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1 : 2014/08/03(日) 14:09:40.78 -
自分の中の正義と社会の正義、どちらに従うべきかという話がある。
前者に従えば他人に迷惑をかけてしまうかもしれないし、周りから
白い目で見られる可能性が高い。
よって、多くの人は後者に従う。理不尽だと思うことに対しても、
それが社会の常識だと言われれば納得してしまう、いや、納得するふりをする。
自分の中の正義を押し殺して、他人に合わせる。もう自分の正義など持っていないという
人もいるかもしれない。
皆他人に対して、自分に対して嘘をつきながら生きていく。
中には自分の正義を貫いて「偉人」とよばれるまでになった人もいるが、そんなのはごくまれに起こる例外だ。
すなわち、社会の中で生きるということは、嘘の中に生きるということと同義なのである。しかし、これがぼっちの場合になるとすべてが逆転する。
自分の中の正義に従ったってそもそも他人に関わらないので迷惑もかけない。
周囲に白い目で見られるどころか眼中に入りさえもしない。何それ悲しい。
とにかく、ぼっちというのは、自分の正義に従って生きることのできる、
自由かつ誠実な生き物で、その生き方は偉人と呼ばれる人たちのそれと同じだ。
つまり、ぼっち=偉人という方程式ができあがってしまうのだ。
そうとなると、ぼっちのなかのぼっちたる俺は、偉人の中の偉人ということになる。
なんだ、おれ最強じゃん。こんな100年に1人の逸材の俺には、過度の罵倒や、
暴力行使をやめるべきである。やめてくれないかなぁ。SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1407042570
ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407042570/
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2 : 2014/08/03(日) 14:13:02.31 -
3学期が始まって2週間が経過した。
テレビではどこかの町の積雪量が過去最高などと騒いだりしているが、
教室のなかは暖房が効いていて、ぽかぽかお昼寝日和といったところだ。今の授業科目は数学なので、寝たふりをしながらまたどうでもいい考え事をしていたが、
暖かさに負けてそのまま寝てしまった。しばらく寝ていると、「・・ちまん、八幡!」と俺を呼ぶ声がする。
俺のことを下の名前で呼ぶやつは俺の知る限りでは2人しかいない。
ルミルミと愛しの戸塚だけである。(材木座?ナニソレハチマンヨクワカンナイ)
となれば教室にいるのは戸塚だけなので、必然的にこの声の主は戸塚ということになる。
しかし、それにしては声が高い。戸塚も男子の割にはこえが高いが、そのさらに一段上という感じがする。
疑問に思いながらも顔を上げてみると、そこには由比ヶ浜がいた。「ヒッキーやっと起きた!もう、何回も呼んでるんだからさっさと起きてよね!」
「おう。悪い、それより戸塚に呼ばれた気がしたんだが。」
「へ?、さいちゃんならいま教室にはいないけど。お手洗いじゃないかな」
「……もしやとは思うが、さっき俺の名前を呼んだのはお前か?」
「う、うん……」
言いながら、頬を赤く染める由比ヶ浜。おい、自分からやったんならそんなに恥ずかしがるなよ。こっちまで恥ずかしくなってくるだろうが。
「男の名前を気安く呼ぶなよ、このビッチが!」
「な!ビッチってなんだし!だってヒッキーって呼んでもたまに反応してくれないんだもん!さいちゃんが名前呼んだら絶対反応するからそれの真似しただけだし…」
最初は威勢よくつっこんだ由比ヶ浜であるが、だんだんと尻すぼみになっていく。
どうでもいいけどつっこみはもっと穏やかにしてくれませんかね。さっきからふたつの夢の塊がたゆんたゆんゆれてるんですが…
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4 : 2014/08/03(日) 14:17:39.16 -
「とにかく、これからは、下の名前で呼ぶのはやめろ。さもないとまたビッチよばわりするぞ。」
「だからビッチ言うなし!…ヒッキーはさ、あたしに名前で呼ばれるの、いや?」
由比ヶ浜が目を若干潤ませながら聞いてくる。やめろその目、おれのわずかにある良心が痛んじゃうだろうが。
「ああ、戸塚専用だからな。戸塚以外が呼ぶことは許さん。」
「どんだけさいちゃんのこと好きなんだし…じゃあヒッキーって呼んでも絶対反応してよね!」
「…善処する」
「絶対だからね!」
そう言って足早に自分の席に戻っていく。
こんな風に、由比ヶ浜と長時間教室の中で話すというのは、3学期に入ってからはもう珍しくなくなってしまった。
最初に話しかけてきたときには、向こうも緊張していたのか、話す言葉もぎこちなかったが、
今では部室にいるときと同じような感覚で話している。俺は、最初の3日ぐらいは由比ヶ浜に俺と教室で話すリスクをしつこく説明していたのだが、由比ヶ浜は気にしないの1点張りだった。なのでもう俺も諦めてしまった。
いや、本当は諦めるべきではないのだろうが、今のこの状況を心地いいと感じてしまっている以上、やる気もこれ以上起きなかった。
ま、いざとなったら俺が由比ヶ浜を脅していることにすればいいし、由比ヶ浜も三浦がトイレに行ったり寝てたり葉山と話し込んでいるときだけ来ているようだし、
このままとりあえずは現状維持ということで様子を見ている。
幸い三浦達は俺と由比ヶ浜がはなすことについては反対していないようだ。
俺はあれこれ考えながら次の授業の準備をする。
次の授業は平塚先生の現代文だ。そのことをわかってて由比ヶ浜も起こしに来てくれたのだろう。
そして、今日の昼休み、考えもしなかった出来事が起きた。
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5 : 2014/08/03(日) 14:21:08.72 -
≫3さんありがとうございます。
一番最初の書き込みで改行し忘れました。読みづらくてすいません。
今日はこれで終わりです -
6 : 2014/08/03(日) 15:43:30.06 -
期待
もし鳥が合ってたら全く関係ないものに変えた方が良いよ
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10 : 2014/08/03(日) 16:25:32.51 - あ
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11 : 2014/08/03(日) 17:40:23.04 - >>1、もう少しいろいろと見たり調べてから書いたほうがいいぞ
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13 : 2014/08/03(日) 18:15:53.02 -
1です。なにぶんネット初心者なもので、トリップや安価のつけ方については申し訳ないです
トリップは変えておきました。
今は書き溜めているので。それが終わり次第投下します -
22 : 2014/08/04(月) 17:45:34.44 -
「今日お話しするために生徒会も頑張って早く終わらせたのに…。」
「それ頼りにしてるとか言って男子に仕事押し付けただけだろ。」「先輩にそう言われると思って自分で仕事やってきたのに…。」
「なん…だと」驚いた。てっきりまた男どもを手玉にとってたと思ってたのに。
まぁこの発言自体が嘘の可能性もあるがそんなすぐばれるような嘘はつかないだろう。
しかし、一色がそこまでやるということはよほど本気なのだろう。
それに一色のこの状況は俺が原因らしいし、断るのは少し気が引ける。「雪ノ下、今日はもう部活終わりにして俺がこいつの相談を個人的に受けるってのはどうだ?」
「…あなたが良いというのならそうしましょう。今日の活動は終わりにします。」
雪ノ下は不承不承といった感じで告げる。「ぅぅぅう」
由比ヶ浜はなにか悔しそうに唸っている。何?お前も一色から相談うけたいの?以前の俺なら、どんなことも一人で抱え込もうとしていただろう。
いや、今の俺でもそれは変わらない。「誰か」に頼ることはいままでも、これからも
ないはずだ。だが、「こいつら」には頼ってもいいんだと思っている自分がいる。
こいつらからまぁ、なんというか、信頼みたいなもんをされていることは
俺ももうわかっている。だからこれから言うことは、そんな二人への、
せめてもの、そして身勝手な返答だ。「まぁ個人的な悩みらしいからそんな無理は言われないはずだ。
…それに無理そうだったらお前らと一緒に解決することも考えとく。」「比企谷くん…」
「ヒッキー…うん!遠慮せずに頼って!むしろ一人で行けそうでもじゃんじゃん頼って!」
「…考えとく。」
ほんと、俺も人間強度が下がったもんだ。「おい一色、もう落ち込んだふりするのやめろ。うざいから。」
「あは、ばれてました?じゃあとりあえず生徒会室まで行きましょう!」
俺は二人に軽く別れの挨拶をすると、一色に引きずられながら生徒会室へ向かった。
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37 : 2014/08/07(木) 17:40:15.33 -
ということで俺は今一色と二人で生徒会室にいる。
別に学校に関する用事という訳でもないらしいのに、暖房はガンガンに効かせまくりである。
職権濫用しまくりじゃねーか。俺としてもそっちのほうがいいから何も言わないけど。「で、なんだ話って。」
「まぁまぁそんなに急がなくってもいいじゃないですか。ゆっくりしていってくださいよう。」
「いや、俺はさっさと家に帰りたいんだ。さっさとしてくれ。」
「ちぇー。」といいながらも二人分の茶を用意する一色。おい、人の話聞いてた?
長居させる気満々じゃねーか。「で、話っていうのはですね…実は私、葉山先輩と今度の日曜日デートすることになったんですよ!」
いや、なにが「実は」なのか全くわからん。
「よかったじゃねーか。ていうか何? “私の恋愛うまくいってますよ”自慢を俺にしたいだけ?恋愛事上手く行ったことの無い俺へのあてつけかよ。」
告白しても振られた思い出しかないし。やっと本気で好きになれそうだと思った子は男だし。ほんと碌な思いしてねーな。
「違いますよー。私、そこで絶対に葉山先輩を落としたいいんです!
でも、具体的な案が中々出てこなくて…。そこで先輩にアドバイスをいただけたらなーって。」「アホか。俺は他人の恋を終わらせるための助言ならできるが、成就させる助言なんてできないぞ。そんなもん知ってたら真っ先に俺が実践するわ。」
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48 : 2014/08/09(土) 19:17:58.79 -
「じゃ、いただきます。」
俺が言うと二人もそれに続く。「いただきます。」
「いただきまーす!」
そしてチャーハンを勢いよく頬張る。うむ、中々にうまい。
「ど、どう?」
川崎が何か心配そうに聞いてくる。どうとは料理の味のことだろう。
「普通に旨い。最高に旨いとは言えねーのかも知れねーがこういう味の方が
温かみがあって俺は好きだ。小町と同じランクをつけてやってもいいぞ。」「…このシスコン」
「うっせ、ブラシスコン。」
「ファザマザコンでもあるよ。私は。」
「それもうファミコンじゃねーか!」
もうスーパーサキサキブラザーズとか発売しちゃってもいいレベル。しかし、こんな冗談も言い合いながらも、川崎は顔を真っ赤にしている。
おい、ちょっと料理褒められたぐらいでなんでそんな照れてんだよ。
こっちまで恥ずかしくなっちゃうだろうが。「まぁ俺の小町びいき心がなかったら小町の王座も危なかったな。」
ふ…やはり俺のシスコン道は何があっても揺るがないのである。シスコンマジ最強。「そ、それって…ま、まぁあんたが喜んでくれるならそれでよかったよ。」
「なんかはーちゃんとさーちゃん恋人みたーい。」ファッ!!いきなり何言っちゃってくれてんのこの子。
いやいや俺と川崎が恋人とか…あれ?なんか容易に想像できるぞ!?
ぼっち気質で家族愛が強いという共通点があるから話も合うことが多いし、
おそらく相手を身内と認めたらお互いに強い愛情注ぎそうだし。こんなことを思ってしまうのはこの一週間一緒に昼飯を食ってるからだろうか。
全く、自分の中学時代からの成長してなさ具合には嫌になる。
いや、こういう自分を諌めるために勘違いするべからずという教訓を持って過ごしてるんだ。
感情は生まれてしまうのだから仕方ない。誰かさんに「化け物」と言われた理性で、
それを制御するのだよし、心の整理完了。
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49 : 2014/08/09(土) 19:21:24.17 -
しかし。お隣にいるこいつはそんな余裕はなかったようで、
「け、けーちゃん!そんなこと言わない!私がこいつとこ、恋人とかありえないから!」
「なんで?、さーちゃん、はーちゃん嫌い?」「いや、きらいとかじゃなくてその」
「やっぱりー!さーちゃんいっつもはーちゃんのいいところ京華にいってるもんね!」
「こら!京華!それは言っちゃダメなやつでしょ!」え、なにそれ、聞いてないんですけど俺の今さっき稼働したばかりの理性が剥がれかかってんですけど。
つーかなんだよ、俺のいいところって。あって2,3個だろ。いっつもってありえないだろ。「それ…本当なのか?」
「うん!それで京華、あのとき会ったお兄ちゃんがそんなにかっこよくて優しいって分かったから、京華もはーちゃんのこと大好きだよ!」
「ちょ!こら京華!」川崎史上おそらく最高の慌てぶりでけーちゃんを抑えようとする。
ていうか「も」ってなんだよ「も」って。
まるで川崎も俺の事大好きみたいじゃねーか。
もう俺の理性は崩壊寸前である。「はーちゃんはさーちゃんのこと好き?」
純粋な眼差しで聞いてくるけーちゃん。く、これじゃ誤魔化すことも叶わなそうだ。
「あー、まぁいいんじゃないか。料理上手いし、優しいところもあるしな。将来いいお嫁さんになると思う。」「な、なあああああああ!」
「だが俺の目標は専業主夫だ。おれはいい奥さんじゃなくて働いてくれる奥さんが必要なんだ。」
「……」そう言って何とか茶化す。こうでも言わないとほんとに川崎ルートに入ってしまいそうだ。
「うーん。京華難しいことよく分かんない!好きか嫌いかで言って!」茶化せませんでしたとさ。くそ、ちょっと恥ずかしいが思ってることを言うしかない。
「好きか嫌いかでいえば…好き…かな?」
「っ~~~~~!!!」
川崎はとうとう顔から湯気が出るほどに顔を真っ赤にして顔を机に突っ伏した。
リアルに「かぁぁぁぁぁ///////」みたいな効果音が聞こえてきそうである。
多分俺も今そんな感じだろう。
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51 : 2014/08/09(土) 19:25:45.24 -
飯を食った後はけーちゃんと川崎と一緒にプリキュアの映画を見たり、
おままごとをして遊んだりした。時折高い高いをねだってくるので、やってあげたりもした。
その度にけーちゃんは大手を振って喜んでいた。俺はというと、その三人でなにかをしていると、まるで、家族みたいだなーとか思ってしまい、その思いが胸をよぎる度、頭の芯が熱くなるような感覚に襲われた。
だ、だって川崎が悪いんだ!何かある度に顔を赤くし目線を逸らそうとするんだもん!
そんなことされたら理性はもう限界なんですよぅ。そんなこんなしている内にもう帰宅の時間となった。
はぁ、長かったような短かったような、何とも言えない時間だった。
ただただ恥ずかしかった。俺が玄関まで出ていくと二人が見送ってきてくれた
「今日はありがとね。いろいろと。」
「気にすんな。そもそも俺は借りを返しただけだ。」
「そう言ってくれると助かる。」
「ああ、じゃあな。」
「じゃあね。」「はーちゃん、さーちゃんとさよならのキスしないの?」
「な、何言ってんの京華!」慌てふためく川崎
しかし俺はこうなることは予想していた。
小さい子と言えば恋愛=キスだからだ。
むしろいつ言われるかと身構えてたまである。だから俺は用意していた文句をさらっと言う
「あのなけーちゃん、キスっていうのは結婚してからしかしちゃいけないんだ。
だからまだ俺たちはキスできないんだ。」「へー、そうなんだー!初めて知った!」
「ああ、だからまたこんどな。バイバイ、けーちゃん。」
「うん!バイバイ!」そう言って俺は足早に川崎家をあとにする。
帰り際に川崎が「まだ…まだ…」
とつぶやいてるのが聞こえたので今日は眠れぬ夜確定である。
くっそー、明日も予定あるのにどうしてくれるんだ川崎の奴。
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66 : 2014/08/14(木) 22:58:55.77 -
「葉山先輩!これなんてどうですかね?」
「ああ、いいと思うよ。いろはは何を着ても似合うと思うし。」
「本当ですか?ありがとうございます!」時は某日曜日、普段ならアニメでも見ながら惰眠を貪っているところだが、
いまはららぽーとにある俺一人なら絶対に来ないような服屋にいる。一色と葉山のデート(笑)になぜか付き合うことになったためである。
因みに昨日はほとんど眠れなかった。
川崎との一日のことをいろいろ思い出してしまい、蒲団の中で悶々としてしまったからである。夜中に奇声を上げながらベットの上をゴロゴロしていると
「お兄ちゃんほんとにうるさい!」と小町に言われたときは泣きそうになった。しかし出掛ける時には
「お兄ちゃんが休日におでかけなんて…小町的にポイント高いよ!」とかわいい笑顔で見送ってくれたのでその悲しみも無くなったがな。
あれ?でもそれって俺は家に要らないとかそういうこと?なんか死にたくなったんですけど。何はともあれ俺は一色が俺が居た方が葉山に対して素を出せるということで付いてきたのだが…
「でもー私的にはー、葉山先輩が一番似合うと思ったものを選んでもらいたいっていうかー。」
全く素なんて出してないですね。どういうことあれ?俺いる意味ある?「じゃあこれなんてどうかな?」
しかし、今日の葉山の態度には大きな違和感を感じる。
今だって服を選ぶのに全く悩む素振りを見せなかった。葉山のような、相手に何をしてやればその相手が喜ぶか理解してるやつなら、
あそこは店中の服をある程度見渡してから服を選ぶはずである。もちろんそれが本当に似合っているかは問題ではなく、
「葉山先輩が私の事で真剣に悩んでくれた!」という事実が必要なのであり、
もしいつもの葉山なら、相手がどんなにどうでもいい相手でも、そういうふりだけでもするはずである。だが今の葉山は0.1秒も迷うそぶりも見せず、なんなら選んだ服さえ見ずに一色に服を手渡した。
それはもう、あからさまに。一色に対して、「君には一片の欠片ほどの興味もない」とでも言うように。
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67 : 2014/08/14(木) 23:01:49.97 -
一色だって馬鹿ではない。むしろそういうメッセージは敏感に察知してしまうタイプだ。
しかし一色は痛々しいほど顔を引き攣らせながらも「あは、あははー。いやー葉山先輩が選んでくれるなんて私嬉しいです。
でちょっとお金がなー。」と笑顔で気丈に応える。
ほんとお前ってすげーやつだな。「ごめん、実は俺もお金あんまり持ってきてないんだ。なにせ小遣い前でね。
金があったらかってあげたんだけど。」
「いえいえ!そんなおごってもらおうとか思ってなかったんで結構ですよー。
でもお気持ちはありがとうございます!」これも嘘だ。もし本当に金を持ってないのなら、葉山はこんなデートには来ない。
相手への、特に女性への気遣いを忘れない葉山なら、どんな女性にもある程度の出費を見越してデートの誘いに乗るはずである。
これもまた、「君に出す金はない。」というメッセージであり、
またお金をあまり持っていないダサい自分を演じて一色を遠ざけたいのだろう。…はぁ、やっぱり俺の危惧していた通りになってしまった。少し胸が苦しい。
別に一色なんてどうでもいいやつなんだが、一応俺の知っている後輩の中では
一番関わっている後輩である。というか知ってる後輩とかこいつだけだけど。知っている女の子の思いが踏みにじられていく様子を見るのは、どうも気分が悪い。
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82 : 2014/08/18(月) 02:50:22.89 -
笑顔に囲まれている状況という言葉を聞いたとき、あなたならどんなイメージを持つだろうか。
字面だけ見ればまるで何か大きな物語がハッピーエンドを迎えたときのような、まるで天国に居るかのような幸福感を味わうことができるだろう
。今、わたくしこと比企谷八幡の周りにも三つの笑顔が存在している。
ひとつは、愛想笑い。
想い人とのデートのはずが、見ず知らずのお姉さんと何故か相席してしまうことになったが、そのお姉さんがやけにニコニコしているのでとりあえず笑っている、そんな笑顔。
ひとつは、苦笑い。
後輩とのデートに付き合っていただけのはずが、なぜかとんでもない人との出会いを果たしてしまい、もう笑うしかないといった感じで笑っている、そんな笑顔。
最後に、黒笑い。
そんな言葉ねーよと言う人もいるだろうが、実物を見てみればそうとしか言い表せないであろう、これからこいつらをどう料理してやろうかという、そんな笑顔。地獄である。幸せな要素など何一つ無い。いったいなんの修羅場なんだと誰かに答えを求めたい。あっ、まじで胃が痛くなってきた。
「へ~、いろはちゃんっていうんだ~。なんか水の名前みたいだね!」
「え、ええ。よく言われます。」
「もう、そんなに固くならなくていいよ~。でも今日はなんで隼人と一緒にいたの?
まさか彼女とか?隼人も隅におけないねー。」「いや…そんなんじゃないよ、陽乃さん。ただの部活のマネージャーさ。」
「そっかーそれもそうだねー。そうじゃないと比企谷くんが居る意味がよく分からないもんねー。」
「どっちにしても俺のいる意味あんま自分でもよく分かってないっすけどね。
なんなら自分の生きてる意味がわからないまであります。」「うわー相変わらず卑屈だねー。、…もしかして比企谷くんの彼女?」
「そ、そんな訳ないですよ!私が先輩とつ、付き合ってるとかありえないです。」
俺が否定するより先に一色が顔を赤くして否定する。雪ノ下さんに怒れるとかすげーなこいつ。いや、ただ単にまだ雪ノ下さんの強化外骨格に惑
わされているだけか。「そっかー!よかったよかった。もし比企谷くんの彼女だったらどうしちゃおうかと思ったよ~。」
完璧な笑顔で雪ノ下さんが言う。ていうか「しちゃう」ってなんだよ、怖すぎんだろ。
「ひっ!」
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112 : 2014/08/19(火) 23:09:19.55 -
完結です。駄文にお付き合いただきありがとうございました。
誤字、脱字、変換ミス、句読点の入れ忘れなどは脳内変換でおねがいします。
次回作は長編の前に、イチャイチャ短編でも書こうかなと思ってます。シリアスなしの台本形式で。
タイトルは
小町「雪乃さん、結衣さん、お兄ちゃんって実は、抱き枕がないとねられないんですよ!」
みたいな感じになると思います。
では失礼します。
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