ソース: http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1371998541/
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2 : 2013/06/23(日) 23:42:52 -
ヤンデレ「別れる……? わかった。死ぬね?」
男「待て、落ち着け。今お前に足りないものがある。わかるか?」
ヤンデレ「ロープと椅子?」
男「違う。冷静さと正常な思考能力だ」
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3 : 2013/06/23(日) 23:43:23 -
ヤンデレ「……?」
男「そこで『ん? この人は何を言ってるんだろう?』と可愛らしく小首を傾げるのはおかしい」
ヤンデレ「もしかして……私に不満があるの?」
男「もしかしなくても、そうだろうな」
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4 : 2013/06/23(日) 23:43:55 -
ヤンデレ「……直す」
ヤンデレ「だから、別れるのは嫌……」
ヤンデレ「別れるのは嫌だから、直す」
ヤンデレ「だから、そんなこと言わないで?」
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5 : 2013/06/23(日) 23:44:27 -
男「……はぁ」
男「しょうがないなぁ、ヤンデレは」
ヤンデレ「えへへ」
男「じゃ、まずは……一日に100通を超えるメール送ってくるのやめてくれる?」
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6 : 2013/06/23(日) 23:45:07 -
ヤンデレ「……?」
男「小首ー!」
ヤンデレ「わっ……びっくりした」
男「困るんだよ……重要なメールとか見過ごすし、何よりお前だって疲れないか?」
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7 : 2013/06/23(日) 23:45:37 -
男「毎日毎日『好き?』だの『今どこにいるの?』とか『もう私に飽きたの?』とか」
男「そんなに俺って信用ないのか?」
ヤンデレ「違う……けど」
男「じゃあ、なんで」
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8 : 2013/06/23(日) 23:46:10 -
ヤンデレ「落ち着かないから」
男「落ち着かないって……はぁ」
男「俺の都合は考えてくれないのか?」
ヤンデレ「世間一般的に、」
男「は?」
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9 : 2013/06/23(日) 23:46:52 -
ヤンデレ「恋人からメールが来ると、嬉しい」
男「え、まぁ……そうだな」
ヤンデレ「男が嬉しいと、私も嬉しい」
男「そりゃあ、いいことだな。幸せスパイラルだ。こまりちゃんもびっくりだ」
ヤンデレ「なので、私は男にいっぱいメールを送っても大丈夫です」
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10 : 2013/06/23(日) 23:47:22 -
男「それは違う」
ヤンデレ「……?」
男「限度があります。多すぎます」
ヤンデレ「え、まだ少ない方……」
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11 : 2013/06/23(日) 23:47:53 -
男「しゃらっぷ! あとメールだけじゃなくて、電話もやめてください」
ヤンデレ「え、無理……」
男「すぐに無理とかいうのは、ゆとりの悪い癖です。悔い改めてください」
ヤンデレ「ゆとってない……。それは言いがかり」ボソッ
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12 : 2013/06/23(日) 23:48:27 -
男「メールと電話、それぞれ一日20件と2件を目標にしてください」
ヤンデレ「わかった。じゃあSkypeを20回加えてください」
男「悪化した! 確実に悪化したよねその状況!」
ヤンデレ「いつも、大切な人とつながるために——Skype」
男「なんでCM風に言った?」
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13 : 2013/06/23(日) 23:49:04 -
ヤンデレ「オファー、待ってます」
男「こねぇから! 俺しか聞いてないから!」
ヤンデレ「男、面白い」
男「からかいがい、ある?」
ヤンデレ「ある」
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14 : 2013/06/23(日) 23:49:34 -
男「じゃあ俺は口を閉ざします。物言わぬ貝になります」
ヤンデレ「だめ」
男「俺が喋ろうが喋るまいが、それは俺の自由です」
ヤンデレ「そんな我儘言ってたら、社会でやっていけないよ……? 私、男のことが心配……」
男「その社会不適合者予備軍がお前なんだけどな!」
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15 : 2013/06/23(日) 23:50:07 -
ヤンデレ「……?」
男(突っ込まないぞ……)
男「……おほん」
男「だいたい、なんでそんなに俺のこと好きなわけ?」
ヤンデレ「面白い」
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19 : 2013/06/24(月) 00:12:43 -
ヤンデレ「ねぇ、男……、目ぇつむって?」
男「……え? あ、ああ」
ドキドキ。
ヤンデレ「……ふっ、ちょろ可愛い」ボソッ
男「よし別れる。ぜってー別れる」
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71 : 2013/06/24(月) 20:57:26 -
ヤンデレ「ふわふわー……ねぇ、男も触ってみて」
男「どれどれ」
ヤンデレ「私の身体と、どっちがふわふわ?」ボソッ
男「ぶっ!」
男「お前、外でなんてこと言うんだ!」
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84 : 2013/06/26(水) 20:42:39 -
ヤンデレ「そう。男は良い子。良い子にはご褒美をあげなくちゃ」
男「えー、なんだろうちょーたのしみ(棒)」
ヤンデレ「これを」スッ
男「なに……『しょっけん』? 食券? 手作り感満載なんだが」
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112 : 2013/06/29(土) 21:59:16 -
ヤンデレ「楽しみ……」男「だからあんまり期待するなって」
ヤンデレ「あ、でも男が自立したら私はいらなくなっちゃう……」ボソッ
ヤンデレ「無理しないで……?」
男「完全に自分の都合で気遣ったよね?」
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132 : 2013/07/15(月) 21:22:48 -
男「人生ゲームで結婚したプレイヤーに何の祝福の感情も抱いてないのに強制的に御祝儀持ってかれるような」男「グラツーでちょっとハンドル操作誤っただけですぐ操作効かなくなってスピンしてしまうような」
男「ポケモンで目があっただけなのに勝負を挑んでくるトレーナーのような」
男「あ……圧倒的、理不尽ッ!!」バタッ
ヤンデレ「男ーッ!?」
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202 : 2013/08/15(木) 18:10:00 -
男「死因。恥ずか死」バタッ妹「おおおお兄ちゃーん!?」
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208 : 2013/08/15(木) 18:13:46 -
妹「はーい」ガチャヤンデレ「ちゃお」
男「深淵があらわれた!」
妹「ど、どちら様でs」ヤンデレ「男」
男「はい」
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216 : 2013/08/15(木) 18:18:26 -
ヤンデレ「ほんの冗談だったのに……」男「そうか。だったらバールしまえよ」
ヤンデレ「念のため」ジッ
妹(すっごい見てくる! すっごい見てくるよヤンデレさん!)
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217 : 2013/08/15(木) 18:19:08 -
ヤンデレ「……」ニコッ妹「」ビクッ
ヤンデレ「なかよくしよう……ね?」
妹「は、はぁ……」
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231 : 2013/08/15(木) 18:27:22 -
ヤンデレ「アトラスと言えば……P4よりP3が好き」男「いきなりだなおい」
ヤンデレ「人間関係のドロドロした感じがリアリティあって……いいよね」ジッ
妹「そこでなぜ私を見るんですか!?」
ヤンデレ「いや、そういえば義理の妹という可能性があったなぁ……と思って」
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245 : 2013/08/15(木) 18:35:10 -
妹「だから……応援するね、お兄ちゃんと、ヤンデレさんのこと」男「お、おう……?」
妹「お幸せにっ!」ダッ
男「妹ー!?」
ヤンデレ「……一件落着」
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280 : 2013/09/26(木) 22:58:10 -
妹「あ、ほら、続きは? おねーちゃんっ」ニコッヤンデレ(妹ちゃん可愛い)
ヤンデレ「こほん。……私の知人はファミレスでバイトをしているのですが、その日は夜勤でお客さんの入りも少なかったそうです」
ヤンデレ「知人は暇な時間を掃除にあてがいながら、何気なくお客さんの数を数えてみました」
ヤンデレ「深夜1時の時点で1組のカップル、中年の男性、若者3人、中学生ぐらいの女の子の計7人」
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281 : 2013/09/26(木) 22:58:58 -
ヤンデレ「やがて30分くらいでカップルが去り、しばらくすると中年の男性、若者グループが去りました」ヤンデレ「残ったのは女の子だけだ、と思い席のほうを眺めてみると、誰もいません」
ヤンデレ「知人は首を傾げ、「さっき中学生ぐらいの女の子がいたよね」とシフトが同じ人に尋ねると、そんな女の子はいなかったの一点張り」
ヤンデレ「少し気味の悪さを覚えつつも、その日の業務は何事もなく終了しました」
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282 : 2013/09/26(木) 23:00:47 -
妹「ごく……」ヤンデレ「……」ソワソワ
ヤンデレ「それは……、お前だー!!」妹「ぎゃー!!!」
男「やめれ」
ビシッ
ヤンデレ「あうっ」
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284 : 2013/09/26(木) 23:02:25 -
ヤンデレ「再び夜勤のシフトになった知人は、その日もお客さんの数を数えていました」ヤンデレ「深夜1時の時点で計6人。この間の女の子は見当たりません」
ヤンデレ「なんだか落ち着かない様子でソワソワしていると、「すみません」と背後から声をかけられました」
ヤンデレ「びっくりして振り返ると、おばあちゃんが手を挙げていて、「コーヒーのおかわり」と一言。」
ヤンデレ「そのおばあちゃんの優しそうな顔にどこか安堵を覚え、「かしこまりました」と言って知人はキッチンに向かいました」
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286 : 2013/09/26(木) 23:04:50 -
ヤンデレ「しばらく男性は面食らった後、「あなた、見える人ですか?」と聞いてきました」ヤンデレ「その言葉で直感的に、知人は「ああ、あのおばあちゃんはこの世の者ではなかったのか」と納得しました」
ヤンデレ「「集まるところには集まるらしいですから……なあに、害はありませんよ」と男性。知人はお礼を言って、「もしよろしければ」と淹れたてのコーヒーを男性に差し出しました」
ヤンデレ「キッチンにトレイを下げに戻ると、やはり怪訝そうな顔をした同僚に「さっきのコーヒーは?」と聞かれました」
ヤンデレ「「ああ、多分聞かない方が良いよ。とりあえず別のお客様にあげちゃった」と答えると、同僚の顔がみるみるうちに青ざめていきます」
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287 : 2013/09/26(木) 23:15:15 -
ヤンデレ「「言ってもいいかわかんないんだけど……うーん」と同僚は何やら考え込んでいる様子」ヤンデレ「「どういう意味?」と尋ねると、「誰もいないんだよ」と同僚は答えました」
ヤンデレ「「……この間も、今日も、深夜1時のシフトが始まってから今の時間まで、この店にはお客さんなんて『誰一人』来ていないんだよ」」
ヤンデレ「果たして、知人の目に見えていたお客さんは、一体なんだったのでしょうか」
ヤンデレ「……以上。知人の実体験にもとづく怪談でした」
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348 : 2013/10/06(日) 03:47:14 -
ヤンデレ「起きたら全て終わってる。そう……ひぐらし的なものが泣く頃に」男「ていうか、それ……ひぐらしだよね……!?」バタッ
ヤンデレ「……」
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426 : 2013/11/27(水) 22:58:39 -
ツンデレ「と、とにかくっ! ア、アンタがどうしてもっていうなら私の傘に入れてあげないこともないんだからねっ!」男「じゃあ遠慮なく」スッ
ツンデレ「は、はぁああー!? ちょ、そこは『いやそれはさすがに……』って遠慮するところでしょう!? 何をさも当然に入ってきてるのよ!? アンタ馬鹿なの!? 死ぬの!?」
男「ちょ、寒い寒い。濡れるって。いや……ツンデレが入れって言ったんじゃないか。」
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427 : 2013/11/27(水) 22:59:33 -
ツンデレ「言ってないわよ! アンタがどうしても入れてほしいって言うのなら私が百歩譲って……!」男「どうしても入れてほしいのでお邪魔します」スッ
ツンデレ「でてけー!!!」
ガスッ!
男「理不尽っ!!!」
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435 : 2013/11/27(水) 23:14:13 -
ヤンデレ「あらあら誰が喋って良いと言ったのかしらお話をしようと言ったのは私だけれども人の話の途中で口をはさむなんて失礼じゃないかしらましてやツッコミができるなんていい度胸だと思うわ。いい度胸だと思います。まだ余裕があるならボケもツッコミもできないようにして差し上げる……これで」スッやんでれは まほうのすてっきを とりだした!
ツンデレ「バール!?」
ヤンデレ「これは魔法のステッキです。恋する乙女に無限大×死のパワーを与えたもう神聖にして真正なるレアアイテムです。ふるうのは私。ふるわれるのは貴女。ドゥーユーアンダスタン、ビッチ?」
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460 : 2014/01/06(月) 22:18:19 -
ツンデレ「トーストとスクランブルエッグ、ベーコン、あとブラックコーヒーで。きりっ」ツン姉「いや、メニューはもう決まってるんだけど」
ツン姉(ていうか、「きりっ」てなに)
ツンデレ「ブラックコーヒーは?」
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478 : 2014/01/06(月) 23:54:56 -
ツン友「吾輩はツンデレである。名前はまだない」ツンデレ「……どこでこじらせたかとんと見当がつかぬ。なんでも薄暗いじめじめした所で『か、勘違いしないでよねっ!』『べ、べつにアンタのためじゃないんだからねっ!』と言っていたことだけは記憶している……ってそんな訳ないんだからね!!」
ツン友「……!」プルプル
ツンデレ「自分から振っといてツボに入ってんじゃないわよ!」
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498 : 2014/01/26(日) 22:40:17 -
車内から男がこちらを見て、手を振り、さよならと伝えてきた。
アタシはいつもの「ふんっ!」という調子で、プイと顔を背けた。
男はアタシの様子がおかしかったのか、少しだけ口元を緩めた。
電車が動き出す。
男を乗せて、アタシを乗せていない電車が。
ゆっくりと動き出す。
アタシの知らないところへ帰っていく、男を乗せた電車が。 -
518 : 2014/03/03(月) 00:04:16 -
男「ユ、ユー聞いてる?」クー子「……」
男「ミーが扉をロックするからユーはゴーホームしちゃいなよ」
クー子「……」ペラ
男「ガン無視だッ!!」
しまいにはページをめくりやがった! ていうか最後ルーっぽくなってしまった!
思わず出た心の声に、またもやビクッと肩を震わせて驚くクー子。どうやら自分のことだと気が付いたらしい。 -
528 : 2014/03/03(月) 01:14:05 -
男「そしてーかーがやーくウルトラソウッ!」クー子「」ビクッ
男「へい!」
クー子「……」ペラ
男「何事もなかったことにされた!」
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533 : 2014/03/03(月) 01:18:38 -
クー子「BL本も読む」男「なぜこのタイミングで、そして一切の恥じらいも見せず腐女子カミングアウトを!?」
クー子「流れで」
男「流れぶった切ってたけど!」
クー子「……」ペラ
コイツ会話が面倒になりやがったな。
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534 : 2014/03/03(月) 01:19:16 -
男「まぁ、そういう訳だ。今日のところはお引き取り願おう……あ、ちょっと窓の施錠してくるわ」クー子「わかった」
意外とすんなりクー子は承諾し、俺が窓を閉めている間に「じゃ」と言って(例のポーズを取って)図書室から出て行った。
男「じゃ、俺も帰るか」
ふと、奥のテーブルの上に紙切れが乗っているのを発見した。
メモだ。
さっきまでなかった、ということはクー子の残したものだ。 -
543 : 2014/03/10(月) 01:47:03 -
気のせいか、肩をワナワナと震わせているような気がする。
怒っているのだろうか。クー子「すぅ……はぁ……」
深呼吸している。あ、戻ってきた。
クー子「……」スチャッ
座った。
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544 : 2014/03/10(月) 01:47:33 -
クー子「……」ソッ差し出されたクー子の左手には、どこからともなく取りだされたイエローカードがあった。
男「もう一回言ったらどうなる?」
クー子「退場」
図書館の出入口を指さされた。
どうやらクー子はダジャレがあまり好きではないらしい。今後気を付けよう。 -
550 : 2014/03/10(月) 01:58:11 -
男「今どのへん?」クー子「ちびマルコ」
男「あぁ、ラキスト戦ね……」
クー子「詳しい」
男「そうでもないよ」
クー子「そう」ペラ
男「ところで」
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558 : 2014/03/23(日) 05:39:20 -
男「今日は何読んでんだ?」クー子「本」
男「あー、なるほど、本ね。って、見りゃわかるわーい!」
クー子「……」ペラ
男「人が頑張ってノリツッコミしたのに……ひどい……」
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561 : 2014/03/23(日) 05:41:44 -
クー子「今日はこれ」クー子が差し出した本の表紙には、『斜陽』と書かれてあった。
斜陽。人間失格の人が書いた、没落貴族のお話である。
男「良いセンスだ」
クー子「そう」
最近、クー子の「そう」にも色々なニュアンスがあることが分かった。
今のは、褒められてちょっと嬉しいけどそれを表に出すのは恥ずかしいときの「そう」である。 -
563 : 2014/03/23(日) 05:44:38 -
~翌日~男「お前、整った顔立ちしてるよな」
クー子「……」ペラ
クー子は無言でページをめくった。心なしか、顔が赤く染まっているように見える。
男「照れてるのか?」
クー子「照れてない」
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564 : 2014/03/23(日) 05:45:26 -
男「そうか。でも、本当にお人形さんみたいだな」クー子「……」ペラ
男「赤くなった」
クー子「なってない」
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637 : 2014/03/26(水) 00:21:38 -
男「日記だ」ヤンデレ「……」
男「お前に出会ったのは、大学の入学式だったな」
私のこと、覚えてますか? って素っ頓狂なことを聞かれたのを覚えている。
俺は「初対面だ」と言った。
それにしても、自分のタイプな女の子だと思った。
あの事件が衝撃的過ぎて、情けないことに俺は記憶喪失になっていたらしい。 -
681 : 2014/07/13(日) 23:51:19 -
妹「ばんなそかなも、そんなばかなもないよ。ほら、おとなしくそのジュースを私に渡しなさい! あ、ダジャレになっちった、てへっ」男「きゃーっ! やめてーっ!」
妹「へっへっへ、抵抗するだけ無駄だぜお嬢ちゃん。万年引きこもり気質のお兄ちゃんが力で私に敵うはずないじゃない……!」グイグイ
男「いやーっ! 堪忍してー!」
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819 : 2016/02/22(月) 11:13:00 -
男「なぜ?」ヤンデレ「悪魔の証明」
男「そっか。いないことは証明できない、ね。なるほど」
現実に存在するものならば物なり人物なりの証拠を提示することで存在を証明できる。
しかし、いないことの証明は、「見たことがない」というだけで「いるかもしれない」という可能性を否定することにはならない。未だにジレンマが生じそうな理論ではあるが、確かにそうだと思う。
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849 : 2016/02/22(月) 11:58:12 -
20歳になり煙草を覚え始めた頃、彼女も吸うようになった。同じ秘密を共有している気分になって、特別な関係がさらに深まった気がした。トモミは「私はいいや」と言って吸わなかったが、いつも一緒にいたから銘柄を言えるほどには知っていた。ユウコが病気を抱えていることを知ったのは、大学3年生に相当するころだった。その頃には既に同棲していたが、病状はかなり進行していて、余命あとわずかだった。教えてくれたのはトモミだった。気づかなかった自分の不甲斐なさが歯がゆかった。情けないと思った。ユウコは、心配をかけたくないみたいだったので、俺は知らないふりをした。しかし、それは長くは続かなかった。
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850 : 2016/02/22(月) 11:58:52 -
ユウコは病院生活を余儀なくされた。トモミとしょっちゅうお見舞いに行った。いつも嬉しそうにしている反面、「浮気したらダメだからね」と自分の体より、俺との絆を心配してくれた。そんな心配はいらないのに、とトモミにぼやくと、彼女は曖昧に頷いた。そして大学3年の冬、彼女は静かに息を引き取った。
まるで現実味のないまま彼女の葬儀が終わり、彼女の両親から合鍵を返された。
行き場を失った合鍵は、もう役目を果たしたと感じ、鉄くずと一緒に捨ててしまった。
思い出は、自分の中にあれば十分だと思った。 -
870 : 2016/02/22(月) 12:35:32 -
男「愛してる」そのせいで「別れよう」なんて言って、距離を置いてみたりもするけれど。
それは、愛されすぎるのが怖いから。
そして、愛しすぎてしまうのもまた、怖いから。
なのかもしれない。〜おわり〜
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