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1 : 2015/01/07(水) 23:15:10.86 -
「あっ」って気づいた時には、もう遅かった。
海未が「休憩にしましょう」と言ったと思ったら、
私や他のメンバーが上下に上がったり下がったりしている肩をよそに
凛が「休憩にゃ~!!」と言って騒ぎ出したわ。凛、あんた、休憩の意味わかってる?
休むに憩うって書くのよ?
ネズミを見つけたネコのように足を滑車のように回して駆け巡る時間じゃないのよ?そう言いつけてやりたけど、ほんと、命拾いしたわね、凛。
残念ながらこのにこにーもさっきの練習はちょっときつかったわけではないけど、
なんていうか、後半戦に向けて気を養っておきたいって言うか、
別に疲れているわけじゃないんだけど、ここでにこがアイドルパワーを振りまいたら
練習の前半で息が上がってるみんなにちょっと申し訳ないじゃない?
ほら、にこの底の無さを見せびらかしているようで。
持てるものの辛さよね、こういうの。だから、黙って屋上の段差に腰かけて、
他のみんなと同じようにタオルで汗を拭いたり、スポーツドリンクで喉を潤しているわけだけどSSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1420640096
ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1420640096/
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2 : 2015/01/07(水) 23:16:36.01 -
花陽「凛ちゃん、飲み物は今日どうしたの?」
凛「持ってくるの忘れたにゃー。だから、かよちんのちょっとちょーだい!!」
真姫「凛。あなた、タオルも持ってきてないじゃない」
凛「今日は寝坊しちゃって、準備が間に合わなかったにゃー。めんぼくないっ!!」
花陽「凛ちゃんらしいね。いいよ」
真姫「ちょっと、花陽。べつにあげることないじゃない。凛が自販機で買ってくればいいだけなんだから」
花陽「うーん。休憩時間がもったいないし。でも、私も今日はなんだか喉が渇いてるから少しだけね?」ハイ
凛「うわぁ! ありがとうにゃー!!」
真姫「まったく……。こうやって花陽が凛を甘やかしていった結果がこれなのね」
花陽「あはは……。甘やかしているわけではないんだけどなぁ」
真姫ちゃんがチラっとにこの方を見たけど、チラっとというか、
ちょっとジトっとしてたような気がしないでもないけど、
というか、「にこちゃんの飲み物、凛に分けてあげなさいよ」とかにこに訴えているような気がしないようでもないけど。
目の前で戯れている3人トリオを横目に、にこはゆっくりと自分の分のドリンクを飲んだわ。
ドラッグストアで1リットルの水に粉末を溶かすだけで簡単に作れる持参ドリンク1リットル!!
べ、別にこういう風に誰かが飲み物を忘れたとき用に多めにとか作ってるわけじゃないんだけど、
わけじゃないんだけど!!
なんていうか、凛と花陽のやり取りが自然すぎて申し出るタイミングを逃したとか……そういうのじゃないのよっ!!
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3 : 2015/01/07(水) 23:17:50.93 -
凛「ごく、、、ごく、、、ぷはぁー!! ありがとにゃー!! かよちん!!」ハイ
真姫「もっとしっかりしなさいよ、凛」
凛「うん! しっかりするよ!! だから次は真姫ちゃん、タオル貸してにゃー!」
真姫「ヴぇぇ!? な、なに言ってるのよ、凛」
凛「汗かいてて、ベトベトするにゃー。放っておいてもいいけど、もう10月だし、汗が引いたら寒くなってくるから汗ふ
きたいにゃー」
真姫「私だって、あ、あ、汗拭くために自分でタオル持ってきてるんだから嫌に決まってるでしょ!?」
凛「お願いにゃー。風邪はひきたくないにゃー」
真姫「凛は人のタオル使って嫌じゃないの!? 私なら絶対嫌なんだけど!!!」
凛「真姫ちゃんの汗が染み込んだタオルなら、大丈夫!!」
真姫「なによそれ!! わけわかんない!!」
凛ったら、なにを言っているのかしら……。
真姫ちゃんの顔がちょっと赤くなってるのがここからでもわかるわ。希とか、ドア付近で絵里と一緒に座って「スピリチュアやん」なんて呟いてるし。
この光景のどこがスピリチュアなのよ。
凛が今日寝坊して飲み物もタオルも忘れることをカードが告げていたわけ?海未なんて、ことりに「うみちゃんも私のタオルで拭いてあげようか」とか言われて
「んなっ、ここここここ、ことり!! 破廉恥ですっ!!」とかって
なんでだか真姫ちゃんより顔真っ赤にして、穂乃果がそれ見て笑ってるし。タオルで汗ふくことのどこが破廉恥なのよ。そういう風に関連付けるあんたの頭の中が破廉恥なのよ。
ったく。みんなアイドルとしての心構えが足りないのよ。
アイドルたるもの、タオルなんて普通、自分用と偶然に出会ったファンにサインを求められて「えー、にこー今サイン色紙もってないけどぉ、タオルはもう1枚余分に持ってるからぁ、それあげちゃうにこー!」
って、ファンサービスするためにファン用を持ち歩くべきでしょ?
『そ、そんな!? にこにーのタオルがもらえるなんて恐れ多いです!! いいんですかた、タオルとかもらっちゃって
』
「いいにこ、いいにこ。たまたま偶然タオルを持っていたからぁ、にこもぉ、あなたにあげたいなって思っていたと・こ
・ろ♪」
『さ、さすが宇宙No,1アイドル!! 矢澤にこさん!! 私もっとあなたのファンになりました』
真姫「いいかげんにしなさい!!」
にこ「……え?」
だなんて私が頭の中でまだ見ぬにこのファンのためにタオルを渡すイメトレをしていたら
(自分が真姫ちゃんに怒られたとか思って、不安になんかなってないわよ?)
なんだか目の前が騒がしくなったわ。 -
4 : 2015/01/07(水) 23:19:32.47 -
目を開けてみたら、真姫ちゃんのタオルを奪おうとして真姫ちゃんを追う凛と
凛にタオルを奪われまいとしてタオルを必死に握りしめて逃げ回っている真姫ちゃんの姿。2人は花陽を中心にまるで月と地球みたいにグルグル回っていたの。
なに、あんたたち、バターにでもなりたいの?
花陽が右往左往しててとってもかわいそうよ?凛「まつにゃー! 真姫ちゃん! タオルかしてにゃー!」
真姫「だから、いいかげんにしてってば。嫌にきまってるでしょ!?」
花陽「ふ、二人ともぉ~!! タオルなら私が貸してあげるからぁ~!!」
凛「いやにゃー!! 真姫ちゃんのタオルでモフモフしたいにゃー!!」
真姫「目的が変わってるじゃない!?」
背後から凛の手が、右肩の横、わき腹、左肩の上にへと、次々に伸びているのに
真姫ちゃんったら、背中に目でもついてるのかしら。
うまいこと凛の攻撃をかわして、タオルを死守している。にこ「どんだけ人にタオル使われるの嫌なのかしら……」
まぁ、たしかに自分が使った後のタオルを人に使われるなんて状況なかなかないものね。
そう考えると今真姫ちゃんは結構めったにお目にかかれない状況に身をおかれているわけだけど、
そうなってくると、、、これは助けたほうがいいものか、にこでも悩むわね。「ん?」っと、やけに静かな他のメンバーの様子が気になってそっちを見てみる。
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5 : 2015/01/07(水) 23:21:03.35 -
希と絵里は……お互いに互いのタオルで汗を拭いていたわ。
希「えりちのタオル、とってもハラショーやね///」
絵里「そ、そんな……/// 希のタオルもとってもスピリチュアルよ?」
にこ「……」
なんか、全然言っていることの意味を理解できないんだけど。
にこ、本当にあの2人と同い年よね? 同じ時代を生きてきたのよね?
ジェネレーションギャップとかないはずよね?……スピリチュアルなタオルってなによっ!?
これ以上2人を見ててもなんだかにこがよくわからない花園に出向いてしまいそうだから目を背けるわ。
視線を15度ほど花園から南に傾けると、
園田が南にタオルを顔に押し付けられていたわ。海未「こ、っことりのタオル、いい匂いです////」
ことり「えへへっ。うみちゃんに言われたら悪い気がしないなぁ~」
穂乃果「うみちゃーん!! 次はほのかのタオルの匂いもかいでよぉ~~!!かいでよぉぉ~~!!!」
なに、なんなの? 幼馴染ってタオルの匂いを嗅ぎあうものなの?
にこ、幼馴染とかいないからそういうとこ、アイドル的に疎いんだけど、そういうことなの!?
海未の顔、すっごい赤いし、ことりもなんだかまんざらでもない顔をしているんだけど!!
穂乃果に至っては通常運行だし、そういうことなの? なれっこなの?
それが幼馴染同士の日常ってやつなの!?にこ「わけがわからないわ……」
幼馴染がいないとか、友達がいないとか、そういう経験ってこういう風に
何気ない毎日の、何気ないひと時に水を差してくるから嫌よね。にこ「まぁ、別にいいけど……」
にこがそうやってちょっと冷静になって(別に落ち込んではいないわ、落ち込む要素なんてアイドルに必要ないもの)
そろそろ凛との追いかけっこをしている真姫ちゃんを助けるためにタオルを凛に差し伸べようとしたら「あっ」って気づいた時には、もう遅かった。
凛に追いかけられていた真姫ちゃんの顔が、真正面から私に突っ込んでくるのが見えた。
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6 : 2015/01/07(水) 23:23:03.41 -
にこ「」
真姫「」
凛「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
花陽「凛ちゃんのこんな本気の土下座初めてみた……」
花陽がドンビキするくらい、凛はうなだれる私と真姫ちゃんに頭を下げ続けたわ。
そうよね、まぁ、あんな結末になるなんて誰も予想してないもんね……。
って、めっちゃ希ニコニコしてるんだけど、なに? なんなの?
「カードがそう告げとったんよ」とか言い出すんじゃないわよ?
いくら私でも、こんなことカードに予言されるなんてたまったもんじゃないわ。
海未「は、は、破廉恥ですっ……い、いくら、じ、事故でもっ………破廉恥ですぅぅうううううううううう」
ことり「ん、ンみちゃー、おちついて、ほら」ヒッヒッフー
海未「私だって、私だって……」プルプル
海未「まだことりの寝顔にこっそりしたことしかないのにーーー!!!!」
ことり「」
ことり「ぴぇぇぇぇぇえええええええ/////////」
海未「にこのばかぁあああああああああああ」
ばかって言われてるのに、言い返す元気もないの。今のにこ。
サルのおしりみたいになった顔の海未が屋上のドアをドバーンして、走り去っていたのをかろうじて保っている意識の間で見たわ。
ことり「あぁん、まってーンみちゃー//////」
その後をことりが小走りで追いかけていくのも見たわ。
海未の、セリフ、聞かなかったことにして、にこは日頃の2人の関係だけ見続けて言うわ。幼馴染みって素敵ね。こういうときでも相手を追いかけていくものなのね。
っていっても、穂乃果はそんな2人を追いかけもせずに、にこと真姫ちゃんの顔を交互に見ているけど。穂乃果「いやー、うみちゃんとことりちゃんってそういうことだからさぁ。こういう時は2人きりにさせたほうがいいの
かなって。いちおう、ほのかも気はつかってるんだよ?」
ん? なんだか、言っている意味がよくわからないんだけど、頭…というか、顔というか・・・・・
やっぱり、頭ということにしておくけど、頭を強く打ち付けすぎたのかしら。ん? そういうこと? え、ん? 幼馴染、、、よね?
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7 : 2015/01/07(水) 23:27:17.46 -
希「いやー、にこっち、スピリチュアやね!」絵里「ハrrッラショー!!! 希、後で私たちも」キリッ
希「んもう、えりち、そういうとこ、賢くないやん///」
き、聞こえなかったフリをした方がいいのかしら。
にこ、「後で私たちも」の意味わかんなぁ~い♪
もう希とも絵里とも同い年じゃなくてい~にこ~♪……やめておこっ。
なんだか、自分にさっき起こった出来事と希と絵里の関係性について、察しがついてきているくらいには
少しは回復して頭も回るようになってきたにこ。。。にこ。。。にー。。。まぁ、お、おそらくっ、そ、園田と南にも言えることだけど、
そういう関係があっても然るべきよねっ!
にこはそういうの、寛大よ? 身体は小さくても器は大きいタイプなのよ!だから、そう、なにか気の利いたこと、言えるはずなの。
BGMが凛の「ごめんなさい」のエンドレスリピートなのはさておいて、
(作業用BGMとしてはサイテーなチョイスだけど仕様だから仕方ないわよね)
にこの左隣で、さっきから口を押えて顔をトマトのようにまっっかにして黙ってる、
真姫ちゃんにも。にこ「……あ、あの、ま、真姫ちゃん?」
真姫「……」
にこ「その、あの、さっきのキスは」
真姫「い、言わないで!?」////
にこ「!!」////
さっきも十分に赤いと思ったけど、さらに真姫ちゃんの顔が赤くなって
それを観たら、なんていうか、真姫ちゃんも半年前までは中学生だったのよね、っていう実感が
にこの中で沸いてきたの。きたけど、実感できたからってすぐにそんなものに対応できるってわけでもないでしょ。
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8 : 2015/01/07(水) 23:28:00.39 -
にこ「えっと、その……。にこは、その、気、気にしてないから」
真姫「気にしてないの?」
にこ「えぇー……。その、にこは普段からこころとここあとよくキスの真似事しているから慣れているっているかっ!
キスも時にはファンサービスの一環っていう側面をもっているっていうか!」花陽「キスがファンサービスなんて、そんなのアイドルじゃないです!!!!!」
あぁ、花陽。そういうとこ、拾わないで。
にこも言ってから「いや、そんなファンサービスしてたらそんなのアイドルじゃなくてピーーーだ」ってことくらい思ったから。
なんだか、真姫ちゃんが明らかにガッカリしているんだけど、なにこれ。
すっごい勢いで髪の毛クルクルし始めたんだけど。
いつもは片手だけなのに、なんだか両方でクルクルしてるんだけど、どうしたの真姫ちゃん。
クルクルしてないと死んじゃう病気にでもかかったの?
それとも。なに?アイドルってキスサービスしないといけないの?
にこ「に、にこはアイドルだからぁ~、別にぃ~真姫ちゃんがいいならいつでもキスとかしてあげるにこぉ~?」ピクピク
真姫「その話、ガチ?」ピタッ
にこ「え」
真姫「凛! 花陽! 今のにこちゃんのセリフちゃんと聞いた!?」
凛「凛聞いてたよ!! すっごい聞いてたよ!! 人質ならぬ言質とったよ!!」
にこ「言質!?」
花陽「私も聴いてた!! 思わずiPhoneで録音した!!!」
にこ「録音!?」
にこ「ちょっと、凛!? 花陽!? ど、どうしたのよ一体」
真姫「にこちゃん」
にこ「」ビクッ
真姫ちゃんの両手が私の顔を優しく捕まえた。
そのままゆっくりと、私の顔がにこの意思とは無関係に真姫ちゃんの顔に近づいていく。真姫「言ったことには責任、持ってね?」
真姫ちゃんの赤い、真紅のその瞳の中に、にこが映っているのをにこは見つめていた。
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9 : 2015/01/07(水) 23:29:04.53 -
「あっ」って気づいた時には、もう遅かった。
今ではもうにこと真姫ちゃんは毎日キスをする仲になった。
真姫「んっ……はっ……ちゅ…ん…にこ…ちゃ……んっ……」
にこ「……はっ……ちゅむ……ちょ、っと、ま、きちゃん……はげ……しい……よぉ……ンん…」
真姫「ふふ……口調、変わってるわよ。どっちが年上かわからないじゃない」
にこ「………う、うるさいにこ」
真姫「いまさらよ、にこちゃん。い。ま。さ。ら。……ハムっ……ちゅ……んん……」
にこ「ん……はっ……」チラッ
横目で見てみると、屋上のいたるところでキスが行われていたにこ。
希「んん……ちゅちゅ……えりちー。……かわいいやん?」
絵里「ちゅ……希こそ……ハラショーならぬ……ハラチューよ?」
ことり「私を観客だと思えば、ほら、ンみちゃーなら、ことりとキスできるよぉ?」ンチュチュチュン
海未「こ、と、り……ん…私のラブアローシュート、あなたにだけ捧げます」チューーーーン
凛「……かよちんとのちゅー、ラーメン食べてるみたいな味がするよぉー」チュチュチュチュ
花陽「凛ちゃんこそ。んちゅ……お米の味がする……甘いのぉ……モット……」マイチュマイチュマイチュ
屋上ならぬ、ここはキス天国ね。
真姫「にこちゃ……まきとちゅーしてるときに……ほかのとこみちゃやー……チュ……ンッ……」
にこ「……にこがまきちゃんいがいみるわけないじゃない……ん…チュ…はっ…ん」
にこ「にこはまきちゃんだけの……チュ……アイドル…なんだから……チュチュ……」
真姫「にこちゃー……」キュン
そんなキス天国で、ただ一人、ダンスの練習を続ける高坂穂乃果の姿があった。
穂乃果「やりとげる……私は……やりとげるんだからぁ……」1・2・3・ハイッ♪
完
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