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1 : 2015/04/20(月) 21:55:49.68 -
提督「こいつか? こいつは妖刀ハルユキって言うんだ」
叢雲「は? 妖刀?」
提督「そうだ。俺の家に代々伝わる名刀なんだぞ」
叢雲「はるゆき……って漢字はどう書くのよ」
提督「ハルユキはハルユキだ。片仮名で名前が伝わってるぞ。もしかしたら伝わる段階で名前の書いてある書物とかが紛失していったのかもしれないな」
叢雲「妖刀って……何言ってんのよ馬鹿じゃないの?」
提督「妖刀だって言われたんだから仕方ないだろ。まあ妖刀って呼ばれてるだけあって切れ味は抜群だからな。継がれてきただけはあるぞ」
叢雲「ふーん、アンタの家ってそんなにすごい血筋なの?」
提督「いやそんなことはないが……ハルユキを初めに持っていたらしいご先祖様は全く無名かつ、ものすごく無口で必要最低限しか喋らない人だったらしいとしか聞いてないな」
叢雲「あらアンタもそのご先祖様みたいに黙っててくれれば五月蝿くなくて済むのに」
提督「おまえから話しかけて来たんだろ!」
叢雲「もう冗談よ。それにしてもそんな大切なはずの日本刀を軍刀に使ってていいの?」
提督「いいんじゃないの? 許可ももらってるし」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1429534549
ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429534549/
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2 : 2015/04/20(月) 21:56:45.63 -
叢雲「そうじゃなくて家に大事にしまっておくべきじゃないのって聞いてるのよ馬鹿ね!」
提督「えー、だって軍刀買うと高いし……なによりさ」
叢雲「なにより……なによ」
提督「……かっこいいだろ?」
叢雲「…………ばーか」
提督「いやでもこんな日本刀他にないと思うぜ。見てみろよこの刀身」スラッ
叢雲「ちょっと突然抜かないで! 危ないじゃな……い……」
提督「ほら……綺麗だろ」
叢雲「な、なにこれ……」
ハルユキ「−−−−−−−−−−」
叢雲「刀身が……青い」
提督「そうなんだよ。なぜか刀身が青く輝いててすげえ綺麗なんだ。材質は普通の玉鋼なのになぜかこんなに美しい青になるんだぜ」
叢雲「……これが『妖刀』の所以かしら?」
提督「いやご先祖様の話だとハルユキの銘はころころ変わってるらしくて『猟奇守』だったり『散華』だったり『不壊』だったりすることもあったんだと」
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3 : 2015/04/20(月) 21:57:16.43 -
叢雲「ふーん……本当に綺麗ね。この刀」
提督「はっはっはっ、見直したか?」
叢雲「ハルユキはね」
ブーン……
提督「ん?」
叢雲「へ?」
ハチ「」スッ
提督「っ! 叢雲! 危ない!」
叢雲「えっちょっと……きゃあ!」
提督「はぁ!」→△(龍生)
ズパァン
叢雲「ちょっ!」
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4 : 2015/04/20(月) 21:58:00.60 -
ハチ「」
提督「ふー……大丈夫か叢雲」
叢雲「大丈夫か叢雲、じゃないわよ! やりすぎでしょ!」
提督「大丈夫、峰打だ」
ハチ「」ブ、ブーン
叢雲「いやいや……すごい音したわよ今……というか何今の技、ジャンプしながら切り上げるって緋天御剣流?」
提督「なんか咄嗟に剣の技が閃いたというか……体が何度も練習したように動いたというか……」
叢雲「……たしかに今のは付け焼き刃でどうこうなるような動きじゃなかったわね……」
提督「まさかハルユキが……?」
叢雲「……そんなアホな」
提督「試してみるか。藁を斬ってみよう」
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5 : 2015/04/20(月) 21:58:42.77 -
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提督「ふんっ!」→△(龍生)→△(龍飛)→△(龍殺)
ズパァ! ズパァ! スパァァン!
提督「でぇええい!」←□(鬼神剣)←□(鬼神剣舞輪)×4
ズッ! ズッ! ズッ! ズッ! バシュッ!
提督「おうらっ!」←△(右月)←△(左月)△(月兎)
ドスッ! ガスッ! ドガッ!
提督「うおおおおおらあああああ!」←→△(秘伝黒生)
ザンッ! ザンッ! ザンッ! ドシュッ! バシュッ! ドグリュシュッ!
提督「……はあ、はあ」
叢雲「す、すご……」
提督「すげえ……俺刀なんて剣道くらいしかしたことないのに……」
叢雲「本当に妖刀だったのね……ハルユキ……」
提督「こいつがあれば有利に戦えそうだな……使うか?」
叢雲「い、いや遠慮しておくわ……」
提督「えー、おまえも槍持ってんじゃん。同じようなもんだろー」
叢雲「全然違うわよ!」
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6 : 2015/04/20(月) 21:59:12.07 -
ビーッ! ビーッ! ビーッ!
提督「なに! 敵襲か!」
叢雲「嘘っ!深海棲艦!?」
提督「叢雲!」
叢雲「ふふっ!私に任せなさい!」
提督「無事に帰ってこいよ!」
−−−−−−−−−−
叢雲「くっ! よりよってみんなの遠征中に……っ! 本隊は入渠中だし!」
ヲ級「……」
ドンっ! ドンっ!
叢雲「ぐぁっ!」中破
叢雲「くっ……舐められたもんね!」
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7 : 2015/04/20(月) 21:59:53.20 -
提督「叢雲おおおおおおお!!!」水上ボート
叢雲「なっ! アンタなにやってんのよ馬鹿!」
提督「これを使えええ!」ブン
ガシッ!
叢雲「こ、これ……」
ハルユキ「———」
ヲ級「……」バシュッ!
提督「ぐああああ!」ドカーン
叢雲「し、司令! 嫌っ! 嫌あっ!」
ヲ級「……」
叢雲「……許さないわ……絶対に!」スラッ
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8 : 2015/04/20(月) 22:00:37.70 -
叢雲「でぇええい!」△(昇雲閃)△(雲裂き)→△(龍牙突)→△長(肝抜き)
ズバァズバァ! ドスッ! トグジュッ!
ヲ級「……っ!」中破
タ級「……っ!」スッ
叢雲「ふん!」←□(袖ばらい)←△←△→△(鬼発剣)
ズバァ! ザンッ! ザンッ! ドシュッ!
タ級「っ!」大破
叢雲「さあ……次に斬られたいのは誰!?」
ドンっ!
叢雲「っ!! きゃああああああああああ!」
レ級「……」
叢雲「レ級まで……上等じゃない!!」
レ級「ーーーーーーーーーーーーっ!」バッ!
叢雲「ーーーーーーーーーーーーはあ!」R1△(百鬼夜行)
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9 : 2015/04/20(月) 22:01:19.93 -
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提督「それで一人で深海棲艦の群を追っ払ったのか」
叢雲「ええ、惚れ直したかしら?」
提督「もうこれ以上ないくらいお前には心奪われてるさ」
叢雲「っ……そ、そうなのね……ふ、ふーん」
叢雲「……ってそんなことよりアンタなんで無事なのよ!」
提督「そりゃ提督だからな。提督なんだから無事に決まってるだろうが」
叢雲「……そ、そう」
提督「にしてもハルユキのおかげで助かったな……感謝しきれないな」
叢雲「この刀、本当になんなのかしら。さっきの話以外でなにか情報はないの?」
提督「ああ。俺が聞いたのは本当にさっきの情報だけだ」
叢雲「そうだわ! アンタちょっとその柄の部分外してみてくれない?」
提督「柄の部分? えー……面倒くさい」
叢雲「ナカゴに銘と刀名が刻まれてるかもしれないわ。もしかしたらちゃんとした由来もわかるかも!」
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10 : 2015/04/20(月) 22:01:57.02 -
提督「なるほど……まあいいか」カツンカツン
スラッ
提督「……ん?」
叢雲「詩が彫られてるわね」
ハルユキ「———」
「牡丹雪 ふれどつもらぬ 命とて せめて春は さけるべし」
叢雲「…………どういう意味?」
提督「さあ」
叢雲「はあ……ほんっとに使えない司令官ね」
提督「まあいいじゃないか。ハルユキは俺たちの力になってくれた。俺たちはハルユキに助けられた。それだけでさ」
叢雲「……そうかもね。ありがとうハルユキ」
ハルユキ「———」
提督「…………人の命はまるで牡丹雪、すぐに消えてしまうとも、せめてハルユキで斬られるのだけはさけるべき、か」
叢雲「え?何か言った?」
提督「いやなんでもないさ」
叢雲「ふーん、あ! そうだわ。今日私はこんなに頑張ったんだからせめてご飯くらいは奢ってほしいものね」
提督「はっはっはっ、それくらいならいいよ。さあ食堂に行こう。ハルユキも……腰に下げて」
完
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