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1 : 2016/01/21(木) 02:06:57.66 -
【ウィークポイント】
つかさ「おはよー」
未央「あ、つかさ社長。おはよう!」
つかさ「おっす、未央」
未央「では本日も恒例のアレを」
つかさ「おう、やるか」
ガシッ(がっちり握手)
グッ(手を離してグーにする)
トンットンッ(軽く上下に拳をぶつける)
ゴッ(正面から拳をぶつけ合う)P「なんだ? その謎の儀式みたいなの」
未央「朝のあいさつ的な何かだよ」
P「何かってなんなんだ」
つかさ「今日も一日気張っていくっつーことで、気合い入れてんだよ。仕事モードにスイッチ切り替える手段としてはなかなかだと思うわけ」
P「へえ」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1453309617
ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1453309617/
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2 : 2016/01/21(木) 02:09:45.19 -
つかさ「お前もやる?」
P「え、俺も?」
未央「気合いを入れなきゃいけないのはアイドルだけじゃないしね」
P「まあ、そうだな。それじゃやるか」
つかさ「よし、んじゃいくぞ」
P「とりゃ」
ぺしっ、ぺしっ
つかさ「よわっ」
P「そうか?」
つかさ「こんなへなちょこじゃ逆に気が抜けるだろ」
未央「もっとガンガン力入れようよ」
つかさ「やり直しだ、やり直し。こんなんじゃ論外」
P「む……そこまで言うなら」
P「ふんっ!」
ゴンッ!
P(あ、ちょっと力入れすぎたか? 骨と骨がぶつかった感触が……)
P「ごめん、痛くなかったか?」
つかさ「………」
P「つかさ?」
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3 : 2016/01/21(木) 02:11:39.37 -
つかさ「……ねーし」
P「?」
つかさ「い、痛くねえし。まあまあやるじゃん、目が覚めた」
つかさ「じゃ、アタシちょっとコーヒー買ってくるから」
スタスタ
ガチャ、バタン未央「……どしたの、社長?」
P「ああ……多分、見せたくなかったんだな」
未央「見せたくないって、なにを?」
P「JKにして社長にしてアイドル。一見なんでもできて弱点らしい弱点のないように見えるつかさだが、ひとつだけ明確なウィークポイントがある」
未央「それは」
P「それは」
ガチャリ
つかさ「言い忘れたけど、別に泣いてないからな。思ったよりPのパンチが痛くて泣いちまったとかじゃないからな!」
P「意外と泣き虫なところだ」
未央「なるほど」
P「さっきはごめんな。痛くするつもりはなかったんだ」
つかさ「な、泣いてない! 泣いてねえし!」
つかさ「ちょっと人様より涙腺ゆるいだけだっての!」
未央「じゃあやっぱり泣いてるんじゃん……」
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4 : 2016/01/21(木) 02:14:55.76 -
【アレがいい】
つかさ「………」ジーー
P「……なに?」
つかさ「……髪型変えるか」
P「ツインテールにでもするのか? つかさなら基本なんでも似合うと思うけど」
つかさ「今からバリカン持ってくるからじっとしてろよ」
P「ちょっと待て。俺の髪型の話か」
P「しかも坊主にするつもりか」
つかさ「だってなあ……なんかイマイチなんだよなあ」ウーン
つかさ「髪型のセット、毎朝どんくらい使ってる?」
P「寝癖を直して、ワックスかけて……15分くらいかな」
つかさ「そこそこ使ってるな……てことは単純にセンスがないのか」
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5 : 2016/01/21(木) 02:17:14.24 -
つかさ「やっぱ坊主だわ」
P「なんでだ」
つかさ「現状、投資に結果が釣り合ってない」
つかさ「坊主にすれば、適当にカツラを何種類か用意するだけでイケてる髪型を実現できる。コスパ良好だな!」ニヤリ
P「やだよ。ヅラって結構見ただけでわかること多いだろ」
P「そしたら俺、相手先にハゲだと思われるぞ」
つかさ「ところがどっこい剃ってるだけでしたー」
つかさ「という一発ネタに昇華させればリカバリーが」
P「きかないから」
つかさ「面倒だな……」
P「別に俺は髪型がどうとか頼んでないんだけど」
つかさ「Pの相手方への第一印象は、そのままアタシらの仕事の量にもかかわってくるだろ? だったら放置すんのはありえないっしょ」
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6 : 2016/01/21(木) 02:22:36.49 -
つかさ「……よし! こうなったらレッスンだな、レッスン」
つかさ「今から髪のセットの仕方教えるから、ちょっとこっち来い」
P「え? あ、おい引っ張るなよ」
つかさ「努力でどうにかなるところはどうにかする! なんなら、今時のJKやJDにウケる髪型も教えてやるから」
P「イエス、サー!」
つかさ「女性相手にはサーじゃなくてマムな」
つかさ「あとその反応はチョイ引くぞ」
P「軽い冗談だ」
つかさ「どうだかねえ」ジトー
つかさ「噂によれば、美少女を近くに置いておけるからって理由でプロデューサーになったらしいけど……」
P「あんまり馬鹿にしてると……うりゃっ」グニッ
つかさ「ほへっ!? ほほふへんは!(頬つねんな!)」
P「つかさのほっぺは柔らかいなあ」クニクニ
つかさ「あほふな!(遊ぶな!)」ジワッ
P「あ、すまん。泣かせるつもりは」
つかさ「泣いてない! 泣いてねえし!」
つかさ「涙腺ゆるいから勝手に出てくるだけだっつの!」
未央「つかさ社長って結構面倒見いいよね」
凛「根がお母さん気質なんじゃないの?」
未央「JKギャルなのに?」
凛「JKギャルなのに」
つかさ「誰がオカン気質だ」
未央「うわっ、聞こえてた!」
凛「意外と地獄耳……」
つかさ「情報は欠かさず拾うのが社長としてのモットー」
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7 : 2016/01/21(木) 03:44:24.06 -
【カレー】
つかさ「やっぱ最終的にはカツに回帰するわけよ」
P「俺はエビフライ派」
つかさ「カツだろ。こってりカレーに重厚なカツこそ究極にして至高」
P「エビフライだろ。こってりなカレーにしっとり衣とほんのり海の幸が原点にして頂点だ」
つかさ「カツ」
P「エビフライ」
つかさ「カツ」
P「エビフライ」
つかさ「………」
P「………」
つかさ「カツのほうがあーいう点やこーいう点で」クドクドクド
P「エビフライだってそーいう点やこーいう点で」クドクドクド
未央「ほらふたりとも。お店の中で喧嘩しないで」
未央「もう店員さん呼ぶよ?」
つかさ「……しゃーない」
P「ここは引き下がろう」
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8 : 2016/01/21(木) 03:46:40.66 -
店員「ご注文お決まりでしょうか」
未央「私はポークカレーで」
つかさ「エビフライカレー」
P「カツカレーで」
未央「ええぇ……?」
つかさ「Pがやたらプッシュするから、今回はエビフライにしてやるだけだからな」
P「俺も今回だけカツにしただけだからな。別にカツ側に揺らいだわけじゃないからな」
未央「なんなのこの人達……なんなのなの」
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9 : 2016/01/21(木) 03:47:53.75 -
店員「お待たせいたしましたー」
つかさ「はむはむ」
P「もぐもぐ」
未央「ふたりともガツガツいくね」
つかさ「別にエビフライカレーもウマいからな」
P「カツカレーもな。ナンバーワンじゃないだけで」
つかさ・P「カレーってだけで国宝クラスだし」
未央「なーるほど」
つかさ「未央。そこのらっきょう、パス」
未央「ほいほい」
P「カレーにはらっきょうだな」
未央「おいしいの? 私、あんまりラッキョ食べないんだけど」
つかさ「なに?」ズイッ
未央「わっ」
つかさ「カレーにおけるらっきょうには、適切な投下タイミングと投下量がある。今からそれを教えてやる」キラーン
つかさ「らっきょうを好むか好まないかは、その後決めろ。これ正論」
未央「おお、社長の目が本気だ」
P「ぬか漬けが趣味なうえに、好物のカレーが絡む話だからな」
未央「意外と情熱注ぐ人なんだね……」
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10 : 2016/01/21(木) 03:50:03.40 -
【リスペクト】
つかさ「よっ……ふっ……だー、クソっ」
紗南「よっし、あたしの勝ちだね!」
つかさ「やるね。地元じゃそこそこのゲーマーとして恐れられていたアタシに連勝するとは」
つかさ「今日から紗南はアタシのライバルだな」
紗南「ライバルかぁ。それじゃ、次も負けないように頑張らないとねっ」
未央「おー、なんか友情が芽生える瞬間を目撃した感じ」
つかさ「アタシは自分より何かひとつでも優れた部分がある人間には、敬意を持つようにしてる。リスペクト精神ってやつ」
つかさ「紗南の場合はゲームの腕前だな」
未央「私は?」
つかさ「未央はコミュ力だな。特に気の弱いヤツに対する距離の詰め方は、アタシじゃどうしてもうまく真似できない」
未央「へへー、なんか照れるね」
小梅「わ、私は……?」
つかさ「(幽霊との)コミュ力」
小梅「照れる……」
未央「確かに真似できないところだね」
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11 : 2016/01/21(木) 03:52:30.58 -
未央「てな感じで」
P「へえ、つかさとそんな話を」
未央「リスペクト精神って、なんかかっこいいよね」
P「たまにキツイこと言うけど、他人のいいところは素直に受け入れる子だからな」
P「ただ、同時に自分に厳しい子でもあるから」
つかさ「この、ふんっ!」ピコピコ
つかさ「あー、くそっ! またミスった!」
つかさ「こんなんじゃいつまで経っても紗南に勝てねー……ネバギバだ、ネバギバ!」ガチャガチャ
P「あんな感じにのめりこむこともある」
未央「意外と負けず嫌いなんだ」
P「じゃなきゃ社長になんてなれないだろ」
未央「あはは、言えてる」
つかさ「P! 暇ならアタシのゲームの相手できるか!」
P「ほう? 俺に勝負を挑むというのか。ご近所さんの間では平成の呂布と言われたこの俺に」
つかさ「御託はいいからさっさとコントローラー握れ」
P「あ、はい」
未央「そしてプロデューサーは尻に敷かれそうなタイプ、と……こっちは意外でもないか」
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12 : 2016/01/21(木) 03:55:00.21 -
その後
P「ふはは! どうだ、また俺の勝ちだ」
つかさ「………」
つかさ「………」ジワッ
未央「あー、泣かした」
つかさ「な、泣いてない! 泣いてねえし!」
P「よしよし。その涙が君をもっと強くするからな」
つかさ「だから、涙腺ゆるくて意思と関係なく出てくるだけだっつーの!」
P「つかさが俺に勝てるようになるまで付き合うからな」ナデナデ
つかさ「~~っ」
つかさ「……絶対付き合えよ」ボソッ
P「了解」
未央「あれ、関係逆転してる」
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13 : 2016/01/21(木) 03:57:30.15 -
【ステージ裏ではこんな感じ】
つかさ「………」
つかさ「なあ、P。アタシの出番、まだか」
P「あと30分くらい」
つかさ「そ、そうか。そうだよな、さっきチェック入れたもんな」
つかさ「………」ソワソワ
P「………」
つかさ「ステージに出たら、まずはスマイル。で、ギャラリーに向かって挨拶。それから……」
つかさ「………」
つかさ「……なあ、P。アタシの出番」
P「あと25分」
つかさ「あ……まだ5分しか経ってないのか」
P「いつになく緊張……でもないか。本番前にそわそわするのは恒例だもんな」
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14 : 2016/01/21(木) 04:00:24.41 -
つかさ「うるさい。しょうがないだろ……さっき見に行ったら、想定以上にステージがでかかった」
P「下見なら何日も前にやったじゃないか。初めての大きなライブってことで、その時ステージの大きさも確認したはずだ」
つかさ「実際に客がいるのといないとじゃ違うんだよ……つかなんだアレ。なんであんなに人が集まってんだ緊張するだろーがっ」
P「落ち着け落ち着け。どうどう」
P「ほら、深呼吸」
つかさ「すーっ、はーっ」
つかさ「ふう……」
P「よしよし。まずは呼吸を落ち着けるところから始めよう」
つかさ「……悪いね。手間かけさせて」
P「担当アイドルがベストパフォーマンスをできるようにサポートするのも、俺の仕事だ」
P「俺はつかさのパートナーだからな」
つかさ「……だな」
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15 : 2016/01/21(木) 04:03:02.67 -
つかさ「……P」
P「なに?」
つかさ「アタシさ、どうしても緊張しやすいんだよ」
つかさ「普段いろいろ言ってるけど、本番前になるとガチで全部頭から吹き飛びそうなくらい」
つかさ「今も吐きそうだし」
P「つかさが繊細な心の持ち主だってことは知ってるよ」
つかさ「本当にな……チキンだわ、チキン」ジワリ
P「また泣いちゃってるぞ」
つかさ「……泣いてねえし。涙腺ゆるいだけだし」ジトー
P「だからそれは泣いてることになるって……ほら、拭いてやる」
つかさ「ん」
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16 : 2016/01/21(木) 04:05:46.27 -
P「まあ……つかさは繊細で泣き虫だけど、それだけじゃないだろ?」
つかさ「……どういう意味?」
P「プレッシャーに押しつぶされそうになっても、肝心要の本番ではきっちりクールに決めてくるじゃないか」
P「ホント、すごいことだよ」
つかさ「……正直そこは自分でもすごいと思ってる」
P「ははっ。そこでそういう返しができるのも、つかさらしいな」
P「不安な顔や、涙だって、俺や仲間のアイドル達にはいくらでも見せていい」
P「マイナス部分を全部吐き出したら、あとはお客さんの前で『アイドル桐生つかさ』を存分に見せつけてやれ」
P「君にはそれができる。緊張しやすくても、根性があるからな」
つかさ「………」
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17 : 2016/01/21(木) 04:07:42.91 -
つかさ「手、握るぞ」ギュッ
P「おっ」
つかさ「………」
つかさ「よし」
つかさ「お前にアタシのネガな感情を全部流しこんだ。ライブ終わるまで預かっとけ」
P「ああ、わかった」
つかさ「……P」
P「ん?」
つかさ「アタシをアイドルにしてくれて、サンキュ」
P「おいおい、礼を言うのはまだ早いだろ。まだまだこれからなんだから」
つかさ「わかってるっての。でも今は素直に受け取っとけ!」
P「……了解。そうしておこう」
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18 : 2016/01/21(木) 04:09:54.65 -
スタッフ「桐生さん、そろそろお願いします!」
P「よし、じゃあ行ってこい」
つかさ「ああ」
つかさ「しっかり暴れてくる」ニヤリ
P「はは、やっぱりつかさには、そういう強気な笑顔が一番似合うな」
つかさ「それ、当たり前。なんたって、JKにして社長にしてアイドル。すなわち最強だから」
P「だな。頑張ってこいよ」
つかさ「………」
つかさ「うん。行ってくる」
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19 : 2016/01/21(木) 04:12:17.59 -
【一仕事終えて】
つかさ「緊張したあああああ」シクシク
P「よしよし。頑張った頑張った」
つかさ「疲れたああああああ」ギュー
P「ご褒美に今日はカレーをおごってやろう」
つかさ「よっしゃあああああ」
凛「………」←物陰にいる
未央「ふむふむ。あのふたり、意外とお似合いかも」←物陰にいる
凛「意外でもないでしょ」
未央「だね」
未央「プロデューサー! カレー食べにいくなら私達も連れてって!」
P「ああ、もちろん」
つかさ「未央達も活躍したもんな」キリッ
未央「あ、社長が元に戻った」
凛「甘えるのはプロデューサーと二人きりの時だけなのかな……バレバレだけど」
おわり
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