【艦これ】グラーフ「ブブヅケ?……なに、これも食べてもいいのかっ」


1 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 17:19:34.54 ID:1VNUehGq0

………………
…………
……

グラ「……という夢を昨日、私は見たのだが……」

グラ「リュウジョー、“ブブヅケ”とはなんなのだ?」

龍驤「……」

龍驤「あちゃーっ……」

グラ「?」

龍驤「グラやん……その夢の中でなんか粗相しはったやろ?」

グラ「ソソウ……とは、失礼のことか」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1452845974


ソース: http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1452845974/


2 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 17:24:41.12 ID:1VNUehGq0

グラ「分からないな……」

グラ「私はただ……そのオザシキがとても心地よかったから、時間を忘れて寝転がっていただけだ」

龍驤「あー……」

グラ「な、何だ」

龍驤「あんな……ぶぶ漬けっていうのは、お茶漬けっていう食べもんのことなんやけど」

龍驤「日本の西の方ではぶぶ漬けを出すっちゅーことはな……」

龍驤「『はよ帰って』って意味なんや……」


3 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 17:32:06.88 ID:1VNUehGq0

グラ「な……そうなのかっ?」

龍驤「せや」

グラ「なんということだ……私はおばあさんの邪魔になっていたという事か」シュン

龍驤「へへ……自分、夢ん中で追い返される寸前やったってことやな」ニヤニヤ

グラ「難解な文化だな……」


5 : 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/15(金) 17:37:22.41 ID:HSa61MA10
知らん事は夢に見れんだろ

6 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 17:40:00.04 ID:1VNUehGq0

グラ「私の祖国なら、ありがたく頂いてしまうところだぞ」

龍驤「せやろうなぁ」

グラ「うむ……しかし、なるほどな……あのブブヅケにはそういう意味が込められていたのか……」

グラ「しかし……だとしても、あのブブヅケは実に美味しそうだった」

龍驤「へ?グラやん……」

龍驤「結局夢の中ではぶぶ漬け食べられんかったんか?」

グラ「あぁ……何故だか知らないが」

グラ「ブブヅケを目の前にした途端に夢が覚めてしまったのだ……」シュン

龍驤(……しっかり追い出されてしもたんやなぁ……)クスッ


7 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 17:43:37.60 ID:1VNUehGq0
>>5自分はたまにありますよ(白目)

それから翌日のことである……

グラ「今日も作戦は……終了だ」

グラ「あとは就寝するだけなのだが……」

グラ「……」

グラ「……気になるな……ブブヅケ……」

グラ「……」

ヴーッ……ヴーッ……

赤城「……あら、電話?」

赤城「誰かしら……」


8 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 17:49:02.45 ID:1VNUehGq0

赤城「……グラーフさんだわ……どうしたのかしらこんな時間に?」

パッ

赤城「もしもし?」

グラ『あぁ、アカギ……こんな遅くにすまない』

赤城「ふふっ……大丈夫ですよ、どうしたんですか?」ニコッ

赤城「何か困りごと?」

グラ『あぁ……一つ……聞きたいことが……あ、あってな……』

赤城(あの真面目なグラーフさんがこんな時間に……)

赤城(声もなんだか落ち着きがないわ……これはよっぽどの事ね……)

赤城「えぇ、私でよければ何でも聞いてね……」

グラ『ここでは……どうすれば……』

グラ『どうすればブブヅケが食べられるんだ?』

赤城「」ガクッ


9 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 17:57:40.37 ID:1VNUehGq0

赤城(ブ、ブブヅケ……?)

赤城(ブブヅケってたしか……お茶漬けのことよね?)

グラ『アカギ……どうしたんだ?ダイジョウブかっ?』

赤城「えぇ、大丈夫です……いきなりの事で、混乱しただけです……」

グラ『うぅ……すまない』シュン

赤城「いえいえ、いいのよっ」

赤城「フフッ、あなたがそんなことを聞いてくるなんて……」

赤城「むしろ打ち解けてくれたみたいで、なんだか嬉しいわ」

グラ『アカギ……』


11 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 18:04:10.36 ID:1VNUehGq0

赤城「お茶漬け……そうですねー……」

赤城「一番手早い方法ですと、鳳翔さんに一度頼んでみるとか……」

グラ『うむ……一度それは考えたのだが……』

グラ『いつも私達の食事を用意してくれるホウショーに』

グラ『自分のためだけにわざわざ手間をかけてもらうのは少し、気が引けるんだ……』

グラ『仮に三食のメニューに取り入れてもらったとしても』

グラ『それはそれで食べ盛りの駆逐艦たちが可哀想だからな……』

赤城「それもそうね……うぅーん……」


13 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 18:10:58.25 ID:1VNUehGq0

赤城「……一つ、方法がないこともないわ」

グラ『おぉっ、是非聞かせてもらいたいっ』

赤城「それはですね、私もよくやるんですけど…………」

………………
…………
……

バサッ……

グラ「これでよしっ」

グラ(可能な限り黒と寒色でまとめたコーディネートだぞ)

グラ(フフッ……それに私は夜戦に強い……完璧だ)

グラ「Lichten des Ankers!」


14 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 18:17:34.07 ID:1VNUehGq0

グラ(どうにか、外に出ることができたな)

グラ(だが、思っていたような監視の目はなかったぞ……)

グラ(警備体制がなっていない。これはについてはいずれアトミラールに打診しなければな)

グラ(……まぁ、今はそんなことはどうでもいい)

グラ(アカギによれば、ここを南下することで)

グラ(“コンビニ”という施設にたどり着けるそうなのだが……)

グラ(もし見つかれば、罰則が課せられるそうだ)

グラ(気を引き締めねばな)グッ


15 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 18:24:46.79 ID:1VNUehGq0

グラ「それにしても寒い……」

グラ(一月だからな……だが)

グラ(この国の冷え方は独特だな……)

グラ(地面から冷気が昇ってくるようだ)

グラ(タイツだけでは少し物足りなかったか)

グラ(誰かに日本の服の買い方を教えてもらいたいが……)

グラ(リュウジョーはなぜか服の買い物に付いて来たがらないから)

グラ(今度はアカギに来てもらおうかな)フフッ


16 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 18:35:23.65 ID:1VNUehGq0

キキィィィーーーーッ

グラ「うわっ」サッ

ブロロロロロrrrrrrr……

グラ「あ、危なかったぞ……」

グラ(なんて運転だ……酒でも入っているんじゃないのか?)

グラ(この国の飲酒運転は私の祖国よりも取り締まりが厳しいと聞くが……)

グラ(いくら日本とはいえ、夜中は安全と言えないのか……)

グラ(消灯時間の規律があるのも、少し頷ける……気をつけねば)


17 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 18:47:48.46 ID:1VNUehGq0

グラ(星は……みんなには悪いが私の故郷の方が綺麗だな)

グラ(ジャガイモ畑に囲まれた村だった……今思えばとてつもない田舎だったな)

グラ(村のみんなはどうしているだろうか……)

グラ(……)

グラ(寂しくなんか……ないぞ)グスッ


18 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 18:58:34.93 ID:1VNUehGq0

グラ(あれは……)

グラ(一際眩く光る建物だ……!)

グラ(これがアカギの言っていたコンビニ……!)

グラ(すごい……こんな深夜はおろか、24時間営業しているのか)

グラ(便利なものがあるのだな日本にはっ)

グラ(フフッ……ここにブブヅケが……)

グラ(…………)グゥー

グラ「Vorwärts!」キリッ


19 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 19:06:15.15 ID:1VNUehGq0

ピポピポーン……ピポピポーン

イラッシャーセー

グラ「これが……コンビニ……」

グラ(思ったよりもきれいに清掃されている……)

グラ(そして、ここがレジスターか)

グラ(欲しいものを持ってここに来るとよいのだな)

グラ「あの、忙しいところすまないが……」

店員「あ、はい」

グラ「ブブヅケというものを探している」

店員「ブブヅケ……ですか……?」

店員「ブ、ブブヅケ……ブブヅケ……」

グラ(しまった、ブブヅケが通じていないようだ……)

グラ(……もう一つの言い方が思い出せない……っ)オロオロ


20 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 19:11:49.80 ID:1VNUehGq0

グラ「少し……待ってくれ」ポチポチ

店員「は、はぁ……」

ヴーッ……ヴ-ッ……

赤城「」スピー…スー……

グラ「ダメだ……出ない」ガクッ


21 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 19:12:56.90 ID:1VNUehGq0

店員「あの……すみませんが僕、レジに戻らなくちゃいけないので……」

グラ「あ、あぁ……スマナイ……」シュン

グラ(こうなれば……自分で探すしかない……)

グラ(しかし……日本語のパッケージはまだ読めないものが多いんだ……)

グラ(なんということだ……ここまで来たのに……)

ジャー……
ガチャ

提督「あ」

グラ「」ビクッ


22 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 19:15:08.67 ID:1VNUehGq0

提督「いーけないんだーいーけないんだーっ」ベロベロベー

提督「しれーちょーかんにーいったーろーーー」オボロロローン

グラ「ま、まま待ってくれっ」オロオロ

グラ(とんでもないことになった!)

グラ(なぜアトミラールがこんなところに!?)

グラ(うぅ……もう……言い逃れはできない……)

グラ「ア、アトミラール……こ、この非礼については謝る……だ、だから……」

グラ「このことは……誰にも言わないで……くれないか……」ポロ…ポロ…

グラ「もう二度と……しない……からぁ……」グスッ

提督(冗談だったのに泣いてしまった……どうしよう……)


25 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 19:19:20.30 ID:1VNUehGq0

ピポピポーン……ピポピポーン

アリアシター

提督「すまん……まさか本気にするとは思っていなかったんだ……」

グラ「いや……こちらこそ、お恥ずかしい限りだ……」シュン

グラ「しかし……夜間の外出は罰則だと、たしかに教えられたのだが……」

提督「まぁ……そりゃなぁ」

提督「駆逐艦の子が真似したら困るし、大っぴらに良いとは言えないだろう」

グラ「た、たしかに」

提督「実際、上に見つかったら目も当てられないな」


26 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 19:21:00.79 ID:1VNUehGq0

グラ「アトミラールはどうしてコンビニに来ていたんだ?」

提督「まぁ……息抜きだよな」

提督「執務室に籠りっきりだと」

提督「なんだかねー」

グラ「ねーと言われてもな……」

提督「まぁこれ、食いなよ」ガサガサ

グラ「あ、ありがとう……」

グラ(これは……鶏肉の揚げ物か)

グラ「」ハムッ


27 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 19:24:11.56 ID:1VNUehGq0

グラ「アトミラールは普段から外でこういうものを食べているのか?」

提督「だいたいはまぁ……そうだよな」

グラ「差し出がましいようだが、脂質と塩分が過剰に感じる」

グラ「身体に障るから控えた方がいい……」

提督「正論なんだが、これは日本男児の性なんだよなぁ」

グラ「そうなのか?それは失礼した」


28 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 19:29:48.44 ID:1VNUehGq0

提督「しかし……あのグラーフが夜遊びを覚えるとは」

グラ「こ、これは夜遊びではないッ」

グラ「私が普段どう見られているのかは分からないが」

グラ「これは決して違うのだぞっ」

提督「そんな全力で否定しなくても……」

グラ「……」

グラ「でも、ブブヅケを探すのを手伝ってくれたこと……感謝している」

提督「おう」


30 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 19:33:00.86 ID:1VNUehGq0

提督「まぁなんでもいいが」

提督「やはり夜中に女の子が一人ってのは感心しないな……」

グラ「しかし……」

グラ「アカギだってよくしていると言っていた」

提督(……赤城め……)ゴゴゴ

グラ「」ビクッ


32 : >>29サーKの焼き鳥は至高 ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 19:38:06.30 ID:1VNUehGq0

提督「グラーフになにかあったらどうすんだよ……」

グラ「!」

提督「まぁとにかく、今度魔が差したら俺に言えよ」

提督「お茶漬けといわず、色々御馳走するよ」

グラ「そんなこと、アトミラールに悪いではないか……」

提督「いーのいーの」


33 : >>29サーKの焼き鳥は至高 ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 19:40:18.67 ID:1VNUehGq0

提督「         」ニコッ

グラ「っ!?」


34 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 19:41:27.09 ID:1VNUehGq0

グラ「アトミラールっ、そ、それはどういう……」カァーッ……

提督「おっ着いたな」

グラ「聞いているのかっ、おい……」バタバタ

提督「俺の部屋こっちだから」

提督「まー、明日は寝坊スンナよー」

提督「おやすみー」

グラ「ちょっ……おっ……」

グラ「……おやすみ……なさい……」


35 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 19:43:49.94 ID:1VNUehGq0

グツグツ……
ジャー……

グラ「あつッ……」

グラ「指にかかってしまった……」

グラ(さっきのアトミラールの言葉……)

グラ(おそらく……深い意味はないだろう)

グラ(いつもの調子で言っただけだ)

グラ(…………)

グラ(悪い気はしない)フフッ


36 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 19:45:18.82 ID:1VNUehGq0

グラ「これがブブヅケか……」

グラ「……さっきの……チキンの方が美味しかったな」ニコッ

————————————FIN—————————————


38 : ◆9l/Fpc6Qck 2016/01/15(金) 19:49:38.55 ID:1VNUehGq0
以上でおわりです

地獄のオーラス……………………!

迫るアカギスレ化の危機…………!

回避…………!生存………………!

これぞまさしく僥倖………………!

短かったですが、楽しく書かせていただきありがとうございました

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