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1 : 2015/02/23(月) 12:05:19.13 -
ゴポ・・・ プクプク・・・
春雨「・・・・・・」
春雨「・・・んぅ?」ムク
春雨「あれ・・・ここは・・・?」
春雨「私は何を・・・?」
春雨「?」
春雨「私・・・誰・・・?」
春雨「あれ? え?」
春雨「わからない」
春雨「・・・・・・」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1424660718
ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1424660718/
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2 : 2015/02/23(月) 12:05:55.62 -
春雨「」テクテク
春雨「(ここは海の中なのかしら?)」
春雨「(静かで・・・広い)」
春雨「(ちょっと冷たいし、寂しいところかも・・・)」
春雨「(海のニオイがする)」
春雨「あ、海草」
春雨「」ツンツン
春雨「・・・・・・」
-
3 : 2015/02/23(月) 12:06:41.68 -
春雨「(もう、どれくらい歩き続けたのかしら?)」
春雨「(すっかり辺りが暗くなってしまったわ)」
春雨「(どうしよう?)」
春雨「(疲れて頭が重い)」
春雨「(目も霞んできたわ)」
春雨「はぁ・・・」
春雨「・・・・・・」
春雨「・・・?」
春雨「光・・・?」
春雨「遠くの方に、何かあるわ」
-
4 : 2015/02/23(月) 12:07:16.95 -
春雨「大きな建物・・・」
春雨「ここは何なのかしら?」
春雨「でも、この形・・・」
春雨「見覚えがあるような・・・?」
??「ん? 貴女は・・・」
春雨「ひゃうっ!?」ビク
??「これは驚かして申し訳ございません」
??「私はこの深海鎮守府に住む」
??「空母ヲ級という者です」
ヲ級「以降、お見知りおきを」ペコ
春雨「え? あ、どうも・・・」
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5 : 2015/02/23(月) 12:08:07.52 -
ヲ級「貴女も沈んで」
ヲ級「こちらに来たんですね?」
春雨「え? 沈んだ・・・?」
ヲ級「ん? 覚えてないのですか?」
春雨「はい・・・実はここがどこなのか」
春雨「自分が誰なのかもわからなくて・・・」
ヲ級「・・・そうですか」
ヲ級「(・・・・・・)」
ヲ級「・・・とりあえず、中へどうぞ」
ヲ級「ここは冷たくて寒いですから、中でお話ししましょう」
ヲ級「それと是非、泊まっていって下さい」
春雨「えっと・・・あの・・・」
春雨「ありがとうございます・・・」
-
6 : 2015/02/23(月) 12:08:55.85 -
春雨「・・・ここは鎮守府だって、先程言っていましたよね?」
ヲ級「はい」
ヲ級「ここは、沈んだ艦の部品を掻き集めて作られた建物です」
ヲ級「よく再現できていると思います」
ヲ級「ここには私以外にも」
ヲ級「多くの者がいますので」
ヲ級「どうぞ、気軽にお話をして下さい」
春雨「はい・・・あの」
春雨「先程から、その・・・沈んだとかって・・・?」
ヲ級「・・・・・・」
ヲ級「・・・いずれわかるときが来ます」
春雨「・・・?」
-
7 : 2015/02/23(月) 12:09:25.33 -
春雨「(鎮守府か・・・)」
春雨「(私は艦なのかな?)」
春雨「(それに、今は戦争でもしているのかな?)」
春雨「(やっぱり、わからないわ・・・)」
春雨「(・・・・・・)」
春雨「(・・・あ、さっきより気分が良くなってきた)」
-
8 : 2015/02/23(月) 12:10:39.95 -
ヲ級「ここにいれば」
ヲ級「どんな夢も叶います」
ヲ級「生きることの苦しみさえ」
ヲ級「消えます」
ヲ級「幻なんかではない」
ヲ級「素晴らしい場所です」
春雨「へ、へぇー・・・」
-
9 : 2015/02/23(月) 12:11:08.04 -
ヲ級「しかし、我々の存在と」
ヲ級「この場所を壊そうとする、敵がいます」
春雨「敵?」
ヲ級「はい。人間と、その人間に従う艦娘という存在です」
春雨「艦娘・・・」
ヲ級「愚行の限りを尽くし、綺麗な海を汚した」
ヲ級「なんとも自分勝手な生き物なのです」
ヲ級「この広い海を独占しようと」
ヲ級「艦娘なる兵器を用いて」
ヲ級「実効支配をしようとしています」
-
10 : 2015/02/23(月) 12:11:53.67 -
春雨「そんなことが・・・」
ヲ級「我々は自分たちの身を守るため」
ヲ級「そして、この場所を守るために」
ヲ級「日々、艦娘と戦争をしています」
ヲ級「人間は弱い生き物ですから」
ヲ級「艦娘を利用するのです」
ヲ級「彼女らは非常に手強い存在ですが」
ヲ級「我々も負けません」
春雨「・・・・・・」
-
11 : 2015/02/23(月) 12:12:30.47 -
ヲ級「さ、疲れたことでしょうし」
ヲ級「ゆっくり休んで下さい」
ヲ級「・・・あ、言い忘れていました」
ヲ級「ようこそ、深海鎮守府へ」
ヲ級「ここはとても素敵な場所」
ヲ級「お部屋はたくさんありますから」
ヲ級「どうぞ、お好きにお使いください」
春雨「な、何から何までありがとうございます・・・」
ヲ級「いえいえ、良いのですよ」
-
12 : 2015/02/23(月) 12:13:14.48 -
ヲ級「では、ごゆっくり」
春雨「」グゥー・・・
ヲ級「ん?」
春雨「///」
ヲ級「・・・・・・」
ヲ級「」クス
ヲ級「私としたことが、失礼いたしました」
ヲ級「お腹が空いていたのですね?」
ヲ級「少々お待ちください、至急料理を」
ヲ級「お部屋までお持ちいたしますので」
春雨「ほ、本当にすいません・・・///」
春雨「(は、恥ずかしい・・・///)」
ヲ級「・・・・・・」
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13 : 2015/02/23(月) 12:13:47.38 -
春雨「(あれから数日が過ぎました)」
春雨「(あの晩に、命さえ危うかった私を)」
春雨「(ヲ級さんは助けてくれました)」
春雨「(寝床や食事まで用意してくれて)」
春雨「(本当に感謝しています)」
春雨「(しかし、行く宛てもない私には)」
春雨「(ここにお世話になるしかなかったのです)」
春雨「(それでもヲ級さんや、他の人達は)」
春雨「(私のことを、快く歓迎してくれました)」
春雨「(嬉しいな・・・何かお手伝いをしなければ)」
-
14 : 2015/02/23(月) 12:15:58.76 -
春雨「(こんなに優しい人達に酷いことをする)」
春雨「(人間と艦娘)」
春雨「(絶対に許されない)」
春雨「(是非、私にも戦わせて下さいと言うと)」
春雨「(ヲ級さんは涙を流して喜んでくれた)」
春雨「(さぁ、頑張らなきゃ!)」
春雨「(もうこの頃になると)」
春雨「(私は誰なのか、どこで何をしていたかなど)」
春雨「(どうでも良くなっていた)」
春雨「(ここは楽しい、ユートピア)」
春雨「(私はここを、そして仲間を守るため)」
春雨「(戦うことにしました)」
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15 : 2015/02/23(月) 12:16:40.44 -
春雨「(光り輝く、綺麗なネックレスをした娘)」
中間棲姫「ふふ・・・」
春雨「(洒落た服を着ている娘)」
離島棲鬼「うふふ・・・」
春雨「(みんな私のお友達)」
春雨「(みんなはダンスを踊って)」
北方棲姫「えへへ♪」
港湾棲姫「ふふっ♪」
春雨「(気持ちよく、汗を流す)」
春雨「(そこには、楽しさしかない)」
春雨「(他の余計なものは)」
春雨「(全て忘れていく)」
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16 : 2015/02/23(月) 12:17:29.97 -
ヲ級「お酒は初めてですか?」
春雨「ふぁ、ふぁーい!///」~☀
ヲ級「ふふ、美味しいでしょう?」
ヲ級「おかわりはいくらでもありますから」
ヲ級「どんどん飲んで下さい」
春雨「あーい!///」~☀
ヲ級「ふふふ・・・」
-
17 : 2015/02/23(月) 12:18:31.90 -
ネ級「・・・よし、こんな感じかな」トントン
タ級「随分細かくするね」
ネ級「へへん! んで後はストローで・・・」スー・・・
ネ級「はぁーーーーーー・・・・・・」
タ級「」スー・・・
タ級「あぁーーーーー・・・・・・」
軽巡棲鬼「はい、貴女もどうぞ!」
春雨「は、はい!」
春雨「」スー・・・
春雨「は・・・あ・・・!」
春雨「(き、気持ち良い・・・!)」
春雨「(頭が溶けちゃう・・・!)」
春雨「は・・・ああぁぁー・・・あへぇぇ・・・!」トロォ
軽巡棲鬼「ふふふ・・・」
-
18 : 2015/02/23(月) 12:19:22.95 -
春雨「あっ・・・ヲ級さん・・・!///」ギシギシ
春雨「き、気持ち良いです・・・!///」ビクビク
ヲ級「私も・・・です・・・っ!///」ギシギシ
春雨「はぁ・・・はぁ・・・あぁっ!///」ゾワゾワ
ヲ級「ふぅ・・・うっ・・・イキそう・・・っ!///」ゾクゾク
春雨「あっ・・・あぁ! うんぅぅっ!?///」ビクンビクン
ヲ級「んんんっ!!///」ビクビク
春雨「はぁ・・・はぁ・・・///」グテ
ヲ級「はぁ・・・ふぅ・・・///」
-
19 : 2015/02/23(月) 12:20:08.74 -
春雨「(あぁ、幸せだわ)」
春雨「(ここは素敵な場所)」
春雨「(要望は何でも受け入れられる)」
春雨「(私はすっかりこの場所の虜)」
春雨「(そして)」
春雨「(今日は初めて出撃をしました)」
春雨「(月が綺麗な夜でした)」
春雨「(海はとても静かで)」
春雨「(波の音だけが、静かに聞こえました)」
-
20 : 2015/02/23(月) 12:20:38.95 -
春雨「(敵艦隊が来ました)」
春雨「(名前も知らない)」
春雨「(得体の知れない者達)」
春雨「(一体彼女らがどこで生まれ)」
春雨「(どんな場所で暮らし、育ったかも)」
春雨「(知る由もない)」
春雨「(私達と、随分と姿形が似ていましたが)」
春雨「(不思議と何の感情も持ちませんでした)」
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21 : 2015/02/23(月) 12:21:09.27 -
春雨「(動かなくなるまで)」
春雨「(海の底に沈むまで)」
春雨「(撃つ)」
春雨「(撃つ)」
春雨「(撃つ)」
春雨「(撃ち尽くす)」
春雨「(何も思わず)」
春雨「(ただ黙々と)」
-
22 : 2015/02/23(月) 12:21:42.02 - 昼食を取ってきます
-
24 : 2015/02/23(月) 12:49:29.34 -
春雨「(全てを焼き尽くし)」
春雨「(燃え盛る、真っ赤な炎を)」
春雨「(空高くへと舞い上がらせる)」
春雨「(真っ赤な液体が飛び散り)」
春雨「(私の顔を汚す)」
春雨「(これは血なのかしら?)」
春雨「(私の血は青い)」
春雨「(やはり、彼女らは私達とは違う存在)」
-
25 : 2015/02/23(月) 12:50:08.98 -
春雨「(どんなに泣き叫んでも)」
春雨「(逃げようとしても)」
春雨「(私はやめない)」
春雨「(命乞いをされたとしても)」
春雨「(私は答えない)」
春雨「(流れ出る真っ赤な血潮は)」
春雨「(誰にも止められない)」
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26 : 2015/02/23(月) 12:50:49.19 -
春雨「(やりました)」
春雨「(私達は勝ちました)」
春雨「(みんなが勝利を祝っている)」
春雨「(私達に勝利を)」
春雨「(これは夢でもない)」
春雨「(確かな現実)」
春雨「(そして私は)」
春雨「(全てを受け止める)」
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27 : 2015/02/23(月) 12:52:02.21 -
春雨「(私はキンキンに冷えたカクテルを飲みながら)」
春雨「(楽しんでいます)」
春雨「(先程の戦闘で生け捕りにした艦娘が)」
春雨「(みんなからリンチされているのを)」
春雨「(笑いながら、眺めていました)」
空母棲鬼「おらっ!」バキ
艦娘「うぐぅっ!?」
飛行場姫「もう一発ぅ!」ガッ
艦娘「うぇぇぇ・・・!」
空母水鬼「ふぅ・・・結構痛めつけましたね」
空母水鬼「最期はこれで楽しみましょうか!」シュリーン・・・
艦娘「ひぃぃっ!?」ビク
空母水鬼「どう? 殺ってみますか?」
春雨「え? 良いんですか?」
空母水鬼「えぇ、遠慮はなさらずに」ニコ
春雨「え、えへへ・・・」
-
28 : 2015/02/23(月) 12:52:45.77 -
春雨「・・・・・・」
艦娘「いやあぁぁぁ!! やめてぇぇぇぇ!!」
艦娘「誰か助けてぇぇぇ!!」
艦娘「提督ぅぅぅぅーーーっ!!!」ポロポロ
春雨「・・・?」
春雨「提督・・・・・・?」
-
29 : 2015/02/23(月) 12:53:26.45 -
提督『なんだこの戦績は!』
提督『この役立たずが!』
提督『兵器のくせに、まともに戦うこともできんのか!』
提督『この!』ドカ
提督『あぁ、イライラする!』
提督『・・・服を脱げ』
提督『上官命令だ! 今すぐ服を脱げ!』
提督『・・・へへ、兵器のくせに良い体は持っているな』
提督『お前なんか、これくらいでしか使えないゴミだ』
提督『ははは、その顔もそそるものがあるな』
提督『はははははっ!!』
春雨「・・・・・・」
-
30 : 2015/02/23(月) 12:54:11.53 -
提督『あ? 補給だと?』
提督『そんなものねぇよ』
提督『お前はただ戦っていれば良いんだよ』
提督『人間様のためにな』
提督『せめて入渠させてほしい?』
提督『うるせぇ!! とっとと出撃しろ!』
提督『てめぇにそんな時間なんかねぇよ!』
提督『とっとと行ってとっとと沈んで来い!』
提督『変わりはいくらでもいるんだからな!』
提督『はははははっ!!』
春雨「・・・・・・」
-
31 : 2015/02/23(月) 12:55:07.78 -
春雨「思い出したわ」
春雨「休むことも許されずに」
春雨「笑うことは止められて」
春雨「這いつくばって、必死にもがいて」
春雨「私は沈んだ」
春雨「何も残らなかった」
春雨「・・・・・・」
春雨「酷いな」
ハルサメ「憎いな」
駆逐棲姫「・・・・・・・・・」
-
32 : 2015/02/23(月) 12:55:58.79 -
駆逐棲姫「・・・・・・」スタスタ
艦娘「いやあぁぁぁ! 来ないでぇぇぇ!!」
駆逐棲姫「」スッ
ザシュッ!! ザクザクザク!! グチャ!! ビチャビチャビチャ・・・・・・
艦娘「」
駆逐棲姫「・・・・・・」ポタポタ
ヲ級「・・・・・・」
-
33 : 2015/02/23(月) 12:56:52.59 -
駆逐棲姫「(彼女の血が、また私の顔を汚す)」
駆逐棲姫「(先程まで、この艦娘は生きていた)」
駆逐棲姫「(私が殺しました)」
駆逐棲姫「(・・・・・・)」
駆逐棲姫「(・・・もしかしたら)」
駆逐棲姫「(あの司令官が優しい人であったなら)」
駆逐棲姫「(私はこんな道を辿らなかったかもしれない)」
駆逐棲姫「(でも良いの)」
駆逐棲姫「(私は今、幸せですから)」
駆逐棲姫「(ここは永遠の楽園)」
駆逐棲姫「(守るべき仲間がいる)」
駆逐棲姫「(大切な場所なのだから)」
-
34 : 2015/02/23(月) 12:57:31.32 -
駆逐棲姫「ヲ級さん、作戦報告書です」
ヲ級「ありがとうございます」
駆逐棲姫「この間の出撃は凄かったですね!」
ヲ級「はい、こちらの被害はほぼゼロでしたからね」
駆逐棲姫「あぁー、今日の出撃も楽しみです!」
ヲ級「ふふ、頼りにしていますよ?」
-
35 : 2015/02/23(月) 13:02:23.65 -
駆逐棲姫「(ふと鏡を見てみました)」
駆逐棲姫「(私が映っています)」
駆逐棲姫「(顔色も悪く、髪は色褪せている)」
駆逐棲姫「(私は白露型駆逐艦5番艦、春雨だった存在)」
駆逐棲姫「(元は艦娘でもあった)」
駆逐棲姫「(でも、今は違う)」
駆逐棲姫「(深海棲艦という、誇り高き戦士)」
駆逐棲姫「(・・・・・・)」
駆逐棲姫「(今日も私は艦娘を沈める)」
駆逐棲姫「(怒り、そして憎しみの感情をもって)」
駆逐棲姫「(ひたすら撃つ)」
駆逐棲姫「(いつかは敵の本拠地、鎮守府へ)」
駆逐棲姫「(指導者を殺め)」
駆逐棲姫「(市民を殺め)」
駆逐棲姫「(あのもの全てを焼き尽くし)」
駆逐棲姫「(支配する)」
駆逐棲姫「(私はもう)」
駆逐棲姫「(戻ることはできないのだから)」
——— 終 ———
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