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1 : 2015/06/16(火) 22:33:33.15 -
萌えラノベっぽい何かを書きたくて。ツンデレ艦娘界のエリート曙で行きます。
↓直近作、>>2去作紹介、本編>>3らで今回はハイブリット形式です。
【艦これ】梅雨祥鳳【短編集】祥鳳、川内、時雨、叢雲の四篇
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433165511/【艦これ】叢雲アフター【短編SS】叢雲後日談
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433665395/【艦これ】梅雨矢矧【短編SS】初めての秘書艦矢矧
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433763923/SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1434461603
ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1434461603/
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2 : 2015/06/16(火) 22:34:05.66 -
① 叢雲「私のバレンタイン・デイ」(処女作・地の文)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1423917520/② 天龍「オレと、提督の恋」(長編地の文・恋シリーズ)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1425124375/③ 神通「私と提督の、恋」(長編地の文・恋シリーズ)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1427886950/④ 球磨「お姉ちゃんの損な役回り」(球磨師匠、磯風の弟子視点・ハイブリット)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1430532671/⑤ 磯風「磯風水雷戦隊」陽炎「陽炎水雷戦隊」 磯風・陽炎「突撃する!」(二人の演習戦・ハイブリット)
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1430824186/⑥ 青葉「司令官をグデングデンに酔わせてインタビュー!」(台本形式挑戦作)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1426429109/l50⑦ 青葉「司令官を酔わせて取材しちゃいました!!」(台本・鶴姉妹主役のある神作品リスペクト)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1426905375/
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3 : 2015/06/16(火) 22:34:54.60 -
曙「なんでこうなったのよ」
提督「…」
曙「全く、冗談じゃないわ!」
提督「そんな事言ったって、しょうがないじゃない」
提督「それにあれは事故なんだし…」
曙「だからって、だからって…」
曙「なんで私がクソ提督と、一日中手を繋がなくちゃいけないのよ~!」
左の手のひらだけがさっきからずっと、汗ばんでいるのを感じて。
早鐘をつく様な胸のドキドキを悟られないようにしながら、私は喚いた。
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4 : 2015/06/16(火) 22:36:07.63 -
全く、なんで僕が嫌われなくちゃいけないんだ…。
女の子の手を握っていることを意識して、緊張して強ばった右手の力を緩める。
曙さんの悲鳴を横で聞きながら、僕はこの騒動の発端を思い出すのだった。
夕張「提督、いつもの開発のご報告なのですが」
提督「うん、ありがとう…って、これは何?」
夕張「新兵装を作ろうとしたら失敗しちゃって」
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5 : 2015/06/16(火) 22:38:00.15 -
えへへ、と可愛く笑うのは鎮守府の開発担当をしている夕張さんだ。
艦載機や砲の他にも役に立ちそうなアイデアがあればこうして実験してくれる。
画期的な兵装を開発してくれたこともあるんだけど…これは。
提督「なに、これ。おもちゃのステッキ?」
夕張「提督、持ってみて下さい」
提督「え、これでいいの?」
促されるまま、夕張さんが開発したというステッキ(?)を手に取る僕。
これにどんな効果があるっていうのだろうか。
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6 : 2015/06/16(火) 22:39:06.98 -
夕張「いま、提督の手に磁力が溜まっています」
提督「磁力!?」
提督「凄いじゃないかこれ」
提督「じゃあよっぽど役に立つ効果が…」
夕張「この状態で誰かと手を繋ぐと、手と手がくっついて放れなくなります!」
提督「なんてもの開発してんのさ!」
慌ててステッキから手を放して机に置く。
何でこんな意味もない迷惑なものを作るんだろう?
ロマンがどうとか言われても、サッパリ意味が分からないよ。
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7 : 2015/06/16(火) 22:40:16.45 -
夕張「元々は深海棲艦鹵獲用に作っていたんですが…」
夕張「よく考えたら深海棲艦と手を繋ぐってありえませんよね!」
提督「あのねえ…」
夕張「でもですね、失敗作とはいえ開発は開発」
夕張「出来れば効果を試したいんですけれど、どうでしょう?」
提督「駄目に決まってるでしょ!」
こんなものが誤作動でもしたら、鎮守府の任務に支障が出てしまう。
とにかく一度僕が没収して様子を見るとしよう。
思えば、これが油断だった。
彼女たちの帰投時間を把握していたくせに、何故机の上に出しっぱなしにしたんだろう?
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8 : 2015/06/16(火) 22:42:24.58 -
漣「艦隊帰投ですよ、ご主人サマ!」
朧「第七躯、帰ってきました!」
提督「漣さんに朧さん、おかえり」
潮「あ、あのう…」
提督「潮さんも、おかえり」
提督「みんな無事かな?」
出撃から時間通り帰投してきた第七駆逐隊のみんなが戦果を報告しに来る。
漣さんと朧さんは元気良く、潮さんはみんなの姿に隠れながら。
そして、最後の一人は…。
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9 : 2015/06/16(火) 22:43:08.30 -
曙「みんな無事かなんて、見れば分かるでしょ?」
潮「あ、曙ちゃん!」
提督「曙さんもおかえり」
曙「…フン」
提督である僕にかしこまった態度を取る艦娘の方が少ないこの鎮守府だけど。
ここまで辛辣な態度をとられることは、そうそうない。
潮さんが慌てて執り成そうとするのも相手にせず、彼女はそっぽを向いた。
人間でいえば同い年くらいの目の前の女の子を見て、僕はいつも思うんだ。
…何か嫌われるような事をしたっけ、って。
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10 : 2015/06/16(火) 22:43:46.94 -
漣「そういえばご主人サマ、何してたんですか?」
朧「夕張も。もしかして大事な任務の話だった?」
まさかヘンな秘密道具の話でしたなんて言うのも格好がつかなくて。
僕は曖昧に笑って答えを濁した。それがいけなかった。
曙「?」
曙「何よこの、机の上の」
そう言って曙さんが例の、夕張さんの”失敗作”を手にとった。
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11 : 2015/06/16(火) 22:44:38.90 -
提督「あっ、ダメだよ!」
曙「はぁ?アンタこんなもので遊んでたの?」
曙「ほんっとに、これだからクソ提督は…」
提督「いいから、それから手を放して!」
夕張「ちょ、提督!?」
慌てて曙さんの方へ駆け寄る。
だって、彼女の隣にいる潮さんと手が触れでもしたら大変だ。
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12 : 2015/06/16(火) 22:46:21.91 -
曙「な、なんでアンタが寄ってくるのよ!?」
提督「いいからそのステッキを——」
曙「ち、近い、クソ提督近い!」
曙「あっちいけっ…って、えぇ!?」
提督「曙さん、危ないっ」
曙さんが体勢を崩しそうになったのを見て、思わず手を伸ばした。
伸ばして、彼女の腕を掴んでしまった。
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13 : 2015/06/16(火) 22:50:29.20 -
提督「あっ」
夕張「あっ」
女の子と手と手が触れ合ったのに、今この瞬間だけは何の感慨もない。
曙さんと僕が手を繋いでしまった…その意味が分かる二人だけが声をあげる。
曙「ちょ、放しなさいよこのクソ提督!」
潮「曙ちゃん、提督にそんな事言っちゃ駄目…です」
提督「うん、放せてたら放してるんだけど…」
もう僕の手は曙さんの左手をガッチリと掴んでしまっていた。
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14 : 2015/06/16(火) 22:51:29.90 -
潮「手を放したくないってことですかぁ!?」
漣「ラブコメキタコレ!」
曙「なっ…ななな、なな!?」
朧「面倒くさいことになった?」
提督「曙さん、落ち着いて話を聞いて欲しい」
曙「いいから手、放しなさいよぉ~~~~!」
まだ状況を分かっていない曙さんの悲鳴が、執務室にこだました。
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15 : 2015/06/16(火) 22:53:10.15 - 今日は導入だけ、曙好きの方よろしくお願いします。
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24 : 2015/06/17(水) 22:09:23.12 -
投稿していきます
パンツ脱いでるのは美少女提督だと信じることにします・・・します・・・ -
25 : 2015/06/17(水) 22:11:17.44 -
曙「…で、その機械のせいで私たちの手が放れないって?」
提督「そうなんだよ」
曙「何てことしてくれるのよ、このクソ提督!」
提督「僕のせいじゃないんだけどっ」
提督「夕張さん、解除する方法はないの?」
夕張「無いですっ」
今日一番元気よく、夕張さんが返事する。
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26 : 2015/06/17(水) 22:11:53.36 -
朧「そこまでキッパリ言わなくても…」
曙「張本人とは思えない開き直りっぷりね」
漣「まあでも、ご主人サマは女の子と無料で手をつなげる訳ですし」
提督「言い方酷くない!?どういう意味!?」
漣さんの斜め上な考え方はいつもの事だけれど。
それにしても僕って普段どういう目で見られているんだろうか?
今度真面目な潮さんあたりに聞いてみようかなあ…。
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27 : 2015/06/17(水) 22:13:08.62 -
曙「やっぱりやらしい目的じゃないの、放しなさいよっ」
提督「だから違うって…」
曙「な、なによ。私なんかが目的じゃ無かったってこと!?」
どうしてそういう考えになるのかなあ。
手をつなぎながら罵倒されるという得がたい体験をしながら、僕はため息をついた。
でもこれ、いつまで続くんだろう。まさか一生このままって訳でもないだろうし。
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28 : 2015/06/17(水) 22:14:06.49 -
夕張「まあ一日たったら効果も切れると思うので、それまでガマンして下さい」
提督「ふーん。なんだ、一日か」
曙「なんだ、一日でとけるのね。まあそれなら…」
うんうん、たった一日なら思ったより…
提督・曙「って、ええええええええ!?」
今度は曙さんだけじゃなくって僕まで一緒になって。
夕張さんに向かって驚きの声をあげるのだった。
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29 : 2015/06/17(水) 22:21:05.25 -
一日、手の自由が効かない。
それ自体はまあ、何とかなる。今は緊急の案件がないし、代筆が出来ればいいから。
”提督として”の僕なら何とかなるのだけれど…。
問題は、そう。”男子として”の僕にあるんだ。
一日中女の子と、手を繋いだままずっと一緒に過ごす…。
曙「変態、変態っ。変態クソ提督~!」
しかも、混乱して顔を真っ赤にして…考えうる限りの罵倒を繰り返す彼女と一緒に。
あんまりな非常事態に僕は、曙さんって意外とボキャブラリーが少ないんだなって。
そんな間の抜けたことを思ってしまった。
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30 : 2015/06/17(水) 22:22:25.70 -
曙「ちょっとクソ提督、手!」
提督「え、何?」
曙「に、握る力が強いんだけどっ…」
提督「あ、ご、ごめん!」
曙「う、うん…」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ七躯のみんな(主に漣さん)と夕張さんが執務室を去ったあと。
僕は曙さんと二人で椅子を並べて、これまた二人で執務机に向かっていた。
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31 : 2015/06/17(水) 22:25:49.97 -
曙「ね、ねえ」
提督「ん、何かな、曙さん」
曙さんが手のひらに込める力を入れなおすたびに、微妙な力の変化が伝わってきて。
それがなんだか、とても恥ずかしいけれど…そんな事は顔に出さずに答えた。
曙「い、一日、アンタと手を繋がなくちゃいけないのは分かったわ」
提督「うん」
曙「だけど…」
言いづらそうに曙さんが口ごもる。
普段勝気なはずの彼女が、僕の目を見て話さないのはなんでだろう…?
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32 : 2015/06/17(水) 22:27:59.51 -
曙「だけど、どうして私が秘書艦までやらなくちゃいけないの!?」
提督「だって、放れられないんだから…君にやってもらうのが一番効率的だよ」
今日は夕張さんが秘書艦の予定だったんだけれど、急遽交代。
そりゃあ一日一緒にいるんだから、こうした方がいいと思うんだけれど。
曙「何で私がアンタを助けないといけないのよ」
提督「あ、そこ違ってる。艦娘の被害状況の報告だから…」
思わず見つけた間違いを指摘する僕。
他の艦娘と執務を執る時みたいしてしまった…怒るかな?
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33 : 2015/06/17(水) 22:29:04.02 -
曙「えっ、あ、そうね。こうした方が良さそう」
提督「うん、そうだね。そっちの方が伝わりやすい」
曙「ふん、私に任せとけば間違いないのよ」
曙「~♪」
あれれ?
さっきまでは文句を言ってたのにもう乗り気になってる。
というか、曙さんは秘書艦の仕事、今日が初めてのハズだけれど?
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34 : 2015/06/17(水) 22:29:57.73 -
提督「曙さん、初めてなのに中々筋がいいじゃないか!」
曙「ハン…これくらいで筋が良いとか。何言ってんの?」
曙「むしろ他の秘書艦の手際が悪いんじゃない?」
憎まれ口も彼女が言うと不思議と悪意を感じない。
苦笑とともに僕は賞賛をもう一つ言い添える。
提督「まるで練習してきたみたいだよ!凄い!」
曙さんの手際の良さを褒めるこの一言。
これの、いったいなにが悪かっただろうか?
ぶ、っと変な息を吹き出したあと、曙さんが僕に喰ってかかる。
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35 : 2015/06/17(水) 22:32:20.87 -
曙「ななな、何言ってるのよクソ提督!」
曙「私がアンタのために秘書艦の練習してたですって!?」
提督「僕のためにとかは言ってないけど…」
秘書艦に任命したことのない彼女がその練習をしてくるだなんて、本当に思っている訳がない。それに僕のためにだなんて、尚更だ。
曙「そ、そう。分かればいいのよ…」
怒っていたはずがそう言ったっきり急に黙っちゃうし、訳が分からない。
曙さんの発言の意図を探ろうとして彼女の方を覗き込むけれど…。
もう曙さんは再び書類と睨めっこしていて、僕の視線には気がつかなかった。
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36 : 2015/06/17(水) 22:35:17.06 -
ふと、先ほどの疑問が蘇ってくる。
元々素直じゃなさそうな曙さんだけど、なんで僕はこうも敵視されるのだろうか、と。
出会い頭にキスしてしまっただとか、着替えを覗いてしまっただとか。
曙さんとの間にはそういう事件もなかったハズだから、本当に思い至らない。
椅子に姿勢良く座った曙さんの視線は真っ直ぐに机の上の書類に固定されていて。
そんな彼女の姿を、僕は真剣な目で凝視してしまっていた。
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37 : 2015/06/17(水) 22:40:16.89 -
僕と比べて頭一つ背の低い彼女の顔が、すぐ近くにある。
切れ長の瞳は絶えず誰かを威嚇するように愛想のないかたちをしていて、逆にそれが可愛らしい。
色素が薄い髪の毛は執務室の大窓から入る陽光を受けて、綺麗な紫色に見えた。
その紫色がゴムひもでサイド・テールにまとめられていて、毛先が彼女の左肩—つまり僕が座っている側—へ垂れている。
思わず引っ張りたくなってしまう衝動をこらえるのに、僕は想像以上の労力を要した。
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38 : 2015/06/17(水) 22:43:58.90 -
提督「(うわ、わわっ)」
だけども僕が一番動揺したのは、もっと違うところにあった。
瞳でも髪でもない。アイデアが浮かんだのか、短く笑って唇に当てていた鉛筆を動かしだした女の子らしい仕草にでもない。
提督「(曙さん、襟元!襟元!)」
彼女の背が低い分、僕が彼女を見るときは必然、上から覗き込むようなかたちになる。
曙さんの艤装は、丁度女学生のセーラーの様な装いだ。
だから…紺色のカラーからのぞく曙さんの白くて細い首筋が余計に目立ってしまって、僕の目が釘付けになる。
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39 : 2015/06/17(水) 22:46:52.41 -
白い首筋にかかる彼女のおさげのせいで、隙間から中身は見えなかったけれど。
曙さんが頭を動かすたび、髪の毛の揺れて首筋の白がチラチラと見えてしまう。
ああ、これは良くない、良くないぞ、僕。さっさと目をそらさなきゃ…。
曙「何だか今日は暑いわね…」
提督「(ちょっと、何パタパタしてるの!?み、見え—)」
こちらが必死になって煩悩と戦っているのに何を考えているんだろうか。
曙さんはというと、僕の邪な視線にはまだ気がつかず、襟元を仰ぎだしたのだ!
一仰ぎ、二仰ぎとやるたびに…いけないと思いつつも僕の視線は彼女の胸元へ。
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40 : 2015/06/17(水) 22:51:30.32 -
提督「(落ち着け僕。落ち着け。相手は人間なら歳下だぞ多分!)」
彼女に気がつかれる前に目を逸らさなきゃ…とは思っても中々理性が戻ってこなくて、僕は混乱した。
だって、襟元をパタパタとやるたびに、これまた白い鎖骨がチラチラと顔を出すのだ。正直カンベンして欲しい。
提督「(相手は歳下、相手は歳下…胸だってほら、そんなに…)」
提督「(あれ、よく見たら瑞鶴さんくらいはある…かも?)」
いやいや、お姉さんだし流石に瑞鶴さんの方が…。
そんな不埒極まる事を考えたからか、曙さんの手を握る僕の手がきゅっと強まった。
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41 : 2015/06/17(水) 22:53:48.66 -
曙「きゃっ、ちょっと痛いじゃないクソてい…クソ提督?」
提督「あっ」
目と目が合う瞬間—感づかれる。
女の子は男の邪な気持ちを見破るアンテナがあるって聞いたことがある。
どうやらそれは今回も一発で発揮された、ということらしい。
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42 : 2015/06/17(水) 22:58:57.60 -
曙「ななな、何見てんのよクソ提督っ」
曙「いいい、今私のこといやらしい目で見てたでしょ!?」
曙「それで、いったいどこ見てたのか言いなさいよ、クソ提督っ!」
提督「見てない!見てないよ、決して!」
ああ違う、しらばっくれる時は”何を?”って聞き返すんだった!
曙「嘘、だって目がやらしいじゃない!」
ほら、疑いが晴れなかった。
でも曙さんは追求が甘いなと僕は思う。
だって、どうやらどこを見ていたかは気づいてないらしいことが今の台詞で分かったから。
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43 : 2015/06/17(水) 23:00:34.28 -
これならまだ誤魔化しようがあるぞ!
せめて首筋や胸元を見ていたことは隠さなきゃいけないと焦って…。
だから僕は、言わなくても良い事まで言ってしまった。
提督「あの、確かに見てたけどいやらしい意味でじゃないよ?」
嘘ですごめんなさい、いやらしい意味でした!
曙「じゃあなんで見てたのよ」
提督「その…髪、綺麗だなって思って」
曙「ば、バッカじゃないの、クソ提督、クソ提督、クソ提督っー!」
顔を真っ赤にさせた曙さんは、それっきりそっぽを向いて喋らなくなった。
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44 : 2015/06/17(水) 23:01:39.28 -
提督「ご、ごめん」
曙「フン」
曙さんに敵視される理由が分からない、だって?
僕は数分前の自分に向かって心の中で話しかける。
多分それ、僕が原因だぞって。
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45 : 2015/06/17(水) 23:02:20.31 -
提督「あ、曙さん?」
曙「うるさい、クソ提督!」
僕と決して視線を合わそうとしない曙さんと、再び会話が出来るようになったのは…。
それからゆうに15分は経った後でした…。
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46 : 2015/06/17(水) 23:06:17.31 -
本日以上です、次回投下は曙視点から(たぶん)
いやもうホント曙は可愛くて仕方がない -
52 : 2015/06/18(木) 21:50:35.57 -
提督さんは「瑞鶴さえ来れば他はいらない!」って言って空母レシピ回してたずい
でも瑞鶴が来てからも空母レシピ回して翔鶴ねえが来た時は小躍りしてた投下するずい -
53 : 2015/06/18(木) 21:51:38.67 -
利き手が塞がったクソ提督のために、机に向かった私はペンを走らせる。
秘書艦なんて別にやりたくないけど、私がやらなきゃクソ提督が困るんだから仕方ないわ。
せいぜい私に感謝することねって言ったら、純粋な笑顔で「ありがとう」って返された。
提督「あ、そこ違ってる。艦娘の被害状況の報告だから…」
あ、そっか。私の書き方だとイマイチ状況が分かりにくいわね。
やっぱりこいつ、教え方だけはホントに上手いんだから、腹が立つ。
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54 : 2015/06/18(木) 21:52:49.04 -
曙「えっ、あ、そうね。こうした方が良さそう」
提督「うん、そうだね。そっちの方が伝わりやすい」
曙「これはいつも出してるの?」
提督「書くのは毎日かな。1週間分まとめて報告だね」
曙「ふうん、大変なのね」
提督「ちゃんと鎮守府を見てれば、そんな事ないさ」
曙「…」
でもそのおかげで私は何時ぶりか分からないくらい、コイツと自然に話すことが出来た。
別にそんなの全然嬉しくないけどっ。まあでも、嫌なわけじゃないけどね。
これは…そう、いままでやったことのない秘書艦の仕事が出来て気分がいいだけ。
…ほんと、それだけよ。
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55 : 2015/06/18(木) 21:53:36.06 -
曙「ふん、私に任せとけば間違いないのよ」
曙「~♪」
私の意外な手際の良さクソ提督が驚くのを見ているのが心地いい。
提督「曙さん、初めてなのに中々筋がいいじゃないか!」
でも、ちょっと褒められすぎて憎まれ口を叩いてしまった。
クソ提督が顔をしかめなかったことにちょっとだけホっとしたけど…。
次の瞬間、私の平静は破られることになる。
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56 : 2015/06/18(木) 21:54:39.16 -
提督「まるで練習してきたみたいだよ!凄い!」
曙「…!?ゲホっ、ケホッ!」
提督「うわ、どうしたの、曙さん!?」
秘書艦組の赤城や加賀たちの話に聞き耳を立てたり。
図書室で自由開放されている鎮守府の資料を読んでみたり。
そうして密かな”予習”をしていた私の行動が見透かされたようで、びっくりした。
ま、まさか、ホントに見てた訳じゃないわよね!?
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57 : 2015/06/18(木) 21:55:42.90 -
…べ、別にクソ提督の秘書艦になりたくて勉強していた訳じゃないからっ。
この鎮守府の艦娘として知ってて当然の事を知ろうとした、それだけよ、ほんとに。
だから、そう。的外れなクソ提督の意見は否定しておかないといけない。
だって…か、勘違いされたら困るんだからっ!
曙「ななな、何言ってるのよクソ提督!」
曙「私がアンタのために秘書艦の練習してたですって!?」
提督「僕のためにとかは言ってないけど…」
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58 : 2015/06/18(木) 21:56:17.19 -
慌てて否定しようと思ったら、いつもみたいなそっけない返事をしてしまった。
そのせいでクソ提督も口ごもってしまって、さっきみたいな普通の会話がなくなる。
ああ、またやっちゃった。
そう思ったけれど、既に叩いてしまった憎まれ口は取り消せなくて。
だけど、どうやって謝ったらいいかも、どうやったらコイツが笑顔になるかも分からなくって。
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59 : 2015/06/18(木) 21:59:17.38 -
だから私は、私の肩ごしから書類を眺めるクソ提督の方を振り返りもせずに。
秘書艦の仕事に集中するフリをして、ただただ気まずい時間が過ぎ去るのを待つ。
一言、謝っちゃえばそれで終わることなのに。
他の艦娘なら簡単に出来ちゃうことが私には出来なくって。
私ったらほんと、ばっかみたい。
胸の内で、自分に向けてそっと呟いた。
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60 : 2015/06/18(木) 22:00:05.28 - 思ったより短い投下になっちゃいました、一先ずここまでです
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66 : 2015/06/20(土) 08:23:56.53 -
黙々と書類にペンを走らせていると、ふとある事を思い出してしまった。
そういえば私、クソ提督とずっと手をつないでいるんだわ!!
一瞬だけドキっと胸が高鳴って、手をつなぐ左手に力がこもる。
だめ、これはとっても、だめ。
曙「何だか今日は暑いわね…」
身体が暑いのは、部屋が暑いせい。
そうに決まってるって誰かに言い訳して、パタパタと襟を仰ぐ。
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67 : 2015/06/20(土) 08:24:36.64 -
あれ、でも、そういえば。
私が喋らないのは良いとしても、後ろで見ているハズのクソ提督まで黙ったままというのはどういうことなんだろう?
曙「きゃっ、ちょっと痛いじゃないクソてい…クソ提督?」
急に、今度は私の手がクソ提督の手にきゅっと掴まれて。
思わず声をあげて、にらめつけてやろうと振り返ったら。
目と目が合う瞬間—。
今までとは比べ物にならないほどのドキドキが、私を襲った。
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68 : 2015/06/20(土) 08:25:12.16 -
私よりも少し、年上の雰囲気を持っているのに。
どこか幼くて、女の子と見間違える様な中性的な顔立ちに華奢な身体。
碧い海を映した様な綺麗な瞳に吸い込まれそうになって、私はしばし言葉を失う。
それ以上見つめていられるのが怖くなる。
よく分からないけれど、だってそれは。
…それはとっても、キケンなことだって思ったから。
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69 : 2015/06/20(土) 08:25:46.35 -
曙「ななな、なんで私の事見てるのよ」
提督「いや、あの…」
いつもは屈託のない優しげな微笑みを浮かべている彼の頬は、何故か薄く紅潮していて。
それでもずっと視線は私に釘付けだったようで、今は気まずげに視線をそらしている。
曙「いいい、今私のこといやらしい目で見てたでしょ!?」
曙「変態クソ提督、変態変態—っ!」
だから、自分がコイツに何を言ったのか、正直覚えていないけれど。
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70 : 2015/06/20(土) 08:26:17.67 -
提督「その…髪、綺麗だなって思って」
曙「ば、バッカじゃないの、クソ提督、クソ提督、クソ提督っー!」
その一言が私の胸を撃ち抜いて。
結局、胸のドキドキはさっきよりも一層激しくなった。
全てが収まるまで、たぶん15分くらいはずっと、何も話せなくなるくらいに。
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71 : 2015/06/20(土) 08:29:11.02 -
ぼのたそ~
提督視点まで追いつきました、続きは書けしだい投下となります -
76 : 2015/06/21(日) 09:15:01.66 -
提督「あ、ここはちょっと資料が欲しいな」
曙「はあ、何のよ?」
報告書の記入にかこつけて、何とか曙さんと話せる様になった頃。
時刻は午後2時となっていた。3時の演習が始まるまでには今の仕事を終えなければならない。
提督「あそこに以前からの出撃データがあるんだ」
そう言って僕は執務室の端にある本棚を指差す。
床から天井までズラリと棚が並んで、これまた中身がキッチリ揃っている本棚を。
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77 : 2015/06/21(日) 09:15:45.69 -
曙「あんなに…まさか置いてあるだけじゃないでしょうね?」
曙「本当に頭に入ってるの?」
提督「うん、まあ一通りは」
曙「…」
覚えているのは大事なところだけだけどね。
あんなの全部頭に入っているのは天才だけだよ。
なんて言ったら怪訝な顔で見られた。何か変なこと言ったかな?
まあいいや、それで、その…。何と言ったらいいのか。
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78 : 2015/06/21(日) 09:16:35.24 -
曙「?」
曙「何よ、取ってきたらいいじゃない…って、ああそっか」
手が繋がっている状態だから一緒に行動しなきゃいけない。
それもあるんだけど、僕の気が進まない理由は他にあって…ああでも、報告書を半端に書く訳にもいかないし。
本棚の前には椅子が一つ置いてある。
それは腰掛けて座るためなんかじゃなくって、その…。
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79 : 2015/06/21(日) 09:17:26.19 -
曙「で、欲しい資料ってのはどれ?」
提督「う、うん。あれ」
本棚の上から二つ目の段を指差す。
そこは15歳という僕の年齢じゃあ届かないほど高いところにあって…。
曙「はぁ?あんな高いトコ、クソ提督届く…」
曙さんの視線がそこで、本棚の前の椅子に固定されて。
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80 : 2015/06/21(日) 09:18:01.40 -
曙「…っぷ」
提督「な、何さ」
曙「べ、別に…ぷぷっ、さっさと取ったらいいじゃない?」
大人の男なら手を伸ばせば十分届くところにあるけれど。
あれが届かないのは、僕の年齢を考えれば普通な訳で。
その為に踏み台を用意して置いておくのも、これまた普通な訳で。
僕も全然、自分の背が低いことは気にしてないから。
いやほんと、身長なんてどーでもいい。提督業に関係ないもんね、うん。
…やめよう。
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81 : 2015/06/21(日) 09:18:44.26 -
提督「自分だって届かないくせに」
曙「私は女だから良いの」
提督「へえ、女の子だったんだ、初めて知ったよ」
曙「あ、あんですって~!?」
少しだけ仕返ししてやることにした。
…いや、全然悔しくなんてないけどね!
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82 : 2015/06/21(日) 09:21:48.65 -
革靴を脱いでいつもの通り椅子に立とうとすると、これが今日ばかりは上手くいかない。
利き手は曙さんと繋いだままな訳で、欲しい資料は椅子にのった状態の僕が背伸びしなければ届かない場所にある訳で。
曙「ねえ、まだなのクソ提督。手、痛いんだけどっ」
提督「だって、中々届かなくって」
提督「ちょっと曙さんも椅子に乗ってくれない?」
だから僕はそんな恐ろしいことを口にしてしまった。
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83 : 2015/06/21(日) 09:22:37.42 -
僕の提案に、曙さんもさっさと用を済ませるべく賛同して靴を脱ぐ。
そうして勢いをつけて椅子の上へ。よし、これで資料も取りやすく…って、
提督「えっ?」
曙「あ」
一つの椅子に二人が立つ。
よくよく考えてみれば…そんな事をすれば、二人の距離はとてつもなく縮まるんだ。
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84 : 2015/06/21(日) 09:29:52.09 -
眼下に二つの星がキラキラと輝いている。
それはよく見れば曙さんの潤んだ瞳だった。
曙さんは頬を桃色に染めて、僕を見つめながら呟いた。
曙「…は、はやく本、取ってよ」
提督「う、うん」
きっと僕も彼女と同じ顔をしているんだろうなと思いながら、恥ずかしさをごまかすためにもさっさと用を済ませることにする。
提督「あ、あれ…?」
いつもなら背伸びすれば簡単に届くそれも、手を繋いだ状態じゃあ中々届かない。
はやくこの恥ずかしい状況から脱出したい…焦った僕は動きやすい様にさらに半歩、曙さんとの距離を詰めた。
それがいけなかった。
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85 : 2015/06/21(日) 09:30:32.19 -
曙「ちょ、近いクソ提督近いっ」
提督「しょうがないだろ、ちょっとガマンしてよ」
そうして背伸びするときに…上半身と上半身が触れ合うんだないかっていうくらい曙さんに近づいた。
まるで抱き合う直前の恋人みたいに。
ビクリと曙さんの身体が仰け反るのが分かる。
曙「は、放れなさいよ、バカっ」
提督「あ、いきなり後ろに動いたら…」
グラリと、椅子が傾く。
僕との接近を嫌がった曙さんが急に椅子から降りようとしたから、二人の体勢が崩れたんだ!
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86 : 2015/06/21(日) 09:31:23.34 -
曙「きゃっ、うそ!?」
提督「曙さん危ない!」
当然、先に降りようとした曙さんが下敷きになってしまう…それを防ぐために。
空いていた左手を彼女の腰にまわして、僕の方へぐっと引き寄せる。
華奢な身体だから僕の力でも何とかそれが出来た。
そして、抱き寄せた曙さんと入れ替わるべく身をよじる—。
ドン、と、予想していた衝撃が僕の背中に走った。
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87 : 2015/06/21(日) 09:31:59.78 -
提督「いってててて、曙さん大丈夫?」
曙「え、ええ。クソ提督も—」
目と目が合う—今度は、これ以上ないくらいの至近距離で。
抱き寄せた彼女の顔は、当然僕の真上にあるわけで。
潤んだままの瞳も、さっきよりもうっすらと上気した頬も。
呆然と開けられたままの桜色の唇も、全てが僕の目の前にあった。
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88 : 2015/06/21(日) 09:32:34.38 -
提督「…」
曙「…」
固まったまま、執務室は沈黙に包まれる。
お互いの身体を密着させて見つめ合う僕たちは、まるで世界が止まってしまったかのように硬直した。
繋いだ手と、スカートから伸びる曙さんの脚が僅かに動いたのが分かる。
一言、どいてよと言えばそれで済むはずなのに。
何故だか僕は、その一言が言い出せずにいたんだ。
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89 : 2015/06/21(日) 09:33:46.63 -
曙「あ、あのっ」
曙さんの吐息が僕の頬にかかる。それだけで心臓が一際大きく跳ねるのが分かった。
一度意識してしまうともう駄目だ。彼女の吐息、僕の軍服と艤装が擦れあう音と柔らかい身体の感触…。
このままではいけないのは分かってはいても、自分の意思ではどうにもならない。
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90 : 2015/06/21(日) 09:34:33.06 -
曙「このまま、誰かが来たらこまるから…」
僕と抱き合ったままなのが嫌、という言い方ではない。
いっぱいいっぱいだった僕は曙さんの微妙な発言のニュアンスに気がつかなくて。
提督「うん、そうだね。誰かに見られたら困る…」
オウム返しに同じ事を呟いて、二人して立ち上がろうとしたその時。
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91 : 2015/06/21(日) 09:35:14.46 -
ガチャリと執務室のドアが開いた。
夕張「提督、おはようございま———」
夕張「———した」
提督「ちょと待って、ちょっと待って夕張さーーーーーん!!!」
いつもの入室の挨拶をしながら最速で出て行く夕張さんを見て。
僕は悲鳴を上げながら、彼女を引き止めるべく立ち上がるのだった。
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92 : 2015/06/21(日) 09:36:25.97 -
ぼのたそ~
一先ずここまでです。 -
98 : 2015/06/23(火) 21:40:14.68 -
夕張ほど性格が良いトラブルメーカーはいない
投下します -
99 : 2015/06/23(火) 21:40:57.28 -
夕張「待てってなんですか、私に何を見せつけるつもりですか!?」
提督「何も見せつけないよ!?」
提督「違うんだ夕張さん、あれはそういう事じゃなくって」
顔を真っ赤にして立ち去ろうとする夕張さんを慌てて引き止めた後。
誤解して再び突っ走る夕張さんを、僕は何とか説得しようと試みる。
…というか前から思ってたけれどこの人、間が悪すぎじゃないだろーか?
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100 : 2015/06/23(火) 21:41:34.83 -
提督「曙さんもほら、誤解を解くために一緒に」
曙「見られた見られた見られた」
曙「抱き合ってるとこ、見られた…」
提督「ピンポイントで誤解されそうなコト言うのやめてもらえるかな!?」
でもまあ、きちんと正直に話せば誤解は解けそうだ。
あの場面を見られたのが常識的な夕張さんで良かったよ、ホントに。
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101 : 2015/06/23(火) 21:44:32.29 -
提督「ほんっと、見られたのが夕張さんだけで良かった」
夕張「あのう、あはは…」
夕張「そのですね、提督」
曙「そうね、夕張なら言いふらしたりしないだろうし」
曙「ま、まあ言いふらされたとしても、私はどうってことないけどっ!」
そこまでハッキリ存在を否定されると若干傷つくんですけど…。
ほんと、なんで僕は曙さんにこうも距離を空けられるのだろうか?
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103 : 2015/06/23(火) 21:45:20.50 -
提督「僕としては言いふらされたりすると困るなあ」
曙「な、何よ。私とじゃ嫌だっていうつもりなの!?」
提督「ち、違うよ。主にセクハラ的な意味で…」
曙「フンっ」
夕張「あのう、それがですね提督」
ん?
そういえばさっきから夕張さんが何か言いたそうにしているけど…?
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104 : 2015/06/23(火) 21:47:51.84 -
提督「どうしたの、夕張さん」
夕張「さっきの現場を見たのがですね…」
提督「うん、見られたのが夕張さんだけでホントに…」
青葉「ども」
提督「…」
曙「」
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105 : 2015/06/23(火) 21:48:34.99 -
夕張「じ、実は一緒に来てたりして~。あは、あはは…」
提督「ちなみに、どこから?」
青葉「もち、最初からです!」
ああ…。
夕張さんって、ホントに…。
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111 : 2015/06/24(水) 23:22:07.32 -
まだ少年だからね、至らないところがあるのは仕方ないね
今回の投稿はダラダラした会話だけです -
112 : 2015/06/24(水) 23:24:05.20 -
一括りにされたスミレ色の髪の毛。
空を映したような透き通った水色の瞳は目の前の出来事を少しも見逃さないようにとめいっぱい見開かれている。
セーラーの可愛らしさと短パンの活動的なイメージのそれらを両立させる彼女の有り様を一言で言い表すとしたら…。
好奇心。
青葉「司令官司令官、どうしちゃったんですかぁ!?」
青葉「まさか曙さんとくっつくとはこの青葉、予想していませんでした!」
曙「く、くっつ!?」
ああもう。青葉さんが来ると絶対にこうなるんだ。
これだけは曙さんのためにも、絶対に否定してあげないといけない。
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113 : 2015/06/24(水) 23:24:58.77 -
提督「ち、違うよ。そうじゃないから!」
提督「第一、僕が曙さんとどうこうなるなんて」
提督「そんな訳ないじゃないか」
曙「…」
そんな事言ったら曙さんに迷惑をかけてしまう。
ただでさえ僕と手を繋ぐことになって不機嫌になってるんだから…。
って、ちらりと視線を横にやると曙さんがますます不機嫌な顔をしているんですけど!?
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114 : 2015/06/24(水) 23:25:34.86 -
曙「フン」
曙「やっぱり私なんかと手、繋ぎたくなかったんじゃない」
なんでそういう風にとらえるかなあ?
誤解されないためにも、ちゃんと否定してあげただけなのに…。
提督「とりあえず青葉さん、何があったか説明するとね」
このままではどんな事実(?)を報道されるか分からないので、僕は事の顛末を最初からっ説明することにした。
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115 : 2015/06/24(水) 23:26:38.11 -
青葉「ほうほう、つまり手を繋がなくちゃいけなくなったのも」
青葉「曙ちゃんが司令官を押し倒していたのも、まったくの事故という訳ですね!」
曙「お、おおおおし、おし…」
曙さんここで壊れないで欲しい、話がややこしくなるから。
提督「そうなんだよ、信じてくれてたすかっ…」
曙「そそそ、そうよ。だからあれはまったくの事故…」
青葉「それでそれで、本当のところはどうなんですか!」
提督「」
曙「」
夕張「あはは~」
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116 : 2015/06/24(水) 23:27:19.14 -
ほら、やっぱりこうなった!
青葉さんが絡んでややこしくならなかった事がないんだから!
青葉「司令官司令官、ホントのトコロと教えて下さいよ~」
青葉「青葉、ゼッタイに秘密にしますから!」
じゃあその手に持った鉛筆とメモ用紙は何なんですかね!?
青葉「ちなみにちなみに、青葉の予想はですね!」
聞いても無いのに自論を語りだす青葉さん。
あ、これはアレだね。100%当たらないやつだね。
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117 : 2015/06/24(水) 23:28:27.03 -
青葉「ある日をさかいに司令官を意識しだした曙ちゃん。でも司令官は秘書艦の空母艦娘とイチャイチャしてばかり」
青葉「ホントはもっと仲良くしたい、でも気が付けばいつも自分は憎まれ口を叩いてばかり…」
青葉「でもでも、今日は違いまいます。司令官と手を繋いで放れられない、しかも瑞鶴たち秘書艦組がこぞって演習で出かけている!」
青葉「これはチャンス、と思った曙ちゃんは溢れ出る恋心を抑えきれず、とうとう司令官を押し倒してしまうのでした…」
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118 : 2015/06/24(水) 23:28:54.46 -
提督「な、長い…」
青葉「どうです!?」
いや、どうと言われましても…。
提督「だから全く当たってないってばっ」
思ったとおり100%当たらないやつだったよ。
…なんて思っていたら夕張さんがまさかの一言。
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119 : 2015/06/24(水) 23:30:43.59 -
夕張「う~ん、ちょっとは当たってるかも?」
提督「へ?」
曙「な、ちょ…ゆ、夕張あんたぶっ飛ばすわよ!?」
当たってるって言っても…どういうことだろう?
提督「ああ、瑞鶴さんたちが演習でいないっていうのは、そうだね」
ついでに言うと明日まで帰ってこない。
…助かったなんて思ってないぞ、僕は。
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120 : 2015/06/24(水) 23:31:30.45 -
夕張「いや~、それもそうなんですけれど…そうじゃなく」
夕張「その発言の前の」
曙「わーーー!何言ってんのよ、そんな訳ないでしょ!」
提督「前?」
曙「クソ提督も考えんな!エッチ、変態!」
だからなんで僕が罵られるのさ!?
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121 : 2015/06/24(水) 23:32:48.49 -
青葉「うー、違いますか。青葉、イイ線行ってたと思うんですけれども」
提督「いやもう全く違うから。曙さんが僕を…なんてありえないから」
だってただでさえこんなに嫌われてるっていうのに。
提督「曙さんも嫌な思いをさせてごめん。繋ぎたくもない手を繋がせてしまって」
曙「は、はぁ?そ、それを言うなら…お互い様でしょ」
曙「クソ提督も私なんかと手、繋ぎたくないんだから」
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122 : 2015/06/24(水) 23:34:58.23 -
うーん?
なんでだろう、僕が曙さんを避けてると思い込まれているのは。
むしろ曙さんの方が僕を避けていると思うんだけどなあ?
まあいいや、これもいい機会だと思って少し攻めてみようかな。
せっかく同じ鎮守府にいるんだから、もっと仲良くしたいしね。
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123 : 2015/06/24(水) 23:36:30.40 -
少年提督、ガン攻めのもよう
吾輩ちと疲れたぞ、しばらく寝る!ということで続きは明日にします
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128 : 2015/06/25(木) 21:57:30.90 -
攻撃あるのみじゃ!
投下はじめます
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129 : 2015/06/25(木) 21:58:20.04 -
提督「僕は曙さんと手を繋いで嫌、なんてことはないよ」
思ったことを正直に、そのまま言葉にしてみせる。
僕が曙さんを避ける要素が無いんだと示すために。
曙「にゃ、にゃにゃ!?」
青葉「ほほう?」
夕張「青葉今イイトコロだから黙って、シッ」
青葉「夕張の方が青葉よりミーハーじゃないですかぁ」
曙さんの変な鳴き声と見物人のヒソヒソ声を無視して、とりあえず話を続ける。
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130 : 2015/06/25(木) 21:59:07.46 -
提督「その、狙った訳じゃあないけどさ」
提督「女の子と手を繋いでいるんだから、けっこうドキドキしてるんだ」
提督「それにその相手が曙さんなら、緊張しこそすれ嫌がる訳ないじゃないか」
だからその、もうちょっと仲良くしてくれると嬉しいな。
そんな事を言うと、曙さんは何も言わず黙って頷いてくれた。
…頷いたまんま顔を上げないで何も喋らないのは不安だったけれど。
少しは僕の気持ちが伝わったら嬉しいと思った。
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131 : 2015/06/25(木) 22:02:09.01 -
青葉「おお~。やっぱり司令官、言う時は言いますねえ!」
夕張「そうかな、無意識に言う分タチが悪いんじゃない?」
青葉「ほほーう?」
夕張「な、何よ青葉ってば」
青葉「何で夕張が不機嫌になるのか、また今度キッチリ取材させてもらいます!」
夕張「もう、青葉のばかぁ!」
何故だろう、鎮守府屈指の人当たりの良さを誇るあの夕張さん。
その彼女の雲雀の様な可愛らしい声に、少しだけ棘が含まれているような?
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132 : 2015/06/25(木) 22:02:47.54 -
提督「夕張さん、何で怒ってるの?」
提督「僕、何かした?」
夕張「別に知りません、っだ!」
提督「えぇ…」
いやほんと、なんでさ?
不機嫌が曙さんから夕張さんへ移ったら意味ないじゃないか…。
相変わらず下を向いて黙ったまんまの曙さんを横目に、僕はため息をついた。
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133 : 2015/06/25(木) 22:06:10.14 ID:BJhGVrzkO - ⑥って完結してたっけ?
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