-
1 : 2015/05/24(日) 02:07:10.24 -
悪魔のリドルssです。
注意事項
・黒組が終わってからの設定
・春伊、兎晴の百合ssです
・中盤からエロ入ります
・伊介様がバリネコ拙い文章ですが、よろしければお付き合いください。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1432400820
ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1432400820/
-
2 : 2015/05/24(日) 02:09:25.32 -
まだそれ程暑くない初夏の午後。
昼食も食べ終え、穏やかな風に揺らされる風鈴の音色を聞きながら来客を待っていると、玄関のチャイムの音が部屋に鳴り響いた。
春紀「——お、きたきた」
視線の先を風鈴から玄関へと移し、椅子から立ち上がってまだ真新しい新居の廊下を足早に歩く。
意外にも自分の足取りが軽いことに気付いて少しばかり驚きつつ、今更それが何だと思い直し、春紀はドアノブに手を掛け扉を開けた。
-
3 : 2015/05/24(日) 02:18:43.81 -
入り込んでくる夏の風を体で感じ、目の前には予想通り先日会ったばかりの少女が立っている。
晴「こんにちは、春紀さん」
柔らかな癖毛を風に靡かせて、人懐っこい雰囲気を持つ少女は向日葵を思わせる様な屈託のない顔で春紀に挨拶をした。
春紀「いらっしゃい、晴ちゃん」
そのひなたの笑顔にあてられて、春紀の表情も意図せず緩む。
そして、春紀の視線は晴の隣に佇むもう一人の少女へと移った。
-
4 : 2015/05/24(日) 02:23:54.94 -
春紀「兎角サンも、いらっしゃい」
兎角「——ああ、邪魔をする」
癖のない真っ直ぐな髪質とぶっきらぼうな雰囲気を併せ持つ少女は、晴とは正反対に特に感情も露わにせず無表情で春紀の言葉に応える。
傍から見れば対照的に見える二人だが、不思議とアンバランスさは感じられない。
隣り合うことがごく自然であるかの様な、お互いを深く理解し合っているとも言える、二人にはそういう雰囲気があった。
春紀「あれ、その制服」
見覚えのある制服に、春紀の意識が二人の衣服へと移る。
-
5 : 2015/05/24(日) 02:30:02.48 -
晴が身に着けているのは白のブラウスに黄色のベストと紺色のスカート。
兎角が身に着けているのは白のブラウスと青いチェック柄のネクタイとスカート。それぞれ黒組開講時に彼女達が着ていた制服だ。
晴「はい! せっかく春紀さん達とまた会えるので着て来ちゃいました!」
春紀「ははっ、懐かしいなあ」
過去に開催された十年黒組。そこで彼女達はこの場に居る三人も含めて多くの人間と出会うことになった。
口では懐かしいと言ったものの、春紀自身記憶が風化した感覚は全くない。
-
8 : 2015/05/24(日) 21:17:21.73 -
何せ色々なことが起こり過ぎた。
過ごしたことのない、過ごすことのないと思っていた日常。罪悪感に満ちた人生の転機となる出来事。
そして、特別な人との出会い。
完全に思い出にするには、まだまだ時間がかかり過ぎる。
そもそも、何故晴と兎角の二人が今日この日に春紀の現在の住居であるマンションを訪れたかというと、数週間前に起きた出来事が切っ掛けとなる。
発端となる数週間前、春紀と晴達二人は街中で偶然再会を果たした。
黒組以来となる予期せぬ偶然の顔合わせに、春紀は二人に対して若干の戸惑いを抱く。
-
9 : 2015/05/24(日) 21:27:21.70 -
無理もない。三人は別れの間際まで生死のやり取りをしていたのだから。
いくら自分を赦し、その後の身を案じてくれていた相手だとしても、そう簡単に過去の過ちを割り切り、友人の様に接することなど春紀には出来はしなかった。
——だと言うのに。
目の前の彼女は、暖かな笑顔でいとも簡単に春紀の鬱屈とした気持ちを吹き飛ばす。
春紀がポカンとしているのにも関わらず、晴は再会を純粋に喜んで捲くし立てる。
当然隣の兎角もその様子を静かに見守っているのだが、その表情は相変わらずの無表情の筈なのに少しだけ春紀の知っている兎角のものより柔和に見えた。
そして、あれよあれよと言う間に携帯のメールアドレスが交換され、予定の空いている日に集まることになって今に至る。
-
10 : 2015/05/24(日) 21:42:15.22 -
春紀「さ、入った入った」
二人を招き入れ、真新しい廊下を戻る様に部屋へと向かう。
これからの予定は、そう大したものじゃない。ただ互いの近況を語り合いながら飲み食いするというだけだ。
晴「わあっ、良いお部屋ですね!」
春紀「はは、そうかい?」
建築されてからまだ日が浅い為か、まだ真新しく小奇麗なダイニングに晴は目を輝かせてはしゃぐ。
-
11 : 2015/05/24(日) 21:54:15.24 -
春紀「まあ、あたしは1Kの格安なアパートでも良かったんだけどさ」
兎角「確かに、一人で住むには少し広い気もするが」
春紀「いやあ、どっかの誰かさんが我儘言うもんでね……」
晴「あっ、もしかしてそれって伊介さんですか?」
春紀「せーかい。一緒に住む訳でもないのになー」
晴「お二人は一緒に住んでないんですか?」
春紀「ん? ああ、そうだよ。だってのに、あたしが安いアパートでいいって言ったら何故か怒り出してさあ」
-
12 : 2015/05/24(日) 22:06:13.81 -
全く何考えてるのか分かんないよなー、と苦笑混じりに春紀が呟くと、玄関の扉が開け放たれる音が聞こえた。
程なくして聞こえてくる足音は玄関の時と同様に全くの無遠慮というか、謙虚さとは程遠い我の強さを感じさせる。
そして、引き戸を開けてダイニングに入ってきた人物は開口一番にこの部屋の主に物申した。
伊介「——当ったり前でしょー? 何が悲しくて伊介がボロいアパートで寝泊まりしなきゃならないのよ」
春紀「げっ、伊介様……聞こえてたのかよ」
伊介「ええ、あんたのデカい声が玄関の外までねー」
我が物顔でマンションの一室に入ってきた妖艶な雰囲気を漂わせる女性、犬飼伊介は相変わらずの笑顔で毒突く。
-
13 : 2015/05/24(日) 22:13:17.57 -
偶然にもその服装は、露出の派手な黒組時に着ていたものと同じものだった。
伊介「このマンションだって妥協に妥協を重ねてあげた結果なのに。その上こうやってたまに足を運んで家賃だって半分出してあげてるんだから、伊介には感謝してもし足りないくらいよねえ?」
春紀「はは、そりゃまあ……」
伊介の言葉の応酬は止まらない。
別にこの部屋に住むことに不満があるわけではないが、貧乏性の春紀からすれば、何故月に数回しか泊まりに来ない部屋に多額の金——少なくとも春紀にとっては——が出せるのか、理解が及ばなかったのだ。
しかし、それを言うとまた「貧乏臭い❤」などと小言が飛んできそうだったので、自分と伊介では一生金銭感覚が合わないだろうと思いつつ、言葉の群れを避ける為に引き下がるのであった。
-
14 : 2015/05/24(日) 22:28:13.43 -
晴「伊介さん、お久しぶりです!」
そんな二人のやり取りなど物ともせず、久方振りの級友との再会に晴は相変わらずの屈託のない笑顔を浮かべて喜びを露わにする。
伊介「あーら晴ちゃんに東さん、お久し振りねぇ。ホントに来たんだ❤」
兎角「…………」
晴「はいっ、伊介さんにもまた会えて嬉しいです」
伊介の皮肉めいた言葉に対して、兎角は特に意に返さず、晴は皮肉にも気付かずニコニコしている。
ある意味黒組の時と変わらないやり取りだが、伊介と兎角の間には過去の様なピリつきは感じられず、春紀は胸を撫で下ろす。
-
15 : 2015/05/24(日) 22:35:41.37 -
晴とて自分に対してされた過去の仕打ちを忘れた訳ではないだろう。
思い返さない様にして、見ない振りをして、愛想を振り撒いている訳でもない。
例え振り返った過去に死を突き付けられた記憶があったとしても、それでも晴は前を向いて心の底から笑顔を浮かべる。
命を狙われたことなど関係ない。晴にとっては争いの無いこの場所この時間で、初めて出来た級友達と再会出来たことが何よりも嬉しいのだ。
本当に強い子だと、春紀は改めて思う。そしてその気持ちが心から伝わってきて、自然と心が暖かくなりまたしても顔が緩む。
伊介「なーにニヤニヤしてんのよ。キモチワルイ❤」
兎角「……で、いつまでこうしてるんだ」
-
16 : 2015/05/24(日) 22:41:30.41 -
春紀「え? ああ、悪い悪い。さ、好きなとこ座って」
気を取り直して早速今日集まった本題——と言っても大した目的では無いが——に入る為、春紀は予め買っておいたお茶請けを用意し、各々自由に席につく。
晴「あ、そうだ。クッキー作ってきたんです。良かったら一緒にどうぞ」
そう言って晴が取り出した紙袋からは香ばしくて仄かに甘い匂いが漂って来る。
春紀「へえ、そのクッキー晴ちゃんが作ったのか」
晴「はい。兎角さんも手伝ってくれたんですよ」
兎角「わたしは材料を混ぜてただけだけどな」
-
17 : 2015/05/24(日) 22:47:55.41 -
クッキーの形は星やハート、果てはチョコレートで顔を描かれた犬や猫に晴のストラップに付いていたキャタクターなど実に様々で、春紀は晴の器用さに素直に感心した。
が、そんなことなどお構いなしと言った具合に伸ばされる無遠慮な手が一つ。
その手は誰よりも先にクッキーを一つ摘まむと、形を見て楽しむこともなく、口の中へとそれを放り込んだ。
手の持ち主など、今更言うまでもない。
伊介「んー、まあ及第点?」
晴「ふふ、ありがとうございます」
相変わらずな伊介の物言いに、晴はにこやかな笑顔で律儀にお礼を述べる。
-
18 : 2015/05/24(日) 22:56:58.99 -
全く伊介は、などと春紀は思ったが、黒組時代を考えればこれはこれで微笑ましいやり取りなのではないかと思える。
兎角の方も、これといって不快な反応は示していない。
春紀「そういや、二人は一緒に暮らしてるのか」
兎角「ああ」
黒組終了後、二人は住まいを共にしている。
街で再会した時にそのことについて話していた晴の心を弾ませる声と嬉しそうな顔を、春紀はよく覚えていた。
-
19 : 2015/05/24(日) 23:09:39.02 -
伊介「へえ、じゃあ毎日充実してるって訳?」
晴「はい!」
より一層屈託の無い笑顔で晴は返事をする。それだけ今の暮らしを幸福に思っているということなのだろう。
しかし、そんな純粋な笑顔とは裏腹に、伊介の瞳には密かに怪しい光が宿る。
伊介「ふーん、そう。で、そんな新婚生活真っ只中の甘ったるい二人の仲は、どのくらい進んだのかしら?」
晴「どのくらい、ですか……?」
微笑ましい近況報告の筈が、伊介の問い掛けによりそこはかとなく如何わしい方向へと逸れていく。
-
20 : 2015/05/24(日) 23:57:20.94 -
その妙な雰囲気に、春紀と兎角は僅かに眉根を寄せた。
伊介「分かりにくい? じゃあもっと分かり易く言ってあげる❤」
伊介はスッと目を細めて、真っ直ぐ晴を見詰める。
伊介「晴ちゃんはぁ、東さんとぉ——何処までしたの?」
春紀「ぶっ……!!」
盛大に吹き出す春紀、混乱半分理解半分で頬を瞬時に染めて硬直する晴、そして目に見えて眉間に皺を作り不機嫌顔となる兎角。
その表情は正しく三者三様であった。
-
21 : 2015/05/25(月) 21:06:35.69 -
春紀「ちょっ、伊介様! いきなり何言いだしてるんだよ!」
伊介「えー、何ー? 伊介はただ初心で面倒臭そうな二人の仲を心配してるだけだけどぉ?」
心配と口では言うが、明らかにからかって楽しんでいるのは明白だ。
何よりも、怪しい笑みを浮かべた軽い表情がそれを物語っている。
伊介「こういうことはやっぱり東さんが引っ張ってあげないといけないわよね。彼氏として❤」
兎角「誰が彼氏だ」
この面子で殺伐とした空気にならなかったのは幸いだ。
-
22 : 2015/05/25(月) 21:18:42.23 -
幸いなのだが——流石にこの如何わしさが漂うあれな空気にこの場を染め上げるのはどうだろうか。
これ以上の伊介の自由奔放すぎる振る舞いを制止しようとする春紀だったが、それよりも先に伊介は動き出していた。
今度は視線を自分の真正面に居る兎角へと向け、テーブルに手をついて身を乗り出す。
伊介「でも東さんじゃ何か心許無いわよねぇ。何なら——」
舌舐めずりを一つ。たったそれだけの行動の筈なのに、彼女の妖艶さには更に磨きがかかる。
女性の魅力を凝縮したかのような豊満な胸が揺れ、蠱惑的な笑みを浮かべる美女は上目遣いで相手の顔を覗き込み、言葉を紡ぐ。
伊介「——お姉さんがぁ、色々教えてあげましょうか?」
-
23 : 2015/05/25(月) 21:31:54.82 -
まるで相手を惑わし、心を陥落させようとするかのような魔女の囁き。
例え同性だろうと関係ない。心を蕩かせる甘くて艶っぽい声にはそれだけの効力があった。
しかし——。
兎角「結構だ」
伊介の肩を両手で押し返し、表情一つ変えることなく即突っぱねる。
極上の仕草も声も、兎角にはまるで効かなかったようだ。
-
24 : 2015/05/25(月) 21:45:31.04 -
伊介「あん。やーだ、つまんない反応ー」
春紀「ははっ。残念だったな、伊介様」
晴「…………」
伊介「……うふ❤ 安心した? 晴ちゃん」
晴「えっ……?」
伊介の視線は、いつの間にか晴へと戻っていた。
その表情は、心底面白いものでも見たかのように愉快そうに笑っている。
-
25 : 2015/05/25(月) 21:57:52.24 -
伊介「こんなことでも妬いちゃうなんて、本当に甘々のベタベタなのねー」
伊介が兎角に詰め寄った時の晴のそわそわとして不安そうな顔を、そして兎角が伊介を押し返した時の晴の安堵の溜息を、伊介は見逃さず目聡く捉えていたのだ。
指摘された晴は顔を赤くしてあわあわと狼狽える。
春紀「いや、伊介様がやらし過ぎて心配になっただけじゃねえの?」
伊介「お黙り❤」
にこやかな表情のまま伊介の拳が飛び、春紀の頭を小突く。
無論、大した力ではないので怪我などしない。が、生半可な力加減だったので相応の痛みは味わったが。
-
26 : 2015/05/25(月) 22:08:36.39 -
春紀「いてて……しかし意外だな。晴ちゃんに限って妬きもちなんて」
晴「あ、あの、えっと……」
伊介「おかしいことなんて何も無いわよ。本当に好きな人なら気になって当然よねぇ?」
今日初めてまともなことを言う伊介に春紀は素直に感心する。
そのせいか、思わず言葉が口から滑り出た。
春紀「じゃあ似たようなことになったら伊介様もあたしのこと——」
-
27 : 2015/05/25(月) 22:19:29.48 -
伊介「調子に乗んな❤」
兎角「おい、あまり晴をからかうな」
晴「あ、兎角さん。晴は、大丈夫だから……」
そんな調子で騒がしいとも賑やかとも言える具合に四人は語り合う。
晴達が今通っている学校生活のこと、春紀が仕事をしながら大学進学を目指していること、伊介が仕事で家族と共に渡り歩いた世界各地のこと、内容は実に様々だ。
そして、そうこうしている内に太陽は沈み夜空に星が見え、夕食を済ませてまた雑談に興じていると、時刻は午後九時になろうとしていた。
-
28 : 2015/05/25(月) 22:45:22.32 -
春紀「——と、もうこんな時間か」
晴「わ、本当だ。何だか時間が経つのが早いね」
今部屋に居るのは春紀、晴、兎角の三人。伊介は近くのコンビニまで買い出しに出ている最中だ。
普段から面倒事を嫌う伊介のこの行動には春紀も驚きを隠せなかったが、何故か頑なに自分が買い出しに行くことを譲らなかったので、数十分前に彼女を送り出したのだった。
兎角「……そろそろ行くか」
晴「そうだね。あんまり長居すると迷惑だろうし」
春紀「あたしは別にいつまで居てくれても構わないんだけどね。それにしても伊介様の奴、ちょっと遅いな」
-
29 : 2015/05/25(月) 22:56:31.32 -
近くのコンビニに行って帰ってくるにしては少し時間がかかり過ぎていることに、春紀は引っ掛かった。
しかし、伊介に限って夜道で危険な目に遭ってるイメージが湧かなかった——寄ってくる輩が居ても簡単に撃退出来るだろうから——為、別段心配などはしてはいなかった。
晴「あの、伊介さんが帰ってくるまで待たせてもらってもいいでしょうか? 伊介さんにもちゃんと挨拶をしたいので」
春紀「ああ、全然構わないよ。帰るのは伊介様が買ってきたデザートやらを飲み食いしてからにしようさ」
そんな話をしていると、玄関が開く音が聞こえてきた。
そして相変わらず無遠慮に引き戸が開け放たれると、そこには予想通りビニール袋を手にした伊介が佇んでいた。
-
30 : 2015/05/25(月) 23:10:36.26 -
春紀「お帰りー、伊介様」
晴「お帰りなさい、伊介さん」
伊介「…………」
しかし、伊介は全くの無反応。
無言でツカツカと歩きビニール袋ごと買ってきたものを冷蔵庫の中に放り込むと、また無言で歩いて春紀の腕を掴み、そのまま部屋の外へと引っ張ろうとする。
春紀「うわっ! ちょ、ちょっと、どうしたんだよ伊介様!」
伊介「…………」
-
32 : 2015/05/26(火) 21:10:19.62 -
が、やはり伊介は答えない。その瞳は何処か虚ろであった。
そのまま春紀は廊下へと連れ出されてしまう。
春紀「あっ、二人は気にせず伊介様が買ってきたもん適当に飲み食いしててくれていいから!」
晴「う、うん……」
兎角「…………」
そして、伊介の手によって引き戸は閉められ、伊介は更に春紀の手を引いて玄関とダイニングの途中にある薄暗い和室へと春紀を連れ込んだ。
そこでようやく伊介の動きが止まり、二人は向かい合う形となる。
-
33 : 2015/05/26(火) 21:38:07.96 -
春紀「全く……急にどうしたんだよ、伊介様」
伊介「…………」
春紀(答えてくれない、か)
伊介は気分屋だから、会話の中で知らず知らずの内に彼女の機嫌を損ねてしまったのかもしれない。
機嫌を直すには手間がかかりそうだと内心思い、溜息をつこうとする——その直前。
春紀(——?)
溜息はつけなかった。口が、塞がれてしまったから。
-
34 : 2015/05/26(火) 21:53:35.57 -
感じるのは違和感ではなく、柔らかな——。
春紀「ん、むっ——!?」
気付けば目を瞑った伊介の顔が至近距離に。
甘い香りも添えて、唇にはマシュマロの様な感触が。
春紀「い、伊介様?」
伊介「ふふ、はーるき❤」
事態の急変に、春紀は混乱する。
-
35 : 2015/05/26(火) 22:00:24.57 -
伊介は唇を離すと、今度は春紀の首に手を回してきた。
その声はいつもの色気に満ちた艶っぽいものではなく、彼女らしからぬ茶目っ気に満ちた猫撫で声だった。
春紀「一体、何で……」
伊介「二人の惚気話を聞いてたらぁ、シたくなっちゃった❤」
春紀「はぁ!? いや何言ってんだよ、二人だってまだ居るの、むぐぐ……!」
伊介の突拍子もない発言に声を上げて制止しようとするが、口を手で押さえられてしまった。
-
36 : 2015/05/26(火) 22:07:01.39 -
伊介「しー、あんまり大きな声を出すと聞こえちゃうわ」
春紀「ぷはっ、というか伊介様、この匂い……」
甘い香りに混じって、鼻腔を刺激するのは間違いなくアルコールの香り。
それに薄暗くて分かり辛いが、伊介の頬も少し赤くなっている気がする。
そこから導き出される結論は、考えるまでもない。
春紀(伊介様の奴、完全に酔っ払ってるじゃないか……!)
伊介「んふふ❤」
-
37 : 2015/05/26(火) 22:16:29.55 -
恐らくコンビニで買い物をした後、帰り道を飲みながら歩いてきたのだろう。
完全に酔っ払っているのだとしたら、この突拍子もない発言にも納得がいく。
酔うとこういった言動が多くなることを、付き合いの長い春紀はよく理解していた。
伊介「ねぇはるきぃ……」
春紀「うっ……」
いつもなら言うことを聞かないと癇癪の一つでも起こしそうなものだが、今は上目遣いで甘い声と共に見詰めて来るだけ。
火照った表情も相俟って、春紀の理性は激しく揺さ振られた。
-
38 : 2015/05/26(火) 22:24:27.37 -
心臓が一際大きく鼓動する。理性と欲求が絶え間なくせめぎ合う。
来客が居るというのに、こんな所で行為に及ぶなど、正気の沙汰じゃない。
だがしかし、体は熱を帯びて思考速度は落ちてゆく。
何より心が魅了されかけていては、抗おうにも抗えない。
春紀(……あーもう、これが惚れた弱みって奴かね)
理性では分かっていても、体が、心が完全に置いてきぼりだ。
なので、春紀は溜息交じりで観念することにした。
-
39 : 2015/05/26(火) 22:32:33.63 -
春紀「……じゃ、じゃあ一回だけ。一回だけだからな」
伊介「やったぁ❤」
こうなってしまったからには二人にバレる前に早急に事を済ませてしまおうと春紀は思い、和室の扉を閉めようとするが、それよりも早く伊介によって部屋の奥へと引っ張られた。
春紀「え、ちょっと……」
伊介「だーめ❤」
春紀は背筋に冷たい感覚を覚える。
-
41 : 2015/05/26(火) 22:45:25.21 -
若干の距離があるとはいえ、和室とダイニングを遮るのは引き戸一枚のみ。
心許無いどころの話ではない。少しでも声を大きくすれば簡単にダイニングまで音が漏れてしまうことだろう。
そうでなくとも和室の扉を閉めないということは、もし人が通りかかれば自分達の姿は丸見えになってしまう。
声が漏れなければ良いという訳でもない。廊下の先にはトイレだってあるのだ。
偶然和室の前を通りかかる可能性は十分にある。
-
42 : 2015/05/26(火) 23:02:39.64 -
伊介「どうせだったら、スリルも楽しみましょ❤」
だというのに、伊介はこの言い様。酔っているだけあって何ともお気楽だ。
春紀「ああもう、どうなっても知らないからな……!」
伊介「あんっ❤」
もう半ばヤケクソとなって伊介を押し倒す。
-
43 : 2015/05/28(木) 21:02:24.68 -
畳の上の布団の上に背中を預けさせ、春紀は声が漏れないように手を口に当てておくことを伊介に指示した。
そして、ベルトを外してスカートを一気に下げる。
露わになった黒い大人びた下着には、中心部分に染みが出来ていた。
春紀「……ッ」
軽く衝動が掻き立てられる。
だが、何とか踏み止まり、一度深呼吸して気を落ち着かせてから、下着に手をかけてそれも同じように引き下げる。
下着が離れるにつれて透明な糸が伸び、更に露わとなった下半身は既に十分な潤いを帯びていた。
-
44 : 2015/05/28(木) 21:11:03.93 -
そしてそこにゆっくりと指を這わせる。
伊介「んっ……下だけ脱がすなんて、マニアック❤」
伊介の囁きに顔が更に熱くなる春紀だったが、気にしている時間はない。
そのままあまり音を立てない様にして、指を動かしていく。
伊介「ん、んっ……あっ、んあっ……」
甘い声を手の平越しに響かせる伊介。
その声にあてられて、春紀の気持ちも徐々に高揚していく。
-
45 : 2015/05/28(木) 21:17:48.40 -
春紀「……伊介様、気持ち良い?」
伊介「あ、んっ……はあ、きもちい、い……んくっ……」
分かりきったことを確認するように春紀は耳元でそっと囁く。
今もなお与え続けられる刺激に耳朶を撫でる息が加わって、伊介は更に身をくねらせ快楽に没頭した。
その度に、伊介の胸ではたわわに実った二つの果実が服の中で窮屈そうに揺れ動く。
仰向けになってもなお存在感を発揮するそれに春紀は目を離せないでいると、自然と興奮が加速した。
体が、更に熱を帯びる。
-
46 : 2015/05/28(木) 21:25:26.45 -
額に浮かんだ汗を拭い、春紀は再び伊介の秘所と接触している手を見遣った。
手の平は既に濡れそぼっていて、手と繋がった花弁もまた愛液にまみれている。
春紀(洪水だな……)
熱っぽい頭でそんなことを考えながら、人差し指と中指を秘所の入り口に当てて横に開く。
伊介「ん、や……あっ」
くちゅりという水音と共に花弁同士が糸を引いた。それを何度か繰り返す。
-
47 : 2015/05/28(木) 21:31:01.27 -
伊介「っ……! あっ、あんっ……やっ、あぁんっ❤」
その行為に嬌声を上げながらもどかしそうに身をよじる伊介。
流れ出る愛液の量が増えたのを確認し、春紀が伊介に視線を向けると目が合った。
潤んだ瞳で懇願するような眼差しを向けられる。
こんなしおらしい姿は普段では絶対に見られないことだろう。
春紀「ごめんごめん。今するから……」
伊介「ん……はやくぅ……」
-
48 : 2015/05/28(木) 21:38:25.30 -
伊介の髪を撫でて、春紀は動かしていた指を止めた。
そして、伊介の言葉に若干我を取り戻す。
つい伊介の色欲的な姿に今の状況を忘れかけていたが、現状を顧みれば残された時間は非常に少ない。
その焦りからか、春紀は人差し指と中指を一気に中へと押し進めた。
伊介「ふあっ……!? あっ、あんっ……んんっ❤」
十分に濡れた膣内は、二本の指を難なく受け入れる。
それに伴って、伊介の体も今まで以上に快感で大きく体が跳ねた。
-
49 : 2015/05/28(木) 21:46:33.06 -
伊介「あ、ふっ……やっ、ああっ……!」
春紀(うわ……伊介様の中、すごく熱い……)
指全体から伝わってくる熱量は、春紀の心を大いに高ぶらせる。
それが切っ掛けとなって、春紀の意識は伊介を絶頂させることに夢中となり、一心不乱に手を動かし始めた。
春紀「伊介、伊介っ……」
伊介「やんっ、あっ、はっ……あっあっ……❤」
多少の水音は無視して、さっきよりも強く膣内を刺激する。
-
50 : 2015/05/28(木) 22:12:29.50 -
すると、伊介からは引っ切り無しに快感に酔う甘い声が漏れた。
伊介「はっ、ふっ……あっ、イ、イクッ……❤」
中の締め付けが強くなって、伊介の腰が小刻みに痙攣する。
しかし、春紀は勢いを緩めない。空いている手で伊介の胸を鷲掴みにして、少しばかり強引に揉みしだく。
片手では収まりきらない程の大きさのそれは、服越しでも十分に感触を堪能することが出来た。
伊介「あっ、胸……! んっ、イイっ❤」
胸を揉まれる行為に対して呼応するように、中が強く締まる。
-
51 : 2015/05/28(木) 22:20:12.23 -
あとほんの一押しで伊介が達することを悟った春紀は、指で秘所の奥を更に重点的に責め上げた。
伊介「あっ……!?❤ やっ、い、く……イクッ、イクッ……!❤」
中から更に愛液が溢れ、快楽に支配された伊介の全身が強張る。
が、それと同時に快感の波が押し寄せているせいか、手で口を塞ぐ余裕は既に無く、伊介は両手で布団を強く握り締めていた。
このままでは絶頂と同時に伊介の喘ぎ声が響いて、ダイニングまで声が届くことは想像に難くない。
しかし、伊介を感じさせている指は今更止められない。
-
52 : 2015/05/28(木) 22:26:41.73 -
春紀だって、これ以上の先延ばしはもう辛抱出来ずにいる。
だから、伊介が達する直前に春紀は反射的に顔を近付けた。
兎角「……」
伊介「あっ❤ イッ、くんっ、んんっ……!」
春紀「あむっ、ん、んむ……ん……」
甘美な声を紡ぎ出そうとした口は、多少強引に押し付けられた唇によって塞がれる。
そして伊介が絶頂を迎えると、暗闇のそれ程広くない空間にはくぐもった声が漏れ、膣内がきつく締まって爪先はピンと伸び、腰は雷にでもうたれたかのように大きく数度痙攣した。
-
53 : 2015/05/28(木) 22:45:46.49 -
伊介「んっ、んむっ、んん~~~~ッッ!❤!❤」
春紀「んちゅ、ちゅっ、んん……!」
やがて、快感の波が過ぎ去り強張った体からは力が抜け、掴んでいた布団を離して伊介は大きく脱力する。
その拍子に口同士が離れて、濃厚なキスを終えた唇からは唾液が糸を引いた。
春紀「ん——伊介様、気持ち良かった……?」
伊介「んっ……はっ……はっ、あっ……❤」
達した直後の伊介に返事をする余裕はない。
-
54 : 2015/05/28(木) 22:52:45.48 -
両腕で顔を隠し、息を荒らげて時折腰がビクリと快感の余韻で浮き上がる。
春紀(伊介様、後が長いからな……でも、聞くまでもないか……)
ふと春紀は、さっきまで伊介の中に入れていた自分の指を見遣る。
その手は愛液で余すこ所なく濡れていて、特に何も考えることもなく自然に淫靡な指を春紀は咥えた。
春紀「あむ、ちゅ……ん……」
甘くて熱い液体が舌に絡んで喉を通り抜けていく。色欲的な味に、脳が蕩けそうになった。
-
55 : 2015/05/28(木) 23:01:17.94 -
本当ならこんなことをしている場合ではない。一秒でも早く平静を取り戻してダイニングに戻るべきだ。
しかし、行為の余韻に浸っているのは伊介だけではない。春紀もまた頭が熱っぽくてぼーっとしている状態だった。
有り体に言えば、伊介の乱れた姿に情欲を抑えきれずにいる。
それどころか、いつ見つかるかも分からないスリルに興奮さえ覚えていた。
春紀「伊介、もう一回——」
未だに呼吸の整わない愛しい人に、理性のタガが外れた春紀は甘く囁くようにして手を近付ける。
ゆっくりと伸ばされた手は伊介の胸元のチャックを摘まみ、一番下まで下げた。
-
57 : 2015/05/29(金) 21:02:35.39 -
そしてインナーをまくり上げると、豊満な胸が解放されて地肌を晒す。
だが、春紀の手の動きはそこで止まってしまった。
理由はこの薄暗い部屋に、自分の肩に、影が差したからだ。
それに差し込む光も少し強くなった気がする。
理由を考えるなら、例えばダイニング引き戸が開け放たれたままとか。
針で刺されたかのように心臓に痛みが走った。
先程までとは別種の汗が流れ出て、春紀はゆっくりと後ろを振り返る。
-
58 : 2015/05/29(金) 21:18:28.94 -
するとそこには——。
兎角「…………」
春紀「————」
機械のように無機質で冷徹な目をした少女が佇んでいた。その瞳は、黒組開講当初の彼女を彷彿とさせる。
春紀の体は完全に固まっていた。
春紀「え、と——」
兎角「…………」
-
59 : 2015/05/29(金) 21:38:26.36 -
うまく言葉が出てこない。目の前の少女は何も言わず佇んでいる。
春紀「あの……兎角サン、これはですね……」
動揺して何故か敬語になってしまう春紀。
兎角「…………」
変わらず兎角はただその場に立っているだけで、口を開くどころか表情ひとつ微動だにしない。
そんな奇妙な空間を静寂が包み込む。
最早手遅れかもしれないが、どうこの状況を言い訳しようか春紀は必死に頭を悩ませた。
-
60 : 2015/05/29(金) 21:58:11.11 -
そんな時だった。
晴「兎角しゃ~ん、どうしたのぉ~」
この張り詰めた空気の中に投じられる、どうしようもなく気の抜けた声。
それから一呼吸置いて、声の主である晴が廊下から現れる。
その顔は薄暗い部屋の中でも分かるくらい緩み切っていた。いつも晴が浮かべる笑顔とは別物だと一瞬で理解した春紀は、ポカンと口を開けたまま呆然となる。
一方のふにゃっとした笑顔を浮かべた晴は兎角の肩越しに春紀と伊介を発見した。
-
61 : 2015/05/29(金) 22:14:40.51 -
晴「あっ、春紀しゃんと伊介しゃ~ん」
晴の様子と言動に、春紀の脳裏には一つの可能性が過る。
伊介は酒を飲みながら酔って帰ってきた。あのビニール袋の中身に酒類が入っていることは十分に考えられる。
春紀(まさか二人とも酔って——?)
改めて二人を見遣ると、晴はべろべろに酔っ払っている様子で、一見素面の様に見える兎角も若干顔が赤く見えた。
晴「ひゃあ~。伊介しゃん、えっちな恰好……」
春紀が思考を巡らせていると、晴がこれまた気の抜けた声を上げる。
-
62 : 2015/05/29(金) 22:17:03.04 -
そして、後ろから兎角に抱き付きながら自分と兎角の顔を手で覆い隠した。が、酔っているせいか手がずれていて、全然隠せていないが。晴「二人とも、晴達に内緒でえっちなことしてたんですね~」
そこから晴は、春紀が驚愕する言葉をいとも容易く言い放つ。
晴「じゃあ~、晴達が今日のお礼に~お手伝いしますね~」
春紀「え——」
絶句する春紀を尻目に、晴は相変わらず無口な兎角の手を引いて伊介を挟むようにして左右に腰を下ろす。
-
66 : 2015/05/30(土) 20:57:15.63 -
伊介「ん、東さ……晴ちゃ……?」
そこでようやく我に返りつつあった伊介が二人の存在に気付いたが、如何せんまだ頭が周囲の状況を処理し切れず、それ以上の反応を示せない。
理解の追い付かない春紀と伊介を置いてきぼりにして、晴は顔を伊介の胸に近付けて小さく呟いた。
晴「失礼しま~す……」
返事を待たず、否応なしに晴は乳首に吸い付いた。
伊介「あンッ……!?」
甲高い声と共に伊介の体が仰け反る。
-
67 : 2015/05/30(土) 21:09:40.12 -
口を塞いでいなかった為、その嬌声はこの上なく部屋中に響いた。
晴「ん、ちゅっ……ちゅ……」
伊介「はっ、んっ……ああっ……!」
晴が吸い上げる度に、快感が電流の様に伊介の中を駆け抜けた。
唇を離すとぷるんと乳房が跳ねて、先端が先程よりもそそり立つ。
晴「はふ……兎角さん……」
兎角「…………」
-
68 : 2015/05/30(土) 21:28:59.13 -
晴が促すように視線を向けると、それまでじっとしていた兎角はもう片方の乳房に視線を落とし、おもむろに舌先で乳首の先端を撫でた。
伊介「ひ、ぅっ……!」
吸われるのとはまた違った快感に襲われて、伊介は身悶える。
しかし、そんなことはまだまだ序の口で、晴が再び吸い付き、兎角も乳首を口に含むと、伊介は更なる快感に襲われた。
伊介「ひ、あっ!? あ゛っ……❤ りょうほっ、らめっ……!❤」
服の上から揉まれただけでも感度の良い反応を見せたのだから、直に、しかも二箇所同時に責められればひとたまりもない。
たちまち伊介は快楽の渦に飲み込まれ、抵抗など何一つ出来ずに身をくねらせながら快感に酔いしれる。
-
69 : 2015/05/30(土) 21:44:47.35 -
胸にもたらされる快感は下腹部にもしっかりと伝わり、秘所は再び熱を帯びて更なる愛液が溢れだした。
伊介「あっ❤ んんっ、ふあっ……!? あぁんッ……❤」
その光景を目の当たりにして、春紀はその行為を止めるでもなく、ただただ見詰めていた。
思考の中にはどうしてこんな状況になったという現状に理解が追い付かない気持ちと、止めなければならないのではないかという気持ちが確かに存在する。
しかしそれよりも、眼前で乱れる伊介の姿が性的欲求に火をつけて、春紀の視線をどうしようもなく釘付けにさせた。
そして、いつしか春紀は自分でも認識しない程の本能的な動きで伊介の秘所に再び触れていた。
理性は崩れ去って、ただ本能のままに、花の色香に誘われた蝶の如く花弁に口付ける。
-
70 : 2015/05/30(土) 21:57:37.94 -
伊介「ひぅんッ……❤」
伊介の体が一際大きく跳ねて、高い嬌声が漏れる。
春紀「んむ……れろ、ちゅ……」
伊介「やっ、だめっ……いすけ、イッたばかり、だからぁッ……ああっ!❤」
晴「はむ、ちゅ~……」
兎角「んく……ぺろ」
伊介「~~ッッ❤❤」
-
71 : 2015/05/30(土) 22:23:55.17 -
抗議の声は、呆気なく快楽に押し流される。
立て続けに春紀は花弁を押し広げて舌を入れ、膣内を蹂躙した。
伊介「あふっ!? んあぁっ❤」
甲高い喘ぎ声と共に愛液が更に分泌される。乳首が吸い上げられる度に膣内が強く締まる。
そして、春紀の目前にある突起は、包皮越しだというのに今まで見たことのないくらい勃ち上がっていた。
春紀(伊介の、すごく勃ってる……)
こんなものを目の前にして興奮を抑えずにはいられないとばかりに、春紀は秘所から舌を離すと、充血した突起へとあてがった。茂みが鼻先に触れて、少しくすぐったい。
-
72 : 2015/05/30(土) 22:46:51.35 -
伊介「ッ!?」
春紀「今、剥いてあげるから……」
舌と指で丁寧に扱うと、そこは存外簡単に露出した。
伊介「ッ❤ っっ❤ あ゛っ、はあっ……!!❤」
あまりの衝撃に、伊介は顎を天井に向けながら体を弓なりに大きく仰け反らせる。
一番敏感な部分に舌を這わされ、頬は上気し、口の端から唾液が垂れて、頬を涙がつたった。
-
73 : 2015/05/30(土) 23:11:43.35 -
伊介「もっ、らめっ、イクッ! イクのぉッ!❤!❤」
その叫びに呼応して、春紀は突起を口に含んで吸い上げ、晴と兎角も同じタイミングで乳首を強く吸った。
伊介「~~~~ッッッ!❤!❤!❤ っ❤ ッッ❤❤」
三点の敏感な突起を同時に責められ、これまでにないくらい甘くて熱い感覚が全身を支配する。
声にならない快感の悲鳴を上げて、快楽で体を埋め尽くされた伊介は絶頂の末に、意識を手放した。
-
76 : 2015/06/02(火) 21:02:57.32 -
◎
春紀「…………」
瞼を開けると、淡い陽の光が瞳に差し込む。
眩しげに光を手で遮りながら春紀は体を起こすと、体には倦怠感を伴った。
寝起きの頭が覚醒するまで暫しじっとしていると、聞こえてくるのは雀のさえずり。
そのまま、ぼーっとすること約十秒。
-
77 : 2015/06/02(火) 21:13:53.89 -
春紀は頭を抱えた。
春紀(や……やってしまった——!!)
昨晩の出来事が脳内で再生されて、春紀の顔のは一気に脂汗が噴出した。
勢いに身を任せに任せまくった結果、自分は何てことをしでかしてしまったんだろうと、今更になって思う。
伊介はともかく、昨晩の行為を二人にどう説明しようか頭を悩ませていると、ふと隣へと視線が映った。
そこでは兎角と晴の二人が寄り添い合いながら寝息を立てていた。
兎角が晴の首に手を回して頭を抱き寄せ、晴は兎角の胸の中に顔をうずめて眠っている。
-
78 : 2015/06/02(火) 21:26:47.90 -
晴「むにゃ、とかくさぁん……」
兎角「ん……はる……」
寝言を呟いて、晴は更に顔を兎角の胸に摺り寄せる。
そんな二人の寝顔を見ていると、春紀の肩からは少し力が抜けていた。
春紀(とても裏の世界と繋がりがあるようには見えないな……)
微笑んで、二人の頭をそっと撫でる。サラサラとした感触と、ふわふわとした感触が伝わってきた。
そして、もう一方を振り向けば、目を逸らしたい現実を春紀は直視することとなる。
-
79 : 2015/06/02(火) 22:11:59.89 -
痴女が寝ていた。
目の前には半裸となった伊介が寝ている。今が夏でなければ、確実に風をひいていたことだろう。
春紀(伊介様……)
兎角と晴とのあまりの温度差に何とも言えない気持ちになる春紀。
しかし、そんな姿になった原因は自分にもあるので、兎角と晴が目覚めて鉢合わせにならない様に、春紀は伊介を抱き上げて別の部屋へと移動させることにした。
-
80 : 2015/06/02(火) 22:21:42.48 -
春紀「——う」
立ち上がって歩くと、股間に不快感を覚えた。どうやら自分も気付かない内にかなり感じていたらしい。
春紀(いやいや、あれは伊介様がエロ過ぎるのが——)
伊介を見遣れば、何の拘束も無い巨乳が歩く度に激しい自己主張を繰り返す。
するとたちどころに煩悩が湧き上がってきて、たまにはこういうのも良いかも——と思いかけ、春紀は壁に頭を打ち付け正気を取り戻したのだった。
-
81 : 2015/06/02(火) 22:31:08.09 -
◎
晴「うぅ……頭痛い……」
兎角「大丈夫か?」
陽は完全に昇り、時刻は完全な朝を迎える。
マンションの玄関前で、二日酔いによる頭痛で晴が呻いた。
晴「兎角さんは大丈夫……?」
兎角「わたしも少し痛むが、別にそれ程じゃない」
-
82 : 2015/06/02(火) 22:42:00.49 -
晴「ごめんね春紀さん。せっかくおもてなしして貰ったのに晴達途中で寝ちゃって……」
春紀「あー、えーと、いいっていいって! 晴ちゃん達はお客様なんだからさ! 途中で二人をほったらかしにしちゃったあたし達が悪いんだって!」
申し訳なさそうに謝る晴に対して、春紀は胸が締め付けられる思いだった。
途中からは二人も行為に参加した訳だが、その原因を作ったのは春紀と伊介であり、更にはそれより以前の春紀と伊介だけでの行為はどうあっても弁解のしようがない。
なので、ほったらかしにした理由など、口が裂けても言えなかった。
晴「伊介さんが帰って来たからのこともよく覚えてないし……兎角さんは何か覚えてる?」
兎角「いや、わたしもあまり……」
-
83 : 2015/06/02(火) 22:55:32.20 -
春紀「む、無理に思い出す必要はないと思うぜあたしはっ!」
冷や汗をかきながら内心春紀はほっとする。
どうやら二人共酔っ払うと記憶が飛ぶタイプらしい。
安堵の溜息をついて二人の背中を見送る春紀だが、扉を開ける直前で晴が立ち止まってしまった。
そして、疑問符を浮かべる兎角と春紀を尻目に、晴は呟いた。
晴「兎角さんは——」
兎角「?」
-
84 : 2015/06/02(火) 23:04:35.46 -
晴「——兎角さんは、おっぱいが大きい方が好き?」
春紀「!?」
晴の突然の一言に、安心しかけていた春紀の背筋に電流が走る。
兎角「……いきなり何を言い出すんだ、お前は。何故そんなことを聞く」
晴「へ、変なこと言ってごめん! 気にしなくていいから——」
兎角「——がいい」
-
85 : 2015/06/02(火) 23:14:32.66 -
晴「え……?」
兎角「大きさは関係ない。わたしは、今のままの晴がいい」
その返答に頭の痛みを忘れたかの様にぽかんと口を開ける晴。
兎角「晴は……どうなんだ。大きい方が良いのか?」
晴「はっ、晴は! 晴も兎角さんのがっ、兎角さんが大好きだよ!」
玄関先で甘酸っぱい雰囲気を漂わせる少女達。
-
86 : 2015/06/02(火) 23:47:57.58 -
いつもなら春紀も笑って見守るところだが、今回ばかりはそうはいかなかった。
春紀(し、心臓に悪い)
そして、今度こそ二人を見送って、春紀はようやく安息を得たのだった。
その後、目を覚まして顔を真っ赤にした“飛ばない”タイプの伊介に春紀が理不尽な平手打ちを喰らうのは、数時間後の話である。
終わり
最近のコメント