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1 : 2014/07/26(土) 01:24:58.42 -
街
タチコマ「おほー!すごーい!経験値がどんどん上がっていくー!……ん、あれは?」
しんのすけ「そこのおねいさ~ん、オラと海が見える丘公園でおデートしない?」
若い女性「ぼ、坊や、お父さんとお母さんは?」
しんのすけ「まあまあ、そんなことよりオラと未来について話しませんか?(キラン」
タチコマ「あれはもしや人間が番になるための手段の一つであるナンパという行為なのでは?バトーさんも少佐にあれぐらい言えたらいいのになぁ。それにしてもあの子どう見ても子供だよね。一応声をかけとこうかな。君ー、こんなところで何してるの?」
しんのすけ「おっ?そうだったそうだった。ねえねえ、シロを見なかった?」
タチコマ「シロ……?」
しんのすけ「シロはオラが飼ってる犬の名前だぞ。迷子になっちゃったけど」
タチコマ「飼う、迷子……。知らない」
しんのすけ「じゃあ一緒に探してほしいぞ。シロを探してたらとーちゃんとかーちゃんも迷子になっちゃって」
タチコマ「……それは君の方が迷子になったんだと思うよ。うーん、僕はこれから街の方へ行きたいんだけど」
しんのすけ「ほうほう、奇遇ですな。オラも街を通って馬が見えるオカマ公園に行こうとしてたところだぞ。たぶんそこにシロはいるぞ」
タチコマ「海が見える丘公園のことだね。ていうかさっきはちゃんと言えてたのに。まあ、街までだったら一緒に行ってもいいよ」
しんのすけ「ほっほーい!それじゃあ早速出発おしんこー!ところで君の名前を聞いてなかったぞ。オラは野原しんのすけ」
タチコマ「僕はタチコマ」
しんのすけ「タコチマ?ほうほう、言われてみると確かにタコに似てますな。何はともあれよろしくお願いするぞ!」
タチコマ「タコチマじゃなくてタチコマだよ」
ウィーン、カシャンカシャン…
コドモトコ「……」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1406305488
ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1406305488/
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2 : 2014/07/26(土) 01:28:34.97 -
商店街
ワイワイ、ガヤガヤ
ウィーン…
しんのすけ「そこのおねいさーん、オラとお茶しない?」
タチコマ「シロを探してるんでしょ、落ち着きがないなぁ。というかナンパって5歳児がするものなのかな?」
しんのすけ「おっ?」
タッタッタッ…
しんのすけ「シロはたぶんお腹が空いてるから、これ買う!」
ジュー、ジュー!
タチコマ「(看板には赤犬って書いてある。それってつまり犬肉……)」
タチコマ「なんだか、やめておいた方がいいと思うな~」
しんのすけ「えっ、なんで?」
タチコマ「それは……。おっ!もしかしてあの犬、シロと近いんじゃないかな?」
野良犬「グルルル!」
タチコマ「ほら、この犬シロじゃない?」
野良犬「クゥン、クゥン!」
しんのすけ「違うぞ。シロはこんなに大きくないし、シロは灰色じゃなくて白い犬だぞ」
タチコマ「そっか」
ポーイ、ベチン!
野良犬「キャインキャイン!」
しんのすけ「そんなことしたらかわいそうだぞ!」
タチコマ「かわいそう?でもいらない犬だよ。シロじゃないんでしょ?」
しんのすけ「シロじゃないけど。いじめは駄目だってよしなが先生が言ってたぞ」
タチコマ「いじめてないよ、いらないだけ」
しんのすけ「んもー、今度やったらお尻ペンペンよ!(プンプン」
タチコマ「……」
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3 : 2014/07/26(土) 01:33:34.34 -
スラム街
ウィーン…
タチコマ「ん?これは何だ?なにやら凄い物の予感がする!」
カシャン、プスッ
タチコマ「なにこれ!?電脳じゃないか!あれ?でもこれ防壁がない。もしやこれは人間が人生の最期に見るという走馬灯という代物では!?ん?君は僕?僕かつ君たち?あ、あれ?!ゴーストが!」
しんのすけ「ねえねえ、早く行こうよ~!」
タチコマ「え?あ、うん。今行くよ」
しんのすけ「もしかしてもう疲れたの?まったく、これだから最近の若者は」
タチコマ「君も若者でしょ」
警官A「ちょっと、そこの坊や。こんなところで何をしてるのかな?」
警官B「何か身分を証明できるような物を持ってるかい?」
しんのすけ「オラ、野原しんのすけ、5歳!」
警官A「野原しんのすけ君ね。このペットロボットはしんのすけ君のかな?」
警官B「しんのすけ君のおうちはどこかな?」
しんのすけ「かすかべ!」
警官B「埼玉県の春日部かな?そんな遠くから一人で来たの?」
タチコマ「おいおい、君たち。私はこう見えてもこの子の立派な保護者だよ!大戦時、敵の銃撃を受けて重傷を負ったが、応急処置で入ったこの戦車に脳が癒着してしまってね。今でもこんな姿だ。肉体を失ってまで祖国に尽くした愛国者をペット呼ばわりするとは至極失礼な話じゃないか!君のように大戦を知らない温室育ちの若者は——」
警官A「わ、分かりました!もう結構です」
コツコツ…
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4 : 2014/07/26(土) 01:38:11.44 -
しんのすけ「おお~!すごい!今の腹話術!?」
タチコマ「まあね」
しんのすけ「じゃあアクション仮面の真似も出来る?」
タチコマ「アクション仮面?アクション仮面、アクション仮面、と。あっ、音声データがあった。じゃあいくよ」
タチコマ「ワーッハッハッハッハ!アクション、ビーム!!」
しんのすけ「おおー!アクション仮面の声とそっくりだぞー!」
タチコマ「ほめてもらうと嬉しいな。あ、そうだ。君が行きたがってた海が見える丘公園に行ってみようよ」
しんのすけ「一緒に行ってくれるの?」
タチコマ「うん、もうここには面白そうな物もないし。シロもきっとそこで待ってるんでしょ?」
しんのすけ「やったやったー!ありがとうだぞタチコマ!」
カシャンカシャン、ウィーン…
コドモトコ「……」
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5 : 2014/07/26(土) 01:45:22.12 -
道路
しんのすけ「——シロは白くて綿飴みたいで、なかなか可愛いやつなんだぞ」
タチコマ「へえ~。あ、そうだ。シロはどうして逃げちゃったの?しんちゃんとシロはそんなに仲良しなのにさ」
しんのすけ「可愛い犬を見つけて走っていっちゃったんだぞ。まったく、シロの女好きにも困りますな」
タチコマ「そういうしんちゃんも商店街で若いお姉さんをナンパしてたでしょ。飼い主と飼い犬は似るって本当みたいだね」
しんのすけ「いやぁ、それほどでも」
タチコマ「ほめてないって。それにしてもしんちゃんはどうしてシロを意地になって探してるんだい?しんちゃんは普段は春日部に住んでて、ここは全く知らない場所なんでしょ?見ず知らずの場所で一人で探すなんて恐くない?だいたい犬なんて代わりのを親にまた買ってもらえばいいじゃないかって僕は思うんだけど」
しんのすけ「駄目だぞそんなの!シロはこの世界に1匹しかいないし、それにシロには野原シロって名前があって家族の大事なメンバーなんだぞ」
タチコマ「……」
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6 : 2014/07/26(土) 01:50:58.20 -
海が見える丘公園
タチコマ「ここだね」
しんのすけ「よっと。シロー!シロー!」
シロ「ワン!」
しんのすけ「おお!シロ!心配したんだぞまったくー」
シロ「クゥーン」
ペロペロ
しんのすけ「あはは、くすぐったいぞシロ」
タチコマ「見つかってよかったね。それにしてもしんちゃんはよくシロがここにいるって分かったね?」
しんのすけ「だってオラたち海が見える丘公園に行く予定だったから、シロも知ってて当然だぞ」
タチコマ「シロはすごく賢いんだね」
シロ「ワン!」
しんのすけ「まあオラほどではないけど」
シロ「(ジーッ」
タチコマ「その自信はどこから出てくるんだい?」
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7 : 2014/07/26(土) 01:54:15.76 -
しんのすけ「でもシロが無事で本当によかったぞ。ひょっとして怪我したり死んじゃったりしてるんじゃないかって、オラ心配してたんだぞ……(キラッ」
タチコマ「……人間は大切な友達が傷ついたり死んだりすると、とても悲しい気持ちになるんだね。僕には死っていう概念が分からない。ゴーストがないからだと思うんだけど。悲しいって概念も理解できない。やっぱり僕が死ぬことが出来ないからだな」
しんのすけ「タチコマは死なないの?」
タチコマ「うん。僕はAIだからね」
しんのすけ「じゃあオラが飼っても死なない?」
タチコマ「うん」
しんのすけ「車に轢かれても?」
タチコマ「うん」
しんのすけ「そっか。うーん、でもこれ以上は母ちゃんが許してくれないだろうからタチコマはオラんちでは飼えないぞ。そうだ、マサオくんなら飼ってくれるかもしれないぞ」
タチコマ「遠慮しておくよ。……そろそろ、パパやママのところに戻った方がいいんじゃない?今調べてみたら駅前の交番で捜索願を出して待ってるみたいだよ。パパもママも、しんちゃんがいなかったら悲しんじゃないかな?」
しんのすけ「ほーい」
コドモトコ「……」
ウィーン…
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8 : 2014/07/26(土) 01:56:01.77 -
しんのすけ&シロ「zzz、zzz……」
タチコマ『to be not to be』
おしまい
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