千早「プロデューサーは貧乳フェチなんですね、なるほど」


1 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 02:24:22.96 ID:8VPac8+B0
千早「まぁ、そうでなければ、私なんか選びませんよね」

P「ち、千早……お前、いつの間に……」

千早「いま帰ってきたところです。予定よりはやくスケジュールが済んだので」

P「ごめん」

千早「どうしたんですか? 急に謝ったりして」

P「反省しています」

千早「ふふっ、へんなプロデューサー。私、何も怒ってなんかいないのに」

P「もう二度と観ないから……機嫌を直してくれないか」

千早「観ないって、何を?」

P「……」

P「この、ロリ貧乳モノのAV……」スッ

千早「……」

P「ごめんなさい……」

P(千早と結婚して数年)

P(またしてもやらかしてしまった)


ソース: http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1360862662/


2 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 02:25:54.14 ID:ZGqs8FiI0
この前の巨乳AVverの続きかな?

4 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 02:27:53.16 ID:dGayysKnO
>>2
千早「パ○ズリってこうやるんですね、なるほど」

だったっけ?


6 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 02:30:05.79 ID:8VPac8+B0
千早「……」スタスタ

P「っ! 千早、どこに行くんだ?」

千早「どこにって、キッチンですよ。夜ご飯を作らないといけませんから」

P「あ、あの……てつだ」

千早「結構です。プロデューサーはお休みになっていてください」

P「了解しました……」

P(洒落にならないくらい怒っていらっしゃる)

P(家で千早が俺をプロデューサーと呼ぶとき、
 それは生理のときか激怒しているときなんだよな……)

  *  *  *

P「……い……いただきます」

千早「召し上がれ♪」

P「あは、あはは……なんか独創的だな! オムライスに、ケチャップでAAって文字を書くだなんて」

千早「うふふっ、プロデューサー、そういうの好きかと思って」

P「お、おう! 大好きだぞいろんな意味でな! あっはっは!」


15 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 02:39:03.20 ID:8VPac8+B0
P「……もぐもぐ」

千早「いかがですか?」

P「あ、あぁうん! いやぁ、本当に美味いよ! たとえ胃が痛くてもいくらでも入るってもんさ!」

千早「ふふっ……、もう、大げさですよ」

P(……実際、千早の料理の腕はここ数年でメキメキ上達しているんだ)

P(結婚当初はまぁ、なんていうか、どうなることかと思ったけど……、
 とにかく、いま俺が食べているオムライスだってそう。実に美味しい)

P(ただひとつ、ここに書かれている文字さえ無ければ、言うことなしなんだけどな……)

P「そ、そういえば! 今朝もらったバレンタインのチョコレートもさ、すごくうまかったよ!
 あはは、事務所のみんなにもついつい自慢しちゃって……それで」

千早「プロデューサー?」

P「どうしたんだいマイワイフ?
 おおっといけない、つい向こうでの喋り方が出てしまったな! HAHAHA」

千早「食事が終わったら、あとで、じっくりお話しましょうね」ニコッ

P「はい……」

──────
────
──


20 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 02:48:41.64 ID:8VPac8+B0
 
  *  *  *

千早「……とりあえず、頭を上げてください」

P「うん……」スッ

千早「私が言いたいこと、わかりますか?」

P「よくわかっております。このたびは、真に申し訳ございませんでした」

千早「……もう二度とこんなビデオは借りないと、あなたは以前そう言いましたね」

P「きょ、巨乳モノは……な?」

千早「ジャンルの問題ではないと言っている!!!」

P「ごめんなさいですぅっ!」

千早「……これまで何度も言っているように、
   こういうものを観たくなってしまう気持ちは理解しているんです。あなたも男性ですから」

千早「でも……でもっ! なぜ、あなたが選ぶビデオはこう、極端なんですか……!?」

『妹は未成熟ボディ~お兄ちゃん、だーいすき~』

P「いやーはは……目と目が逢う瞬間ティンと来るものがあって」

千早「このツインテールに惹かれたんでしょう!? ちゃんとわかっていますからねっ!!」


27 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 02:56:13.73 ID:8VPac8+B0
千早「本当にもう……仮にそれをするにしても、
   もう少し、私の目の届かないところで出来ないんですか?」

P「ごもっともです……」

千早「……まだ、わかるんです」

P「え?」

千早「胸の大きい女性のビデオを借りるのは、百歩譲って、いえ千歩譲ってまだわかるんです。
   前に私が自分でも言ったように、それは私には足りないものだか──

千早「くっ……! 自分で言ってなんだか傷ついてきたわ……!」グッ

P「そ、そんなこと言わないでくれっ! 俺は千早の胸が一番好きだよ!」

千早「え……」

P「俺はな、千早……いつだってお前のことを一番に考えているんだ」

P「朝起きてから、夜眠るまで。常に俺の心の中にはお前がいる……。
 仕事で辛いことがあっても、千早の笑顔を思い浮かべれば、なんだって頑張れるんだよ」

千早「あなた……」

P「そして……こうやって、ひとりでシコ

千早「台無しよ。というか良い話っぽくしようとしても無駄です」

P「はい」


28 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 03:03:43.78 ID:8VPac8+B0
千早「……それで……し、したんですか?」

P「した? な、なにを?」

千早「私が帰ってきたときには、あなたはまだ下着を穿いていたから……。
   ビデオを使って、その……ひとりで、……を、したのかって聞いているんですっ」

P「いや……再生してインタビューの部分を楽しんでたところだったから、まだ……」

千早「……そうですか」

P「あ、ちょっとホッとした?」

千早「調子に乗らないの」

P「すみません」

千早「……」

P「……ごめんな」

千早「……もう、いいです。仕方の無いことだから」

P「仕方の無いって……」

千早「私が家庭に入って、毎日あなたの相手を出来ていれば、
   こんなことにはならなかったんですよね……」

P「……!」


30 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 03:09:26.56 ID:8VPac8+B0
P「ごめん千早っ!」

千早「な、なんですか? また土下座なんてして……」

P「本当ごめん……! このとおりだ!!」

千早「……ですから、ビデオのことはもういいって……私も少し──」

P「ちがう! あ、いや、もちろんそれもそうなんだけど……、
 なにより、千早にそんなことを言わせてしまったことを……謝りたい」

千早「……そんなこと、って?」

P「……『仕事をしていなければ良かったんですね』って、
 それだけは、お前の口から言わせちゃいけないことだった」

P「だから……本当に、すまなかった」

千早「……」


33 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 03:16:37.53 ID:8VPac8+B0
千早「……私も、ごめんなさい」

P「え……?」

千早「あなたがこんなに謝ってくれているのに、意地を張ってしまいました。
   だから……ごめんなさい」

P「千早……」

千早「きっと心のどこかで思っていたんです。こう言えば、あなたは反省してくれるって。
   あなたは今、そのことを私に言わせてはいけなかったって言ったけど……、
   それは私にとっても同じこと。そう簡単に言ってはいけないことでした」

千早「……ずるい手を、使っちゃったわね」

P「ずるいなんて……そんな風には思わないよ」

千早「……ホッとしたのは本当です。たとえ愛はなかったとしても、あなたが一瞬でも
   他の女性のことを考えているなんて……わ、私は……嫌。
   想像しただけで……っ、身が、引き裂かれそうになるんです……!」

P「……! 千早、お前──」

千早「だから!」

P「っ!」

千早「だから……、これだけ、確認させてください」

P「……確認?」


35 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 03:22:35.76 ID:8VPac8+B0
千早「……私の、こと……」

P「……」

千早「一番に、愛していますよね……?」

P「! な、何言ってるんだ、当たり前だよ!」ガシッ

千早「きゃっ……」

P「今こんなこと言ってもさ、信用できないかもしれないけど……、
 千早と付き合い始めたあの日から、千早以外の女性を好きになったことなんて、一度もない」

千早「……本当ですか?」

P「ああ……」

千早「……ふふっ。それなら、もういいです。
   あなたはちゃんと謝ってくれたし、私ももう、気にしないから」


38 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 03:31:57.52 ID:8VPac8+B0
P「……でも、俺が悪いのにこんなことを言うのも変だけど、
 千早はもっと俺のことを責めたって……」

千早「もう、責めたでしょう?」

P「そりゃそうだけど……あれくらいで」

千早「……確かに、悲しい気持ちにはなりました。
   だけど、いつまでも意地を張ってこんな空気のまま過ごすほうが、私は嫌だから」

千早「私はただ……このままふたりで幸せに、笑顔で一緒にいられれば、それで良いんです」

P「……本当に、ごめんな」

千早「私も、つまらないことでまた怒ってしまってごめんなさい。
   それと、あんなことを言ってしまったことも……ごめんなさい」

千早「もう私はアイドルではないけれど、私は、今の自分のことが好きです。
   あなたと一緒に、今の仕事をしている自分が好き。だから、さっき言ったことは撤回します」

千早「……はい。これでもう、この話はお終いにしましょう?」

P「……うん」

千早「もう、そんな顔をしないでください。そんなの、いつものあなたらしくないですから」

P「いつもの俺?」

千早「……自信満々で、いつもわけのわからないことを言ってくる……、
   私の大好きな、プロデューサーの顔ですよ」


41 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 03:38:01.69 ID:8VPac8+B0
【寝室】

P「……千早、こっちおいで」

千早「……はい」モゾモゾ

P「……最近、千早、変わったって思うよ」

千早「変わった? そうですか?」

P「うん。前はさ、なんていうか……
 素直になれずに、怒ったらしばらくそっぽ向いてたじゃないか」

千早「そ、そんなつもりも無かったんですけど……」

P「……何か、あったのか?」

千早「……いいえ、何も。ただ、優先順位が変わっただけです」

P「優先順位?」

千早「ええ。私が意地を張ることで、素直になれないせいで、この幸せな日常が崩されてしまうなんて……
   それこそ、いやだなって思うようになったんです」

ぎゅぅっ……

千早「……さっきも、それに以前にも言ったでしょう? 私は、今の私が好きだから。
   そして、今の私を形造っているものは……、なによりも、あなたの存在なんです」


46 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 03:46:00.97 ID:8VPac8+B0
P「……本当に嬉しいよ、そう言ってくれて。
 でもさ、そんな風に考えたら、色々と不満を溜め込んじゃうんじゃないか?」

千早「そんなことはありません。だって私、いやなものはいやだと、ちゃんと言いましたから」

千早「気持ちのすべてをしっかりと話した上で、あなたと仲直りする……。
   結局、それが一番の近道なんだっていうことに、気が付いたんです」

P「千早……」

千早「……でも、私が悲しくなったのは本当ですからね?」

P「う、うん」

千早「だから、あのビデオは明日にでも返してきてください。
   それと、ひとりでするならするで……せめて、私の目の届かないところでして」

P「……ああ、わかった。名残惜しいけど、あれは明日の朝、事務所に出勤するついでに返してくるよ」

千早「……今回のことはもういいけれど、これからも何度も何度もこんなことがあったら、
   また、私……泣いてしまいますからね」

P「……ごめんな」

千早「ふふっ、謝るのはもういいですから。……それより、その……」

P「ん? その……なんだ?」

千早「……だから、えっと……」モジモジ


48 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 03:53:37.59 ID:8VPac8+B0
P「千早……?」

千早「ま、まだですか?」

P「まだって……えっと、なんの話?」

千早「……まだ、言ってくれないんですか?」

P「言うって──あ」

P(……ああ、なるほど。千早が言いたいこと、なんとなくわかった気がする)

千早「わかってくれました……?」

P「いやー、ごめん。さっぱりわからないよ」

P(……でももう少し、様子を見よう。かわいいし)

千早「も、もうっ! どれだけ鈍感なのよ……!」

P「千早の口から言ってくれないか?」

千早「ええっ!? ほ、本当にわからないんですか? からかってる、とかじゃなくて……」

P「からかうなんてとんでもない! 俺はいつだって、千早に対しては誠実でいるつもりだよ!」キリッ

千早「…………じゃ、じゃあ」

千早「………………仲直りの、しるしに……………………、愛してるよ、って、言ってください」ボソッ


51 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 04:00:49.47 ID:8VPac8+B0
P「……ちは──」

千早「ちがいますからねっ!」

P「えっ」

千早「だ、だって! いつもだったらこういうとき、
   まるで『千早が怒ってもこう言えば誤魔化せるだろ』って勘違いしてるんじゃないかってくらい、
   えっと……わ、私のこと、大好きだよ、とか、愛してるよ、とか」グリグリ

P「あ、あの、ちょ待って、頭グリグリしないで、苦しい」

千早「だから変だなって! ど、どうして、いつまで経っても言ってくれないのかしら、って!
   もしかして、まだなにか後ろめたいことでも隠してるんじゃないかって……そう、確認をっ」

P「いや、後ろめたいことなんて、そんなわけ」

千早「で、ですから別にっ、深い意味なんてなくてですねっ……!」

P「千早っ!」

千早「はいっ!」

P「……落ち着いて。後ろめたいことなんて、もう何もないから」

千早「は、はい……」

P「こういうのは、まだ照れちゃうんだなぁ」

千早「て、照れてなんかいませんっ!」


53 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 04:08:20.31 ID:8VPac8+B0
P「ごめんな。からかっちゃったりして」

千早「い、いえ……、勝手に取り乱したのわた──え? からか……」

P「」ニヤニヤ

千早「っ!! や、やっぱり騙したのねっ!?」

P「あはは、悪い悪い! それで、えっと……」

千早「……もういいですっ」プイッ

P「愛してるよ、千早」

千早「……」

千早「……そ、そうですか。まぁ、私はあなたのこと、嫌いですけれど」ツーン

P「えっ!? ま、マジか……」ズーン

千早「え……」

P「……千早に嫌われた……もう終わりだぁ……」

千早「あ、あのっ! ちがくてっ! だってわかるでしょう、今のは、うそ──」クルッ

P「」ニヤニヤ

千早「……────~~~っ! ばかっ!」


54 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 04:14:18.69 ID:8VPac8+B0
P「おーい、機嫌を直してくれよ……」

千早「……」ツーン

P「悪かったって……慌てる千早が可愛くてさ、ついつい」

千早「か、可愛くなんてありませんっ。あんな姿……」

P「……うん、まぁ、確かにそうだな。慌てる千早が可愛いっていうのは、間違ってた」

千早「……え……」

P「……」

千早「な……それは、そうですけど……でも、いつもだったらあなたは──」

P「慌ててなくても、千早は常に世界一可愛いから」

千早「……!」

ぎゅうっ

千早「……ばか」グリグリ

P「あはは……」


58 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 04:22:24.86 ID:8VPac8+B0
P「……千早」

千早「なんですか……」

P「愛してるよ、本当に」

千早「…………。……じゃ、じゃあ……証拠、見せてください」

P「証拠?」

千早「言葉だけでは、なんとでも言えます。何が面白いのか知りませんけど、
   あなたはすぐからかってくるし……だから、愛してるって証拠を見せてくれないと、信じられません」

P「そうだな……どうしたらいい?」

千早「……まず、抱きしめてください。思いっきり」

ぎゅぅぅぅ

千早「! ……そ、それから……頭を撫でて」

P「うん……」ナデナデ

千早「……ばか、ばか」

P「はは……今日はやけにばかって言われる日だな」

千早「あなたのせいですからね……」

P「……うん、そうだな」


61 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 04:30:50.94 ID:8VPac8+B0
P「……なぁ、千早」

千早「え……?」

P「いいかな」

千早「……!! い、いいって、なにがですか」

P「パジャマ、脱がしてもいいか?」

千早「……それで、どうするんですか?」

P「キスをするんだよ」

千早「キスくらい、服を脱がなくたって……」

P「脱がせないとできないところにキスをしたいんだ」

千早「……な、なんであなたはそういうこと、サラっと言えるんですか……」

P「……だめ?」

千早「……だめです」

P「……」

千早「……」

千早「……うそ、です……」


62 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 04:43:43.49 ID:8VPac8+B0
千早「……しかたないですから」

P「しかたないって?」

千早「だから……さっきは、結局ひとりで出来なかったみたいだし……
   ああいうビデオを借りてくるってことは、あなたも今、我慢しているってことだろうし」

千早「……だからです」

P「……ひとりでするのより、千早とするときが、一番だよ」

千早「べ、べつにそんなこと聞いていませんっ!」

P「あはは……えっと、それじゃあ……ばんざいしてくれる?」

千早「うぅ……」カァァ

シュルシュル……

P「……千早」

千早「ま、待って! あの……おねがいが……」

P「え?」

千早「……する前に……部屋を真っ暗にして欲しいのと……あと」

千早「……ちゃんと、一番最初に……、私の唇に、キスをしてください」

P「……うん、もちろん」


63 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 04:49:31.46 ID:8VPac8+B0
千早「……ん……ぷは」

P「……千早、今日はごめんな」

千早「……こんなときにまで謝るのは、やめてください。
   謝るくらいなら……、本当に、申し訳ないって思っているなら……」

千早「その分、たくさん……私のことを、愛してください……」

P「……ああ、わかっ

(いぇーい高槻やよいです! 貧乏ですけどガンバりますけど、とりあえず今日は省略しまーす!)

──────
────
──

千早「……ってことが、昨日あって」

春香「ごちそうさまでした」

千早「春香、もう食べないの? 口に合わなかったかしら……」

春香「ちがうよっ、おいしいよ! じゃなくてっ!
   のろけ話をこんなに聞かされて、もう胸がいっぱいだって言ってるのよ!」


64 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 04:51:27.19 ID:8VPac8+B0
休憩しますぅ

67 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 05:22:06.46 ID:8VPac8+B0
春香「もー、千早ちゃんたち、結婚して何年経ったっけ?
   いつまで経ってもラブラブでいいなぁちくしょうめ!」

千早「何よその喋り方……というか、春香」

春香「へっ?」

千早「突然遊びに来てお昼ごはんをねだってくるのはいいけど、時間は大丈夫? 今日も仕事なんでしょう」

春香「あー、うん。十四時くらいまではね」

千早「そう……ところで、そう言うあなたは、いい加減に良い話ないの?」

春香「んー、私? ないない、全然ないって~……もぐもぐ」

千早「……本当? 人に言えないようなこと、してたりして……」

春香「っ!? けほっ、こほっ!」

千早「ああもう、いつまで経っても落ち着きがないんだからっ。
   誰も取ったりしないんだから、ゆっくり食べなさいよ」

春香「あたしのお母さんか! ……っていうか、
   言えないことなんてしてるわけないでしょっ! もう、どんなこと想像してるの?」

千早「ど、どんなことって……、それは…………」モジモジ

春香「……千早ちゃんってさ、意外とそういう話、好きだよね」

千早「ご、誤解よっ!」


68 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 05:32:28.37 ID:8VPac8+B0
千早「と、とにかく、私は嫌よ。ある日突然、春香を芸能以外のニュースで見ることになるなんて」

春香「だからぁ~……何かあったら、すぐ千早ちゃんに言うってば。
   それにさ、私は今でも、みんなに歌と夢と笑顔を届けるアイドル! なんですから!」

春香「天海春香、二十代中盤に差し掛かってもまだまだ現役っ! 若い子には負けませんよ!」

千早「……ふふっ、アイドルに恋愛はご法度だからね」

春香「えへへー……まぁ、あの頃口をすっぱくしてそんなこと言ってたプロデューサーさんと、
   あの真面目な千早ちゃんが、本当に結婚しちゃったんだけどねぇ」

  *  *  *

春香「ふぅー、お腹いっぱい。今度こそほんとに、ごちそう様でした」

千早「あの量、よく食べきったわね……」

春香「おいしかったからね! 千早ちゃん、本当にお料理の腕前上がったよねー。
   やっぱり食べてくれる人がいるからかな?」ゴロン

千早「ありがとう。まぁ……たしかに、料理を作る機会は、比較にならないほど増えたから」

春香「……あーあ、千早ちゃんが私の旦那さんだったら良かったのにな」ゴロゴロ

千早「何言ってるのよ。そういう台詞は、真に言ってなさい」

春香「本気で怒られちゃうもん……」


69 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 05:43:54.07 ID:8VPac8+B0
春香「それに真ったら、今ではすーっごく女の子らしいんだよ?
   さすが女優さんだよね、ほんっとに綺麗で可愛いんだから。王子様なんて昔言われてたのが嘘みたい」

千早「まぁ、そうね……というか、春香?」

春香「なにー?」ゴロゴロ

千早「食べてすぐ横になったら丸くなるわよ」

春香「いーんですー。もう映画の撮影終わったんだもーん」ゴロゴロ

千早「まったく……あなたのファンがこんな姿見たら、なんて思うかしらね」

春香「オンとオフの切り替えは大事だって、律子さんも言ってた。
   それにね、最近はこういう、生活感溢れるアイドルっていうのが受けるんですよっ」

千早「……ふふふっ」

春香「えへへー……」

千早「十四時までってことは、もう少しゆっくりできるんでしょう? お茶、いれるわね」

春香「おー、嬉しいっ! さっすが私の嫁!」

千早「さっきは旦那とか言ってなかった? それに私は、春香じゃなくてあの人の嫁です」

春香「ちぇー。千早ちゃん、結婚して色々性格変わったと思ったけど、
   そういうところは相変わらず真面目なんだから」

千早「春香のほうこそ色々変わったと思うけどね。それともそれが、あなたの素なのかしら」


70 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 05:53:19.53 ID:8VPac8+B0
コポポ……

春香「……ねー、千早ちゃん」

千早「どうしたの?」

春香「あのさ……、そんなにラブラブなら、もうそろそろ……」

千早「……」

春香「……ううん、やっぱりなんでもないや」ゴロゴロ

千早「……今更、気を遣わなくてもいいのよ? 私とあなたの仲じゃない」

春香「えへへー……私が言いたいこと、わかっちゃった?」

千早「わかるわよ。でも、まぁ……そうね。
   私も、考えてはいるんだけど……こればかりは、簡単に決めていいことじゃないから」

  *  *  *

千早「はい。ココアで良かったわよね」コトッ

春香「ん、ありがと。千早ちゃんは相変わらずコーヒーなんだね」

千早「ええ、まぁ──って、春香、その本……」

春香「ふっふっふ……さっきゴロゴロしてたら見つけちゃいました! 思い出のお菓子作りの本!」


71 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 06:04:12.51 ID:8VPac8+B0
春香「……千早ちゃんさ、これ読みながら、一生懸命バレンタインのチョコレート手作りしたんだよね。
   チョコ・フォンデュだっけ? 作ったの。たしかあの頃出した、千早ちゃんの新曲が……」

千早「……よく覚えてるわね、そんな昔のこと」

春香「だって、私が言い出したことだもん。プロデューサーさんにチョコあげなよ、って。
   それなのに千早ちゃんったら、『別に好きじゃないよぅ、恥ずかしいよぅ』なんて言っちゃって……」

千早「そ、そんな風には言ってなかったでしょうっ?」

春香「あれ、そーだったっけ? えへへ……」

パラララ……

春香「……あのとき、ついついしちゃった告白から、いろんなことが変わったんだよね」

千早「……そうね」

春香「あーあ、これでここにやよいがいたら、あの頃のユニットメンバー勢揃いなのになぁ」

千早「でも、たか……じゃなくて、やよい、大学生活で忙しそうだから、しかたないわよ」

春香「あははっ! また高槻さんって言いそうになった。
   『よそよそしい呼び方はもうやですーっ!』って、またやよいに怒られちゃうよ?」

千早「似てないわよ。……でも、まぁ、私はあの子の怒った顔も……だし……それはそれで……」ボソボソ

春香「えっ?」

千早「なんでもないわ」


74 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 06:14:50.63 ID:8VPac8+B0
  *  *  *

春香「……それでそのとき、美希ったら」

『千早さんとキスしたら、ハ……じゃなくて、プロデューサーとも間接キスしたことになるかな?』

春香「ってね、あの子なりに、わりと真剣に考えてたんだよ。
   あははっ、あの頃は結構、いやかなり大変だったけど、今思うとおかしいよねっ!」

千早「そ、そうだったの……だからあの頃、神妙な顔をしながらやたらとくっついてきてたのね。
   今度からどんな顔して会えばいいのかしら……」

春香「えへへー……でもほーんと、懐かしいなぁ。
   あ、あとあと! あのときさ、プロデューサーさんが千早ちゃんにプロポーズしたときも……」

春香「──って、いけないいけない」

千早「……? どうしたの?」

春香「なんだか、昔話ばかりになっちゃってたわね……最近はこればっかりだなぁ」ポリポリ

千早「ふふっ、でも、こういうのもいいじゃない。思い出はいくら語っても尽きないもの」

春香「……でもね、千早ちゃん。昔話に華を咲かせるようになると、それは年を取った証拠なのよ?」

千早「……それ、誰に言われたの?」

春香「小鳥さん」

千早「ああ……音無さんらしいわね」


78 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 06:24:28.50 ID:8VPac8+B0
春香「……ね、千早ちゃん」

千早「なに?」

春香「プロデューサーさん結婚して……、良かった?」

千早「……ええ、もちろん」

千早(……春香とは、私がアイドルだったあの頃から、ずっと一緒だった。
   人には話せないようなことも、上手に聞き出してくれて……、
   そしていつだって、私の味方だった)

千早(だから春香は、私がその頃に抱えていた悩みも、
   私たちの馴れ初めも、どんな風に過ごしてきたかも、すべて知っている。
   だから……)

千早「あの人と結婚して夫婦になったこと、それを後悔したことは……一度もないわ」

春香「……そっか! えへへ、それを聞けて良かったよ」

千早(だから、こんな風に笑ってくれる。心から、私達の幸せを喜んでくれる)

千早(……そして私は──)


79 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 06:25:38.84 ID:8VPac8+B0
ちょっと日本語が気になるので訂正
×春香「プロデューサーさん結婚して……、良かった?」
○春香「プロデューサーさんと結婚して……、良かった?」
でオナシャス

80 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 06:30:11.08 ID:8VPac8+B0
 
千早「……ありがとう、春香」

春香「えー? どうしたの、急にお礼なんて言っちゃって」

千早(……そして私は)

千早(あなたに出会えたことを、そんな親友を持てたことを、何よりも誇りに思う)

千早「なんでもないわ。ただなんとなく、そう思っただけ」

春香「ふふっ……へんな千早ちゃん」

千早(……恥ずかしいから、面と向かってこんなこと、言えないけれど)

千早(でもきっと、それは……言葉にしなくたって、あなたには伝わってしまっているんでしょうね)


81 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 06:39:20.03 ID:8VPac8+B0
春香「いやー、でも、結婚かぁ~。話を聞いてると、なんだか私まであこがれちゃ──」

ピピピ……

春香「ん……うわっ、もうこんな時間!?
   ご、ごめん千早ちゃん、私、そろそろスタジオ行かないと! 律子さんにまた怒られちゃうっ」

千早「そう……。それじゃあ、しゃちょ──じゃなくて、律子にもよろしく言っておいてね。
   あと……ごめんなさい、久しぶりに会いに来てくれたのに、
   今日は私の話ばかり聞かせてしまって」

春香「ううん、気にしないで。千早ちゃんとこんな風にお喋りできるときが、私、一番楽しいから」

千早「そ、そう……」

春香「あっ、照れてる~」

千早「そそ、そんなんじゃないったら!」

春香「えへへ……また家に呼んでね! 次に日本に帰ってくるのは、えーっと……」

千早「三月の末。あなたの誕生日までには、また帰国するわ」

春香「え……そんなに早く?
   も、もしかして……、スケジュール調整してくれたの? 私のために?」

千早「ふふっ、さぁ、どうかしらね? あの人に聞いてちょうだい」

春香「……あはは……そ、そっか……」ウルウル


82 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 06:47:46.15 ID:8VPac8+B0
春香「……も、もう、参っちゃうな。
   ふたりとも、相変わらず、ふいをついてくるんだから……」ゴシゴシ

千早「春香……」

春香「でも……本当に……、嬉しいよ……!」

ぎゅぅっ

春香「! ち、千早ちゃん……これ、ハグってやつ? さすが海外暮らししてるだけあるわね……」

千早「……春香。どんなに離れていたって、同じアイドルでは無くなったって……、そんなの関係ない」

千早「だって、私たちはずっと……──でしょう?」

春香「……うん……そうだね!」ギュー

  *  *  *

春香「……お昼ご飯、ごちそう様。すっごくおいしかったよ」

春香「プロデューサーさんにも、春香が会いたがってたって言っておいてね。
   忙しい忙しいなーんて言って、最近は765プロの方にはあんまり顔出してくれないんだもん」

千早「ええ、わかったわ。忙しい中、わざわざ来てくれてありがとう。
   それじゃあ……またね」

春香「うん、またねっ! 次会えるときまで、千早ちゃんの歌、日本で聴きながら待ってるから!」


83 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 06:56:37.48 ID:8VPac8+B0
  *  *  *

千早「……」

千早「……後片付け、しないと。春香の使った食器……」

ジャー……

千早(……春香が帰って、ひとりきりになって……
   改めて、この家の広さを……、身にしみて感じてしまう)

千早(私がこの家にいるとき、いつもはあの人がそばにいてくれて……
   今日は、私だけオフだったけど、ちょうど春香が会いに来てくれて……)

千早「……」

千早(いつから、こんなに、さみしがり屋になってしまったのかしら)

千早(元気で賑やかな春香が帰ってしまったから? それとも、昔話をしたせい?)

千早「……ううん。どれも……、ちがうわね」

千早(……いつから、とかじゃない。
   今思えば、私は最初から……、さみしがり屋だったのよ……)


84 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 07:05:12.13 ID:8VPac8+B0
千早(まだ十六歳だった、あの頃の如月千早も、
   結婚して苗字が変わった、今の千早も……)

千早(これまで生きてきたどんな私も……本当は、そうだった)

ジャー……
         キュ、キュ……

千早(私は、小さな子供だったときから、本当は、ずっとずっと……)

千早(ひとりになるのが、怖かったんだ)

     『……──えちゃん!』

千早「……っ!」

千早(──この手で繋いでいたはずの、大切な何かを失うのが……何よりも、怖かった)

千早(だからあの頃の私は……それを失うくらいなら、そんなもの、最初からなければいいって思って……)

……ポタ、ポタ

千早「……、……! ……──な、た……」


85 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 07:11:21.30 ID:8VPac8+B0
千早(……でも、今の私には……、失いたくない宝物がたくさんある)

千早(数え切れないほどの思い出を作ってきた、大切な仲間達と)

千早(そんな中で出会えた……私のことを世界で一番理解してくれる──大切な親友)

千早(私の人生そのものと言ってもいい、大切な歌の数々。そしてなにより……)

千早「……あなた……!」

千早(それまでの私の世界のすべてを変えてくれた、大切なプロデューサーであり……)

千早(そして、今の私のことを……、世界で一番愛してくれる──大切な夫)

ポタ、ポタ……

千早「……はやく……」

千早「はやく帰ってきて……」ポロポロ


87 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 07:25:10.74 ID:8VPac8+B0
──────
────
──

ガチャッ

P「ただいまー」

千早「!」

タッタッタ

千早「……おかえり、なさい」

P「うん。いやーごめんごめん、帰りにちょっと買い物してたら遅くなっちゃって……」

P「……って、千早?」

千早「は、はい……なんですか?」

P「……いや、玄関まで走って迎えに来てくれるなんて珍しいなって思って」

千早「……あなたの顔を、はやく見たかったんです。
   あの……だめ、でしたか?」

P「いやいや、そんなわけないって! もちろん嬉しいさ、旦那冥利に尽きるっていうか……」

P(……千早の目、赤くなってる……?)


89 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 07:34:42.95 ID:8VPac8+B0
千早「……えっと……」

P「……」

千早「……夕飯の準備、しちゃいますね。もうあと少しだから」

P「……いや、いいよ」

千早「でも……、お腹、空いてるんでしょう?」

P「たしかにそうだけど……でも、まだいい」

千早「なんで……」

P「……」テクテク

ぽふん

P「いやー、やっぱりこのソファはいいな。奮発したかいがあったってもんだ。
 事務所の安椅子とは大違いだよ」

千早「あなた……あの──っ」

P「千早」

千早「……っ」

P「……隣、おいで」

千早「……はい」


93 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 07:44:35.30 ID:8VPac8+B0
千早「……」

ぽふんっ

P「……ほら、これ。受け取ってくれ」スッ

千早「え? これって……」

P「帰りが遅くなったのはさ、これを買いに行ってたんだ」

千早「……チョコレート?」

P「うん。まぁ、バレンタインには一日遅くなったけど……たまには、男のほうからあげたっていいだろ?
 前に撮影で使わせてもらった店なんだけどさ、ちょー高級で美味しいやつなんだぞ、それ」

千早「……ふふっ、昨日のお詫びですか?」

P「あはは……バレたか」

千早「こんなプレゼント貰わなくても、もう、気にしてないのに……」

P「……一粒、食べてみてくれよ」

千早「……はい。それじゃあ……」

パクッ……

千早「……」

千早「……甘い……」


95 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 07:52:22.77 ID:8VPac8+B0
モグモグ……

千早「……美味しいです、とても」

P「……なぁ、千早」

千早「……?」

P「目、赤くなってた気がするんだけど」

千早「そ、そうですか? ゴミが入っちゃったのかしら」ゴシゴシ

P「……」

千早「……今日、春香が会いにきてくれたんです」

P「春香? なんだ、春香が家に来るなんて随分久しぶりだな」

千早「ええ。それで、少し昔の話を……」

P「……そっか」

千早「……ふふっ、あなたに会いたがってましたよ?
   日本にいるときくらい、私たちの事務所だけじゃなくて、
   たまには765プロの方にも顔を出してあげてください」

P「あはは、そうだな……」


96 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 07:58:25.78 ID:8VPac8+B0
P「……」

千早「……あの、あなた……」

P「ん?」

千早「……それ以上は、何も聞かないんですか?」

P「千早が話したくなったらでいいさ」

千早「……」

千早「……お願いが、あるんですけど」

P「お願い? なんだ、言ってみて」

千早「目が、まだ少し、痛いんです。
   だから……、目の中に入ったゴミを、取ってくれませんか?」

P「……うん、わかった。どれどれ──」クルッ

千早「……っ」

ちゅっ……

P「……ゴミなんて、見当たらないな」

千早「……それはそうです。だって、目が痛いなんて嘘」

千早「ただ……、こっちを向いて欲しかっただけですから」


100 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 08:07:05.68 ID:8VPac8+B0
 
ぎゅぅぅぅっ

千早「……あなた……あなたっ……!」ギュー

P「うん、うん……」

千早「わっ、私、なんだか、よくわからないけど……っ、
   春香が帰って、ひとりになったら……、急にさみしく、なっ……て……!」

P「そっか……よしよし」

千早「あなたが帰ってくるまで、ずっと私、ひとりで……!
   も、もしこのまま……あなたまで、帰ってこなかったら、どうしようって……!!」

P「……大丈夫、俺はいなくならないよ」

千早「でも──」

P「あのプロポーズのとき、こう言ったよな。
 生涯、千早をひとりぼっちになんてさせないってさ」

千早「……!」

P「……俺がその約束破ったこと、ないだろ?
 だからもう、何も言わなくていいよ。言わなくても、ちゃんと俺はわかってる」

千早「……う、う……!」

P「何も気にしないで、今は思いっきり泣いていい。泣き止むまで、頭を撫でてあげるから」


101 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 08:09:15.45 ID:8VPac8+B0
朝ごはん食べる

107 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 08:39:42.26 ID:8VPac8+B0
保守ありがとうございます
再開する

110 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 08:47:10.75 ID:8VPac8+B0
  *  *  *

千早「……ごめんなさい」ズビッ

P「気にしないでいいって。あーあー、鼻水が……ほら、ちーんして」

千早「こっ、子ども扱いしないでくださいっ!
   それくらい、あなたに頼らなくても、自分で出来ますから……」

ちーん!

P「……すっきりしたか?」

千早「……はい」

P「そっか……それなら良かった」

千早「……私、だめですね」

P「え? だめってなにが?」

千早「いつまで経っても、あなたに甘えて……。
   特に何があったというわけでもないのに、こんな風に、迷惑をかけてしまうから」

P「……迷惑なんかじゃないよ」

千早「でも……」

P「絶対、迷惑なんかじゃない。だってさ……、
 嬉しいことも、悲しいことも、ふたりで分かち合うのが、夫婦だろ?」


116 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 08:58:05.97 ID:8VPac8+B0
千早「……」

千早「……私、あなたと出会えて良かったです」

P「……急にどうした?」

千早「あなたに出会えてなかったら……、
   いま私の胸に生まれた気持ちを、知ることが出来なかったから」

P「……千早。それは、俺だって一緒だよ」

千早「え? いっしょ?」

P「うん。あのとき千早に出会ってさ、最初はなんていうか、
 千早をプロデュースするのは大変だなって思うときもあったけど……」

千早「……ふふっ、私、わがままばかりでしたからね」

P「あはは、今となっては良い思い出だよ」

P「……それからさ。だんだんと、少しずつ、千早との距離を近づけていって……
 アイドルとしてじゃない、千早本人の魅力っていうのを知っていった。
 そして……本当に、色々とあったけれど……、こうして夫婦になったんだ」

千早「……」

P「今の俺の原動力は、千早だ。
 千早の笑顔のためなら、なんだって頑張れる。だから……」

P「俺も、千早といっしょ。千早と出会えて……良かった」


118 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 09:07:30.39 ID:8VPac8+B0
千早「……──」

ポロッポロ……

P「え!? な、なんでまた泣くんだ?」

千早「……」ゴシゴシ

千早「……泣くことならたやすいけれど、悲しみには……、流されない」

P「……? 蒼い鳥?」

千早「……あなたのプロポーズに返事をしたとき、私はこう決めたんです。
   もう、ひとりで涙を零して……、悲しみに流されるのはやめようって」

P「……」

千早「泣くときは、あなたの腕の中で……。
   そうすれば、きっと……、泣く前よりもずっと……私は強くなれるから」

千早「だからこれは、悲しくて泣いているんじゃありません。
   あなたの言葉が、嬉しくて……、泣いているんです」

P「……そっか」

千早「あなた……」

P「ん?」

千早「……愛しています。世界中の、誰よりも」


119 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 09:13:38.49 ID:8VPac8+B0
 
P「千早……」

ぎゅぅっ

千早「ん……」

P「……」

千早「……」ドキドキ

P「……千早の心臓の音が、よくわかるよ」

千早「……ふふっ、私も……。
   あなたの心臓の鼓動、あなたの熱い体温、そのすべてが……
   まるで、私とひとつになったみたいに感じます……」

P「……千早、あの──」

ピ──!!

P・千早「!?」

千早「い、いけない……お鍋が……」

P「あはは……そ、それじゃあ、いい加減、夕飯にしよっか」

千早「……はい」


120 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 09:21:36.83 ID:8VPac8+B0
タッタッタ……

千早「……あの……」チラッ

P「……続きは、夕飯のあとでな」

千早「も、もう……」プイッ

P「ふふふ、どんな顔してるんだー?」

千早「こ、こっちに来ないでくださいっ! 料理の邪魔ですっ!」

P「ひ、ひどいな」

千早「……ばか」

P「あはは……」

千早「……でも」

グツグツ……

千早「……好き」

P「んー?」

千早「ど、どうせ聞こえてるんでしょう? そういうところは、嫌いですっ」


124 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 09:33:30.72 ID:8VPac8+B0
──────
────
──

【寝室】

P「……千早」

千早「……」ツーン

P「あの、悪かったって……」

千早「……私が何を怒っているか、わかりますか?」

P「……」

P「さっき一緒に風呂に入ったとき、その……ついつい」

千早「……お風呂は、嫌なんです。明るいから……」

P「で、でも、ちょっといじくっただけだったし、それに千早だってまんざらじゃ──」

千早「……──~~!!」ポコポコ

P「ご、ごめんごめんっ!」


125 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 09:43:36.70 ID:8VPac8+B0
千早「……」

ぎゅっ

P「……ち、千早?」

千早「……いいから。はやく、抱き返してください」

P「あ、ああ……」

ぎゅぅっ……

千早「……やっぱり、ここにいるときが、一番好きです」

P「ここって?」

千早「ベッドの上で……、あなたの腕の中にいるとき」

P「……」

千早「夜眠りにつくときも、朝目が覚めるときも……
   いつもあなたがそばにいてくれるこの場所が……、私は、一番好き」

P「……うん」

千早「……あなた」

P「うん?」

千早「……愛して、ください。さみしさも全部、忘れてしまうくらいに……」


126 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 09:51:19.81 ID:8VPac8+B0
P「……千早……」

千早「……んっ……」

P「……それじゃあ、脱が──」

千早「……?」

P「あっ」

千早「な、なんですか?」

P「ご、ごめんっ、千早!」

千早「ごめんって……なにが?」

P「……アレ、切らしてるんだった」

千早「アレ? アレ、って……」

千早「……」

千早「……ええっ!?」

P「昨日、一箱まるまる使っちゃったんだったな……」

千早「たしかに、そういえば……で、でも……それじゃあ……」


130 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 10:02:32.13 ID:8VPac8+B0
P「……ちょっとコンビにまでひとっ走りして買ってくるよ」スック

千早「……! ま、待ってくださいっ」ガシッ

P「え?」

千早「行かないで……ひとりに、しないで」

P「……でも……」

千早「……、……!」

ドックン ドックン……

千早「……い、今から、私が言うこと……、ちゃんと聞いてください」

P「……うん」

千早「たしかに、こうなってしまってから言うけど……、
   私は、本当に真剣で……簡単な気持ちで言うつもりは……ないから」

P「……わかった。言ってみてくれ」

千早「…………きょ、今日は……」

千早「今日は、アレを……つけなくて、いいです」

P「……!」


132 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 10:10:36.54 ID:8VPac8+B0
『……ねー、千早ちゃん』

『あのさ……、そんなにラブラブなら、もうそろそろ……』

千早(……今日、春香からも、こう言われたけど)

千早(私は、私なりに……そのことを、ずっと考えていて……)

千早「……色んなこと、たくさん考えました。
   出来ることなら考えたくなかったことも……たくさん、考えました。
   大切なことだから、簡単に決断していてはいけないって……、わかっています」

千早「でも、それでも私は……!」

千早「私は、あなたのことを、世界中の誰よりも、愛しているから……」

千早「あなたと私の間にある、この愛を……
   はっきりとした形にして、この両手で抱きしめたいから……!」

ぎゅぅっ……

千早「──だから、私は……」

千早「あなたとの、赤ちゃんが欲しいんです」


134 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 10:19:44.08 ID:8VPac8+B0
千早「……」ドキドキ

P「……赤ちゃん、か」

千早「……あの、でも……あなたがだめというなら、私は……」

P「……だめなんかじゃないよ」

千早「! そ、それじゃあ……!」

P「……そうだね。俺達も、もう結婚して数年……
 そろそろ、いいのかもしれないな」

P(……まだだ)

P(まだ、──ちゃだめだ……)

千早「……あなた」

P「ん?」

千早「……ありがとう」

P「……なんで、ありがとうなんだ?」

千早「あなたはいつだって、私のことを気遣って……、
   『そのこと』を、言葉にしないでいてくれるから……」


136 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 10:29:51.48 ID:8VPac8+B0
P「……余計な言葉なんて、要らない。
 俺が千早に対して抱いている気持ちは、たったひとつだけなんだから」

千早「ひとつ……?」

P「……俺は、今の千早のことを愛している。世界中の、誰よりも……」

千早「……」

P「それは、千早もいっしょだろ?」

千早「……はい!」

P「それなら、なんにも心配することないよ。
 大丈夫、なにがあったって……俺達なら、きっとうまくいく」

千早「……あなた」

P「……」

ちゅっ……

千早「……──」

P(──もう俺達はこれまで、何度唇を重ね合わせたかもわからないけれど……)

P(千早の唇は、このとき、少しだけ……、震えていた)


137 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 10:39:55.69 ID:8VPac8+B0
P(……それなら、千早が震えているのなら……
 俺に出来ることは、たったひとつだけだ)

P(俺達なら、きっとうまくいく。それを千早に、心から信じさせてやること……)

P「……大丈夫、大丈夫だよ」

千早「……、……!」

P「そうと決まれば……ほら、ベッドに戻ろう」

千早「…………」コクン

P「……さみしい気持ちも、不安な気持ちも……。
 千早が抱えてるものは、俺が全部、消してあげるから」

P「だから……心配するな」

千早「……」

千早「……はい……!」


139 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 10:44:21.06 ID:8VPac8+B0
 

(…………)

──────
────
──

P「ん……?」パチッ

千早「……すぅ……すぅ……」

P「……」

P(……真夜中に、ふと目が覚めて……、
 隣で寝ている、妻の顔を見た)

P(……とても幸せそうな寝顔だ)


141 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 10:51:15.68 ID:8VPac8+B0
P「……千早。いまお前は、どんな夢、見てるんだ?」ナデナデ

千早「ん……」

P「幸せな夢なら、いいんだけどな……」

P(……でも、結婚してから気づいたことだけど……)

P(幸せな夢を見ると、千早はときどき、
 どうしようもなく悲しい気持ちになってしまうときがあるんだ)

 『私のそばを……勝手に、離れないでください……!』

P(……そんなとき、彼女は少し混乱してしまって……
 この間も、こんな風に言われてしまった)

P(きっと、目が覚めるとき──目の前にあった幸せが消えるとき、
 その喪失感が、千早の心を、強く締め付けてしまうんだろう)

P「……」

P(だから俺は……喧嘩をしたときだって、いつだって……最後には千早と一緒に眠る)

P(目が覚めたときに隣にいてやることで、その喪失感は、少しだけ軽くなるから……)


143 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 10:58:19.00 ID:8VPac8+B0
 
『──だから、私は……』

『あなたとの、赤ちゃんが欲しいんです』

P(……まさか、千早の口からこんな言葉を聞ける日が来るなんて)

P(本当にあれから……千早と出会ったあのときから、長い時間が経ったんだな……)

P「……っ、……!」

P(……それまでの千早の人生のこと……千早の身に起きてしまった、様々な出来事のこと)

P(その言葉に含まれた、彼女の気持ちのこと、そして……彼女の心の変化のことを考えると……)

P(嬉しいはずなのに……、なぜか、強く胸が締め付けられてしまって……)

P「……千早……!」

ポロポロ……

P(そして、俺は……)

P(彼女が寝ているすぐそばで……声も出さずに、少しだけ泣いてしまった)


144 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 11:05:15.28 ID:8VPac8+B0
モゾモゾ……

千早「……? あなた……?」

P「──! ち、千早……ごめん、起こしちゃったか」

千早「……。泣いているんですか……?」

P「……」ゴシゴシ

P「……大丈夫、悲しいことがあったわけじゃないから」

千早「じゃあ、嬉しいこと?」

P「……ああ、そうだよ」

千早「……そうですか。でも……だめですよ」

ぎゅっ

P「……?」

千早「それだったら、なおさら、どうして泣いているのかを話してください」

P「なおさらって……」

千早「……だって、あなたもさっき、言ってくれたように……」

千早「嬉しいことも、悲しいことも……
   どんなことだって、ふたりで分かち合うのが……夫婦なんでしょう?」


145 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 11:10:51.17 ID:8VPac8+B0
P「千早……」

千早「……大丈夫。私だってもう……昔ほど、弱くはないから」

千早「今の私の隣には、あなたがいるから……
   だから、何も怖くありません。どんなことだって、話してください」

P「……うん、そうだな。
 それじゃあ、少し……、昔の話をしよっか」

千早「……はい」

P「あれは……、ああ、そうだ。千早と俺が、初めて出会ったとき──」

P(……これからも、俺たちはこんな風に生きていくんだろう)

P(きっとまた、喧嘩をしてしまうこともあるし、悲しい気持ちになってしまうこともある)

P(でも……そのたびに、俺たちはこうやって……
 なんだって伝え合って、一歩ずつ歩いていくんだろうな)


146 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/02/15(金) 11:16:43.08 ID:8VPac8+B0
 
  *  *  *

P「それでさ……」

千早「……ふふっ、あなた?」

P「ん?」

千早「愛しています……世界中の、誰よりも」

P「……うん、俺もだよ」

千早「……だから……」

千早「これからも、いつまでも……」

千早「ふたりでいっしょに、歩いていきましょうね」

P「……ああ、もちろん!」

おわり

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