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1 : 2014/09/10(水) 04:51:26.22 -
提督「……よし、ひと段落」
山城「お勤めご苦労様です。書類の方、随分と貯めていらしたようで」
提督「ここの所、出撃やら何やらで忙しかったからな。ついつい」
山城「職務を怠慢する軍人。そんな人が私たちの提督だなんて不幸だわ……」
提督「い、言ってくれるな。まあ、貯め込んだ事実がある以上なにも言い返せんが」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1410292276
ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1410292276/
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2 : 2014/09/10(水) 04:53:49.61 -
山城「不幸だわ……」
提督「まだ言うか」
山城「提督がこの頃お忙しかったせいで全然ふたりで過ごす時間がありませんでした」
提督「………………」
山城「ようやく晴れの休みかと思えば貯め込んだ執務。不幸だわ……」
提督「すまん。今度、食事にいこう」
山城「今度、ですか……そうやって流されるんですね。不幸だわ……」
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3 : 2014/09/10(水) 05:01:00.55 -
提督「今日いこう! 今日! Today!」
山城「今日中に「それ」終わるんですか?」
提督「…………」チラッ
(まだまだ残ってる書類の山)
提督「おぇ」
山城「はぁ……不幸だわ」
提督「終わらせる! 絶対に終わらせるから!」
山城「現実を見てください」
提督「…………」
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4 : 2014/09/10(水) 05:20:32.88 -
山城「提督……」
提督「はい、なんでしょう山城さん」
山城「その書類の山、私に半分ほど分けてください」
提督「…………いいのか?」
山城「秘書艦の務め、ですから」
提督「ありがとう、山城」
山城「では早速取り掛かりましょう」
提督「えっ、あの、俺、ひと段落したから休憩とか」
山城「……不」
提督「あー、わかったわかった! やります! すぐやります!」
・
・
・
山城「不幸だわ」提督「だから悪かったって」
山城「休みの日なのに提督と一緒に仕事しているなんて……不幸だわ……」
提督「…………ああ」
提督「俺も休みの日にまで山城と一緒に仕事するなんて……不幸だ……」
山城「……」クスッ
提督「……」ニヤッ
fin
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5 : 2014/09/10(水) 05:46:56.54 -
提督「朝から鎮守府へ出勤。ふわ~、眠い」
提督「えっと今日の予定は演習に会議に、ふわぁ」
山城「あくびをする時は口に手を当てるのがマナーですよ」
提督「や、山城!? いつからそこに?」
山城「先程からずっといました」
提督「す、すまない。寝ぼけてて気づかなかったんだ」
山城「提督に目の前を素通りされる秘書艦の私の存在感って……不幸だわ……」
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8 : 2014/09/10(水) 08:42:02.76 -
提督「それにしても山城、どうしてお前がここにいるんだ?」
山城「秘書艦としてなるべく側でサポートをするために提督がいらっしゃるのを待っていました」
提督「なるほどな。いい心がけだ。でも、そこまで頑張らなくていいぞ」
山城「え……」
提督「鎮守府に付けば嫌でもお互い側にいるわけだしな。山城もこんな朝からじゃ辛いだろ」
山城「………………はぁ」
提督「なんだよ? いきなりため息ついて。知ってるか、ため息を一つすると幸せが一つ逃げていくんだ」
山城「心配しないでください。もうとっくに不幸ですから……」
提督「?」
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9 : 2014/09/10(水) 08:53:18.29 -
山城「私の気持ちを察してもらえないなんて、提督と私の絆は……その程度のだったんですね。不幸だわ……」
提督「気持ち? 山城がこんな朝早くから俺のことを待っていてくれたのは……」
提督「………………待って……いてくれたのは……」
山城「…………」
提督「つまり……俺と一緒に?」
山城「今更気づくなんて……不幸だわ……」
提督「あ、あはははははは……」
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13 : 2014/09/10(水) 14:21:13.59 -
提督「そういうことなら最初からそう言ってくれれば良かったのに」
山城「気づいてほしい、という女心です」
提督「いじらしい女だ。まあ、俺は山城のそういう所に……」
山城「何かおっしゃいましたか?」
提督「いや、何でもない。そうだ、山城。どうせ俺を待つんだったら、これから俺の家に迎えにきてくれてもいいんだぞ」
山城「なっ……なななな何を言ってるんですか!?」
提督「いやあ~、だってその方が鎮守府まで一緒に歩く距離が増えるだろ。あっ、何なら俺のために朝食を作ってくれてもいいぞ」
山城「そ、それってまるで通い」
提督「おいおい、真に受けるなよ。冗談だ。少しお返しをしてやりたかっただけだ」
山城「…………」
山城「提督に弄ばれるなんて……不幸だわ……」
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15 : 2014/09/10(水) 14:40:40.56 -
提督「ほら、拗ねてないでいくぞ」
山城「……はい」
提督「山城、手を出してくれ」
山城「はい?」
提督「ほら」ギュッ
山城「あっ……手」
提督「これで機嫌直してくれ」
山城「手を握って一緒に、こんな所を他の艦娘に見られたら噂になってしまう……不幸だわ……」
提督「ああ、そいつは不幸だな……でも離すつもりはない」
山城「くすっ、怖いもの知らずですね……不幸だわ……」
fin
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18 : 2014/09/11(木) 01:34:54.84 -
提督「お昼か」
山城「昼食はどうするつもりですか?」
提督「今日はな」
山城「食堂ですよね。私もです、ゆっくりと出来るはずの食事の時間まで提督と一緒……不」
提督「いんや、今日は弁当を持ってきてある」
山城「え?」
提督「いま財布の中身が少し心許ないんでな。自分ちで作ってきた」
山城「……そ、そうですか。提督、料理できたんですね」
提督「一人暮らしだし多少はな。山城は昼どうするんだ?」
山城「…………食堂で食べてきます」
提督「そうか。分かってると思うが午後は演習だから」
山城「あまり食べ過ぎるなよ、ですか?」
提督「そういうことだ」
山城「…………わかりました」ガチャ
山城「…………はあ」
山城「独りで昼食……不幸だわ……」
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19 : 2014/09/11(木) 02:06:24.99 -
夜、鎮守府付近艦娘用寄宿舎(戦艦区画)、台所
山城「痛い! ……やっぱり不幸だわ……」
扶桑「山城、鍋を見て。焦がすわよ」
山城「は、はい! 姉さま!」
日向「あの二人、いや山城は何をやっているんだ」
伊勢「そりゃあ料理でしょ?」
日向「まぁ、そうなるな。だが私が聞きたいのは何故、山城が料理をしているかだ」
長門「既に夕食の時間は終えたはずだが」
陸奥「あら、あらあら。そういうこと……」
長門「ん……陸奥、分かるのか?」
陸奥「さあ、どうかしら~」
金剛「山城分かりやすいネー」
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20 : 2014/09/11(木) 03:16:08.72 -
翌日、鎮守府
山城「提督、そろそろお昼です」
提督「もうそんな時間か。あっという間だな」
山城「提督、今日の昼食もやはり」
提督「ああ、弁当だ。山城は食堂か?」
山城「いえ……今日は私も、よいっしょ!」ドン
提督「!?」
山城「お弁当です」
提督「そ、そうか……それにしても随分と大きいな。お重じゃないか」
山城「うっかり作りすぎてしまって」
提督「食べきれるのか?」
山城「いえ、とてもじゃありませんが。このままでは食べ残したお弁当が無駄になってしまいます……不幸だわ……」
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21 : 2014/09/11(木) 04:32:34.79 -
提督「…………」
山城「…………」ジィ
提督「…………」
山城「…………」ジィイ
提督「……なあ、山城。もし山城さへ良ければ、その弁当を分けてくれないか?」
山城「ええ、いいですよ」ニコッ
提督「そ、それじゃあ、適当に掛けててくれ。お茶を淹れてくる」
山城「別にそれぐらい私が」
提督「いやいや、そこまでやらしたら頑張って料理をしてくれた山城に悪いからな」
山城「!?」
提督「手に巻いてある絆創膏は、そういうことだったんだな。あっ、今更隠しても遅いぞ」
山城「不幸だわ……」
提督「そう言うな。さあ、お茶もはいった。食べよう」
山城「はい」
提督「山城、ありがとう」
山城「……うっかり作りすぎただけです。勝手に勘違いされるなんて……不幸だわ……」
fin
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22 : 2014/09/11(木) 04:47:52.29 -
提督「なあ、山城はいつも自分のことを不幸だ、って言ってるよな」
山城「はい。実際、不幸ですから」
提督「だったら、たまには不幸から脱却してみないか?」
山城「とは言いますがどうやってですか?」
提督「いい方法があるんだ。山城、手を前に出してくれ」
山城「? わかりました」スッ
提督「でだ、山城の手に……俺の手をくっつける」
提督「手と手のシワを合わせて幸せ!……なんてな」
山城「…………」
提督「すまん、何か反応してくれ。辛い」
山城「こんな下らないことに付き合わされるなんて……不幸だわ」
fin
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25 : 2014/09/11(木) 16:56:10.85 -
提督「まいったな」
山城「提督」
提督「山城……今から帰るところか」
山城「はい。どうかされたんですか?」
提督「いや、この天気さ」
山城「雨ですね」
提督「ああ、すごい勢いだ。今朝は降っていなかったのにな」
山城「私、雨はあまり好きではありません。視界が悪くなって敵を捕捉しづらいですから」
提督「戦闘が始まれば自分の目が頼りになるわけだしな。しかし、ホントにまいったな」
山城「提督、その封筒は?」
提督「今日中に出さなきゃいけない書類なんだが、こうして足止めを食らってる」
山城「提督、もしかして傘を」
提督「お恥ずかしながら。油断した」
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26 : 2014/09/11(木) 22:47:02.99 -
山城「……傘、入りますか? 郵便なら寄宿舎に帰る途中にありますし構いませんけど」
提督「嬉しい提案だが、その傘じゃ二人入るのはキツいだろ」
山城「提督が書類を出し損ねて評価が下がると、その提督が率いる私たちの評価も下がる……不幸だわ……」
提督「分かった分かった。入らせてくれ! ホントお前の不幸には勝てないよ」
山城「ふふっ、不幸なら誰にも負けませんよ。さっ、提督入ってください」
提督「悪いな。傘持つぞ。代わりに封筒を頼む。こればっかりは濡らすわけにはいかないから」
山城「わかりました。とは言え、流石にはみ出てしまいますね」
山城「濡れてしまうなんて……不幸だわ……」
提督「自分から傘に入れと言っておいて」
山城「何かいいましたか?」
提督「なんでもない。ほら、傘を山城の方に寄せるから我慢してくれ」
山城「それでは提督が濡れてしまいます」
提督「気にするな。山城と封筒を濡らすわけにはいかないからな」
山城「でも……」
提督「じゃあ、帰りがけに寄宿舎に寄らせてもらうか」
山城「えっ!?」
提督「濡れて冷えた俺の体を温めてくれるかい、山城?」
山城「セクハラを受けるなんて……不幸だわ……」
fin
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