-
1 : 2014/08/20(水) 07:28:53.03 -
提督「AL/MI作戦が発令されてからもう何日も経ったな……AL方面とMI方面にほとんど艦娘達が出払ったからか鎮守府が酷く静かだ」
提督「さらに二方面に多数の艦娘達が動いたことを切欠に、深海棲艦が大本営を直接叩く動きが有るのではないかと予測されたため、残った艦娘達に緊急で鎮守府近海に出撃してもらった」
提督「ただでさえ二方面作戦で静かだった鎮守府が余計静かに……初期のスカスカな鎮守府を思い出すぞ」
※亀の歩みのような更新速度
ついでに書き溜めなんて食えないものはほとんどないよ!
※オリジナル設定だったり自己解釈が多分に含まれている模様
※スレ立て自体が初の初心者なんでお手柔らかに頼みますSSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1408487323
ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1408487323/
-
3 : 2014/08/20(水) 07:45:12.85 -
提督「そういえば、あの時まではこういう場合いつも釣りをしていたな。それで獲った魚を調理して…………」
提督「……ミッドウェー、か……久しぶりに釣りをするか。おーい、妖精達ー」
——————————しばらくして——————————
チャポン…
提督「ふー……釣具の場所を確認しただけであそこまで驚かれるとは。いや、理由は重々承知しているが」
提督「しかし、まさか全員出払っているとは思わなかった。鳳翔さんも居ないとは……緊急だったからと榛名に任せたのが不味かったか」
提督「まあ、あの時と違ってこの辺りにはもう深海棲艦が出てくることはないから問題はないか。鳳翔さんが居ないのが残念だったが」
-
4 : 2014/08/20(水) 07:49:03.75 -
クイクイッ
提督「お!かかったな」
ググググ……
提督「ぐ…………中々に手ごわいな。大物か?」
グググ……
提督「しかし!しばらく釣りをしていなかった程度で釣れぬ道理はない!トゥオォォォォオ↑!」
グググ……ザバァ!
提督「さて、復帰初めての魚は食えるか…………」
空母棲姫「…………」ポタポタ
提督「…………」
空母棲姫「…………」
提督「…………」
空母棲姫「…………おい」
チョキン
提督「リリース」
ボチャン!!
-
5 : 2014/08/20(水) 07:56:55.44 -
提督「はぁ……復帰早々で魚を逃してしまうとはな。私も腕が鈍ったか」
提督「まあいい。続きをするとしよう」
ヒュッ!…チャポン…
提督「次は逃がさないようにしないとな」
空母棲姫「……」ザバァ…
提督「…………」
空母棲姫「……おい」
提督「……なんだ?今忙しいんだ。殺すのはせめて魚が釣れてからにしてくれ」
空母棲姫「この辺りニ鎮守府ハあるのか?」
提督「それを答えたところで何の意味がある。お前のような輩に教える義理はない」
空母棲姫「私ハ、探している。そこノ提督ヲ殺すつもりハ無い。教えてくれないか?」
提督「断る……っと、かかったな」
空母棲姫「…………そうか」
-
6 : 2014/08/20(水) 08:01:28.93 -
提督「ふむ、中々」
空母棲姫「……ふぅん」
提督「さて、釣れたことだし好きにしろ」
空母棲姫「そんなことハどうでもいい。鎮守府ハどこだ?」
提督「さあ。どこにあるのやら」
空母棲姫「教えてくれ。私ハこの辺りニあったはずノ鎮守府に用ガある」
提督「知らないな。さっさと殺せばいい」
空母棲姫「おあいにく様、人ヲ[ピーーー]趣味ハ持ち合わせていないのでな。第一、私にはそれほどの力等ない」
提督「それはまた酔狂なことだな。お前は見たところ姫級の化け物だろうが。信じてくれる人間がどこにいる?」
空母棲姫「化け物…………あまり私ハ実感していないガ、正常ナ人間から見たらそうなっているのか……」
提督(深海棲艦共は自覚していないのか?……いや、今までの傾向を顧みるとある程度は自覚しているはず。フェイクだろうな)
空母棲姫「まあいい。信じてくれる人なら当てガある」
提督「その鎮守府の提督とか言うなよ?」
空母棲姫「そうだが?」
提督「あんな場所にいる提督が深海棲艦と知り合いなはず無いだろ……」
空母棲姫「そのはず……けれど、そこニ行かなければならない。私ニとって大切な何かヲ置いてきてしまった、そんな気ガするから」
提督「大切な何か……ねぇ。まあ、どうであれ教えられないのは変わらない」
空母棲姫「…………時間ハあまりないんだ。頼む」
提督「無理だ」
空母棲姫「何故?」
提督「その鎮守府の提督は私だからだ。お前のような奴は一度も見たことがないんだよ。あぁ、先に言っておくが前任の提督も居ない。良かったな、一人提督を殺せるぞ。それ以上の被害はないだろうが」
空母棲姫「…………提督……お前が?」
提督「信じられないと?」
空母棲姫「いや。信じるしかないのだろうガ、私ノ記憶とは随分印象ガ違うト思ってな」
提督「まだ白を切るか」
空母棲姫「お前、目ガ死んでいるとか言われなかったか」
提督「ないな」
空母棲姫「…………もういい。今日ハ帰らせてもらう。お前ハ明日モ暇ならここヘ釣りニ来い」
提督「誰がそんな命令を受けると言うんだ」
空母棲姫「好きニしろト言ったのはお前だろ。私ノ好きなようニ指示している、それだけノこと」
提督「もし、断ったらどうする?」
-
7 : 2014/08/20(水) 08:05:12.87 -
空母棲姫「………………エ?」
提督「…………おい」
空母棲姫「…………アッ、ガ!ガンバレバ深海ニヒキズリコメルヨ!…………タブン」
提督「もういい!分かったから帰れ!明日来ればいいんだろ?」
空母棲姫「ソ、それでこそ提督ダ。マた来い」
ボチャン!!
提督「はぁ……何なんだか。とりあえず、助かったというべきか。いや、ある意味泥沼に嵌まったのかもしれん。なんであんな奴の言うことを聞く必要があるんだ」
-
9 : 2014/08/20(水) 08:20:45.35 -
最初から酉付け忘れたりしたけど仕方ないよね、うん
このくらいの速度で毎日いければ良いんだけど正直きつい気がするそして、改行制限が何気に猛威を振ってくれるな
2、3レスくらいで終わると思ってたのに案外食ってしまった
しかも妙なところで区切る必要が出るとは予想外だよあ、書き溜め終了してます
また夜中に投げれるようにはしたい……E-6行ってるかもしれないけど -
16 : 2014/08/21(木) 12:53:38.52 -
——————————執務室——————————
提督「AL方面の進歩はどうなっているんだ?電」
電『今のところ順調なのです。でも、本当にこんなに少ない人数で大丈夫なのでしょうか……』
提督「なに、ALにいた深海棲艦がMI方面に集結している以上、相手も同じようなもの……それに、他の鎮守府からも艦娘が来る予定だ。協力して敵を殲滅してくれ」
電『……不安はありますけど、了解なのです』
熊野『お、遅くなりましたわ……』
電『はにゃー!?』
提督「ん?雪風はどうした」
電『び、びっくりしたのです』
熊野『仮設基地の増設中なのですけれど、今そちらの現場監督をしていますわ。夜目が利くのは彼女ですし』
提督「予定とは随分違うな。何かあったのか」
熊野『ええ。妙ななりをした深海棲艦に妨害されてしまって。雪風と夕立が追い返したのだけれど、仮設基地を端から壊していたようでして食料や資材が……はぁ』
電『あ、鈴谷。熊野が今いるのです。変わりますか?……え、別にいいのですか』
提督「となると、まず食糧問題が出るな……他の鎮守府の奴らも事態の把握はしているだろうが、すぐに解決できるわけではないだろう」
熊野『なんとか制圧しながらでも数日は持ちますわ。それまでにどうにかして補給物資をこちらに寄越すようにしてくださいな』
提督「ああ、分かった。遠征に出ていた奴らに頼んで出来る限りの物資をそっちに輸送する」
提督「……では、今日は切り上げる。お疲れ様」
電『では、通信『熊野はプニキ派なのですか!ありえないのです!時代はロビカスなのです!』え?』
熊野『蹴りますわよ、鈴谷』
提督「……鈴谷は何故こうも残念なんだ」
熊野『全くですわ……プニキ以外あり得ないのにロビカスを選ぶ辺りが特に』
提督「私が言いたいのはそういうことではないのだが」
電『えっと…………通信終了。司令官、熊野、お疲れ様、なのです』
熊野『んんっ!……ではまた。今度はもう少し良い報せが出来るように精進致しますわ。通信終了』
ブツン
-
17 : 2014/08/21(木) 12:56:35.93 -
提督「はぁ……妙ななりをした深海棲艦か。鈴谷のせいで色々台無しになったが、これは辛い戦いになるかもしれないな」提督「後は榛名の連絡待ちだが……確か榛名が趣味で作ったダミーの基地にも通信機器はあるはず。いい加減通信が入ってもおかしくないが」
彩雲妖精「よっす、提督。榛名から手紙だ」
提督「窓台に着艦するのはやめてくれないか?というより、何故着艦出来る」
彩雲妖精「腕を磨いているんでな。へへっ、昔とは機体も腕も違うんだよ」
提督「……まあいい。何故手紙なんだ」
彩雲妖精「それは手紙を見た方がはえーぞ。説明したくねぇし」
提督「面倒なことになったのは予想できるな」
提督へ
不味いことになりました。私たちが使う予定だったアインスちゃん(ダミーの基地)が見事に破壊されていました。恐らく、付近に敵艦隊が潜んでいるのでしょう。
というより、一部は見つけました。殲滅しましたが、まだ敵勢力の全容は分かりません。通信機器は持ってきていないので、こういう形でしかやりとりできないと思います。
指示をお願いします。
PS.
ツヴァイちゃんが無事だったのでそちらで活動を行います
クレーンが無いので辛いです。明石で我慢してましたが、アインスちゃんのクレーンが恋しい。
-
18 : 2014/08/21(木) 12:59:55.58 -
提督「説明したくない理由は分かった。榛名が発狂してるんだな」
彩雲妖精「クレーンが吹っ飛んだ時のあいつの顔はやばかったぜ。正直俺は笑いそうだった」
提督「そうなると、余程のことがない限り無茶をするだろう。とりあえず、全員あちらに居るのは都合が悪い。榛名に付いていける艦娘以外はこちらに戻るようにしなければ」
彩雲妖精「敵の数が未知数なのは考慮しないのか?」
提督「他の鎮守府から補給物資の支援ついでに精鋭を送るよう手配した。数日であちらに着くはずだ。その中で練度の低い娘が居てもな……」
彩雲妖精「へぇへぇ。まあ、分かったぜ。んじゃ、残る奴らを紙にでも書いてくれ」
提督「ああ、分かっている」
彩雲妖精「んじゃ、行くとすっか。また来る」
提督「ああ、最後に榛名に言付を頼まれてくれないか?」
彩雲妖精「んあ?愛の告白は受付ねぇぞ。そういうのは直接言ってくれ」
提督「殴るぞ。また変なこと戦っている最中に叫ばないよう伝えてほしいだけだ」
彩雲妖精「いいじゃねえかよ。あいつの叫び、俺は好きだぜ?」
提督「お前は面白おかしくて好きなだけだろう」
彩雲妖精「ばれたか」
ブーン!!……
提督「…………もう、発艦に関しては突っ込まないでおこう。明日に備えて寝るとするか」
-
20 : 2014/08/22(金) 00:33:24.78 -
—————次の日—————
空母棲姫「………遅い」
空母棲姫「空ノ雲ヲ追うのももう何度目なのか考えたくない」
空母棲姫「……髪ノ毛邪魔」
空母棲姫「船ノ動く音ガ聞こえる……来たか」
提督「何をしているんだ、お前は。どざえもんと間違われるぞ」
空母棲姫「………遅かったな」
提督「何故立たない?お前達なら海の上を立つくらい出来るだろう」
空母棲姫「昨日言っただろう。私には力がないト。海ノ上ハ立てない」
提督「……そうかい。船に上がれるほどの力はあっても、海の上には立てないと」
空母棲姫「純粋な力とは別口だから。それニ、あれハ火事場ノ馬鹿力みたいなものだと思った方ガ良い。何ガ言いたいかト言うト……」
提督「…………」
空母棲姫「フ、船ニ上がるのヲ、手伝って…………ほしい」
提督「…………」
空母棲姫「……憐れみニ満ちた顔デこちらヲ見るのはやめてくれ」
-
21 : 2014/08/22(金) 00:39:36.29 -
提督「それで、お前はどうするんだ?」
ヒュッ!チャポン…
空母棲姫「鎮守府ノ場所ヲ教えてくれ」
提督「それは無理だと昨日言ったはずだろう」
空母棲姫「知っている。だから、ここデお前ノ様子ヲ見ている」
提督「…………それで意味があるのか?」
空母棲姫「……分からない。けれど、お前ガ私ノ求める提督だとしたらそれだけでも意味ガあるト思っている」
提督「随分とあやふやなんだな」
空母棲姫「文句ならあやふやな私ノ記憶ニ言え。私ハ悪くない」
提督「結局自分のせいだろう、それは」
グググ…ザバァ!!
提督「ふむ。昨日とは違って一発目はちゃんと釣れたな」
空母棲姫「昨日ハ私ヲ釣っただろう」
提督「いや、あれは釣り上がる前に切れただろう。ああいうのはノーカンだ」
ヒュッ!
空母棲姫「糸ヲ切ってなかったか?意図的ニ」
提督「意図的のいとを糸に掛けたつもりか?面白くないぞ?」
空母棲姫「その発想ニ行き着くのは良くない」
提督「行き着いて何が悪い」
-
22 : 2014/08/22(金) 00:46:53.74 -
空母棲姫「認めろ。私ヲ釣ったト。現実ハ変わらない」
提督「あーはいはい。分かった。釣ったな。糸を切ったけどお前を釣ってしまったな」
空母棲姫「ふっ……」ドヤァ…
クー……
空母棲姫「」
提督「…………」
空母棲姫「……………………ク、クー」
提督「…………なあ、腹減っているのか。まさか」
空母棲姫「ソ、ソンナコトハナイゾ。ズット待ッテイテ実ハオ腹ガ空イテ仕方ナイトカ、ソンナコトアルハズモナイ」
提督「おい、サラッと飯を要求していないか?それは」
空母棲姫「ソノ発想ハ悪クナイ。ダガ、私ハ別ニ要求シテハイナイ」
提督「ふむ。そうか」
空母棲姫「フッ……マタ勝ッテシマッタ」
提督「……ああ、そういえば私も飯はまだだった。準備するか」
空母棲姫「…………エ?」
提督「お前は……ああ、さっき腹はなったけど別に腹は空いていないんだったな」
空母棲姫「エ?え?」
提督「残念だったな。今回釣った魚は美味いんだが……いやぁ、本当に残念だ」
空母棲姫「……じ、実ハお腹ガ少し空いてきた気ガするなー。アハハハハ」
提督「そうかそうか。でも、空いたところで別に要求してはいないんだよな」
空母棲姫「へ?いやそんなことは」
提督「現実は変わらないんだよな。別に飯など欲しくないという主張、認めざるを得ない」
空母棲姫「…………さっきノ意趣返しカ?」
提督「さて、なんのことやら」
空母棲姫「……グヌヌヌ」
-
24 : 2014/08/22(金) 00:54:07.17 -
空母棲姫「…………」
提督「おいおい、そんなに泣くほどのことではないだろう……」
空母棲姫「…………泣いてなどいない」
提督「……そうかい。それで、結局食べるのか?」
空母棲姫「…………食べる」
提督「最初から素直にそう言えば良かったものを。ほれ」
空母棲姫「ん……」
提督「はー……しかし、深海棲艦と飯を食うことになるとはな。世にも奇妙な出来事だ」
空母棲姫「…………」
提督「ん?どうしたんだ」
空母棲姫「……これ、鱗ハ入っているのか?」
提督「いや、鱗は取ったはずだ。入っていたのか?」
空母棲姫「…………そうか。すまない、別ニ鱗ハ入っていなかった」
提督「分かった。もしも入っていたら、すまないが除けて食べてくれ」
『んー……美味しいです!』
『けれど、底には鱗がすごい量ですよ』
『ああ、すまない。あまりこういうことは得意ではなくてな、精進するよ』
『あの……無理は禁物ですよ?司令官さん』
提督(…………)
-
25 : 2014/08/22(金) 00:56:15.32 -
空母棲姫「おい」提督「ん?ああ、どうした?」
空母棲姫「おかわりハあるか?」
提督「もう食べたのか」
空母棲姫「何か問題でも?」
提督「いや、別にない。お前が太っても責任は取らないが」
空母棲姫「太る…………胸ガ太らないことヲ祈る」
提督「そこは太る扱いは受けないだろう……それに、祈っているということは」
空母棲姫「よし、おかわりヲ頂く」
提督「……そうなるよな」
提督「結局、全部食ったのか」
空母棲姫「美味かった。また食べたいものダ」
提督「それはどうも。まあ、気が向いたらだな」
空母棲姫「…………あ」
提督「?」
空母棲姫「すまない。急いで帰る必要ガ出てきた」
提督「ああ、分かった」
ボチャン!!
提督「…………今回、何も言われなかったな。明日はここにくるのは無理だろうし、ちょうどよかった」
-
26 : 2014/08/22(金) 01:07:09.08 -
一時間で1レス分しか書けない奴がいるらしい
(´;ω;`)ウッ…
安価で大量進行する人たちはどうしてあんな書くのが早いんだ、と感心するとともに泣きたくなってきたなんとなく空母棲姫さん当初より精神年齢が幼くなってしまった感があります
進行には問題ないからこのまま行きますけど……榛名がクレーンキチになってるのはなんでなんだろ
-
27 : 2014/08/22(金) 01:10:10.20 -
しまった。今日はもう更新ないです
皆さんおやすみなさい
-
34 : 2014/08/28(木) 03:51:49.99 -
私は、誰かと一緒に居る
私は、誰かと話している
私は、誰かにちょっといたずらをする
誰かが笑って、私も笑って
そうして、どこかに帰るんだ
…………それは、どこ?
何かが見える
……鎮守府
私が探している、鎮守府
突然世界が歪んで、近くに居た誰か達が消えて
何かは融けて
私は一人、取り残された
ワタシハヒトリ、セカイカラハガレオチタ
ああ、夢なのか
けれど、あそこにきっとあるのだろう
きっと……
-
35 : 2014/08/28(木) 03:53:15.94 -
「うー……もうくたくたー。ドラム缶持って後何回往復すればいいのよー…………」
「流石にローテーション無しで輸送し続けるのは酷だね……」
「…………引きこもりたい」
「おいおい、まだミッドウェーに居る奴らが満足して戦う分には程遠いんだぜ!気合入れてけよ!」
「んー……天龍ちゃんには悪いけど私もいい加減ゴロゴロしたいかなぁー」
ワイワイガヤガヤ……
提督「すまないな、休みなしで鼠輸送任務を請け負ってもらって。だが、お陰で輸送船が到着した。後はこれを雪風達のところまで輸送すれば、MI方面の問題はどうにかなるだろう」
「これが終われば休んでいい……?」
提督「ああ、完全に休みをとれる保証はないが、出来る限り要望が通るようにする」
ザワザワ…………
提督「では、輸送船の積み込み作業が完了するまで自由にしていてくれ」
-
36 : 2014/08/28(木) 03:58:22.58 -
空母棲姫「…………」チャプ…
空母棲姫「…………まさか、なんとなくデ鎮守府ヲ見つけることガ出来るとは思わなかった。だが見つけた以上、あいつニ何日モ私ヲ放置したことヲ後悔させてやる」
空母棲姫「しかし、建物ノ近くには人ガ多いな。どうやってあいつヲ見つけようか」
タッタッタ……ズザー
アイター!!
空母棲姫「……ん?」
妖精「うぅ……痛いよぉ」
空母棲姫「…………おい、大丈夫か?」
妖精「あ、はい。だいじょぶです。おかまいな……」
空母棲姫「……あっ」
妖精「…………はれ?」
空母棲姫「アー、えーと……」
妖精「もしかして……新しい艦娘さんですか!?」
空母棲姫「!?……ア、ああ、そうダ。せっかくだからト少シこの辺りヲ探索していてナ、うん」
妖精「そうだったんですね!……あ。さっきはお見苦しい所を見せてごめんなさい……」
空母棲姫「いや、お前ノ方ハ大丈夫なのか?身体よりもずっと大きい物ヲ運んでいるようだガ」
妖精「だいじょぶです!それに、妖精は力持ちなんですよ!このくらい……」チラチラッ
空母棲姫「…………私ガ持っていこうか」
妖精「そんな!悪いですよ」
空母棲姫「社交辞令ハ良い。ああ、マントとかないか?顔ハ隠したい」
妖精「えへへへ……えっと、確かこっちの方に……あ、ちょっと待っててください!」
空母棲姫「……よし、これデ顔ハほとんど見えないはず。後ハ目立たないようニするだけ」
妖精「気になったんですけど、どうして顔を隠すんですか?」
空母棲姫「…………」
妖精「……えっと?」
空母棲姫「……キ、気ニしないデ。アまり話したくなイ」
妖精「あ、はい。なんかごめんなさい」
空母棲姫「ハ、早く行くぞ」
-
37 : 2014/08/28(木) 04:03:30.96 ID:nnILedvV0 - 書き貯めてある感じっすか?
-
38 : 2014/08/28(木) 04:15:31.97 -
妖精「……それでですね、私はここの入渠ドックの担当として新しく配属されてきたんですよ!」
空母棲姫「大変だったんだな」
妖精「でも、これでようやく妖精らしいお勤めが出来るから良かったです」
空母棲姫「ふふ、そうだな。これからモ頑張れ」
妖精「…………ここ何日かはずっと他の妖精たちの手伝いばかりですけど」
空母棲姫「……だからこんなものヲ運んでいたのか」
妖精「重かったら変わりますよ?」
空母棲姫「いや、平気だ。というより、変わる気ハないだろ」
妖精「えへへ……」
出撃クマー!
空母棲姫「…………」
妖精「あ、そろそろ下ろしてください。他の人……それも艦娘さんにずっと手伝ってもらったなんて知られたら私怒られそうですし。あ、でもでも助かりましたよ!ほんとに!」
空母棲姫「…………」
妖精「あ、あの……このことは秘密にしてもらえます?」
空母棲姫「…………」
妖精「あの……」
空母棲姫「! ああ、分かった。私達だけノ秘密だ」
妖精「ありがとうございます!よいしょっと……では!」
空母棲姫「…………しょっぱい」
空母棲姫「……帰ろう。なんだか、今ハあいつノ顔ヲ見たくない」
-
39 : 2014/08/28(木) 04:25:48.14 -
>>37
書き溜めあったらもっと早く更新してたと思うし、毎日溜めてたら終わりまで書けてたかもしれない
つまり、そんなもんないですごめんなさい
色々E-6関連で踏ん切り付かなかったのが一番の原因ですので、恨むならE-6にしてください(責任転嫁)
-
41 : 2014/09/07(日) 18:36:43.63 -
提督「そろそろ時間だが、大丈夫か?」
電『はい、こちらは問題ないのです』
熊野『す、少しお待ちになって。今日こそは雪風がくるはず……』
『雪風はまただめっぽい。他の鎮守府の娘達と色々と作戦を練っててそれどころじゃないって』
提督「夕立か。久しぶりだな」
夕立『ふふ、お久しぶり!』
電『夕立、元気にしてましたか?』
夕立『んー……夕立はいつでも元気っぽい!電の方はどう?』
電『こちらもいつも通り、元気にやれているのです!』
夕立『良かったー。あ、熊野は休んでていいよ。疲れてるでしょ?』
熊野『……では、お言葉に甘えて。おやすみなさい、二人とも』
提督「ああ、おやすみ」
電『おやすみなさい』
夕立『それで、今日の報告はもう終わったっぽい?』
提督「いや、まだだが」
夕立『…………熊野待って!やっぱり代わってー!』
電『諦めて夕立が報告すればいいのです。いつもそうやって逃げるのは夕立の悪い癖ですよ』
夕立『うー……』
電『第一、このくらいのことはできるでしょう?ずっと一緒に活動してましたし』
提督「まあ、久しぶりなんだ。こういう時くらいはちゃんと報告してくれ」
夕立『……分かったぽいぽーい』
提督「拗ねるな、子供か」
夕立『駆逐艦ぽーい』
-
42 : 2014/09/07(日) 18:38:01.37 -
提督「ふむ。AL方面は、新型の駆逐艦に苦戦しながらも、ある程度は制海権を得ることができたか。順調に事が進んでいるな」
電『なのです』
提督「それで、MI方面はどうなった?夕立」
夕立『電達みたいにはうまくいってないかなぁ……物資が来るのが遅かったのもあるけど、今まで以上に深海棲艦の連携が取れているのが原因かも。突撃することも出来ないし、全員相手にしていたら間違いなく弾薬が先に尽きちゃうよ』
提督「分かっていたことだが、厄介だな……」
夕立『それの対応策を今回は探しているみたい。でも、ずっといい案が出なくて……仮設基地を使って複数地点から同時制圧するのも、あの姫級さえ邪魔しなければできたと思うんだけど』
提督「ままならないな…………なあ、輸送船の方はどうなっている?」
夕立『んーと……基地に物資を全部移した後、妖精達が縮小処理をして基地に入れてたっぽい』
提督「そうか……うーむ」
電『その輸送船を改造して仮設基地の案みたいに複数地点から同時制圧する、なんて言いませんよね?』
提督「それができればいいが、基地には艦娘用の入渠ドックぐらいしかないのがな……明石がいればよかったが、榛名達の方に居るから無理だろう」
電『明石が居たらこの案を使う気だったのですか……』
夕立『確か、他の鎮守府に所属している人の中に居たよ?明石なら』
提督「よし、もし他に案がなければ改造する案を採用して構わない。そう雪風に伝えておいてくれ」
電『反応早いのです、司令官。もう少し考えてください』
提督「このままだと攻めきれずに作戦が失敗する可能性が十分にあるからな。ならば、できることをしておくだけだ」
電『はぁ…………失敗したらどうするんですか』
提督「そこは夕立の方に聞いてみればいい。夕立、失敗したらどうする?」
夕立『失敗なんて絶対させないよ!』
電『……分かりました。夕立、気を付けてくださいね。後、無茶はダメ、なのです』
夕立『はーい。……もっと頑張らなきゃ!』
-
43 : 2014/09/07(日) 18:40:35.08 -
提督「では、今回はこれで終わるが、何かあったら連絡を頼む。特に、夕立の方は動向を把握しておかなければならないから早めにしてくれるとありがたい」
夕立『あ、提督にちょっとだけプライベートな話があるの!少しだけ時間をちょうだい!』
提督「?……ああ、分かった」
電『電が聞くのは都合が悪い内容かもしれないですし、切りますね。通信終了、司令官、夕立、お疲れ様なのです』
夕立『お疲れ様!』
提督「お疲れ様」
ブツッ
夕立『じゃあ、早速だけどいい?』
提督「ああ、なんだ?」
夕立『オナ』
提督「我慢しろ。というより、私にそういう話題を出されても困る」
夕立『んふ。……と、こんな冗談は置いといて。雪風のことなんだけど』
提督「冗談でもやめてくれ。それで、なにかあったのか?」
夕立『もし、この海域で深海棲艦によって死んだはずの人を視たらどうすればいいか聞かれたの』
提督「……どういうことだ」
夕立『それが分からないから聞いているんでしょ!』
提督「…………ふむ。深海棲艦が艦娘とは切っても切れない関係にあるため、そういうことがあるのかもしれないとは言われている」
夕立『でも、死んじゃった艦娘は深海棲艦にならなかったっぽい』
提督「そうだな。だから私にもどうすればいいか分からない。ちなみに、その死んだ人は誰だったんだ?」
-
44 : 2014/09/07(日) 18:42:27.63 -
夕立『…………教えてくれなかった。けど、多分……提督も知ってる人……っぽい』
提督「……心当たりがないんだが」
夕立『私達だって知っている人で……』
提督「それはありえない。雪風は別のものでも見ているのだろう」
夕立『で、でも!』
提督「すまないが雪風に誰かを教えてもらってからだ。憶測で判断するものではない」
夕立『でも…………うぅ』
提督「…………もし、もしもの話だ。あいつらが深海棲艦として徘徊しているのなら、私は彼女達を討つと思う。私達の平穏が脅かされるのだし、なによりお前たちを彼女達と同じようにはしたくないから」
夕立『……辛いだけだよ?』
提督「ああ、そうかもしれない」
夕立『もし、失敗したら?』
提督「失敗することは考えるなよ。失敗なんて絶対させないんだろ?」
夕立『……辛くてどうしようもなかったら?』
提督「そのときは仲間を頼れ」
夕立『……提督が言えたことじゃないっぽい』
提督「どこがなんだか……」
夕立『ふふ、どこでしょー』
提督「おい、煙に巻くなよ」
夕立『自分で考えるがいいっぽい……もう切るね—』
提督「おい」
ブツン
提督「…………はぁ、夕立め。帰ってきたら頭をくしゃくしゃに撫でてやる」
-
45 : 2014/09/07(日) 18:44:37.06 -
空母棲姫「今日モこない、か」
空母棲姫「……ならばこちらから向かってやろうか」
空母棲姫「……ん?ああ、ようやく来たか」
提督「よう」
空母棲姫「よう、じゃない。随分ト放置してくれたものだな」
提督「私もそう何度もここにこれる訳ではないからな。そのあたりは許せ」
空母棲姫「許せるものか。私ノ貴重ナ時間ガなくなったんだぞ」
提督「いや、こちらにも時間の制約はあるのだが」
空母棲姫「お前ノ都合ハ知らん。最初ニあった時から時間ガないト言ったはずだろう?」
提督「…………はぁ。とりあえず、船に上がるか?」
空母棲姫「そうする。早く手ヲ貸せ」
提督「少しは頼んでいる素振りを見せてくれ、っと」
空母棲姫「私ガ上なのだからな。当然だ」ドヤァ…
提督「それは新しいジョークか?笑えないのだが」
-
46 : 2014/09/07(日) 18:46:21.04 -
空母棲姫「それで、今日ハ釣りヲしないのか」
提督「ああ。お前が来ているかの確認と、少し気分転換がしたかっただけだからな。また居なかったらすぐに帰っていたのだが」
空母棲姫「ん?お前、ここニ来ていたのか?」
提督「深海棲艦が目の前に居るからな。どんなにポンコツでも用心するに越したことはない」
空母棲姫「私ハ毎日ここニ居たガ、お前ハこなかったぞ……」
提督「時間が合わなかっただけだろう。流石にずっとは居ないからな」
空母棲姫「…………ああ、そういうことカ。うん」
提督「何に納得しているのか分からないが、まあいい」
空母棲姫「ところで、ポンコツとは誰ノことなんだ?」
提督「お前以外に誰が居る」
空母棲姫「私ガポンコツ?……面白くないぞ」
提督「ただの事実だからな。面白くはないだろう」
空母棲姫「ム……。どこにポンコツノ要素ガある?」
提督「脅しが脅しと呼べるようなものではなかったところに始まり、妙に締まらないところがな……深海棲艦の特徴がなければ、正直一般人と間違えかねない」
空母棲姫「…………」
提督「こんなところだ。何か言うことはあるか?」
空母棲姫「…………ギャ、ギャップ萌え……そう!これハギャップ萌えトいうものヲ実践しているニ過ぎない!」
提督「いや、無理があるぞそれは。というより、どこでそんな言葉を知ったんだ」
空母棲姫「フ、フフフ。今までノ振る舞いハ、私ノギャップ萌えノ研究ノ為ニ行っていたのだ!なので私ハポンコツではない!絶対!」
提督(一番のポンコツ要素はこの辺りに原因があるんだがな……最初に感じた深海棲艦特有のおぞましさがほとんどないぞ)
-
47 : 2014/09/07(日) 18:48:07.93 -
空母棲姫「——ということデ、私ハお前ノ主人なのだ。分かったか」
提督「悪い、興味がなかったから聞いていなかった。何の話をしていたんだ?昼飯の話か?」
空母棲姫「……私ガご飯以外ノ話ハしないとでも言いたいのか」
提督「そろそろ昼飯時だからな。話題にしてもおかしくないと思っただけだ」
空母棲姫「むぅ……他にも話題ガあるはずだ。鎮守府ノ話とか」
提督「あぁ……一番の目的は場所に関してだったな」
空母棲姫「話ハ」
提督「しない」
空母棲姫「……ここデ終わるから困る」
提督「教えるつもりはないから仕方ないだろう」
空母棲姫「だが!もし私ガ鎮守府ノ場所ヲ知ったとしたら、どうする?」
提督「よし、切るからそこに直れ」
空母棲姫「切れるものなら切って———」
提督「ほう……では遠慮なく」
空母棲姫「冗談ダゾ、ウン。ダカラ早クドコカラトモナク出テキタ刀ヲ仕舞ウンダ」
提督「…………お前、仮にも姫級だろう。反応が深海棲艦とかけ離れていないか?」
空母棲姫「コ、怖イモノハ誰ニデモアル……!」
提督「そうは言うが、こんな玩具ではイ級を殺すのが限界だからな。姫級相手なら傷一つ付ければ御の字だろうし」
空母棲姫「怖イモノハ怖イ!モウイイダロ!」
提督「分かった分かった……だからあまり叫ばないでくれ」
空母棲姫「はぁ……最悪ノ気分」
提督「あんな質の悪い嘘を吐くのが悪い」
空母棲姫「……もし、本当ノことだったらどうするつもり?」
提督「普通に探した上で見つけることが出来たとしたら、鎮守府に居る大体の艦娘が気付くからそれ以前の問題になる。が、どんなケースであれ容赦なく殺すだろうな」
空母棲姫「…………そうか」
提督「……湿っぽくなってしまったな。どうだ、塩むすびだが食べるか?」
空母棲姫「お前モなんだかんだデご飯ノ話ばかりしている気ガする……勿論食べるが」
提督「まあ、当たり障りのない話題ではあるからな。それに、相手に合わせればそんなものだろう」
空母棲姫「そこはかとなく馬鹿ニしていないか?」
提督「してない。ほれ」
空母棲姫「……冷たいな」
提督「クーラーボックスに入れていたからな。当たり前だ」
空母棲姫「ふーん」
-
48 : 2014/09/07(日) 18:51:05.78 -
提督「…………」
空母棲姫「…………なあ」
提督「もう塩むすびはないぞ」
空母棲姫「お前ガ食べている物ヲ見れば分かる。問題ハお前ガ食べている物ダ」
提督「ん?羊羹だが」
空母棲姫「なんでそんな食べ物ガある。食べさせろ」
提督「断る」
空母棲姫「むー…………」
提督「やはり間宮羊羹は格別だな」
空母棲姫「うーー…………」
提督「……しかし間宮アイスも捨てがたい。確かクーラーボックスに二人分あったはずだし、これを食べたらアイスも頂いてしまおうか」
空母棲姫「!……い、良いんだな?アイス貰っても?食べるよ?」
提督「…………まあ、一人分だけなら食っていいぞ」
空母棲姫「やったー!…………ハッ」
提督「…………腹ペコポンコツ姫だな」
空母棲姫「コ、コレハチガクテ!コレハ……コレハ……チガウンダ!」
提督「落ちつけ、別に馬鹿にしてはいない」
空母棲姫「ウゥ……深海デ穴ヲ掘って入りたい」
提督「とりあえず、アイスが溶けるぞ」
空母棲姫「……食べる。あ、甘い」
-
49 : 2014/09/07(日) 18:53:42.58 -
空母棲姫「美味しかった」
提督「もう少し味わって食べるべきだと思うが……余計なお世話か」
空母棲姫「アイスハ良いな、甘くて。後ハ羊羹なる物ヲ食べたいのだが」
提督「早いと思ったら羊羹も食う気だったのか。この腹ペコポンコツ姫は」
空母棲姫「グ……耐えろ、私。羊羹ヲ食べなければアイスト比べられない」
提督「お前の好みを知るための甘味ではないのだが」
空母棲姫「いいから食べさせろ。一口デいいから頼む」
提督「嫌だ」
空母棲姫「頼む!」
提督「いや、本気でこれは渡したくない」
空母棲姫「食わせてくれないとお前ノ分ノアイスヲ食べる!」
提督「ん!?いつの間に……浅ましいなおい!流石にやめろ!」
空母棲姫「フッフッフ……アイスノ命ガ惜しければ羊羹一切れ寄越すんだ」
提督「私がアイスを諦めたらどうするんだ」
空母棲姫「全力デお前ガ羊羹ヲ食べるのヲ阻止する。ついでニ奪う」
提督「はぁ……元々全部私の甘味だったのだが」
空母棲姫「それハ感謝している」
提督「そう思っているのなら羊羹に目線を向けるな。私を見ろ」
空母棲姫「ヤダ」
提督「はー……。とりあえず、クーラーボックスに戻してくれ。今すぐには食えないしな」
空母棲姫「羊羹は?」
提督「やるから早く戻せ」
空母棲姫「フフ、やはり勝ってしまった」
-
50 : 2014/09/07(日) 18:56:13.87 -
空母棲姫「それが羊羹……ふふふ」
提督「私が最後の一切れを食った時、隅でさめざめと泣いていた奴とは思えないな」
空母棲姫「あれハ全面的ニお前ガ悪い。まさかまだあるとは思わないだろ」
提督「アイスに関しては教えたが、羊羹については話していなかっただけだ。それに、こうやってわざわざ切る必要があるしな」
空母棲姫「なんで切っていないんだ?」
提督「あらかじめ切った分で我慢できなくなった時用だからだ。ほれ」
空母棲姫「そうか。あーむっ……」
提督「うお!?指ごと食うな!」
空母棲姫「ん。歯ハ立ててない……」
提督「そういう問題ではないが…………どうせ聞いてはいないな」
空母棲姫「…………」
提督「どうだ?」
空母棲姫「…………ああ、美味しい」
提督「感動で泣くほどか。よくそんなに涙を流せるな」
空母棲姫「今、泣いていたのか。気付かなかった」
提督「おいおい」
空母棲姫「…………うん。アイスより羊羹ノ方ガ好きだな」
提督「そうか。だが、羊羹はもうやらんぞ」
空母棲姫「なあ、お前ハ羊羹トアイス、どちらガ好みなんだ?」
提督「唐突だな……勿論羊羹の方が好きだ。だが、お前にやる甘味はもうないからな」
空母棲姫「……アイスノ方ガ好きだと思ったガ、外れたか。それと、もう一切れくらいサービスしろ」
-
51 : 2014/09/07(日) 18:59:57.29 -
提督「はあ、疲れた。もう少し自重してくれ」
空母棲姫「負けた……」
提督「羊羹一切れで大仰だぞ…………ん?通信か。なんだ——分かった、すぐ戻る」
空母棲姫「次こそハ絶対ニ羊羹ヲ……」
提督「おい、沈んでいるところ悪いがもう戻らないとならない。帰れ」
空母棲姫「私ガ付いて行っても……帰るから心配するな、うん。だから刀ヲ仕舞って」
提督「お前が居なくなるまで見ているからな。だから早く帰れ」
空母棲姫「むぅ……また来い」
提督「余裕があればな」
ボチャン!!
提督「…………よし、用心して撒けるようにはしておく必要があるが、行くとするか」
提督「————ああ、雪風か?——そうか。あの案で行くのか。ああ、分かった。ゆそうせんの—————」
空母棲姫「…………あいつには悪いガ、私モ大切な何かヲ探している。殺されるかもしれないが、鎮守府ニ向かうしか解決する方法ハ無い」
空母棲姫「あいつハどうやら別ノルートヲ使って帰るようだな。なら、先ニ向かってあいつガ付く前ニどうにかするしかない。……よし、行こう」
-
52 : 2014/09/07(日) 19:32:10.91 -
気がつくと全く更新せずに十日も経ってましたね……
でも、週一更新位になってしまいそうなのは確定的に明らか
そんなに長くなる予定じゃないのに時間かけすぎじゃないかとか思いましたが、無理しても仕方ないと割り切っていくしかないですね
旬のネタで駆け抜けれなかったどころか、途中でこけて頭から地面に突っ込んでいる>>1悪い
-
56 : 2014/09/23(火) 03:36:03.28 -
生存報告
一応生きてます
書き溜めがかなり微妙なところで止まってしまっている上に、今週は余裕が無いので投下はもう少し後になりそうです
このスレ期待している人がいるかは分かりませんけどもう少し待っていてくれるとありがたいですそれと、小話的なものをsage進行で投下するかもしれません(電車内なら時間がありますし)
内容は本編と直接は関係ないものになると思います。もしかしたら、少し本編と違う雰囲気のものを書くかもしれないのでご注意を
携帯でやるのでいつもと書き方を変えたり好き勝手にやるかもしれませんが、精々エタらないようにしろよ、と生温かい目で見ていただけたら幸いです -
60 : 2014/09/26(金) 18:44:44.91 -
小話 深海棲艦
全く、酷い有り様ね
そう一人ぶつぶつと呟きながら女性が歩く
歩く先々に鉄、鉄、鉄…………
よくもまあここまでこちらが攻め込まれたものだと鉄塊を一瞥して座り、大きく息をついた
こいつらにとって物理的な死とはさして重要なことではない。が、こうもあっさり潰されてしまうと癪に障るのも確かだ
そう思いながらゆっくりと身体を癒やす。元々静かな所で過ごしていた女性は、この静かな時間をどうしても嫌いになれなかった
休息を取り、身体の傷が粗方治ったところで冷静に状況を把握する
飛行場は制圧された……自分も強大な艦娘の魂の楔を放棄せざるを得なかった……新たなカードを切らなければならないが、生憎といってそんなものはない
女性はそこまで考えてため息をついた。いわゆる、詰みのような状態ではないか
こうなってしまうと、この海域を放棄するしかない。艦娘達が海域を浄化すれば、鬼であろうと姫であろうとただでは済まないのは深海棲艦にとって共通のことであり、最も忌避したい事象だ
が、今自分がこうして深海に逃げた以上、妨害する者はいても、浄化を中断できる艦は居ない……となると
この海域から離脱するしかない、そう結論づけた彼女から再びため息がこぼれた
-
61 : 2014/09/26(金) 18:48:14.20 -
渋々といった様子で、女性は海域から離脱する最低限の準備を始める離脱したところで捕捉、そのまま撃沈。などといったことになってしまっては、わざわざここから離れる意味がない
まだ殺したりないと、身体が、魂が訴えかけているのだ。まだ使える奴を囮にして逃げればどうとでもなる
思考を逃走方法にシフトさせながら、浄化されていない深海棲艦の残骸を無理やり形にしていく
そういった作業をしながら歩き、やがて艦娘だったであろう何かがちらほら見かけるようになった
どちらも消耗止むなし、というほどの激戦を繰り広げた以上、当たり前のことである
しかし、女性にとってこれこそ夢見た光景の一つだった
えもいえぬ快感を覚えながら、彼女は『綺麗に死んだ』艦娘の遺体に触れ、ぽつりと呪詛を投げ掛ける
-
62 : 2014/09/26(金) 18:50:38.54 -
────我が同胞よ……起きなさい
-
63 : 2014/09/26(金) 18:54:48.44 -
粘度の高い液体を叩きつけたような音と共に、遺体の表面がぶくぶくと泡立ち、やがて深海棲艦へと姿を変えた戦艦……時間稼ぎには丁度いい。後は空母か
残骸が駆逐艦になったことを確認し、女性は再び同じような状態の遺体を探し始めた
そうして女性は集まった深海棲艦に指示をだし、海域を脱出し始める
大体の深海棲艦には艦娘を殺すという意思以外存在しない。こういった捨て駒にするには都合が良い……が、面白くない。こちらに噛み付いてくれるような存在でなければ切り札とならないではないか
ぶつぶつとまた呟きながら女性は海域を駆け抜けていく
──────ないと
ふと、声が聞こえ、女性は現実に引き戻された
妙な感覚を抱きながらも、女性は声が聞こえた方向を見る
白い肌、白い髪、そして────
「ふふふ…………」
-
64 : 2014/09/26(金) 19:01:47.27 -
嗚呼、こんなに面白いことはない女性は嗤う
こんなに面白い存在が居るなんて
狂気に狂喜を重ねて
これから起きることはきっと素敵なことになる……楽しみだわ
そうして、声を掛けた
この間ぶりね────
-
65 : 2014/09/26(金) 19:36:10.27 -
こんな感じに適当に小話は書いてきます(尚、予定は未定)
改めて、書いててかなり関係ない感じになってしまったのが否めないですはい
これが一番最初に浮かんだ内容ではありますが、後回しにした方が良かったかもしれないなぁ……とか、今頃思ったりしてます
まあ、投下した以上はあまり考えすぎない方がいいかな?それと、スマホからです。パソコンと間隔とか色々違いますけど、こんな感じで大丈夫か?
-
67 : 2014/10/02(木) 06:10:57.77 -
チャプチャプ…
空母棲姫「…………見たところ、あいつガ乗っている船ハない。先ニ私ガ着いたのか」
空母棲姫「……よし。妖精ノ居た場所ニ行って捜索するか。前回ハあの妖精ノ手伝いデそれどころではなかったしな」
空母棲姫「しかし、あのドックノクレーンヲ見ると何故だか…………ん?なんだあれハ?人か?人だとして、何故あんなところニ居るんだ。整備ヲしている様子でもないのに」
空母棲姫「…………まあいい。なんであれ、ああいった人ガ多く居そうな場所ハリスクガ高い。まだ探していない場所ガ多い今、あそこニ行くことハないだろう。気ニする必要ハないか」
空母棲姫「……?……妙な感覚だ。見られた?…………考え過ぎだな。行くとしよう」
—————————————————————
空母棲姫「…………ここニ隠してたマントハ……あった。さて」
バサッ
空母棲姫「私ノ大切な何かハどこニあるのか……まあ、今までノことヲ考えるト見て回るだけでも成果ハあるはず……」
「すみません」
空母棲姫「…………」
「あの、道に迷ってしまったのですけれど」
空母棲姫「…………いや、私ハ」
「誰に聞いても執務室に辿り着けなくて……案内してもらおうにも皆さん忙しそうでしたのでどうしても声を掛けれなかったのです」
空母棲姫「あ、ああ」
「そうして案内してくれそうな人を探してたらこんなところに……うぅ。おねがいします、私を執務室まで連れて行ってください」
空母棲姫「…………ソ、それは……」
「……も、もしかしてお仕事中でしたか。え、えっと、ごめんなさい!」
空母棲姫「だ、大丈夫だ。案内する、うん」
「ほ、本当ですか!?」
空母棲姫「と、とりあえず、案内図ハ持っていたりするのか?」
「ええ。何回見てもさっぱりな物ですけど」
空母棲姫「……ああ、ここニあるのが執務しつっ!」
「だ、大丈夫ですか!?」
空母棲姫「グ……大丈夫だ。案内するのに支障ハない」
「ほ、本当に大丈夫なんですか……先に医務室の方に行った方がいいんじゃ……」
空母棲姫「心配するな。これハ……タダノ持病ノようなものだ。頭痛以外特ニないから気ニしないで」
「せめて休んでは」
空母棲姫「休むより動いた方ガ気ガ紛れる。早く行くぞ」
「あぅ…………はい」
-
68 : 2014/10/02(木) 06:12:16.20 -
空母棲姫「…………」
「…………」
空母棲姫「……おい」
「はい、なんでしょうか」
空母棲姫「お前ハどうしてここニ来たんだ?」
「それは勿論、艦娘として来ましたよ」
空母棲姫「それハ分かる。私ガ言いたいのは、どうしてここニ来るニ至ったか経緯ヲ知りたいトいうこと」
「は、はぁ……別に構いませんけど、何故そのようなことを聞くのですか?」
空母棲姫「…………気ニなっただけだ。深い意味ハない」
「そ、そうですか……ええと、ありがちですけど普通に訓練学校を卒業したらここに行くように指示されたからです」
空母棲姫「…………嫌だとは思わなかったのか?」
「嫌じゃなかったですよ。……何故そのようなことをおっしゃるのでしょうか?」
空母棲姫「あれト戦う以上ハ死ガ付き纏う。友モ同期モ生き延びる程減っていく。ここハそういう嫌なところだ」
「…………」
空母棲姫「訓練学校ト同じ感覚デ過ごさない方ガ良い」
「…………ありがとうございます」
空母棲姫「別ニ…………っ!」
「大丈夫ですか!?」
空母棲姫「ク……頭ガ…………」
「こんなに頻繁に頭痛が起きるなんておかしいです。医務室に……」
空母棲姫「今ハ執務室ニ行かないト駄目だ……グゥ……」
「そうは言ってもこれで6回目ですよ。流石に…………」
空母棲姫「……別ニおかしいことじゃない……時々こうやって頻繁ニ来ることガある…………多分」
「……え、えっと?多分??」
空母棲姫「…………治まってきた」
「あの、先程多分とか言ってませんでしたか?」
空母棲姫「…………言ッテナイ。サア行コウ」
「あぁ!いきなり早足で行かないでください!」
-
69 : 2014/10/02(木) 06:13:25.07 -
「むー……釈然としませんよ」
空母棲姫「ウ、うるさい。しつこいト嫌われるぞ」
「そうは言っても……」
空母棲姫「着いた。ここガ執務室ノはず」
「あ、ここだったんですね」
空母棲姫「さて、早くここから出ないと……」ボソッ
「すみませーん」ガチャ
空母棲姫「!?」
「あれ?誰もいませんね」
空母棲姫「あ、危ないところだった……」
「そんなところで縮こまってどうしたんですか?入らないのですか?」
空母棲姫「流石ニ入るつもりは…………」
「あ、もしかしてこれからどこかに行く予定でしたか?」
空母棲姫「いや、そういえばここニ用ガあるのヲ思い出した」
「……そうですか」
-
70 : 2014/10/02(木) 06:14:38.28 -
空母棲姫「む…………」
「…………何故誰も居ないのでしょうか」
空母棲姫「ふむふむ…………」
「部屋を間違えた……訳ではないようですし」
空母棲姫「案内ヲ私ガするまで皆忙しそうデ声ヲかけることガ出来なかった。それだけ提督モ忙しいト言える」
「そうなんですか……」
空母棲姫「この勲章ハなんだ……いくつモあるが……」
「あ、あの」
空母棲姫「なんだ?」
「……どうして執務室を物色しているのですか」
空母棲姫「…………」
「用事が関係しているのでしょうか……でも、それにしてはなんだか無作為ですし……」
空母棲姫「…………」
「それにこんな室内でもマントを外さないですし、医務室に行くのを嫌がりますし……もしかして」
空母棲姫「…………コ、コレハ」
「実はここに来たばかりの艦娘さんですか!?」
空母棲姫「」ズルッ
「そうなると私と同期になるのでしょうか……でも、色々と知っているようですし先輩になるのかもしれません……むむむ」
空母棲姫「……前にも拍子抜けすることガあったな、うん。あの妖精ハ元気ニやっているのだろうか」
「妖精……さん、ですか。どんな子なんでしょうか」
空母棲姫「ああ、最近ここニ配属されたらしい。入渠ドックノ担当ト言っていたから機会ガあったら話ヲしてみたらどうだ?」
「はい!……あ、それでどうして物色していたのですか?」
空母棲姫「あー…………気ニなる物ガあったらトつい」
「あー、たしかにこういうところはついつい気になりますよね。悪いことだとは思いますけど」
空母棲姫「まあ、そういうことだ」
「ふふ……」
-
71 : 2014/10/02(木) 06:15:47.65 -
空母棲姫「しかし、案外気ニなるものハ少ないな」
「そうでしょうか?私は色々気になりますけど」
空母棲姫「個人的な問題だ。さて、後ハ執務机だけだガ……こうも書類ばかりでは探しにくいものだ」
「勝手に動かしたりするのは良くないことですよね」
空母棲姫「ばれたら面倒なことニなるのは間違いない」
「じゃあ、触らないようにします」
空母棲姫「ああ。そうした方ガ良い」
「あ、あそこに飾ってある勲章って珍しい物ですよね」
空母棲姫「そうなのか」
「そうですよ。たしか……きゃっ!」
空母棲姫「大丈夫…………ゲ」
「あはは……何かに足が引っ掛かって…………あ」
空母棲姫「…………」
「…………あの、これ……どうしましょう」
空母棲姫「いや、私ガ知るはずモないだろう……」
「う、うぅー……とりあえず、戻すだけ戻しておいた方が良いですよね」
空母棲姫「そうだな…………ん?」
「どうしました?」
空母棲姫「書類ノ山ノ中ニこの写真立てガあったみたい」
「写真立て……どんな写真が入っているんですか」
空母棲姫「それは…………」
-
72 : 2014/10/02(木) 06:16:44.60 -
『もう少し詰めてくれ。全員が写らないのだが』
『提督さん。カメラの位置を変えた方が早いと思うよ』
『全くです』
『そうは言うがな。あまり顔が分からない写真になっては困るだろう?』
『提督の意見も一理ありますね』
『というわけだ。だから、——は——に近づいてくれ』
『…………』
『私は普通に詰めてるよ!でも、——さんが』
『——さん、詰めた方が良いと思いますよ』
『なのです』
『……ですが』
『……どうせなら、みんなもっと近づきましょう!』
『良いねぇ。——っちナイスアイディアー』
『詰めちゃいます!』
『えっと……—も詰めちゃいます!』
『んふ、——さん達も早く早くー』
『そうですよ。みんなくっついていますし恥ずかしがらずに。ささ』
『——さ』
『さん付けはやめてくださいね?お母さん扱いされる歳ではないですし』
『……分かりました。』
『この鎮守府の人は楽しい人ばかりですね』
『……まあ、一つ二つ癖のある奴ばかり来てしまったからな。——や——さ……——とか、な』
『—ちゃんと——さん位ですか?普通だと思う人は』
『いや、——よりかは——の方が普通だろうな』
『そんな!——は普通ですよ!?』
『褒められたっぽい?』
『司令、早く写真撮ってください!——さんがこっちを見て訴えかけてきてます!』
『おっと、すまない。——は』
『『『かわいい!』』』
『!?』
カシャッ
-
73 : 2014/10/02(木) 06:17:38.42 -
——————————見ぃつけたぁ
-
74 : 2014/10/02(木) 06:19:17.61 -
空母棲姫「グ…………アゥ」
カタンッ
「ま、また頭痛ですか!?」
空母棲姫「ま、まずい。時間ガ、ない……つぅ」
「それはどういう」
コツ…コツ…コツ…
「あ……これは提督の足音でしょうか」
空母棲姫「絶体絶命か……どうすればいいんだ……」
「提督に見つかると何か問題があるのですか?」
空母棲姫「……ああ。勝手ニ出歩くなト……言われている」
「そうですか……」
空母棲姫「ク……くそ……」
「…………窓から出てください」
空母棲姫「いきなり何ヲ」
「いいから早く。もうすぐ来てしまいます」
空母棲姫「グ……どういう……ことだ」
「私を信じてくれませんか?」
空母棲姫「それ……ハ」
「…………」
空母棲姫「疑問ガ残って仕方ない……ガ、今ハ……信じるしかない」
「ありがとうございます。さあ」
空母棲姫「頭痛ガ酷いのに簡単ニ言うな……」
ガチャ
空母棲姫「!?」
「また、会いましょうね」ボソッ
バンッ!!
空母棲姫「…………エ?」
空母棲姫「今……私ハ執務室ニ居たはずなのに、何故窓ガそこニ……」
-
75 : 2014/10/02(木) 06:21:35.55 -
妖精「なんでこんな物運ばないといけないんですかー!?」
「榛名姉さんがこの時間帯に運んでほしいと言ってたんだよ」
妖精「でもエアマットですよ?」
「なんか考えがあるんだろ。俺たちが考える必要はねぇよ」
妖精「ふえぇー……」
ヒューン
「ぐえっ!」
妖精「ぎゅにゅ!」
空母棲姫「……グ、ウゥ。クッションニなるものガあって助かった」
妖精「く、クッションじゃないですよ!」
空母棲姫「…………妖精か」
妖精「……あ、あの時の艦娘さん!」
空母棲姫「丁度いい。このマントヲ……持っておいてくれ」
妖精「わぷ……」
空母棲姫「…………」
妖精「…………ぷはっ。待ってくださいよぉ……あれ?居ない」
「キュー……」
-
76 : 2014/10/02(木) 06:23:39.88 -
提督「今日は風が強い方だったが……それにしても見事に散らばっているな」
「ええ、本当に一瞬の出来事でした」
提督「はぁ…………まあ、そのまま外に書類が飛んで行かなかったことが不幸中の幸いだ」
「そうですね」
提督「手伝ってくれるか?榛名」
榛名「はい、榛名は大丈夫ですよ」
提督「しかし、どのくらいの強さで吹いていたのか気になるな」
榛名「それはもう………本当に……本当に唐突に、そして強い風でした」
提督「そうか……ん?」
榛名「どうしました?」
提督「…………いや、なんでもない。気にしないでくれ」
榛名「…………分かりました。気にしないでおきますね」
提督(何故これが表側になっている……風のせいか?)
-
77 : 2014/10/02(木) 06:25:50.49 -
提督「……そういえば、鳳翔さん達と一緒にここに着いたのか?」
榛名「途中までは一緒でしたが、榛名一人で帰ってきました。少し危なかったので……」
提督「…………それさえなければ、榛名はまともだとはっきり言えるのだが……」
榛名「私は普通です!」
提督「普通の人間はクレーンを愛でたり、趣味で基地を作らないぞ」
榛名「むー……じゃあ鳳翔さんに決めてもらいましょう」
提督「鳳翔さんに審議してもらう以前の問題なのだが……」
鳳翔「私がどうするのですか?」
提督「あ、ああ。鳳翔さ——」
鳳翔「さん付けは止めてくださいといつも言っていますよね?ねえ、提督」
提督「す、すまない。気を付けてはいるのだが、どうも他の鳳翔さんと、な」
鳳翔「もう……!気を付けてくださいね」
榛名「ふふ……」
鳳翔「ああ、それと榛名。貴方にも同じことが言えます。どうしてさん付けしてしまうんですか」
榛名「え、えーとそれはですね……」
鳳翔「それと、貴方の趣味は私には理解できませんので悪しからず」
榛名「久しぶりの地獄耳……」
鳳翔「…………それは年増と言いたいのですか?私が行き遅れて余ったおばさんだと言いたいのですか?……ねえ!?ねえ!?」
榛名「だ、誰もそんなこと言ってませんよ」
鳳翔「ふ、ふふふふふ…………」
提督「榛名」
榛名「…………なんでしょうか」
提督「ご愁傷さま」
鳳翔「的にしましょうか」ニッコリ
-
78 : 2014/10/02(木) 06:29:19.50 -
提督「ああ、そうだ。鳳翔、榛名を連れていく前に聞かなければいけないことを忘れていた」
鳳翔「そうですか。まあ、良いでしょう」
榛名「……なんですか?笑うつもりなら一人の時にしてください」
提督「いや、あそこでの成果は現状どうなっているかの確認だ」
榛名「ああ、そういうことですか」
提督「それと、いつあちらに行くか、機材はどうするか等の確認も必要か」
榛名「とりあえず、今日はここに留まります。他の鎮守府の方々が来てくれたおかげですね」
提督「そうか。今日はここに居るのなら、他の内容は後で聞かせてもらうぞ」
榛名「そうですね。では、榛名はお休みを」
鳳翔「頂けると思いましたか?」
榛名「…………ですよね。付き合います、はい……」
-
79 : 2014/10/02(木) 06:51:36.06 -
週末になる→無理した結果、日曜日完全消滅
随分と本編進めてなかったのは>>1落ち度です
そして、今日。本来ならこの時間は爆睡してる予定でした。始めた時間もありますけど、それにしたって遅い
遅筆って怖い
>>1この先生き残りつつ、禁忌のマグナを買ってプレイできるのだろうか……?それと、鳳翔さんのキャラがアレですんません
でも、さん付けするだけで的にしてもらえるんですよね……それが嫌でも「鳳翔」と言えば何も言われませんし(言い訳) -
84 : 2014/10/11(土) 02:27:25.36 -
小話 艦娘
「近代化改修ってさ……なんでこんな形式になったんだろーね」
「急にどうしたのですか?」
「いや、艤装がカードになるのってなんか不思議じゃん。しかも、そのカードは僕達触っちゃいけないし、改めて思うと気になってさ」
「…………不良品の回収が面倒だったから、それを自分達で処理させるようにしたかった、とかでしょうか。カード化については妖精の技術だとしか……」
「んー。まあ、確かに開発で作られる適性無しや、艦名を発見できてない研究不足の艤装は大量にあっても邪魔だし、そこはなんとなく納得できるよ。でも、触っちゃいけない理由にはならないんだよね……」
「うーん……触ったら近代化改修に影響する、とかはどうでしょう」
「やっぱり、そのあたりが妥当な理由かなー……後で妖精さん達に聞いてみよっか」
「そうですね」
「ん?ああ、詳しくは知らないよ。とりあえず僕達以外に触らせないようにするように教えられてたから、それを守ってるだけだね」
-
85 : 2014/10/11(土) 02:32:14.64 -
「えー……触ったらどうなるか知らないの?」「知らないよ。触らせなきゃ何も起きないんだし、それで良いじゃんか」
「禁止されてることって気にならない?」
「気にならない。面倒そうな口ぶりだったし、こういうのは大抵碌なことにならないからね」
「ちぇー……つまんないなぁ。じゃあ、カードにはどうやってんの?」
「そりゃまあ、感覚で」
「感覚で烈風とか46cm三連装砲を作るもんね、知ってた。わざわざカードにする理由は?」
「これも先達は教えてくれなかったなー……ま、さっきと同じような感じだったから、これ以外の方法は碌な結果にならなかったんだと思う」
「そっか…………」
「そろそろ大淀のところに戻った方がいいんじゃない?彼女に仕事ほっぽって来たんだし、いい加減にしないとまた正座させられるよ?」
「あれはスカートの中に手を突っ込んだからで、仕事を丸投げしたくらいなら問題ないと思う」
「いやいやいや……何してんのさ」
「だって、あのスカート……どう考えても誘ってるとしか思えないだろ?つまりそういうことさ」
「それを大淀に言ってみたらどうよ」
「分かりきったことだから言えるはずないだろー」
「へぇー…………詳しく聞かせてもらえますか?提督」
「…………あれ?大淀さん、なななんでここに居るのでしょうか?」
「勿論、提督がいきなり居なくなったので探しに来たのですよ」
「あ、あはははは。それは悪いことをしました。じゃあ、戻りますか」
「……そうです、ね!」
「いだだだだ……!曲がらない!それ以上は曲がらないから!」
「妖精さん、火急の用事があるので、これにて失礼させていただきますね」
「ああ、うん……提督、南無」
ズルズル……
「粉バナナ!妖精が僕を陥れる為に仕組んだ罠だぁ……──」
「はぁー……しかし、この話題が出てくるとはねぇ。確か、詳しく話した時の提督は────」
-
86 : 2014/10/11(土) 02:39:54.01 -
「殺されたんだよなー……」
「…………あーやだやだ、忘れよう。いい気分が台無しだ」
「間宮んとこ行こっと」
-
87 : 2014/10/11(土) 03:03:34.19 -
初春改二のゴテゴテ感が個人的には好みです
エロスの女神のキスを感じちゃいます!さて、本編は個人的な休憩ポイントを入れるか、このまま行くか悩んでるところです
>>1頭から何も出なかったらこのまま行きます -
88 : 2014/10/27(月) 04:13:20.21 -
榛名「うぅー……だいぶ絞られました」
「あはは……お疲れさま」
榛名「貴方もなんだかんだ言って参加してたじゃないですか、瑞鶴」
瑞鶴「だって、面白いくらい鳳翔の矢に当たらないんだもん。分かってはいたけど」
榛名「こちらからすれば嫌がらせ以外の何物でもないですよ……」
瑞鶴「ごめんごめん。あの人に睨まれるとどうしても、ね」
榛名「もう……!」
瑞鶴「はい!この話はおしまい!お風呂入りにいこ?」
榛名「この後提督に報告する必要が……」
瑞鶴「そんなの後々!どうせ今日はここに居るんだし、今までの疲れを癒しておいて明日以降の戦いに備えとこう!ね?」
榛名「それはここに来た時すぐに済ませておきましたし……」
瑞鶴「クレーンにしがみついてただけで身体の疲れがとれる訳ないでしょ。心はともかく」
榛名「そんなことはないです!榛名はクレーンさえ……いえ、機械類……こ、工廠さえあれば戦えます!」
瑞鶴「趣味に走らないで、おねがいだから。榛名はいつもここから脱線しちゃうし」
榛名「え、えっと…………ごめんなさい……?」
瑞鶴「とにかく、これからが榛名は大変なんだから早くお風呂に行って、早く寝る。おっけー?」
榛名「お、おっけーです」
瑞鶴「じゃ、いこっか!」
榛名「あぁ!引っ張らないでください!ちゃんと付いていきますから!お風呂入りますから!」
-
89 : 2014/10/27(月) 04:14:20.69 -
鳳翔「——ということです」
提督「なるほど。そして今から瑞鶴が風呂に誘う、と。しかし、榛名がどこか思いつめているのは私も分かってはいたが、鳳翔達も気にしていたのだな」
鳳翔「勿論ですよ。基地での一件以降、彼女は何かを感じています。私達にはそれを知る術はないですし、教えてもらえるとも思っていません。それでも、少しの時間くらいそれを忘れてほしかったのです」
提督「それで、あんな形になったと言いたいのか?」
鳳翔「……ふふっ、どうでしょうか」
提督「さん付けにいらついた」
鳳翔「あまりしつこいと嫌われてしまいますよ、提督」
提督「ビンゴか」
鳳翔「……このくらいは貴方も、彼女も分かってくれるでしょう?」
提督「はぁ…………榛名に矢は当たったか?」
鳳翔「いえ、途中で瑞鶴も参加しましたが全部避けられました」
提督「そうか。まあ、あいつも多少は気が紛れただろう。鳳翔はもう入浴は済ませたのか?」
鳳翔「これからですよ。では、瑞鶴達のところに行ってまいります」
提督「ああ。早くいってこい。風邪を引かれたら困るしな」
-
90 : 2014/10/27(月) 04:17:34.60 -
瑞鶴「あ゛~…………生き返るー」
榛名「んー…………」
瑞鶴「やっぱり運動後のお風呂は格別ね」
榛名「数日ぶりにちゃんとしたお風呂に入りますよ……私」
瑞鶴「あははは。あっちは入渠ドックをお風呂代わりにしてたもんねー。ほんとはもう少し大きい……えっと、なんだっけ?」
榛名「アインスちゃんです。あちらにはここみたいにちゃんと大浴場も備え付けておいたのです……あそこで入るの、実は結構楽しみにしてたのですよ……うぅー」
瑞鶴「どうどう……今は広々と使える状況を楽しもう、ね?皆が帰ってきたら大分狭くなっちゃうし」
榛名「……むー」プクプク…
瑞鶴「あ、それやると鳳翔に怒られちゃうよ」
榛名「……いいんです。少し悪いことをしたい気分なので」プクプクー…
鳳翔「あまり長々としないでくださいね」
榛名「分かってまーす……」プク…
瑞鶴「あれ、いつの間に?」
鳳翔「ふふっ、油断大敵です」
ザバー……
榛名「……はぁー」
鳳翔「おじさんみたいな溜息はしない方がいいですよ」
榛名「瑞鶴の溜息よりかはずっとマシです」
鳳翔「ああ、そうでしたね」
瑞鶴「え!?なんで私に飛び火するの!?」
榛名「瑞鶴ですし」
鳳翔「瑞鶴ですから」
提督『瑞鶴だからな。ああ、コーヒー牛乳はいつものところに仕舞っておく。風呂上がりに飲むなり、自室に持ち帰るなりしてくれ』
瑞鶴「ちょっま……えぇー」
-
91 : 2014/10/27(月) 04:19:28.44 -
瑞鶴「もー……」
榛名「ふふふ」
瑞鶴「笑わないでよ!鳳翔も!」
鳳翔「す、すみません……ふふ」
瑞鶴「むむむむー」
榛名「ふー…………良い気分転換になりました。二人とも、ありがとう」
鳳翔「……」ニコリ
瑞鶴「……どういたしまして、かな。ここは」
榛名「よいしょっと……」
鳳翔「私は先に上がりますね」
瑞鶴「あれ、珍しい。鳳翔がこんなに早く出るなんて」
鳳翔「どうやら榛名は貴方に何か話があるようですから、邪魔者は退散しようかと思いまして」
瑞鶴「別に鳳翔が聞いても支障は無いんじゃないの。もう話をする気満々だったようだし」
榛名「そ、そんなに分かりやすいですか?」
鳳翔「とても分かりやすいです」
瑞鶴「まあ、付き合い長いしなんとなく分かるよ」
榛名「隠してたつもりだったんですけどね……ばれてしまっては仕方ありません」
瑞鶴「それで、なんの話?」
榛名「ええと、鎮守府周辺の警備に当たっていたのは瑞鶴ですよね?」
瑞鶴「うん。私が戻ってからはずっとそうだよ」
榛名「……鳳翔さ」
鳳翔「はいはい。眉間に拳を入れられたくないのなら黙っててくださいな」
榛名「…………」
瑞鶴「わざわざ手で口を塞ぐ必要はないと思うよ?」
鳳翔「では、あまり長々と入らないように。早めにお願いしますよ」
-
92 : 2014/10/27(月) 04:22:01.72 -
榛名「…………」瑞鶴「…………」
榛名「…………」
瑞鶴「いや、喋ろうよ!もう鳳翔居ないじゃない!」
榛名「いえ、どうでもいいことですけど、確か鳳翔はコーヒー牛乳好きでしたよね。もしかしたら、取られちゃったかな、と」
瑞鶴「ほんとにどうでもいいわね!今ので完全に真面目な話をする雰囲気じゃなくなったじゃない!」
榛名「瑞鶴のも取られたかもしれません……」
瑞鶴「コーヒー牛乳から離れてお願いだから!」
榛名「まあ、流石にそういうことはないですよね…………あ、それでですよ」
瑞鶴「…………」
榛名「……どうしてふてくされているんですか」
瑞鶴「ふてくされる理由に心当たりはあるでしょ」
榛名「いえ、あのですね。はい……すみません」
瑞鶴「はー…………ん。それで、どういうことを聞きたいの?」
榛名「最近、特に異常はないかな、と」
瑞鶴「別にいつも通り、異常なんて見つからなかったわ。この辺りはだいぶ前からこんな感じなのに、いきなりどうしたの?」
榛名「…………」
瑞鶴「黙らないでよ、気になるじゃない。もしかして、私をからかってる?」
榛名「……誰も聞いていないですね」
瑞鶴「榛名?」
榛名「実は、普通に入られているようです。深海棲艦に」
-
93 : 2014/10/27(月) 04:54:08.54 -
久しぶりの投下のくせしてかなり量が少ないですが、まあ色々判断した結果です
あ、扶桑お姉さまの改二おめでとうございます
今まで育ててきた人にはとてもありがたいものですね。>>1全然育てていませんのでアレですがそれと、次は地の文を突っ込む可能性が出てきていますが、今まで台本形式だったのでこれでいいのか?と迷っています
少しばかり意見をくださると幸いです -
95 : 2014/11/24(月) 05:14:34.27 -
————空を眺めていた
雲が面白い形をしている。なんとなく甘味が食べたくなってきた
「——お姉ちゃん」
不意に声を掛けられる。振り返りたいが、そんな気持ちとは裏腹に私は空を眺め続ける。これは……
「どうしたの?」
「どうして——を置いて居なくなったの?」
名前にノイズが掛かる。妙に耳触りの悪い音だ
「……何も聞かされていないのですか?」
「…………何も聞いてない」
「……」
…………どこか噛み合っていない内容。私は空を見上げるのを止め、腕を組んで何か考えだした
少し唸るような声が漏れ、そして
「分かりました」
などと言いだした
-
96 : 2014/11/24(月) 05:15:22.68 -
「お姉ちゃん?」
「あなたはもう少し私を頼らないようにしましょう」
「え……?」
「もう私の後だけをついて行くことは無理ですからね」
そうして一人納得しうんうん、と頷く私
すると突然手が腹部に回ってきた。抱きつかれたらしい
「嫌……それは出来ない。どうしてそんなことする必要があるの」
…………まるで乳離れが出来ない子どものようだ。酷く不安定で、今にも壊れてしまいそうな気がする
「必要なことですよ。艦隊行動を常に一緒に出来るはずがないですし、私がまた異動した時に勝手に追いかけられても困ります」
「でも!」
「それに、あなたのために言っていますけど、私のためでもあるんです」
「…………どうして?」
「大切な妹が成長して、喜ばない人は居ないんですよ」
「……分かんないよ。そんなこと」
少女がそう言うと、私は抱きついてる彼女を優しく振りほどき、彼女の方を向き、目の高さに合わせて屈んだ
「いつか分かる日が来ます。だから、約束しましょう。ね?」
そして、頭を撫でる。撫でられている方は不服そうにしていたが
「…………分かった」
渋々といった様子で答えた
-
97 : 2014/11/24(月) 05:16:34.13 -
——それにしても、大分具体的な内容だ。少し前はこんなにはっきりとはしなかったのだが
「——」
「……ん」
「「ゆーびきりげんまん」」
唐突にグニャリ、と景色が歪む
夢の時間が終わりを告げるのだろうか
そんな私を無視して時間は進み、指切りを終える
「さて、こんな場所にずっといるのも何ですし食堂にでも行きましょうか」
「……うん」
「お話、終わったっぽい?」
「あら、待たせてしまいましたか?」
「多分一番待ってるのは————だと思うよ」
「そうですか。——、早く行ってらっしゃい」
「…………分かった」
少女が私を離れると、周りが黒に変わっていく
そんな中、私はぽつりと呟いた
「あなたは————」
-
98 : 2014/11/28(金) 04:00:38.79 -
空母棲姫「——ぷはぁっ!」空母棲姫「…………約束、か」
空母棲姫「それにしても、この雨……あいつらノ臭いガする」
「私達はそんなに臭うのか?」
空母棲姫「!?」
「あーあー、そんな怖い顔しないでくれ」
空母棲姫「ぐぇ……!グ、お前ハ……」
「ほら、うっかり首を折り損ねてしまった」
空母棲姫「どこがダ……私ヲ弄んでいるだけだろう」
「お前は面白くないからな……ツマラナイ。戦艦棲姫の奴と殺りあえればそれが一番なんだが」
空母棲姫「何故私ヲ……!」
「陸に上がったんだろ。何をしてたのかなんてどうでもいいが、それが決定打。はい、終わり」
空母棲姫「……あいつノ捕捉ト重なったト言うのか……!」
「はー…………本当にこいつを殺せばこいつが私よりも強くなるのか?ミッドウェーの奴カマかけてるんじゃないだろうな」
空母棲姫「! ハ、離せ!」
「ま、いいか。つまらないが殺っとこう」
空母棲姫「ウぐぐぐ……!」
「…………何か来たか。まあ、どうせ爆撃で沈む。ああ、ツマラナイ」
-
99 : 2014/11/28(金) 04:02:22.52 -
瑞鶴「提督。流石に今日みたいな日は見回りしないで良いよ」
提督「とは言っても、頭数が足りない以上はどうしようもないだろう。他の人とは違い、私なら駆逐艦程度ならばどうにか相手取れるしな」
瑞鶴「鳳翔も私も、なんだったら最近来た龍鳳も限界まで索敵範囲を広げるから……!」
提督「現時点で十分に無理をしているだろうが。これ以上は展開しても逆に未帰還機が出てくる。それに、もしもの時に全員索敵以外出来ないなんてことになっては大変だからな」
瑞鶴「…………もー。死んだらどうするの?」
提督「死ぬ前に助けてくれるだろう?」
瑞鶴「そりゃそうだけど……ここじゃ滅多に汚染された雨なんて降らないのに、前触れもなく降ったんだよ。しかも、かなり雨が強いし」
提督「だが、そんな状況だからこそこうする必要がある。雨が降らなければこんな話になっていない以上、余計にな」
瑞鶴「こ、こんなことになるなら榛名を行かせなきゃよかったのに…………」
提督「…………それは言うな」
-
100 : 2014/11/28(金) 04:03:50.28 -
「じゅ、準備出来ましたぁ……ふう」瑞鶴「ちょっと遅かったね。とりあえず、気を抜くと艦載機のコントロールが出来なくなるから注意して。いつもと同じように艦載機を出すのも厳禁よ?」
「了解です!……それにしても、本当に唐突ですよね。まるで、誰かが操っているような、そんなタイミングでしたし」
提督(誰かが操っている……か。いや、あの腹ペコポンコツ姫に出来るとは思えない)
瑞鶴「鬼とか姫とか、もしくはそれに准じた深海棲艦なら出来るかもしれないわ。でも、それなら榛名も私達もそいつらが雨を降らす前に気付いてるはずだからあまりその線は考えてないかな」
「じゃあ、何故慌ただしく索敵するのでしょうか?提督なんて本当はこういうことする立場ではないですよね」
提督(しかし、しかしだ。もしもあいつがこれの原因ならば色々と辻褄が合う。これで鎮守府を確認できるだろう……ならば)
瑞鶴「この雨、降っている間ずっと深海棲艦の臭いと気配がするでしょ?これのせいで深海棲艦は紛れ込みやすくなるの。そんで私達の状況とか知られると面倒なのよ」
「今は、私と瑞鶴先輩、鳳翔先輩だけ……そういうことですか」
瑞鶴「そ。他の人はAL方面の応援とか他の重要地点へ移動とかでここを開けちゃったし、それがばれると深海棲艦が押し寄せてくるかもしれないわ。そいつら七面鳥打ちにするのは楽しいけど、今回ばかりはそれは避けないとね」
「七面鳥、ですか……七面鳥?……誰が……私の?いいえ!精鋭たちです!訂正してください!」
瑞鶴「あ……ミスった。この子のげきおこポイントうっかり触ってたかぁ」
「いくら瑞鶴先輩でも許せません!言っていいことと悪いことがあるんですよ!大体——」
瑞鶴「ストップストップ!それより提督が何故こんなことするかを話そうか!」
「そうやって私達を馬鹿にしたことをはぐらかそうとしないでください!提督の話なんて後で出来ます!」
瑞鶴「あー!あー!聞こえなーい!提督ー!なんか言って!」
ブロロロロロ……!
提督「すまないがこれ以上は時間が惜しい。行かせてもらうぞ」
瑞鶴「ちょ、まって!」
「提督!瑞鶴先輩が私達を馬鹿にしたんですよ!ちゃんと話を聞いてください!」
提督「瑞鶴!何かあったら無線で連絡を頼む!龍鳳!この雨の中を索敵するには辛い場面が多いだろうが、協力してくれ!」
ロオオオオォォォォ……
瑞鶴「あーもー!龍鳳行くよ!」
「七面鳥とか言ったの謝ってください!!」
-
103 : 2014/12/05(金) 23:08:03.48 -
提督「そろそろあいつの居る辺りか……今のところは深海棲艦の影も形もないが、さて……」
瑞鶴『提督!気を付けて!そのあたりで一つ偵察機が落とされたみたい!』
提督「瑞鶴か。相手は分からなかったのか?」
瑞鶴『視認する前に落とされた!今急いで装備変えてるところだからそこからすぐに離れて!』
提督「どういうことだ?この辺りにお前が焦るほどの深海棲艦の気配はしないのだが」
瑞鶴『でも彩雲妖精も私もコントロールを失っていない状況で落ちたのよ!やばいのがいるのかもしれない!』
提督「……ふむ、分かった。今から——」
ゾクッ!
提督(! この感覚……あの時と同じ……いや!あの時よりもやっかいな奴が居るのか!)
瑞鶴『……今の音…………!提督、艦載機が来てるよ!』
提督「空母級か……」
…メ……ズメ…
提督(どこから声がしているんだ……)
瑞鶴『なんでもいいから早く対空用の装置使って時間を稼いで!』
提督「もうとっくに起動している!」
…ズメ……シズメ…
瑞鶴『なんでそれ起動してるのに装置は対空射撃始めてないのよ!妙な声と音が無線越しでもはっきり分かるくらい近づいてるはずなのに!』
提督「この雨の影響か……いや、これには対策してあるはず……何が……」
シズメ……シズメ……!!
提督(考えろ……深海棲艦達の言葉は深海からでもこちらに届く……妙なことを言う奴らばかりだった。……まさか!)
提督「下か!瑞鶴!無線から耳を離しておけ!」
瑞鶴『下からぁ!?そんなこと出来る奴なんて——』
-
104 : 2014/12/05(金) 23:11:11.18 -
けたたましいエンジン音。そして、爆発音。身体がどうにかなりそうな程の重力を感じながら、提督は舵を取る。先程彼が居た場所には水柱が上がっていた
魚雷か何かだろうか。なんであれそんなものに当たっていたら、船もろとも木端微塵になるのは間違いない
瑞鶴『~~!うっさい!』
提督「無茶を言うな。だから耳を離しておけと言っただろう」
瑞鶴『分かってる!後、まだ来てるみたい!』
提督「……そう簡単に逃がすはずがない、か」
シズメ……
先程とは違い、明らかに聞こえてくる声。それに対して出来る限り遠ざかるように動かす
こちらの船のエンジン音と雨音、そして怨念のこもった声以外には聞こえない。奇妙な状況だ。追ってくる艦載機の姿形もないのに襲われていると誰が思うだろうか
こんなことを試そうと思い、実践する奴の顔が見てみたいものだ。そう、提督は呟いた
瑞鶴『いきなりこんな場面で褒めないでよ』
提督「お前もやっていたがお前じゃない」
瑞鶴『相手を、よ。私だってふてくされる時はあるからね』
提督「まず、褒めてはいないんだが……頭が痛くなりそうだ」
-
105 : 2014/12/05(金) 23:12:51.82 -
そんなやり取りを交えながら数分。瑞鶴があることに気付く瑞鶴『……ねえ、もしかして誘導されてない?』
提督「どういうことだ」
瑞鶴『さっきの状況とか考えるとさ、提督もっと死に目に合うはずだよね。あっちの方がもっと早いと思うし』
提督「勘弁してくれ。この時点で十分に合っていると思うのだが」
瑞鶴『後、私の艦載機が落ちた地点に近づいてない?』
提督「そのはずは——な!?」
瑞鶴『まさか……』
提督「やられた。航路が完全に乱されていた上に海図も滅茶苦茶になっている」
瑞鶴『あー!まだそっちに行くまで結構あるのに!』
シズメ……!!
提督「泣きっ面に蜂とはこのことか……瑞鶴、悪いが全力で頼む」
瑞鶴『了解!……もうっ!』
通信が乱雑に切られた後船の速度を上げ、逃げる。エンジンが悲鳴を上げるが提督は無視して速度を上げ続けた
しかし、今度はそれでも声が響いてくる
シズメ!!……シズメ!!
-
106 : 2014/12/05(金) 23:17:51.62 -
提督(く……完全に手玉に取られている。遊ばれているのか……!)
提督(それに瑞鶴の言った通り、誘導されている……何故こんなことをするかは知らないが、空母相手にまともに太刀打ちできるはずがない)
提督(どうにかして瑞鶴たちの到着まで時間を稼がなければ……)
提督「……ん?あの姿は……まさか本当にあいつが……」
提督「…………どういうことだ。あいつと同じ姿の奴がもう一人いる」
唐突のことで提督の意識が空母棲姫の方へ向く。その隙を『彼女』が許すはずもなかった
いや、ここまで手を抜いていたことを考えれば、この辺りで戯れるのを止めたとも言える
提督の船の進路に突然猫の形をした艦載機が海中から姿を現した
提督「なっ……!」
とっさに左に舵を取り、避けようとするがその先には怨嗟の声
更に無数の声がこちらを追いかけてくる
提督「————」
そして艦載機が船と衝突し、爆発した
更におまけと言わんばかりに追いかけてきた艦載機はその爆発に自ら突っ込んでいき、連鎖的に爆発が起きていく
爆発が収まった後、残ったのは船の残骸だけだった
-
109 : 2014/12/12(金) 00:42:24.66 -
空母棲姫「お前……今ノ船ハ……!」「どうかしたのか。あんな玩具、気になることなど無いだろ」
空母棲姫「あの船ニは人ガ乗っていた……」
「知ったことじゃないな。そんなものに気を掛ける意味はない」
空母棲姫「ふざけるな!」
「ふざけるな、か。ふふ、お前こそふざけているんじゃないのか」
空母棲姫「何ヲ!?」
「私たちを作るようなことをしておいて、最後には使い捨てる奴らだ。その憎悪はさぞかし深い。私たちからすればヒトなど殺す以外の選択肢はない」
空母棲姫「…………」
「まあ、私にとってはどーでもいいんだが。ツマラナイものなんて、死んでも関係ない。消えたところで気付きもしない存在だぞ?」
「そんなものを気に掛けるお前はとても愚かだ。本当にふざけている」
空母棲姫「グ……!お前ニ言われる筋合いハない!」
「怒っているのか。もしかして、あれに見知った存在でも乗っていたのか?フフフ……」
空母棲姫「!?」
「図星か?残念ながら、私の索敵範囲に入ったのが運の尽きだ。フフ、しかし妙な動きだったなぁ。こちらに一直線に来ていた。まるで、誰かを待たせているような感じだったぞ?」
空母棲姫「そんな……私ノせいだト言うのか?」
「さあ、それはもう分からないな、フフフ。死人に口なし、ね」
空母棲姫「ソんなハずない!!オ前ガ……!」
「フフフ……」
-
110 : 2014/12/12(金) 00:46:41.13 -
空母棲姫「……私ハ、誰カヲ殺してしまうようナことなんて望んでイナイ!!」「まあ、そうかもしれないな、フフ」
空母棲姫「オ前ノせいダ!オ前ガ居なければこんナことニならナかっタ!」
「そう。それで、どうする?何かのために一矢報いるか?私に持ち上げられているこの状況では無駄死にだけどな」
空母棲姫「オ前エエェェェ!!」
「そんなんじゃ届かないなぁ。もっと私を憎めよ?殺したくて殺したくて堪らないのだろう?」
空母棲姫「ガアアアアアァァァァァ!!」
「アハハハハ!あー、楽しいなぁ。フフフ……」
空母棲姫「フザケルナ フザケルナ フザケルナァ!オ前ハ……絶対……!」
「おっと、しまった。手が滑った」
空母棲姫「!コロス!!」
「フフフ……」
「…………」
空母棲姫「…………う、ア。ああ」
「…………はぁ、もしかしたら、と思ったが。駄目か。呑まれていれば、絞り粕みたいな奴でも殴られた場所が痛いはずだったんだが」
空母棲姫「駄目だ……殺すな。一度でも本気デ殺そうトしたら戻れなくなる……。私ハそんなことヲするためニここニ来た訳じゃない」
「もういい。萎えた。最後くらい印象になるようなことをしてほしかったんだがな」
空母棲姫「私ハ、私ハ……提督ニ…………何かヲ……」
「死ね。過去に囚われた哀れな遺物」
-
111 : 2014/12/12(金) 00:54:54.35 -
飛行場姫の人戻ってきてるとか、流石に気分が高翌揚します
一段落つくまで何も言わないでチマっと更新していこうと思ったけど、こればかしはちょいと言いたくなりました -
113 : 2014/12/15(月) 03:41:59.61 -
空母棲姫とよく似た女性はそう吐き捨て、空母棲姫に止めを刺そうと殴りかかるそして、空母棲姫の顔は木端微塵に——
「…………」
吹き飛んだ。そう予知していた彼女だったが、結果は違った
拳は空母棲姫ではなく、何か無機質な物に当たった
そして、ヒトが居た。本来水上に浮かんでいられるはずがない存在が、だ
提督「ぐ……腕が折れるかと思ったぞ」
「さっきのヒトか?死んだと思ったが」
提督「悪いが、そう簡単に死ねるほど柔な鍛え方はしていない」
「ふぅん……水上を浮くことが出来るヒト…………艦娘、とは違う。となると、提督か?」
提督「…………」
「まあ、気にすることではないか。どうせすぐに死んでしまう」
提督「おい、ポンコツ姫」
空母棲姫「抑えろ……抑えろ……」
提督「……羊羹でも食べるか」
空母棲姫「私ノ分ヲ寄越せ…………ハッ!?」
「…………」
提督「ようやく気付いたか。こいつは何なんだ?」
空母棲姫「危ない!」
提督「ぬぉ……!」
-
114 : 2014/12/15(月) 03:45:21.98 -
空母棲姫が提督を引っ張り女性との距離を取ろうとする。その時、女性の拳が空を切り、提督達は紙吹雪のように吹き飛んだそのまま二人は水上を水きりのように跳ね、2、3回したところでようやく転がり、そして起きあがった
提督「ゲホッゲホッ!……さっき防いだ時はまだ運が良かっただけか。アレをまともに受けていたら死んでいたな」
空母棲姫「…………生きていたのか」
提督「ああ、往生するにはまだ早いからな。それに、死んだら鎮守府の仲間達に合わせる顔が無い」
空母棲姫「そうか。……良かった」
そのまま二人は彼女から出来る限り距離を取ろうと水上を駆け出す
「はぁ……避けるなよ。ただでさえ殺る気が起きないのに、しぶとく生きていられても困るのだが」
空母棲姫「……あいつノことだが、私にも分からない。だが、私ヲ殺すためニここヘ来た」
提督「お前達にも仲間割れなんてあるのか」
空母棲姫「仲間、そういう意識ハ恐らく無い。艦娘ヲ効率的ニ殺すためニ一時的ニ手ヲ組む、程度ノ認識しかない」
提督「では、何故お前を殺そうとしているんだ?やる気が無いのに加えて、仲間意識から来る制裁でないならこういったことをするとは思えないのだが」
空母棲姫「…………」
提督「思い当たりがないのか?」
空母棲姫「きっと、分からない」
提督「いきなり何を……」
空母棲姫「私ヲ殺して、私ト殺しあうため」
提督「…………頭でもおかしくなったのか?」
空母棲姫「……そうかもしれないな。今すぐニ休みたい」
提督「なら、この状況を何とかしないといけないな。私の仲間達が来れば、追い返すくらいはできるはず。それまでにどうにかして生き延びなければ」
-
115 : 2014/12/15(月) 03:47:37.30 -
提督「幸い、この位置からなら奴の攻撃手段は艦載機のみだろう。ならば、この雨を利用して逃げるしかない」空母棲姫「どう逃げるんだ」
提督「潜る。先程の私のように気付けなくなるのなら、それ以外に方法はない」
空母棲姫「私ハどうにかなるガ、お前には無理じゃないか?」
提督「無理かはやってみてからだ。私には艦の適正自体はある。常人よりかは何倍も息は持つだろう」
空母棲姫「……良く分からないガ、分かった」
「全く……愚かだ」
女性の足元から巨大な艤装が顔を出す。それに座ると彼女は髪をかきあげた
それが合図だったのだろう。艤装の一部分が赤く光り、そして彼女の後ろから砲撃音が轟く
提督「!?」
反射的に刀を出し、振りぬくと耳障りな音が響き渡る
それが砲弾だと視認したその瞬間、提督は身体を捻った
そして耳を劈く音。刀はまるでガラス細工のように砕け散り、砲弾はそのまま提督を穿つと言わんばかりに突き進む
しかし、身体を捻ったことによって間一髪、提督の横を通り過ぎて行った
提督「くっ……気をつけろ、まさかのほうげ……き……」
空母棲姫の方を向き、そしてあの女性の方向を見やる。吹っ飛んだことによって離れていた距離もあっという間に詰められており、彼女の姿が目視出来た
その艤装らしきものには砲塔が二つ……
提督「くそっ!……おい、大丈夫か!?」
それを確認した提督は、少しずつ沈んでいく空母棲姫の身体を抱き上げ声を掛ける。しかし、彼女の反応はない
-
116 : 2014/12/15(月) 03:50:04.19 -
「あまり私の手を煩わせるな」提督が振り返ると、先程までこちらに向かってきていたはずの女性が目の前に立っていた
ふと、目が合う。まるでゴミを見るかのようだ。そして、一切の興味を持っていないのだろう
「おい、ヒト。それを置いて行け。今なら見逃してやる」
提督「悪いが、それはできない相談だ」
「何故だ?お前は確か……提督だろ?それに執着するのは理解できんな」
提督「それはお前たちにも言えることではないのか?こんなポンコツ姫、放っておいても問題ないはずだが」
「まあ、問題ないな」
提督「ならば——」
「だが、私がツマラナイ。ツマラナイのは嫌だ。どんな奴もすぐに毀れるし、話にならない」
提督「それがどういう——」
「だが、そんな生活もそいつを殺せば終わる。毀して毀して毀し合うことが出来る……ああ、昂る」
提督「……頭がいかれているな、お前」
「深海棲艦と居る奴も同じようなもの、そうだろ?」
提督「お前みたいに話の繋がりが見えない薬物中毒者みたいな奴と一緒にするな」
「ふぅん…………有象無象が言うわね。まあ、こちらの事情を知らなければそんなものか」
提督「知りたくもないことだな」
「……はぁ。今すぐ失せろ。飽きてきた」
提督「……私の答えは変わらない。断る」
「……そう。命はいらない、か。吹けば飛ぶような存在がそうやって粋がるのは理解できないな。作業が増えて面倒だ」
そう言うと、女性は提督の首を狙う
彼は全くこの速さについてこれないのか酷くゆっくりと動いている
そして、そのまま手刀で振り抜く
-
117 : 2014/12/15(月) 03:50:44.58 -
女性は提督の死を確信していたこの状態で誰も邪魔をする存在は居ない
索敵内に一匹何かが入ったり出たりと良く分からない存在が居るが、それが何かできる訳ではない
艦載機も来ている気配が全くない
しかし、女性は満たされない。面白くも、スリリングでもない。これは完全に作業なのだ
何が死のうと、こちらに向かってくるのは同じような脆弱な存在
例え、艦娘でもそれが変化することはない
今、もしもここで自分が窮地に陥るようなことは起きないのか
もしも、このタイミングで自分と同程度の敵が現れたらどうなるのだろうか
そんなことばかりを考えるが、現実は変わらない
そして、今回もそうなのだろう
唯一楽しみなのは、この二人を処分した後同程度の存在が出来ることくらいか
ああ、ツマラナイ——
-
118 : 2014/12/15(月) 03:52:03.70 -
最初はひどく驚いた何故、あんな所に居たのか。どうして、存在に気づくことが出来なかったのか
そして、自分の死を確信した
しかしあの姫は、深海棲艦らしからぬことを言い放った
それどころか、どこか人間のように振る舞ってきた
そのまま流されるように言うことを聞いてしまったが、あの時点でなんとなく悪い奴だと思えなくなってしまったのかもしれない
そして、少しの間一緒に居ただけで共に居ることに抵抗を感じなくなった
まるで足りなくなった物が戻ってきたような感覚
けれど同時に、あの頃の記憶が蘇ってきてむなしさも覚えた
もう戻ることのない時間だと分かっている
それでも、どこか同じものを持っているのかどうしても思い出が蘇るのだ
そう。良く……似ている。とても——
『提督——』
だからなのだろう。だからこそ、あの瞬間に助ける以外に選択肢がなかったのだろう
逃げるべきだった。本来ならば、深海棲艦の勝手な潰し合いでしかなかったのだから。鎮守府の仲間に悲しい顔をさせる訳にはいかないのだから
けれど、あの時の出来事と重なってしまったらもう止まらなかった
もう、繰り返したくは、なかった
「————今なら見逃してやる」
また、あの時のことを思い出した
この言葉が、選んだ結果を示すのだろう
もしも、もし戻れるのなら————選択肢は決まっている
たとえ死が待っているとしても、それを覆す訳にはいかないのだから
-
119 : 2014/12/15(月) 03:56:50.08 -
グチャリとした感覚が女性の手に伝わるそして、息巻いていたヒトの首が空へ飛んでいった
彼女は心底つまらなそうにため息をつく
そして手に付いた血を払うと、空母棲姫を掴む
「さよなら」
そのまま彼女の胸を貫き、艤装の口に放った
艤装は彼女を頭、胴体、足を三つに食いちぎり、一つずつすり潰すように食らっていく
「ちくわ大明神」そう彼女は思うとまた一つため息をついた
ぼちゃり、と提督だった物がクレーンって良いものだと思いませんか?海に落ちて沈んで行った
end
最近のコメント