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1 : 2014/08/08(金) 22:48:15.37 -
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お母さんに聞いた、私がまだ小学校に入ったくらいのときの話。
とてもやんちゃで、いつもアニキの後を追って走り回っていたその頃の私の夢は、「アニキのお嫁さん」だったらしい。
もうすっかり忘れちゃったけど、その頃の私には確かに夢があったんだ。
それになりたい、っていう目標が。じゃあ、今の私はどうなんだろう。
私は、何になりたいんだろう。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1407505695
ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407505695/
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2 : 2014/08/08(金) 22:49:11.96 -
マヤ「最近さ、『シンロ』がどうとかの話多いよね」
メグ「そうだね~」
チノ「私達ももう2年生ですから。高校の選択もありますし」
マヤ「でもでも、シンロってようするに『将来何になりたいか』ってことでしょ? 私まだ全然思いついてないんだけど」
メグ「私も~」
チノ「私はラビットハウスを継いで繁盛させるという夢がありますので」
メグ「チノちゃんはすごいね~」
チノ「す、すごいですか?」
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3 : 2014/08/08(金) 22:50:15.64 -
マヤ「いいなぁ、チノは。私も家がお店とかやってたらな~」
チノ「その場合は、マヤさんのお兄さんが家を継ぐのでは?」
マヤ「そっかぁ」
翠(青山さん)「難しいことですよねぇ……」
マヤ「わっ!?」
チノ「あ、青山さん……」
メグ「い、いつの間に」
翠「ふふ、たまたま話が聞こえてしまいまして」
マヤ「ねえねえ、青ブルマさんはいつ小説家になろうと思ったの?」
チノ(青ブルマ……?)
翠「……そうですねぇ。いつ、というよりもきっかけの話になってしまいますが」
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4 : 2014/08/08(金) 22:51:18.61 -
翠「私は子どものときから読書が好きだったんです。それがいつからか自分でも書いてみたいと思うようになって……ですから、今こうして小説家をやっているのは趣味が高じた結果、でしょうか」
マヤ「へぇ~」
メグ「なんかかっこいいですね!」
チノ「自分の好きなことを仕事にできるって、とても素敵だと思います」
翠「ふふっ、ありがとうございます」
マヤ「趣味かぁ……テレビ見たり、ゲームしたりも仕事にできる?」
チノ「難しいと思いますけど……」
メグ「趣味……趣味……」
翠「私は人を観察することが好きなんです。小説のアイデア探しの一環でもありますが」
翠「皆さんも、身近な人達をしっかり観察してみると良いのではないでしょうか。きっと答えが見つかるはずですよ」
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5 : 2014/08/08(金) 22:52:51.29 -
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数日後
マヤ「あー……」
マヤ(せっかく早起きしたのにヒマだな~)
マヤ(どっか遊びに…………あっ)
翠『皆さんも、身近な人達をしっかり観察してみると良いのではないでしょうか』
マヤ(せっかくだし、ラビットハウスに聞き込みに行ってみるとか……うん、いいかも!)
マヤ「そうと決まれば、早速突撃だ!」
マヤ「遊びに来たよー!」
チノ「こんにちは」
ココア「いらっしゃ~い。マヤちゃん一人?」
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6 : 2014/08/08(金) 22:53:34.78 -
マヤ「うん……あれ? リゼは?」
ココア「リゼちゃんは今日お休みなんだよ」
マヤ「そうなの? まあ、いっか。ココアに聞きたいことがあったんだ~」
チノ「?」
ココア「なになに? お姉ちゃんに何でも聞いてごらん?」
マヤ「実はさ~……」
ココア「ふむふむ、将来の夢ね」
マヤ「ココアの将来の夢ってなに?」
ココア「え~、気になっちゃう?」
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7 : 2014/08/08(金) 22:54:12.57 -
チノ「マヤさん、聞くだけ無駄ですよ」
マヤ「え?」
ココア「そんなことないよ!?」
チノ「じゃあ、なりたい職業を一つに絞り込めたんですか?」
ココア「う…………ち、ちょっと待ってて!」
マヤ「あ、いっちゃった」
チノ「まったく、ココアさんは……」
マヤ「でもさー、なりたいものがいっぱいある、分かってるってちょっと羨ましいな~」
チノ「なんでも思えばいいというものでもないですよ。少しは現実的に考えないと」
マヤ「それはそうだけどさー」
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8 : 2014/08/08(金) 22:54:54.53 -
マヤ「じゃあ実際、ココアは何になるんだろ?」
チノ「それは……私達にはわからないのでは」
マヤ「そういえば、ココアの実家ってパン屋さんなんでしょ? ココアが継いだりするんじゃないの?」
チノ「普通は兄弟の中で年長の方が継ぐものでは? モカさんやお兄さんがいますし。そもそも、ココアさんに経営なんて無理ですよ」
マヤ「そっか~。でも家で働くっていうのもアリだよね~」
チノ「え」
マヤ「だって、自分の家で働けばいろいろ楽そうじゃない? ココアももしかしたら実家のほうに戻って働きたいかもしれないし」
チノ「……」
マヤ「チノ?」
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9 : 2014/08/08(金) 22:56:19.47 -
チノ「……マヤさん、進路について相談したいならココアさんより適任者がいますよ」
マヤ「え、誰?」
チノ「千夜さんです。ココアさんと違って落ち着いた人ですし、(基本的には)頼りになる方だと思います」
マヤ「むー、そっか。じゃあ行ってみるよ!」
チノ「はい、お気をつけて」
マヤ「うん! またねー!」
ココア「お待たせ! なりたい職業をメモにずらーっと……あれ?」
チノ「マヤさんならもう帰りましたよ」
ココア「え~! せっかく書いたのに~……」
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10 : 2014/08/08(金) 22:57:24.58 -
チノ「……ちなみに、ちなみにですが、なんて書いたんですか?」
ココア「えっとね、バリスタとー、弁護士に小説家でしょ?」
チノ「まとまりがないですね」
ココア「後はパン屋さんもいいかな~って」
チノ「!!」
ココア「もっとたくさん考えてたんだけど、急いでたから飛び飛びで」
チノ「……その中なら、ココアさんにはバリスタが向いてると思います」
ココア「え、そうかな?」
チノ「そもそもココアさん、国語の成績が良くないじゃないですか。弁護士や小説家なんてなれませんよ」
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11 : 2014/08/08(金) 22:58:22.70 -
ココア「そ、それはこれから頑張るんだよっ」
チノ「こ、ココアさんはおっちょこちょいですから普通に働くのは難しいです」
ココア「そ、そこまで……?」
チノ「で、ですから……その…………いつまでも、ラビットハウスで…………」
ココア「へ? よく聞こえなかったんだけど今なんて」
チノ「な、なんでもありませんっ!」
ココア「ち、チノちゃん!? 今なんて言ったの~!?」
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12 : 2014/08/08(金) 22:59:23.05 -
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マヤ「こんにちはー!!」
千夜「あら、マヤちゃんじゃない。いらっしゃい」
マヤ「今日は千夜に相談があって来たんだ~」
千夜「相談?」
マヤ「うん、実は……」
千夜「そう、進路のことで」
マヤ「千夜はここを継ぐんでしょ? いつからそう思ってたの?」
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13 : 2014/08/08(金) 23:00:13.27 -
千夜「そうねぇ……あんまり意識したことはなかったけど、小学生のときにはもう考えてたと思うわ」
マヤ「すごーい!」
千夜「別にすごくなんてないわよ。私の場合はたまたまやりたいことがすぐに見つかっただけ」
マヤ「私も見つけられるかな?」
千夜「ええ、見つけられるわ。マヤちゃんが探し続ける限り、きっと」
マヤ「……そうだといいな~」
千夜「……そうね。私はなりたいものが決まってたからかもしれないけど」
マヤ「?」
千夜「マヤちゃんも、もう少し近い未来のことを考えてみたらどうかしら」
マヤ「近い未来ってどういうこと?」
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14 : 2014/08/08(金) 23:01:13.97 -
千夜「たとえば……マヤちゃんはどんな高校生になりたいの?」
マヤ「どんな?」
千夜「そう。確かに将来の夢のことを考えるのも大切だけど、それって見つけようとしてすぐに見つかることもあれば、ずっと見つからないことだってあると思うの」
千夜「だから大人のこととか遠い未来のことを考えるよりも、まずは高校に入ってどうなりたい、何がしたいってことを考えてみたら?」
マヤ「ふんふん、なるほどー。さっすが千夜、頼りになるね!」
千夜「ふふ。私が中学生のときはね、高校のことばっかり考えてたわ。どんな生活を送るのか、友達はできるのか、なんてことをね」
千夜「イメージとか目標を持つことって大切だと思うわ」
マヤ「相談に乗ってくれてありがとね!」
千夜「どういたしまして。また遊びに来てね」
マヤ「うん、今度はメグと一緒に来るね。それじゃ!」
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15 : 2014/08/08(金) 23:02:10.54 -
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マヤ「目標とかイメージかあ」
マヤ「イメージ……イメージ…………」
メグ「マヤちゃ~ん!」
マヤ「あ、メグ。どうしたの、こんなところで」
メグ「今お買い物帰りなんだ~。マヤちゃんは?」
マヤ「私は……」
メグ「へぇ~、皆にインタビューしてたんだ~」
マヤ「うん。メグはさ、高校入ったら何したい?」
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16 : 2014/08/08(金) 23:03:00.25 -
メグ「うーんとね……バイトはしてみたいかな~」
マヤ「あ! それは私もしたい!」
メグ「それからね……えへへ」
マヤ「?」
メグ「高校生になっても、マヤちゃんやチノちゃん、皆とずっと仲良く遊んだりしたいな~」
マヤ「メグ……そんなのあったりまえじゃん!!」
メグ「えへへ、そうだね」
メグ「私、『こうなりたい』って目標だけはずっとあるんだ」
マヤ「そうなの?」
メグ「私ね、ココアちゃんが目標なの」
マヤ「ココアが?」
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17 : 2014/08/08(金) 23:03:44.60 -
メグ「いつも元気で、皆の中心にいて、皆にも元気を分けてくれる。そんなココアちゃんに憧れてるんだ~」
マヤ「そっかあ」
マヤ(ココアが聞いたら泣いて喜びそうだな~)
メグ「あ……ごめんね、そろそろ帰らないと」
マヤ「あ、そっか。じゃ、またね!」
メグ「うん! ……マヤちゃんも目標、見つかるといいね」
マヤ「私もそろそろ帰ろうかな~」
マヤ(私の目標か~。メグみたいに身近な人を目標にするのもいいかも)
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18 : 2014/08/08(金) 23:05:56.35 -
マヤ「私の目標……目標になるような人は……」
マヤ(こんなふうになりたいって思い浮かぶ人は……)
マヤ「………………リゼ?」
リゼ「私がどうかしたのか?」
マヤ「わっ!?」
マヤ「もー、驚かさないでよリゼ~」
リゼ「ごめんごめん。見覚えある背中があったから驚かしたくなってさ。マヤは何してたんだ?」
マヤ「うーん、相談巡りかな」
リゼ「相談巡り?」
リゼ「なるほど、進路についてか」
マヤ「千夜に言われてからイメージとか目標について考えてたんだけど……」
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19 : 2014/08/08(金) 23:07:33.45 -
リゼ「答えは見つかったのか?」
マヤ「いやあ、考えてるうちに何について考えてたのか分からなくなっちゃってさ~」
リゼ「おいおい…………まあ、難しいことかもな」
マヤ「チノと千夜は家継ぐって言ってて、ココアもいっぱい夢があったし……。リゼは? やっぱり軍人?」
リゼ「いや、私は軍人になるつもりはない。まあ、私もココアと一緒だ」
マヤ「ふーん……」
リゼ「あんまりアドバイスできることもないけど……私も、そこまで焦って考える必要はないと思うぞ」
マヤ「やっぱり、そうかなあ?」
リゼ「少なくとも、私が中学生のときはそこまで考えてなかったな。今の高校に入って、社会勉強としてラビットハウスでバイト始めて……」
マヤ「後悔とかしてない?」
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20 : 2014/08/08(金) 23:08:06.18 -
リゼ「自分で選んだ道だからな。今はとっても楽しいし……それに」
マヤ「それに?」
リゼ「人生、まだまだこれからだろ? 後悔するには早すぎる」
マヤ「リゼ……」
マヤ(目標、か……)
マヤ「…………うん、決まった!」
リゼ「マヤ?」
マヤ「私、リゼの隣にいられるように頑張るよ!」
リゼ「……へっ!?」
リゼ(わ、私の隣って……!?)
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21 : 2014/08/08(金) 23:12:47.05 -
マヤ「メグがね、ココアが目標だって言ってたの思い出して。私はリゼを目標にすることにした!」
リゼ「も、目標?」
マヤ「うん、リゼみたいに凛々しくてカッコいい高校生になることを目標にしたんだ! いつかリゼの隣に立てるくらい、カッコいい人になってみせるよ!」
リゼ「な、なんだ、そういう意味か……」
マヤ「そういう意味って?」
リゼ「い、いや、なんでもない。でも……自分で言うのもなんだが、私を目標にするのは大変だと思うぞ?」
マヤ「が、頑張るよ、筋トレとか」
リゼ「あはは……うん、頑張れよ」
マヤ「うん! リゼ、ありがとね! ばいばーい!!」
リゼ「ああ、またな!」
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22 : 2014/08/08(金) 23:13:40.06 -
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結局、これっていうモノは見つからなかったけど、今はそれでもいいや。
私だけの目標を目指して頑張っていけば、いつか見つかると思うんだ。
これからも大好きな皆と一緒に。
私の、私だけの夢を探していきたいな。とりあえず、明日からリゼに弟子入りだ!!
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23 : 2014/08/08(金) 23:14:38.23 -
シャロ「さ、さっきのはどういうこと……!?」
シャロ(たまたまリゼ先輩とマヤちゃんを見かけて……声をかけようと近づいたら……ま、マヤちゃんが……)
マヤ『私、リゼの隣にいられるように頑張るよ!』
シャロ(会話はよく聞こえなかったけど、あれは間違いなく告白!)
シャロ「ま、まさかマヤちゃんがライバルだったなんて……!!」
シャロ「ど、どどどどどうしよう!?」
おしまい
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