女王「起きなさい、私の忠実なる騎士よ」 騎士「よく寝た」


1 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/05(水) 20:58:23 ID:Nt9OOvJY

騎士「何年振りだ?」

女王「は?」

騎士「いやごめん、こっちの話さ」

騎士「多分わかんないだろうし」

騎士「あ、でも一応聞いてみるかな」


ソース: http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1391601503/


2 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/05(水) 20:59:17 ID:Nt9OOvJY

騎士「ここは渓谷の国かい?」

女王「渓谷……?いえ……? ああ、そうか」

女王「それはこの国の前身の名です、今は大雪渓の国と呼ばれています」

女王「地図があります、渓谷の国はおよそこの辺りにありました」

女王「そして今この国の範囲はおおよそこの程度……」

騎士「へえ! また随分拡げたもんだなあ」


3 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/05(水) 21:00:42 ID:Nt9OOvJY

騎士「すると君は何代目になるんだろ」

女王「3代目を継いでもう5年になります、渓谷の頃から数えるなら7代目……」

騎士「7代目! そうかあ、そりゃ時間も経つわけだ」

女王「あの……それで」

騎士「ああ、大丈夫、心配いらないよ」

騎士「お務めはちゃんと覚えているよ」

女王「それでは……」

騎士「うん」

女王「我が忠実なる騎士よ、前史からの盟約により、その務めを果たしなさい」

騎士「仰せのままに、我が親愛なる主よ」


4 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/05(水) 21:36:19 ID:Nt9OOvJY

騎士「うわー、いい眺めだなー」

騎士「けど、すばらしく寒い」

騎士「おかしいな、こんなに気候の厳しい土地だったっけ?」

女王「建国以来、この辺りの土地は少しずつやせてきているそうです」

女王「私の母が幼い頃に、火の山も活動をやめたと聞きました」


5 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/05(水) 21:39:10 ID:Nt9OOvJY

騎士「……あんな所に海岸線、あったっけ」

女王「大地も小さくなっているそうです」

騎士「随分変わってるなあ、大変でしょう」

女王「隣国からしてみれば取るに足らない小国です」

女王「けれど、少しずつ国を奪われています」

女王「……国民は飢えています、だからこそ」


6 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/05(水) 21:40:27 ID:Nt9OOvJY

騎士「戦わなければならない」

女王「……!」

騎士「でしょ?」

騎士「その為に起こしたんでしょう、俺を」

騎士「力を貸すよ、なんなりと言って」


7 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/05(水) 21:42:04 ID:Nt9OOvJY

女王「ありがとう、ございます……」

騎士「うん、それにそれは俺にとっても必要なんだ」

女王「必要?」

騎士「俺はさ、戦わなければだんだん弱っていくんだ」

女王「そんな……」

騎士「まったくひどい契約でしょ?」


8 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/05(水) 21:53:55 ID:Nt9OOvJY

騎士「あっちが俺の部屋か」

騎士「しかしまあ、この城も随分きてるね」

騎士「修繕もできていないし、掃除も行き届いていない」

騎士「何より姫様のあの格好」

騎士「それでもまだ気を使っているんだろうけど、一国の主の身なりじゃないよなあ……」

騎士「これは大変そうだぞっ、と」


9 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/05(水) 21:55:22 ID:Nt9OOvJY

ギギギ

騎士「こんにちわー……」

騎士「使ってない部屋らしいけど」

騎士「まあ、そうだよなあ」

騎士「……凄いすきま風、扉もがたついているし」

騎士「まずは掃除でもするかな」

騎士「っと」


10 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/05(水) 21:56:56 ID:Nt9OOvJY

「!?」

騎士「甘い甘い、俺の首獲るんならもっと上手くやらないと」

騎士「ついでにその仮面の下も見せてねー」

「な、いつのまに……」

騎士「あれ!?」

騎士「お前、盗賊じゃん!え、何やってんの!?」

「盗賊……!?」

騎士「……ああ、そっか、人違いだよね」

騎士「ただの人間が100年も生きていることもなし」

密偵「……盗賊ではない……、が、私はこの国に代々仕える草の一族だ……」


11 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/05(水) 21:57:56 ID:Nt9OOvJY

騎士「なるほど、子孫って線があったか」

密偵「なるほど、と言われてもな」

騎士「いいのいいの、その方が親近感がわくから」

密偵「それでいいのかお主の生き方……」

騎士「色々考えてたら長生き出来ないからね」


12 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/05(水) 22:00:06 ID:Nt9OOvJY

密偵「しかしまあ、随分と腕が立つ事はわかった」

密偵「古の騎士という話、信用しよう」

騎士「何それ?ちょっと格好いいね」

密偵「笑い話ではない」

密偵「この国の者はみな心の内で祈って来た」

密偵「この国の前史を支えた古の騎士」

密偵「その者がいつか自分たちを救ってくれることを」


13 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/05(水) 22:05:00 ID:Nt9OOvJY

密偵「平民出でありながら一国を興した比類なき才女と一人の騎士」

密偵「その英雄譚を子どもの頃から聞かされて育った」

騎士「え、才女?」

密偵「この国の祖となった女王だ、よく知っているのだろう」

騎士「え、あー、そっか」

密偵「なんだ」

騎士「いや、まったくそうだったよ! うん! あいつは凄かったなあ!」

密偵「あいつと呼べる辺り、随分と近い間柄であったと見える」

騎士「まあね!」

騎士(ただの喧嘩っ早い脳筋姉ちゃんだったことは黙っておこう……)

騎士(可憐な少女の夢をむざむざ壊すこともあるまい……)


14 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/05(水) 23:00:20 ID:Nt9OOvJY
ひとまずここまで

23 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/12(水) 22:36:39 ID:9NuAXTJQ

将軍「おや、これは女王陛下」

将軍「随分と豪華な見物客がおいでになられた」

女王「これは一体、何をしているのです!」

将軍「何、親善試合ですよ」

将軍「使うのも刃のない模造刀」

女王「き、騎士!」

騎士「……」コクッ

女王「しかし……!」

将軍「騎士殿はやる気のようだな」

将軍「では……手合わせ願おう」


24 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/12(水) 22:37:23 ID:9NuAXTJQ

騎士「……」スッ

将軍「む……」

将軍(隙がない)

将軍「これはなかなか面白くなりそうだ」

騎士「……ふっ」ヒュン

将軍(太刀筋はなかなか)


25 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/12(水) 22:38:58 ID:9NuAXTJQ

騎士「……1歩、2歩、3歩」スッ スッスッ

将軍「……むっ!」

騎士「1、2、3っ」フッ

将軍(これは避けねば……!)

騎士「はっ!」フワッ

……

将軍「……?」

騎士「……ん?」

将軍(私が上手く躱した……というより、やつの切っ先が思ったより伸びなかった感じだな)


46 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/13(木) 21:44:11 ID:cEFVt3t2

従者「あれ、お二人はどこへ……」

女王「古い知り合いの様ですから……積もる話もあるのでしょう」

従者「ははあ、なるほど」

女王「な、なるほど、とは?」ピク

従者「いえ、女王様のお耳に入れるようなことでは」

女王「そ、そうですか?」


48 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/13(木) 21:50:20 ID:cEFVt3t2

騎士「人気のない所で話をといことですが、なんのことはない俺の部屋です」

騎士「まあ何もお構い出来ませんが……」

魔女「戯けたことをぬかすな、用件はこれだ」

騎士「何だ?その包み」

騎士「おっとっと、こら、投げんなよ!」

魔女「……」ジロ

魔女「お前の剣だ」

魔女「突然いなくなってから、ずっと保管しておいた」


49 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/13(木) 21:52:02 ID:cEFVt3t2

騎士「え、うそ、ほんと?」

魔女「どう言って欲しいのだ……」

魔女「紛れもなくお前の物だ、曇りひとつない」

騎士「うわー、凄い!さすが鍛冶師が鍛え直してくれただけある!」

騎士「そうそう、これがなくちゃね!」スチャ

騎士「うーむ、しっくり来る」


50 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/13(木) 21:53:14 ID:cEFVt3t2

魔女「……身体は以前と同じなのか」

騎士「うん、どうやらそうみたい」

魔女「難儀だな」

騎士「まあじきに馴染むさ、この国は必ず守るよ」

魔女「……そんなことを心配しているのではない」

騎士「ん?」

魔女「……知らぬわ」フイ

……

女王(むむ……)

……

密偵(ぬぬ……)

騎士「……」

騎士(なんだか扉の向こうと天井裏に気配がするけど反応せんでおこう……)

騎士(さわらぬ修羅場にたたりなし……)


53 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/13(木) 22:02:42 ID:cEFVt3t2

密偵(最小限の動きで未然に防いでいる……)

騎士「せあ!」

密偵「だが攻撃はここぞという所で大味だ」ギィンッ

騎士「がはっ」

騎士「……ははっ、まだまだ!」

……

密偵「流石に経験が違うな騎士殿は」

密偵「こんなに思う様にさせてくれない相手も久々だ」

密偵「しかしまだまだ私は捉えられないぞ」

騎士「かもね、またお願いするよ」

密偵「ああ、では私は戻る」


55 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/13(木) 22:08:34 ID:cEFVt3t2

……

騎士「はっ、がはっ、ごほっ……!」

騎士「またか、どうなってんだこの身体は……!」

騎士「ぐぅっ!」ドサッ

騎士「……」

騎士「すーっ……すーっ……」

魔女「物音が収まった」

魔女「……寝付いたようだな」

魔女「騎士……」

魔女「今度はどれだけ一緒にいられるのだろうな」


86 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/17(月) 23:46:26 ID:YJ/DLXgs

魔法使い「これは最大限の譲歩だ、わかるだろ?」

騎士「わかってたまるか」

魔法使い「あ!お前!」

騎士「はっはっはっ」

魔法使い「待ちやがれ!」

姫騎士「随分と打ち解けて……」

魔法使い「打ち解けてない!」
騎士「打ち解けてねぇ!」

魔法使い・騎士「「ぐっ……!」」

姫騎士「ほんと気が合いますね」


103 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/18(火) 23:15:33 ID:F4f.A22M

姫騎士「そうですか……」

姫騎士「皆さん、まず落ち着きましょう」

姫騎士「大丈夫です、この日の為に準備をして来たのですから」

姫騎士「我々の、力なら…… 」カタカタ

姫騎士(震えが……)

騎士「姫様」ソッ

姫騎士「騎士……!」


112 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/18(火) 23:32:46 ID:F4f.A22M

隊長(腕は……なかなか立つようだが)

隊長(まだまだ荒削りに見える)

隊長(しまいだ!)

騎士「……」ギリッ

騎士「はっ!」

「がはっ」

隊長「ぬうっ!」

隊長(なんだこれは!)

隊長(一刻、一刻ごとに奴の動きが速く……!)

騎士「おおおっ!!」

隊長「ちいっ!」

……


114 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/18(火) 23:34:52 ID:F4f.A22M

姫騎士「っ、残党!?」

「はは、は!甘く、見たなあ!」

「俺の最期に付き合ってもらおうか!」

「ひ、姫様!」

「この距離じゃあ……!」

姫騎士「う、うああああ! 」ギィン!

「はっ、よく耐えたなあ!」

「だがこれで、終わりだ!」


115 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/18(火) 23:35:31 ID:F4f.A22M

ズグッ!

姫騎士「っ……?」

騎士「姫、様」

姫騎士「き、騎士……!」

騎士「怪我は……ありませんか? 」ボタッボタタタタッ

姫騎士「騎士ぃ……!」


116 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/18(火) 23:36:42 ID:F4f.A22M

騎士「……」ギロ

「なんだあ貴様!」

スラン

「き、きさっ、まままっ……」

「げふっ」

ドサ

騎士「……」

「な、何が起こった……?」

「相手の兵士が、一瞬で」

姫騎士「騎士、あなた、腕をっ……!」

騎士「なに、かすり傷です、へいちゃらですよ」

姫騎士「こんな時に冗談はやめてください!誰か!」


129 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/23(日) 00:25:51 ID:t1TVJ5WM

魔法使い「おい、騎士っ、おい!」

騎士「わるい……、なんだか、身体中がひどく軋むんだ……」ギシッミシィッ

魔法使い「なんだこれは、本当に人間の身体の出す音なのか」

騎士「うぐっ……ぐっうう」

魔法使い「くそっ、気を失ったか!」

魔法使い「……ちっ!」

魔法使い「おい!お前は私が必ず助けるからな!」

魔法使い「だから死ぬな!姫様を悲しませるな!」

魔法使い「おいっ、騎士……!」


134 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/23(日) 00:41:59 ID:t1TVJ5WM

魔法使い「戦い中で騎士は一時的に人の範疇を超え、理性をなくしました」

魔法使い「そしてその変化がきっかけとなったのかもしれません」

魔法使い「……少しずつ、騎士の身体は変化しており、精神も衰弱しつつあります」

魔法使い「このままではいずれ騎士は、騎士でなくなるでしょう」スッ

姫騎士「それは……?」

魔法使い「本来……人を活かす為に使うものではありません」

魔法使い「それに、世が世なら禁忌とされるものかもしれない」


137 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/23(日) 00:45:36 ID:t1TVJ5WM

騎士「やめろ……、やめてくれ」

魔法使い「聞こえていたのか」

姫騎士「いいえ……」フルフル

姫騎士「騎士、それでは貴方が死んでしまいます」

姫騎士「貴方は私を救ってくれたのです、自らも省みずに」

姫騎士「今度は私が貴方を助けます、命を懸けて」

姫騎士「だから貴方も私を信じて下さい」

騎士「姫、様……」

姫騎士「魔法使い、もう準備は整っているのでしょう?」

魔法使い「はい」

姫騎士「始めましょう、きっと悩んでいる暇なんてないのです」

…………

……


138 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/23(日) 00:49:10 ID:t1TVJ5WM

魔女「……身体の調子はどうだ?」

騎士「発作はあるが……安定はしている」

魔女「姫様は……お前がいなくなって、しばらくして亡くなられた」

魔女「それでも魔法は、お前を生かし続けている」

魔女「お前が、姫様の魔力を根こそぎ持っていったんだろう……」

騎士「……」ギリ

魔女「お前の中に、姫様が生きているんだ」

魔女「お前は騎士だよ」


143 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/23(日) 01:04:53 ID:t1TVJ5WM

騎士「思い出を……語ってやれないのが心残りだった」

騎士「……そうか、姫様は知る事ができたんだな」

魔女「ああ、とても嬉しそうだった」

魔女「……昔話が過ぎたな」グス

騎士「柄にもなく泣いているのか」

騎士「鬼の目にも……」

魔女「はははっ」

……ぬわー!


146 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/23(日) 01:08:42 ID:t1TVJ5WM

魔女「大丈夫、死なないように解凍もしてやるから」

騎士「……いやー、それなら安心だなあ」

魔女「だろ?そうだろ」

騎士・魔女「「はっはっはっ」」

騎士「……」ニコ!

魔女「……」ニコニコ!

騎士「てめえっ!この人でなし!」

魔女「あ、このやろなんだその言い草は!」

魔女「これでも必死に考えてやったんだぞ!」

魔女「さっきまでべそかいてた癖に!」

騎士「う、うるせー!」

………


153 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/03/02(日) 20:39:40 ID:fvFkTqOk

密偵「騎士どの、魔女どの、私たちは東の沢から……相手の側面を叩く」

密偵「どうか、無事で…… 」シュッ

騎士「姫様」

魔女「我々も配置に着きます、どうかご無理をなさらず」

女王「ええ、あなた方も」

女王「さて……」


166 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/03/02(日) 20:57:09 ID:fvFkTqOk

将軍「五人ほど残して残りを追え、逃がすなよ」

将軍「さて……」

将軍「貴様……、この時代の人間ではないらしいな」

騎士「知らないな、実際に今ここにいるんだから、その言い方は正しいのかな」

将軍「ふ、相変わらず口が回る男だ」

将軍「まあいい、今度は出し惜しみはさせんぞ」

騎士「なんのことだか……」ガァン!

将軍「はっ、なかなかいいではないか」


167 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/03/02(日) 20:57:48 ID:fvFkTqOk

将軍「こっちはいい、向こうの2人を相手しておけ」

「はっ」

騎士「ちっ、乱戦にはしてくれないか」

将軍「後でゆっくり囲い込んでやるさ」

騎士「それはどうも!」ギャリリッ!

将軍「む、刃が軋んでいる……!」

将軍「随分質のいい剣を使っているな!」

騎士「家宝の剣を鍛え直してもらった特注品でね! 」ギィン!

将軍「腕の方も前とは随分違うではないか!」

将軍「やはり手を抜いていたか 」ギリギリ

騎士「手を抜く?」

騎士「そんな器用なことできる訳ないだろ! 」ギン!

騎士「必死に修行したさ……!」

騎士「さすがに三回目ともなると幾分楽だったよ!」


168 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/03/02(日) 20:58:26 ID:fvFkTqOk

………

……

「女王様!やはりわが国が押されています!」

「平原の国は扇形に展開しております」

「いまだ均衡を保っていますが、左右から回り込まれればひとたまりも……!」

女王「……騎士……魔女……」

女王「あなた方は必死で私達に力を貸してくれている」

女王(ここで私が立ち上がらなければ)

女王(一体何のための女王でしょう!)

女王「…… 」キッ

女王「本陣を前線に進めます!中心を押し上げなさい!」

女王「そして……、別働隊に合図を送りなさい」

女王「ここからが正念場です!」

女王「行きましょう、我が国の明日の為に!」

「おお!」


177 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/03/02(日) 21:21:35 ID:fvFkTqOk

騎士「おおっ!」

将軍「なっ、き、貴様!まさか!」

騎士「おおお!」バッ

将軍「ちいい!」

フワッ

騎士「悪いなあ、ちょっと付き合ってもらうわ」

ザーン……


189 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/03/03(月) 21:07:43 ID:pY0kly4Q

騎士「俺も……ずっと昔、100年くらい前の人間さ」ガン、ガン

騎士「……ここなら掘れそうだな」ガン

騎士「自分がなぜ今こうしてここにいるのか、わからない」ガリガリ

将軍「……そうか」

将軍「ここで出会ったのも何かの縁かもしれんな」

将軍「……ごほっ」

将軍「おい、ちょっとこっちへ来い」

騎士「なんだ、ちょっと待て、どこかに道がないか探してるんだ」

将軍「いいから、早く来い」

騎士「なんだよ、急に……」


207 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/03/03(月) 21:38:36 ID:pY0kly4Q

…………

将軍「はっ、なかなかやる!」

密偵「くそ、この男……微動だにしない!」

将軍「一撃が軽いのだよ 」ガァン!

密偵「ぐはっ」

女王「密偵!」

密偵「ぐ……ぐ、ひゅーっ……ひゅーっ」

将軍「さて……、おや」

将軍「貴女が剣を持って戦うのですか」

女王「……」カタカタ……ギュッ


216 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/03/04(火) 22:07:14 ID:SoegoYjs

騎士(こいつ……言ってることに嘘はない!)

騎士(……まだ身体がうまく動かない)

騎士(今の俺では……駄目だ)

騎士(もっと……速く、速く!)

将軍「む……」

将軍「これか」

将軍「耄碌したジジイの戯言など……とは思ったが」

将軍「確かにこれは脅威だ」

将軍「ふん、まだ甘い……」ズガァッ!

ギシッミシィッ

騎士「ぐっ……」

女王「騎士……!」


218 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/03/04(火) 22:09:22 ID:SoegoYjs

……

騎士「はっ、はっ……」ポタ、ポタ

将軍「みくびっていたか……」ボタ、タッ…

騎士「がああっ!」

騎士(もっ、と、もっと、だ!)

将軍「まだ速くなるか! だが!」ギャリイイイン!

密偵(鎧を身に着けているのに、なんという身のこなしだ……!)

将軍「はあっ!!!」


219 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/03/04(火) 22:10:36 ID:SoegoYjs

騎士「…………ごふっ」

将軍「……ふふふ、ははっ」

将軍「まだこの大陸に、骨のある奴がいて嬉しかったよ」スッ

女王「騎士ぃ!」

将軍「……終わりだ!」

……チリッ

将軍「む!?」

ゴオオウゥッ!

将軍「なに!?」

騎士「魔、女!」

魔女「騎士!行けぇっ!!!」


221 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/03/04(火) 22:13:57 ID:SoegoYjs

騎士(いてぇ……)

騎士「ぐはっ、はっ!」ボタッボタタ

フラッ、フラッ

魔女「騎士……」

魔女「この楔、使うぞ……」

ドスッ

騎士「ぐっ……」

女王「魔女、それは……」

騎士「……ま、じょ」

魔女「なんだい不安か? はは、あれはものの例えだよ……」


224 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/03/04(火) 22:19:45 ID:SoegoYjs

「騎士殿はあれから眠り続けています」

「魔女の遺した解呪の法も試しましたが……」

女王「……そうですか」

女王「この部屋は……厳重に封印しておきましょう」

女王「いつか、また騎士が目覚める時まで」ギイィ……

「はい……」

「……!?」

「女王様!騎士殿が……!」

女王「騎士が、いない?」

女王「さ、探してください!」

「そうだ、あの氷室へ!」

「女王様!」

女王「何事です!」

「せ、雪渓が……次々に融解し始めているとの報告が!」


239 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/03/05(水) 19:45:50 ID:i0K0f10U

「え~、天にまします……」

……ウンタラカンタラ

…アーダコーダ

「それではみなさん、ご唱和ください!」

「騎士、女騎士、入団一周年おめでとー」

「「おーめーでーとー」」

「それではそれでは!」

「頂きます!」

「「頂きます!!!」」


289 : 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/03/09(日) 17:55:08 ID:Q9BLCiBA

騎士「風が気持ちいいですね」

女王「本当、こんな風はいつの日以来かしら」

騎士「ああ、そうだ……」

騎士「姫様に言い忘れていたことがありました」

姫騎士「あら、なんでしょう?」

騎士「姫様……」

女王「はい」

騎士「おはよう、ございます」

女王「……ええ、おはよう、よく眠れましたか?」

女王「起きなさい、私の忠実なる騎士よ」 騎士「よく寝た」

end.

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