モバP「凛、ハナコをこっちによこせ」


1 : ◆yFZjL1dM4k 2016/05/27(金) 01:54:50.27 ID:Vu26Uj140
凛「何をいってるの? ハナコを渡せって」

モバP「いいから早く渡せ。ハナコが大変なことになる前に」

凛「……プロデューサー、大丈夫?」

モバP「どういうことだ?」

凛「……ハナコは、何もおかしくないじゃん。どう見たって……」

ハナコ「クゥン……ウホ」

凛「ね?」

モバP「大丈夫じゃないだろ!!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1464281690


ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1464281690/


2 : ◆yFZjL1dM4k 2016/05/27(金) 01:56:02.99 ID:Vu26Uj140

事の発端はとても些細なことだった。

凛がハナコを連れてきた時、その時まではハナコは普通だった。

子犬特有の愛くるしい可愛さ、あどけない目。
……よくわからないが、ヨークシャテリア?という種類らしい。
とくかく、普通の子犬だった。

「ハナコ? いいよ。窮屈だったよね」

凛がそういうまでは。

子犬が光り輝くという現実ではありえない光景を目にしながら、徐々にハナコは姿を変えていく。

黒い体毛、筋骨隆々な体、人間ではかないそうにないであろう力を出す。

人間の二足歩行とは違い、強靭な二本の腕を使い大地を震わせる歩行方法、ナックルウォーキングを行う。

間違いない。
ハナコは、ゴリラになった。


3 : ◆yFZjL1dM4k 2016/05/27(金) 01:56:58.21 ID:Vu26Uj140
モバP「どう考えてもハナコはゴリラだろ!」

凛「何言ってるのプロデューサー」

ハナコ「クゥン……ウホッ」

凛「ハナコはハナコだよ?」

モバP「凛にはウホッという声が聞こえないのか……」

モバP「とにかく凛! ハナコをこっちに渡すんだ!」

凛「……プロデューサー、大丈夫?」

凛「よく考えてみて? このやり取りをはたから見たら、プロデューサーがスタドリ飲みすぎておかしくなったと思われるよ?」

モバP「目の前にゴリラがいなければなぁ!」


4 : ◆yFZjL1dM4k 2016/05/27(金) 01:57:37.95 ID:Vu26Uj140
モバP「あぁ、もうどうしたらいいんだ……。ハナコが凛を襲ったら……」

ハナコ「…………」

モバP(いやまてよ? おかしいぞ)

モバP(ゴリラの右ストレートがこない。普通、ゴリラは本能的に人を襲うんじゃ……)

モバP(……! スマホどこだ……あった)

モバP「ハローアキハ。ゴリラの性格で調べてくれ」

アキハ『助手よ、何をいいだすんだ……。ゴリラの性格の検索結果は次の通りだ』

『ゴリラの性格は、見かけによらず臆病な性格。チンパンジーと比べて、かなりの平和主義者だ』

モバP「……そういうことか……だから襲ってこないのか」

モバP(凛を襲わないとしても、それでもだめだ。どうにかして凛から離さないと……)


5 : ◆yFZjL1dM4k 2016/05/27(金) 01:58:40.49 ID:Vu26Uj140
ガチャ

小春「おはようございます~」

凛「あ、おはよう。小春」

モバP「おはようって、小春! 今ハナコに近づくな!」

小春「えぇ~?」

ハナコ「」ブルブル

モバP「は、ハナコがおびえている!?」

ハナコ「ウ、ウホォ……」ブルブル

ハナコが怯えながら指差す先。
その先には……。

ヒョウくん「…………?」

小春のペット、ヒョウくんがいた。

凛「あ、小春。ハナコに近づけたらだめだって。ちひろさんが言ってたよ?」

小春「あ、そうでした~」


6 : ◆yFZjL1dM4k 2016/05/27(金) 02:00:27.57 ID:Vu26Uj140

モバP「怯えてる…? まさかっ!」

モバP「ハローアキハ。ゴリラの天敵を調べてくれ!」

アキハ『助手よ、またか……。ゴリラの天敵の検索結果は次の通りだ』

『ゴリラの天敵は、ヒョウである』

モバP「…………」

ヒョウくん「?」←イグアナ

モバP「うっそだろ……でも、現実にきいてる……これしかない!」

凛「ハナコ、大丈夫だよ……」

小春「ヒョウくん、向こうにいこぉ?」

モバP「いいか、小春。ハナコ……そこのゴリラは、ヒョウくんを怖がってるんだ。とりあえず、小春はそのままヒョウくんを抱えてそのまま近くにいてくれ」

小春「いいんですかぁ?」

モバP「俺は、あのゴリラをどうにかする」


7 : ◆yFZjL1dM4k 2016/05/27(金) 02:01:23.48 ID:Vu26Uj140
モバP「凛」

凛「プロデューサー」

ハナコ「」ブルブル

モバP「今の内ならハナコを無害のままに捕獲できる」

凛「!?」

ハナコ「!?」

モバP「いやお前は驚くなよさっきからやってるだろ」

凛「そんな……ひどいよプロデューサー! 大猩猩を!」

モバP「いやハナコじゃないのかよ。しかもそれゴリラの和名だし」

凛「なんで!? どうして! ハナコを連れてくの!」

モバP「ゴリラだし危ないだろ! それに、ゴリラは特定動物って指定を受けてるから、飼うには許可がいるんだぞ?」

凛「都道府県知事でしょ! とったよ! いまさら何言ってるの!!」

モバP「もうゴリラって認めちゃったよ! さも当たり前みたいに言うなよ!」


8 : ◆yFZjL1dM4k 2016/05/27(金) 02:02:21.57 ID:Vu26Uj140
小春「ヒョウくん、どうぞ~」

ヒョウくん「~♪」

ハナコ「!?!?!」

凛「あぁ、ハナコォ……」

モバP「そもそもなんでゴリラを飼うことになったんだ?」

モバP「返答しだいでは、俺の命に変えてもゴリラを捕まえるぞ……!」

ガチャ

ちひろ「プロデューサーさん、本当に大丈夫ですか?」

モバP「ちひろさん危ない! ゴリラが! ゴリラが!」

小春「あぁ、もうヒョウくんと遊ばないんですかぁ~?」

ちひろ「ダメだって言ったでしょ! もう……。プロデューサーさんが忘れてるみたいなんで、生い立ちを言いますね?」


9 : ◆yFZjL1dM4k 2016/05/27(金) 02:03:13.06 ID:Vu26Uj140

そうして、突然ゴリラ……ハナコ……もうどっちでもいい。とにかく奴の説明を始めた。

ゴリラとして生まれたこと。
悪質なハンターに捕まり、売られたこと。
日本の貿易船にのり、密入国したこと。
東京ジャングルの中で、どうやってか見つからずに生活していたこと。
東京ジャングルの影響で、小型犬にも変身できるようになったこと。

小型犬になってから、凛とは別の飼い主に拾われ、捨てられたこと。
……凛がそれを見つけて、拾ったこと。
普段は小型犬で事務所まできて、事務所ではゴリラでいること。

……凛のバックダンサーで、ダンサンブルかつ力強いダンスをしていること。

ちひろ「そして今に至ります」

モバP「そんなバカな……」

モバP「た、多分背中にジッパーついてて中から人が出てくるよ……そうだ……そうに違いない……」


10 : ◆yFZjL1dM4k 2016/05/27(金) 02:04:17.26 ID:Vu26Uj140
モバP「だって、おかしいじゃないか……ゴリラがいるなんて……」

モバP「そう! これは夢だ! 俺が疲れてみた夢!」

モバP「ハナコ! これは夢だという証明として、俺を思いっきりに殴ってくれ!」

ちひろ「…………」

凛「いいよ、ハナコ。やっちゃえ」

そう。ここは夢の世界だ。
なんで気が付かなかったんだ。
凛はハナコを飼っているんだ。ゴリラを飼っているわけじゃない!

俺が気を失う……現実に目覚める前に見た光景は、ゴリラが力の限り拳を握り、ナックルパートを繰り出す光景だった。


11 : ◆yFZjL1dM4k 2016/05/27(金) 02:04:56.02 ID:Vu26Uj140

モバP「という夢を見たんですよ」

ちひろ「プロデューサーさん疲れてるんじゃないですか?」

モバP「いやはや……本当にそうですよね。ハナコがゴリラな訳」

ちひろ「何言ってるんですか?」

ちひろ「さっきも説明しましたけど、凛ちゃんをゴリラとセットで売りだそうといったのは、プロデューサーじゃないですか」

モバP「えっ?」

ちひろ「ハナコちゃんをゴリラにして、凛ちゃんの歌っている横で躍らせたら面白いっていって、必死に言ったのはプロデューサーさんですよ?」

モバP「そ、そんなはずは……夢じゃ……」

ちひろ「ほら見てください。凛ちゃんの宣材写真。ゴリラにお姫様だっこされてるでしょ?」

モバP「……本当だ」

ちひろ「プロデューサーさん寝ぼけてないで、仕事してくださいね?」


12 : ◆yFZjL1dM4k 2016/05/27(金) 02:05:37.06 ID:Vu26Uj140

モバP「おかしい……俺の記憶とちがう……」

ガチャ

凛「……わかった?」

モバP「凛……」

凛「プロデューサー、今朝からおかしいよ……」

モバP「で、でも、ゴリラが……」

凛「プロデューサーが認めてくれたんだよ! 必死に土下座までして! 偉い人に頭をさげて!」

モバP「……でも、夢じゃ」

凛「もういいよ。プロデューサー」

凛「しばらく、一人になったほうがいいよね」

モバP「り、凛……」

モバP「なんだこれ……」

モバP「なんだこれ!!!」

凛「さぁ、ハナコ。残していこうか。私たちの足跡を!」

ハナコ「ウホッ!」

終わり

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