おもちゃ屋「両さん、ちょっと相談ごとがあるんだけど」


1 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/18(火) 00:07:18 ID:6JFSbM32
なんのひねりもないこち亀モノです


ソース: http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1416236838/


2 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/18(火) 00:09:18 ID:6JFSbM32
・・・亀有公園前交番・・・

おもちゃ屋「両さん、ちょっと相談ごとがあるんだけど」

両津「なんだ?金ならないぞ」

おもちゃ屋「違うんだ、儲け話だよ」

両津「なに!」

おもちゃ屋「ほら、この間3Dプリンターで フィギュア作っただろ」

両津「ああ。でも採算取れないって、あきらめただろう?」


3 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/18(火) 00:13:03 ID:6JFSbM32
おもちゃ屋「それがな、最後に作った麗子さんのフィギュアが……」

両津「あいつを大々的に売ろうって言うのか?すぐ麗子に気づかれるぞ」

おもちゃ屋「そうじゃない。あれよりリアルなやつをほしいって言ってる人がいるんだ」

両津「しかし麗子のは……この前もばれてさんざん怒られたばっかりだからなあ。またすぐそんなことして麗子の怒りを買ったら命がいくつあっても足りん」

おもちゃ屋「相手はこれだけ準備するといってる」パッ

両津「指五本ということは50万か。50万のために命を危険にさらす気にはなれん」


4 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/18(火) 00:15:15 ID:6JFSbM32
おもちゃ屋「ゼロがひとつ違う」

両津「500万円か。そこまで言われるとちょっと気持ちが揺らぐかも……」

おもちゃ屋「違うよ、両さん。円じゃなくてドルだよ」

両津「ドル?確か今、一ドル百円を超えていたから、えーと…5億円以上!喜んでやらせていただきます!!」

おもちゃ屋「スポンサーのリクエストは可能な限り現物に近いことなんだ」

両津「可能な限り現物に近い、か」


5 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/18(火) 00:18:57 ID:6JFSbM32
おもちゃ屋「この間の1/1フィギュアのデータを手直しすればできるんじゃないか?」

両津「いやダメだ。あれは1/1とはいってもフィギュア用にデフォルメされたものだ。
現物に近く、とわざわざ指定してきたということは、それを承知しているということだ。
だいたい5億も出そうって言うんだ、産毛の一本まで再現しなければ満足するはずがない」

おもちゃ屋「さすが両さん、そこまで考えているとは」

両津「スパークの研究所で、スキャナーとプリンターの精度を上げさせるのに3週間はかかる。しかしそれだけでは十分なデータが……
うーむ、麗子の行動予定は…一ヵ月後にわしと当直があるな…よし、2ヶ月待ってくれ。それまでに完成させよう。
しかしどこの馬鹿だそんなものをほしがるやつは?」

おもちゃ屋「この間、中東の王様が日本に来ただろう。そのときうちの店に来て……」


6 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/18(火) 00:21:26 ID:6JFSbM32
両津「ちょっと待て!何で王様がお前の店なんかに来るんだ!?いつ倒産するかわからない、吹けば飛ぶような零細小売店に」

おもちゃ屋「そこまで言わなくたっていいだろう。その王様がバービー人形の収集家でさ。掘り出し物を探しに来たんだ。
どうも東京の下町のおもちゃ屋に貴重なデットストックが眠っているのは国際的に有名らしい」

両津「そうなのか?やつらの情報網は侮れんな」

おもちゃ屋「そのとき前に試しで作った麗子ドールを見て、いくらでも良いから売れと。麗子さんの実家、貿易商だろう?
以前商談であったことがあるらしくて、それ以来ぞっこんだったらしいんだ。売り物じゃないと断ったんだが、だったら売り物を作ってくれと、500万ドルの小切手をヒラヒラと……」

両津「うーむ、しかし500万ドルとは……石油王というやつの価値観はさっぱり判らん。まあいい、話はわかった。金はスイス銀行の口座に振り込んでおいてくれ」


7 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/18(火) 00:23:56 ID:6JFSbM32
おもちゃ屋「スイス銀行?」

両津「国内の銀行だと、今までのツケでみんな差し押さえになっちまうんだ」

おもちゃ屋「でもスイス銀行って言う銀行は実際にはないんじゃ…?」

両津「いいんだ、そういうことは!!ゴルゴ13だってスイス銀行って言ってるだろう!!」

おもちゃ屋「わ、わかった両さん、スポンサーにはそう伝えておく。フィギュアの作成のほうは、頼んだよ」

両津「おう、まかせておけ。完璧に仕上げてやる」

両津「しかし、そんなもの何に使おうって言うんだ……まあ、それは気がつかないことにしよう」


8 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/18(火) 00:26:41 ID:6JFSbM32
・・・1ヶ月後 亀有公園前交番・・・

両津「おい麗子。立番代わってやろう」

麗子「ありがとう。居眠りしちゃダメよ」

両津「そんなことわかってる。コーヒー入れといたぞ」

麗子「本当に身体が冷え切っちゃったの、助かるわ」


9 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/18(火) 00:40:31 ID:6JFSbM32
数分後

ガタガタッ、ドサッ

両津「よし。コーヒーに入れといた睡眠薬が結構早く効いたな」

両津「細部にいたるまで完璧にデータを収集するには裸にしなければならないからな。
強めの睡眠薬を使ったことは気が咎めるが、万が一途中で目を覚まされたら間違いなく殺されるからしょうがあるまい」

両津「しかし、この顔、この身体でどうしてまだ嫁に行かないんだ。まあいい、まず手足を伸ばして……制服のボタンをはずしてと。しかしこのデカイ胸がよく制服に納まるな」

麗子「オートクチュールでサイズをちゃんととって作ってるからよ」


10 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/18(火) 00:41:47 ID:6JFSbM32
両津「ああ、それで……うわっ!!麗子、起きてたのか!!」

麗子「今仮眠所に入ったばかりよ。そんなすぐ寝るわけないでしょ」

両津「そうだが、しかし……」

麗子「ひょっとして、このコーヒーに何か細工でもしてあったのかしら?」ジロッ

両津「あっ、ばれてたのか……」

麗子「両ちゃん、私がこの派出所に来てから悪企みなしでお茶入れてくれたことなんかないじゃないの」

両津「日頃の信用の無さがこんなところで……」


11 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/18(火) 00:43:07 ID:6JFSbM32
麗子「いったい何しようとしたの?」

両津「なに、たいしたことじゃないんだ。ちょっと人形のデータを……」

麗子「またそんなことしようとしたの!部長さんに言ってしっかり油を絞ってもらうから」

両津「それだけは勘弁してくれ。今度余計なことしたらさいはて署に飛ばすと脅されてるんだ」

麗子「知らないわよ、そんなこと。さいはて署でも度井仲村でも行けば良いじゃないの」

両津「許してください、麗子さん!一生のお願い!」

麗子「もう、しょうがないんだから」


12 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/18(火) 06:34:08 ID:6JFSbM32
両津「何でもするから。靴をなめろといわれれば……」

麗子「いいわよ、そんなことしなくても! でも、そうねえ……なんでもしてくれるっていうのなら、土曜日の朝からお買い物に付き合ってくれる?
ちょっとまとめ買いしたいから荷物持ちして欲しいんだけど」

両津「何でわしがそんなことを」

麗子「別にいいわよ、部長さんに……」

両津「わ、わかった!ぜひ私めにやらせてください!」


14 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/18(火) 20:04:18 ID:6JFSbM32
・・・土曜日の午後、麗子のうちの駐車場・・・

両津「なあ、麗子。いくらなんでも買いすぎだろう。HEMTTの荷台があふれそうじゃないか。しかしどこから米軍の輸送トラックを……」

麗子「季節の変わり目だからいろいろお洋服買い換えないといけないし、それに合わせてアクセサリーも変えなきゃいけないからどうしてもいっぱい買っちゃうのよ」

両津「まあ、麗子みたいなブルジョアはそういうものかもしれんな。じゃあ、帰るぞ」

麗子「ダメよ、これお部屋まで運んで」

両津「こんなに一人で運べるか!」


15 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/18(火) 20:06:06 ID:6JFSbM32
麗子「そのために、両ちゃんに来てもらったんじゃないの。配達頼むと、途中でみんな力尽きちゃって部屋まで届かないんだもの。この間も一人迷子になって、まだ発見されてないのよ」

両津「こんなでかいうちに住んでるお前が悪いんだろう!わしは知らん!」

麗子「ふーん、じゃあ部長…」

両津「わかった!!運べばいいんだろう運べば!」

麗子「ありがとう」 ニコ


16 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/18(火) 20:09:32 ID:6JFSbM32
・・・一時間後・・・

両津「何往復したか、もうわからん。富士山に登るほうがよっぽどましだ。リビング直通の貨物用エレベータも作っとけ」

麗子「ご苦労様、またお願いね」

両津「冗談じゃない、まっぴらごめんだ」

麗子「ケチ。でも、本当に助かったわ。あ、お茶入れたわよ。ケーキ食べる?」

両津「おう、サンキュー。麗子の作る菓子は上手いからな」


17 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/18(火) 20:11:14 ID:6JFSbM32
麗子「両ちゃん、大酒のみのクセして甘い物好きだものね。気をつけないと糖尿病になっちゃうわよ」

両津「大きなお世話だ!」

trrrr

両津「お、中川から電話だ……どうした、中川?」

中川「先輩、今どこにいるんですか?」

両津「麗子の買い物を、部屋に運び込んでるところだ」


18 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/18(火) 20:12:31 ID:6JFSbM32
中川「麗子さんも一緒ですか、ちょうど良かった。先輩が乗ってみたいって言ってた新型クルーザーのスケジュールがたまたま空いたんですよ。
麗子さんも一緒にどうですか?」

両津「麗子、どうする?」

麗子「私も乗ってみたい。いくわ」

両津「そうか。中川、何時にどこへ行けばいいんだ?」

麗子「今日の夜8時ごろ江ノ島港につきますから、それぐらいに来て貰えば」

両津「わかった。じゃあな」プツッ


19 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/18(火) 20:14:56 ID:6JFSbM32
麗子「ねえ両ちゃん、すこし早めに行かない?」

両津「なんか用でも有るのか?」

麗子「そうじゃないけど、鎌倉をたまには歩いてみたいなと思って」

両津「あんなところ寺と神社しかないだろう。腹が減るだけだ」

麗子「そんな事無いわよ。おしゃれなスィーツのお店だっていっぱいあるのよ。それに鳩サブレ好きでしょ。あれも鎌倉のお店よ」

両津「しょうがねーな、じゃあ、つきあってやるよ」

麗子「ありがとう。じゃあ、私が車を出すわ」


27 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/19(水) 20:50:51 ID:LS5dfCMY
両津「てめえ、そんな生意気な事言ってると……」ハンドル、グイッ

車 キキキィーッ、ドリフトーッ

ビニールのカーテン バサッ
 
麗子「わっ、何するの!ハンドルいたずらしたら危ないじゃない!普通の道路でこんな走り方したら事故起きるでしょ!……で、ここは?」


34 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/21(金) 06:47:44 ID:z/Sxwq9w
・・・バスルーム・・・

両津「引っ込みが付かなくてここまで来ちまったが……麗子のやつナニ考えてるんだ、シャワーまで浴びさせて。まさか本気でしても良いって考えてるわけじゃ……」

両津「あ、そうか。わしがシャワーを浴びてる間に逃げちまおうって気だな。うーむ、こんなところにおいてかれると困るな、駅が結構遠いし。まあ、しょうがないか……」

麗子「両ちゃん、入るわよ」ガラガラ

両津「え、あ、うそ、麗子、ハダカ……」

麗子「どうしたのそんな驚いた顔して」


35 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/21(金) 06:49:41 ID:z/Sxwq9w
両津「いや、シャワーに入っている間に逃げるもんだと……」

麗子「そんな人をだますような事しないわよ、両ちゃんじゃないんだから。それとも逃げて欲しかったの?」フフン

両津「そんなわけないじゃないか。しかし、一緒に入らなくたって良いだろう」

麗子「だって江戸っ子だとか言って、いつもカラスの行水でちゃんと体洗ってないでしょ。本田さん言ってたわよ。だから綺麗になったの確認しないと」

両津「本田のヤツ余計なことを…。し、しかしだな、せめてバスタオル巻くとか」


37 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/21(金) 06:51:41 ID:z/Sxwq9w
麗子「ちゃんと洗ってるかどうか怪しいもの。ホラ、手を貸して…コシコシ…ほんとに身体中毛むくじゃらなのね…コシコシ…」

両津「……あっ、そこはいい!!」

麗子「私に咥えさせるんでしょ?きれいになってなかったらいやだもの」

両津「馬鹿、そんな事させる訳な……」

麗子「させる訳な……?」チラッ

両津「させる訳な……いことは無いけども、だ。つまり、そのう……」

麗子「ハイ、流すわよ…ザー…じゃあ、お風呂に熱めのお湯入れといたから、よく暖まってきてね。先にあがってるわ」ガラガラ

両津「あ、麗子。ちょっとま……」


53 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/22(土) 19:19:16 ID:WNkJE49c
・・・2ヶ月後 亀有公園前交番・・・

中川「おはようございます、ニューヨークの出張から帰りました……あれ、先輩どうしたんですか、抜け殻みたいな顔して?」

両津「空しい……いくら勝負とは言え、なんて馬鹿なことを……」ドヨーン

中川「耳に入ってないな……あれ、麗子さん、制服がいつもよりシンプルだね。また新しいのを買ったのかい?」

麗子「違うわ、支給の官品よ」

中川「へー珍しい。あれ?ひょっとして、先輩がたそがれてるのと関係が……」

麗子「まあ、有るような無いような。実はこの間のお給料日にね…」


62 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/22(土) 19:37:58 ID:WNkJE49c
中川「ハハハ。あれ、先輩がニュースを見てる。いつもアニメと時代劇しか見ないのに……」

麗子「違うのよ。さすがにひど過ぎるお金の遣い方したことに気がついたのか、ガックリ来てチャンネル変える気力もなくなってるの」

中川「なるほど……」

麗子「私もちょっとやりすぎちゃったかしら……両ちゃん、お茶入れたわよ」

両津「ああ」ドヨーン

麗子「ずっとあの調子よ」


63 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/22(土) 20:08:35 ID:WNkJE49c
中川「そうなんだ……あれ先輩、ニュースで先輩が国債買った国の話をやってますよ」

両津「どうでもいい……」ドヨーン

中川「えーと、日本から大量の投資があり、それを元手に資源開発を行った結果、油田と、ダイアモンドと金とウランの鉱山が発見されて、ついでに高純度のヘリウムが大量に噴出している場所が確認されただって!
それで、国債のデフォルトが回避されインフレもおさまり、通貨価値もざっと1000倍くらい上がったみたいですよ!!」

部長「つまり、どういうことなんだ、中川?」

中川「簡単に言うと、先輩の投資がすごい財産を生み出したということです」

両津「…すごい財産…?」ピク


64 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/22(土) 20:10:50 ID:WNkJE49c
部長「すごい財産て、いくらぐらいだ?」

中川「もし、1兆円投資していれば最低でも1000兆円、麗子さんの財産が2兆や3兆でおさまる訳が無いのでひょっとすると京を超えてるかも……まあ、税金でかなりひかれるでしょうが」

両津「……1000兆円……京……」ピクピク

部長「イッセンチョウ……。両津すぐ貯金しろ!!ゆうちょなら年利は低いが半年複利計算で……」

中川「部長落ち着いてください。ゆうちょには限度額が……って、そんなことよりこれからニュースの取材で大変なことになりますよ」

部長「取材?」

中川「これだけ大きな投資であれば、先輩がやったってことがマスコミに知れ渡ってるはずです。あっ、もう取材の車がいっぱい来た……」


65 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/11/22(土) 20:15:45 ID:WNkJE49c
ブーン キキーッ ザワザワ 
記者の皆さん「天才投資家の両津さんがお勤めの派出所は、こちらですか!」
記者の皆さん「投資成功のコツはなんですか?!」
ザワザワ アーデモナイ、コーデモナイ、ハヤクコタエロ……

両津「……なにやら金の匂いが……そうだ、ボーっとしてる場合じゃない!!!」シャキーン

麗子「あ、両ちゃん!」 

両津「マスコミの皆さん!私が天才投資家、両津ファンド総裁のソロス両津です!私にご資産運用をお任せくだされば1週間で太陽系ごと買い占めてご覧に入れます!!」

麗子「せっかく身軽になれたと思ったのに……。でも、ようやくいつもどおりの両ちゃんに戻ってよかった……」

                                                  おわり

Comments are closed.

Post Navigation