬力強く輝いた。静「行くわよッ!『ワイルド・ハニー』ッ!」ズキュンッ!
高塔「うおおおォォッ!!『一歩も動くなァァァァァーッッ!!!』」
ビュンビュンビュンビュンビューンッッ!!
高塔はスタンド『ディシプリン』の鞭を、やたらめったらに振り回した。
静「うおッ!危ねーッ……」
高塔「近付いてみろッ!攻撃してみろッッ!!一瞬でも鞭に当たって動きを止めたその時がッ!お前の命日になるんだよォォォォーッ!!!」
ビュンビュンビュンビュンビューンッッ!!
-
232 : 2013/03/28(木) 00:26:18.53 -
——高塔は、防御に徹した。
認識の違いとは恐ろしいッ……高塔は、静の攻撃を恐れてこのような行動を取ったが……
静に、それに付き合う道理は全く無かった。その事に高塔は気付いていなかった。静「全く、やれやれね。近付こうにも近付けないってのッ……仕方ないわねェ〜……いい?よく聞きなさい……ジョースター家には、伝統的な戦いの発想法があるの……ひとつだけ残された戦法があったわッ……」
高塔「はッ?何だとォォォー……?」
静「それはッ…………」
-
233 : 2013/03/28(木) 00:27:50.12 -
静「『逃げる』ッッ!!!」
クルッ ダーッ!!!
高塔「…………」
ボッチィ〜……
高塔「…………はァ〜ッ!!?」
-
234 : 2013/03/28(木) 00:31:07.86 -
高塔(……いやッ!!『違う』ッ!よく考えろッ!恐怖にビビッてる場合じゃあないッ!私がそうであったように、あいつは今『勝つために逃げている』んだッッ!!そうに違いないッ……何をする?『私があいつなら、一体何をする』ッ!?)
高塔「……はッ!た……『助け』を呼ぶつもりかァァァァッ!?」
静はもう、階段を一段とばしに駆け下りて、遥か遠くへと逃げていたッ!
高塔(あまりの恐怖に混乱していたッ!ヤツを逃せば終わりなんだッ!!私の能力は、誰も知らないからこそ強いッ!ヤツが誰かに告げ口するか、誰かを呼んだりでもしたらッ……か、考えたくもないいいいヒイイイイイッッ!!!)
高塔「『ジョ——スタ————』ッッッ!!!」
ズダダダダァァーッッ!!!
………… -
235 : 2013/03/28(木) 00:34:36.11 -
…………
校門前——
バァン!!
……大きな音を立てて、正面玄関の扉がはじけた。
高塔が、静を追って扉を力任せに弾き飛ばした音だった。
静は校門から外に出て、路上で高塔を『見つめていた』静「おおっとォーッ!来た来たァ〜……」
ブーン……
高塔「ハァーッ!ハァーッ!!ジョ……ジョースタァァァ……!それ以上先には行かせないッッ!!逃げるんじゃあないッ戻るんだッッ!!早くしろォォォォッジョースターッ!!!」
静「はあーッ?アンタがさ〜ッあたしを追いかけずに、防御一直線ッ!な技ァー使って立ち止まったんが悪いんでしょォ〜?ちょっと前みたいに面と向かって戦おうってんなら、あたしもノッたんだけどさァ〜……」
高塔「黙れッ……お前を逃がすと、私の未来は無いんだッ……絶対に始末するッ!!」ダダダダッ!
ブゥーン……
-
236 : 2013/03/28(木) 00:38:38.42 -
高塔「絶対にィィィィ始末するぞォォォォォォォッッッ!!!静ッッジョョョォォォォオオスタァァァァァァァ!!!」ズダァーンッッ!!!
ブゥーンッ……
静「おっとちょい待ち!落ち着いてよーく見てみなさいッ!あたしは今ッ!ある『2つ』のものを『透明』にしているッッ!!気付かないのッ……?」
高塔「——な、何ッ……!?これはッッ……!!」ピタリッ……
静「一つ目は『アナタ』……さっき『ディシプリン』の鞭を掴んだ時ッ!ついでに『透明』にさせてもらったわ……ゆーっくりと時間をかけてねッ!」
ブウゥーンッッ……
高塔「……はッ?これが……これがどおおおおおしたって言うんだァァァ!?お前を殺すという未来が透明になったわけでもあるまいしいいいいいいい!!!馬鹿か貴様はァァァァァァッッッ!!!喰らえッッッ!!『ディシ——」
静「——2つ目は——」
ブウウゥゥーンッッ!!!
-
237 : 2013/03/28(木) 00:41:19.67 -
メシャッ!!!
高塔「——プゲッッッ!!??」
ブウウウゥゥゥーーン…………
——透明になった『高塔』に、透明になった『何か』がぶち当たった。
そいつは、大きなエンジン音をたてて……道路に出て、走り去っていった……静「——駐車場に止まっていた、『トラック』よッッ!!!」
バァ——z__ンッ!!
-
238 : 2013/03/28(木) 00:43:08.38 -
静「さっきトラックの運転席に、誰か潜んでいないかどーか確かめた時……『カギ』が挿しっぱなしになっていた事を思い出したのよッ……『きっとすぐに出発するんだろうなー』ってね。それで、さっき鞭を掴んだ時、アンタを透明にさせてもらった……お互い透明同士だから、ブチ当たるまで気付かなかったでしょう?運転手はきっと人をはねた事すら気付いてないでしょうねーッ。だからこれは、『事故』じゃあなくてあたしの『攻撃』よッ……まッ、校門近くで、あんまりスピードも出てなかったみたいだしィ〜……」
高塔「ぶざ……ぶざげるバよッ……じずが……じょおずだァァァッッ……!!は、歯がァァボロボロだァァァ……顔面の骨がボギボギいっでるよおおおおッッッ……グソ……ぐぞがああああ……!!!」
静「そうねェ〜……アナタの次の台詞はこうよッ……」
-
239 : 2013/03/28(木) 00:44:17.73 -
静「『このクソボケアマが、死にやがれ』」
高塔「ごのグゾボゲアマがあああああああああああああッッッッッッ!!!じにやがれええええええええええええええッッッッッ!!!『ディヂブリンんんんんんんんんんんんんんんんん!!!!!!』」
ワイルド・ハニー『ドラァッ!!!』
ボゴォーンッ!!!
-
240 : 2013/03/28(木) 00:45:18.53 -
高塔「ぶげ……ピ……!!」
静「フゥー……よしッ、『決めた』わ…………やっぱ、これしかないわねェ〜……行くわよッ!これがあたしの『人生の門出』ッ!おおおォーッ!!!」
高塔「あが……やめッ……!!!」
静「ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラ
ドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラドラァァァァァァァァァァッッッッッ!!!!!」ドッゴォォォォーンッッッ!!!
-
242 : 2013/03/28(木) 00:50:08.28 -
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨
静「…………」
紙人間『……ペラペラ……』
静「…………」
……校舎の中の安全地点で、あいつはこっちを観察していた。
思い出したぞクソッ、まだノート返してもらってねェーッ……
この礼は絶対にさせてもらうからなッ!
あいつのスタンド名と本体の名前を……
『本当の名前』を、絶対に、ぜーったいに突き止めてやるッッ!!⇐To be continued=・・・?
-
244 : 2013/03/28(木) 00:57:52.31 -
スタンド名—ディシプリン
本体—高塔 毬也(生物教師)破壊力—E スピード—C 射程距離—C〜E(変動)
持続力—E 精密動作性—D 成長性—B右の手首から先が鞭状になっている、猛獣使いのような姿をしたスタンド。
鞭で叩きながら命令することで、人を従わすことが出来る。
「動くな」等の簡単な命令だと鞭は長くなるが、「死ね」などの命令になると鞭は1センチにも満たないほどに短くなる。
また、「イタリア語をしゃべれるよーになる」とか「時速60キロで吹っ飛ぶ」とか、その本人の限界を超える行動を命令することは出来ない。スタンド名の元ネタはキング・クリムゾンのアルバムタイトル。
高塔毬也は小説ジョージ・ジョースターのマリア・トーレス(マリア・ハイタワー)から名前お借りしました。息子の皮をイヤラシイ意味全く無しで剥いちゃう母親です。コワイ。 -
245 : 2013/03/28(木) 01:10:13.61 -
と、いうわけで、静ジョ完結です。応援ありがとうございました。
私自身、オリキャラとか出るSS見ると「プッ!」とか思っちゃうタチなので、今回の作品がどれほどまでに失笑を買ったのかはわかりませんが……
ジョジョ好き(というか荒木作品好き?)の一人として、全力を注いでジョジョを作ってみたのがコレです。これがファンという名の素人の全力です。笑ってもいいから読んでくださると嬉しいです。
やっぱり荒木先生には偉大だということがよくわかると思いますw
同じジョジョラーの方に読んでもらい、お互いの『成長した静のイメージ』や『荒木作品の魅力』を交換しあってくれたらこの上なくウレシイです。ハイ。続きなのですが……えっと、本当に書いても良いのかどうか……
最後まで読みきって、「まだ続きが読みたい!」となる方がはたして何人いるのかどうか、自分の中ではもやもやしています。
もし、何か間違いがおこって続きを書いたとしても……
私、今年から新社会人でして、初めてのお仕事でどーなるのかわかんないんですよねぇw
4月中は新しい生活になれるのでいっぱいいっぱいだと思いますので、気長にお待ちください。書くかどうかわかりませんが……ではでは、長くなりましたが、ありがとうございました。
後日HTML化依頼出します。それまではジョジョ雑談とか感想とか言ってくださると嬉しいです。では。
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