摩耶花「ふくちゃんに嫌われた……」


1 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 02:25:12.56 ID:0o93S6Zd0
摩耶花「わたし、ふくちゃんに嫌われたかもしれない……」

折木「どうしたんだ。お前らの夫婦喧嘩はいつものことだろ」

摩耶花「ううん、違うの……今回は本当にまずいかも…」

折木「何があったんだ?」


ソース: http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1348680312/


3 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 02:26:30.56 ID:0o93S6Zd0
摩耶花「ちょっと、口げんかしちゃってね。
    それは解決したんだけど、それ以降、ふくちゃんがずっと冷たいの」

折木「里志を怒らせたってことか?」

摩耶花「……ううん。怒ってるというより、ずっと気まずい感じ…
    一緒にいても、口数少ないし、ずっと考え事してるような感じなの。
    どうしよう。ふくちゃん、わたしと別れたがってるのかな……
    わたし、ふくちゃんと別れたくない!」

折木「仕方ない。それについては、俺の方から里志に探りいれてみてやるから」

摩耶花「本当?」


6 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 02:28:50.33 ID:0o93S6Zd0
折木「ああ、だから今日はもう帰ろう。千反田もこないみたいだし」

摩耶花「そうね……」

折木「ああ、雨も降りそうだしな」

摩耶花「ほんとだ。あ、傘もってきてないや……」


7 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 02:29:33.17 ID:0o93S6Zd0
帰り道

摩耶花「ねえ、折木はどう思う?」

折木「何の話だ」

摩耶花「ふくちゃんの話よ。やっぱりわたしのこと嫌いになったのかなあ」

折木「さあな」

摩耶花「さあな、って……」

折木「単に、いつも通りの些細な口げんかしただけだろ」


8 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 02:30:46.44 ID:0o93S6Zd0
摩耶花「うん…」

折木「そんで、ちゃんと仲直りしたんだろ」

摩耶花「そうだけど…」

折木「話を聞いている限りでは、いつも通りのお前らって感じだが」

摩耶花「でも、それ以降ふくちゃんの態度が急変したのよ。
    なんか、全然笑わなくなった」

折木「別に無視されてるとかじゃないんだろ」

摩耶花「うん、そうなんだけど…でも、なんか違うのよ!」

折木「考え過ぎだ。何か悩み事があるだけかもしれん」


9 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 02:32:22.22 ID:0o93S6Zd0
摩耶花「でも、でも、わたし、ふくちゃんに嫌われたら、生きていけない……!」

折木「落ち着け。自分を追い込んでも事態は良くならないぞ」

摩耶花「嫌だ、嫌だよぉぉぉぉ…別れたくないよ…」ウッウッ

折木「……」ガシッ

摩耶花「折木……」

ポツポツ…

折木「雨が降ってきた。俺の家で雨宿りしていけ」


11 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 02:35:10.04 ID:0o93S6Zd0
ザアアアアアア

折木「かなり強くなってきたな…」

摩耶花「ね、お姉さんは…?」

折木「姉貴なら今日は帰らない。親も仕事だ」

摩耶花「そっか」

折木「なんなら泊まっていくか」

摩耶花「な、何言ってんのよ!」

折木「天気予報見る限りじゃ雨止まなさそうだぞ」


12 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 02:36:06.54 ID:0o93S6Zd0
摩耶花「いいわよ。傘貸してくれれば帰るから」

折木「やめとけ。大雨暴風警報が発令されてる。傘をさして帰るのは危険だ」

摩耶花「う……」

折木「姉貴の部屋に泊まればいいだろう」

摩耶花「わたしに変なことしないでよね……」

折木「はいはい」


13 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 02:37:48.50 ID:0o93S6Zd0
……

摩耶花「お風呂あがったわよ」

折木「姉貴の服、大きすぎるな…」

摩耶花「いいわよ。貸してくれてありがとうって、お姉さんに言っといて」

折木「ああ、俺も風呂入って寝る。姉貴の部屋自由に使ってくれ」

摩耶花「あ、うん」

バタン

摩耶花「……」

摩耶花(成り行きとはいえ、折木の家に泊まっちゃった…)

摩耶花(ふくちゃんの家も泊まったことないのに…)

摩耶花(折木とはいえ、男の人と二人きり…)

摩耶花(ふくちゃんにバレたら、きっと怒るよね…)


18 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 02:40:27.19 ID:0o93S6Zd0
……

折木(伊原はもう寝たか…)

折木「俺も寝よう」

スースー

ガチャ

折木「?」

摩耶花「折木……まだ起きてる?」


19 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 02:42:46.08 ID:0o93S6Zd0
折木「なんだ…」

摩耶花「ちょっと、話してもいい?」

折木「ああ…」

摩耶花「折木はさ、わたしとふくちゃんのことどう思う?」

折木「どうって…」


20 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 02:44:54.51 ID:0o93S6Zd0
摩耶花「相性いいように思う?」

折木「仲良しだなとは思うぞ」

摩耶花「そっか……」

折木「……」

摩耶花「わたしはふくちゃんのこと、好き」

折木「知ってる」


22 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 02:47:06.48 ID:0o93S6Zd0
摩耶花「でも、ふくちゃんはわたしのこと、好きじゃないのかな……」

折木「そんなことはないと思うぞ。伊原のこと好きだって言っていたしな」

摩耶花「わたしに合わせてくれていただけなのかも、わたしが、あまりにもしつこいから…」

折木「そんなことはない。自信を持っていい。直接聞いたから間違いない」

摩耶花「でも、それから愛想を尽かしたかもしれないよね…」

折木「どうしてそんなに後ろ向きなんだ。伊原らしくない」


25 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 02:48:06.49 ID:0o93S6Zd0
摩耶花「ずっと、考えちゃうの……ふくちゃんに振られるかもって…
    眠ったら、夢にでちゃう…」

摩耶花「折木、わたし、わたし、やっぱりふくちゃんのこと好きだよおおおお」

折木「伊原…」ガシッ

摩耶花「ちょ、ちょっと、折木…?」

折木「今夜は里志のこと、忘れろ」

摩耶花「………うん」

バタッ

ザアアアアアア


27 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 02:50:18.55 ID:0o93S6Zd0
翌朝

チュンチュン

摩耶花「ん……」

折木「スースー」

摩耶花「朝か……うう、寒い」

摩耶花(折木と…寝ちゃった…
    ふくちゃんとも、まだなのに…)

摩耶花「明日から、どんな顔してふくちゃんに会えばいいの……」


29 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 02:52:01.15 ID:0o93S6Zd0
折木「ん……、起きたか。伊原」

摩耶花「うん、折木、昨日はありがとね。おかげで元気でた」

折木「ああ、気にするな」

摩耶花「わたし、先に学校行くね」

折木「せっかちだな。一緒に登校してもいいじゃないか」

摩耶花「そんなところふくちゃんに見つかったらどうするの。じゃあね」

折木「……」


31 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 02:53:54.51 ID:0o93S6Zd0
学校にて

摩耶花(はぁ、なんで昨日折木に身体許しちゃったんだろ……)

摩耶花(最低だ、わたしって)

摩耶花(ふくちゃんに合わす顔がない…)

摩耶花(折木、このこと誰にもいわないよね…)

摩耶花「はぁ…」


32 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 02:56:16.15 ID:0o93S6Zd0
放課後、部室にて

ガラガラ

摩耶花「今日も折木だけ?」

折木「ああ、里志は今日も休みだぞ」

摩耶花「そう」

折木「……」ペラ

摩耶花「……ね」

折木「なんだ」ペラ


33 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 02:59:13.93 ID:0o93S6Zd0
摩耶花「昨日の事なんだけどさ」

折木「ああ」ペラ

摩耶花「誰にも言わないでよね」

折木「わかってる。当たり前だろ」

摩耶花「ちーちゃんにも言っちゃダメだよ」

折木「なんで千反田の名前が出るんだ。わかってる」

摩耶花「それならいいの」

折木「……」ペラ


35 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 03:01:12.78 ID:0o93S6Zd0
摩耶花「ちーちゃん、こないね」

折木「そうだな」

摩耶花「……」

摩耶花(やだ、なんでわたしったら折木のこと意識してんだろ…)

折木「……帰るか」

摩耶花「そう。じゃあ、また明日」


36 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 03:03:48.65 ID:0o93S6Zd0
折木「一緒に帰らないのか?」

摩耶花「え、何言ってんのよ!いいわ、もう少し宿題してから帰る」

折木「いいじゃないか、宿題くらい」

摩耶花(え?何々?なんでわたしを誘ってるの…?)

折木「なあ、伊原…」

チュッ

摩耶花「んっ、やっ、何…!?」

折木「」

摩耶花「やめて!」

ドンッ!

折木「いいのか?」


39 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 03:06:54.49 ID:0o93S6Zd0
摩耶花「な、何がよ!」

折木「黙っていてほしいんだろ?」

摩耶花「わ、わたしを脅迫する気?」

折木「別に脅迫じゃない」

摩耶花「か、勘違いしないで!わたしはあんたの恋人じゃない!」

折木「じゃ、伊原は恋人じゃない男に股を開く女ってわけか」

摩耶花「やめて!昨日のわたしは、わたしは……何かおかしかったのよ……」


40 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 03:07:39.51 ID:0o93S6Zd0
摩耶花「昨日みたいなことは、もう二度とないから!」

折木「里志のことなんか、忘れればいいじゃないか」

摩耶花「やめてってば!」

折木「……」

摩耶花「……お願い。わたしからふくちゃんを奪わないで……
    わたしが好きなのは、折木じゃなくてふくちゃんなの…」

折木「わかったよ」

摩耶花「……ごめん」

折木「謝ることはない」


42 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 03:09:30.53 ID:0o93S6Zd0
える「福部さん、ちょっとお話があるんです」

里志「どうしたの?」

える「実は、わたし、見てしまったんです。
   摩耶花さんと折木さんが部室で……キスしてるところを…」

里志「千反田さん、僕をからかってるなら…」

える「冗談でこんなこと言いません!」


45 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 03:10:55.97 ID:0o93S6Zd0
里志「……何?もしかして、僕と摩耶花の仲を試してるとか?」

える「そんなんじゃありませんってば!」

里志「」

える「嘘じゃありません。わたし、見てしまったんです」

里志「まさか」

える「わたしも、信じたくはありませんが…」


46 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 03:12:32.33 ID:0o93S6Zd0
里志「何かの見間違いでしょ。躓いて転んだ摩耶花がホータローによりかかってたとか…」

える「そんなんじゃありません!ハッキリとキスしてました」

里志「わかったよ。千反田さん、摩耶花に訊いてみる」

える「あのっ……」

里志「なに?」

える「摩耶花さんのこと、どうか怒らないであげてください」

里志「……わかったよ」


47 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 03:13:30.55 ID:0o93S6Zd0
翌日

プルルルル

摩耶花「あ、電話だ。ふくちゃん」

里志「摩耶花」

摩耶花「ふくちゃん!久しぶり!って、まだ2日だけか!」

里志「摩耶花、僕に隠し事してるよね?」

摩耶花「えっ?」


51 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 03:15:54.28 ID:0o93S6Zd0
里志「隠さなくていいよ。知ってるから」

摩耶花「な、なんのこと?」

里志「頼むよ摩耶花。正直に話してくれ」

摩耶花「……」

里志「摩耶花、部室で折木とキスしてただろ?」

摩耶花「だ、誰にきいたの!?」

里志「誰でもいい。本当の話なの?」


54 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 03:18:26.96 ID:0o93S6Zd0
摩耶花(折木のやつ、ふくちゃんに言いつけたのね…)

摩耶花「……ごめん!でも、あれは違うのよ!」

里志「何が違うんだよ!」

摩耶花「あれは、折木が強引に迫ってきて……わたしはふくちゃんがいるから
    折木の気持ちにはこらえられないって言ったの。
    そしたら、折木が腹いせにふくちゃんに言いつけたんでしょ?」

里志「……そんな言い訳までされて、ショックだよ……」

摩耶花「本当よ!わたしが好きなのは…」

里志「もういい。もういいよ摩耶花」

里志「摩耶花、別に摩耶花がホータローのこと好きになったって僕は怒らないよ。
   そうさ。そもそも、摩耶花は僕なんかにはもったいないくらい素敵な女の子だ。
   折木と摩耶花がベストカップルだって言ったのは、冗談なんかじゃなく、本心だったんだよ」


57 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 03:20:28.33 ID:0o93S6Zd0
摩耶花「え…」

里志「僕は今まで摩耶花の好意に甘えてたんだ。でも、ずっと考えてたんだよ。
   僕は摩耶花に釣りあわないんじゃないかって」

摩耶花「そんなことない!何言ってるの」

里志「摩耶花にはホータローが似合ってるよ。お幸せに」

摩耶花「違う!わたしが好きなのは…」

ガチャッ

ツーツー

摩耶花「嘘……」


61 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 03:21:43.17 ID:0o93S6Zd0
摩耶花「いやだ……嫌だ嫌だ嫌だ…」

摩耶花「うわああああああああああああああああ」

摩耶花「いやああああああああああああ」

摩耶花「ふくちゃあああああああああああああああん!」


65 : 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/09/27(木) 03:23:48.59 ID:0o93S6Zd0
後日

折木(あの後、どうやら里志は摩耶花と別れたらしい)

折木(俺は伊原のことは黙っていたのだが……やはり別れても仕方ない空気だったのだろう)

折木(その後、里志とは自然に疎遠となり、伊原も部室に姿を現さなくなった)

折木「古典部も、寂しくなってしまったな」

える「ええ、そうですね」

折木「……ま、その方が省エネでいいかもしれんな」

える「ふふ、折木さん、わたしと 2 人 でがんばりましょう」ニヤリ

END

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