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1 : 2016/01/24(日) 13:32:16.80 -
扶桑「そうなのよ……」
扶桑「あの子、大掃除中に重い荷物を持っちゃったの……」
雪風「それは大変!」
扶桑「だから医務室の湿布とコルセットがほしいんだけど……」
扶桑「私はこの後出撃なの……」
雪風「じゃあ、私がとってきますね!」
扶桑「ほんと……?ありがとう……」ナデナデ
雪風「えへへ」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1453609936
ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1453609936/
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3 : 2016/01/24(日) 13:37:55.65 -
雪風「えっ!湿布が切れちゃってるんですか?」
明石「うん……そうなのよ」
明石「ここも酒保の分も、私が発注忘れちゃってね」
明石「雪風、ごめんね……」
雪風「そうなんですか……」シュン
明石「……あ、そうだ!」
雪風「?」
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4 : 2016/01/24(日) 13:42:10.63 -
明石「雪風、今時間ある?」
雪風「はい!非番です!」
明石「そっか、じゃあ……」ガサゴソ
明石「私のお金を渡すから、これで湿布を買ってきてくれない?」
明石「この辺りには何もないから、隣町まで行ってもらうことになるんだけど……」
雪風「分かりました!大丈夫です!」
明石「ほんと?ありがとうね!」
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5 : 2016/01/24(日) 13:47:40.49 -
雪風「……あれっ」
雪風「明石さん!お金がおおいのでかえします!」
明石「ふふっ、いいの!」
明石「バス代もいるし……」
明石「ついでに皆に内緒で、美味しいものでも食べてきて」ニコッ
雪風「おいしいもの……!」キラキラ
雪風「ありがとうございます!」ニコッ
明石「じゃあ……お願いね?」
雪風「はい!いってきます!」
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6 : 2016/01/24(日) 13:55:01.20 -
ドタドタドタ…
ドーン!雪風「きゃっ!」
提督「おぉーうぁ!」
バサッ バラッ……
提督「ゲェーッ、資料の山がっ」アタフタ
雪風「ご、ごめんなさい!」ペコッ
提督「あ、あぁ……いいよいいよ」
提督「怪我はなかったか?」
雪風「はい!」
提督「そっか」ホッ
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7 : 2016/01/24(日) 14:01:43.00 -
提督「そんなに急いでどうしたー?」
雪風「今から湿布のおつかいと」
雪風「内緒でおいしいものを食べにいくんです!」
提督「そ、そうか……まぁいいや」
提督「今度からは鎮守府の中、走ったらだめだからな?」
雪風「はい!気を付けます!」
雪風「では!」
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8 : 2016/01/24(日) 14:07:48.91 -
提督「やれやれ……」ピラッ
提督「……」ピラッ
提督「ん?」ピラ…
提督「あ、この写真!」
提督「こんなところに挟まってたのか」
提督(カーチャンと昔飼ってた犬が写ってる)
提督(……今はカーチャン一人か……)
提督(……)
提督(近いうちに帰ってやるか)フフッ
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9 : 2016/01/24(日) 14:14:29.90 -
雪風(こうやってバスを待つのは久しぶりです)
雪風(もうすぐおおみそかなので外は寒いですが……)
雪風(ズボン!コート!マフラー!)バッ
雪風(これでへっちゃらですね!)ニコッ
ブロロロrrr……
雪風(……どうやらバスがきたみたいです!)
……
…………
……………… -
12 : 2016/01/24(日) 14:19:47.50 -
ブロロロロrrrrr……
女(あー……立つのダリィ……)イライラ
女(あぁちくしょう、あの変態おやじ……)
女(うちの店でべたべた触りやがって……)
女(常連がなんだってんだ……クソッ)
女(……今日も来やがんのかな……)
女(いっそ……辞めてやろうかこんな仕事)
女(……いや、頭の悪いアタシじゃ、こんな仕事しか……)
女(腹のガキが生まれたら、ミルク代が出せなくなっちまう……)
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13 : 2016/01/24(日) 14:26:16.90 -
雪風「……」ジーッ
女(……このガキ何見てやがんだ……)イライラ
雪風「」スッ
女(ん?立った?)
雪風「あの!」
雪風「ここ、座ってください!」サッ
女「え……?あ、アタシっ?」
雪風「はい!そうです!」
女「え、いや、いいよっ……」
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14 : 2016/01/24(日) 14:32:37.34 -
女「アタシ、そんな歳じゃないしっ」アタフタ
雪風「うぅ、でも……っ」シュン
雪風「お腹が重そうなんです!」
女「……っ」
雪風「私はいいんです!ですから!」
女「……」
女「あぁ、ありがとう」フフッ
雪風「!」ニコッ
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15 : 2016/01/24(日) 14:38:24.97 -
エキマエ……エキマエデス
ツリセンノナイヨウ、トウニュウグチニ……運転手「230円だよ」
雪風「はい!」チャリン
雪風「ありがとうございます!」
タタタッ……
女(ありがとうございます!……か)
女(……あんな子に育ってくれたらな……)サスサス
女(……)
女(……お腹の子にアルコールを与えてるようじゃ……)
女(……だめだよな)
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16 : 2016/01/24(日) 14:45:59.14 -
女(……)
女(……決めた)
女(今の仕事はやめる)
女(ガキに誇れるまっとうな仕事をしよう)
女(……これならお前の天国の父ちゃんも……)サスサス
女(……喜んでくれるかな)ニコッ
………………
…………
…… -
18 : 2016/01/24(日) 14:52:52.97 -
雪風(隣町に着きました!)
雪風「」グゥー
雪風「…………」
雪風(おなかがすきました!)
雪風(なので、先においしいものを食べます!)
ヒュゥ~……
雪風(……寒いので、温かいものが食べたいです!)
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20 : 2016/01/24(日) 14:57:30.86 -
店主「ハァ……」
店主(ここ三日の間、客は一人も来ていない)
店主(俺は20年、このラーメン屋をやってきたが)
店主(もう……限界だな)
店主(景気がよかったときにこっそり業務用の麺を使い)
店主(コストを下げるためにスープの質を低くしたせいで)
店主(客足がすっかり遠のいてしまった……)
店主(今じゃそれは止めたが、一度失った信用は……)
店主(……どうにもならんな)
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22 : 2016/01/24(日) 15:05:00.03 -
ガラッ
店主「!」
店主「へ、へいらっしゃい!」ガタッ
スタスタ…ガチャッ
雪風「ラーメンの大盛りっ!くださいっ!」
店主「あいよ」
店主(女の子が一人か……)カチャッ…
店主(……誰だっていい、もうこれが最後の客かもしれねえ)グツグツ
店主(どうせ最後なら、最高のラーメンを振舞おう)サッ…サッ…
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23 : 2016/01/24(日) 15:08:44.64 -
店主「へい、お待ちどうっ」スッ
雪風「わーい!ありがとうございます!」ニコッ
雪風「いただきます!」
ズズズー!
雪風「うん!」コクッ
ズズズ-!
雪風「うんうん!」コクコクッ
店主(……うまそうに食いやがるなぁ……)フフッ
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24 : 2016/01/24(日) 15:13:43.60 -
雪風「ごちそうさまでした!」ニコッ
雪風「おじさん!お会計おねがいします!」
店主「あはは、お代はいいんだ」
雪風「え?」
店主「この店……もう閉めることにするんだ」
店主「お嬢ちゃんが最後のお客さんだよ……ありがとうね」
雪風「え……えぇー!?」ガーン
雪風「そ、それは困ります!」オロオロ
店主「へ?」ポカン
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25 : 2016/01/24(日) 15:21:14.34 -
雪風「だって!ここのラーメンすっごくおいしかったからっ」
雪風「また来ようと思ったのに……」シュン
店主「えっ……ウチの……」
店主「……ラーメンが?」
雪風「……」コクッ
雪風「……おじさん!お金は受け取ってください!」
雪風「私はこれからもお客さんなんですから!」
雪風「これはおいしいって思った分の、おかえしなんです!」ニコッ
店主「!」
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26 : 2016/01/24(日) 15:27:42.51 -
雪風「お店、閉めないでくださいね!」
雪風「ゼッタイ!ですからねー!」
ガラッ
店主「……」
店主(おいしかった、か……)
店主(思い出してみれば……俺も駆け出しの頃は)
店主(美味そうに食う客の顔を見るのが一番の楽しみだったな……)
店主(……わすれていた初心か……)
店主(……へへっ、しゃーねぇ……店を閉めるのはもっと後にしてやらぁ)
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27 : 2016/01/24(日) 15:33:25.79 -
……
…………
………………雪風(おなかいっぱいです!)ケプー
旅女「すみませーん!」
雪風「ふぇっ?」
旅女「写真、とってくださーい!」
雪風「はい!分かりました!」
パシャッ
旅男「よく撮れてるねぇ」
旅女「ありがとう!」
雪風「いえいえ!」
雪風「お幸せに!」ニコッ
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28 : 2016/01/24(日) 15:39:58.94 -
……
…………
………………ヒュゥ~…
老人「うぅ……」
老人(さすがに、寒いな……)
老人(妻が逝き……家を売りに出して早一年)
老人(世間では……わしはホームレス……か)
老人(情けない話だが……)
老人(……こんな生き恥を晒してでも、わしはまだ生きたいのだな……)
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29 : 2016/01/24(日) 15:44:12.06 -
雪風「」テクテク
老人「お嬢さん……」フラッ
雪風「ひゃ!びっくりしました!」ビクッ
老人「あぁ……驚かせてすまないね……」
老人「時にお嬢さん……」
老人「ワシに……お金を恵んではくれんか……?」
雪風「へっ!お、お金……ですか?」アタフタ
老人「あぁ……」
老人「食うものに困っておるのだ……」
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30 : 2016/01/24(日) 15:48:47.56 -
老人「頼むよ……」
雪風「うぅ…………」オロオロ
雪風(この人、困ってるんだ……!)
雪風(……でも!)
雪風「ご、ごめんなさい!」
雪風「うちの山城さんが困ってるんです!」
雪風「……ですからお金は渡せません」シュン
老人「そうか……」
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31 : 2016/01/24(日) 15:52:51.18 -
雪風「本当に、ごめんなさい!」ペコペコ
老人「い……いやいや、いいのだ」
老人「こうなってしまったのは」
老人「お嬢さんのせいではない……」
老人「気にしないでくれ……うぅっ」ゴホッゴホッ
雪風「!」
雪風「おじいさん!せめて……これを!」スッ
老人「ゴホ……ん!?」
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32 : 2016/01/24(日) 15:57:02.74 -
老人「マフラーか?」
老人「い、いかん……君が風邪を引いてしまうぞ……」
雪風「いいえ……“雪風”はゼッタイ!」
雪風「大丈夫なんです!」
老人「っ!!」
雪風「私、そこの薬局におつかいにいくのでこれで失礼します!」
雪風「それでは!お体におきをつけて!」ダッ
タッタッタッタッ……
老人「……“雪風”か……」
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33 : 2016/01/24(日) 16:02:09.31 -
老人(……昔を思い出すのぉ……)
老人(……かつて駆逐艦“雪風”の乗組員だった頃を……)
老人(……雪風は幸運の船と、同期の連中に言われておった)
老人(……それは少し、違うな)フフッ
老人(あれは皆の極まった練度と……生きようとする毅然とした意志の賜物……だ)
老人(それが今のわしは……どうだ?)ゴホッゴホッ
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34 : 2016/01/24(日) 16:08:01.80 -
老人(…………暖かいマフラーだ……)
老人(これなら、外も出歩けるだろ……)
老人(……こんな老いぼれでもできる仕事を探す)
老人(老い先短い人生だが……)
老人(……結果を座して待つより、自ら手繰り寄せる)
老人(わしらには、やはりそれが性に合っとるんじゃ……)
老人(……そうですよね、寺内艦長……?)ポロ…ポロ…
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35 : 2016/01/24(日) 16:13:11.89 -
……
…………
………………ヒュゥ~……
雪風「……」ブルブル
雪風「……」ブルッ
雪風「さすがに……寒いです……」
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36 : 2016/01/24(日) 16:21:05.52 -
山城「う……うぅ~ん……」グデー……
山城「……っいだだだだっ!」
山城「……不幸だわ……」グスッ
ガチャッ
雪風「山城さん!」
山城「あっ……雪風!」
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37 : 2016/01/24(日) 16:25:11.30 -
雪風「こちらが買ってきた湿布と」
雪風「医務室のコルセットです!」
雪風「今から!山城さんにこれを……」
山城「あなた、顔真っ赤じゃないの!」
雪風「ふぇ!?」
山城「首元、なにも巻かずに出て行ったの!?」
雪風「えと!そ、それは……」アタフタ
雪風「……えへへ」
山城「まったくもぉ」ハァ
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38 : 2016/01/24(日) 16:30:36.32 -
ギュッ
雪風「ひゃっ!」
山城「……あなた、やっぱり冷たいわ」
山城「でもこうすれば、少しは暖かいでしょ?」フフッ
雪風「でも!そんな姿勢じゃ……山城さんの腰が!」
山城「ふふっ、大丈夫」ニコッ
山城「こうやってあなたを抱くと、私も幸せを感じるの」ニコッ
山城「雪風……ありがとう」ギュ…
雪風「…………」
雪風「はい!」ニコッ
雪風「雪風も幸せ、感じちゃいます!」
————————————fin—————————————
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40 : 2016/01/24(日) 16:31:59.41 -
以上でこのお話はおわりになります
いつも以上に短い作品となりましたが
見てくださった方、楽しく書かせていただきありがとうございました
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