アスカ「シンジの料理に毎日少しずつ毒を入れる」


1 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 22:37:24.00 ID:C2M3rCBB0
アスカ「はいっ、おまちどー!」

シンジ「アスカが料理してくれるようになるなんて……」

アスカ「あんた何回それ言ってんのよ」

シンジ「だって嬉しくってさ。いただきます」

アスカ「はい。仮にも育ちざかりなんだからいっぱい食べなさい」

シンジ「あ……っと」ガチャ

アスカ「何やってんのよ。茶碗割れちゃうじゃない」

シンジ「ご、ごめん。最近なんだか身体がダルくって。ホント、もっと食べなくちゃね」

アスカ「……」


ソース: http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1347543444/


8 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 22:43:21.55 ID:C2M3rCBB0
シンジ「ふぅ」

ミサト「シンジ君、最近ため息つくこと多くない?」

シンジ「え。そうですか?」

ミサト「なんだか少し痩せたようだし……体調悪いなら遠慮しないで早めに言ってね」

ミサト「エヴァのパイロットとして、身体の管理も大事な仕事よ」

シンジ「はい」


10 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 22:45:14.53 ID:C2M3rCBB0
アスカ「大げさねーミサトは。はいシンジ」

シンジ「ありがとう!」

ミサト「……なにそれ」

アスカ「見りゃ分かるでしょ、ケーキよケーキ」

ミサト「なんだか、気のせいか手作りに見えるんだけど」

アスカ「気のせいじゃないわよ。私のお手製」

ミサト「えええええええっっ」

シンジ「ミサトさん、驚きすぎですよ」

ミサト「だ、だ、だってアスカが……って私の分は??」

アスカ「無いわよ」

ミサト「ぐわーん」


12 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 22:48:52.93 ID:C2M3rCBB0
シンジ「ミサトさん、半分に分けましょうか」

アスカ「ダメよ! それはシンジに作ったんだから、他の人にあげるのは禁止」

シンジ「禁止って、でもミサトさんが」

アスカ「ミサトは、どっかお店でなんかテキトーに買ってくればいいじゃない」

ミサト「…………仲いいわねーあんたら。いつの間にそんな」

アスカ「勘ぐらないでよ。ただ私の料理の練習につきあわせてるだけなんだから」

シンジ「そうですよ」

ミサト「ふーん」

シンジ「じゃ、いただきます」

アスカ「……」


15 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 22:57:08.81 ID:C2M3rCBB0
シンジ「……はい、はい。大丈夫ですよ。ミサトさんこそ無理しないでくださいね」

ピッ

アスカ「ミサト、今日も泊まりなの?」

シンジ「うん」

アスカ「じゃ……今夜も二人っきりね」

シンジ「う、うん」

アスカ「ぷ。なぁーに赤くなってんのよスケベバカシンジ」

アスカ「さって。じゃあそろそろご飯の準備しますか!」


18 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 23:00:39.73 ID:C2M3rCBB0
カチャ…カチャ…

アスカ「どう?」

シンジ「美味しい……! すごいや、アスカ」

アスカ「ありがとって言いたいけど、あんたって常に『美味しい』だからイマイチ参考になんないわよね」

シンジ「だって本当に」

アスカ「はいはい」


23 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 23:06:15.01 ID:C2M3rCBB0
シンジ「———僕さ、ほんのちっちゃい頃以外、ほとんど一人暮らしみたいなもんだったから」

シンジ「料理なんかもすぐ自分でするようになったんだ」

アスカ「それで得意になったわけね」

シンジ「得意っていうか身にはついたけど。でも、やっぱり寂しかったんだと思う……」

シンジ「こうやって誰かと一緒に食事したり、誰かがご飯を作ってくれるのが、こんなに嬉しいって知らなかった」

アスカ「シンジ……」

シンジ「だから練習でもなんでも、ありがとう。アスカ」

アスカ「ふふん、どういたしまして」

アスカ「なんだったら、これから一生、私があんたのご飯作ってあげてもいいわよ」

シンジ「え?」

アスカ「いつかシンジが死ぬ時まで、私が料理してあげるって言ってんの」

シンジ「か……からかわないでよ」


26 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 23:12:07.92 ID:C2M3rCBB0
ヒカリ「アスカ! 碇君が体育の途中で倒れたって!」

アスカ「シンジが!?」

ヒカリ「今、保健室に……」

ケンスケ「大丈夫か、シンジ」

トウジ「無理せんで次の時間サボったほうがええで」

シンジ「うん……ゴメン。びっくりさせちゃって」

ケンスケ「気にすんなよ。それより疲れが溜まってるんじゃないか? 色々、重圧あるだろうしさ」

シンジ「……ちょっと寝てれば治るよ。昨日も寝るの遅くなっちゃったから」


28 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 23:18:34.29 ID:C2M3rCBB0
コンコン、ガララ

ヒカリ「失礼します」

アスカ「失礼しまーすっと。バカシンジ、生きてんの?」

トウジ「よ、お二人さん」

シンジ「アスカ。委員長。わざわざ来てくれたんだ」

レイ「……それじゃ、私もう行くから」

シンジ「あ、うん。ありがとう綾波」

ガラガラ

ヒカリ「行っちゃった。綾波さんも碇君のお見舞いに来てたの?」

ケンスケ「ああ、俺達のすぐ後に」

トウジ「あの綾波が、廊下を走って来よって驚いたで」

アスカ「…………へえ」


31 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 23:30:18.10 ID:C2M3rCBB0
シンジ(今頃は数学か。授業中に学校で寝るのって、なんか落ち着かないよな)

シンジ(でもせっかく休ませてもらってるんだから、ちゃんと眠らないといけないのに……)

シンジ(……身体が寒いみたいな、熱いような、ザワつくみたいな……なんだこれ)

シンジ「く、ぅぅ」

シンジ(最近、いつもだ。どうしちゃったんだ、僕の身体)

ガラガラ

アスカ「……」

シンジ「……アスカ?」

アスカ「なによ。起きてるじゃない」

シンジ「うまく寝付けなくて。アスカこそ授業は?」

アスカ「退屈だからサボっちゃった」


33 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/13(木) 23:38:49.26 ID:C2M3rCBB0
シンジ「———疲れてるんじゃないかって。ケンスケが」

アスカ「実際そうなんじゃないの。あとはココロの問題かも」

シンジ「心の?」

アスカ「そ。どっか痛むわけでも熱があるわけでもないのによく分かんないような変調きたす時って、大抵精神からやられてる時よ」

シンジ「やっぱり…………ネルフに相談したほうが」

アスカ「バーカ。あそこがまっとうな治療してくれると思う? ヘタすりゃお払い箱で、この街からポイね」

シンジ「……」

アスカ「帰ったらまた私が精のつくもの作ってあげるから、あとはも少し神経太くなんなさい」

シンジ「う、うん」


44 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/14(金) 00:16:57.15 ID:bgqOsJoI0
アスカ「じゃーん!」

シンジ「わ……ぁ」

アスカ「ちょっとなによ、その微妙な反応」

シンジ「あ、いや。凄いし美味しそうだし精もつきそうだなーって」

アスカ「他には?」

シンジ「う。だってその……今日は学校で倒れちゃったし具合悪いから、もう少しなんて言うか」

アスカ「だ~いじょうぶよ、その辺考えて、こう見えても味はさっぱりだから」

アスカ「人の基本は食事! バテてる時こそ思いきり食べる!」

シンジ「……そうだね。それに、アスカがこんなに沢山作ってくれたんだし」

アスカ「……」

シンジ「ありがとう。いただきます」

アスカ「ふふ」


48 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/14(金) 00:23:30.02 ID:bgqOsJoI0
シンジ「ハァ、ハァ」

シンジ(寝苦しい……息までヘンだ……こんなんじゃ、また今夜も……)

シンジ「ぅ、ぅぅ……くっ」

カタ

シンジ「?」

アスカ「……」

シンジ(あ。アスカ……様子見に来てくれたんだ)

シンジ「ハァ、ハァ」

アスカ「……」


55 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/14(金) 00:29:35.79 ID:bgqOsJoI0
ミサト「———ねえ、シンジ君。どうしてネルフで検査しないの?」

シンジ「……」

ミサト「どう見てもやつれてるし、顔色も悪いし、これ以上ほっとけないわよ」

シンジ「……でも」

アスカ「いいじゃないミサト! 本人が嫌がってんだから」

ミサト「アスカは黙ってなさい」

ミサト「あなた達の身体があなた達だけの身体じゃないくらい、十分分かってるでしょ」


58 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/14(金) 00:35:36.66 ID:bgqOsJoI0
シンジ「ミサトさん。アスカは僕のこと心配してくれてるだけだから、責めないでください」

ミサト「ならなおさら検査を止めるなんてナンセンスよ」

シンジ「そんな大げさなことじゃないですよ。ただ、少し、疲れ」

どさっ

アスカ「!!」

ミサト「シンジ君!?」

シンジ「」

ミサト「……脈はある。気絶してるだけね」

ミサト「アスカ! これでも止めるようなら弾き飛ばすわよ」

アスカ「と……止めないわよ」

ミサト「じゃ、すぐネルフに運ぶから手伝って!」

アスカ「分かってる」


63 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/14(金) 00:42:32.54 ID:bgqOsJoI0
アスカ(……まだいけると思ったのに。思ってた以上に衰弱してたんだ)

アスカ(よりによってミサトの目の前で気絶なんて、バカシンジ!)

アスカ(でも……検査内容によっては、きっとバレない……きっと)

ミサト「アスカ、乗って」

アスカ「うん。ミサト、シンジ大丈夫よね?」


71 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/14(金) 00:52:10.13 ID:bgqOsJoI0
リツコ「ただの疲労ね。といってもだいぶお疲れのようだけど」

ミサト「え゛。ホ……ホントに?」

リツコ「嘘をつく理由があって?」

リツコ「4日間はこのまま入院して休養。その間の体調管理はすべて私が行います」

リツコ「その後退院。退院後もこちらが用意した生活要項をしばらくは守ってもらうわ」

ミサト「はぁ」

リツコ「質問は?」

ミサト「えっと、うーん、ない。シンちゃんが無事ならなんでもいいわ」

アスカ「なぁんだ。人騒がせなやつねー」

リツコ「アスカ」

リツコ「……あなたの価値を考慮して今回は見逃してあげるけど、オイタはほどほどになさい」ボソッ

アスカ「!」

リツコ「それじゃ。もう邪魔だから帰ってちょうだい」


80 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/14(金) 00:57:23.69 ID:bgqOsJoI0
4日後

ペンペン「クェェ!」

シンジ「ただいまペンペン、アスカ」

アスカ「数日ぶりの我が家はどう?」

シンジ「ほんの数日だから、別にどうとかはないけど」

アスカ「つまんないやつねー。せっかくご馳走用意してやったのに」

アスカ「そういやミサトは?」

シンジ「僕を送ってくれて、またネルフに戻ったみたい。今日もあっちに泊まりだって」

アスカ「……ふぅん」

アスカ「てことは、また二人っきりね」


91 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/14(金) 01:06:36.55 ID:bgqOsJoI0
リツコ「これよミサト。シンジ君の体調不良の元凶」

ミサト「ってこれ……なんかの薬? でも、いつシンジ君がそんなのを」

リツコ「アスカがこのところ妙に熱心に料理してる。と言ってたわよね?」

ミサト「!? ちょ、ちょっと、リツコ?」

リツコ「ええ。カマをかけてみたけど、まず間違い無いわ」

リツコ「アスカがシンジ君の食事にこの薬———ある種の毒を混ぜてたのね」

ミサト「どく……リツコ!!」

リツコ「私に怒っても意味がないわよ」

ミサト「取り消しなさい」

リツコ「ミサト。もう一度断言するけど、アスカがシンジ君に毒を飲ませてた犯人よ」

リツコ「どこで手に入れたのかしら。この強烈な媚薬」


112 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/14(金) 01:11:21.65 ID:bgqOsJoI0
ミサト「……は?」

リツコ「中学生の男の子にこんなもの飲ませて、する事と言ったらやっぱりアレでしょうね」

ミサト「……アレって」

リツコ「言っておくけど、またシンジ君が倒れることにならないよう、自重しなさいと忠告はしたわよ」

ミサト「……」

リツコ「もっとも今日あたりは———」


130 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/14(金) 01:24:26.53 ID:bgqOsJoI0
シンジ「ハァ、ハァ、ハァ」

シンジ(ま……また、身体が……入院中はマシだったのに)

ガララ

アスカ「……」

シンジ「……アスカ……」

アスカ「シンジ。具合はどう?」

シンジ「アスカ! 今、近づいちゃダメだ」


136 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/14(金) 01:31:50.28 ID:7wgCf8fD0
長くなりましたがこのSSはこれで終わりです。
ここまで支援、保守をしてくれた方々本当にありがとうごさいま した!
パート化に至らずこのスレで完結できたのは皆さんのおかげです (正直ぎりぎりでした(汗)
今読み返すと、中盤での伏線引きやエロシーンにおける表現等、 これまでの自分の作品の中では一番の出来だったと感じていま す。
皆さんがこのSSを読み何を思い、何を考え、どのような感情に浸 れたのか、それは人それぞれだと思います。 少しでもこのSSを読んで「自分もがんばろう!」という気持ちに なってくれた方がいれば嬉しいです。
長編となりましたが、ここまでお付き合い頂き本当に本当にあり がとうございました。
またいつかスレを立てることがあれば、その時はまたよろしくお 願いします! ではこれにて。

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