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1 : 2014/08/23(土) 22:55:34.06 -
ラブライブ!のことうみSSです。
ことりちゃんのお誕生日記念SSです
海未ちゃんのキャラ崩壊あります。
その他のキャラも崩壊するかもしれません。
苦手な方はブラウザバックでお願いします。
まったり進行、9/12には終わらないと思います。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1408802134
ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1408802134/
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2 : 2014/08/23(土) 22:56:57.71 -
─音ノ木坂学院屋上─
海未「ついに」
海未「ついにこの日が近付いてきました!」
海未「ことりの17歳の誕生日……っ!」
海未「私はやりますよ!」
海未「ことりを」
海未「世界で一番幸せな女の子にしてみせますっ!」
海未「──って穂乃果、聞いてます!?」
穂乃果「あーっ! 今日もパンが美味いっ!」
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4 : 2014/08/23(土) 22:57:57.08 -
海未「はぁ……あなたときたら四六時中、パン」海未「授業中もパン」
穂乃果「え」
海未「練習中もパン」
穂乃果「うーん?」
海未「ライブ中もパン」
穂乃果「ちょっと!」
海未「ここまでくると尊敬しますよっ!」
穂乃果「海未ちゃん待ってよ!」
海未「なんですか?」
穂乃果「穂乃果そんなにパンパンいってなくない?」
海未「そんなことはありませんよ私にはわかります」
穂乃果「ていうかライブ中もパンってなに!?」
穂乃果「穂乃果、海未ちゃんの中でどこまでいっちゃったの!?」
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5 : 2014/08/23(土) 22:58:42.24 -
海未「とーにーかーくーっ!」
海未「『ことうみラブラブお誕生日大作戦』を決行します!」
穂乃果「な、なにそれ?」
海未「前々から言っていたでしょう?」
海未「私はことりを愛していますっ!」
海未「この世界の全てが敵になっても私はことりの味方です!」
海未「私にとって世界で1番可愛いのはことりです!」
海未「そういうことです!」
穂乃果「……どういうことぉ?」
海未「そう! この積りに積ったことりへの熱い想いを全て伝えます」
穂乃果「その日がことりちゃんの誕生日ってこと?」
海未「わかってきたじゃないですか」ニヤリ
穂乃果「うん! このまま流されたんじゃやばいことがわかったよ!」
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6 : 2014/08/23(土) 22:59:26.05 -
海未「ま、まあ、告白するかは置いておいて///」
穂乃果「う、うん」
穂乃果「ヘタレ」ボソッ
海未「なにか?」
穂乃果「なんでもー」
海未「とにかく!」
海未「ことりの誕生日……」
海未「必ず、『ことうみラブラブお誕生日大作戦』を成功させますっ!」
穂乃果「その作戦名はやめたほうが……」
海未「まずはことりの高感度を上げます!」
海未「からのお誕生日イベント!」
海未「……テンション上がるにゃーっ!」
穂乃果「そっかぁ! 穂乃果も出来る限り協力するね!」
海未「ありがとうございます!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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7 : 2014/08/23(土) 23:00:05.09 -
─アイドル研究部部室─
ことり「──って、海未ちゃん達が話してたんだぁっ♪」
希「あちゃー。 海未ちゃん、早速本人にバレとるやん」
絵里「ことり? 盗み聞きなんて関心しないわ」
ことり「えー!? ことりは屋上でステップの確認をしようと思っただけだよぉ」
絵里「そう、ならいいけど」ニコリ
希「ていうか、海未ちゃんはいまだにことりちゃんに想いを伝えてないのね」
ことり「そうなんだよぉ。ことり、ずーっと待ってるのになぁ」
絵里「はぁ……ことりがはぐらかしたりするからでしょ?」
ことり「ち、ちがうよぉ!」
希「ことりちゃんも恥ずかしくてついやっちゃうんだよねぇ? 海未ちゃん可愛いし♪」
ことり「うぅーっ///」カァーッ
-
8 : 2014/08/23(土) 23:01:02.82 -
絵里「なるほどっ、口ではそういいつつもいざ受け入れるのは怖いのねっ!」
ことり「や、やめて2人ともっ/// ことりの心を詮索しないでぇ///」
希「いい加減、素直になればいいのに」
ことり「ことりは……いまのままの関係も大切だと思うからっ♪」ニコッ
絵里「じゃあ、どうするのよ? 海未の好感度アップ作戦、今回は本気じゃない?」
ことり「そうなんだよぉ」
ことり「2人はどうしたらいいと思う?」
希「とりあえず様子みたら?」
絵里「そうね」
絵里「いきなり告白してくるわけじゃないんだし、普段通りに接すればいいと思うわ」
ことり「そっかぁ」
ことり「言われてみればたしかにそうだよね」
ことり(はうぅ、なんだかドキドキしてきた)ドキドキ
ことり(今年の誕生日はいつもと違う)
ことり(そんな予感がするっ♪)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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9 : 2014/08/23(土) 23:01:40.84 -
─海未の部屋─
海未(ふぅ、今日もハードな練習でした)
海未(……ことりといい感じにお話できました)
海未(カレンダーにつけたこの力の入った丸印!)
海未(この日までに好感度を上げて行きます!)
海未(ふふっ)
海未(いつもの私とは違うところをことりにみせてあげます!)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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10 : 2014/08/23(土) 23:02:12.37 -
─音ノ木坂学院屋上─
海未「……5、6、7、8!」パンッパンッ
絵里「──はい、じゃあ今日はここまでにしましょうか」
『ありがとうございましたっ!』
ことり「ふぃー」
海未「お疲れ様です、ことり」
海未「はい、タオルをどうぞ?」ニコリ
ことり「わぁーっ♪ ありがとう海未ちゃん!」
海未「ドリンクも用意してあります。良かったらいかがですか?」ニコッ
絵里「ふふっ♪ 頑張ってるみたいね」
穂乃果「海未ちゃん、あんな感じで最近はことりちゃんに甘々だよ!」
絵里「優しさをアピールしてるのね!」
希「これは当日が楽しみやんなぁ」ニヒヒッ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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11 : 2014/08/23(土) 23:08:12.77 -
─音ノ木坂学院校庭─
ことり(海未ちゃん、好感度アップ作戦頑張ってくれてるなぁ)
ことり(ここしばらく毎日なにかしらしてくれてるし)
ことり(でも、ことり……そんなことしてくれなくても)
「……ことりぃー!」
ことり「あ、海未ちゃんっ♪」
海未「お待たせしましたっ!」
ことり「うん、いこーいこー」
海未「はいっ!」ニコッ
ことり「海未ちゃんが忘れ物って珍しいね」
海未「あははっ」
海未「さっ、クレープ屋さんに向かいましょうか?」
ことり「うんっ♪」ニコッ
カッキィーンッ!
海未「おや? ソフトボール部ですか。熱心ですね」
-
12 : 2014/08/23(土) 23:08:44.22 -
─音ノ木坂学院校庭─
ことり(海未ちゃん、好感度アップ作戦頑張ってくれてるなぁ)
ことり(ここしばらく毎日なにかしらしてくれてるし)
ことり(でも、ことり……そんなことしてくれなくても)
「……ことりぃー!」
ことり「あ、海未ちゃんっ♪」
海未「お待たせしましたっ!」
ことり「うん、いこーいこー」
海未「はいっ!」ニコッ
ことり「海未ちゃんが忘れ物って珍しいね」
海未「あははっ」
海未「さっ、クレープ屋さんに向かいましょうか?」
ことり「うんっ♪」ニコッ
カッキィーンッ!
海未「おや? ソフトボール部ですか。熱心ですね」
-
13 : 2014/08/23(土) 23:09:16.19 -
ことり「大会が近いみたいだよ?」
海未「へーっ、そうなんですか」
カッキィーンッ!
海未「……っ! ことり、危ないっ!」バッ!
ことり「へっ!?」
スコーンッ!
ことり「海未ちゃん!?」
ことり「ボールからことりを庇って!?」
海未「……うぅ……」ドサッ
ことり「ちょっ! 海未ちゃん!?」
海未「……うーん……」
ことり「海未ちゃーんっ!」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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14 : 2014/08/23(土) 23:10:23.88 -
海未(……ここは、どこでしょうか)
海未(夢の中ですかね?)
海未(あ! あなたは)
海未(私の大好きなあなた……)
海未(えへへっ)
海未(夢の中でも会えるなんて、ラッキーです)
海未(ね?)
海未(……)
海未(あれ?)
海未(どうしてですか?)
海未(名前が、でてこない)
海未(大好きな、あなた?)
海未(……)
海未(あなたは……)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
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15 : 2014/08/23(土) 23:11:16.85 -
─病院─
海未「……っ!」ガバッ!
海未(……知らないうちに寝ていたようですね)
海未(ここは、病室でしょうか?)
海未(少し、頭痛がしますね)
ガチャッ。
ことり「こんにち……あっ!」
ことり「海未ちゃんっ! 目が覚めたんだね!」
海未「あ、えと……」
ことり「よかった……」グスッ
ことり「体調は!? 体調は大丈夫!?」
海未「……あ、はい。頭が少し痛いだけです」
ことり「よかったぁーっ! 本当に!」グスッ
ことり「ことりのこと庇ってくれた時はどうなるかと思っちゃった」
ことり「優しすぎだよぉ……///」
海未「い、いえ」
ことり「えへへっ♪ ありがとうっ!」ニコッ
海未「……っ///」ドキッ
海未(なんでしょう、この感じは)
海未(……いや、そんなことよりも)
海未「あの……」
ことり「なぁに?」グズッ
海未「こんなことを聞くのは失礼かと思うのですが」
ことり「うん?」
海未「──あなたはどちら様ですか?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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16 : 2014/08/23(土) 23:12:15.63 -
─アイドル研究部部室─
一同『記憶喪失!?』
ことり「そう、みたいなの」
ことり「自分の名前も覚えていないなくて」
ことり「退院は出来るみたいなんだけど……」
絵里「心配ね」
穂乃果「練習はしばらくお休みしたほうがいいかな?」
凛「なんとかならないにゃ?」
真姫「記憶喪失って難しいのよね……ストレスとかでもなるみたいだし」
花陽「そうなんだ」
真姫「とりあえず、出来る限りいつも通り接したほうがいいと思うわ」
真姫「海未が元に戻るまでみんなで支えましょう?」
希「せやね!」
にこ「……戻る、の?」
真姫「──戻らない可能性もゼロじゃないわ」
ことり「……っ!」ギュッ
真姫「けど、みんなと一緒にいつも通り生活していれば戻る確率は限りなく高くなる」
穂乃果「そう、だよねっ!」
真姫「練習は……見学してもらったほうがいいわね」
花陽「うんっ! なにかの拍子に海未ちゃんの記憶が戻るかもっ」
真姫「ことり?」
ことり「う、うん」
真姫「いまの海未を受け入れて生活することが、私たちに出来る最善策よ」
真姫「頑張りましょうっ!」ニコッ
ことり「……うんっ!」
真姫「みんなもいいわね!」
一同『はーいっ!』
ことり(海未ちゃん)
ことり(ことりのせい、だよね)
ことり(……頑張らなきゃ)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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17 : 2014/08/23(土) 23:13:31.46 -
─海未の部屋─
海未(……私は園田海未)
海未(音ノ木坂学院に通う2年生)
海未(趣味は書道と読書)
海未(特技は日舞と武道)
海未(そして、いま流行りのスクールアイドル活動もしている)
海未(……まったく覚えがありませんね)
海未(記憶喪失、ですか)
海未(幼馴染の南ことりさんを庇って、なんて……)
海未(園田海未っていい人なんですね)
海未「ふぅ……」
海未(考えていても仕方がありません)
海未(明日の練習の準備を済ませてしまいましょう)
海未(えと、練習着とタオルと……)
ガサゴソ。
ガサゴソ。
海未「……これは」
『日記帳』
海未(ほう、さすが私)
-
18 : 2014/08/23(土) 23:14:19.03 -
海未(一日の振り返りを忘れないなんて偉いですね)
海未(記憶を取り戻すキッカケになるやもしれません)
ペラッ。
『○月×日 晴れ 』
今日は体育の授業がありました。
いつもはことりと準備体操をしていましたが、今日は久しぶりにヒデコとペアを組んでみました。
……気になってことりをチラッと見てしまいます。
目が合うとにっこり笑ってくれました。
やっぱり最高に可愛いです。
顔が赤くなってること、バレてないとよいのですが。
一緒に組んでいる時と違い、ことりのことが良く見えます。
特にかつぎ合いをしている時に強調される二つの膨らみが──パタンッ!
海未「……」
海未「ふぅ……」
海未「落ち着きましょう」
海未「見間違いかもしれません」
-
19 : 2014/08/23(土) 23:14:58.06 -
海未(そう、きっと別のページにはもっとまともなことが……)
ペラッ。
『??月×日 曇りのち雨』
今日はμ'sの練習もなく、幼馴染の2人と帰ることにしました。
クレープでも食べて帰ろうか?
なんて話しているとポツリ、ポツリと雨が降ってきて──やがて本降りに。
慌てて、屋根がある建物に入りましたが3人ともビショビショです。
雨に濡れて益々、魅力的なことり。
水も滴るいい女、なんて思ってしまったのは不謹慎でしょうか?
雨で濡れたブラウスから透けて見える緑の下着が──パタンッ!
海未「不謹慎極まりないっ!」
海未「なに!? なんなんですか!?」
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20 : 2014/08/23(土) 23:16:03.18 -
海未「いや、落ち着きましょう」
海未「一回落ち着きましょう!」
ペラッ。
海未(これは……結構昔の日記ですね)
『◯月??日 晴れ』
今日は運動会がありました。
障害物競走や、綱引きなどをしていることり……。
怪我をしないかな?
無理をしないかな?
なんて、気が気じゃありません。
……ことりの足はもう治っているのに。
私は時々不安になってしまいます。
ふとしたことからことりの足が、また悪くなってしまうのではないかと。
いつかのように、それが原因でことりの立場を悪くしてしまうのではないかと。
そんなことを考えていたからなのでしょうか。
ちょっとした事件が起きてしまったのは……。
海未(事件?)
海未(南さんの身に何かあったのでしょうか?)
海未(……続きは)
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21 : 2014/08/23(土) 23:16:57.76 -
とても悔しかった。
悔しくて悔しくて涙が溢れてきて……。
ことりのことになると感情の起伏が激しくてダメですね。
けれど、ことりはそんな私に優しく声をかけてくれました。
海未ちゃん、ありがとう。
それだけ。
たったそれだけで、ことりの想いが全て伝わって……私はさらに泣いてしまいました。
もっと強くならなきゃダメですね。
あの日の約束を護れるようにならないと。
そう思っているとそっと抱きしめられました。
優しいことり。
暖かいことり。
大好きです。
願わくば、ことりの胸の柔らかさを感じられるこの距離を──パタンッ!
海未「……っ!」ハァッハァッ
海未「もう、いいですっ!」
「……海未さん? 海未さーん?」
海未「はい、なんでしょうか?」
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22 : 2014/08/23(土) 23:17:54.58 -
海未母「お使いに行ってきて欲しいのですが……」
海未「あまり遠くではなければ」
海未母「穂むらにいってお饅頭を買ってきてほしいの」
海未「ああ、高坂さんのお宅ですね」
海未母「ええ、そのくらいの距離でしたら大丈夫でしょう?」
海未母「はい、これ地図とお金」
海未「ち、地図?」
海未母「念のため、ですよ。迷子になったら事ですから」クスクスッ
海未「はぁ」
海未母「お夕飯までには帰ってきて下さいね」
海未「わかりました、では……」
海未母「あ、そうそう」
海未母「『いつものください』そう言えばわかりますから」ニコッ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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23 : 2014/08/23(土) 23:18:42.47 -
─穂むら─
ガラガラッ。
海未「こんにちはー」
穂乃果「あっ! 海未ちゃん! いらっしゃいっ♪」
海未「あ、高坂さん、ごきげんよう」
穂乃果「高坂さんって……」
穂乃果(やっぱりないんだ……記憶)
穂乃果「海未ちゃん体は大丈夫なの? みんな心配してたよ?」
海未「ええ、記憶が無いこと以外は問題がありません」
海未「むしろ記憶があるほうが問題かもしれません……」ボソッ
穂乃果「へ?」
海未「あ、いえ。なんでもありません」
穂乃果「う、うん」
穂乃果「お饅頭買いにきたの?」
海未「母に頼まれまして」
海未「『いつものください』そう言えばわかると言われたのですが」
穂乃果「わかった! えへへー♪ いつもありがとうっ!」
穂乃果「お母さんが戻ってきたら用意出来るから……穂乃果の部屋で待っててよ!」
海未「え、あ、はぁ……」
穂乃果「ゆーきーほー! 海未ちゃんを案内してあげてーっ!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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24 : 2014/08/23(土) 23:19:16.03 -
─穂乃果の部屋─
海未(ここが高坂さんの部屋)
海未(……漫画ばかりですね)
ペラッ。
海未(恋愛物ですか)
海未(少女漫画にはありがちですよね)
「うーみちゃん! お待たせっ♪」
海未「高坂さん、早かったのですね」
穂乃果「うん! 少しって言ったじゃーん」
穂乃果「それより、高坂さんってやめてよ!」
穂乃果「穂乃果のことは穂乃果でいいんだよ?」
穂乃果「穂乃果も海未ちゃんって呼んでるんだからっ!」
海未「そう、ですか? わかりました」
穂乃果「呼んでみてっ!」ニコニコ
海未「へっ?」
穂乃果「穂乃果って呼んでみてっ!」ニコニコ
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25 : 2014/08/23(土) 23:19:55.73 -
海未「あ、えと……」
穂乃果「わくわくっ♪」
海未「ほ、ほのか……さん?」
穂乃果「えー、さん付けー? まあいっか!」
穂乃果「はい、ご褒美のほむまん!」
海未「え? これは売り物なのでは?」
穂乃果「いーのいーの! どーせ余ってμ'sのみんなに配るんだからっ」ニコッ
穂乃果「遠慮しないで食べて食べてっ!」
海未「どーせ余ってって……」
海未(お店の経営は大丈夫なのでしょうか?)
海未「はむ、もぐもぐっ……っ! これはっ!」
穂乃果「どう? どう?」ニコニコ
海未「とても美味しいですっ!」
穂乃果「えへへー♪ ありがとう」ニコッ
海未「ごくごくっ、お茶とも合いますね」
海未「幸せです……」ニコニコ
穂乃果「海未ちゃんの大好物なんだよ」
海未「え?」
穂乃果「小さいころからうちのお饅頭を食べてくれてて……」
穂乃果「物心ついた時から、ずーっと」
海未「穂乃果さん……」
穂乃果「ねぇ、海未ちゃん」
穂乃果「お話聞いたよ」
穂乃果「海未ちゃんの記憶、戻らないかもしれないって」
海未「……はい」
-
26 : 2014/08/23(土) 23:20:42.02 -
穂乃果「そっか……でもさ!」
穂乃果「穂乃果は覚えてるからっ!」
ギュッ!
海未「 穂乃果さん?///」
穂乃果「穂乃果は忘れないよ」
穂乃果「ダンスを忘れちゃったなら教えてあげる」
穂乃果「歌を忘れちゃったら歌ってあげる」
穂乃果「緊張する時はこんな風に手を握ってあげる」
穂乃果「だから、大丈夫だよ!」
海未「な、なにがですか?」
穂乃果「これからも穂乃果たちと一緒に行こう!」ニコッ
海未「は、はい」
穂乃果「うんっ!」
海未「……穂乃果さんは、なんだか不思議な人ですね」
穂乃果「そう?」
海未「ええ」
海未「けど、凄く力を頂いた気がしますっ」
穂乃果「えへへーっ♪ ことりちゃんには負けるけどねっ!」ニコニコ
海未「南さん、ですか……」
穂乃果「どうしたの? 急に眉間にしわ寄せて」
海未「あの、早速教えて欲しいことがっ」
穂乃果「うん、なぁに?」
海未「『◯月??日』の運動会のことを覚えていますか?」
穂乃果「『◯月??日』? うーん」
海未「なにか事件があったようなのですが……」
穂乃果「事件? ……ああ、あの時かぁ」
海未「知っているのですねっ!」
海未「教えて下さい!」クワッ!
穂乃果「こ、こわいよ……」
穂乃果「やっぱり変わらないね」
穂乃果(ことりちゃんのことになると、ね♪)ニコニコ
海未「え?」
穂乃果「ことりちゃんはね、容姿や声のことで、妬まれることが多かったんだ」
穂乃果「あの日も──」
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
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27 : 2014/08/23(土) 23:21:35.70 -
─回想校庭─
穂乃果「海未ちゃん、お疲れ様っ! はい、タオル」
海未「ありがとうございますっ」
穂乃果「じゃあ、穂乃果はことりちゃんと二人三脚に行ってくるね!」
海未「はい! がんばって下さいっ♪」
海未「ふふっ♪ 穂乃果は元気いっぱいですね」
女生徒A「二人三脚かぁーかったるいなぁ」
女生徒B「ね、暑いのにさぁバカみたいだよね」
海未「……あの方たちも二人三脚なんですね」
海未(髪の色、校則違反なのでは?)
海未(──そんなことよりことりと穂乃果の応援ですっ)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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28 : 2014/08/23(土) 23:22:16.54 -
海未「……あ! やりましたっ! 赤組の勝ちです!」
海未「次は……穂乃果とことりの番ですね」
海未「ほのかーっ! ことりーっ! がんばってくださーいっ!」
海未「大きな声を出すのは恥ずかしいですね///」
海未「おや?」
海未(相手チームは先ほどの二人、ですか)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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29 : 2014/08/23(土) 23:22:48.07 -
穂乃果「海未ちゃん、声小さいっ♪ 恥ずかしいのかな?」クスクスッ
ことり「でも、私たちにはちゃんと届いてるねっ♪」
穂乃果「うんっ! 頑張ろう!」
ことり「うんっ!」ニコッ
女生徒A「ねぇ、うちらの相手あの南じゃん」
女生徒B「高校の理事長の娘だっけ?」
女生徒A「私、あいつ嫌いなんだよね。いっつもニコニコしてさ、気持ち悪い」
女生徒B「声もさ、いっつも作ってるよね。ちょっと脅かしてやろっか?」クスクスッ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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30 : 2014/08/23(土) 23:23:20.26 -
ばぁーんっ!
海未(スタートしましたっ!)
海未(ことり、穂乃果……頑張れっ!)ギュッ
海未(さすがです!息の合った走りでリードしました)
海未(──おや?相手の方たち、少し距離が)
海未(……っ! あのままでは相手を巻き込んで転倒してしまうかもっ!)
海未「ことりっ!?」
海未(いま、わざとバランスを!?)
海未「……っ!」ダッ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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31 : 2014/08/23(土) 23:25:04.47 -
穂乃果「いつつ……転んじゃったね♪」
ことり「……ごめんね穂乃果ちゃん、ことりが慌てちゃったせいで………いたっ!」
穂乃果「ぶつかりそうだったからでしょ? 大丈夫?」
ことり「うん、ちょっと擦りむいちゃっただけ」
ことり「穂乃果ちゃんは?」
穂乃果「あはは、穂乃果は頑丈だからっ!」
穂乃果「じゃあ、頑張って完走しよっか!」
ことり「うんっ♪ ありがとうっ」
ことほの『せーのっ、いっちにいっちに!』
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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32 : 2014/08/23(土) 23:25:48.32 -
海未「ことり、穂乃果! もう少しですっ!」
海未(思わずゴールまで来てしまいました)
女生徒A「うわー、だっさいねー」
女生徒B「ほんとだねー」クスクスッ
海未(……っ! 先程の方々、ですね)ギュッ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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33 : 2014/08/23(土) 23:26:26.30 -
穂乃果「──はぁ、ふぅっ! ことりちゃんゴールだよっ!」ことり「ごめんね、ことりのせいで……」
海未「2人ともお疲れ様です!」
穂乃果「海未ちゃんやったよー! 完走出来たよっ!」
海未「はいはいっ♪ ことり、足は大丈夫ですか?」
ことり「うん、ちょっと擦りむいただけだからっ♪」
海未「よかったです、大事にならず。さすがですよ」
ことり「あははっ。気を取られてたらバランス崩しちゃったよぉ」
女生徒A「なによあれ? 派手に転んで最下位なのにヘラヘラ笑って、バカみたい」
女生徒B「もっと大怪我すればよかったのにね?」
海未「……」ピクッ
海未「あなたたち、それはどうい意味ですか?」
ことり「う、海未ちゃん?」
穂乃果「え? どうしたの?」
-
34 : 2014/08/23(土) 23:27:09.56 -
海未「いま、あなた方が『ことりと穂乃果が怪我をすればよかった』そう言ったように聞こえたのですが」
女生徒A「うわぁ……」
女生徒B「めんどくさいなぁ」
海未「めんどくさい?」
女生徒A「もー、なんなのあんた? あー、そっか。その南って子、足が悪かったんだよね?」
ことり「……っ!」ビクッ
海未「──やめないさい」
穂乃果(ま、まずいよその話題はっ!)アワアワ
穂乃果(先生呼んでこよっと)
女生徒A「私見たことあるよ。一人だけ変な……おかしな歩き方してたっけ」
女生徒B「なにそれー?
だっさー」クスクスッ海未「……っ! もはや聞き捨てることはできませんね」ニコニコ
海未「覚悟は」
ことり「待って!」
海未「こ、とり?」
ことり「海未ちゃんまって! ことりは大丈夫だからっ、ね?」
海未「なっ! ことり!?」
先生「どうしました? なにかありましたか?」
ことり「なんでもないんです、なんでもー」ニコニコ
穂乃果(ふぅ、よかったぁ)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
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35 : 2014/08/23(土) 23:29:34.67 -
─回想海未の部屋─
海未「はぁ……」
海未(ダメですね、ことりのことになると)
海未(つい感情的になってしまって)
海未(私の悪いところです)
海未(ですが、あんなふうに言われて感情を抑えろなんて)
海未(私には……)
海未(しかも相手を庇ってましたね)
海未「優しすぎ、ですよ」
海未母「──海未さん、ことりちゃんがきてくれましたよ」
海未「ことりが? 部屋に通して頂いても宜しいですか」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
36 : 2014/08/23(土) 23:30:28.66 -
ことり「えへへっ、きちゃった♪」海未「そう、ですか」
ことり「海未ちゃんのこと心配だったし、お礼を言いたくてっ♪」
ことり「ことりのこと、護ってくれてありがとう」
海未「護る? 私がですか? 」
ことり「うん! あの時、海未ちゃんがいなかったら、ことり泣いちゃってたかも」
海未「……なに、言ってるんですか?」
ことり「え?」
海未「私はことりのことをあんなふうに言われて……悔しくて」グスッ
ことり「海未ちゃん……」
海未「あの人達が、ぐすっ、何を知っているんですか?」ポロポロ
海未「ことりのことをなにも知らないくせにっ! ああやって……妬んで!」ボロボロ
海未「足のことだって……っ!」ポロポロ
ことり「海未ちゃん」
ギュッ!
海未「こと、り?」グスッ
-
37 : 2014/08/23(土) 23:31:17.45 -
ことり「──ありがとうっ♪」
海未「……っ!」
海未「ことり、ことりぃ!」グスッ
海未「うわーっん! ひっぐ!」ポロポロ
ことり「ありがとうっ」ギュッ
海未「私、悔しくて、悔しくて!」グスッ
海未「あんなふうに私のことりを馬鹿にしてっ!」エグエグッ
海未「ことりのことぉ、なにも知らないくせにっ!」ボロボロ
ことり「大丈夫だよ。ことりには海未ちゃんがいてくれるもん」
ことり「海未ちゃんが護ってくれるもん」
海未「そんなことぉ……そんなこっ!」ポロポロ
海未「ことりの心は傷付いたのですからっ!」グスッ
海未「私にはなにも……っ!」ボロボロ
ことり「──海未ちゃんが、わかっていてくれるだけで」
ことり「それだけでいいんだよ」ニコッ
海未「うぅ……ことりぃ!」ボロボロ
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
-
38 : 2014/08/23(土) 23:32:07.82 -
─穂乃果の部屋─
穂乃果「──ということがあってね」
海未「そう、なんですね」グスッ
穂乃果「うんっ!」
海未「なんだかその時の私の気持ち、よくわかります」ポロポロ
穂乃果(そりゃ、同一人物だからね)
海未「……はぁ、少し落ち着きました」
海未「それにしても、私はことりさんと仲がいいのですね」
穂乃果「あ、あははっ♪ その辺はそのうち思い出すよ!」
海未「そうですか」
穂乃果「それよりなんでこの話を聞きたかったの?」
海未「いえ、私の日記を見ていたらちょっと気になっただけです」
穂乃果「ふーん、そうなんだ」
海未「日記には、『あの日の約束を果たせない』とあったのですが」
海未「穂乃果さんはご存知ないですか?」
穂乃果「『あの日の約束』?」
穂乃果「うーん、穂乃果は知らないなぁ」
海未「そう、ですか」
「穂乃果ー? いつものできたわよー?」
穂乃果「あ、はーい!」
海未「では、いい時間なので私はこれで」
穂乃果「もう帰るの?」
海未「はい、伺いたいお話も聞けましたので」
穂乃果「あははっ♪ こんな話で良かったらいつでも!」
海未「頼りにさせて頂きます」
穂乃果「……え?」キョトン
海未「どうか、しましたか?」
穂乃果「ううん、海未ちゃんが私を頼るなんて珍しいなって思って」
穂乃果「あ、記憶がないから……」
海未「……心外ですね」
穂乃果「ふえ?」
海未「あなたと話していてよくわかりました」
海未「『園田海未』はいつでもあなたを頼りにしています」ニコッ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
39 : 2014/08/23(土) 23:33:48.76 -
─海未の部屋─
海未(穂乃果さんに話を聞いてよくわかりました)
海未(園田海未は友達思いなんですね)
海未(それにしても、南さんのことばっかりですねこの日記)
海未(ふむ……)
海未(南さんとは凄い仲が良いということですね!)
海未(……おや?)
海未(カレンダーに力強い丸印が)
海未「9月12日……ですか」
海未(なにか大切な日、なのでしょうか?)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
海未「9月12日……ですか」【前編】
おしまい
-
40 : 2014/08/23(土) 23:36:01.91 -
本日はここまでです。
コメント下さった方、読んで頂いた方、ありがとうございます。
後編からは、ある程度書き溜めてから投下。
ある程度書き溜めてから投下。
という感じに何回か分けていければと思います。
-
47 : 2014/08/31(日) 20:44:44.20 -
コメントありがとうございます!
ご期待に添えればよいのですが……。
再開します。
-
48 : 2014/08/31(日) 20:48:55.94 -
コメントありがとうございます!
ご期待に添えればよいのですが……。
再開します。
-
49 : 2014/08/31(日) 20:50:11.90 -
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇─こぼれた記憶の欠片─
「うぇーん、え・ん……ぐすっ」ポロポロ
「どうしたの? 大丈夫?」
「うぅー、ひっぐ」グスッ
「いじめられたの?」
「……」ポロポロ
「そうだ! これあげる!」
「ふぇ? これ、なんですか?」グスッ
「ほむまんだよ!」ニコッ
「ほむまん……?」
「たべてみてよっ」
「……はぐっ、むぐむぐ。おいしー」
「えへへっ♪ よかったぁ。うちのおかしはみんなをえがおにするんだぁ」
「ご、ごちそうさまです」
「ねぇ、おなまえなんていうの?」
「うみといいます」
「うみちゃんかぁ! ほのかはほのか! こーさかほのかっ!」
「ほのかさん……」
「うんっ♪ ねぇ、うちにおいでよっ! いっしょにあそぼうっ」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
50 : 2014/08/31(日) 21:27:42.04 -
「うわーんっ、ぐすっ……ひぐっ」ポロポロ「……あっ!」
「ふえーんっ、うぅー」グスッ
「あ、えと……あの」
「ひっぐ、ぐすん、なんでぇ……」ポロポロ
「……っ! ちょっとまっててください」ダッ
「……ふぇ?」グスッヒッグ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
51 : 2014/08/31(日) 21:28:44.18 -
「おかーさん、おかねをくださいっ!」ハァハァッ
「あらあら、お小遣いですか?」
「ほむまんがほしいのですっ!」
「ああ、ふふっ♪」
「それなら『いつものください』そうお店の人に言って下さい。そしたら貰えますよ」
「ほんとに!?」
「ええ、好きなだけ貰って下さいね?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
52 : 2014/08/31(日) 21:30:44.41 -
「あの!」
「あら、海未ちゃんじゃない。お使いかしら?」
「『いつものください』! ふたっつほしいです」
「まあっ! ふふっ♪ よく出来ました。包んであげるから少し待ってね」
「あ、ありがとうございます」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
53 : 2014/08/31(日) 21:31:47.01 -
「……」グスッ
「あのこ、おそいなぁ」
「あのこもことりをいじめるのかな?」
「あ、きた」
「はぁ、はぁ……ふぅ」
「……」グスッ
「あの、これ」
「え? これ、なあに?」
「ほむまんです」
「ほむまん?」
「はい、いっしょにたべましょう」
「う、うん」
「はむっ、むぐむぐ……おいしーです」
「ぱくっ、もぐもぐ……おいしー」ニコッ
「あっ!」パァーッ!
「ごちそうさま」
「あの、おなまえは?」
「ことりはみなみことりっていうの」
「ことりさん……」
「ねぇ、あなたは?」
「わたしはうみ、そのだうみです──」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
54 : 2014/08/31(日) 21:36:36.60 -
─海未の部屋─
海未「……」
海未(夢、ですか)
海未(私の記憶なのでしょうか?)
『海未ちゃんの大好物なんだよ』
海未(もしかして)
『うちのおかしはみんなをえがおにするんだぁ』
海未(穂乃果さん家のお饅頭が大好物な理由って……)
ピピピピッ!
ピピピピッ!
海未「──いけない、そろそろ時間ですね」
海未(学校へいきましょう)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
55 : 2014/08/31(日) 21:39:09.99 -
─待ち合わせ場所─
海未(穂乃果さんに伺った待ち合わせ場所は……あ)
海未「南さん、おはようございます」
ことり「海未ちゃんおはよう。具合はどう?」
海未「はい、記憶がないこと以外は問題ありません」
ことり「そう、なんだ」
海未「すみません、ご心配をおかけしてしまいまして」
ことり「ううん、ことりのほうこそ」
ことり「庇ってくれてありがとう」ニコリ
海未「い、いえ///」
ことり「──あっ」
海未「なにか?」
ことり「ううん、なんでも」
海未「そう、ですか」
-
56 : 2014/08/31(日) 21:40:04.19 -
海未「……穂乃果さんはまだでしょうか?」
ことり「そろそろくると思うんだけど……あっ♪」
「こっとりちゃーんっ! うーみちゃーんっ!」
穂乃果「お待たせーっ♪」
海未「穂乃果さん、ごきげんよう」
ことり「おはよー♪」
穂乃果「んー? んんーっ?」
ことり「どうかした?」
穂乃果「何か足りないような……あっ! 海未ちゃんが竹刀をもってないんだぁ」
海未「竹刀、ですか?」
ことり「……」ギュッ
穂乃果「うん!」
ことり「あぁっ!」
穂乃果「ことりちゃん?」
海未「南さん?」
ことり「時間がっ! ほら2人とも早く行こうっ! 遅刻しちゃうよぉ!」
海未「え? もうそんな時間ですか?」
ことり「はやくはやくー♪」ダッ
穂乃果「ことりちゃん……?」
海未「南さん、待ってくださーいっ!」ダッ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
57 : 2014/08/31(日) 21:42:17.15 -
─アイドル研究部部室─凛「うーみちゃーんっ! うみちゃんうみちゃんうみちゃんっ! うーみーちゃーん!」
もぎゅっ!
海未「わっ! ちょっ、えと///」アセアセ
花陽「凛ちゃん!? いきなり飛びついちゃダメだよぉ!」アワアワ
希「あははっ、海未ちゃん堪忍したってなぁ」
真姫「海未お姉ちゃんがいなくて寂しかったのよねぇ?」クスクスッ
希「おやおやー」
真姫「な、なによ?」
希「そういう真姫ちゃんだって……」ププッ
真姫「ちょ、希!? みんなの前で言ったら……っ!」
にこ「もー、仕方ないわねぇ。そんなにお姉ちゃんが恋しいならこのにこにーが」
真姫「お断りします」
凛「今日からまた一緒にダンスするにゃー♪」
海未「あ、あの……」
絵里「凛、わがままを言ってはダメよ」
-
58 : 2014/08/31(日) 21:43:07.62 -
凛「絵里ちゃん」
絵里「海未は本調子ではないわ」
絵里「今日も私が手拍子をやってあげるから」
絵里「それで我慢しなさい」
絵里「絵里お姉ちゃんの手拍子で我慢しなさい」ニコッ
希「うわぁ……」
穂乃果「お姉ちゃんって……」
凛「嫌だよ!」
真姫「いいじゃない、絵里の手拍子」
花陽「花陽も好きだよ?」
凛「絵里ちゃんは発音が良すぎるからちょっと……」
凛「ねぇ、ことりちゃんも海未ちゃんがいいよね?」ニコニコ
ことり「え!?」
ことり「ことりは……」アセアセ
海未「南、さん?」キョトン
希「んー? そうだ! 今日はユニット毎に練習しない?」
穂乃果「ユニット毎?」
希「うん。海未ちゃんも本調子じゃないし、凛ちゃんもこんなだし……ねっ、にこっち?」ニコッ
にこ「希……?」
にこ「そうね! このままダラダラしてても仕方ないわ」
にこ「それに、最初は少人数のほうが海未も馴染みやすいでしょ?」ニコリ
-
59 : 2014/08/31(日) 21:43:55.20 -
海未「は、はい」
希「決まりやね」
絵里「認められないわぁ……」グスッ
真姫「まあまあ、凛を妹にするチャンスはまたあるわよ」
にこ「ほら、いくわよ2人ともっ!」
ことり「花陽ちゃん、行こっ?」
花陽「うんっ♪」ニコッ
穂乃果「まってまってー! 穂乃果も行くよー!」
希「あ、穂乃果ちゃんっ!」
穂乃果「ん? なぁに?」
希「ことりちゃん、少し様子が変じゃない?」ヒソヒソッ
穂乃果「うん、やっぱりそうだよね」ヒソヒソッ
穂乃果「穂乃果、ことりちゃんと少し話してみるよ」ヒソヒソッ
希「頼んだよ」ヒソヒソッ
穂乃果「……うん!」
穂乃果「行ってくるねーっ!」ダッ
希「さて、うちらも行こうか?」
海未「はい! えと、lily whiteですよね」
凛「そうだよっ! 凛と希ちゃんとリーダーの海未ちゃん!」
希「三人そろってlily whiteやっ!」カードピッ!
凛「にゃっ♪」ネコポーズ
海未「なるほど」
希「……」チラッ
凛「……」チラッ
海未「……」
海未「え、なにか?」
希「海未ちゃんもポーズするんよ」
海未「ぽ、ポーズですか? そういわれても……」
希「じゃあ、今日はポーズの特訓やね!」
凛「特訓にゃぁー♪」
海未「ポーズ……ですか」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
60 : 2014/08/31(日) 21:45:04.50 -
─校庭─
希「海未ちゃん、まずはこの動画を見て」
海未「矢澤先輩じゃないですか。真剣な表情をされていますね」
『行くわよ……』
凛「ごくり……」
『にっこにっこにー☆ あなたのハートににこにこにー☆ 笑顔届ける矢澤にこにこー♪ にこにーって覚えてラブにこー☆』
海未「こ、これは……!?」
希「どう?」
凛「やっぱりちょっと寒くないかにゃ?」
海未「すごく可愛いですねっ!」
希「え!?」
凛「にゃっ!?」
海未「え?」
のぞりん『ううん、なんでもない』
海未「これを私がやるということでしょうか? しかし、私のような可愛げのない人間がやっても……」ブツブツ
-
62 : 2014/08/31(日) 21:46:36.81 -
凛「ねぇ、希ちゃん」ヒソヒソッ
希「なぁに?」ヒソヒソッ
凛「海未ちゃんちょっと変じゃない?」ヒソヒソッ
希「うーん、ちょっとね」ヒソヒソッ
凛「そうだよぉ! いつもだったら『こ、こんな恥ずかしいこと……できませんっ!』なーんて言うのに」ヒソヒソッ
海未「私の場合、うっみうっみうー☆ でしょうか? うーん」ブツブツ
凛「なんか積極的だし……」ヒソヒソッ
希「せっかくだからラブアローシュートをやってもらおうよ!」
希「普段の海未ちゃんだったら絶対やってくれないやん?」ヒソヒソッ
凛「はらしょぉ!」
凛「さっすが希ちゃんにゃ!」
凛「そこまで考えてのユニット作戦だったんだね!」
希「ふっふっふっ、あたりまえやん?」
-
63 : 2014/08/31(日) 21:47:39.91 -
希「この、のぞみんを舐めてもらっては困るよ? 凛二等兵!」
海未「なにをお話してるのですか?」
のぞりん『なんでもなーいよっ♪』
海未「そうですか」
海未「では、早速見て下さい!」
希「なにを?」
海未「ポーズですよ、ポーズ!」
凛「希ちゃん、カメラカメラ!」
海未「いきますよーっ!」
のぞりん『ごくり……』
海未「うっみうっみうー☆ あなたのハートにうみうみうー♪ 笑顔届ける園田海未うみー☆ うみうーって覚えてラブ海未っ♪」
のぞりん『……』ポカーン
海未「あぁっ! やっぱり恥ずかしいですっ!」
海未「私にはこんなの似合いません……」
海未「矢澤先輩だからあんなにも可愛らしいのですっ!」
海未「私なんかがやっても……」グスッ
-
64 : 2014/08/31(日) 21:48:28.31 -
希「か……」
凛「か……」
のぞりん『可愛すぎる』
海未「ふぇ?」
希「海未ちゃん、すっごい良かったよ」
海未「東條先輩?」
凛「凛もそう思うよ」
海未「星空さん?」
希「あとはオリジナリティだけや!」
海未「……っ!」
凛「凛も手伝うよ! 一緒にがんばろっ!」
海未「東條先輩っ! 星空さんっ!」ウルウル
希「希、でええんよ? いつも通りね」ニコッ
凛「凛も呼び捨てがいいにゃ♪」
海未「そ、そんな……」
希「lily whiteは姉妹みたいな感じだしね」
凛「海未お姉ちゃん、遠慮しちゃ嫌だよ?」ウルウル
海未「……わかりましたっ!」
海未「凛っ!」
凛「にゃっ♪」ニコッ
海未「希姉さんっ!」
希「うんっ♪」
海未「この三人でアイドルのトップを目指しましょう!」
海未「山頂アタックですっ!」
希「おー、らしくなってきたなぁ」
凛「希ちゃんずるいにゃ! ちゃっかり姉さんって呼ばれてるにゃっ!」
希「凛ちゃんだってちゃっかりお姉ちゃんって呼んでるやん?」
海未「なにをこそこそ話しているのですか? ポーズの練習を再開しますよ!」
のぞりん『はーい』
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
65 : 2014/08/31(日) 21:49:12.42 -
海未「はぁ、はぁ」ゼェゼェッ
凛「ついに……はぁ、できたね」ゼェゼェッ
希「よし! 早速誰かに……あっ!」
凛「printempsの三人にゃー」
穂乃果「おーい!」
花陽「なんか楽しそうなことしてるからきてみたよっ♪」
ことり「なにをしていたの?」
希「ちょうどいいやん?」
凛「海未ちゃんの新しいポーズの練習をしていたにゃ!」
海未「このポーズでアイドル界に山頂アタックを仕掛けます!」ニヤリ
ことり「海未ちゃん?」キョトン
穂乃果「おー! なんだかすごそうだね!」
花陽「花陽見てみたいなぁ♪ 海未ちゃんのアイドルポーズっ♪」
凛「かよちんビックリして腰抜かさないでよー?」ニコニコ
-
66 : 2014/08/31(日) 21:49:57.07 -
希「穂乃果ちゃん、ことりちゃんはどう?」ヒソヒソッ
穂乃果「本人が言うにはちょっと体調が悪いだけだって」ヒソヒソッ
穂乃果「だから軽めの練習にしたよっ♪」ヒソヒソッ
希「さっすがぁ・♪」ヒソヒソッ
ことり「ことりも見たいなー♪」ニコッ
海未「……っ///」ドキッ
凛「じゃあ、お披露目するにゃーっ♪」
希「園田先生、どうぞ!」
海未「はいっ!」
-
68 : 2014/08/31(日) 21:50:48.50 -
海未「うっみうっみうー☆ あなたのハート撃ち抜くぞぉ!lily whiteリーダーの園田海未ですっ♪」ニコッ
海未「会場のみんなにー……ラブアローシュートッ! ばぁんっ♪」バァン!
穂乃果「……こんな海未ちゃんはじめてみた」
花陽「す、すごい……!」
ことり「……」
希「ことりちゃん?」
凛「大丈夫?」
ふらっ。
パタンッ。
ことり「……きゅー」
穂乃果「ことりちゃんが倒れた!」
海未「えぇ!?」
海未「南さん! 大丈夫ですか!?」
花陽「ことりちゃん!?」
凛「ことりちゃんどうしたの!?」
希「保健室に──」
海未「私が連れていきますっ!」ダキッ
海未「……っ!」
海未(軽い!? いや、いまはそんな場合では!)
ことり「う……海未ちゃ……」
穂乃果「場所大丈夫!?」
海未「それくらいはわかりますっ!」ダッ
希「海未ちゃん!?」
凛「行っちゃった……大丈夫かな」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
69 : 2014/08/31(日) 21:51:50.11 -
─こぼれた記憶の世界─
ことり(──ここは?)
ことり(どこ?)
ことり(たしか海未ちゃんのラブアローシュートにやられて……)
ことり(いや、体調不良のせいもあるけど)
ことり(あの時の海未ちゃん、いつもの海未ちゃんだったなぁ)
「ことりはみなみことりっていうの」
「ことりさん……」
「ねぇ、あなたは?」
「わたしはうみ、そのだうみです」
ことり(……っ!?)
ことり(あれって)
ことり(小さい頃のことりと海未ちゃんだ)
-
70 : 2014/08/31(日) 21:52:47.53 -
「うみちゃんかぁ」
「あの、その……」
「うみちゃん、ことりといっしょにいたらいじめられるよ」
「え? なんでですか?」
「ことりほら……」トコトコ
「あっ……」
ことり(なつかしいなぁ……)
ことり(そっか! ことり、夢を見てるんだ)
「ね?」
「そんなの──」
「あー! あいつまだいるぞぉ!」
「あ……」ビクッ
「どうしたのですか?」
「へんなあるきかたー!」
「やーいやーい! ふつうにあるいてみろよー!」
「……ぐすっ、うぅー」ジワァ
「……っ! やめてください!」
「え?」ポロポロ
-
71 : 2014/08/31(日) 21:53:43.97 -
「なんだー?」
「ああ、おまえかー」
「このこをいじめるのはやめてください!」
ことり(海未ちゃん!)
ことり(……そっか、この時からそうだったね)
「なんだよ、おまえだってジャングルジムにのぼれないこわがりだろー」
「やーい、こわがりー!」
「むー……/// こわくなんかありません!」
「だったらのぼってみろよー」
「うみちゃん……」グスッ
「……じゃあ、のぼったらやめてくれますか?」
「え?」
「のぼれたら、ことりさんをいじめるのをやめてくれますか?」
「うみちゃん、いいよぉ」
「よくないです!」
「いいよ! おまえなんかにはできないからな!」
「いいましたね」
「うみちゃんやめてよ! ことりはだいじょーぶだからっ」
「ことりさん」
「え?」
「もし、のぼれたら」
「……うん」
「──わたしと、ともだちになってくださいっ」
ことり(──海未ちゃんがことりのスーパーヒーローだったのは)
-
72 : 2014/08/31(日) 21:56:28.53 -
今日はここまで。
見てくださった方、ありがとうございます。
-
81 : 2014/09/06(土) 21:20:37.86 -
たくさんのコメントありがとうございます!
ちょっと展開がぐだりそうですがお付き合い頂ければ幸いです。
再開します。
-
82 : 2014/09/06(土) 21:21:30.28 -
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
─音ノ木坂学院保健室─
海未「南さん……」
海未(大丈夫でしょうか?)
海未(先ほど感じた体の軽さ……)
海未(あまり食事を取られていないのでしょうか?)
ことり「……う、ん……」
海未(……軽、い?)
海未(なにと比べて?)
海未(──以前もこうして南さんを抱えたことがある)
海未(ということでしょうか?)
-
83 : 2014/09/06(土) 21:22:10.08 -
ことり「…………あ、海未ちゃん?」
海未「あっ!」ドキッ
海未「南さん、気付かれましたか?」
ことり「海未ちゃんが運んでくれたの?」
海未「ええ。先生を呼んできます」
海未「まっていてくださいね?」ニコッ
ことり「あっ…………うん」ギュッ
ことり(そう、だよね)
ことり(海未ちゃんは全部忘れちゃったんだもんね)
ことり(小さい頃のことも)
ことり(──ことりのことを好きなことも)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
84 : 2014/09/06(土) 21:24:14.48 -
─音ノ木坂学院校舎内廊下─
海未「はぁ……よかった」
海未(南さんが大事でなくて安心しました)
海未(……ですが、この感覚はなんなのでしょうか?)
海未(南さんのことになると胸が高鳴って……)
海未(自分を抑えられなくなるような)
海未(目が覚めた南さんを抱きしめたいだなんて)
海未(変ですよ)
海未(それに南さんは今の私のことは……)
海未(多分、好きじゃない)
海未(……はっ!)
海未(なにを考えているのでしょうか)
海未(好きとか嫌いなどと、意味がわかりません)
海未「はぁ……」
海未(希姉さんに相談してみましょうか?)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
85 : 2014/09/06(土) 21:30:01.52 -
─音ノ木坂学院校庭─
希「あ、戻ってきたよ」
穂乃果「海未ちゃん! ことりちゃんは!?」
海未「心配ないですよ。先生が言うには軽い貧血、とのことでした」
凛「よかったにゃー♪」
花陽「花陽も安心したー」
真姫「……ふーん」
絵里「夏の暑さの影響かもね」
絵里「他のメンバーも体調を崩してしまうかもしれないわ」
絵里「ストレッチして、今日はもうあがりましょうか?」
にこ「最近暑い日続いてるしね」
絵里「みんなも、それでいいわね?」
希「はーい」
絵里「じゃあ、各自ストレッチしてーっ! 凛は私と組むのよっ!」
凛「え、うん。いいよーっ♪」
絵里「え、いいの?」
真姫「絵里、その前にちょっといい?」
海未「希姉さん、一緒によろしいですか?」
希「いいよー♪」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
86 : 2014/09/06(土) 21:30:42.41 -
希「いっちに、いっちに」
海未「では、次は私が……いっちに、さんしー」
希「……ふぅ、こんなもんでええやん?」
海未「ありがとうございました」
希「にしても、ことりちゃん本当に大丈夫かなぁ」
海未「あの、希姉さん」
海未「南さんのことで少し話があるのですが……」
希「話?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
87 : 2014/09/06(土) 21:32:16.05 -
─秋葉原メイドカフェ─
海未「ど、どうしてメイドカフェなのですか?」
希「いやー、ここのパフェが美味しくてねー♪」
絵里「よく希と2人で食べに来るのよ」
海未「絢瀬先輩と希姉さんはパフェがお好きなんですね」
絵里「堅いわねー。絵里でいいわよ、いつも通り♪」
希「μ'sは先輩後輩なしなんだよ!」
海未「そうなんですか……」
絵里「言ってなかったの?」
希「あははっ♪」
絵里「もー!」
希「それでことりちゃんのことだったよね?」
-
88 : 2014/09/06(土) 21:33:38.97 -
海未「はい、私と南さんは──」
ミナリンスキー「呼びましたか? お嬢様──って、あれ?」
海未「あ……南、さん?」
ミナリンスキー「う、海未ちゃんっ?///」
海未「は、はい。海未です///」カァーッ
絵里「ああ、スペシャルパフェ3つお願いねっ♪」
希「うひひっ♪ ドッキリ大成功っ♪」
ミナリンスキー「え、あ、かしこまりました、お嬢様」
ミナリンスキー「ぺこっ」ダッ
海未「……///」
希「どうだった?」
海未「メイド服姿も素敵ですね///」
絵里「へぇ、そうなんだ」ニヤニヤ
海未「……はっ! ではなく!」
海未「なぜ南さんがここに?」
希「バイトやん?」
海未「アルバイト、ですか」
絵里「期間限定だけどね」
海未「ですが、体調は……」
希「室内なら涼しいし激しい動きもしないって言ってたから」
絵里「と言っても真姫も心配してたしね。お話がてら様子を見なくちゃと思ってね」
のぞえり((本当は他の理由もあるけど))
-
89 : 2014/09/06(土) 21:36:28.01 -
海未「そう、ですか」
希「積もる話もあると思うけど、まずはパフェを食べて落ち着こう。ね?」ニコッ
海未「……はい」
ミナリンスキー「お待たせしましたっ! スペシャルパフェ3つでーすっ♪」
絵里「ハラショー!」
海未「わっ、とても美味しそうですねっ!」
希「ミナリンスキーちゃん、いつもの頼むで!」
海未「いつもの?」
ミナリンスキー「ふぇ!? や、やるの!?」
絵里「あったりまえでしょ? 海未がいない時はやって、いる時は」
ミナリンスキー「絵里ちゃんストップ! ストップ! やるからぁ! ことりやるからぁっ!」
海未(な、なにをするのでしょうか?)ドキドキ
-
90 : 2014/09/06(土) 21:37:15.02 -
ミナリンスキー「お嬢様方? 私、ミナリンスキーが……」
ミナリンスキー「いまからパフェが美味しくなる魔法を掛けさせて頂きますっ♪」
絵里「ハラショー!」パチパチッー
希「待ってましたぁっ!」パチパチッー
海未「わぁー! 魔法ですか!? 凄いです!」パチパチッー
ミナリンスキー(やりにくいなぁ///)
ミナリンスキー「いきますっ!」
ミナリンスキー「美味しくなぁれっ♪ ちゅんちゅんちゅっ♪」
ミナリンスキー「……///」カァーッ
絵里「ひゅーっ! ひゅーっ! ハラショー!」パチパチッー
希「めっちゃスピリチュアルやんっ!」パチパチッー
海未「か、か……///」
海未(可愛すぎます……///)カァーッ
希「おやおやー?」ニコニコ
絵里「あらあらー?」ニコニコ
ミナリンスキー「あ……///」
ミナリンスキー(海未ちゃん、顔真っ赤……)
-
91 : 2014/09/06(土) 21:38:07.47 -
海未「な、なんですか?///」
のぞえり『べーつーにー?』ニコニコ
ミナリンスキー「お、お嬢様方? ミナリンスペシャル三角くじをどうぞ?」
のぞえり((きたかっ!))
海未「なんですかそれ?」
ミナリンスキー「そっか、海未ちゃんははじめてだったねっ♪」
ミナリンスキー「いま、期間限定ミナリンキャンペーンをやってるんだぁ」
ミナリンスキー「9月12日までにスペシャルパフェをご購入毎に一回引けるんだよぉ」
海未「へぇ、賞品は……」
希(そう、うちらはっ!)
絵里(この時をっ!)
のぞえり『この瞬間を待っていたんだぁっ!』
海未「ひっ!」ビクッ
-
92 : 2014/09/06(土) 21:39:31.74 -
絵里「今日こそいただくわ」ゴゴゴッ
希「三等賞のパフェ引換券っ!」ゴゴゴッ
海未「おぉーっ、2人ともすごい気迫ですっ!」
絵里「私からいくわ!」
ミナリンスキー「どうぞっ♪」
絵里「はああぁぁらぁしょぉぉぉぉおっ!」
ピッ!
ミナリンスキー「おぉ! おめでとうございます! 二等ですよぉ!」
海未「二等ですか!? おめでとうございます!」
絵里「……全然よ」
海未「え?」キョトン
希「ぷっ! くくっ」ウヒヒッ
希「二等賞はミナリンスキーと握手やんなぁ?」クスクスッ
ミナリンスキー「はい、どうぞっ♪」
にぎにぎ。
海未「あっ──」
ミナリンスキー「え?」
海未「……///」プイッ
ミナリンスキー(海未、ちゃん?)
-
93 : 2014/09/06(土) 21:40:32.33 -
理樹・佳奈多「「メル友?」」真人・葉留佳「「おう(うん)」」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1410004413/
理樹(バスの事故から3ヶ月、
もう雪が降る季節だ。
僕らは悪夢のような出来事から目を覚まし、
今をこうして悠々と過ごしている)
日常系リトバスSSです!
亀更新ですがよろしくお願いします。
-
94 : 2014/09/06(土) 21:48:15.99 -
絵里「はぁ、握手なんていつでも出来るじゃない」絵里「こっちはその気になったらワシワシ出来んのよ?」
絵里「握手どころで済ますつもりはないのよ?」
希「まあまあ」
希「次はうちやん?」ニヒヒッ
ミナリンスキー「あ、うん! どうぞっ♪」
希「うちのスピリチュアルパワーで……はっ!」
ピッ!
ミナリンスキー「わっ! おめでとうございますっ!」
絵里「ハラショー!パフェ引換券じゃない!」
海未「希姉さん凄いですっ!」
希「ふふんっ♪ カードが告げてたからね」カードピッ!
ミナリンスキー「うふふっ♪ はい、どうぞっ♪」
絵里「次は海未ね!」
希「カードによるといい物が当たるらしいよっ♪」
-
95 : 2014/09/06(土) 21:49:06.34 -
海未「は、はい」ドキドキ
ミナリンスキー「一枚引いてくださいっ♪」
ガサゴソッ。
海未(……握手、したいな……)
海未(はっ! なにを考えているんですか私は!)
海未(──さっさと引いてしまいましょう)
ピッ!
ミナリンスキー「あ」
のぞえり『あ』
海未「へ?」
ミナリンスキー「おめでとうございますっ! 一等賞ですっ♪」
絵里「あー、やっぱり海未は持ってるわね」
希「めっちゃスピリチュアルやんっ!」ニコッ
海未「あの、一等賞って……」
ミナリンスキー「一等賞は、ミナリンスキーとツーショット撮影ですっ♪」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
96 : 2014/09/06(土) 21:50:04.94 -
ミナリンスキー「あの、お嬢様?」
海未「な、なんですか?」
ミナリンスキー「もう少し、こっちに寄ってくれませんか?」
絵里「海未ったら意識しすぎじゃない?」ニコニコ
希「ほんと可愛いなぁ」ニコニコ
絵里「ほら、海未ー? もっとくっつかないと写真が取れないわよ?」
海未(そんなこと言ったって……)
海未(他のお客様の視線もありますし)
ミナリンスキー「もー、海未ちゃん!」ヒソヒソッ
海未「ひゃいっ!」
-
97 : 2014/09/06(土) 21:51:04.51 -
ミナリンスキー「そんなんだったらことりから攻めちゃうぞっ♪」ヒソヒソッ
ぴとっ♪
海未「わっ! 南さんっ!?///」ドキッ
ミナリンスキー「あははっ♪ 海未ちゃん可愛いっ♪」ヒソヒソッ
ミナリンスキー「──こういうところ変わらないね」ボソッ
海未「え?」
ミナリンスキー「お嬢様? 笑ってくださいっ♪」
海未「は、はいっ」ニコッ
ミナリンスキー「はい、チーズッ!」
パシャッ!
絵里「海未ったら真っ赤じゃない!」
希「スピリチュアル可愛いやん!」
海未「あ、ありがとうございました」
ミナリンスキー「ううん、こっちこそありがとうっ♪」
ぎゅっ♪
海未「あ、手……///」
ミナリンスキー「えへへっ♪ 楽しかったから二等賞もプレゼント♪///」
-
98 : 2014/09/06(土) 21:52:26.82 -
海未「ありがとうございます///」ドキドキ
海未「……っ!」ゾクッ!
海未(今のは?)
海未「……」キョロキョロ
ミナリンスキー「どうしたの?」
海未「いえ、なんでもありません」
ミナリンスキー「そう? じゃあことり、他のお客様を対応しなきゃだからっ♪」
ミナリンスキー「ゆっくりしていってねっ♪」
海未「ええ、ありがとうございます」
海未(敵意……ですか?)
海未(他のお客様とはまったく違う視線を感じました)
海未(私に、でしょうか?)
絵里「海未、良かったじゃない。憧れのミナリンスキーとツーショット撮影、なーんて♪」ニコニコ
海未「茶化さないでください」
希「んー? 海未ちゃんどうかした?」
海未「い、いえ」
海未(気にしても仕方ありませんね)
海未「さっ! パフェを食べましょう?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
99 : 2014/09/06(土) 21:53:22.08 -
─神社─絵里「それはアレね」
希「アレやね」
海未「アレ、とは?」
のぞえり『恋よ!』
海未「こ、ここここここっ!」
海未「恋!?」
海未「……///」カァーッ
希「だって、ことりちゃんのこと抱きしめたいって……///」
絵里「海未ったら大胆ねぇ///」
海未「それはっ! その……安心したというか、なんというか!」アセアセ
海未「大体、女の子同士ですよ?」
海未「ありえませんよ……」シュン
絵里(うーん、以前の海未からは想像出来ない姿ね)
希(記憶を失ってもことりちゃんが好きとは……園田恐るべし)
海未「もし、そうだとしても南さんが私のことを好きになるなんて……」
海未「そんなことないでしょうし」
-
100 : 2014/09/06(土) 21:54:04.20 -
のぞえり((そんなことあるのよ))
希「海未ちゃん……」
海未「……私、わからないんです」
希「え?」
海未「自分のことが」
海未「南さんのことが……」
海未「だからなんだか、受け入れられなくて」
海未「ごめんなさい」
絵里「海未……」
絵里「大丈夫よ、海未!」
海未「え?」
絵里「自分一人で抱え込まないで」ニコッ
海未「絵里さん……」
希「海未ちゃんにはうちらがついてるよ」ニヒヒッ
海未「希姉さん……」
-
101 : 2014/09/06(土) 21:54:58.28 -
絵里「そうよ」
絵里「記憶は失っても、仲間は失っていないわ」
希「いつでも頼ってええんよ?」
海未「ありがとう、ございます」ニコッ
希「では、こののぞみんが一ついいことを教えてあげようっ♪」
海未「え?」
海未「なんですか?」ワクワク
希「ことりちゃんを好き『かもしれない』」
絵里「え?」
希「パフェが好き『かもしれない』」
海未「希姉さん?」
希「明日もいいことある『かもしれない』」
希「記憶が戻る『かもしれない』」
希「『かもしれない』『かもしれない』……」
希「両想い『かもしれない』」カードピッ!
海未「……っ!」ドキッ
絵里「希……」ニコッ
希「いまはそれでいいんじゃない?」
希「受け入れられないし否定も出来ない」
希「それでも海未ちゃんは海未ちゃんなんだからっ♪」
希「『かもしれない』でちょっとずつでも認めてあげれば……」
希「それでいいんじゃない?」ニコッ
-
102 : 2014/09/06(土) 21:55:43.29 -
海未「あ……っ!」
海未「はいっ!」ニコッ
絵里「ハラショー……!」
希「うちもたまにはいいこと言うでしょ?」ウヒヒッ
絵里「やっぱりμ'sのお母さんね?」クスクスッ
海未「希姉さんはお姉さんですよっ」
絵里「ものの例えよ」
希「あははっ♪ 海未ちゃんって天然だね」クスクスッ
海未「そ、そんなことありませんよっ!」
絵里「最初は握手券が欲しかったくせにー?」クスクスッ
海未「なっ! なんで知って……///」
絵里「あ、やっぱりそうだったんだ」ウヒヒッ
海未「え?」
海未「……っ///」カァーッ
希「海未ちゃんかーわいいー♪」
絵里「赤くなってるー♪」
海未「もーっ!///」
海未(たしかに私は)
海未「からかわないでくださいっ!///」
海未(南さんが好きなの『かもしれない』)ニコッ
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
103 : 2014/09/06(土) 21:56:44.23 -
─秋葉原─
海未(そろそろ、ですかね)
「ことり……まだですか? 私は一分一秒でもはやく、あなたに会いたい……」
海未「──勝手なことを言うのはやめてくださいっ!///」
希「えー?」
絵里「そうよ希! この場合はこうよ!」
絵里「ことり、私にはこうしてあなたを待つしか出来ません……所詮は叶わぬ恋。ですが! あなたのことは私が護り続けますっ」
希「あー! 言いそう! 今の海未ちゃんはそんな感じ!」
海未「……護る?」
希「海未ちゃん?」
絵里「どうかした?」
海未「あ、いえ」
海未「と、とにかく! おとなしく待ってなきゃダメですよ」
絵里「ふふっ♪ からかいがいがあるのは」
希「変わらんねっ♪」
-
104 : 2014/09/06(土) 21:59:05.52 -
「おーいっ! みんなーっ♪」
希「あ、きたきたー」
海未「南さんっ」パァーッ!
絵里「遅いわよ? 心配するじゃない」
ことり「ごめんね、ことりが体調崩したばっかりに……」
希「ええんよええんよ」ニコニコ
絵里「誰かが倒れそうになったらみんなで支える……そうでしょ、海未」
海未「はい」
海未「そうだと思います」
ことり「えへへーっ♪ ありがとう」ニコッ
絵里「じゃあ、帰りましょうか?」ニコッ
希「うちもうお腹ペコペコー」
絵里「さっきパフェ食べたでしょ?」
希「育ち盛りやもんっ♪」
絵里「それ以上育ったらファンの視線がますます胸に……」
希「やーん! えりちのえっちーっ♪」
海未「は、破廉恥ですっ!」
ことり「あははっ♪」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
105 : 2014/09/06(土) 22:17:18.04 -
─2人の帰り道─
ことり「じゃあ、海未ちゃんここで……」
海未「あ、その……家まで送ります」
ことり「え?」
海未「あ、深い意味はなくてですね」
海未「ご自宅に着くまでの間、お一人だと心配ですので」
ことり「そう、なんだ///」
ことり「じゃあ、お願いしちゃおうかなぁ」
ことり「ことりのボディーガードっ♪」ニコッ
海未「はい///」
ことり「ことりのお家、こっちだよ」トコトコ
海未「──なんだかすごく不思議な感じです」トコトコ
ことり「なにが?」
海未「きっと、はじめてではないのですね」
ことり「……ことりのボディーガード?」
海未「はい」
海未「記憶はないのですが、こうしてあなたと2人で歩くことが」
海未「懐かしくて、すごく心地がいいです」
ことり「そう、なんだ……」
ことり「ねぇ、朝の穂乃果ちゃんのお話、憶えてる?」
海未「竹刀の話、ですか?」
ことり「うん」ニコッ
ことり「ある日突然、海未ちゃんが竹刀ケースを背負っててね──」
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
-
106 : 2014/09/06(土) 22:18:23.85 -
─回想2人の帰り道─
ことり「ねぇ、海未ちゃん?」
海未「なんですか?」キョロキョロ
ことり「どうしてそんなにキョロキョロしてるのかな?」
海未「怪しい輩がいないか確認しています」キョロキョロ
ことり「……じゃあ、どうして今日は竹刀を持ってるの?」
海未「ことりを襲うような不届きな輩を成敗するためです」
ことり「そう、なんだ」
ことり「ちょっと、警戒しすぎのような……」
海未「はぁ……」
海未「ことりはなにもわかっていませんね」
ことり「わかってない?」
-
107 : 2014/09/06(土) 22:19:21.17 -
海未「いいですか? 私たちはスクールアイドルとして活動をはじめました」
ことり「うん」
海未「いまやネットで私たちのライブを見ている方は多勢います」
ことり「すごい再生数だもんね」
海未「そう」
海未「つまり、ことりの可愛さ美しさ清純さ奥ゆかしさ……」
海未「数え上げたらキリがありませんが」
ことり「海未ちゃん、恥ずかしいよぉ///」
海未「それら全てが日本国民に伝わってしまっているのです」
海未「みなさんがことりのことを応援してくれれば良いのですが」
海未「中には少々過激な方もいらっしゃるかもしれません」
ことり「そ、そうかなぁ?」
海未「そうです」
海未「だからしばらくは私があなたのボディーガードをします」
海未「いいですね?」ニコッ
ことり「いいけどぉ」
海未「けど、なんですか?」
-
108 : 2014/09/06(土) 22:20:55.09 -
ことり「海未ちゃん、ホントはことりと一緒にいたいだけだったりしてーっ♪」ニコニコ
海未「なっ!///」
海未「ち、ちがいますよ! そんなんじゃありません!///」
ことり「そうなんだぁ」
ことり「海未ちゃん、ことりと一緒にいたくないんだぁ」ジワァ
海未「え!? いや、あの、そんなわけないじゃないですか!?」アワアワ
ことり「じゃあ、どっち?」グスッ
海未「そ、それは……」
ことり「それは?」ウルウル
海未「一緒にいたい、です」
海未「……///」カァーッ
ことり「やっぱりー♪」ニコッ
海未「ことり!? 嘘泣きですか!?」
ことり「えへへー♪」
ことり「ほら、キョロキョロするのはもうおしまいにして、ことりのお家でお菓子でもたべよっ?♪」ニコッ
海未「はぁ……あなたという人は」
海未「本当に襲われたらどうするのですか?」
ことり「大丈夫だよ、だって──」
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
-
109 : 2014/09/06(土) 22:21:46.83 -
ことり「だって、ことりのことは海未ちゃんが……って、なんで泣いてるの!?」
海未「い、いえ……」グスッ
海未「急にごめんなさい」ヒッグ
海未「お話を聞いていたらなんだか悲しくなってしまいまして」ポロポロ
ことり「悲しく?」
海未「はい……」グスッ
海未「記憶がないことが、あなたとの思い出がなにもないことが」ポロポロ
海未「……私は悲しい」ボロボロ
ことり「……っ!」
海未「……」ゴシゴシッ
ことり「あの、ことりっ!」
海未「ごめんなさい」
海未「もう、大丈夫です」
ことり「海未ちゃん……」
海未「さっ、遅くなってはお母様が心配されますよ?」
海未「行きましょう?」
ことり「う、うん」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
110 : 2014/09/06(土) 22:22:42.02 -
─ことりの部屋─
ことり(今日は、色々なことがあったなぁ)
『記憶がないことが、あなたとの思い出がなにもないことが……私は悲しい』
ことり(海未ちゃん、泣いてた)
ことり(……ことりは最低だね)
ことり(記憶がなくても海未ちゃんは海未ちゃんなのに……)
ことり(『海未ちゃんがことりのことを忘れてつらい』)
ことり(そう思ってしまうことりは)
ことり(──なんてわがままなんだろう)
ことり(海未ちゃんだって辛いのに……)グスッ
ことり「はぁ……」
ことり「9月12日、かぁ」
ことり(海未ちゃんはいつもことりが喜ぶ物をくれたよね)
『ことり、プレゼントです! これで美味しいお菓子を作ってください!』
『今年はこれです! ことりに似合いそうな物を穂乃果と選びましたっ♪』
『はいっ♪ ことりカラーのリボンですっ! 良かったら使って下さいっ!』
ことり「……っ」ポロポロ
『ねぇ、ことり? 今年はなにが欲しいですか?』
ことり(毎年、そんなふうに聞いてきたよね)
ことり(海未ちゃん、ホント不器用なんだから……)グスッ
ことり(ことりはね……)
ことり「ことりの欲しい物は──」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
111 : 2014/09/06(土) 22:26:34.17 -
今日はここまで。
見てくれた方ありがとうございます。
あまり話が進展せずすみません。
また来週に再開出来ればと思います。
-
120 : 2014/09/12(金) 13:39:12.99 -
コメントありがとうございます。
完結までお時間いただきそうですが、最後までお付き合い頂ければと思います。
本日は誕生日当日です。
ことりちゃんおめでとう!
SSの更新は明日以降予定しています。
-
124 : 2014/09/14(日) 18:46:11.20 -
コメントありがとうございます。
まったり再開します!
-
125 : 2014/09/14(日) 18:46:38.34 -
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
─こぼれた記憶の欠片─
海未(……ここは?)
海未(どこでしょうか?)
「わたしはうみ、そのだうみです」
「うみちゃんかぁ」
海未(幼い私と……南さん?)
海未(昨日の夢の続き、ですか)
「あの、その……」
(ともだちになりたい)
海未(……声が、聴こえる?)
「うみちゃん、ことりといっしょにいたらいじめられるよ」
「え? なんでですか?」
「ことりほら……」トコトコ
「あっ……」
「ね?」
「そんなの──」
-
126 : 2014/09/14(日) 18:47:53.81 -
「あー! あいつまだいるぞぉ!」
「あ……」ビクッ
「どうしたのですか?」
「へんなあるきかたー!」
(……なんでそんなことをいうのですか?)
海未(……っ!)
「やーいやーい! ふつうにあるいてみろよー!」
(やめてください)
(せっかくわらってくれたのに)
「……ぐすっ、うぅー」ジワァ
「……っ! やめてください!」
(なかないで)
「え?」ポロポロ
(なかないでください)
海未(……この声は)
海未(幼い私の声?)
-
127 : 2014/09/14(日) 18:49:03.36 -
「なんだー?」
「ああ、おまえかー」
「このこをいじめるのはやめてください!」
「なんだよ、おまえだってジャングルジムにのぼれないこわがりだろー」
「やーい、こわがりー!」
「むー……/// こわくなんかありません!」
(こわいけどっ)
「だったらのぼってみろよー」
「うみちゃん……」グスッ
「……じゃあ、のぼったらやめてくれますか?」
(こわいけどっ!)
「え?」
「のぼれたら、ことりさんをいじめるのをやめてくれますか?」
(たかいところにのぼるよりも)
「うみちゃん、いいよぉ」
(じぶんがこわいおもいをするよりも)
「よくないです!」
(──あなたがないているほうがやなんですっ!)
「いいよ! おまえなんかにはできないからな!」
「いいましたね」
「うみちゃんやめてよ! ことりはだいじょーぶだからっ」
「ことりさん」
「え?」
「もし、のぼれたら」
「……うん」
「──わたしと、ともだちになってくださいっ」
海未(これが)
海未(南さんとの出会いだったんですね)
-
131 : 2014/09/14(日) 20:14:24.77 -
「え!?」「おい、はやくしろよぉ!」
「いま、いきます」
「うみちゃんっ!」
海未(小さい私、どんどん登って行きますね)
海未(……怖く、ないのでしょうか?)
(こわくない)
海未(……っ!)ドキッ
(こわくないっ!)
「うみちゃん、あぶないよぉ」ポロポロ
海未(南さん……)
「あれー? あれって、うみちゃん?」
「あ、いじめっこたちもいる」
海未(あれは、幼い穂乃果さんですね)
「ねぇねぇ、うみちゃんなにしてるの?」
-
132 : 2014/09/14(日) 20:18:04.09 -
「え? あ、うみちゃんはことりのせいで……」グスッ
「ど、どうせのぼれっこないよ!」
「そうだよ! こないだだってのぼれなくてなきべそかいてたんだから!」
「そ、そうなの?」
「うん、ほのかもみたよ」
海未(たしかにこんなこと、あったような気が……)
海未(恥ずかしいです)
「うみちゃん……」グスッ
「だいじょーぶだよっ!」ギュッ
「え?」
「うみちゃんはのぼれるよ」
「どうして?」
「だって、あなたをまもるためにのぼってるんでしょ?」
「ことりを、まもる?」
「ほら? いっしょにおーえんしよう?」
「おうえん?」
「すぅーーーっ、うーみちゃーんっ! がんばれーっ!」
「ぴゃぁ!?」ドキッ
「ほら? えとー、ことりちゃん?」
「う、うん」
-
133 : 2014/09/14(日) 20:19:27.92 -
「わたしほのか、こーさかほのか! いっしょにおーえんしよう?」「おっきぃこえ、はずかしいよぉ」
「いっしょにやればだいじょーぶだよっ!」
「で、でも」
「うーみちゃーんっ! がんばれーっ!」
「うみちゃん……がんばれぇ」
(はいっ)
「もっとおおきなこえで!」
「うぅー。うみちゃん、がんばれぇ!」
(聴こえていますよ)
「もういっかい!」
「うみちゃんっ! がんばれぇっ!」
(はいっ! がんばります!)
「な、なんだよ! そんなのいみないよ!」
「そうだそうだ! おまえらばかなんじゃないのか!」
-
134 : 2014/09/14(日) 20:20:10.23 -
「こ、ことりは……」「そんなことないもんっ!」
「え?」
「な、なんだよっ!」
「うみちゃんがともだちをまもるためにやってるんだもんっ! ばかじゃないもん!」
「ほ、ほのかちゃん?」
「うみちゃんはやる! やるったらやる!」
「むりだよ!」
「そーだ、いまになきだすぞ!」
「そんなことない!」
「……あっ」パァーッ!
「ことりちゃん? あっ!」パァーッ!
「……はぁ、はぁっ」
(た、たかいです……)
「ほら! ほんとうにのぼれた!」
「う、うそだぁ!」
「ずるしたんじゃないの!?」
-
135 : 2014/09/14(日) 20:26:00.37 -
「これで、よいのでしょう!?」
「もう2度と!」
「ことりをいじめないでくださいっ!」
「うみちゃんっ……」グスッ
「さっすがうみちゃん!」
「ねえ、いこうよっ……」
「う、うん」
海未(幼い私……よく頑張りましたね)グスッ
「ふぅ……」
(さて、これからどうしましょう)
(こわくておりれません)
海未(……ふふっ♪ なんだか微笑ましいです)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
136 : 2014/09/14(日) 20:27:37.97 -
「ほのかさん、ありがとうございます」
「あははっ♪ つぎはおりるれんしゅーもしなきゃね」
「うみちゃん……」グスッ
「ことりさん、みててくれましたか?」
「うんっ」ポロポロ
「わたしと、ともだちになっ」
──ぎゅっ。
「うみちゃんっ、ありがとうっ」ポロポロ
「わっ! く、くるしいですよぉ」
「かっこよかったぁ」グスッ
「……ふたりのおかげですよ」
「え?」
「ことりさんと、ほのかさんがおーえんしてくれたからです」ニコッ
「そ、そんなことないよぉ」
ぐぅ~。
「あははっ♪ なんだかおなかすいちゃったっ」
「わたしもすこし……」
-
137 : 2014/09/14(日) 20:28:24.45 -
「そうだ! うちにおいでよっ!」
「ほのかちゃんのおうち?」
「うんっ! さんにんであそぼうっ! ほのまんもあるからっ!」
「ほのまん……みんなでたべたいですっ」
「い、いいのかなぁ」
「ほら、はやくーっ!」
「ことりさん、いきましょう?」
──ぎゅっ。
「あっ! ……うんっ♪」パァーッ!
海未(これが私たちの出会いだったのですね)
海未(ここから高校生になるまでずっと一緒に……)
海未(あっ、急に景色が……)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
138 : 2014/09/14(日) 20:29:42.74 -
─心の部屋─海未(ここは……?)
海未(殺風景な部屋ですね)
海未(窓があって扉があって……)
海未(そして、棚が一つだけ)
海未「夢にしてはあまり面白味が……」
「あれー? どちらさまで……あっ!」
海未「え?」
海未(小さい南さん?)
ことり(幼)「おおきいうみちゃん、いらっしゃいませっ♪」
海未「え、あ、はい……」
ことり(幼)「ごほんよみにきたの?」
海未「いえ、気が付いたらここに……」
ことり(幼)「んー? そうなんだ」
海未「あの、あなたは?」
ことり(幼)「え? ことりだよ?」
-
139 : 2014/09/14(日) 20:30:48.64 -
海未「そ、それはそうなのですが」
海未(こういう夢ってありますよね)
ことり(幼)「あっ! いけないっ、ことりもどらなきゃっ」
海未「……どこへ戻るのですか?」
ことり(幼)「ことりのおへやっ!」トコトコ
ガチャッ!
ことり(幼)「……あれ?」
ガチャッガチャッ!
ことり(幼)「あれあれあれっ?」アセアセ
ガチャッガチャッガチャッガチャッガチャッ!
ことり(幼)「……」
海未「ど、どうしました?」
ことり(幼)「あかない」
海未「え?」
ことり(幼)「ドアがあかないの!」
ことり(幼)「あわわっ! どうしよう、どうしたら!」
海未「お、落ち着いてくださいっ!」
-
140 : 2014/09/14(日) 20:32:04.68 -
ことり(幼)「──あっ! うみちゃん!? もしかしてことりとなにかあった!? ケンカとかした!?」
海未「南さんと、ですか?」
海未「うーん、多少気まずいですがケンカとかでは……」
ことり(幼)「きまずいってなに?」
ことり(幼)「ん?」
ことり(幼)「ていうかそのよびかた……」
ことり(幼)「あ」
ことり(幼)「ああああぁっ!」
海未「ど、どうかしました?」アセアセ
ことり(幼)「たなにかぎがかかってる……」
ことり(幼)「海未ちゃん、もしかしてきおくが……?」
海未「え、ええ。なくなってしまいまして」
ことり(幼)「うっわーっ!」
海未(なんだか妙な夢ですねぇ)
-
141 : 2014/09/14(日) 20:33:01.16 -
ことり(幼)「こまったなぁ」
海未「そうなんですか……」
コンコンッ!
海未(おや? 誰かが窓を叩く音が……)
ことり(幼)「ほのかちゃん!?」
穂乃果(幼)「ことりちゃん、あけてぇー」
ことり(幼)「うんっ!」トコトコ
ガチャッ!
穂乃果(幼)「びっくりしたよぉ」
穂乃果(幼)「うみちゃんが自分のおへやにいけなくなったっていうから……」
海未(穂乃果さんも幼いのですね)
ことり(幼)「うみちゃんないてない!? だいじょーぶ?」
穂乃果(幼)「うん、だいじょーぶ。あれ!? おおきいうみちゃん!?」
海未「はい、海未は私ですが」
ことり(幼)「うみちゃん、きおくなくなっちゃったのぉ」シュン
穂乃果(幼)「えぇ!? そうなんだ」
穂乃果(幼)「それでことりちゃんもうみちゃんもじぶんのおへやにかえれないんだね」
海未「そうなのですか?」
-
142 : 2014/09/14(日) 20:34:13.53 -
ことり(幼)「そうなの」穂乃果(幼)「ことりちゃん、うみちゃんはまかせて」
穂乃果(幼)「しばらくのあいだはほのかがサポートするよっ!」
ことり(幼)「ほのかちゃんありがとう」
ことり(幼)「うみちゃんをおねがいね」
穂乃果(幼)「うん! いってきます!」トコトコ
穂乃果(幼)「んしょ、んしょ」
穂乃果(幼)「ことりちゃん、おおきいうみちゃんばいばいーい」ダッ
ことり(幼)「ほのかちゃん……」
海未「いってしまいましたね」
ことり(幼)「はぁ、のこってるごほん、すくないなぁ」
海未「大変そうですね」
ことり(幼)「たいへんなのはうみちゃんだよ?」
海未「私が?」
ことり(幼)「きおく、もどんないよ?」
-
143 : 2014/09/14(日) 20:40:14.65 -
海未「……なんですって?」
ことり(幼)「だから、きおくもどらなくなっちゃうよ?」
海未「へぇ、記憶が」
海未(本当におかしな夢ですね……)
ことり(幼)「ゆめだけどゆめじゃないんだよ」
海未「え?」
ことり(幼)「はい、このごほんよんでみて」
海未「これは……」
『わたしほのか、こーさかほのか! いっしょにおーえんしよう?』
『うみちゃんっ、ありがとうっ』
『……ふたりのおかげですよ』
海未(……先ほどの夢?)
海未「あの、これって……」
ことり(幼)「うみちゃんのきおくだよぉ」
海未「私の記憶が本に書いてあるんですね」
ことり(幼)「うんとね、そのごほんがきおくなんだよ」
海未「……はい?」キョトン
ことり(幼)「このごほんが、うみちゃんのきおくなの」
海未「そう、なんですか」
ことり(幼)「でね、このたな」
海未「はい」
-
144 : 2014/09/14(日) 20:41:48.04 -
海未「はい」ことり(幼)「ここにうみちゃんのきおくがはいっています」
海未「たくさんの本がはいっていますね……」
ことり(幼)「このたなのかぎはうみちゃんがもっています」
海未「わたしですか? そんなのもっていましたかねぇ……」
ことり(幼)「こっちのせかいのうみちゃんがもっています」
海未「こっちの世界?」
ことり(幼)「ここはうみちゃんのこころのなかのせかいなんだよ!」
海未「私の心の中……」
海未「なるほど」
海未「つまりこの世界にはあなたのように幼い私がいる、ということですね」
-
145 : 2014/09/14(日) 20:42:37.63 -
ことり(幼)「そう!」
海未「なるほど! この棚の鍵を開けない限り記憶が戻らないのですね!」
ことり(幼)「そう! よかったぁ、わかってくれて」
海未「ふふっ♪ 説明が上手ですね」ニコッ
海未「えらい、えらい」ナデナデ
ことり(幼)「ふにゃぁーん///」
ことり(幼)「……ゴロゴロ///」
海未(あぁ、可愛い///)
海未(多少引っかかるところはありますが最高の夢ですね///)
海未(……おや?)
海未「それ、首からさげているの……鍵、ですか?」
ことり(幼)「へっ? あっ!」キラッ!
海未「その鍵は……」
ことり(幼)「こここここここっ! これはちがうのぉ!」
海未「そうなのですか?」
ことり(幼)「そう! ちがうったらちがうのぉ!」
海未「わ、わかりました」
海未(……あやしい)
海未「それで、私はどうしたら……って体が?」
海未(光ってる?)
ことり(幼)「……じかんだね」
海未「目が覚めるということですか?」
ことり(幼)「……うみちゃん、ことりをしんじてね」
海未「え?」
ことり(幼)「そして、じぶんをしんじて」
海未「どういうこと、ですか?」
ことり(幼)「……またねっ」ニコッ
海未「あ、待って! 南さ──」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
-
146 : 2014/09/14(日) 20:43:30.76 -
─海未の部屋─海未「……待って、南さんっ!」ガバッ!
海未「……夢、ですか」
海未(ただの夢、ですよね)
ピピピピピッ!
ピピピピピッ!
カチッ。
海未(せっかくの休日です)
海未(ゆっくりしましょうか)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
147 : 2014/09/14(日) 20:45:46.37 -
─海未の部屋─
海未(朝ごはん、美味しかったです)
海未(和食は最高ですねっ♪)
海未(『園田海未』は和食が好き、なのですね)
『きおくもどらなくなっちゃうよ?』
海未(……おかしな夢、でしたね)
海未(なにか行動を起こせば記憶が戻るのでしょうか?)
海未(記憶が戻ったら)
海未(……私はどうなるのでしょう)
海未「はぁ……考えていても仕方ありませんね」
海未(それに、気になることもあります)
海未(一番新しい日記帳は……)
海未(これ、ですね)
-
148 : 2014/09/14(日) 20:46:32.16 -
ペラッ。ペラッ。
海未(9月12日に関することは……)
海未(──ありました)
『○月??日 晴れ』
ついに近付いてきました。
9月12日。
ことりの誕生日です。
出会ってから欠かさずプレゼントをわたしてきました。
プレゼントを受け取ったことりは毎年変わらずに、
『ありがとう海未ちゃん』
と微笑むだけです。
……ことりは本当に喜んでくれているのでしょうか。
どんなプレゼントがよいのか毎年聞いていますが、
『海未ちゃんのくれる物ならなんでもいいよ?』
それしか言ってくれません。
だから今年はたくさん考えます。
『海未ちゃんありがとう。とってみ嬉しいよ』
ことりがそう言ってくれるようなプレゼントをわたします。
これでは、いつもと変わらないですかね?
なんだか少し不安になってしまいました。
……いや、頑張れ私。
大丈夫です。
穂乃果も協力してくれます。
後で相談しなくちゃ、ですね。
幼馴染2人で考えればきっと。
きっと、ことりのことをこれまでにないくらい喜ばせることができるはずです。
私とことりの親友の穂乃果。
どんな時でも頼りにしていますし、穂乃果と出会ったことに感謝しています。
ふふっ。
本人には、絶対にそんなこと言いませんけど。
──パタンッ。
-
149 : 2014/09/14(日) 21:00:07.02 -
海未(……そう、だったのですね)
『いま、期間限定ミナリンキャンペーンをやってるんだぁ』
『9月12日までにスペシャルパフェをご購入毎に一回引けるんだよぉ』
海未(南さんの誕生日だから、だったのですね)
海未「…………穂乃果さん、ご自宅にいますかね」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
150 : 2014/09/14(日) 21:00:42.59 -
─穂むら─
海未「すみません、穂乃果さんは……」
ほのママ「あら、海未ちゃん」
ほのママ「穂乃果から聞いたわ。体調は大丈夫なの?」
海未「はい、大丈夫です……お気遣いありがとうございます」
「あれー? 海未ちゃん?」
穂乃果「いらっしゃい。お饅頭買いにきたの?」
海未「ごきげんよう」
海未「少し、相談がありまして……」
穂乃果「相談? 海未ちゃんも?」
海未「──私も?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
-
151 : 2014/09/14(日) 21:01:15.29 -
─穂乃果の部屋─
穂乃果「はい、お茶どうぞっ」ニコッ
ことり「あ、ありがとう……」
海未「……ございます」
海未(まさか南さんもきていたなんて)
ことり「……ごくごくっ」
海未「……もぐもぐっ」
穂乃果(気まずい)
海未(うぅ、かなり気まずいですが、ここは──)
海未「──やっぱりほのまんはすごく美味しいですね」
ことり「うん」
穂乃果「えー! あんこ飽きたよぉ」
海未「なにを言うのですか、穂乃果さん家のお菓子はみんなが笑顔になるのでしょう?」
ことり「え?」
穂乃果「う、うん。そうだけど」
海未「──少しだけ思い出したのです」
-
152 : 2014/09/14(日) 21:01:55.50 -
海未「私たちが出会ったときのことを」海未「穂乃果さんがくれたお菓子が……私たちを繋いでくれたことを」
ことり「……っ!」
穂乃果「海未ちゃん……っ!」
穂乃果(やばい……っ! 穂乃果思い出せない!)
ことり(そっか、海未ちゃんも)
ことり(けど、いまは……)
ことり「あぁぁっ!」
海未「南さん?」
穂乃果「ことりちゃん?」
ことり「2人ともごめんね」
ことり「ことり、そろそろバイトに行かなきゃだったよぉ」
海未「そう、なんですか?」
穂乃果「そっか! キャンペーン中だもんね!」
ことり「うんっ♪」ニコッ
海未「──気を付けて下さいね」
-
153 : 2014/09/14(日) 21:02:48.25 -
ことり「うんっ♪ ありがとうっ♪」穂乃果「じゃあ、まったねーっ!」
ことり「ばいばいっ♪」
スッ!
パタンッ。
穂乃果(ことりちゃん……ちょっと不自然じゃない!?)
海未「……少し、心配ですね」
穂乃果「んー?」
海未「この間、南さんのバイト先に行きまして…………ということがあったのですが」
穂乃果「へー、良かったね! 一等賞」
海未「はい、宝物です」ニコッ
穂乃果「うふふっ♪」ニコニコ
海未「そ、そこではなくてですね///」
海未「写真を撮られている時に感じたんです」
海未「こう、他のお客様とは異なる視線を」
穂乃果「異なる視線?」
海未「私と南さん、どちらにかはわかりませんが」
海未「敵意のようなモノを感じました」
-
154 : 2014/09/14(日) 21:03:44.09 -
海未「それが少し気になります」
穂乃果「うーん」
穂乃果「海未ちゃん、それってもしかしてストライカーじゃないかな?」
海未「ストライカー……ですか?」
穂乃果「うん。穂乃果の勘違いだといいんだけど……」
海未(ストライカー、って……?)
海未(ああ、なるほど)
海未「穂乃果さん、それを言うならストーカーではないですか?」
穂乃果「え?」キョトン
穂乃果「……それだよ! それだよ海未ちゃん!」
海未「ふむ、やはり心配ですね」
穂乃果「ミナリンスキーといえば秋葉原では伝説のメイドだしね!」
穂乃果「ストーカーが出てきてもおかしくないよっ!」
海未「そ、そんなに凄いのですか?」
穂乃果「そういうことなら帰りは迎えに行こうよ!」
穂乃果「幼馴染の私たちがことりちゃんを護らなきゃっ!」
海未「……っ!」
海未「そう、ですね」
海未「なにかあってからでは遅いですしね」
-
155 : 2014/09/14(日) 21:04:46.57 -
穂乃果「うんっ!」
穂乃果「よぉーし! まずは腹ごしらえだ!」
穂乃果「穂乃果、お母さんに海未ちゃんの分のお昼もお願いしてくるね!」
海未「え!? それは自宅で……」
穂乃果「えーっ! 久しぶりに穂乃果の家で食べなよ!」
穂乃果「それに、海未ちゃんの相談ごと、まだ聞いてないもんっ♪」ニコッ
海未「あっ……」パァーッ!
穂乃果「ちょっと、下行ってくるねっ!」
スッ!
パタンッ。
海未「……なんだか、台風のようですね」クスクスッ
海未(やっぱり穂乃果さんは頼りになります)
海未(きっとあのパワーで、幼い頃から私たちを引っ張ってくれているのですね)
『それってもしかしてストライカーじゃないかな?』
海未(……たしかにその可能性もありますね)
海未(杞憂であればよいのですが)
海未(──もしも)
海未(もしもそのような不届き者がいるのであれば)
海未(許しておくことは出来ませんね)
海未(南さんのことは)
海未「──私が護ります」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
海未「9月12日……ですか」【中編】
おしまい
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