男「この手を、離さないぞ」幼馴染「う、うん」


1 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:29:50 ID:vw4Z4/J.
男「まったく、幼は…」

幼「ご、ごめん」

男「今回は俺が見つけられたから良かったけど…」

男「こんな所で迷ったら、幼一人じゃどうにもなんないだろ」

幼「見つけてもらえてラッキー…だったね?」

男「まったく…電車から降りて5秒ではぐれるとは」

幼「えへへ。申し訳ないです」

男「…俺の手、しっかり握ってろよ」

幼「う、うん」

※このssは
幼馴染「ラッキー!」男「また?」
http://jbbs.livedoor.jp/internet/14562/storage/1344254304.html<
の、続きの話しです


ソース: http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1350214190/


2 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:30:12 ID:vw4Z4/J.
男(とっさに握っちゃったけど、なんかちょっと照れるな…)

幼(男に手、握られてる…)

幼(手を繋ぐのなんて、別に何ともないはずなのに…何か照れちゃうな)

幼「ま、まぁ日本語通じるんだからさー」

幼「迷っても、その辺歩いてる人に聞けばわかるよ、多分」

男「それでもだよ、俺が心配なんだよ」

幼「ありがとね、男」


3 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:31:03 ID:vw4Z4/J.
男「しっかし、さすが大都会。人が多いなぁ」

幼「そうだねぇ。沖縄じゃ考えられないねー」

幼「男、道はわかるの?」

男「あぁ、一応ガイドブックは買ってきた」

幼「あとはスマホで何とかなるだろう」

幼「スマホ使いこなして、何か都会人みたいだよ、男」

男「ま、普段はあまり使わないんだけどなー」

男「こんな時くらいは役に立ってもらわんとなー」

男「ちょっと待っててな」
ピッピピッ


4 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:31:37 ID:vw4Z4/J.
幼「あ、あんな所に…」
グイッ

男「ん?、幼どうした?」

幼「あ、ごめん、手握ってたんだった」

幼「あそこに、財布っぽい物が落ちてるから、拾おうかなーと思って」

男「ん、拾って、駅員さんに届けるべきだな」

幼「うん、ちょっと行ってくる。ね?」


5 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:32:15 ID:vw4Z4/J.
男「俺、ちょっと道調べてるからさ」

幼「大丈夫だよ、ほんの数メートルだよ」

男「ん、人ごみに流されないようにしろよ?」

幼「大丈夫だよ。行ってくるね」
タタッ

幼「よっと…わぁ、可愛い財布だなぁ」

幼「革の財布かぁ…何か暖かい感じだなぁ」

幼「これって…手作りかな?」

幼「あっと駅員さん、駅員さん…」


6 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:32:37 ID:vw4Z4/J.
幼「あのー、すみません。これ、落とし物です」

駅員「あぁ、どうもありがとう」

幼「いえいえ。それでは…」

息を切らした女「あ、あの、すんませんっ!」
ハアッハアッ

駅員「はい、なんでしょうか?」

息を切らした女「あ、あの…お、落とし物で…財布、届いてませんか?」
ハァハァ


7 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:33:02 ID:vw4Z4/J.
駅員「どんな財布でしょうか?」

息を切らした女「えっと…現金は…そんなに…入ってなくて」
ハァハァ

息を切らした女「ディズニーリゾートの年間パスポートが入ってて…」

駅員「外見は?」

息を切らした女「あ、えっと、革で出来てて、茶色いです!」
ハァハァ

駅員「ひょっとして、これかな?」

息を切らした女「あ!それ!それです!」
ハァフゥ


8 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:33:34 ID:vw4Z4/J.
駅員「一応中身を確認させてもらってもいいですか?」

息を切らした女「はい!どうぞどうぞ!」
ハァフゥ

幼「あの、大丈夫ですか?」

息を切らした女「あ、うん。大丈夫大丈夫」
ハァ

息を切らした女「久々にちょーっと走って、息が切れてるだけだから」
フゥ


9 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:34:13 ID:vw4Z4/J.
駅員「…間違いなさそうですね。はい、どうぞ」

財布が見つかった女「良かったぁ…」

駅員「この子がたった今届けてくれたんですよ」

財布が見つかった女「あ、ありがとうございます!」

財布が見つかった女「お礼、しなきゃね!」

幼「あ、いえいえ。良かったですね見つかって」

財布が見つかった女「お礼するよ!遠慮しないで!」


10 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:34:48 ID:vw4Z4/J.
財布が見つかった女「この財布、すっごく大切な物なんだー」

幼(すっごく嬉しそう…)

幼(ん?この人…どこかで会ったっけ?)

見覚えのある女「ん?何?私の顔に何か付いてる?」

幼「あ、じっと見ちゃってごめんなさい」

幼「あの、私とどこかで会った事ありませんか?」

見覚えのある女「んん?言われて見れば…どこかで会ったような?」

見覚えのある女「うーん?どこで会ったっけ?」


11 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:35:29 ID:vw4Z4/J.
幼・見覚えのある女「…」

幼「あ!思い出した!」

幼「あの、てだこ祭りの浴衣コンテストで優勝した方ですよね?」

見覚えのある女「うん?ううん?そうだけど…」

幼「あ、私、あの時、2位だった者です!」

祭りで会った女「あ!あぁ!あぁ!思い出した!」

祭りで会った女「私にリゾートホテル宿泊券をくれた人!」


12 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:36:05 ID:vw4Z4/J.
祭りで会った女「ごめんごめん!髪下ろしてるから、わかんなかった!」

祭りで会った女「あの時はありがとね!」

幼「あ、いえいえ、こちらこそ!」

幼「あの時はありがとうございました」
ペコッ

幼「おかげさまで今日、ココにに来られました!」

祭りで会った女「あ、そうなんだ?あの時の賞品で来てるんだ?」

幼「はい、友達と二人で…」


13 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:37:06 ID:vw4Z4/J.
祭りで会った女「あ、今からランドに行く感じ?」

幼「はい、あそこで携帯いじってるのが、その…友達です」

祭りで会った女「へー。ね、あれって彼氏?彼氏?」

幼「あ、は、はい、そうですね。えへへ」

祭りで会った女「へー?へー!あ、私もね、彼氏と来てるんだ!」

祭りで会った女「あ!しまった!あいつの事、待たせてるんだった!」

祭りで会った女「行かなきゃ!それじゃ!」

祭りで会った女「拾ってくれてありがとね!」

幼「あ、はい!さようなら」

祭りで会った女「ばいばーい!」
タッタッタ


14 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:37:40 ID:vw4Z4/J.


男「遅かったな、幼」

幼「ごめんね。財布の持ち主がすぐに見つかってね」

男「ほう。そりゃあ良かったな」

幼「それがねー、なんとてだこ祭りの時、旅行券をくれた人だったんだー」

男「はー?なんつー偶然!」

幼「ねー?結構凄い偶然だよねー?」


15 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:38:20 ID:vw4Z4/J.
男「で、その人は?」

幼「彼氏さんを待たせてるからって、走って行っちゃった」

男「そっか。幼、また一つ良い事したな~」

幼「えへへ。財布見つけたのは偶然だけど良かったよ」

男「それじゃ、そろそろ行くかー」

幼「うんっ!」


16 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:38:50 ID:vw4Z4/J.
男「まずはホテルに荷物預けてこよう」

男「時間が早いからチェックインはまだ無理だけど」

男「荷物は預かってもらえるはずだからさ」

幼「はーい」

幼「それにしても、リュックにして大正解だったね」

男「おう。姉ちゃんが言ってたんだ」

男「トランクより、リュックに入る分だけの荷物にしろって」

男「身軽に動けるし、両手自由だし」

ギュッ

男「こうやって手も繋げるし、な?」

幼「…うん!」


17 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:39:28 ID:vw4Z4/J.


『ランド入口』

男「おぉ…」

幼「凄いね…」

男「おう、想像以上に夢の国だな…」

幼「私たち、場違いじゃない?」

男「そんな事ないだろうよ…多分」

男「さぁ、行くぞ!」

幼「う、うん!」


18 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:39:50 ID:vw4Z4/J.
幼「何から行く?」

男「幼の好きな奴から行こう」

幼「うーん。私、どれが良いのかわからないよ?」

男「そんじゃ、適当に行くか!」

男「きっと行列出来てる奴が面白い!」

幼「うんっ!」


19 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:40:23 ID:vw4Z4/J.
『120分待ち』

男「うぇー…2時間って…」

男「これがディズニーランドの洗礼か…」

幼「どうしよう、違うのにする?」

男「いやー、どっちにしろ並ばないとだろ?」

男「このまま並ぼうぜ」

幼「そうしようかー」


20 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:41:12 ID:vw4Z4/J.
さっきの女「おーい!あなた達…」

幼「あ、さっきの!」

知らない男「誰?知り合い?」

さっきの女「この子だよ、さっき話してた子」

さっきの女「財布拾ってくれたの、この子なの」

しらない男「あー、それはそれは」

知らない男「あの時はありがとうざいました」

知らない男「あなたがくれたリゾートホテル宿泊券のおかげで」

知らない男「沖縄の旅が100倍楽しめました」


21 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:41:55 ID:vw4Z4/J.
幼「えっと…いえいえ、こちらこそですよ」

さっきの女「あ、自己紹介まだだったよね!」

さっきの女「私は千葉女、こっちは千葉男」

千葉男「よろしくー」

幼「私の名前は幼って言います」

男「男です、どうも」

千葉女「よろしくね!幼さん!」

幼「こちらこそ、千葉女さん」


22 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:42:19 ID:vw4Z4/J.
千葉男「で、今からこれに並ぶの?」

男「はい、人が並んでる奴なら面白いかと思って」

千葉女「ははーん、二人とも、初心者だね?」

幼「はい、初めて来ましたから」

千葉女「それじゃあ、私たちが案内してあげよう!」

千葉女「いいよね?千葉男!」

千葉男「いやだっつっても行くんだろ?良いよ」

千葉男「それに財布拾ってくれた恩も、きちっとかえさないとな」


23 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:43:08 ID:vw4Z4/J.
幼「そ、そんな、悪いですよ」

千葉女「まぁまぁ、あの賞品券、確か3泊4日だったでしょ?」

千葉女「今日で回り方覚えて、明日と明後日、二人で楽しめばいいじゃん!」

千葉男「お礼がしたいんだよ、こいつ」

千葉女「こいつ言うな!」

幼「わかりました、それじゃ道案内お願いします!」

幼「良いよね、男?」

男「もちろん。よろしくお願いします!」


24 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:43:50 ID:vw4Z4/J.
千葉女「うんうん!ダブルデートだね!」

幼「は、はいっ」

千葉女「それじゃまずねー」

千葉女「この列に並ぶの止めてー」


千葉女「わかった?」

男「こんな順番の取り方があるんですね」

千葉女「フフフ基本だよ、基本」

千葉女「さて!それじゃあ、待ってる間、一カ所行ってみようか!」

千葉男「えー、最初に観るのがアレって駄目じゃないか?」

千葉女「いいじゃん!すぐそこだよ、すぐ見れるし!」


25 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:44:26 ID:vw4Z4/J.


千葉女「ね?どうだった?どうだった?」

男「あ、あの、正直に言っていいっすか?」

千葉女「うんうん!」

男「イマイチでした…」

千葉女「でしょでしょ?」

幼「え?」


26 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:44:54 ID:vw4Z4/J.
千葉女「私、来る度にコレ見るんだけどさぁ」

千葉女「何回見ても、良さがわからないんだよねぇ」

千葉女「マイケルはカッコ良いんだけどさー」

男・幼「…」

千葉男「ほら、二人が引いてるだろ」

千葉男「ごめんな、二人とも」

男・幼「い、いえ」


27 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:45:34 ID:vw4Z4/J.
千葉女「さぁ、最初に微妙な気分になったなら…」

千葉女「あとは上がるだけだよ!テンション上げて行こう!」

男・幼「は、はいー」

千葉女「私としては、マウンテンは全部制覇して欲しい!」

千葉女「レッツゴー!」

幼「はいー」

男「千葉女さん、テンション高いですね」

千葉男「いっつもこんな感じなんだよ、あいつ」


28 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:46:04 ID:vw4Z4/J.


男「す、凄かったなー」

幼「そ、そうだね…凄かったね…」

千葉女「どう?初めてのディズニーランドは?」

幼「はい!凄いですねー」

千葉女「最初に軽いがっかり感を味わった事が」

千葉女「他のアトラクションをより一層輝かせてるんだよ!」

千葉男「それはどうかと思うがな…」


29 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:47:09 ID:vw4Z4/J.
千葉女「さぁ、次はこっちだよ、こっち!」
グイッ

男「ちょ、千葉女さん?」

千葉女「いいじゃん!早く行かないと!」

幼(あ…腕、組んでる…)

幼(千葉女さん、楽しそうだなぁ)

千葉男「ごめんね、幼さん」

千葉男「あいつ、今、ちょっとおかしいんだ」

幼「え?い、いえいえ、別に私は何も…」


30 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:47:57 ID:vw4Z4/J.
幼(あれ?…)

幼(何だろう、胸がモヤモヤする…)

幼(こんな気持ち、なった事ない…)

幼(いつもなら男に相談するけど…)

幼(…どうしてだろう、何か…怖い…怖い?)

千葉女「おーい!二人とも早く早く!」

千葉女「次のマウンテンに行くぞー!」

幼「は、はーい」


31 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:48:23 ID:vw4Z4/J.
幼(…何だろう、やっぱりモヤモヤする)

幼(気持ちがざわついて…やっぱり怖い…)

千葉男「…」

千葉男「おい!ちょっとこっち来い!」

千葉女「な、何よ!」

千葉男「いいから、ちょっと来い!」
グイッ


32 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:48:55 ID:vw4Z4/J.
男「ふぅ…やっと解放され…ん?どうした幼?」

幼「え?な、何が?」

男「何か、顔色悪いぞ?大丈夫か?」

幼「あ、うん。大丈夫だよ、男」

幼「ちょっと人ごみに酔っただけだよ、うん」

男「そうか…?きつくなったら言えよ?」

幼「ありがと、男」


33 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:49:31 ID:vw4Z4/J.
幼(…ホッとした)

幼(でも何だったんだろう、さっきのモヤモヤ…)

男「しっかし凄いよなぁ」

幼「えっ?」

男「いや、沖縄にはこんなアトラクションとかないじゃんか?」

男「生まれて初めて乗ったけど、凄いもんだよなぁ」

幼「そ、そうだねー。ビューンってなったり、ガタンってなったりねー」

幼「どれも未知の感覚だよねー」


34 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:49:53 ID:vw4Z4/J.
幼「…」ハァ

男「…幼、やっぱり調子悪い?」

幼「え?だ、大丈夫だよ?」

幼「全然平気だから、心配しないで?」

男「幼は無理するタイプだからなぁ」

幼「ホントに大丈夫だから!ね?」

男「…」


35 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:50:24 ID:vw4Z4/J.


千葉男「待たせてごめんな、二人とも」

千葉女「…」

千葉男「ほら、言う事あるだろ?」

千葉女「う、その…はしゃいじゃって、ごめんなさい」

千葉男「まったく…はしゃぎすぎだ、お前は」

千葉女「ごめんね?」


36 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:50:45 ID:vw4Z4/J.
幼「あ、こちらこそ、すみませんっ」

幼「逆に気を遣わせてしまって…」

千葉男「いやいや、謝るのはこっちだよ」

千葉男「振り回しちゃってごめんなー」

男「や、もうここはお互い、謝るのナシにしましょうよ」

男「せっかくの夢の国なんだから」

男「楽しまないと損ですよ!」


37 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:51:28 ID:vw4Z4/J.
千葉女「そ、そうだよね!だよねー!」

千葉男「確かにそうだけど、お前が言うな」
ポカッ

千葉女「すいませんっ!調子のってホントすんませんっ!」

幼「ふふっ。お二人お似合いですねー」

千葉女「そう?そう?そう見える?」

幼「見えますよー。凄くお似合いです」


38 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:52:03 ID:vw4Z4/J.
千葉女「えっへっへー。だってよ?千葉男?」

千葉男「…ありがとね、幼さん」

千葉女「照れてる照れてる!にへへー」

千葉男「ゴホン!まぁそんな訳でさ」

千葉女「どんな訳だー!」

千葉男「茶化すなよ!」

千葉女「サーセン!サーセン!」


39 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:52:25 ID:vw4Z4/J.
千葉男「ここからはちょっとゆっくり見て回ろうぜ?」

千葉女「アトラクション以外にも、見て回るもの、いっぱいあるからね!」

千葉男「道案内するからさ」

男「そうしましょうか」

幼「宜しくお願いしますー」


40 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:53:19 ID:vw4Z4/J.


男「いや、本当にまったく…想像以上です」

千葉男「初めてだもんな。色々ビックリだろ?」

男「ビックリだらけですよ」

幼「まさか、ミッキーとミニーにも会えるなんてー」

千葉女「たまーに歩いてるんだよ」

幼「はー…本当に、色々あるんですねー」


41 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:53:46 ID:vw4Z4/J.
千葉女「ふふふー凄いでしょ?一日じゃ、絶対回りきれないよ!」

千葉男「なんでお前がドヤ顔なんだよ」

千葉女「いいじゃん別に!」

幼「ふふっ」

千葉女「えへへー楽しいね、幼さんっ」

幼「はい!とっても楽しいです!」

幼「本当に来て良かったです」


42 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:54:42 ID:vw4Z4/J.
千葉女「そう言ってもらえると、旅行券あげた私も心晴れ晴れだよ!」

千葉男「その代わりに俺たちはリゾートホテルに泊まれたんだから」

千葉男「おあいこだろ」

千葉女「それはそうだけどさー」グゥ

全員「…」

幼「そ、そういえば、お昼食べてませんでしたね」

千葉女「お恥ずかしい…でもさすがにお腹空いたー」

男「楽しすぎて、時間経つの忘れてました…もう夕方なんですね」

千葉男「それじゃ、何か食べようか」

千葉女「賛成!賛成ー!」


43 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:55:28 ID:vw4Z4/J.
千葉女「行きたいレストランは…って聞かれても解んないよね?」

幼「はい、全然わかりませんー」

千葉男「じゃ、カレー食べに行こう!」

千葉女「えー?またカレ−?違うやつにしようよー」

千葉男「いいじゃん、カレー。な?二人はどうよ?」

幼「えーっと…」

男「俺ら、全然わかんないんでお任せします!」

千葉女「いやいや!せっかくの旅行なのに!カレーとか!一番無い選択でしょ!」

千葉男「…じゃあ、ブルーバイユーとか?」

千葉女「いいねー!今日は奮発して、そうしちゃおうよ!」


44 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:56:01 ID:vw4Z4/J.
千葉女「ちょこーっとお高いけど、カレーよりは良いよね?」

男「俺らは大丈夫です!」

男「観光地のご飯が少々お高いのはわかってますから!」

千葉女「なら、レッツゴー!」

千葉男「俺ら普段は軽いやつしか食べないんだよ」

千葉男「食費削る感じだからさ」

千葉女「でもでも!今日くらいは良いよね?」

千葉男「まぁ、そうだな。今日は特別だな」

幼「じゃあ、行きましょう!私もお腹空きましたー」


45 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:56:37 ID:vw4Z4/J.


『レストラン』

千葉男「席、空いてて良かったなー」

男「なにせウチには、幸運の女神様がいますからね」

男「あ、そういえば、ちょっと質問が」

千葉男「ん?何?」

男「お二人、何歳ですか?」

千葉男「二人とも17歳、高2だよ」

男「おっと、同い年だったとは!?」


46 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:57:54 ID:vw4Z4/J.
千葉男「え?」

千葉女「え?マジで?タメなの?」

幼「えー。お二人、年上だと思ってました」

千葉男「完全に年下だと思ってた…」

千葉女「同じ17歳…どうしてこんなに差が…」

幼「え?」

千葉女「ちょっと幼さん…こっち来て」

幼「はい?」

千葉男「おい、また変な事言ったりすんなよ?」

千葉女「うっさい!」


47 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:58:32 ID:vw4Z4/J.


千葉女「ちょっと質問なんだけどさ」

幼「はい?」

千葉女「ね、男君とその…お付き合いして長いの?」

幼「いいえ。その、私と男は幼馴染なんですけど」

千葉女「マジで?私と千葉男も幼馴染なんだよ!」

幼「そうなんですか?」


49 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 20:59:39 ID:vw4Z4/J.
千葉女「家もすぐ隣りなんだよっ」

幼「あ、私たちもそうなんですよー」

千葉女「へー!へー!私たちって、何か似てない?」

幼「そうですねー。なんだか、昔から知ってるような…そんな感じしますねー」

千葉女「ね、突然だけど、アドレス交換しない?」

幼「はい?」

千葉女「私たち、何か縁があるなぁと思って!」


50 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:00:16 ID:vw4Z4/J.
千葉女「それで、友達になれるんじゃないかなと思って!」

幼「あ、は、はいっ」

千葉女「それじゃ、早速っ!」
ピッ

幼「はい!」
ピッ

千葉女「…これで良しっと」

千葉女「ねぇねぇ、それでさぁ?」

幼「はい?」


51 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:01:07 ID:vw4Z4/J.
千葉女「さっきの質問に戻るんだけど」

千葉女「男君とお付き合いしだして長いの?」

幼「えっと、男女としての付き合いは、全然ですよ」

幼「あの…告白して、付き合い始めたのが、実は先週なんですよ」

千葉女「えー?そうなの?」

千葉女「あー、でも小さい頃からずっと一緒に居たんだよね?」

幼「はい。保育園からずっと一緒です」


52 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:01:56 ID:vw4Z4/J.
千葉女「…来年受験でしょ?大学も一緒の大学に行く?」

幼「うーん、どうでしょう。まだ受験の事とか、考えてないです」

千葉女「将来の事とか、考えたりする?」

幼「えーと、まぁ、はい。それは考えたりします」

千葉女「男君のお嫁さん?」

幼「一応、はい。お嫁さん希望ですね、はい。えへへ」

千葉女「だよねだよね。やっぱりそうだよね」


53 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:03:31 ID:vw4Z4/J.
千葉女「私もそうなんだけどさぁ」

幼「ん?」

千葉女「ちょっとね、将来について意見の相違があって」

千葉女「最近、実は喧嘩気味なんだよね」

幼「でも、お二人、もうすでに夫婦みたいな感じに見えますよ?」

千葉女「そうかな?へへへー。ありがと幼さん」

幼「ホントですからー」


54 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:04:11 ID:vw4Z4/J.
千葉女「それと…さっきはごめんね?」

幼「え?」

千葉女「男君と腕なんか組んじゃって」

千葉女「私、ちょっとやり過ぎだったよね」

千葉女「ごめんっ」

幼「あ、あの…いいですから。大丈夫ですから」

千葉女「いーや!私にはわかるよ、幼さん!」

千葉女「あなた、優しいから、無理してるでしょ?」


55 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:06:05 ID:vw4Z4/J.
幼「う…無理、してる様に見えますかね?私…」

千葉女「私と男君が、腕を組んでいるのを見て、何か思ったでしょ?」

幼「それは…ちょっと、モヤモヤした気分になって…」

幼「不安で、怖い気分に…なりました」

千葉女「それを人は嫉妬って言うんだよ!」

幼「嫉妬…」

千葉女「私たちもそうだったから、ちょーっと言わせてもらうけどさ」


56 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:07:08 ID:vw4Z4/J.
千葉女「小さい頃からずーっと一緒に居て、もう周囲から見たらさ」

千葉女「恋人同士に見えてたと思うんだ」

幼「…」

千葉女「だからそんな二人の間にさ」

千葉女「割って入ってくる人なんて居なかったんじゃないかな?」

幼「…そうかもしれません」

千葉女「二人がお互いの事、大事に思ってるの、すっごく良くわかる」

千葉女「だから、本当に好きな人の事、疑っちゃダメだよ?」


57 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:08:49 ID:vw4Z4/J.
千葉女「幼さんだけじゃなくて、男君も優しいからさ」

千葉女「私みたいなタイプの女の子が、男君の側に現れたらさ」

千葉女「グイグイ来られたら、あまり強く拒否出来ないと思うんだ」

千葉女「実際さっきもそうだったでしょ?」

千葉女「でも絶対、男君は、幼さんの事が好きだから」

幼「そうでしょうか…」

千葉女「絶対だから!見てれば解る!」

幼「は、はい…」


58 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:09:20 ID:vw4Z4/J.
千葉女「それと、これを」
ゴソゴソ
ギュッ

幼「え?こ、これって…」

千葉女「あげる!今夜、同じ部屋で寝るんでしょ?」

幼「は、はい」

千葉女「…頑張って!」


59 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:09:42 ID:vw4Z4/J.
千葉女「幼さんが今思ってる事、ちゃんと男君に話して!」

千葉女「後は成り行きに身を任せてれば良いと思うよ!」

幼「はい…」

千葉女「絶対!大丈夫だから!」

千葉女「それじゃ、そろそろ席に戻ろうか!」

幼「はいっ!」


60 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:10:39 ID:vw4Z4/J.



千葉女「さぁ、お腹も膨れた所で!時間も丁度いい感じ!」

千葉女「最後はいよいよお待ちかねの!」

千葉男「パレードね。早めに行って場所取ろう」

千葉女「いい場所知ってるからね!付いて来て!」

幼「はいっ!」


61 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:11:17 ID:vw4Z4/J.


千葉女「ここ!ここで待ってればよく見えるよ!」

幼「わぁ…凄い人の数…」

千葉男「びっくりするよ、きっと」

男「楽しみです」

ギュッ

男「ん?」

幼「はぐれない様に…ね?」

男「おぅ」


62 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:11:53 ID:vw4Z4/J.


『パレード』

男「すっげー…」

幼「本当に、凄い…」

千葉男「何度見ても綺麗だな、千葉女」

千葉女「そ、そうだね…」

千葉女「本当に…綺麗だね…」


63 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:12:37 ID:vw4Z4/J.
千葉女「…あと、何回、一緒にこのパレードを見られるのかな」

千葉男「はぁ?何だそれ。何回だって見られるだろ?」

千葉女「…うぐっ」

千葉男「ん?どうした?…おい、泣いてるのか?」

幼「千葉女さん?どうかしたの?」

千葉女「な、何でもない!何でもないからっ!」

千葉男「何でもない奴が泣くかよ!」


64 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:13:12 ID:vw4Z4/J.
千葉女「今日のパレードはひときわ綺麗だなーって!」

千葉女「感動してたんだよっ!」

千葉男「おい…嘘つくなよ、千葉女」

千葉女「わ、私は…私はっ!」
ダッ

千葉男「おいっ!」

千葉男「あー、二人とも、ごめん!俺も行くわ!」


65 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:14:37 ID:vw4Z4/J.
千葉男「パレード、楽しんでな!」

千葉男「縁が有ったらまた会おう!じゃな!」

幼「は、はい!千葉女さんによろしくって!」

男「また!」

幼「…行っちゃったね」

男「嵐の様な人たちだったな」

幼「うん、そうだねー」


66 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:15:39 ID:vw4Z4/J.
男「浴衣コンテストの時も、漫才みたいな感じだったよ」

幼「ふふっ。夫婦漫才?」

男「そうだな。夫婦漫才だったな、あれは」

幼「…大丈夫かな?」

男「大丈夫だろう」

幼「だよね」

男「だよ」


67 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:16:26 ID:vw4Z4/J.
幼「パレード、綺麗だね…」

男「手、離すなよ?」

幼「うん。絶対、離さないから」

男「…ずっと、傍に居ろよ」

幼「え?何?今何て言ったー?」

男「何でもない!しっかりパレード見ようぜ?」

幼「う、うん!」


68 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:17:19 ID:vw4Z4/J.


『ホテルの部屋』

幼「はぁ…パレードも花火も綺麗だったねー」

男「あぁ、凄かったなー」

幼「楽しかったけど、ちょっと疲れちゃったね?」

男「そうだなー。今日は色々あったもんなー」

幼「へ、部屋の中もディズニー満載だね?」

男「そうだなー。何か楽しい部屋だな?」

幼「あ、汗かいちゃったし、私、先にシャワー浴びてくるね?」


69 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:17:44 ID:vw4Z4/J.
男「あいよ、どうぞー」

幼「そ、それじゃ、ね?」

男「おー。俺は明日どこ行くか、ガイドブック見ながら考えるー」

幼「う、うん…」

幼(シャワー浴びたら、言うんだ…)


70 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:18:36 ID:vw4Z4/J.


幼「シャワー空いたよー?」

男「お、おう。それじゃ俺もさっと浴びてくるかなー」

幼「う、うん。部屋の中だけじゃなくて、お風呂もこだわってるよ」

男(風呂上りの幼…別に見慣れてるはずなのに、何か…)

男(よ、よく考えたら、今日、同じ部屋で寝るんだぜ?)

男(…)

男(…ドキドキするな、オイ)


71 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:19:01 ID:vw4Z4/J.


男「あー、さっぱりしたー」

幼「ね、ここから見る景色も凄いよー」

男「おー。確かに凄い綺麗だなー」

男「こんなところに無料で来られて、本当にラッキーだなー」

幼「ラッキーだよねー」

男「幼がな?」


72 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:20:14 ID:vw4Z4/J.
幼「えへへ。そうかな?」

男「今日だって、財布拾ってからの、千葉女さんと再会とかさー」

男「奇跡的なラッキーだと思うぜ?」

幼「えへへ。言われて見ればそうかもねー」

男「あぁ、ラッキーでハッピーさー」

男・幼「…」


73 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:20:58 ID:vw4Z4/J.
男「そ、それじゃ、明日も早いし、そろそろ寝るか!」

幼「それじゃ、私、こっちのベッドで寝るね?」

男「おう、俺こっちなー」

幼「それじゃ、おやすみ、男」

男「お休み、幼」

男・幼「…」


74 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:21:48 ID:vw4Z4/J.
幼(い、言えない…一緒に寝ようって…)

幼(やっぱりちょっと怖い…)

男(な、何も…ないよな…)

男(ガッカリしたような、ホッとしたような…)

男(複雑な気分だぜ…)

男(俺から行くべき…か?)

男(でもなぁ…)


75 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:23:18 ID:vw4Z4/J.


30分後

幼(…眠れない)

男(あぁ、悶々として、眠れねー)
モゾモゾ

幼「…ね、男、起きてる?」

男「んー?幼、眠れないの?」

幼「う、うん」


76 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:23:53 ID:vw4Z4/J.
幼(今!今、言うんだ!)

幼「あの、ね?い、一緒に寝てもいい?」

男「ん?いいぞ。じゃあ、ベッド寄せるか」

幼「あ、あのちがくて…男のベッドで、一緒に寝ても、いい?」

男「え?」

幼「ダメ…かな?」

男「い、いや、良いけど…」


77 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:24:18 ID:vw4Z4/J.
幼「…じゃ、じゃあそっちに移るね」

男「お、おぅ」

ゴソゴソ

幼「お邪魔しまーす…」

男「狭いところですけど、どうぞどうぞ」

男・幼「…」


78 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:25:14 ID:vw4Z4/J.
男(ほわーーーーっ!)

男(…背中合わせだけど)

男(幼と同じ布団で、寝るなんて、何年ぶりだ?)

男(超ドキドキする!!)

男「…ぅ」

幼「……」


79 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:25:39 ID:vw4Z4/J.
男「…幼、何かあった?」

幼「えっ?な、何かって?」

男「急に幼がこんな事言い出すなんてさー」

男「俺は未だかつて経験した事のない事態に」

男「…結構、うろたえてるんだぜ?」

幼「ご、ごめんね、急に」

男「謝らないでくれよ」


80 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:26:32 ID:vw4Z4/J.
男「あー…ひょっとして千葉女さんに何か言われたとか?」

幼「え、あ、うん。確かに千葉女さんにちょっと言われたけど…」

幼「こ、これは…私の問題だから」

男「そ、そうか…」

幼「…」

男「…」


81 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:27:43 ID:vw4Z4/J.
幼「あ、あのね、男!」

男「う、うん?」

幼「男は、将来の事とか、考えてる?」

男「将来?」

幼「来年、3年生になるじゃない?」

男「あぁ、進学の事かー」

幼「あの、それよりもう少し先の事とか、さ?」


82 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:28:09 ID:vw4Z4/J.
男「先?就職の事?」

幼「…もうちょっとだけ、先」

男「…」

幼「…」

男「あ…その、え?そう言う話し?」

幼「あの、昔の約束の事だけど、どうなのかなー?って」

男「…幼、言っておくけどな」

幼「何?」


83 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:29:03 ID:vw4Z4/J.
男「先週、商店の店先でも話したけどさ」

男「あれは、俺の方から、お願いしたんだぜ?」

男「幼に、俺のお嫁さんになって欲しいってさ」

男「それに俺の心は昔から変わらないよ」

男「俺、何の取り柄もないけどさ」

男「幼の事、好きだ」

男「幼の事を一番に想い続ける事だけは、世界一だって自信がある!」

幼「…」


84 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:30:34 ID:vw4Z4/J.
男「進学や就職の事はまだ全然考えてないけどさ」

男「俺が進む隣りには、幼が居てほしいって思ってる」

男「でも、それは俺のワガママだから」

男「もし、幼の方が俺に付き合うつもりが無くなったら…」

男「そう思うと、怖くもなる」
ゴソゴソ
ギュウッ


85 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:31:10 ID:vw4Z4/J.
男「お、幼?」

幼「わ、私が男以外の人を好きになるなんて、考えられないよ…」

男「そ、そうか?」

男(首筋に、幼の息が当たって、くすぐったい…)

幼「男、こっち向いて?」

男「ん」
クルッ

男「…幼、泣いてるのか?」


86 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:32:04 ID:vw4Z4/J.
幼「わ、私、今日ね」

幼「千葉女さんと、男が腕組んでるの見て」

幼「モヤモヤして、不安になって、怖かった」

幼「こんな気持ち、今までなった事なかったから」

幼「すっごく怖かったんだ…」

男「…」

幼「千葉女さんに、これが嫉妬なんだよって言われたよ」


87 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:33:01 ID:vw4Z4/J.
幼「私、こんな感情知らなくて」

幼「今まで、周囲にそんな人居なかったからだって」

幼「言われて気付いたよ」

幼「確かに、今まで男の隣りは私が独占してたけど」

幼「これから先も同じとは限らない…」

幼「男が誰か他の人と一緒に、遠くに行っちゃったらどうしようとか」

幼「…夕方、パレードが始まるまで、ずーっとそんな事考えてたんだー」


89 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:35:02 ID:vw4Z4/J.
幼「えへへ…私ちょっと妄想が激しいよね?」

幼「…1週間前までは、ただ一緒に居られるだけで、幸せだったのにね」

幼「もっともっと、傍に居たくなっちゃったんだー」

男「…不安にさせてごめんな、幼」

男「でも、大丈夫だから。俺には幼しか居ないから」

男「昔からずっと好きだから」

男「これからもずっと好きだから」


90 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:35:38 ID:vw4Z4/J.
幼「…うん、ありがとう男」

男「大丈夫、俺たち二人は大丈夫だ!」

男「この先、どんな事があっても!絶対っ!」

ギュッ

男「この手を、離さないぞ」

幼「うん!うんっ!」


91 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:37:13 ID:vw4Z4/J.
男「それじゃ、そろそろ寝るか」
ゴソゴソ

幼「えへへ…男の腕枕、小六の時以来だね」

男「そうだったかな?」

幼「そうだよ。私は覚えてるよ?」

男「夏休み、台風の時だよな。俺も覚えてるさ」

幼「だよね。えへへ」

男「…」
ギュッ


92 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:37:56 ID:vw4Z4/J.
幼「…ほっとする…凄く落ち着くよ、男の腕の中」

男「俺も、幼の体温が感じられて、落ち着くよ」

幼「…今、何考えてる?」

男「好きな人と抱き合うのって、気持ちいいんだなぁって」

幼「ふふふー。私も大体同じ事考えてたよー」

男「大体?…他にも何か考えてる?」

幼「もっと、安心させて欲しいなって、思ってる」


93 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:39:15 ID:vw4Z4/J.
男「うん?」

幼「…好きだけじゃ、足りない、よ…」

男「…幼、愛してるぞ」

幼「私も、愛してるよ、男…」

男「…幼」

幼「男…いいよ?」

幼「わ、私は覚悟、出来てるよ?」

男「幼…」

幼「だ、大丈夫だから…ね?」


94 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:40:08 ID:vw4Z4/J.
男「本当に、良いのか?」

幼「…うん」

男「じゃ、じゃあ…キス、するぞ?」

幼「うん…」

チュッ…チュッ…チュッ

幼「…んぅ」

チュ

幼(んっ…唇、離れない…?)

レロッ

幼(あっ…男の、舌が…)

幼(…)


95 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:40:52 ID:vw4Z4/J.
男・幼「ぷはっ…」
ハァハァ

幼「大人の、キス…だね?」

男「おぅ…」

幼「キスって、気持ちいいね…」

男「そうだな…凄いな…」

幼「…今、何考えてる?」

男「幸せだなって」

幼「私もだよ、男」

チュッ


96 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:41:45 ID:vw4Z4/J.
男「…幼」

幼「…うん」

ピロリロリ

幼「ん?私の携帯…」

男「メール?」

幼「そうみたい…でも、今は…ね?」

男「あぁ」

ピロリロリ


97 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:42:14 ID:vw4Z4/J.
幼「またメールだ…」

男「こんな時間に…緊急の連絡かな?見た方がいいかも」

幼「うん…ちょっと見てみる」

ピッ

幼「あ…千葉女さんからだ」

男「アドレス交換したんだ?」

幼「うん。お昼にね…ふふっ」


98 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:42:56 ID:vw4Z4/J.
男「どうした?なんだって?」

幼「千葉男さんと上手くいったんだって」

男「そっか、良かったな」

幼「二通目のメール『真っ最中だったらゴメンねー』だって。ふふっ」

男「ぶはっ…何て事書いてんだ、あの人」

男「…まぁ、当たってたんだけどな」


99 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:43:32 ID:vw4Z4/J.
幼「実はね、お昼にこれ…渡されたの」

男「そ、それって…コンドーぉぅ…」

男「マジで、何考えてんだ、あの人は…」

幼「ねー?」

男・幼「…」

男「ふふっ…何だか、なぁ?」

幼「えへへ、そうだねー」


100 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:44:04 ID:vw4Z4/J.
男「そんな空気じゃなくなっちゃったな?」

幼「ふふっそうだねー」

幼「何か、緊張感がなくなっちゃったよー」

男「やっぱり、ちょっと無理してたんだな?」

幼「えへへ…そりゃあねー」

幼「一大決心だったんだよー」

男「無理させてごめんな」


101 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:45:13 ID:vw4Z4/J.
幼「謝らないでよ、男」

男「…まぁ、俺たちには俺たちのペースがあるよ、幼」

男「焦る事とか無いよ」

男「俺はいつでも、幼の傍に居るからさ」

幼「うんっ」

男「…本当に、もう寝るかー」

幼「うん、そうだねー」


102 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:46:02 ID:vw4Z4/J.
男「取り敢えず、今日はこれで、な」
ゴソゴソ

幼「腕枕、再びー…えへへ」

男「明日も朝から一杯楽しもうな?」

幼「うんっ!」

男「それじゃ…」

幼「あ、最後に…」

男「ん?」

幼「お、お休みの、キス…ね?」

男「う、うん」
チュッ

幼「おやすみ、男…」

男「おやすみ、幼…」


103 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:48:27 ID:vw4Z4/J.



『空港』

男「いやぁ、楽しかったなぁ」

幼「そうだねー。楽しかったねー」

男「3泊4日なんて、あっという間だなー」

幼「本当にそうだねー。時の経つのを忘れちゃうよね」


104 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:48:59 ID:vw4Z4/J.
男「さすがは夢の国だったなー」

男「金も結構使っちゃったけど、これは仕方ないよなー」

幼「やっぱり凄かったよね。その分、サービスも凄かったけど」

男「まぁ、沖縄も観光地じゃ、観光フィーが付いてたりするもんな」

幼「それもそうだね」

男「さてと…荷物は全部宅急便で送ったから、身軽だし」

男「お互いの両親にお土産でも買って行くか?」


105 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:49:28 ID:vw4Z4/J.
幼「あ、そう言えば頼まれてる物があったんだ」

男「え、大丈夫か?空港で買えるものか?」

幼「何かねー、空港限定のバウムクーヘンをお願いされたの」

男「はは、おじさんらしいな」

幼「お父さん、甘いもの大好きだからねー」

男「…そのバウムクーヘンの代金、俺が出すよ」

幼「え?何で?」


106 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:50:03 ID:vw4Z4/J.
男「いやぁ…その…おじさんとおばさんに、挨拶に行こうと思って、さ」

幼「挨拶?」

男「む、娘さんを下さいーとか、そんな感じの?」

幼「…」

男「駄目かな?」

幼「駄目じゃない。駄目じゃないよ、男」

幼「お父さん、きっと喜ぶと思うよ」


107 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:50:50 ID:vw4Z4/J.
男「そうかな?」

幼「内緒だったけどねー」

幼「ずっと息子が欲しいって言ってたんだよー」

幼「男みたいな息子が居たらなーって」

男「そ、そうか」

幼「だから、きっと喜んでくれると思うよ」

男「おう…そうだと良いな」


108 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:51:34 ID:vw4Z4/J.
幼「私も嬉しいよ、男」

男「…おう。喜んでくれてなによりだ」

幼「えへへー。まったく私って、本当に幸運だなーと思う」

幼「その幸運は男からもらってるんだと思う」

幼「これからもずっと傍に居てね?」

男「おう!それだけは他の誰にも譲れないな」


109 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:52:02 ID:vw4Z4/J.
幼「…手、繋いでいい?」

男「もちろん」
ギュッ

男「それじゃ、そろそろ行こうか」

幼「まず、バウムクーヘン売ってるお店を探さなきゃー」

幼「一応メモ持ってるんだけどね」

男「どんなバウムクーヘンなんだろうな?」

幼「なんかねー…」

ピロリロリ


110 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:54:53 ID:vw4Z4/J.
幼「ん?メールだ」

ピッ

幼「あ、千葉女さんからだ」

男「なんだって?」

幼「『またね!』って」

男「何か、またいつか会えそうな気がするなぁ」

幼「ふふふ。私もそう思うよー」

男「取り敢えず、バウムクーヘン買いに行くか!」

幼「うん」

ギュッ!

男「この手、離さないぞ!」

幼「うんっ!」

ひとまずおわり


111 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/14(日) 21:58:12 ID:vw4Z4/J.
読んでくれた人、ありがとうございます

そのままこのスレで続きと言うか、別視線編、投下します

明日か明後日投下予定です

では。


116 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 19:58:06 ID:dsLeV61M
読んでくれた人、本当にありがとうございます
続き、投下します


117 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 19:58:37 ID:dsLeV61M
男「この手、離さねーぞ?」 幼馴染「う、うん?」


118 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 19:59:04 ID:dsLeV61M
幼「どうしたの?急に私の手をつかんだりして」

男「お前、どう言うつもりだ?」

幼「な、何?男ってば。ひょっとして告白?」

幼「いやぁ、こんな往来で、照れてしまいますなぁ!」

幼「でももっとさ、風情って物を考えてよ、男ってば!」

幼「粋じゃないよ!無粋だよ!」

幼「江戸っ子の名折れだよ!」

※ここからの話しは
男「騙された!」幼馴染「騙してない!」
http://jbbs.livedoor.jp/internet/14562/storage/1343564764.html<
の、続きの話しです


119 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 19:59:28 ID:dsLeV61M
男「俺は船橋生まれの、船橋育ちだ!江戸っ子じゃねぇ!」

幼「え、マジで?」

男「おい!ごまかそうとしても無駄だぞ?」

幼「なーんのーことーだーかー?」

男「おもいだしてごーらんー?」

男「って、思い出のアルバムみたいに歌うな!」

男「幼稚園の卒園式か!」


120 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 19:59:49 ID:dsLeV61M
幼「ノってくる所は、さすが男!」

男「とぼけるつもりか?そうなんだな?」

幼「もう!そんなに怒る事ないじゃんかー」

男「怒ってる訳じゃないぞ、幼」

男「俺は説明を求めてるだけだ!」

幼「だってー。ディズニーランドに行きたくなっちゃったんだもん」

男「問題はそこじゃない!」


121 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:00:38 ID:dsLeV61M
男「行きたいからって、年間パスを買うなよ!」

男「しかも、金はあの貯金箱から出したんだろ?」

男「バイトも何もしてない、月五千円の小遣いしかもらってない幼が!」

男「八万もする、2パーク年間パスなんて、買える訳がないよな?」

幼「そんな怒んないでよー」

男「お前、最近様子が変だぞ?」

幼「別に!変じゃないですけど!」


122 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:01:34 ID:dsLeV61M
幼「年頃の女の子なんだから、ディズニーランドくらい行きたくなるよ!」

男「…沖縄旅行から帰ってきた辺りから、おかしいぞ?」

幼「…」

男「何だ?言いたい事あるなら言ってくれよ!」

幼「…鈍感!」

幼「手、離して!」

男「走って逃げずに、説明してくれるならな?」


123 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:02:22 ID:dsLeV61M
幼「…」

男「黙ってちゃ、わかんないよ、幼」

幼「じゃあさ…一つお願いがあるんだけど」

男「何だ?」

幼「男も、年間パス、買って!」

男「は?」

幼「いいでしょ?」

男「何でそうなるんだ?」


124 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:02:51 ID:dsLeV61M
幼「男と一緒に、ディズニーランドとシーに行きたいの!」

幼「言わせないでよっ、恥ずかしいっ!」

男「照れ隠しのつもりか?」

幼「本心よっ!」

男「あの貯金箱の中、何の為に貯めてたのか、覚えてるか?」

幼「さーぁ?どうだったかなぁー」

男「…」


125 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:03:21 ID:dsLeV61M
幼「それじゃ、今度の金曜日、一緒にディズニーランドに行こうね!」

男「…」

幼「ね!?」

男「…解った。また、説明するつもりがないんだな?」

幼「それは男の答え次第だよっ!」

男「今度の金曜日、ディズニーな。解った」

幼「え?本当?」


126 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:04:11 ID:dsLeV61M
男「もう幼の分は年間パス買っちゃってる訳だし」

男「使わなきゃもったいないもんな」

幼「う、うん!そうだよ!そうだよ!」

男「はぁ…まったく、最近の俺は、お前に振り回されてばかりだな…」

幼「あんたがあんな事言わなければ、私だって…」ボソッ

男「ん?今何か言ったな?何だ?」

幼「鈍感君には絶対解らない暗号をつぶやきましたー!」

男「何だよ、それ」

幼「良いから、取り敢えず今日はもう帰ろう!」

男「…」


127 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:05:01 ID:dsLeV61M


男(最近、幼の様子がおかしい…)

男(沖縄に旅行に行った時、確かにお互いの気持ちを伝えあったし)

男(流れに身を任せて、あんな事にもなっちゃったし…)

男(ひょっとしてアレが原因なのか?)

男(いや、でも、帰りの飛行機の中では大はしゃぎだったし)

男(数日はいつもの騒がしい幼だった…)


128 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:05:39 ID:dsLeV61M
男(となると…原因は)

男(幼の誕生日…か?)

男(でもプレゼントは喜んでくれたよなー)

男(手作りだからって嫌な顔はしてなかったもんなー)

男(ん。そういえば、誕生日の次の日に変な事言ってたか…)


129 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:06:16 ID:dsLeV61M


幼「私はギャングスターになるッ!」

男「…」

幼「なるッ!」

男「あぁ、なれなれ。ギャングスターにでも、脱獄囚にでも」

男「ヤンキー高校生にでも、海洋学者にでもなんにでもなれ?」

幼「ギャングになって、男の事なんか、ちょちょいっと消しちゃうんだからっ!」

男「はぁ…消されるのか、俺は」


130 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:07:14 ID:dsLeV61M
幼「だ、だから、イタリアには近付かない方が良いね!」

男「イタリア?」

幼「私、イタリアンマフィアのボスになるから!」

男「ボス」

幼「パッショーネのボスの正体を知っている男の事を」

幼「暗殺チームに命令して、消すよ!」

男「暗殺」

幼「だからイタリアには近付くなッ!」

幼「ボスの命令は絶対だから!」

男「…ボスね」


131 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:08:01 ID:dsLeV61M


男(あれが誕生日の次の日…)

男(それから言動が怪しくなったような気がする)

男(jojo好きなのは知ってたけど)

男(何で急にイタリアンマフィアになるんだ…)

男(取り敢えず、金曜日、ディズニーランドだな)

男(結婚資金としての貯金、年間パス買ったら、ほとんど無くなっちまうな)

男(バイト、本格的にお願いするかなぁ)


132 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:09:00 ID:dsLeV61M


男「…おい、自分から時間指定しといて、遅刻ってどう言う事だよ!」

幼「えー?昨日の夜ー、デートに何着ていこうか、迷ってたらー」

幼「寝る時間が遅くなっちゃってー」

幼「ついつい遅刻しちゃいまいた!てへぺろっ!」

男「まぁ、良いけどさ…その服、すげー似合ってるぞ」

幼「えへへ、ありがとっ。気合入れてきましたからねっ!」

男「んじゃ、行くか!」

幼「おー!」


133 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:09:28 ID:dsLeV61M


『ランド入口付近・チケット売り場』

男「はい、2パーク年間パスで」

男「はい、原付の免許証があります」

男「それじゃ、これ代金です」

男「どうもです」

男「ふぅ…八万か…」

男(高い買い物だな…)


134 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:10:08 ID:dsLeV61M
男「おーい、幼。買ったぞ、年間パス」

幼「…」

男「どうした?早く入ろうぜ?」

幼「男、ちょっとここで待ってて」

男「は?どうした?」

幼「さ、財布、お、落としちゃった、みたい…」

男「は?マジで?」


135 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:11:03 ID:dsLeV61M
幼「で、電車に乗った時は持ってたし」

幼「改札から出た時も手に持ってた」

幼「だから多分、その直後に落としたんだと思う…」

幼「ちょっと、駅まで行ってくるから!」

男「おい!俺も行くよ!」

幼「良いから、待ってて!」

幼「私の方が、走るの早いし!」


136 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:12:15 ID:dsLeV61M
男「わかった。俺はこの周辺を探してみるから」

幼「うん!ちょっと行ってくる!」
タッタッタ

男「あのウォレット、落としちまったか…」

男「…また、作るかなぁ」


137 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:14:23 ID:dsLeV61M


幼「見つからなかったらどうしよう…どうしようっ」

幼「男からのプレゼントなのに!」

幼「と、とにかくまずは駅員さんに、聞かなきゃ!」
タッタッタッ


幼「あ、あの、すんませんっ!」
ハアッハアッ

駅員「はい、なんでしょうか?」


138 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:15:11 ID:dsLeV61M
幼「あ、あの…お、落とし物で…財布、届いてませんか?」
ハァハァ

駅員「どんな財布でしょうか?」

幼「えっと…現金は…そんなに…入ってなくて」
ハァハァ

幼「ディズニーリゾートの年間パスポートが入ってて…」
ハァハァ

駅員「外見は?」

幼「あ、えっと、革で出来てて、茶色いです!」


139 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:15:50 ID:dsLeV61M
駅員「ひょっとして、これかな?」

幼「あ!それ!それです!」
ハァフゥ

駅員「一応中身を確認させてもらってもいいですか?」

幼「はい!どうぞどうぞ!」
ハァフゥ

知らない女「あの、大丈夫ですか?」

幼「あ、うん。大丈夫大丈夫」
ハァ

幼「久々にちょーっと走って、息が切れてるだけだから」
フゥ


140 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:16:28 ID:dsLeV61M
駅員「…間違いなさそうですね。はい、どうぞ」

幼「良かったぁ…」

駅員「この子がたった今届けてくれたんですよ」

幼「あ、ありがとうございます!」

幼「お礼、しなきゃね!」

財布を拾ってくれた女「あ、いえいえ。良かったですね見つかって」

幼「お礼するよ!遠慮しないで!」

幼「この財布、すっごく大切な物なんだー」

幼(あぁ…本当に、良かった!ラッキー!)


141 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:16:57 ID:dsLeV61M
財布を拾ってくれた女「…」
ジー

幼「ん?何?私の顔に何か付いてる?」

財布を拾ってくれた女「あ、じっと見ちゃってごめんなさい」

財布を拾ってくれた女「あの、私とどこかで会った事ありませんか?」

幼「んん?言われて見れば…どこかで会ったような?」

幼「うーん?どこで会ったっけ?」

幼・財布を拾ってくれた女「…」


142 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:17:29 ID:dsLeV61M
財布を拾ってくれた女「あ!思い出した!」

財布を拾ってくれた女「あの、てだこ祭りの浴衣コンテストで優勝した方ですよね?」

幼「うん?ううん?そうだけど…」

財布を拾ってくれた女「あ、私、あの時、2位だった者です!」

幼「あ!あぁ!あぁ!思い出した!」

幼「私にリゾートホテル宿泊券をくれた人!」


143 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:18:03 ID:dsLeV61M
幼「ごめんごめん!髪下ろしてるから、わかんなかった!」

幼「あの時はありがとね!」

祭りで会った女「あ、いえいえ、こちらこそ!」

祭りで会った女「あの時はありがとうございました」
ペコッ

祭りで会った女「おかげさまで今日、ココにに来られました!」

幼「あ、そうなんだ?あの時の賞品で来てるんだ?」

祭りで会った女「はい、友達と二人で…」


144 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:18:42 ID:dsLeV61M
幼「あ、今からランドに行く感じ?」

祭りで会った女「はい、あそこで携帯いじってるのが、その…友達です」

幼「へー。ね、あれって彼氏?彼氏?」

祭りで会った女「あ、は、はい、そうですね。えへへ」

幼「へー?へー!あ、私もね、彼氏と来てるんだ!」

幼「あ!しまった!あいつの事、待たせてるんだった!」

幼「行かなきゃ!それじゃ!」

幼「拾ってくれてありがとね!」

祭りで合った女「あ、はい!さようなら」

幼「ばいばーい!」
タッタッタ


145 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:19:41 ID:dsLeV61M


男「…で?見つかったのか?」

幼「ほら、この通り!」

男「良かったな」

幼「うん!」

男「落とさないようにしろよ?」

幼「わかってるって!」


146 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:20:40 ID:dsLeV61M
男「年間パス、無駄にしたくないもんな」

幼「…年間パスなんてどうでもいいよ、マジで」

男「どうでもよくはねーだろ」

幼「男が作ってくれた、この財布が、大事なんだよ!」

男「おぅ。そう思ってくれてるなら、落とさないように、な」

幼「もう一生、落とさないから!」

男「おぅ…一生…な」


147 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:21:13 ID:dsLeV61M
幼「フフフ、ちょっと照れてる?」

男「照れてる訳じゃねーよ」

男「それにしても、よく見つかったな」

幼「丁度、親切な人が届けてくれた所でさ…」

幼「あ!しまった!」

男「どうした?」

幼「お礼するの忘れてた!」

男「おいおい…」


148 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:21:51 ID:dsLeV61M
幼「もう一回駅まで戻ろう!」

男「もう居ないだろ」

幼「実はさ、なんとその子がねー」

幼「沖縄でリゾートホテル宿泊券をくれた子だったんだー」

男「は?マジで?なんつー偶然!」

幼「今からランドに行くって言ってたらか、そこで会えるかも!」

男「いやいや、それは無理だろう…」


149 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:22:14 ID:dsLeV61M
幼「まぁ、過ぎた事を悔やんでも仕方ない!取り敢えず、行こう!」

男「おう!俺も年間パス買ったしな」

幼「今日は楽しもうね!男!」

男「お、おう!」

男(なーんか、無理してるような気がするんだよなぁ)


150 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:22:53 ID:dsLeV61M


男「さて…取り敢えずファストパスも取ったし」

幼「なら、次行く場所は、わかってるよね?」

男「…あれはもう良いんじゃないか?」

幼「ノンノン!アレを見ないと、話しが始まらないよ!」

幼「さ!行こう!行こう!」

男「おー…」


151 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:24:26 ID:dsLeV61M
幼「ふんふーん♪」

男「ご機嫌だな…」

幼「まっねー。財布が無事に見つかったから…」

幼「…あれ?」

男「どうした?」

幼「あの、列の最後に並んでる二人…」

男「ん?」

幼「ちょっと、行こっ!」
タッタッタ


152 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:24:52 ID:dsLeV61M
幼「おーい!あなた達…」

さっきの女「あ、さっきの!」

男「誰?知り合い?」

幼「この子だよ、さっき話してた子」

幼「財布拾ってくれたの、この子なの」

男「あー、それはそれは」

男「あの時はありがとうざいました」

男「あなたがくれたリゾートホテル宿泊券のおかげで」

男「沖縄の旅が100倍楽しめました」


153 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:25:15 ID:dsLeV61M
さっきの女「えっと…いえいえ、こちらこそですよ」

幼「あ、自己紹介まだだったよね!」

幼「私は幼、こっちは男」

男「よろしくー」

さっきの女「私の名前は沖縄女って言います」

そばに居た男「沖縄男です、どうも」

幼「よろしくね!沖縄女さん!」

沖縄女「こちらこそ、幼さん」


154 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:26:25 ID:dsLeV61M
男「で、今からこれに並ぶの?」

沖縄男「はい、人が並んでる奴なら面白いかと思って」

幼「ははーん、二人とも、初心者だね?」

沖縄女「はい、初めて来ましたから」

幼「それじゃあ、私たちが案内してあげよう!」

幼「いいよね?男!」

男「いやだっつっても行くんだろ?良いよ」


155 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:27:14 ID:dsLeV61M
男「それに財布拾ってくれた恩も、きちっとかえさないとな」

沖縄女「そ、そんな、悪いですよ」

幼「まぁまぁ、あの賞品券、確か3泊4日だったでしょ?」

幼「今日で回り方覚えて、明日と明後日、二人で楽しめばいいじゃん!」

男「お礼がしたいんだよ、こいつ」

幼「こいつ言うな!」


156 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:28:07 ID:dsLeV61M
沖縄女「わかりました、それじゃ道案内お願いします!」

沖縄女「良いよね、沖縄男?」

沖縄男「もちろん。よろしくお願いします!」

幼「うんうん!ダブルデートだね!」

沖縄女「は、はいっ」

幼「それじゃまずねー」

幼「この列に並ぶの止めてー」


157 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:28:37 ID:dsLeV61M



沖縄男「す、凄かったなー」

沖縄女「そ、そうだね…凄かったね…」

幼「どう?初めてのディズニーランドは?」

沖縄女「はい!凄いですねー」

幼「最初に軽いがっかり感を味わった事が」

幼「他のアトラクションをより一層輝かせてるんだよ!」

男「それはどうかと思うがな…」


158 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:30:11 ID:dsLeV61M
幼「さぁ、次はこっちだよ、こっち!」
グイッ

沖縄男「ちょ、幼さん?」

幼「いいじゃん!早く行かないと!」

沖縄女「…」

男(沖縄女さん、複雑な顔してるなぁ…)

男「ごめんね、沖縄女さん」

男「あいつ、今、ちょっとおかしいんだ」


159 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:30:34 ID:dsLeV61M
沖縄女「え?い、いえいえ、別に私は何も…」

幼「おーい!二人とも早く早く!」

幼「次のマウンテンに行くぞー!」

沖縄女「は、はーい」

沖縄女「…」

男「…」

男「おい!ちょっとこっち来い!」

幼「な、何よ!」

男「いいから、ちょっと来い!」
グイッ


160 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:31:16 ID:dsLeV61M


幼「何よ、もう!」

男「あのなぁ、沖縄男君と、腕組むの止めろ!」

幼「あら、嫉妬ですかにゃ?くふふ」

男「まぁ、ある意味合ってるけどな」

男「沖縄女さんが可哀想だろ?」

男「せっかく沖縄から二人で旅行に来てるのに」

男「俺たちみたいな邪魔者が居るだけでも、アレなのに」


161 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:34:11 ID:dsLeV61M
男「これみよがしに、腕なんて組むなよ」

幼「う…沖縄女さん、気にしてた?」

男「俺の目にはそう見えたな」

幼「うぅ…謝らなきゃ…」

男「はしゃぎすぎなんだ、幼は」

幼「…ごめん」

男「んじゃ、ちゃんと二人に謝るんだぞ?」

幼「はいー」


162 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:35:16 ID:dsLeV61M


幼「ホントにごめんね?」

沖縄女「いえいえ!気にしないで下さいー」

沖縄女「楽しく行きましょうー」

幼「それじゃ、お詫びとして、色んなキャラを見せてあげよう!」

男「おい、気軽に言うなよ、そんな事」

幼「大丈夫!大丈夫!まずはキャプテンを見つけよう!」


163 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:36:10 ID:dsLeV61M
沖縄男「え?キャプテンって…さっきのキャプテンeoですか?」

幼「あはは、違う違うー。ジャック・スパロウだよ」

沖縄男「え?キャプテン・ジャック・スパロウ?」

幼「そう!カリブの海賊辺りに居るんだよ!」

幼「この時間なら…おそらく!」

沖縄男「は、早く行きましょう!」

男「え?ひょっとしてファンなの?」

沖縄女「は、はい…沖縄男は、あの映画の大ファンなんですよ」

幼「じゃあ、焦らず急いで行こう!」


164 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:36:57 ID:dsLeV61M


沖縄男「ジャック…めちゃカッコ良かった…」

沖縄女「会えて良かったね?」

沖縄男「写真も撮れたし、満足…」

幼「そんなに感動して貰えたら、こっちも嬉しいよ!」

幼「でもまだまだ!他のキャラにも会いに行くよっ!」

沖縄女「は、はいっ!」


165 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:37:42 ID:dsLeV61M


沖縄女「ふふっ」

幼「えへへー楽しいね、沖縄女さんっ」

沖縄女「はい!とっても楽しいです!」

沖縄女「本当に来て良かったです」

幼「そう言ってもらえると、旅行券あげた私も心晴れ晴れだよ!」

男「その代わりに俺たちはリゾートホテルに泊まれたんだから」

男「おあいこだろ」

幼「それはそうだけどさー」グゥ


166 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:38:07 ID:dsLeV61M
全員「…」

沖縄女「そ、そういえば、お昼食べてませんでしたね」

幼「お恥ずかしい…でもさすがにお腹空いたー」

沖縄男「楽しすぎて、時間経つの忘れてました…もう夕方なんですね」

男「それじゃ、何か食べようか」

幼「賛成!賛成ー!」


167 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:39:01 ID:dsLeV61M
幼「行きたいレストランは…って聞かれても解んないよね?」

沖縄女「はい、全然わかりませんー」

男「じゃ、カレー食べに行こう!」

幼「えー?またカレ−?違うやつにしようよー」

男「いいじゃん、カレー。な?二人はどうよ?」

沖縄女「えーっと…」

沖縄男「俺ら、全然わかんないんでお任せします!」

幼「いやいや!せっかくの旅行なのに!カレーとか!一番無い選択でしょ!」

男「…じゃあ、ブルーバイユーとか?」

幼「いいねー!今日は奮発して、そうしちゃおうよ!」


168 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:39:49 ID:dsLeV61M
幼「ちょこーっとお高いけど、カレーよりは良いよね?」

沖縄男「俺らは大丈夫です!」

沖縄男「観光地のご飯が少々お高いのはわかってますから!」

幼「なら、レッツゴー!」

男「俺ら普段は軽いやつしか食べないんだよ」

男「食費削る感じだからさ」

幼「でもでも!今日くらいは良いよね?」

男「まぁ、そうだな。今日は特別だな」

沖縄女「じゃあ、行きましょう!私もお腹空きましたー」


169 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:40:53 ID:dsLeV61M


『レストラン』

男「席、空いてて良かったなー」

沖縄男「なにせウチには、幸運の女神様がいますからね」

沖縄男「そういえば、ちょっと質問が」

男「ん?何?」

沖縄男「お二人、何歳ですか?」

男「二人とも17歳、高2だよ」

沖縄男「おっと、同い年だったとは!?」


170 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:41:27 ID:dsLeV61M
男「え?」

幼「え?マジで?タメなの?」

沖縄女「えー。お二人、年上だと思ってました」

男「完全に年下だと思ってた…」

幼「同じ17歳…どうしてこんなに差が…」

沖縄女「え?」

幼「ちょっと沖縄女さん…こっち来て」

沖縄女「はい?」

男「おい、また変な事言ったりすんなよ?」

幼「うっさい!」


171 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:41:59 ID:dsLeV61M


男「行っちまったな…」

沖縄男「ですね」

男「ごめんなー。本当は二人で回りたかったよなー?」

沖縄男「全然!気にしないで下さい!」

沖縄男「回り方教えてくれたの、ホント感謝してます」

沖縄男「それに、お二人と居ると、楽しいですよ」


172 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:43:32 ID:dsLeV61M
男「そう言ってくれると、救われるよ」

男「…あいつ、最近おかしくてさ」

男「ちょっと原因が解らなくて、困ってるんだ…」

男「あ、ごめんな、愚痴っちまって」

沖縄男「構わないですよ」

沖縄男「お二人は付き合い長いんですか?」

男「いやー、正式に付き合い始めたのは1ヶ月くらい前だよ」


173 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:45:00 ID:dsLeV61M
男「あの、てだこ祭りの時に色々あってさ」

男「確かにお互い好き同士なはずだったんだけどさー」

男「最近、変な言動が…あ、あいつの言動が変なのはいつもなんだけど」

男「意味不明な事つぶやいたり、イライラしたりさー」

男「なんか、正直よくわかんなくなってきてさー」

沖縄男「でも、傍で見てて思いますけど」

沖縄男「お二人、とっても息が合ってますよね」

男「そう?本当にそう見える?」


174 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:45:47 ID:dsLeV61M
沖縄男「そう言えば、浴衣コンテストの時も、漫才みたいでしたよね」

男「ハハハ。あいつと話してると、自然とあんな感じになっちゃうんだ」

沖縄男「それって心から信用しきってるからじゃないですか?」

男「そう…かな?」

沖縄男「俺はそう思いますよ」

沖縄男「だから男さんが思ってる事、正直に聞けばいいんじゃないですかね?」

男「聞こうとしても、はぐらかされるんだよなぁ」

沖縄男「心当たりはないんですか?」


175 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:46:35 ID:dsLeV61M
男「んー。沖縄から帰って来た直後はご機嫌だったんだけど」

男「あいつの誕生日に、革の財布をプレゼントしたんだ。手作りでね」

沖縄男「革の財布を手作りですか?凄いですね!」

男「へへ。時間かかったんだけどさ」

沖縄男「それが気に入らなかった…とか、ですか?」

男「いや、大層喜んでくれたんだよ」

男「でも、その直後から、様子が変なんだよ」

沖縄男「どうやら、その辺りが鍵じゃないですか?」


176 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:49:22 ID:dsLeV61M
男「やっぱそうかなー」

男「財布自体は大切にしてくれてるんだけどさ」

男「…まあ、今日は落としちまってたけど」

沖縄男「フフッ。でも必死に駅まで走って来たらしいじゃないですか」

男「あいつ足速いから。普段から元気の塊みたいなやつだからなー」

沖縄男「元気の塊!まさにそんな感じですねー」

男「でもそれが切っ掛けで、二人と知り合いになれたんだから」

男「それはラッキーって事かな?」

沖縄男「ウチの幼馴染のラッキーパワーを侮ってもらっては困りますよ?」


177 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:50:24 ID:dsLeV61M
男「へぇ?二人、幼馴染なんだ?」

沖縄男「そうですよ。家が隣り同士なんです」

男「へー!ウチらもそうなんだよ!」

沖縄男「何か、俺ら、似てますね?」

男「だなー。お互い、漫画みたいな幼馴染関係だな」

沖縄男「それ、俺も常々思ってますよ、漫画みたいだなぁって」

男「ハハハ。そうだよなぁ」

沖縄男「フフフ。ですよねー」


178 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:51:32 ID:dsLeV61M
幼「おまたせ、お二人さん!」

男「おう。話しは終わった?」

幼「有益な話しが出来ましたー」

男「そりゃあ重畳」

沖縄男「沖縄女?何か顔赤いぞ?大丈夫か?」

沖縄女「だ、大丈夫。何ともないから!」

沖縄男「そうか?無理はするなよ?」

沖縄女「う、うん…」


179 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:52:24 ID:dsLeV61M


幼「お腹いっぱいー」

男「だなー」

沖縄男「美味しかったですね」

男「ちょーっと高いけどね」

幼「あ、いつかさ、予約が取れたらさ」

幼「今度はランチショーとディナーショーを見ると良いよ!」

幼「あれは凄いから!」


180 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:53:19 ID:dsLeV61M
幼「まぁ、予約にはクレジットカードが必要だから」

幼「社会人になってから、だけどね」

沖縄男「頑張ります!」

幼「それでも予約取るの、大変だけどね」

沖縄男「でも何とかなると思うんですけどね」

男「幸運の女神様が、居るんだもんな?」

沖縄男「です!」

幼「それって私の事?」

男「違う。沖縄女さんの事だ」

男「お前はどっちかって言うと、トラブルメーカーだな」


181 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:54:18 ID:dsLeV61M
幼「トラブル上等!人生は苦難があってこそ、楽しめるってもんよ!」

男「お前が起こすトラブルは大抵意味のないトラブルだけどな?」

幼「むー!何だと、間抜け面!」

男「何だ、しみったれた小娘が!」

沖縄女「あの、喧嘩しないで下さい!」

沖縄男「これ、喧嘩じゃないよ、沖縄女」

沖縄男「ね?男さん?幼さん?」

男「まぁ、じゃれ合ってるって感じ?」

幼「日常会話だから、気にしないで、沖縄女さん!」

沖縄女「は、はぁ…」


182 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:54:50 ID:dsLeV61M


幼「さぁ、お腹も膨れた所で!時間も丁度いい感じ!」

幼「最後はいよいよお待ちかねの!」

男「パレードね。早めに行って場所取ろう」

幼「いい場所知ってるからね!付いて来て!」

沖縄女「はいっ!」


183 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:55:15 ID:dsLeV61M


『パレード』

沖縄男「すっげー…」

沖縄女「本当に、凄い…」

男「何度見ても綺麗だな、幼」

幼「そ、そうだね…」

幼「本当に…綺麗だね…」


184 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:55:54 ID:dsLeV61M
幼「あと、何回、一緒にこのパレードを見られるのかな…」

男「はぁ?何だそれ。何回だって見られるだろ?」

幼「…うぐっ」

男「ん?どうした?…おい、泣いてるのか?」

沖縄女「千葉女さん?どうかしたの?」

幼「な、何でもない!何でもないからっ!」

男「何でもない奴が泣くかよ!」


185 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:56:32 ID:dsLeV61M
幼「今日のパレードはひときわ綺麗だなーって!」

幼「感動してたんだよっ!」

男「おい…嘘つくなよ、幼」

幼「わ、私は…私はっ!」
ダッ

男「おいっ!」

男「あー、二人とも、ごめん!俺も行くわ!」

男「パレード、楽しんでな!」

男「縁が有ったらまた会おう!じゃな!」

沖縄女「は、はい!千葉女さんによろしくって!」

沖縄男「また!」


186 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:57:26 ID:dsLeV61M


男「おい!待て!幼っ!」
ガシッ

男「やっと捕まえた!」

幼「…」

男「この手、離さないぞ?」

幼「痛いよ!手を離してよっ!」

男「断る!もう追いかけっこは嫌だからな!」


187 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:57:59 ID:dsLeV61M
幼「…」

男「パレードはもういいのか?」

幼「いい…」

男「花火は見なくていいのか?」

幼「もう帰る…」

男「まぁ、また見に来れば良いしな」

幼「帰り、タクシーで帰りたい…」

男「贅沢だな、おい」

幼「タクシーが駄目なら、ハイヤーでも良い…」

男「贅沢のランクが上がってるじゃねーか!」

幼「駄目なら、歩いて帰る…」


188 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:58:30 ID:dsLeV61M
男「ったく。んじゃ、タクシー拾える所まで行くか」

幼「うん…」

幼「あの2人には悪い事しちゃった…」

男「そうだな」

幼「最後にケチつけちゃった…」

男「まぁ、そうだな」


189 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 20:59:18 ID:dsLeV61M
幼「後でメールしとく…」

男「アドレス交換してたのか?」

幼「レストランでね」

男「そっか」

男「お、タクシー丁度来たな」

男「ほら、先に乗れよ、幼」

幼「…うん」


190 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:02:01 ID:dsLeV61M


男「ほら、着いたぞ、幼」

幼「…うん」

男(結局タクシーの中でも一言も会話出来なかったな…)

幼「じゃあね、男。バイバイ!」

男「おい!ちょっと待て、幼!」

幼「覚悟は出来てるか?私は出来てるッ!」

男「はぁ?覚悟?」

幼「今日はもう、寝るから!」

男「なぁ、一体どうしたんだよ、幼」

幼「と、とにかく!寝る前に、机の上を見てから、寝てよね!」

幼「じゃ!おやすみっ!」

男「…机の上?」


191 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:02:30 ID:dsLeV61M


男「机の上にカセットテープが置いてある…」

男「今朝の遅刻の原因はコレを仕込んでたからと見た!」

男「しっかし、今どきカセットテープって…」

男「再生する機器が俺の部屋にはねーよ!」

男「…ん?一緒に手紙が入ってるな」
ガサガサ


192 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:03:27 ID:dsLeV61M
男「なになに…『心配ご無用!ベッドの下を見てみなさい!』?」
ゴソゴソ

男「あ、小さいラジカセ…これ確かおじさんの部屋にあった…」

男「わざわざこんな小細工を…」

男「まぁ取り敢えず、聞いてみるか」

ガチャガチャ
カチッ


193 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:04:32 ID:dsLeV61M
テンテーテケテーテケテーテケテン…

男「え?これって落語の出囃子?しかも…ロッキーのテーマ?」

男「どんなセンスだ」

幼『ゴホン。えー』

男「始まったか」

幼『男へ。あなたがこれを聞いていると言う事は私はもう…』

幼『…』


194 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:05:09 ID:dsLeV61M
幼『なんて事もなく、きっと隣りの家の私の部屋に居る事でしょう』

幼『カセットテープで言葉を贈るなんて、良いアイディアだと思わない?』

幼『こんな事、思いつくなんて』

幼「私ってばcool!! cool!! cool!!!」

男「何言ってんだ、あいつは…」

幼『直接でも、電話でも、どうしても話しが逸れちゃうから』

男「まぁ、主にお前のせいで逸れるんだけどな?」

幼『今、お前のせいで話しが逸れるとか、つっこんだでしょ!』

男「…」


195 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:05:45 ID:dsLeV61M
幼『フフフ、私の超能力に、ビビっているでしょうよ!』

男「そう言うのがあるから、話しがそれるんだ、アホめ」

幼『今度は、カセットじゃなくて、直接話してるんじゃね?とか思ったでしょ!』

男「思ってねーよ」

幼『まぁ、そんな枕はここまでにして!』

男「あぁ、枕だったのか、今のは」


196 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:06:34 ID:dsLeV61M
幼『今日のディズニーランドは楽しかったよね?』

幼『年間パスも買っちゃった事だろうし』

幼『来年の夏までは一緒にディズニーランドに行こうね!』

幼『何度も行こうね!』

幼『沢山、思い出作ろうね…』

幼『きっと、明日の…じゃなくて、今日の私、頑張ったと思う』

幼『これで男の夢、応援してあげられる』

男「は?」


197 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:07:38 ID:dsLeV61M
幼『イタリアで立派な革細工職人に、なって下さい』

男「はぁ?イタリア?」

幼『私、ずっと待ってるからね!』

幼『男の隣りは私の指定席なんだから!』

幼『あんまり帰りが遅くなるようだったら」

幼「私、イタリアに押しかけ女房に行くからねっ!』

幼『そ、それまで、浮気とかしたら、許さないから!』

男「…」


198 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:08:30 ID:dsLeV61M
幼『男の事、本当に、愛してるからね』

幼『男も私の事、愛してくれてるって信じてるから』

幼『…』

幼『えー、つまり、私が愛している男に言いたいのは』

幼『一生一緒にイテァーリァと、こう言う訳ですな』

幼『お後がよろしいようで』

テンテーテケテーテケテーテケテン…

カチッ


199 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:09:08 ID:dsLeV61M
男「…イテァーリァ?」

男「全然オチてねぇ!てか意味がわからん!」

ガラッ

ガンガン!

男「おい!鞄持ち!よく言って前座!顔出せ!」

ガンガン!

男「最後のオチ、別に上手くねーから!」


200 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:10:36 ID:dsLeV61M
ガラッ!

幼「前座は無いでしょ!二つ目位の腕前はあったでしょ?」

幼「最後、上手かったでしょ!一生一緒にイテァーリァ!」

幼「三木道三リスペクトだよ!」

男「あぁ…『一生一緒に居てくれや』と、かけたのか」

男「全然意味わからんかった」

幼「ショック!せっかく考えたのに!」


201 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:11:53 ID:dsLeV61M
男「幼、ちょっとこっち来い」

幼「…嫌だ」

男「んじゃ、俺がそっち行くわ」

スタッ

幼「不法侵入!深夜に!うら若き乙女の部屋に賊が侵入!」

幼「アルソック!アルソックはまだ来ぬか!」

男「おい、深夜って程じゃねーけどさ」

男「もう大概良い時間なんだから、大声だすなよ」

男「近所迷惑だろ?」


202 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:12:20 ID:dsLeV61M
幼「窓をガンガン叩くのはぁー近所迷惑じゃないんですかぁー?」

男「まぁ、それはすいませんでした」

幼「…せっかくの私の粋な計らいが、台無しじゃん!」

男「テープの事か?」

幼「それ以外ないでしょ!」

幼「明日からはまた、普通に笑えると思ったのに…」

幼「今、顔見たら、決心鈍るじゃんか!」


203 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:12:59 ID:dsLeV61M
男「一応聞くけど、何の決心だ?」

幼「男を笑顔で見送る決心だよ!」

男「俺がどこに行くのを見送るんだ?」

幼「イターリアー」

男「何で?」

幼「え?」

男「何で俺がイタリアに行く事になってるんだ?」


204 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:13:36 ID:dsLeV61M
幼「え?だって、高校卒業したら、革細工職人の修行しに」

幼「イタリアに行くんでしょ?」

男「だから、何でイタリア?」

幼「え?イタリア在住の叔父さんのところに修行に行くって…」

男「そんな事、一言も言ってないぞ?」

幼「え?」

男「俺が革細工習いに行ってるのは、鬼高の叔父さんの所だ」


205 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:14:38 ID:dsLeV61M
幼「え?鬼高って、市川の?」

男「そうだ」

幼「えぇ?ウチから歩いて行ける距離じゃん!」

男「俺が何の為に原チャリを買ったと思ってるんだ?」

幼「え?原チャリで通うん?」

男「実はもう通ってる」

幼「えー!?なに、その驚愕の事実!」

男「声がデカいよ、幼」


206 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:15:34 ID:dsLeV61M
幼「え?でも、だって…」

男「イタリアで修行した叔父さんに、革細工を習ってる」

男「俺が言ったのはそれだけだぞ?」

幼「イタリア…叔父さん…革細工…」

男「どんな聞き間違いだよ、まったく…」

幼「う…」


207 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:17:44 ID:dsLeV61M
男「幼にあげたウォレットな」

幼「う、うん」

男「あれだって、叔父さんに習いながら半年かけて作ったんだぜ?」

幼「マジで?」

男「まだ大きな物は作れないけどさ」

男「実は叔父さんの店で、俺が作った小物、売りに出してもらってるんだ」

男「店番もちょっとやってるし、まぁバイト兼見習いだな」

幼「マジで?まぁ、男、器用だもんね」

男「実は進路もそんな感じで選ぼうかと思ってる」


208 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:18:17 ID:dsLeV61M
男「大学か、専門学校かは、まだ決めてないけどな」

幼「そ、それ!それだ!」

男「ん?」

幼「私の誕生日にも、そんな感じの話ししてた!」

男「あぁ、将来の事な?」

幼「それで、イタリアとか、革細工の修行とか言うから…」

男「まぁ、イタリアには行かないから安心しろ」

幼「…そっか」


209 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:18:51 ID:dsLeV61M
男「幼は馬鹿だなぁ」

幼「馬鹿とはなんだ!」

男「ちゃんと人の話しを聞きましょう」

幼「うぅ…」

男「取り敢えず、誤解は解けたな?」

幼「すみません、聞き間違えて、暴走してました…」

男「まったく…そんなんで一ヶ月近く、様子が変だったのか」


210 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:19:34 ID:dsLeV61M
幼「だ、だって!男が遠くに行っちゃうと思ったら…」

幼「胸がチクチクして、ザワザワして…」

幼「どうにもならないくらい、不安だったんだよっ!」

男「俺の事、思ってくれてるのは嬉しいよ」

男「でも俺がお前の傍から居なくなるはずないだろ?」

幼「…そんなの、解んないじゃんか!」

男「あーもう!」
ギュッ


211 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:20:15 ID:dsLeV61M
幼「ふわぁっ!?」

男「落ち着けよ、幼」

幼「…」

男「俺は居なくならないから」

男「ずっと傍に居るから」

男「俺を信じてくれよ」

幼「…うん」


212 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:21:55 ID:dsLeV61M
男「手に職つけたいから、革細工の修行してるけど」

男「それは、早く自立したいからなんだぜ?」

男「早く一人前になって、幼を…その、嫁に下さいって」

幼「よ、嫁…お嫁さん…」

男「ちゃんと、おじさんとおばさんに言えるようにって」

幼「…先の事、本当に考えてるんだね」

男「あぁ、真剣に考えてるぞ」


213 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:22:35 ID:dsLeV61M
幼「超、嬉しい…」

男「泣くなよ、幼」

幼「男…愛してるよ」

男「俺もだ、幼」

?「そこだ!チューしろ!」

?「それはまだ早いわよ!」


214 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:23:12 ID:dsLeV61M
?「いや、今がその時だ!行け!男君!」

?「雰囲気が大事よ!もう少し抱擁の余韻に浸るべきよ!」

?「流れ的にチューするタイミングだろう?」

?「まだです。あなたは本当に解ってないわね」

?「そっちこそ!そんなんじゃ、将来の息子に罵倒されちゃうぞ?」

?「なんであたしが罵倒されなきゃならないのよ!」


215 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:23:58 ID:dsLeV61M
?「声がデカいっつーの!見つかったらどうすんだ!」

?「あなたが変な事言うからでしょ?」

?「こういうのはな!タイミングを逃すと、しにくくなるんだよ!」

?「そのタイミングが今じゃないって言ってるの!」

?「なんだとー?」

?「なによ!やるって言うの?」

?「表出ろや、コラァ!」

?「上等だ!誰のヘアスタイルがサザエさんだ、このスットコがぁ!」


216 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:25:01 ID:dsLeV61M
男・幼「…」

幼「お父さん、お母さん…もうそろそろつっこんでも良い?」

幼父「はっ!?」

幼母「しまったっ!」

男「二人で何してるんすか?」

幼父「いや、ほら…その…なぁ?」

幼母「えーっと、あの…あ!」

幼母「窓をガンガン叩いてる音が聞こえたから!」


217 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:25:59 ID:dsLeV61M
幼母「幼ちゃんの部屋に侵入者でもと思って!」

幼父「そ、そうそう!最近は物騒だから、なー?」

男「ウチと、この家、30センチしか隙間無いじゃないですか」

幼父「人が侵入するには充分だろう」

男「さすがに無理がありますよ、おじさん」

幼父「コラ!おじさんじゃないだろう、男君!」

幼父「いやさ、男!」

男「呼び捨て?」


218 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:26:24 ID:dsLeV61M
幼父「だって、息子に君付けなんて、おかしいだろ?」

男「あ、あの…」

幼母「ふふふ。照れちゃって…かわいいんだから」

幼母「こんなかわいい息子が出来て、嬉しいわー」

幼「お父さん!お母さん!」

幼母「大丈夫よ、幼ちゃん。解ってるからね!」

幼母「ずっと夢見てきたんだもんね?」


219 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:27:07 ID:dsLeV61M
男「夢?」

幼母「男ちゃんのお嫁さんになる事!」

幼母「夢、叶うね!」

幼「あ、あぅ…」

幼父「取り敢えず、男。一発殴って良い?」

男「え?普通に嫌ですけど」

幼父「えー?俺すっげえ憧れてたのになー」


220 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:27:51 ID:dsLeV61M
幼父「娘は嫁にやる!代わりに一発殴らせろ!って」

幼父「リア充みたいじゃん?」

幼母「それは右手で殴るんですか?」

幼父「ノゥ!ノゥ!ノゥ!」

幼母「左手ですかぁ?」

幼父「ノゥ!ノゥ!ノゥ!」

幼母「ひょっとして、オラオラですかぁ?」

幼父「イェス!イェス!イェス!」


221 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:28:28 ID:dsLeV61M
男「オラオラだと、一発じゃないじゃないですか…」

男「それに、本当に戦ったら、勝てそうな気もするんですけどね」

幼父「でも、一発くらい良いだろ?」

幼父「手塩にかけて育てた娘を嫁に出すんだ」

幼父「大丈夫、手加減して、人中にチョップ程度で許すから!」

男「グーで頬っぺ殴られる方が安全な気がします…」

幼母「あなた!そんな事したら、息子に嫌われますよ…って」

幼母「私は止めれば良いのよね?」


222 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:28:53 ID:dsLeV61M
幼の両親「ひゃーーーーーー!リア充っぽい!」

幼の両親「イェーーーーイ!」
パシッ

幼「何で今、ハイタッチしたの?」

幼父「これはな、幼」

幼父「お父さん達の儀式みたいなもんだ」

幼母「お約束ってやつね」


223 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:30:30 ID:dsLeV61M
幼父「それにしてもなぁ」

幼母「そうねぇ」

幼父「ウチの娘がリア充になるなんてなぁ」

幼母「全く…ねぇ」

幼「いや、あんたたちもリア充でしょ?」

幼父「娘よ、何を言う!?」

幼母「そうよ、幼ちゃん!親に向かって何て事言うの!」


224 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:32:24 ID:dsLeV61M
幼母「良い?私たちはね…」

幼の両親「世のリア充に爆発しろって叫ぶ側!」

幼父「なのだよ」

幼「…なのだよ、じゃないわよ!」

幼「なんで二人ともドヤ顔なのよ!」

男「あの、おじさん…ちょっと…」

幼父「おじさん、じゃないだろう!お義父さんだろ?息子よ!」

男「あぁの…さっきの聞いてたんですよね、全部」


225 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:33:47 ID:dsLeV61M
幼父「親として、当然じゃないか」

男「あのー、それでですね…娘さんとですね」

幼父「あぁ、解ってる!解ってるから!」

幼母「そうよ、男ちゃん。全部解ってるからね?」

男「う…」

幼父「さ!どうぞどうぞ!」

幼母「結婚の報告よね?あ、まずは婚約からかしら?」


226 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:34:44 ID:dsLeV61M
男「ぎ、逆に言いづらいんですけど…」

幼「…」

男「俺まだ高校生だし」

男「世間の事何も知らないガキですけど」

男「娘さんを一生幸せにしますんで!」

幼父「うんうん」

幼母「幼ちゃんの事、任せたわよ?男ちゃん」


227 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:35:29 ID:dsLeV61M
男「精一杯努力します」

幼「一生一緒にイテァーリァ」

男「それ、全然上手くないからな?」

幼「もう!ノリ悪いなぁ、男は!」

男「ボケるならちゃんとボケろよ」

男「ツッコミにくいわ!」

幼父「さすが幼馴染!息ピッタリ!」

幼母「将来安泰ね!」


228 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:36:01 ID:dsLeV61M
男「あ、はぃ…」

幼「もう!二人とも!男が困ってるでしょ!」

男「主に君が原因なんですけどね」

幼「そんな事じゃ2013年のキングオブコントには輝けないよ?」

男「そんな物に出るつもりはありません」

幼父「賑やかで楽しいなぁ!」

幼母「ホントにね!リア充も良い物ね!」


229 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:36:52 ID:dsLeV61M
幼父「テンション上がってきたー!」

幼父「男!外でキャッチボールでもするか?」

男「こんな夜にですか…?」

幼父「時間の事考えてなかった!」

男「幼が考えなしに喋るのは、おじさんに似たんですよね」

幼父「そんなに褒めるなよ、男」

男「…」


230 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:37:29 ID:dsLeV61M
幼母「じゃあ、お赤飯!お赤飯炊きましょう!」

男「こんな時間からですか…?」

幼母「あら、赤飯に時間は関係ないんじゃないかしら?」

男「幼が勢いだけで行動するのは、おばさんに似たんですよね」

幼母「あら、そんなに褒めても、お赤飯くらしか出ませんよ、うふふ」

男「…」


231 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:38:21 ID:dsLeV61M
幼「…と、取り敢えず、二人とも、解ったでしょ?」

幼の両親「解りました!」

幼父「おい、男。今日泊まって行けよ?」

男「えー?」

幼母「お家には私から電話しておくから、ね?」

男「いや、自分で言ってきますけど…」

男「て、いうか良いんですか?」

幼父「あたぼうよ!」


232 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:39:11 ID:dsLeV61M


男「…なんか、成り行きで泊まる事になったけど」

男「良いの?」

幼「良いよ良いようん。むしろ大歓迎だよ!」

男「んじゃぁそろそろ寝るか?」

幼「う、うん…そうだね」

幼「あ!そうだ!」

男「ん?」


233 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:39:56 ID:dsLeV61M
幼「沖縄女ちゃんにメールしなきゃ」

男「いつのまにアドレス交換したんだ?」

幼「レストランでね」
ピッ

男「メールに何書くつもりだ?」

幼「私たちの事!」
ピッピッ

男「もう寝てるんじゃないか?」


234 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:40:33 ID:dsLeV61M
幼「いーや、起きてると思うよ」
ピッピッ

幼「送信っと」
ピッ

男「何で起きてると思うんだ?」

幼「そりゃあ…」

幼「あ!そうか!でも…いや、まぁ、もう一通送ればいいか!」
ピッピッ


235 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:41:21 ID:dsLeV61M
男「変なメール送るなよ?」

幼「全然!変な事じゃないから!」

幼「二通目、送信っと」
ピッ

幼「あとは、私たちの話しだもんね」

男「ん。もう寝るんじゃないのか?」

幼「いや、寝る寝る!もう超寝るけどさ!」


236 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:41:59 ID:dsLeV61M
男「超寝るって何だよ」

幼「何で床に布団なんか敷いてるの?」

男「は?俺に直で床に寝ろと?」

男「まぁ、暑いからそのまま床でも良いけどさ」

男「起きたとき、身体の節々が痛くなる事があるから…」

幼「じゃなくて!こっち!」
ポンポン


237 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:43:11 ID:dsLeV61M
男「何だよ、その『察しなさいよ』みたいな顔」

幼「え?そこが読めてて、何故肝心な部分が読めないの?」

男「読む?」

幼「私の心…よ」

男「お前のドヤ顔はウザイなぁ」

幼「婚約者に向かって、ウザイって言うな!」

男「でもそんなウザさも好きだぜ、幼」


238 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:43:39 ID:dsLeV61M
幼「…バーカ」
バフッ

男「照れて枕に顔うずめてる幼も可愛いよ」

幼「私が照れるって解ってて、そう言う事言うの止めてよねっ!」

男「…俺もベッドで寝るって事だよな、それは?」

幼「そうでーす」

男「暑くないか?」


239 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:44:16 ID:dsLeV61M
幼「へいクーラー!ガンガン行こうぜ!」
ピッピッピ
ゴバー

男「わかったわかった…わかったから、設定温度もうちょい上げてくれ」

幼「じゃあ20度くらい?」

男「28度で良いだろ」

幼「暑くなると、思うよ?」

男「…ばーか」

幼「照れてる?照れてる?へへへー」


240 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:45:11 ID:dsLeV61M
男「…お邪魔します」
ゴソゴソ

幼「あ、もうあっついね」

男「確かにな…」

男「俺やっぱ床で…」
ギュッ

幼「駄目!それは駄目!」

男「…」

幼「今日は、一緒に寝るの!」


241 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:45:42 ID:dsLeV61M
男「またおじさん達に覗かれるかも…って思ったらさ」

幼「大丈夫!あの二人だって、空気くらい読めるよ!」

幼「私の両親だよ?」

男「知ってるから、不安なんだよ…」

幼「本当に大丈夫だから、ね?」

男「わかったよ…」

幼「ギューってして欲しい」

男「…」
ギューッ


242 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:46:18 ID:dsLeV61M
幼「ずっと傍に居てよね、男」
ギューッ

男「こっちの台詞だっつーの」

幼「相方として、傍に居てね?」

男「おう…ツッコミは任せろよ」

幼「うん…この手、離さないよ?」
ギューッ

男「…それは俺の手でも握って、言ってくれよ」

幼「…」
ギューーーーッ


243 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:46:45 ID:dsLeV61M
男「ちょっと苦しい!苦しいんですけど!ベアハッグかよ!」

男「ギブ!ギブアップです!」

幼「…照れ隠しですー」

男「解ってるよ」

男・幼「…」

男「愛してるぞ、幼」

幼「えへへ、私もだよ、男…」
チュッ


244 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:49:05 ID:dsLeV61M
幼「久しぶりのキス、だね?」

男「…そうだな」

幼「今夜は、いっぱい男を感じたいよ…」

男「恥ずかしい事言うなよ」

幼「照れ隠しですー…えへへ」

男「あんまり俺の理性を甘く見るなよ?」

幼「知ってるよ、四天王で例えるなら、土、なんだよね?」

男「…悔しいが、その通りだ」
チュゥッ


245 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:50:12 ID:dsLeV61M



幼「おーい、男ー!起きろー」

ガンガン

ガラッ

男「起きてるっつーの…何だ?」

幼「今からお出かけしよっ!」

男「んー?良いけど、どこに?」

幼「空港」

男「は?」

幼「沖縄女さん達、今日帰るんだよ」

男「見送りに行くのか?」

幼「そうでーす」

男「解った、準備するよ」

幼「40秒でね!」


246 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:52:06 ID:dsLeV61M


『空港』

男「何時の便だ?」

幼「jtaの16時45分発だよ…こっちだね、多分」

男「見つからなかったらどうするんだ?」

幼「電話番号知ってるんだから、電話するよ」

幼「でも一応、サプライズだから、ギリまで探す!」

男「サプライズなのか…」

幼「多分、お土産売り場のどこかに居ると思うんだー」

男「おいおい、どれだけ広いと思ってるんだよ…」

幼「それでも私たちはッ!決してッ!くじけないッ!」


247 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:52:43 ID:dsLeV61M
男「お?あれじゃないか?」

幼「え?あ、ホントだ。良かった、見つかってラッキー」

男「沖縄女さんはすげーラッキーらしいからな」

男「そのお陰じゃねーか?」

幼「…」

男「…どうした、声かけないのか?」

幼「…ちょっとこっちに」

男「何で物陰に隠れるんだ?」

幼「いいから!」

男・幼「…」


248 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:54:00 ID:dsLeV61M
幼「…メールメール」
ピッピッ

幼「『またねっ!』っと」
ピッ

男「おい、二人にさよならとかしなくていいのか?」

幼「フッ…男、あの二人を見てよ…」

男「さっきから見てるけどな?」

幼「すっごく幸せそうな顔…きっとあの二人、結ばれたと思うんだー」

幼「手の繋ぎ方も、恋人繋ぎじゃない?」

男「お、おぅ…そうか?そうだな」


249 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:54:38 ID:dsLeV61M
幼「あと、私、沖縄女ちゃんに、ゴム渡したし!」

男「なっ!?」

幼「あれはきっとそう言う感じだよ!」

男「お前なぁ…マジちょっと考えて行動しろよ?」

幼「ふふん。相方がヘタレだと、女の方は苦労するんだよ!」

男「うぐぅ…それ言われると…」

幼「それに、沖縄女ちゃんも、ちゃんと覚悟決めて来てたみたいだし」


250 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:55:28 ID:dsLeV61M
幼「私はちょこっと後押ししただけだもん」

男「まぁ、あの二人が幸せそうだから、良いけどな」

幼「そう言う事!だから私たちはクールに去るぜっ!」

男「はいはい…cool!cool!!cool!!!」

幼「言い方が何かあの漫画みたくなってる…貴様、馬鹿にしているなッ?」

男「ハハハ!バレたか!さすが俺の相方!」

幼「…もう!アホ!」


251 : ◆L0dG93FE2w 2012/10/15(月) 21:58:13 ID:dsLeV61M
男「アホって言うな、間抜け面!」

幼「そんじゃ、私たちも行こうか!」

男「おう!帰るか!」

幼「私たちも手、繋ごうよ」

男「おう!」
ギュ

幼「ね、男が、しょぼくれたじいさんになってもさ」

男「おう?」

幼「この手、離さないでね?」
ギュッ!

男「嫌がったって離さねぇよ、絶対!」
ギュッ!

おわり

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