提督「甘やかされた結果」


1 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 13:56:36.93 ID:FJkld2Nu0
長門「今回の大規模作戦も見事に勝利を収めたな」

長門「流石は提督。頼りになるお方だ」

長門「……しかし、働きすぎではないだろうか?」

長門「就寝時以外、あの方が休まれている姿を見たことがない」

長門「月月火水木金金などという言葉もあるが……」

長門「いくら戦時中でも、休養は必要だろう」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1431579386


ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1431579386/


2 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 14:00:20.14 ID:FJkld2Nu0
長門「無理にも休んでいただくか」

長門「いや、口で言って聞いてくださる方ではない」

長門「ううむ、どうしたものだろうか……」

鳳翔「あら、長門さん」

長門「む、鳳翔」

長門「……おお、そうだ!」

長門「名案を思いついたぞ!」

鳳翔「???」


3 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 14:04:44.07 ID:FJkld2Nu0
長門「と、いうわけで、提督には休養を取っていただきます」

提督「なんだ、唐突に」

提督「休養だと? 今は戦時下だ。気を抜くことはできん」

提督「特に今は大事な時期だ。勝って兜の緒を締めよという格言もある」

提督「寝ている時間さえ惜しいほどだ」

長門「それがいけないのです!」

長門「油断なき采配は、尊敬に値するものですが……」

長門「そのように、目にクマを浮かべられては心配にもなります」

長門「この二年、休みらしい休みも取っておられないでしょう?」

長門「いい機会だと思って、ぜひ、休養を」

提督「そうは言ってもな」


4 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 14:09:55.63 ID:FJkld2Nu0
長門「執務のことならご安心を」

長門「私を始めとする熟練秘書艦が、提督に恥をかかせないよう、万事取り計らいます」

長門「休養中は、鳳翔、雷、夕雲などの、包容力のある艦娘をお世話係としておつけします」

長門「いつものように、しかめ面の艦娘に囲まれていては心が休まりませんでしょう?」

長門「一週間だけと思い、どうか、ごゆるりと……」

提督「……」

提督「うむ」

提督「長門にそこまでさせておいて、断るほど私も狭量ではない」

提督「その計らい、喜んで受けよう」

長門「提督!」


5 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 14:15:24.16 ID:FJkld2Nu0
提督「最近、方々から働きすぎだと言われていてな」

提督「少し、気になっていたのだ」

提督「実際、過労は作業効率を大きく損なうからな」

提督「いい機会だ。のんびりと骨休めをするとしよう」

長門「それでは、提督。明日から一週間、執務は我々にお任せください」

長門「何事も間違いないように致します」

提督「ああ、任せた」

長門「では、打ち合わせをしてきますので、これで」ペコリ


7 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 14:18:33.00 ID:FJkld2Nu0
~夜~

提督「……」

提督「ふむ、休みか」

提督「いざ休みが取れるとなると、疲労がドッと出てくるな」

提督「今までこの疲れに自覚症状がなかったとなると……」

提督「なるほど、長門が心配するわけだ」

提督「今日は風呂に入って、早く寝よう」

提督「書類仕事も、今夜からしばらくはさよならだ……」ガチャ


8 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 14:24:05.98 ID:FJkld2Nu0
鳳翔「おかえりなさいませ」ペコリ

雷「あっ、遅かったじゃない!」

夕雲「ダメよ、提督。仕事のことは忘れるんでしょ?」

大鯨「今日もお仕事、お疲れ様です」

提督「……はて」

提督「ここは私の私室のはずだが……」

提督「貴様ら、何をしているのだ?」

雷「あれ? 長門さんから聞いてないの?」

大鯨「わたしたち、お世話をするように命じられたのですけれど……」

提督「むむっ」


9 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 14:27:22.04 ID:FJkld2Nu0
提督「もう夜も更けた。後は風呂に入って寝るだけだ」

提督「何も世話をしてもらうことなどないぞ」

雷「そんなことないわ。私たちに頼ってもいいのよ?」

提督「何をだ?」

鳳翔「お酌をしたり……」

大鯨「せせ、背中を流したり……」

夕雲「添い寝をしたり、ね」

提督「いらん」


13 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 14:35:26.15 ID:FJkld2Nu0
雷「そんなぁ! それじゃ、何もできないじゃない!」

夕雲「提督、気持ちを切り替えると決めたのでしょう?」

大鯨「それなら、そうした方が……えとえと」モジモジ

提督「むっ」

提督「……一理ある」

提督「では、鳳翔。風呂上りに酌を頼む」

提督「他の者は、今日のところは帰れ」

雷「はぁーい」


14 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 14:38:14.17 ID:FJkld2Nu0
~お風呂上り~

鳳翔「では提督。一献どうぞ」トクトク

提督「うむ……」クッ

提督「美味い」プハッ

鳳翔「うふふ」ニコニコ

鳳翔「最近はいつも厳しい顔をしていらっしゃったので……」

鳳翔「柔らかな顔が見られて、ホッとしました」

提督「そうか」


15 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 14:42:36.46 ID:FJkld2Nu0
提督「む、桜が散っている」

提督「夜桜で一杯、と洒落込もうとしたのだがな」

鳳翔「ふふっ、提督、もう五月ですよ」

鳳翔「桜はずいぶん前に散りましたよ」

提督「……そうか」

提督「季節の移ろいに気がつかないほど、余裕がなかったのだな」

提督「やはり私は病んでいたらしい」

提督「長門には感謝しないとな」

鳳翔「そうですね……」


17 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 14:45:25.77 ID:FJkld2Nu0
提督「一週間の休養、ゆっくりと羽休めをしよう」

提督「まずは……このとっくりを空にすることからだな」

提督「鳳翔。貴様も飲め」

提督「一人で飲むには、春の夜は侘しい」

鳳翔「ええ」

鳳翔「いただきます……」コク

鳳翔「ほうっ……」


18 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 14:48:27.93 ID:FJkld2Nu0
提督(こうして、春の夜は穏やかに更けていった)

提督(鳳翔と二人、注ぎつ注がれつ)

提督(言葉は少なく、大きな動きもない)

提督(まるで時間が止まってしまったかのような一時)

提督(このような時間が持てたのは何年ぶりだろう……)

提督(私は今、疲れや、心の中の澱がじわり、じわりと溶けていくのを感じていた)


19 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 14:49:08.54 ID:FJkld2Nu0
いったん休憩

続きは夜に!


26 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 18:39:25.18 ID:FJkld2Nu0
~一週間後~

長門「ふうっ。これで今日の仕事は終わりか」

大淀「お疲れ様でした」

長門「ああ、疲れた。提督の日頃の苦労が察せられる一週間だった」

加賀「これほどの仕事量を一人で抱え込んでいただなんて……」フウッ

利根「頼もしいを通り越して、無茶であると言えるな」

長門「まったく、私たちに一声かけてもらえば」

加賀「ええ。可能な限り手伝っていたわ」

利根「やれやれ、ペース配分も考えられんとは。まだまだ我輩の指導が必要なようじゃの」


27 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 18:43:37.85 ID:FJkld2Nu0
大淀「みなさん、あまり提督を責めないであげてください」

大淀「提督はいつもこうおっしゃってました」

大淀「『私は海に出られない。戦いは艦娘に頼るしかない』」

大淀「『だから私は、それ以外のことを力の限りにこなすのだ』」

大淀「『この国の……いや、世界のために戦う、彼女たちのためにな』、と」

艦娘「「「提督……」」」ジーン


28 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 18:47:54.55 ID:FJkld2Nu0
加賀「そういうことなら、また明日からこき使ってあげるわ」

利根「ふふふ、加賀よ。顔が少し火照っておるぞ?」

利根「なんじゃ、今ので少しきゅんときたか。胸きゅんか」カカカ

加賀「……貴女こそ」

利根「んなっ!?」アタフタ

大淀「ふふっ」

長門(そうか、提督は私たちのために……)

長門(そう思うと、胸が温かくなるな)

長門(……出勤は明日からだが)

長門(少し、提督に会いに行くか)


31 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 18:54:55.79 ID:FJkld2Nu0
~提督の私室前~

長門(……)

長門(い、勢いでここまで来てしまったが)

長門(もういい時間だ。子どもは寝ていてもおかしくない時間だ)

長門(は、はしたないと思われないだろうか)ソワソワ

長門(いやっ! このようなところを人に見られる方が問題なのでは!?)キョロキョロ

長門(……)

長門(ここは腹をくくって……は、入ろう)

長門「提督、夜分遅くに失礼します。長門です」トントン

??(はーい、開いてるわよー。入って入ってー)

長門「失礼します」ガチャ

長門(……ん? 今の声は……?)


32 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 19:00:01.40 ID:FJkld2Nu0
長門「提督、誰か先客がいるの……」

提督「バブーwwwww」

雷「はーい、提督。もうねんねしましょうねー」

提督「ファーwwwwww」キャッキャッ

雷「なぁに、おっぱいほしいの?」

雷「提督ったらおっぱいが大好きなんだから」

雷「ほら、もーっと私に甘えていいのよ?」ソイネー

提督「ウキャーwwwww」キャッキャッ

長門「です……か………………」


37 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 19:05:07.63 ID:FJkld2Nu0
金剛「アーッ、今日の添い寝係は私デース!」ガチャ

金剛「ドサクサに紛れていいとことっちゃ、ノー! なんだからネ!」

雷「でも、提督が離してくれないのよ」

雷「きっと、まだまだ私に甘えたいんだわ!」

金剛「そう言って頭を抱え込んでいるのはライの方デース!」

金剛「Get out! お子様はもう寝る時間ネー!」ヒョイ

雷「あーん、提督ぅー!」ジタバタ

提督「アンマ、アンマ」

長門「何なのだ……」

長門「何なのだ、これは……」


41 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 19:09:51.43 ID:FJkld2Nu0
鳳翔「あら、長門さん。こんばんは」

長門「鳳翔! どういうことなのだ、これは!」

鳳翔「どういうこと、ですか?」

長門「説明してもらおう!」

長門「提督に何があったのだ? 頭でも打ったのか!?」

長門「あの様子は尋常ではないぞ!」

鳳翔「言われてみれば……一週間前に比べて、リラックスされましたね」

長門「リラックス!? あれは幼児退行というのだ!」

鳳翔「そんな大げさな」

鳳翔「でも、まあ、この一週間、色々ありましたね……」


46 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 19:15:55.36 ID:FJkld2Nu0
~一週間前~

??「……はよう……おはよう……ございます」ユサユサ

提督「う、うーむ」

提督「誰だ? いや、もう朝か……?」

古鷹「おはようございます、提督」

古鷹「よくお眠りでしたね」ウフフ

古鷹「ですが、もう日も高いので、勝手ながら起こさせていただきました」

提督「なに? ……なっ!? もうこんな時間か!」

提督「昼前ではないか……!」

提督「こうしてはおれん。急ぎ着替えて、執務室に行かねば!」バサッ!

古鷹「きゃっ!」カー

提督「む、す、すまん」


48 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 19:18:42.47 ID:FJkld2Nu0
提督「だが、急がねばならんのだ」

提督「古鷹、すまないが退室していてもらえるか?」

古鷹「いえ、その必要はありませんよ」

古鷹「お仕事なら長門さんたちが始めています」

提督「なに? ……む、そういえば」

古鷹「はい。今日から提督はお休みです♪」

提督「そうだったな……」


49 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 19:22:06.23 ID:FJkld2Nu0
提督「そうか、休みか……」

提督「そういえば、昨夜は鳳翔と酒を酌み交わしたな」

提督「そして、そのまままどろんでいって……」

提督「あのように穏やかな気持ちになれたのも、こうも熟睡したのも、久しぶりのことだ」

提督「なるほど、人間、たまにはこのような時間が必要かもな」

古鷹「普通の人は週に一度はお休みするんです」

古鷹「この一週間、今までの分を取り戻すために、たっぷり休んでくださいね?」

提督「ああ」


50 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 19:26:10.00 ID:FJkld2Nu0
提督「とは言われても、私は仕事人間だ」

提督「急に休みをもらっても、何をしていいものやら……」

古鷹「そうおっしゃると思って、私たちが色々とプランを考えておきました」

古鷹「艦娘のシフトを渡しておきますね」

古鷹「空いている時間に私たちを訪ねてくだされば、心ばかりのもてなしをさせていただきます」

古鷹「事前に伝えていただければ、合同企画も考えますので、ぜひ」

提督「なるほど」

提督「分かった。このシフト表、ありがたく使わせてもらおう」

古鷹「はいっ♪」


52 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 19:39:39.33 ID:FJkld2Nu0
~一日目 正午~

提督「さて、遅めのブランチも取ったことだし」

提督「早速、誰かを訪ねてみるか」

提督「ふむ、この時間帯は……」ピラッ

提督「間宮が一息つくころだな」

提督「食後のお茶と甘味を楽しむとするか」スタスタ


53 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 19:44:57.15 ID:FJkld2Nu0
~甘味処 間宮~

提督「邪魔をするぞ」

伊良湖「あっ、提督! い、いらっしゃいませ!」

間宮「提督さん、お久しぶりです」

提督「む? ……そういえば、久しかったか」

間宮「ええ、随分とご無沙汰で……」

間宮「少し寂しかったんですよ?」ウフフ

伊良湖「ア、アダルティーな会話です!」ヒャー!


54 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 19:48:44.70 ID:FJkld2Nu0
間宮「それで、今日は何を差し上げましょうか?」

間宮「お食事がまだなら、そちらも用意いたしますが……」

提督「いや、食事は済ませてきた」

提督「さっぱりしたものをもらおう。煎茶と豆かんを持ってきてくれ」

間宮「はい。少々お待ちくださいね」

間宮「その間、伊良湖ちゃんとのお話をお楽しみください」ウフフ

伊良湖「えっ!?」ビクッ!


55 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 19:52:18.12 ID:FJkld2Nu0
伊良湖「……」ビクビク

提督「……」

伊良湖「……!」オドオド

提督「……」

伊良湖(ひゃ、ひゃー!)

伊良湖(雲の上の人だー!)

伊良湖(面と向かって話をするのは、これが始めてだけど……)

伊良湖(何だろう、何を話せばいいんだろう!?)


56 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 19:54:56.70 ID:FJkld2Nu0
提督「伊良湖……」

伊良湖「はははいっ!」

提督「大規模作戦の際、いつも助かっている」

伊良湖「はっ! ……え?」

提督「お前が作ってくれる甘味のおかげで、後一歩を踏ん張れるとみんな言っている」

提督「ありがとう」ペコリ

伊良湖「そ、そんなぁー」

伊良湖「わたしこそ、みなさんには頼ってばかりで……」


57 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 19:58:43.96 ID:FJkld2Nu0
伊良湖「提督に比べたら、わたしの頑張りなんて微々たるもので……」

伊良湖「あっ、そうだ!」

提督「ん?」

伊良湖「迷惑でなければ、わたし、マッサージをしますよ!」

伊良湖「お疲れだと聞いていたので、よければ揉み解しますが……」

提督「いや、願ってもないことだが……いいのか?」

伊良湖「はい。いつも間宮さんの腰を揉んでいるので、腕は確かだと思いますよ!」

提督「それなら……せっかくだ。頼もうか」

伊良湖「はいっ!」


58 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 20:02:30.36 ID:FJkld2Nu0
~お座敷でマッサージ中~

伊良湖「んしょ、んしょ」グイグイ

提督(むう、これは……)

提督(心地よいな。強張っていた筋肉が解れていく)

提督(まさに夢心地……ああ、力加減もちょうどいい)

提督(遅く起きたというのに、なんだか眠気がぶり返してきそうだ)

提督(うむ、これは……)

提督「zzz」

伊良湖「提督、いかがでしょうか?」

伊良湖「提督?」

伊良湖「あっ、寝てる……」


59 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 20:09:16.49 ID:FJkld2Nu0
~一日目 夜~

提督「むう、まさか夕方まで寝てしまうとは」

提督「寝てばかりの一日だったな」

提督「いや、しかし、伊良湖のマッサージは気持ちよかった」

提督「またの機会に、お願いしてみよう」

提督「……しかし、目が冴えたな」

提督「果たして、眠れるかどうか……」

赤城「そういう時は、添い寝に限りますよ」

提督「赤城」


60 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 20:12:36.20 ID:FJkld2Nu0
赤城「眠れぬ夜は添い寝に限ります」

赤城「ささっ、提督。今夜は私が寄り添いますので」

提督「何を馬鹿なことを」

提督「乳飲み子ではないのだ。添い寝などするはずがなかろう」

赤城「しかし、今夜眠れないとなると生活リズムが狂ってしまい」

赤城「今後の生活にも支障が出ると思いますよ?」

提督「むう……」


61 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 20:14:00.08 ID:FJkld2Nu0
提督「……一理ある」

赤城「でしょう?」

赤城「さあ、物は試しと申しますし……」

赤城「ささっ……ささっ……」

提督「……」

提督「まあ、いいだろう」


62 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 20:15:58.79 ID:FJkld2Nu0
提督「では、寝ようか」ドサッ

赤城「はい♪」パサッ

提督「……」

赤城「……」ギュッ

提督(むう、これは……)

提督(柔らかな感触と……甘い匂い……)

提督(幼少のころを思い出すな……)


63 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 20:16:53.98 ID:Pr/fAXtYO
>伊良湖「はい。いつも間宮さんの腰を揉んでいるので、腕は確かだと思いますよ!」

普通に間宮さんの胸って読んでた
もう俺はだめだ


64 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 20:19:58.73 ID:C2WySQ0AO
>>赤城「しかし、今夜眠れないとなると生活リズムが狂ってしまい」
>>赤城「今後の生活にも支障が出ると思いますよ?」

色々な物が狂っちゃって支障どころじゃないんだよなぁ……


66 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 20:26:16.96 ID:FJkld2Nu0
提督「zzz」スヤァ

赤城「ふふっ」

赤城「このようにあどけない顔を見たのは始めてですね」

赤城「まるで子どものよう……」

赤城「うふふ、かわいい♪」ナデナデ

提督「zzz」スヤァ


68 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 20:32:02.69 ID:FJkld2Nu0
提督(こうして、私の長い休暇は始まった)

提督(毎日ぐっすりと寝て、昼間は駆逐艦と戯れたり)

提督(さもなくば、金剛主催の茶会に出席していた)

提督(働いていないと時間がゆるやかに過ぎていくようで)

提督(朝日の煌き、青空の高さ、夕暮れに伸びる影)

提督(執務室の中にいては気づかなかったことが)

提督(私の心を、段々と穏やかにしていった)


69 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 20:36:15.60 ID:FJkld2Nu0
提督(思えば、仕事、仕事の日々だった)

提督(お国のために、と言いながら、ひたすらに滅私奉公の毎日)

提督(使命感や、それに応える充実感はあったが)

提督(疲労は否応なく溜まっていくものだった)

提督(…………)

提督(ああ、魂が浄化されていくようだ)

提督(休むことの意義、素晴らしさが、今なら分かる)

提督(いや、忘れていたことを思い出せたのかもしれない)

提督(母の温もり、まどろみの癒しを)


72 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 20:42:57.77 ID:FJkld2Nu0
提督(愛宕が優しく抱きしめてくれる)

提督(雪風が無邪気に甘えてくれる)

提督(榛名が用意してくれるお茶やおかしはおいしい)

提督(如月といっしょにねると、心がやすらぐ)

提督(仕事はひしょかんのみんながしてくれる)

提督(めんどうくさいろ号さくせんだって、かたづけてくれていた)

提督(わたしは何もしなくていい……)

提督(……)

提督(でも、これでいいのだろうか)

提督(ときどき、ふあんに)

~一週間後~

提督「ファーwwwwww」

長門「しっかりしてください、提督! 提督!」


74 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 20:49:54.20 ID:FJkld2Nu0
長門「くっ……」

長門「よくも提督をここまで甘やかしてくれたな」

長門「提督は私が連れて行く! 元に戻すのだ!」

浦風「待ちねえ! 今の提督さんに仕事は無理じゃ!」

朝潮「そうです。司令官はお疲れなんです」

敷波「あたしらがちゃんと世話するから……なっ?」

長門「悪化するのが目に見えている!」クワッ!


75 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 20:56:55.12 ID:FJkld2Nu0
長門「ストレスフルな環境から、一度に休暇を与えすぎたのがいけなかったのだ」

長門「何事も適切な量があるということだ」

長門「提督! お気を確かに!」

長門「この長門、次は間違えません!」

長門「仕事と休暇が釣り合う点を……」

長門「きっと、きっと見つけてみせます!」グッ

提督「アンマー」キャイキャイ


76 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 21:02:20.35 ID:FJkld2Nu0
~一ヵ月後~

長門(あの忌まわしき事件から一ヶ月が過ぎた)

長門(過度に甘やかされた提督は、半ば精神崩壊を起こしていたが……)

長門(皆の助けもあって、元の状態に回復するに至った)

長門(今では精力的に執務に励んでおられ、)

長門(週末はゆっくりと骨休めをされるようになった)

長門(よかった……一事はどうなることかと思ったが)

長門(終わりよければ何とやら、だな)ウンウン


77 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 21:04:16.21 ID:FJkld2Nu0
提督「長門。これが次の大規模作戦の概要書だ」

提督「目を通しておいてくれ」

長門「はい」

長門(……)

長門(……しかし)

長門(この凛々しい提督に甘えられるというのは)

長門(一体、どのような気分なのだろう?)


80 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 21:06:46.90 ID:FJkld2Nu0
長門(求められ、全てを委ねられる)

長門(それは究極の信頼と愛情だ)

長門(ケッコン指輪はもらったが……)

長門(果たして、それほどの親愛が、提督にはあるのだろうか?)

長門(ううむ……)

長門(……)

長門「あ、あの、提督?」

提督「む。なんだ?」


81 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 21:10:16.14 ID:FJkld2Nu0
長門「仕事もひと段落つきましたし、休憩を取られてはいかがでしょうか?」

提督「そうだな……そうするか」スクッ

長門「あ、その、つきましては、ですね」

長門「私が膝を貸しますので、そこに頭を載せていただいて……」カァァ

提督「……なに?」

長門「膝枕で、仮眠を取られては、と」マッカ

提督「……」

長門「……」

提督「…………」

長門「…………」

<ファー!


82 : 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 21:13:19.45 ID:FJkld2Nu0
以後、提督の症状は回復したりぶり返したりするのだが——。

それはまた、別のお話である。

おしまい

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